JP2004058634A - 替刃式鑿及び替刃 - Google Patents

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Hiroshi Kawai
河合 博史
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Abstract

【課題】鑿本体と替刃の間に微細な削り木屑が全く挟まるおそれがなく、快適に切削作業を行うことができ、プロの大工職人が使用することができる替刃式鑿及び替刃を提供する。
【解決手段】木工用の平鑿の鑿本体1の刃裏部に片刃の平板状替刃3を着脱自在に装着した替刃式鑿5において、該替刃3の刃表平面10と刃先傾斜面9の境界線である鎬線11に沿って、該刃表平面10から段状に、該鎬線11から該替刃3のみね部13まで一定深さに切削して、該鎬線11に沿って段部12を形成し、該段部12を蟻状に形成して段部12の立上がり面14が該刃表平面10に対し鋭角をなすように形成すると共に、該鑿本体1の刃裏部に該替刃3を嵌着するための該替刃3と略同形の凹部8を設け、該替刃3の該段部12の立ち上がり面14に当接する鑿本体1の先端部17を該替刃3の該立ち上がり面14に密着する角度に形成したことを特徴とする替刃式鑿及びこれに用いる替刃。
【選択図】    図9

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は叩き鑿又は押し鑿等の平鑿の刃先を交換可能な替刃とした、替刃式鑿及びこれに用いる替刃に関する。
【0002】
【従来の技術】
替刃式鉋は特公平5−30601号等に開示され、現在広く用いられている。又従来の通常の木工用鑿は切れ味が鈍ると大工職人等の作業者が自らその鑿の刃を砥石で研ぐ必要があり、その研ぎには熟練した技能が必要であり、又熟練者でも長時間を要し、鑿の刃を研ぐためにかなりの時間と労力を要するという欠点があった。そこで、替刃式鉋と同様に刃先を替刃式とした替刃式鑿が提案され、意匠登録第882623号として開示されている。
【0003】
上記意匠登録第882623に開示された替刃式鑿は、図1の正面図、図2の平面図、図3の底面図、図4のA−A断面図に示すように、鑿本体1の刃裏面2に片刃平板状替刃3を嵌合装着し2本の雄ねじ4で固着してなる。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の替刃式鑿は一応製品として完成され、本願出願人が製造、販売しているものであるが、これを実際に使用すると、切削作業中に替刃と鑿本体の間に極めて微細な木の削り屑が挟まり、一旦微細な木屑が挟まると鑿の切れ味が極端に低下して快適に切削作業を行うことが困難であり、従来の替刃式鑿はプロの大工職人が使用する実用的な替刃式鑿としては、充分に使用に耐えるものではなかった。
【0005】
従って本発明は替刃式鑿において、鑿本体と替刃の間に微細な削り木屑が全く挟まるおそれがなく、快適に切削作業を行うことができ、プロの大工職人が使用することができる替刃式鑿を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明者は鋭意研究を重ねた結果、叩き鑿等の柄尻を槌等で叩いて切削作業を行うと、槌で鑿の柄尻を叩いた際の衝撃により発生する振動により、鑿本体と替刃の間に瞬間的に微細な隙間を生じ、その隙間に微細な木屑が挟まってしまい、これが鑿の切れ味を損なう原因であることを発見した。従って、鑿を槌で叩いて鑿本体と替刃に衝撃が加わっても、鑿本体と替刃の間に微細な隙間も生じないようにする必要があることが判明した。
【0007】
そこで本願発明者は鑿本体の従来の替刃式鑿において、鑿本体の刃裏面に設けた凹部に嵌合する替刃を従来の単なる片刃平板状替刃でなく、平板状替刃の刃表平面と刃先傾斜面の境界線である鎬線に沿って、該刃表平面から段状に、該鎬線から該替刃のみね部まで一定深さに切削して、該鎬線に沿って段部を形成し、該段部を蟻溝状に形成して段部の立上がり面が該刃表平面に対し鋭角をなすように形成すると共に、鑿本体の刃裏面に替刃がびったりと嵌合する凹部を設けることにより、鑿の柄尻を槌で叩いて刃先を木材に食い込ませた時、その打撃の衝撃で蟻溝状に形成した替刃の立ち上がり面がこれに当接する鑿本体の先端に圧接され、僅かな微小間隙も生ずることがなく、その間隙に微細木屑の嵌入が防止されることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
即ち、本発明は木工用の平鑿の鑿本体の刃裏部に片刃の平板状替刃を着脱自在に装着した替刃式鑿において、該替刃の刃表平面と刃先傾斜面の境界線である鎬線に沿って、該刃表平面から段状に、該鎬線から該替刃のみね部まで一定深さに切削して、該鎬線に沿って段部を形成し、該段部を蟻状に形成して段部の立上がり面が該刃表平面に対し鋭角をなすように形成すると共に、該鑿本体の刃裏部に該替刃を嵌着するための該替刃と略同形の凹部を設け、該替刃の該段部の立ち上がり面に当接する鑿本体の先端部を該替刃の該立ち上がり面に密着する角度に形成したことを特徴とする替刃式鑿を要旨とする。
【0009】
他の本発明は木工用の平鑿の鑿本体の刃裏部に片刃の平板状替刃を着脱自在に装着する替刃式鑿用の替刃において、該替刃の刃表平面と刃先傾斜面の境界線である鎬線に沿って、該刃表平面から段状に、該鎬線から該替刃のみね部まで一定深さに切削して、該鎬線に沿って段部を形成し、該段部を蟻状に形成して段部の立上がり面が該刃表平面に対し鋭角をなすように形成したことを特徴とする替刃式鑿用替刃を要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の内容を図面により詳細に説明する。図5は本発明の替刃式鑿5の一例の平面図、図6は同底面図、図7は同穂先部の一部拡大平面図、図8は同底面図、図9はB−B断面図である。
【0011】
鑿本体1の穂先部6の刃裏7は平面状をなし、その先端部に替刃3を丁度嵌合する凹部8を設ける。替刃3は鋼製平板よりなり、図10及び図11に示す凸字状平面形状を有し、その片面に片刃を設ける。片刃の刃先角θは通常の鑿の刃先角と同様とすることができる。刃先角θで傾斜した刃先傾斜面9と替刃3の刃表平面10との境界線である鎬線11に沿って段部12を設け、鎬線11からみね部13まで替刃3の刃表平面10を一定深さまで切削削除する。替刃3の刃表平面10の階段状削除により、鎬線11に沿って断面三角形状の突起15が残される。段部12の立ち上がり面13は刃表平面10に対して垂直でなく、みね部13側に傾き、刃表平面10と立ち上がり面14のなす角φが90度以下の鋭角に形成されている。その鋭角の角度は特に制限はないが、通常60〜89度が好ましく、80〜89°が更に好ましい。この鋭角の角度が小さ過ぎると鑿の使用時に柄尻24を槌で叩いた時の衝撃が、立ち上がり面14と刃表平面10の鋭角の入り隅に集中して、強い力が加わり過ぎて好ましくない。
【0012】
替刃3の厚みdは特に制限はないが、1.5〜3mm程度が好ましく用いられる。この厚みdが薄すぎると鑿の使用時の打撃による衝撃で替刃3が振動して好ましくなく、一定の厚み以上では使用の強度に影響がなく、替刃3の製造コストが嵩む。
【0013】
刃表平面10の切削深さ、即ち立ち上がり面14の高さhは特に制限はないが、0.3〜1mm程度が選ばれ、0.4〜0.6mmが好ましい。この高さhが大きいと、替刃3の製作の際の切削量が大きくなり、小さいと替刃3の立ち上がり面14と鑿本体1の先端部17との係合面積が小さくなり過ぎて好ましくない。
【0014】
替刃3の刃先16は刃先傾斜面9の傾斜角度を刃先角θに形成し、更にその刃先16の先端部の極めて狭い幅の部分のみを、刃先角θよりも大きな刃先先端角に研磨するのが望ましい。これにより刃先16の強度が増し、替刃3の寿命を延ばすことができる。また刃先角θよりも刃先先端角を大きく研磨することにより、替刃3の製造工程で、刃先傾斜面9を刃先角θに研磨する際には若干粗く研磨しておき、刃先先端部の極めて狭い部分のみを刃先角θよりも若干大きな角度に極めて精密に研磨することにより、替刃3の刃先16の研磨工程の作業能率を高めると同時に、精密研磨により刃先16が研磨できるため、切れ味の極めて優れた替刃3を効率よく生産することができる。
【0015】
替刃3の材質は通常の鑿の刃先の材質と同様の鋼材質であってよいが、高速度鋼等の硬質鋼材を用いてもよい。又替刃3全体を均一な鋼材で形成してもよいし、替刃3の刃先16から刃裏面2に沿う部分のみをより硬質の鋼材で形成してもよい。
【0016】
一方替刃3を嵌合装着する鑿本体1の刃裏7に設ける凹部8は、替刃3の平面形状と同形で、替刃3の厚みdと略同じ深さの凹部8を設ける。鑿本体1の刃表23側の先端部は、通常の鑿と同様に刃先角と略同傾斜の傾斜面21を設け、その先端部は、替刃3の段部12の立ち上がり面14の傾斜角と略等しい鋭角の傾斜角を有する先端傾斜面22とする。先端傾斜面22の高さは立ち上がり面14の高さよりも若干低く形成するのが望ましい。これにより鑿本体1に替刃3を嵌合した際に、替刃3の刃先傾斜面9が鑿本体1の傾斜面21よりも若干突出し、鑿で木材を切削する際に替刃3と鑿本体1の接合部の段違いが切削の障害となることがない。この替刃3の刃先傾斜面9と鑿本体1の傾斜面21の関係が逆になり、鑿本体1の傾斜面21の方が突出すると、鑿による木材の切削の際、その段差が切削の障害となり、円滑な切削作業が不可能となる。
【0017】
また上記のごとく、替刃3を鑿本体1に装着した際に替刃3の刃先傾斜面9の方が若干突出する状態に嵌合しておくと、その段差が替刃3の刃先の一部に刃こぼれが生じたとき、替刃3の刃先を研ぐための研ぎ代となり、替刃3の刃先を少し研いで研削しても、替刃3の刃先傾斜面9と鑿本体1の傾斜面21が同一平面になるまでは替刃3を研ぐことが可能となる。
【0018】
替刃3の平面形状とこれを嵌着する鑿本体1の刃裏7の形状は、鑿本体1に嵌着した替刃3が刃先16に平行な横方向に変位不能に保持するようにした保持手段を備えた形状である必要がある。即ち図10に示す凸字状平面形状の替刃3とこれを嵌合する鑿本体1の刃裏7の、凸字状替刃3の凸字の両側の凹所に嵌合する保持突起18により保持手段が構成され、刃裏7の凹部8に嵌合した替刃3は横方向には全く変位不能に保持される。
【0019】
替刃3の平面形状は図10に示すような凸字状形状である必要はなく、鑿本体1の刃裏7に形成する替刃の横方向の変位を完全に束縛して保持するための保持突起18の形状に合わせて種々形状を採用することができる。図10に示すように、替刃3を凸字状に形成して、凸字の両側の凹み部に嵌合する保持突起18を鑿本体1の刃裏7に形成する方法のほか、例えば替刃3に1又は2個以上の保持用孔を設け、この保持用孔に丁度嵌合する保持突起18を鑿本体1の刃裏7に設けてもよい。いずれの手段であっても、保持突起18とこれに嵌合する替刃3の嵌合部は横方向にはぴったりと変位不能に嵌合すると共に、縦方向には、替刃3を鑿本体1に装着する際に、替刃3を縦方向に摺動して、上記蟻溝状段部12を鑿本体1の先端部にびったりと嵌合させるために、若干縦方向の摺動を許容するように形成する必要がある。
【0020】
替刃3には図10に示すように1または2以上のねじ孔19を設け、鑿本体1の刃裏7のそのねじ孔に対応する位置に雌ねじ孔20を設け皿ビス状の雄ねじ4で替刃3を鑿本体1に締結する。このねじ孔19は雄ねじ4を遊嵌しているので、この雄ねじ4をどんなに強く締結しても、この雄ねじ4による締結のみでは、替刃3を鑿本体1に完全に固定することは不可能であり、上記蟻溝状の段部12と鑿本体1の先端部17との嵌合、及び替刃3の横方向の変位不能の保持手段が必要となる。
【0021】
本発明の替刃式鑿5を用いて木材等に孔穿け作業を行う際、鑿本体1の柄尻24を槌等で叩くと、鑿本体1の先端部17の先端傾斜面22が替刃3の段部12の立ち上がり面14に圧接して、先端傾斜面22と立ち上がり面14がびったりと密着して、鑿本体1の先端部17が蟻溝状の段部12の入り隅に食い込むようにして、槌の衝撃を替刃3に伝えるため、槌による振動によっても、替刃3の立ち上がり面14と鑿本体1の先端部17の先端傾斜面22の間に微小な隙間も全く生ずることがなく、その隙間に木の微細な削り屑が挟まる虞が全くない。従って替刃3と鑿本体1の間に微細な木屑の侵入による、鑿の切れ味の低下が全く生じない。
【0022】
本発明の替刃式鑿はあらゆる種類の平鑿に適用することができ、向待鑿、追入鑿等の叩き鑿、押し鑿等に全て適用可能である。鑿の幅は用途に応じてあらゆる幅の鑿に適用することができる。
【0023】
【発明の効果】
本発明の替刃式鑿によれば、鑿の刃先を研ぐ必要がなく、替刃3を交換して、予め替刃の製造工場で完全に研磨された替刃3を装着するだけで、極めて切れ味の優れた鑿を使用することができ、プロの大工職人でもその作業能率を大幅に高めることができる。
【0024】
従来の替刃式鑿の欠点であった、替刃3と鑿本体1の極めて微小な隙間に、木の削り屑が挟まり、切れ味を損なう虞が全くなく、常に極めて優れた切れ味を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の替刃式鑿の正面図である。
【図2】従来の替刃式鑿の平面図である。
【図3】従来の替刃式鑿の底面図である。
【図4】従来の替刃式鑿のA−A断面図である。
【図5】本発明の替刃式鑿の一例の平面図である。
【図6】本発明の替刃式鑿の一例の底面図である。
【図7】本発明の替刃式鑿の一例の穂先部の一部拡大平面図である。
【図8】本発明の替刃式鑿の一例の穂先部の一部拡大底面図である。
【図9】本発明の替刃式鑿の一例の穂先部の一部拡大B−B断面図である。
【図10】本発明の替刃式鑿に用いる替刃の一例の平面図である。
【図11】本発明の替刃式鑿に用いる替刃の一例のC−C断面図である。
1 鑿本体
2 刃裏面
3 替刃
4 雄ねじ
5 替刃式鑿
6 穂先部
7 刃裏
8 凹部
9 刃先傾斜面
10 刃表平面
11 鎬線
12 段部
13 みね部
14 立ち上がり面
15 突起
16 刃先
17 先端部
18 保持突起
19 ねじ孔
20 雌ねじ孔
21 傾斜面
22 先端傾斜面
23 刃表
24 柄尻

Claims (7)

  1. 木工用の平鑿の鑿本体の刃裏部に片刃の平板状替刃を着脱自在に装着した替刃式鑿において、該替刃の刃表平面と刃先傾斜面の境界線である鎬線に沿って、該刃表平面から段状に、該鎬線から該替刃のみね部まで一定深さに切削して、該鎬線に沿って段部を形成し、該段部を蟻状に形成して段部の立上がり面が該刃表平面に対し鋭角をなすように形成すると共に、該鑿本体の刃裏部に該替刃を嵌着するための該替刃と略同形の凹部を設け、該替刃の該段部の立ち上がり面に当接する鑿本体の先端部を該替刃の該立ち上がり面に密着する角度に形成したことを特徴とする替刃式鑿。
  2. 該段部の立上がり面が該刃表平面に対してなす該鋭角が70〜89度の鋭角である請求項1記載の替刃式鑿。
  3. 該鑿本体に嵌着した該替刃が刃先に平行な横方向に変位不能に保持するようにした保持手段を設けた請求項1又は2記載の替刃式鑿。
  4. 該鑿本体に該替刃をねじで着脱自在に装着した請求項1、2又は3記載の替刃式鑿。
  5. 該鑿本体に該替刃を装着した状態で、該鑿本体の刃先の傾斜面よりも該替刃の刃先傾斜面が若干突出する状態に装着した請求項1、2、3又は4記載の替刃式鑿。
  6. 木工用の平鑿の鑿本体の刃裏部に片刃の平板状替刃を着脱自在に装着する替刃式鑿用の替刃において、該替刃の刃表平面と刃先傾斜面の境界線である鎬線に沿って、該刃表平面から段状に、該鎬線から該替刃のみね部まで一定深さに切削して、該鎬線に沿って段部を形成し、該段部を蟻状に形成して段部の立上がり面が該刃表平面に対し鋭角をなすように形成したことを特徴とする替刃式鑿用替刃。
  7. 該段部の立上がり面が該刃表平面に対してなす該鋭角が70〜89度の鋭角である請求項6記載の替刃式鑿用替刃。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107030813A (zh) * 2017-05-09 2017-08-11 宁波天工凌屹工具有限公司 木凿刀

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