JP2004018894A - 溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色防止処理皮膜付着量制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コバルト付着量を迅速に測定するオンライン制御法を提供する。
【解決手段】付着量を調整した溶融めっき直後の溶融亜鉛系めっき鋼板表面にコバルト塩水溶液を噴霧して、めっき層の黒変色防止処理皮膜を形成する際に、蛍光X線分析でコバルト特性X線波長検出角度のバックグランドとして、亜鉛系めっき付着量から換算した既知の値、あるいは、FeKβ強度から算出される値を用いてコバルト付着量を迅速に測定し、コバルト塩水溶液の濃度、噴霧量、噴霧圧力を適宜調整することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】付着量を調整した溶融めっき直後の溶融亜鉛系めっき鋼板表面にコバルト塩水溶液を噴霧して、めっき層の黒変色防止処理皮膜を形成する際に、蛍光X線分析でコバルト特性X線波長検出角度のバックグランドとして、亜鉛系めっき付着量から換算した既知の値、あるいは、FeKβ強度から算出される値を用いてコバルト付着量を迅速に測定し、コバルト塩水溶液の濃度、噴霧量、噴霧圧力を適宜調整することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色化を防止するために、溶融めっき直後にコバルト塩水溶液を噴霧する条件を、蛍光X線分析でコバルト量を迅速に測定することから適宜調整する溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色防止処理皮膜付着量制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建材、家電の他各種の分野で溶融亜鉛系めっき鋼板が使用されているが、高温湿潤環境化におくと、めっき表面が黒変色化することがある。亜鉛系めっき鋼板に通常認められる白錆とは外観が異なるが、この皮膜は薄い酸化皮膜であり、美麗な外観が要求される用途に対しては、その外観が損なわれることから、この黒変色化を防止しなければならない。
【0003】
黒変色化防止策の一つとして、めっき直後にコバルト塩水溶液を噴霧し、コバルトをめっき表面に存在させる方法が採られている。コバルト付着量は数mg/m2の微量でも有効であり、めっき鋼板の加工性や耐食性に悪影響を与えることはない。めっき表面に付着したコバルトの黒変色防止メカニズムは不明であるが、溶融亜鉛系めっきの最終凝固過程時に噴霧処理され、コバルト付着量が微量でも有効であることから、最外表層である酸化皮膜中に微量存在することで、その酸化皮膜の成長速度を低下させ、事実上、黒変色化が生じない程度に進行を遅延し、有効性が発揮されるものと推定される。
【0004】
コバルト付着量の測定は、試料を溶解して、原子吸光分析や高周波プラズマ誘導発光分析法等の化学分析で行われてきた。迅速分析の観点から、めっき付着量の測定に広く用いられる蛍光X線分析法も考えられたが、コバルトの特性X線波長検出角度は、めっき原板のFeKβ線の領域にかかること、FeKβのサテライトピークがコバルトの特性X線波長に重なること、付着量が微量であること、等の理由で適用が難しく、コバルト付着量の管理をオンライン(非破壊)で行うことは困難と推定されてきた。サテライトピークとは、ある特性X線に付随して検出される微少ピークで、定性分析上の特殊であるが留意すべき点とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
耐黒変色性の溶融亜鉛系めっき鋼板を提供するには、コバルト付着量を一定の範囲に保持する必要がある。しかし、化学分析法は時間を要するため、ライン製造時に並行して対応することは難しく、最初に設定された一定の製造条件で行われてきた。実際のコバルト付着量が瞬時に判れば、より良好な製造条件にコントロールすることができ、品質が安定することになる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、蛍光X線分析を適用した結果、コバルトの特性X線波長検出角度のみでなく、FeKβ域も含めた波長を測定したスペクトルによって、微量のコバルトも迅速に測定できることを見出し、そのスペクトルについて鋭意検討することによって完成されたものである。蛍光X線分析によるコバルト付着量の迅速な非破壊測定が可能となったことから、オンラインでコバルト塩水溶液の濃度、噴霧量、噴霧圧力等を適宜調整し、コバルト付着量を制御することができる。
【0007】
本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色防止処理皮膜付着量制御方法は、付着量を調整した溶融めっき直後の溶融亜鉛系めっき鋼板表面にコバルト塩水溶液を噴霧して、めっき層の黒変色防止処理皮膜を形成する際に、蛍光X線分析でコバルト特性X線波長検出角度のバックグランドとして、亜鉛系めっき付着量から換算した既知の値、あるいは、FeKβ強度から算出される値を用いてコバルト付着量を迅速に測定し、コバルト塩水溶液の濃度、噴霧量、噴霧圧力を適宜調整することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
通常、蛍光X線で亜鉛めっき付着量を測定する場合、亜鉛特性X線(ZnKα)波長の検出強度から換算して求めている。この手法によれば、精度よく秒単位の迅速な測定が可能である。しかし、コバルトに適用すると、コバルトのピークがFeKβピークの減衰域にあること、FeKβのサテライトピークが現れることから、コバルト単独のピーク強度にならない。また、コバルト量が微量であると単純に強度と付着量の相関が得られない。
【0009】
コバルト付着量を測定する具体的な手法は、Rh管球で2θの角度が50〜55度のスペクトルを出し、そのピークを微分処理して強度をカウントすることにより、FeKβの影響を取り除いた形のコバルト強度が検出できることが判った。ただし、このFeKβ線も含めてスペクトルをとるには分単位の時間を要し、精度を向上するには10分以上の測定が必要となる。ライン製造中にコバルト付着量を制御するには、秒単位で測定し直ちにフィードバックしなければならない。したがって、スペクトルの微分処理で時間が掛かり、オンラインでの対応は困難であった。
【0010】
コバルト付着量を秒単位で測定するには、ある範囲の測定波長域を連続して測定する方法ではなく、ある定められた数点あるいは1点で判明させる必要がある。可能性について種々検討した結果、特性X線波長検出角度での強度から数十m/分以上で操業されるめっきラインでのコバルト付着量管理が容易となった。コバルトのバックグランド領域の強度にはめっき付着量が影響し、その付着量が一定以上であると、バックグランド強度も一定の値を示すが、その一定値までにFeKβ強度と相関性があることが判った。ZnKαあるいはZnKβが、亜鉛付着量と相関性のあることは、従来法で明らかであるが、FeKβ強度との相関性は不明であった。また、FeKβピークの端部に相当するコバルト特性X線波長検出角度でのバックグランドに相当する強度及びサテライトピークの影響については定かでなかった。
【0011】
コバルト特性X線波長検出角度でのバックグランド強度が定まれば、当該角度での強度を測定し、バックグランド強度を差し引いたコバルト強度としてその強度と付着量の相関によりコバルト付着量が求められる。亜鉛付着量とコバルト特性X線波長検出角度でのバックグランド強度との相関性の有無について調査したところ、よく対応することを見出した。亜鉛付着量が未知でもスペクトル全体でなく、コバルト特性X線波長検出角度近傍の数点の検出角度で測定し、この強度からバックグランドを求められることが判った。この方法は、コバルト特性X線波長検出角度以外の測定も行うため、1点測定に比べ、時間を要するがめっき付着量測定場所とコバルト測定場所が離れ、かつ、めっき付着量に変動がある場合、秒単位の測定でありコバルト測定場所でのバックグランドが定まるため、精度は向上する。極微量で、かつ狭い制御範囲を押さえたい時には有効な方法である。
【0012】
測定の結果、コバルト付着量が所定の範囲に到達しない場合、コバルト塩水溶液の噴霧圧力を上げ、噴霧量を増加する、あるいはコバルト塩水溶液のコバルト濃度を高くする等の方法でコバルト付着量を増加させることができる。逆にコバルト付着量が多過ぎる場合も同様の方法でコントロールすることができる。コバルト付着量を制御するためのコバルト塩水溶液の噴霧条件は各要因の単独または複合で行ってもよい。
【0013】
【実施例】
以下、実施例について説明する。
図1は亜鉛めっきなしの鋼板のFeKβスペクトルを示す。図2は亜鉛付着量が230g/m2のめっき鋼板にコバルトが6.5mg/m2付着した試料のコバルトのスペクトルを示す。FeKβのスペクトルのサテライトがコバルトの検出波長域に重なる領域に現れることが判る。このサテライトピーク強度はスペクトルがなだらかに減衰したカーブより約700cps程度大となっている。この強度は図2に示したピーク強度に近くかなり大きい。
【0014】
次に、めっき鋼板表面に存在する場合のサテライトピークについて調べた。その結果、サテライトピークはめっき付着量が増大するほど低下することが判った。図3にめっき付着量が110g/m2でコバルトが付着していない状態のスペクトルを示す。ピークの減衰カーブにはサテライトの影響が認められる。しかし、その強度はめっきなしの状態に比べると低くなり、約100cps程度と読み取れる。同様のめっき付着量でコバルトが付着している試料のスペクトルを図4に示す。
【0015】
スペクトルを微分処理する場合には、サテライトの位置が完全にコバルトのピークと重なる訳ではなく、サテライトピークがコバルトのピークより低角度から始まっているため、補正され、正味のコバルト強度が読み取れる。しかし、本発明の数点あるいは1点測定の場合には、このバックグランドに与える影響を取り除くように補正する必要がある。めっき付着量が変化すると、鋼板からのスペクトルであるFeKβの強度が変化するのに伴い、FeKβピークの減衰部に存在するコバルトピークのバックグランド強度も変化することが考えられ、これについて調べた。
【0016】
めっき付着量の多い図2のコバルトスペクトルのベースラインは3000cps以下であるのに対し、めっき付着量の少ない図4では同ベースラインが3000cpsを上回る。1点あるいは数点測定の場合、バックグランドの処置が必要なことは明らかである。コバルト検出波長域のバックグランドは、めっき付着量によりFeKβピークの減衰部全体の強度が変化し、さらにサテライトピークの影響も変化することが判った。
【0017】
コバルトが付着していない純亜鉛板のコバルト波長域の測定スペクトルを図5に示す。鋼板の存在しない亜鉛単独のコバルト特性X線波長検出角度でのバックグランド強度は約2700cpsで、めっき付着量が240g/m2の厚めっきの場合、図2に示したように、そのバックグランドは亜鉛単独と同様になっていることが判る。したがって、ある一定以上のめっき付着量を有すると、コバルト特性X線波長検出角度でのバックグランドは一定の値となる。また、サテライトの影響もめっき付着量の増加とともに減少し、めっき付着量とコバルト特性X線波長検出角度でのバックグランドとの関係を調べたところ、図6に示す関係が得られた。
【0018】
図6から、めっき付着量が増大するに従い、バックグランドは減少し、めっき付着量が170g/m2以上で一定の値を示すことが判明した。これにより、コバルト特性X線波長検出角度の強度が測定されれば、めっき付着量が既知の場合、バックグランド値が読み取れ、コバルトとしての強度が計算される。事前に得られたコバルト強度とコバルト付着量との関係から、コバルト付着量が求められる。このように求めた実測例を図7に示す。
【0019】
めっき付着量が未知の場合、バックグランドを亜鉛付着量やFeKβ強度から換算する方法でなく、コバルト特性X線波長検出角度とその近傍の数点を測定し、バックグランドカーブの近似式を求め、コバルト特性X線波長検出角度を代入してバックグランドを算出することにより、迅速にコバルト付着量が測定できる。測定例を図8に示すが、各種の試料について調べたところ、スペクトル全体の角度を走査させて測定するのではなく、FeKβの減衰域の4点程度を測定することで、減衰域の関係式が導き出される。図8に示した角度52.4,53.5,54.0,54.5度の4点の強度から、減衰域のカーブが相関係数0.998の2次式で近似した。コバルト波長検出角度52.775をこの相関式に代入することで、コバルト波長検出角度におけるバックグランドを決定でき、次いでコバルト検出角度の強度を測定すれば、測定点はスペクトルに比べ、格段に減ずることができ、しかもコバルトの強度と付着量の関係のみ判れば、コバルト付着量を求めることができる。
【0020】
図8に示した例以外でも良好な相関係数で、FeKβの減衰域の近似式を求めることができた。数点の測定を必要とするが、秒単位の測定でスペクトル全体の測定と比較すると測定時間は短縮され、めっき操業中に対応できるコバルト付着量測定が可能である。しかし、バックグランドとの区別を明確にするには、コバルト波長検出角度の±0.5度以上とし、コバルトピークに掛からないようにしなければならない。コバルト付着量が判明した後の制御は、事前に噴霧圧力とその付着量の増減比率や濃度との関係を確認し、増減を図ればよい。
【0021】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色防止処理皮膜付着量制御方法により、コバルト付着量をオンラインで適正範囲に制御でき、製品外観がより良好な状態に保てるようになる。過剰にコバルトを付着させることは、コスト的にデメリットなだけでなく、その上に後塗装する場合等で悪影響を及ぼし、良好な塗膜密着性が得られないことがあるが、そのような弊害もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板のFeKβ測定結果
【図2】コバルト付着材(厚目付めっき鋼板)のコバルト測定結果
【図3】コバルト無付着材(薄目付めっき鋼板)のコバルト測定結果
【図4】コバルト付着材(薄目付めっき鋼板)のコバルト測定結果
【図5】亜鉛板のFeKβ測定結果
【図6】めっき付着量とコバルト特性X線波長検出角度における
バックグランド強度
【図7】コバルト付着量とコバルト強度の関係
【図8】バックグランドの近似式例
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色化を防止するために、溶融めっき直後にコバルト塩水溶液を噴霧する条件を、蛍光X線分析でコバルト量を迅速に測定することから適宜調整する溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色防止処理皮膜付着量制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
建材、家電の他各種の分野で溶融亜鉛系めっき鋼板が使用されているが、高温湿潤環境化におくと、めっき表面が黒変色化することがある。亜鉛系めっき鋼板に通常認められる白錆とは外観が異なるが、この皮膜は薄い酸化皮膜であり、美麗な外観が要求される用途に対しては、その外観が損なわれることから、この黒変色化を防止しなければならない。
【0003】
黒変色化防止策の一つとして、めっき直後にコバルト塩水溶液を噴霧し、コバルトをめっき表面に存在させる方法が採られている。コバルト付着量は数mg/m2の微量でも有効であり、めっき鋼板の加工性や耐食性に悪影響を与えることはない。めっき表面に付着したコバルトの黒変色防止メカニズムは不明であるが、溶融亜鉛系めっきの最終凝固過程時に噴霧処理され、コバルト付着量が微量でも有効であることから、最外表層である酸化皮膜中に微量存在することで、その酸化皮膜の成長速度を低下させ、事実上、黒変色化が生じない程度に進行を遅延し、有効性が発揮されるものと推定される。
【0004】
コバルト付着量の測定は、試料を溶解して、原子吸光分析や高周波プラズマ誘導発光分析法等の化学分析で行われてきた。迅速分析の観点から、めっき付着量の測定に広く用いられる蛍光X線分析法も考えられたが、コバルトの特性X線波長検出角度は、めっき原板のFeKβ線の領域にかかること、FeKβのサテライトピークがコバルトの特性X線波長に重なること、付着量が微量であること、等の理由で適用が難しく、コバルト付着量の管理をオンライン(非破壊)で行うことは困難と推定されてきた。サテライトピークとは、ある特性X線に付随して検出される微少ピークで、定性分析上の特殊であるが留意すべき点とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
耐黒変色性の溶融亜鉛系めっき鋼板を提供するには、コバルト付着量を一定の範囲に保持する必要がある。しかし、化学分析法は時間を要するため、ライン製造時に並行して対応することは難しく、最初に設定された一定の製造条件で行われてきた。実際のコバルト付着量が瞬時に判れば、より良好な製造条件にコントロールすることができ、品質が安定することになる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、蛍光X線分析を適用した結果、コバルトの特性X線波長検出角度のみでなく、FeKβ域も含めた波長を測定したスペクトルによって、微量のコバルトも迅速に測定できることを見出し、そのスペクトルについて鋭意検討することによって完成されたものである。蛍光X線分析によるコバルト付着量の迅速な非破壊測定が可能となったことから、オンラインでコバルト塩水溶液の濃度、噴霧量、噴霧圧力等を適宜調整し、コバルト付着量を制御することができる。
【0007】
本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色防止処理皮膜付着量制御方法は、付着量を調整した溶融めっき直後の溶融亜鉛系めっき鋼板表面にコバルト塩水溶液を噴霧して、めっき層の黒変色防止処理皮膜を形成する際に、蛍光X線分析でコバルト特性X線波長検出角度のバックグランドとして、亜鉛系めっき付着量から換算した既知の値、あるいは、FeKβ強度から算出される値を用いてコバルト付着量を迅速に測定し、コバルト塩水溶液の濃度、噴霧量、噴霧圧力を適宜調整することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
通常、蛍光X線で亜鉛めっき付着量を測定する場合、亜鉛特性X線(ZnKα)波長の検出強度から換算して求めている。この手法によれば、精度よく秒単位の迅速な測定が可能である。しかし、コバルトに適用すると、コバルトのピークがFeKβピークの減衰域にあること、FeKβのサテライトピークが現れることから、コバルト単独のピーク強度にならない。また、コバルト量が微量であると単純に強度と付着量の相関が得られない。
【0009】
コバルト付着量を測定する具体的な手法は、Rh管球で2θの角度が50〜55度のスペクトルを出し、そのピークを微分処理して強度をカウントすることにより、FeKβの影響を取り除いた形のコバルト強度が検出できることが判った。ただし、このFeKβ線も含めてスペクトルをとるには分単位の時間を要し、精度を向上するには10分以上の測定が必要となる。ライン製造中にコバルト付着量を制御するには、秒単位で測定し直ちにフィードバックしなければならない。したがって、スペクトルの微分処理で時間が掛かり、オンラインでの対応は困難であった。
【0010】
コバルト付着量を秒単位で測定するには、ある範囲の測定波長域を連続して測定する方法ではなく、ある定められた数点あるいは1点で判明させる必要がある。可能性について種々検討した結果、特性X線波長検出角度での強度から数十m/分以上で操業されるめっきラインでのコバルト付着量管理が容易となった。コバルトのバックグランド領域の強度にはめっき付着量が影響し、その付着量が一定以上であると、バックグランド強度も一定の値を示すが、その一定値までにFeKβ強度と相関性があることが判った。ZnKαあるいはZnKβが、亜鉛付着量と相関性のあることは、従来法で明らかであるが、FeKβ強度との相関性は不明であった。また、FeKβピークの端部に相当するコバルト特性X線波長検出角度でのバックグランドに相当する強度及びサテライトピークの影響については定かでなかった。
【0011】
コバルト特性X線波長検出角度でのバックグランド強度が定まれば、当該角度での強度を測定し、バックグランド強度を差し引いたコバルト強度としてその強度と付着量の相関によりコバルト付着量が求められる。亜鉛付着量とコバルト特性X線波長検出角度でのバックグランド強度との相関性の有無について調査したところ、よく対応することを見出した。亜鉛付着量が未知でもスペクトル全体でなく、コバルト特性X線波長検出角度近傍の数点の検出角度で測定し、この強度からバックグランドを求められることが判った。この方法は、コバルト特性X線波長検出角度以外の測定も行うため、1点測定に比べ、時間を要するがめっき付着量測定場所とコバルト測定場所が離れ、かつ、めっき付着量に変動がある場合、秒単位の測定でありコバルト測定場所でのバックグランドが定まるため、精度は向上する。極微量で、かつ狭い制御範囲を押さえたい時には有効な方法である。
【0012】
測定の結果、コバルト付着量が所定の範囲に到達しない場合、コバルト塩水溶液の噴霧圧力を上げ、噴霧量を増加する、あるいはコバルト塩水溶液のコバルト濃度を高くする等の方法でコバルト付着量を増加させることができる。逆にコバルト付着量が多過ぎる場合も同様の方法でコントロールすることができる。コバルト付着量を制御するためのコバルト塩水溶液の噴霧条件は各要因の単独または複合で行ってもよい。
【0013】
【実施例】
以下、実施例について説明する。
図1は亜鉛めっきなしの鋼板のFeKβスペクトルを示す。図2は亜鉛付着量が230g/m2のめっき鋼板にコバルトが6.5mg/m2付着した試料のコバルトのスペクトルを示す。FeKβのスペクトルのサテライトがコバルトの検出波長域に重なる領域に現れることが判る。このサテライトピーク強度はスペクトルがなだらかに減衰したカーブより約700cps程度大となっている。この強度は図2に示したピーク強度に近くかなり大きい。
【0014】
次に、めっき鋼板表面に存在する場合のサテライトピークについて調べた。その結果、サテライトピークはめっき付着量が増大するほど低下することが判った。図3にめっき付着量が110g/m2でコバルトが付着していない状態のスペクトルを示す。ピークの減衰カーブにはサテライトの影響が認められる。しかし、その強度はめっきなしの状態に比べると低くなり、約100cps程度と読み取れる。同様のめっき付着量でコバルトが付着している試料のスペクトルを図4に示す。
【0015】
スペクトルを微分処理する場合には、サテライトの位置が完全にコバルトのピークと重なる訳ではなく、サテライトピークがコバルトのピークより低角度から始まっているため、補正され、正味のコバルト強度が読み取れる。しかし、本発明の数点あるいは1点測定の場合には、このバックグランドに与える影響を取り除くように補正する必要がある。めっき付着量が変化すると、鋼板からのスペクトルであるFeKβの強度が変化するのに伴い、FeKβピークの減衰部に存在するコバルトピークのバックグランド強度も変化することが考えられ、これについて調べた。
【0016】
めっき付着量の多い図2のコバルトスペクトルのベースラインは3000cps以下であるのに対し、めっき付着量の少ない図4では同ベースラインが3000cpsを上回る。1点あるいは数点測定の場合、バックグランドの処置が必要なことは明らかである。コバルト検出波長域のバックグランドは、めっき付着量によりFeKβピークの減衰部全体の強度が変化し、さらにサテライトピークの影響も変化することが判った。
【0017】
コバルトが付着していない純亜鉛板のコバルト波長域の測定スペクトルを図5に示す。鋼板の存在しない亜鉛単独のコバルト特性X線波長検出角度でのバックグランド強度は約2700cpsで、めっき付着量が240g/m2の厚めっきの場合、図2に示したように、そのバックグランドは亜鉛単独と同様になっていることが判る。したがって、ある一定以上のめっき付着量を有すると、コバルト特性X線波長検出角度でのバックグランドは一定の値となる。また、サテライトの影響もめっき付着量の増加とともに減少し、めっき付着量とコバルト特性X線波長検出角度でのバックグランドとの関係を調べたところ、図6に示す関係が得られた。
【0018】
図6から、めっき付着量が増大するに従い、バックグランドは減少し、めっき付着量が170g/m2以上で一定の値を示すことが判明した。これにより、コバルト特性X線波長検出角度の強度が測定されれば、めっき付着量が既知の場合、バックグランド値が読み取れ、コバルトとしての強度が計算される。事前に得られたコバルト強度とコバルト付着量との関係から、コバルト付着量が求められる。このように求めた実測例を図7に示す。
【0019】
めっき付着量が未知の場合、バックグランドを亜鉛付着量やFeKβ強度から換算する方法でなく、コバルト特性X線波長検出角度とその近傍の数点を測定し、バックグランドカーブの近似式を求め、コバルト特性X線波長検出角度を代入してバックグランドを算出することにより、迅速にコバルト付着量が測定できる。測定例を図8に示すが、各種の試料について調べたところ、スペクトル全体の角度を走査させて測定するのではなく、FeKβの減衰域の4点程度を測定することで、減衰域の関係式が導き出される。図8に示した角度52.4,53.5,54.0,54.5度の4点の強度から、減衰域のカーブが相関係数0.998の2次式で近似した。コバルト波長検出角度52.775をこの相関式に代入することで、コバルト波長検出角度におけるバックグランドを決定でき、次いでコバルト検出角度の強度を測定すれば、測定点はスペクトルに比べ、格段に減ずることができ、しかもコバルトの強度と付着量の関係のみ判れば、コバルト付着量を求めることができる。
【0020】
図8に示した例以外でも良好な相関係数で、FeKβの減衰域の近似式を求めることができた。数点の測定を必要とするが、秒単位の測定でスペクトル全体の測定と比較すると測定時間は短縮され、めっき操業中に対応できるコバルト付着量測定が可能である。しかし、バックグランドとの区別を明確にするには、コバルト波長検出角度の±0.5度以上とし、コバルトピークに掛からないようにしなければならない。コバルト付着量が判明した後の制御は、事前に噴霧圧力とその付着量の増減比率や濃度との関係を確認し、増減を図ればよい。
【0021】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色防止処理皮膜付着量制御方法により、コバルト付着量をオンラインで適正範囲に制御でき、製品外観がより良好な状態に保てるようになる。過剰にコバルトを付着させることは、コスト的にデメリットなだけでなく、その上に後塗装する場合等で悪影響を及ぼし、良好な塗膜密着性が得られないことがあるが、そのような弊害もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板のFeKβ測定結果
【図2】コバルト付着材(厚目付めっき鋼板)のコバルト測定結果
【図3】コバルト無付着材(薄目付めっき鋼板)のコバルト測定結果
【図4】コバルト付着材(薄目付めっき鋼板)のコバルト測定結果
【図5】亜鉛板のFeKβ測定結果
【図6】めっき付着量とコバルト特性X線波長検出角度における
バックグランド強度
【図7】コバルト付着量とコバルト強度の関係
【図8】バックグランドの近似式例
Claims (1)
- 付着量を調整した溶融めっき直後の溶融亜鉛系めっき鋼板表面にコバルト塩水溶液を噴霧して、めっき層の黒変色防止処理皮膜を形成する際に、蛍光X線分析でコバルト特性X線波長検出角度のバックグランドとして、亜鉛系めっき付着量から換算した既知の値、あるいは、FeKβ強度から算出される値を用いてコバルト付着量を迅速に測定し、コバルト塩水溶液の濃度、噴霧量、噴霧圧力を適宜調整することを特徴とする溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色防止処理皮膜付着量制御方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002172386A JP2004018894A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色防止処理皮膜付着量制御方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
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| JP2004018894A true JP2004018894A (ja) | 2004-01-22 |
Family
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Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002172386A Withdrawn JP2004018894A (ja) | 2002-06-13 | 2002-06-13 | 溶融亜鉛系めっき鋼板の黒変色防止処理皮膜付着量制御方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004018894A (ja) |
-
2002
- 2002-06-13 JP JP2002172386A patent/JP2004018894A/ja not_active Withdrawn
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