JP2004108659A - 建物の冷房運転方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ビルなどの建物の冷房運転において、通常の空調制御装置以外の特別な制御装置を必要とすることなく、室内空気の不快指数とエンタルピーとを考慮した、省エネルギーと快適性を満足するあらたな運転方法を提供する。
【解決手段】ビル管理法によって定められている相対湿度の範囲内のもとで、室内の不快指数を多数の人が不快と感じる不快指数のレベルより低く、かつ室内空気のエンタルピーを省エネルギー効果のあるレベル以上とする条件のもとで、空調装置を運転することにより、複雑、高価な専用の制御装置を用いることなく、通常の空調用制御装置を用いて、省エネルギーと快適性を両立させた空調制御ができる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は快適な室内環境でかつ省エネルギーである条件のもとで建物の冷房を行う冷房運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保護の立場から省エネルギー、とりわけ省電力が重要となってきており、とくに年間を通じて使用電力がピークとなる夏期の冷房用電力の節減が重要になってきている。そのための機器の改良も行われているが、それにもまして実際の冷房運転方法において消費電力を低減するような冷房条件を設定することが望まれている。
【0003】
従来、夏期の冷房時に消費電力を節減するために、冷房の設定温度を高めに設定することが推奨されている。これは、たとえば室温を25℃に設定するよりも28℃に設定するほうが、消費電力が少なくなるという考え方によるものである。しかし、このようにたんに設定温度を高くするだけでは、不快指数が高まって快適な室内環境を保つことができないので、設定温度を高めるということが実行されにくい、というのが実情である。
【0004】
通常の空気調和装置は、送風運転、除湿運転、冷房運転の切換や、設定温度、設定風量の調節が可能なように構成されており、空調機の使用者によって室内を好みの環境に設定することが比較的容易にできるようになっている。このため、省電力の要請に沿うべく設定温度を高めに設定して冷房運転をしていても、室内温度が上昇して不快指数が高くなってくると不快感が増し、室内環境を快適にしようと簡単に設定温度を下げてしまう、ということになりやすい。
【0005】
日本の夏は湿度が高いことと相まって不快指数が高い。一般に不快指数が75を超えると大多数の人が不快と感じるため、冷房の設定温度を28℃とすると、相対湿度が45%程度以下でないと不快と感じる。多くの人が快適と感じるのは不快指数が72以下のときであり、通常の冷房条件の場合の室内の相対湿度は60〜70%であるので、この湿度のときに不快指数が72程度となるための設定温度は24〜25℃となる。したがって、設定温度を28℃とすることは相当な我慢を必要とすることである。
【0006】
それに加えて、高くなった不快指数を下げるために設定温度を低くしても、快適な室内環境になるまでには時間がかかり、その間、不快感が続くという問題点がある。この点に関しては、改良された空調装置として、たとえば、室内温度検出手段と室内湿度検出手段の検出値に基づいて不快指数を算出する不快指数演算手段と、この算出された不快指数が所定値を超えた場合には室温と設定温度との温度差および算出不快指数の度合に応じて、不快指数を抑えるように空調機を送風、除湿または冷房の弱、中、強に切り換えて、不快感を速やかに解消し、室内を快適環境に維持することができるようにした空調装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
またたとえば、省エネルギー性と快適性の得られる空調システムとして、熱交換換気と熱交換を伴わない普通換気とを行うことができる換気装置と、室内空気の循環により空調雰囲気にすることができる空調装置とを、換気装置の室内へ取り入れる外気が空調装置の室内気の吸い込み側に向かうように配置して換気機能と空調機能が関連性をもつ換気空調手段を構成し、換気空調手段を制御手段により、室外温度と室外湿度とから室外空気エンタルピーと、室内温度と室内湿度とから室内空気エンタルピーとを算出し、空調装置の冷房運転に際しては、室外空気エンタルピーが室内空気エンタルピーより低い場合には、換気装置を普通換気で運転させ、室内に取り入れる外気を空調装置で除湿冷却して室内に送風させるように制御し、室外空気エンタルピーが室内空気エンタルピーより高い場合には、換気装置を熱交換換気で運転させ、室内に取り入れる外気を空調装置で除湿冷却して室内に送風させるように制御する空調システムが提案されている(特許文献2参照)。
【0008】
また同様に、省エネルギーを考慮した空調制御装置として、温度および湿度で示される快適範囲内の目標温度および目標湿度へ室内の温度および湿度を移行させるよう加湿運転、加熱運転、除湿運転および冷却運転のうち少なくとも1つを空調装置に対して指示する空調制御装置として、快適範囲に室内の温度および湿度を移行させる場合、加湿運転、加熱運転、除湿運転および冷却運転のそれぞれの運転形態におけるエネルギー効率を考慮して空調装置の運転負荷が最も少なくなるように目標温度および目標湿度を設定するよう構成された空調制御装置が提案されている(特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−180137号公報(段落番号0007〜0008,0017〜0018)
【特許文献2】
特開2002−71184号公報(請求項3)
【特許文献3】
特開平11−108418号公報(請求項1)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載の空調装置では、たとえば、冷房運転中にあっても、室内の湿度の上昇によって不快指数が上がった場合、つまり室温と設定温度との温度差がゼロ、あるいは負方向に小さく、不快指数が75に達した場合、除湿運転が行われ、室内の湿度が下げられる。また、除湿運転中にあっても、室温の上昇によって不快指数が上がった場合、つまり室温と設定温度との温度差が正方向に小さく、不快指数が75に達した場合冷房運転が行われ、さらに室温と設定温度との温度差が正方向に大きく、不快指数が75以上である場合、冷房運転がより強く行われ、室温だけでなく、室内の湿度が下げられる。しかし、この空調装置における運転制御は、不快指数を抑えることを主眼としており、省エネルギーの面では効果は期待できない。
【0011】
また特許文献2に記載の空調システムでは、温度だけで熱を測り、これに基づいて制御する従来の方法では快適性と省エネルギー性を発揮できないことがあることから、エンタルピーの概念を導入し、室外空気エンタルピーと室内空気エンタルピーとの比較のもとで換気装置の運転を切り換えるようにしたものである。しかし、このシステムにおける運転制御は、エンタルピーの概念を導入したことにより熱の強さを的確に測定することができるという点に関しては従来の制御よりは優れているが、不快指数、すなわち実際に人が感じる不快さ加減が考慮されていないことから、快適性に関してはあまり期待できない。
【0012】
また特許文献3に記載の空調制御装置では、加湿運転、加熱運転、除湿運転および冷却運転の4つの運転形態のそれぞれのエネルギー効率を考え、空調装置の運転負荷が最も少なくなるように目標温度および目標湿度を決定することにより、快適な空調を実現するだけでなく、省エネルギー化が実現される。しかし、この制御装置は、高度な制御を行うために制御装置が複雑で高価な専用装置となり、運転者にも高度な専門知識を要することから、通常のビルなどに導入するには困難が伴う。
【0013】
本発明は、ビルなどの建物の冷房運転において、通常の空調制御装置以外の特別な制御装置を必要とすることなく、室内空気の不快指数とエンタルピーとを考慮した、省エネルギーと快適性を満足するあらたな運転方法を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る建物の冷房運転方法は、室内の相対湿度が、ビル管理法によって定められている相対湿度の範囲内のもとで、冷房の対象となる室内の空気の温度と湿度によって算出される不快指数が、多数の人が不快と感じるレベルより低く、同じ室内の温度と湿度によって算出される室内空気のエンタルピーが、省エネルギー効果のあるレベル以上である条件のもとで、空調装置を運転することを特徴とする。
【0015】
ここで、ビル管理法によって定められている相対湿度とは、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」によって定められている相対湿度のことであり、同法では室内の相対湿度は40〜70%の範囲内と定められている。また、多数の人が不快と感じる不快指数のレベルとは、経験的、統計的に多数の人に受け入れられている不快、快適の境界点を指し、本発明の実施にあたっては、不快指数75を当該レベルとする。なお、より快適な範囲は不快指数72以下である。また、室内空気のエンタルピーが省エネルギー効果のあるレベルとは、室内の温度がいわゆる省エネ推奨温度である28℃で、相対湿度がビル管理法によって定められている最低の相対湿度40%のときの室内空気のエンタルピー算出値12.5kcal/kgを指し、本発明の実施にあたっては、室内の設定温度と設定湿度の組合せにより室内空気のエンタルピーがこのレベル以上となれば、省エネルギー効果があるものとする。
【0016】
不快指数の算出式およびエンタルピーの算出式は、従来いくつかの式が提案されているが、本発明においては、不快指数の算出式は下式を用いる。
不快指数=0.81T+0.01U(0.99T−14.3)+46.3
T:室内の温度
U:室内の相対湿度
また、エンタルピーの算出式は下式を用いる。
エンタルピー=0.24×乾球温度+絶対湿度×(597.3+0.441×乾球温度)
【0017】
ビル管理法によって定められている相対湿度の範囲内のもとで、室内の不快指数を多数の人が不快と感じる不快指数のレベルより低く、かつ室内空気のエンタルピーを省エネルギー効果のあるレベル以上とする条件のもとで、空調装置を運転することにより、複雑、高価な専用の制御装置を用いることなく、通常の空調用制御装置を用いて、省エネルギーと快適性を両立させた空調制御ができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、具体的な実施例に基づいて実施の形態を説明する。
本発明を実施するにあたっては、室内の温度と相対湿度の組合せごとに不快指数とエンタルピーの算出値を表にまとめておき、この表をもとに、相対湿度が40〜70%の範囲内のもとで、室内の不快指数が72〜74の範囲内で、エンタルピーが12.5kcal/kg以上となる温度と相対湿度の組合せの中から、外気の気温、相対湿度や冷房開始前の室内の温度、相対湿度などを考慮して最適な組合せを選択し、この温度と相対湿度をそれぞれ設定温度と設定湿度とし、通常の制御装置を用いて制御する。
【0019】
図1は室内の温度と相対湿度の組合せと不快指数およびエンタルピーの関係を上記算出表をもとにグラフ化した説明図である。同図において横軸は相対湿度、縦軸は温度であり、図中の曲線(a)はエンタルピーが約12.5kcal/kgとなる温度と相対湿度の組合せを表し、曲線(b)、(c)、(d)はそれぞれ不快指数が72、73、74となる温度と相対湿度の組合せを表す。
【0020】
図1のグラフにおいて、曲線(a)の上側の領域はエンタルピーが約12.5kcal/kgよりも大きい領域を示し、下側の領域はエンタルピーが小さい領域を示す。また、曲線(b)、(c)、(d)の上側の領域は不快指数がそれぞれ72、73、74より高い領域を示し、下側の領域は不快指数が低い領域を示す。したがって、同図において曲線(a)の上側の領域で、かつ曲線(b)、(c)、(d)のうちのいずれかの曲線の下側の領域にある温度と相対湿度の組合せを選択して設定すれば、大多数の人が不快を感じることなく、省エネ効果を発揮することができる。
【0021】
室内の相対湿度は、室内の空気または外気を吸引、冷却して空調空気として再び室内に供給する空調機の熱交換器の冷却過程において、使用する冷却媒体としての冷水の温度を室内湿度の検出値に基づいて調節することにより室内に供給する空調空気の湿度を調節することによって、設定湿度に調節することができる。
【0022】
このようにして、冷房時の室内の温度と相対湿度を設定して空調装置を運転することにより、通常の空調用制御装置を用いて、省エネルギーと快適性を両立させた空調制御ができる。たとえば、室内の設定温度を従来の省エネ推奨温度である28℃とした場合、不快指数を75より低くして快適な室内環境にしようとすれば室内の相対湿度を少なくとも44%まで下げなければならないが、この温度と相対湿度の組合せ(図1の×印の点)では室内空気のエンタルピーは約13kcal/kgとなる。これに対し、室内空気のエンタルピーが約13kcal/kgで不快指数が75より低くなる温度と相対湿度の組合せは外にもあり、たとえば温度24.5℃で相対湿度60%の組合せ(図1の○印の点)では不快指数は72より僅かに高い程度であり、設定温度を28℃としたときよりも24.5℃としたときのほうが、快適な室内環境のもとで省エネルギー効果を発揮できることになる。
また、たとえば不快指数が73で相対湿度が60%の条件を選択したとすると、このときの省エネルギー効果が最大となる温度と相対湿度の組合せは図1の△印の点になる。
【0023】
このように、室内空気の不快指数とエンタルピーを考慮して冷房時の室内の温度と相対湿度を設定することにより、快適さと省エネルギー効果を両立させた冷房を行うことができる。
本発明の効果を確認するために、空調延床面積約20,000mの公共施設において、冷房シーズンを通じて本発明の方法による冷房運転を試験的に行った結果、前年の同期間における最大冷熱負荷が5.60GJであったものが本年は4.75GJに減少し、大幅な節減となった。
【0024】
【発明の効果】
ビル管理法によって定められている相対湿度の範囲内のもとで、室内の不快指数を多数の人が不快と感じる不快指数のレベルより低く、かつ室内空気のエンタルピーを省エネルギー効果のあるレベル以上とする条件のもとで、空調装置を運転することにより、複雑、高価な専用の制御装置を用いることなく、通常の空調用制御装置を用いて、省エネルギーと快適性を両立させた空調制御ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】室内の温度と相対湿度の組合せと不快指数およびエンタルピーの関係をグラフ化した説明図である。

Claims (1)

  1. 室内の相対湿度が、ビル管理法によって定められている相対湿度の範囲内のもとで、冷房の対象となる室内の空気の温度と湿度によって算出される不快指数が、多数の人が不快と感じるレベルより低く、同じ室内の温度と湿度によって算出される室内空気のエンタルピーが、省エネルギー効果のあるレベル以上である条件のもとで、空調装置を運転することを特徴とする建物の冷房運転方法。
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