JP2004127980A - 非ハロゲン型難燃性電波吸収体 - Google Patents
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Abstract
【課題】加硫が必要ではなく低コストであり、電波吸収性能が良好で、軽量で施工性に優れ、機械的強度に秀で、かつ、組成物中に実質的にハロゲンを含有しない非ハロゲン型難燃性電波吸収体を提供する。
【解決手段】ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーと、該バインダー100重量部に対して700〜1000重量部の軟磁性金属粒子と、該バインダー100重量部に対して50〜350重量部の非ハロゲン系難燃剤とを含有することを特徴とする非ハロゲン型難燃性電波吸収体。
【選択図】 なし
【解決手段】ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーと、該バインダー100重量部に対して700〜1000重量部の軟磁性金属粒子と、該バインダー100重量部に対して50〜350重量部の非ハロゲン系難燃剤とを含有することを特徴とする非ハロゲン型難燃性電波吸収体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波の遮蔽や吸収のために使用され、難燃性に優れる難燃性電波吸収体に関し、特に5.8GHz付近の電磁波の遮蔽や吸収のために使用され、実質的にハロゲンを含有しない非ハロゲン型難燃性電波吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器からの電磁波の漏洩、外部からの電磁波の侵入、構造物による電磁波の反射等を防止する目的で、様々な電波吸収体が使用されている。
例えば、ETC(高速道路自動料金システム)では、料金所の構造物からの反射ノイズを低減する目的で、また、室内で無線によるデータ通信を行う無線LANでは、通信エラーを低減する目的で、5.8GHz付近の電磁波を吸収できる電波吸収体が使用されている。
【0003】
これらの用途で使用される、5.8GHz付近の電磁波を吸収できる電波吸収体としては、例えば、加硫シリコーンゴムのマトリックス中に、鉄粉(カルボニル鉄の熱分解によって得られる鉄粉)を分散させたシート状の電波吸収体がすでに知られており、実用化されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、この電波吸収体は、製造の際に、シリコーンゴムの加硫工程を必要とするので、製造コストが高いという問題点を有していた。
また、シリコーンゴム中に多量の鉄粉を充填しているので、引張強さ等の機械的強度が十分ではなかった。
【0005】
また、この電波吸収体は、比重の大きい鉄粉を多く配合しているので、電波吸収体自体の重量がかなり重い。例えば、シリコーンゴム100重量部に対して鉄粉が350重量部配合されている。そのため、高速道路の料金所の壁や天井等に電波吸収体のシートを貼り付ける際の施工性が悪くなるという問題を有していた。
【0006】
電波吸収体を軽量化するために、シートを薄くすることが考えられるが、シートを薄くすると必然的に電波吸収量が減少してしまう。また、電波吸収ピークが高周波側にシフトして、5.8GHz付近の電磁波を十分に吸収できなくなるという問題が生じる。すなわち、特定の材料から得られたシートが特定の周波数の電波吸収体となるための厚さ(d)は、下記式の入力インピーダンスZが1を満足するときの値に最適化されることが知られている。
Z=(μr/εr)1/2tanh{j(2π/λ)(εrμr)1/2d}
(式中、εrは材料の誘電率、μrは材料の透磁率、λは入射電磁波の波長である。)
【0007】
この式から、加硫シリコーンゴムのマトリックス中に鉄粉を分散させた材料からなる電波吸収体の最適な厚さを求めると、その厚さは約2.2mmとなる。したがって、この電波吸収体が5.8GHz付近の電磁波を吸収する電波吸収体となるためには、その厚さを2.2mmよりも厚くすることも薄くすることもできない。
【0008】
そこで、本発明者らは、シリコーンゴムに代えて塩素化ポリエチレン等の非加硫のバインダーを使用することにより、上記の欠点を克服した電波吸収体を開発した(特許文献2参照)。
【0009】
さらに本発明者らは、5.8GHz付近の電波吸収性能を損なうことなく、難燃性を向上するために、難燃剤、特に臭素化合物や塩素化合物などのハロゲン系難燃剤を配合した難燃性電波吸収体を開発した(特願2001−365057号)。
【0010】
しかしながら、この難燃性電波吸収体は、バインダーが塩素化ポリエチレンである上にハロゲン系難燃剤を配合しているため、燃焼した際に有害なハロゲン系ガスが発生するおそれがあり、最近では環境問題から、非ハロゲン型難燃性電波吸収体が求められている。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−298187号公報
【特許文献2】
特開2002−50506号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、加硫が必要ではなく低コストであり、電波吸収性能が良好で、軽量で施工性に優れ、機械的強度に秀で、かつ、組成物中に実質的にハロゲンを含有しない非ハロゲン型難燃性電波吸収体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーと、該バインダー100重量部に対して700〜1000重量部の軟磁性金属粒子と、該バインダー100重量部に対して50〜350重量部の非ハロゲン系難燃剤とを含有することを特徴とする。
また、本発明の電波吸収体は、さらに無機充填剤を含有することが望ましい。
【0014】
また、前記非加硫のバインダーは、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)又はこれらの混合物であることが望ましい。
また、前記軟磁性金属粒子は、カルボニル鉄の分解によって生成する鉄粉であることが望ましい。
また、前記難燃剤は、水酸化物系難燃剤であることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の難燃性電波吸収体は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーと、軟磁性金属粒子と、非ハロゲン系難燃剤とを含有するものであり、具体的には、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーのマトリックス中に軟磁性金属粒子と非ハロゲン系難燃剤とが分散されたものである。
【0016】
本発明におけるハロゲンを含有しない非加硫のバインダーとは、一般に電波吸収体に用いられる高分子材料であって、実質的にハロゲンを含有せず、加硫工程を要しないものである。ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーとしては、常温でゴム弾性を示し、高温で可塑化され成形可能な高分子材料が好ましい。
ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレンゴム:スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム:エチレン・アクリル酸メチル等のエチレン・アクリル酸エステル共重合体;ポリアクリル酸エチル等のポリアクリル酸エステル等が挙げられる。また、その他公知のハロゲンを含有しない熱可塑性エラストマーを用いることもできる。これらは単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。これらの中でも、5.8GHz付近の電磁波を吸収できる電波吸収体としたときに、その厚さを比較的薄くでき、引張強さにも優れていることから、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、ポリアクリル酸エステル等のアクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を好適に用いることができる。
【0017】
前記軟磁性金属粒子としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、Fe−Cr−Al、Fe−Si−C、Fe−Si−Al、パーマロイ微粉末等が挙げられる。中でも、カルボニル鉄の分解によって生成する鉄粉が、球状で、非加硫のバインダーとの混練が容易であることから好適に用いられる。軟磁性金属粒子の平均粒径は、特に限定はされないが、好ましくは、100nm〜50μmの範囲である。平均粒径が100nm未満では、バインダーとの混練や、バインダーへの分散が困難になるおそれがある。平均粒径が50μmを超えると、電波吸収体の成形が困難となるおそれがある。
【0018】
軟磁性金属粒子の含有量は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダー100重量部に対して700〜100重量部の範囲であり、さらに好ましくは750〜950重量部の範囲である。る。軟磁性金属粒子の含有量が少なくなると、電波吸収ピークが高周波側に移行する。すなわち、特定の周波数(例えば5.8GHz)における反射減衰量が小さくなる。一方、軟磁性金属粒子の含有量が多くなると、電波吸収ピークが低周波側に移行し、ピーク吸収量も減少する。すなわち、特定の周波数(例えば5.8GHz)における反射減衰量が小さくなる。したがって、軟磁性金属粒子の含有量が上記の範囲内であれば、特定の周波数(例えば5.8GHz)での反射減衰量を電波吸収体として実用的なレベル、具体的には−15dB以下に維持することができる。
【0019】
前記非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物系難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン系難燃剤、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン系難燃剤、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。これらの非ハロゲン系難燃剤は1種でも2種以上を併用して用いてもよい。中でも、水酸化物系難燃剤が好適に用いられる。
【0020】
非ハロゲン系難燃剤の含有量は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダー100重量部に対して50〜350重量部の範囲であり、さらに好ましくは100〜300重量部の範囲である。難燃剤の含有量が少なくなると、得られた電波吸収体の難燃性が不十分となる。一方、難燃剤の含有量が多くなると、バインダーとの混練性が悪くなり、電波吸収体の成形が困難となる。
【0021】
本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体には、軟磁性金属粒子、非ハロゲン系難燃剤以外に、非ハロゲン系無機充填剤を含有させることができる。無機充填剤は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーの加工性を改善するために用いられる。また、非ハロゲン系無機充填剤は、軟磁性金属粒子に較べ比重が小さいので、得られる非ハロゲン型難燃性電波吸収体を軽量化する役割も有している。
このような無機充填剤としては、例えば、ケイ酸、ケイ酸塩、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0022】
非ハロゲン系無機充填剤の含有量は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダー100重量部に対して5〜350重量部の範囲であり、さらに好ましくは10〜300重量部の範囲である。無機充填剤の含有量が多くなると、バインダーとの混練性が悪くなり、電波吸収体の成形が困難となる。
【0023】
また、本発明の難燃性電波吸収体には、公知の添加剤、例えば安定剤、滑剤、増量剤、可塑剤、酸化防止剤等を添加されていてもよい。
【0024】
本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、例えば、以下のようにして製造することができる。所定量のハロゲンを含有しない非加硫のバインダー、軟磁性金属粒子、非ハロゲン系難燃剤、必要に応じて非ハロゲン系無機充填剤、各種添加剤を加圧ニーダー等で混練し、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーのマトリックス中に、軟磁性金属粒子、難燃剤、無機充填剤等を分散させる。この混練物を粉砕機で粉砕した後、圧延ロール等でシート状に圧延成形(カレンダー成形)する。
なお、本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の成形方法としては、圧延成形に限定されるものではなく、プレス成形や押出成形等の公知の成形方法を用いることができる。
【0025】
このようにして製造される本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の厚さは、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーとしてアクリルゴムを用い、軟磁性金属粒子としてアクリルゴム100重量部に対して700〜950重量部のカルボニル鉄の分解によって生成する鉄粉を用いた場合、5.8GHz付近の電磁波を吸収できるようにするためには、約1.9mmとすることが望ましい。この値は、上述の入力インピーダンス(Z)の式から算出される値である。
【0026】
電波吸収体の加工性及び電波吸収性能を高めるためには、各配合成分、特に軟磁性金属粒子、非ハロゲン系難燃剤及び非ハロゲン系無機充填剤の体積%を考慮する必要がある。ここで、体積%は、各配合成分の配合量(重量)を比重で除し、それらの比率を求めたものである。
混練する前の軟磁性金属粒子の体積%は、混練する前の全配合成分に対して30〜45体積%とされることが好ましい。軟磁性金属粒子の体積%がこの範囲をはずれると5.8GHz付近での電磁波吸収性が得られない。
混練する前の非ハロゲン系難燃剤の体積%は、混練する前の全配合成分に対して20〜35体積%とされることが好ましい。難燃剤の体積%がこの範囲をはずれると目標とする難燃性が得られない。
【0027】
また、混練する前のハロゲンを含有しない非加硫のバインダー以外の各配合成分の合計の体積%は、全配合成分に対して70体積%以下とされることが好ましい。この範囲を超えると、電波吸収体の成形が困難となる。
【0028】
本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体によれば、マトリックス用のバインダーとして非加硫のバインダーを用いているので、製造の際の加硫工程が不要となり、製造コストを大幅に削減することができる。また、本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、非加硫のバインダーを用いているので、従来の加硫シリコーンゴムでは不可能だった圧延成形が可能となり、連続シートの製造が可能となる。
また、本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、マトリックス中に分散された配合成分として軟磁性金属粒子以外に、非ハロゲン系難燃剤、必要に応じて非ハロゲン系無機充填剤を含んでいるので、非ハロゲン型難燃性電波吸収体の比重が小さくなり、軽量化することができる。また、5.8GHz付近の非ハロゲン型難燃性電波吸収体として用いる場合、従来の電波吸収体の厚さ(約2.2mm)よりも薄くできるので、さらに軽量化することができる。
また、本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、引張強さにも格段に優れているので、耐久性等を向上することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を詳しく説明する。
<評価内容>
電波吸収体の評価は、以下の項目について行った。
(引張強さ)
電波吸収体の引張強さは、JIS K 6251に準拠して測定した。
(比重)
水中置換法:電波吸収体から3〜5gの試料を切り抜き、空気中及び水中での試料の重量を測定し、下記式を用いて算出した。
比重=[空気中での試料重量]/([空気中での試料重量]−[水中での試料重量])
(電波反射減衰量)
電波吸収体に垂直に入射する0.05〜18GHzの電波の反射減衰量をネットワークアナライザ(ヒューレットパッカード社製)を用いて測定した。測定されたグラフから、5.8GHzにおける電波反射減衰量を求めた。
(難燃性)
UL94による20mm垂直燃焼試験から求めた。
【0030】
[実施例1]
アクリルゴムA(「ベーマックG」、昭和電工・デュポン社製、エチレン−メチルアクリレート共重合体)50重量部、アクリルゴムB(「ノックスタイトPA−312」、NOK社製、エチルアクリレート系重合体)50重量部、鉄粉(カルボニル鉄の分解によって生成する鉄粉「S−1641」、三菱電線工業社製)860重量部、難燃剤A(「キスマ5B」、協和化学工業社製、水酸化マグネシウム)180重量部、安定剤2重量部、及び滑剤2重量部を加圧ニーダーで15分間混練し、この混練物を粉砕機等で粉砕した後、70℃に加熱しながら2本の圧延ロールでシート状に圧延成形し、それぞれ厚さ1.8mm及び1.9mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を得た。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
【0031】
[比較例1]
実施例1と同様にして、厚さ1.5mm及び2.4mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を得た。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
非ハロゲン系難燃剤を省略した以外は実施例と同様にして厚さ1.9mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を製造した。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
【0032】
[比較例3及び4]
各成分の配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして電波吸収体を製造しようとしたが、比較例3の場合非ハロゲン系難燃剤の量が350体積%を超えていたため、比較例4の場合軟磁性金属粉微粒子の量が1000重量部を超えていたため、いずれも成形性が悪くシート状にすることができなかった。
【0033】
[実施例2]
各成分の配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ1.9mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を製造した。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
【0034】
[実施例3]
ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーをNBR(「N222L」、JSR社製)100重量部に変更した以外は実施例1と同様にして厚さ1.9mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を製造した。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
【0035】
[実施例4]
非ハロゲン系難燃剤Aの代わりに非ハロゲン系難燃剤B(「ハイジライトH−21、昭和電工社製、水酸化アルミニウム)を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ1.9mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を製造した。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1〜4の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、いずれも5.8GHzにおいて実用レベルの電波反射減衰量(−15dB以下)を有しており、また、UL94Vによる20mm垂直燃焼試験において、いずれもV−0の難燃性を示した。
比較例1は、シートの厚さが1.7〜2.1mmの範囲外であったため、5.8GHzにおける電波反射減衰量−15dB以下の基準を満足できなかった。
比較例2は、難燃剤を配合していなかったため、UL94HBによる燃焼試験において、燃えてしまった。
比較例3は、混練する前の非ハロゲン系難燃剤が350重量部を超えていたため、シート状に成形できなかった。
比較例4は、軟磁性金属粒子の配合量が1100重量部を超えていたため、シート状に成形できなかった。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーと、該バインダー100重量部に対して700〜1000重量部の軟磁性金属粒子と、該バインダー100重量部に対して50〜350重量部の非ハロゲン系難燃剤とを含有するので、加硫が必要でなく低コストであり、軽量で施工性に優れ、難燃性を有し、機械的強度にも優れる。
【0039】
本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、実質的にハロゲンを含有していないため、燃焼した際に有害なハロゲン系ガスが発生するおそれがなく、環境への負荷を軽減することができる。
【0040】
また、本発明の難燃性電波吸収体が、さらに無機充填剤を含有していれば、製造の際の加工性が向上し、さらに軽量化することができる。
また、前記非加硫のバインダーが、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)又はこれらの混合物であれば、5.8GHz付近の電磁波を吸収できる電波吸収体としたときに、その厚さを比較的薄くでき、また電波吸収体の引張強さをさらに向上できる。
また、前記軟磁性金属粒子が、カルボニル鉄の分解によって生成する鉄粉であれば、製造の際に非加硫のバインダーとの混練が容易になる。
また、前記難燃剤が、水酸化物系難燃剤であれば、製造の際に非加硫のバインダーとの混練が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
【図2】比較例1の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
【図3】比較例2の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
【図4】実施例2の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
【図5】実施例3の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
【図6】実施例4の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁波の遮蔽や吸収のために使用され、難燃性に優れる難燃性電波吸収体に関し、特に5.8GHz付近の電磁波の遮蔽や吸収のために使用され、実質的にハロゲンを含有しない非ハロゲン型難燃性電波吸収体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子機器からの電磁波の漏洩、外部からの電磁波の侵入、構造物による電磁波の反射等を防止する目的で、様々な電波吸収体が使用されている。
例えば、ETC(高速道路自動料金システム)では、料金所の構造物からの反射ノイズを低減する目的で、また、室内で無線によるデータ通信を行う無線LANでは、通信エラーを低減する目的で、5.8GHz付近の電磁波を吸収できる電波吸収体が使用されている。
【0003】
これらの用途で使用される、5.8GHz付近の電磁波を吸収できる電波吸収体としては、例えば、加硫シリコーンゴムのマトリックス中に、鉄粉(カルボニル鉄の熱分解によって得られる鉄粉)を分散させたシート状の電波吸収体がすでに知られており、実用化されている(特許文献1参照)。
【0004】
しかし、この電波吸収体は、製造の際に、シリコーンゴムの加硫工程を必要とするので、製造コストが高いという問題点を有していた。
また、シリコーンゴム中に多量の鉄粉を充填しているので、引張強さ等の機械的強度が十分ではなかった。
【0005】
また、この電波吸収体は、比重の大きい鉄粉を多く配合しているので、電波吸収体自体の重量がかなり重い。例えば、シリコーンゴム100重量部に対して鉄粉が350重量部配合されている。そのため、高速道路の料金所の壁や天井等に電波吸収体のシートを貼り付ける際の施工性が悪くなるという問題を有していた。
【0006】
電波吸収体を軽量化するために、シートを薄くすることが考えられるが、シートを薄くすると必然的に電波吸収量が減少してしまう。また、電波吸収ピークが高周波側にシフトして、5.8GHz付近の電磁波を十分に吸収できなくなるという問題が生じる。すなわち、特定の材料から得られたシートが特定の周波数の電波吸収体となるための厚さ(d)は、下記式の入力インピーダンスZが1を満足するときの値に最適化されることが知られている。
Z=(μr/εr)1/2tanh{j(2π/λ)(εrμr)1/2d}
(式中、εrは材料の誘電率、μrは材料の透磁率、λは入射電磁波の波長である。)
【0007】
この式から、加硫シリコーンゴムのマトリックス中に鉄粉を分散させた材料からなる電波吸収体の最適な厚さを求めると、その厚さは約2.2mmとなる。したがって、この電波吸収体が5.8GHz付近の電磁波を吸収する電波吸収体となるためには、その厚さを2.2mmよりも厚くすることも薄くすることもできない。
【0008】
そこで、本発明者らは、シリコーンゴムに代えて塩素化ポリエチレン等の非加硫のバインダーを使用することにより、上記の欠点を克服した電波吸収体を開発した(特許文献2参照)。
【0009】
さらに本発明者らは、5.8GHz付近の電波吸収性能を損なうことなく、難燃性を向上するために、難燃剤、特に臭素化合物や塩素化合物などのハロゲン系難燃剤を配合した難燃性電波吸収体を開発した(特願2001−365057号)。
【0010】
しかしながら、この難燃性電波吸収体は、バインダーが塩素化ポリエチレンである上にハロゲン系難燃剤を配合しているため、燃焼した際に有害なハロゲン系ガスが発生するおそれがあり、最近では環境問題から、非ハロゲン型難燃性電波吸収体が求められている。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−298187号公報
【特許文献2】
特開2002−50506号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明の目的は、加硫が必要ではなく低コストであり、電波吸収性能が良好で、軽量で施工性に優れ、機械的強度に秀で、かつ、組成物中に実質的にハロゲンを含有しない非ハロゲン型難燃性電波吸収体を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーと、該バインダー100重量部に対して700〜1000重量部の軟磁性金属粒子と、該バインダー100重量部に対して50〜350重量部の非ハロゲン系難燃剤とを含有することを特徴とする。
また、本発明の電波吸収体は、さらに無機充填剤を含有することが望ましい。
【0014】
また、前記非加硫のバインダーは、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)又はこれらの混合物であることが望ましい。
また、前記軟磁性金属粒子は、カルボニル鉄の分解によって生成する鉄粉であることが望ましい。
また、前記難燃剤は、水酸化物系難燃剤であることが望ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の難燃性電波吸収体は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーと、軟磁性金属粒子と、非ハロゲン系難燃剤とを含有するものであり、具体的には、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーのマトリックス中に軟磁性金属粒子と非ハロゲン系難燃剤とが分散されたものである。
【0016】
本発明におけるハロゲンを含有しない非加硫のバインダーとは、一般に電波吸収体に用いられる高分子材料であって、実質的にハロゲンを含有せず、加硫工程を要しないものである。ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーとしては、常温でゴム弾性を示し、高温で可塑化され成形可能な高分子材料が好ましい。
ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーとしては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレンゴム:スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリルゴム:エチレン・アクリル酸メチル等のエチレン・アクリル酸エステル共重合体;ポリアクリル酸エチル等のポリアクリル酸エステル等が挙げられる。また、その他公知のハロゲンを含有しない熱可塑性エラストマーを用いることもできる。これらは単独で用いても、2種以上を併用して用いてもよい。これらの中でも、5.8GHz付近の電磁波を吸収できる電波吸収体としたときに、その厚さを比較的薄くでき、引張強さにも優れていることから、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、ポリアクリル酸エステル等のアクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)を好適に用いることができる。
【0017】
前記軟磁性金属粒子としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト、Fe−Cr−Al、Fe−Si−C、Fe−Si−Al、パーマロイ微粉末等が挙げられる。中でも、カルボニル鉄の分解によって生成する鉄粉が、球状で、非加硫のバインダーとの混練が容易であることから好適に用いられる。軟磁性金属粒子の平均粒径は、特に限定はされないが、好ましくは、100nm〜50μmの範囲である。平均粒径が100nm未満では、バインダーとの混練や、バインダーへの分散が困難になるおそれがある。平均粒径が50μmを超えると、電波吸収体の成形が困難となるおそれがある。
【0018】
軟磁性金属粒子の含有量は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダー100重量部に対して700〜100重量部の範囲であり、さらに好ましくは750〜950重量部の範囲である。る。軟磁性金属粒子の含有量が少なくなると、電波吸収ピークが高周波側に移行する。すなわち、特定の周波数(例えば5.8GHz)における反射減衰量が小さくなる。一方、軟磁性金属粒子の含有量が多くなると、電波吸収ピークが低周波側に移行し、ピーク吸収量も減少する。すなわち、特定の周波数(例えば5.8GHz)における反射減衰量が小さくなる。したがって、軟磁性金属粒子の含有量が上記の範囲内であれば、特定の周波数(例えば5.8GHz)での反射減衰量を電波吸収体として実用的なレベル、具体的には−15dB以下に維持することができる。
【0019】
前記非ハロゲン系難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物系難燃剤、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン系難燃剤、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート等のリン系難燃剤、ホウ酸亜鉛等が挙げられる。これらの非ハロゲン系難燃剤は1種でも2種以上を併用して用いてもよい。中でも、水酸化物系難燃剤が好適に用いられる。
【0020】
非ハロゲン系難燃剤の含有量は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダー100重量部に対して50〜350重量部の範囲であり、さらに好ましくは100〜300重量部の範囲である。難燃剤の含有量が少なくなると、得られた電波吸収体の難燃性が不十分となる。一方、難燃剤の含有量が多くなると、バインダーとの混練性が悪くなり、電波吸収体の成形が困難となる。
【0021】
本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体には、軟磁性金属粒子、非ハロゲン系難燃剤以外に、非ハロゲン系無機充填剤を含有させることができる。無機充填剤は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーの加工性を改善するために用いられる。また、非ハロゲン系無機充填剤は、軟磁性金属粒子に較べ比重が小さいので、得られる非ハロゲン型難燃性電波吸収体を軽量化する役割も有している。
このような無機充填剤としては、例えば、ケイ酸、ケイ酸塩、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0022】
非ハロゲン系無機充填剤の含有量は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダー100重量部に対して5〜350重量部の範囲であり、さらに好ましくは10〜300重量部の範囲である。無機充填剤の含有量が多くなると、バインダーとの混練性が悪くなり、電波吸収体の成形が困難となる。
【0023】
また、本発明の難燃性電波吸収体には、公知の添加剤、例えば安定剤、滑剤、増量剤、可塑剤、酸化防止剤等を添加されていてもよい。
【0024】
本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、例えば、以下のようにして製造することができる。所定量のハロゲンを含有しない非加硫のバインダー、軟磁性金属粒子、非ハロゲン系難燃剤、必要に応じて非ハロゲン系無機充填剤、各種添加剤を加圧ニーダー等で混練し、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーのマトリックス中に、軟磁性金属粒子、難燃剤、無機充填剤等を分散させる。この混練物を粉砕機で粉砕した後、圧延ロール等でシート状に圧延成形(カレンダー成形)する。
なお、本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の成形方法としては、圧延成形に限定されるものではなく、プレス成形や押出成形等の公知の成形方法を用いることができる。
【0025】
このようにして製造される本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の厚さは、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーとしてアクリルゴムを用い、軟磁性金属粒子としてアクリルゴム100重量部に対して700〜950重量部のカルボニル鉄の分解によって生成する鉄粉を用いた場合、5.8GHz付近の電磁波を吸収できるようにするためには、約1.9mmとすることが望ましい。この値は、上述の入力インピーダンス(Z)の式から算出される値である。
【0026】
電波吸収体の加工性及び電波吸収性能を高めるためには、各配合成分、特に軟磁性金属粒子、非ハロゲン系難燃剤及び非ハロゲン系無機充填剤の体積%を考慮する必要がある。ここで、体積%は、各配合成分の配合量(重量)を比重で除し、それらの比率を求めたものである。
混練する前の軟磁性金属粒子の体積%は、混練する前の全配合成分に対して30〜45体積%とされることが好ましい。軟磁性金属粒子の体積%がこの範囲をはずれると5.8GHz付近での電磁波吸収性が得られない。
混練する前の非ハロゲン系難燃剤の体積%は、混練する前の全配合成分に対して20〜35体積%とされることが好ましい。難燃剤の体積%がこの範囲をはずれると目標とする難燃性が得られない。
【0027】
また、混練する前のハロゲンを含有しない非加硫のバインダー以外の各配合成分の合計の体積%は、全配合成分に対して70体積%以下とされることが好ましい。この範囲を超えると、電波吸収体の成形が困難となる。
【0028】
本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体によれば、マトリックス用のバインダーとして非加硫のバインダーを用いているので、製造の際の加硫工程が不要となり、製造コストを大幅に削減することができる。また、本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、非加硫のバインダーを用いているので、従来の加硫シリコーンゴムでは不可能だった圧延成形が可能となり、連続シートの製造が可能となる。
また、本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、マトリックス中に分散された配合成分として軟磁性金属粒子以外に、非ハロゲン系難燃剤、必要に応じて非ハロゲン系無機充填剤を含んでいるので、非ハロゲン型難燃性電波吸収体の比重が小さくなり、軽量化することができる。また、5.8GHz付近の非ハロゲン型難燃性電波吸収体として用いる場合、従来の電波吸収体の厚さ(約2.2mm)よりも薄くできるので、さらに軽量化することができる。
また、本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、引張強さにも格段に優れているので、耐久性等を向上することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を示して本発明を詳しく説明する。
<評価内容>
電波吸収体の評価は、以下の項目について行った。
(引張強さ)
電波吸収体の引張強さは、JIS K 6251に準拠して測定した。
(比重)
水中置換法:電波吸収体から3〜5gの試料を切り抜き、空気中及び水中での試料の重量を測定し、下記式を用いて算出した。
比重=[空気中での試料重量]/([空気中での試料重量]−[水中での試料重量])
(電波反射減衰量)
電波吸収体に垂直に入射する0.05〜18GHzの電波の反射減衰量をネットワークアナライザ(ヒューレットパッカード社製)を用いて測定した。測定されたグラフから、5.8GHzにおける電波反射減衰量を求めた。
(難燃性)
UL94による20mm垂直燃焼試験から求めた。
【0030】
[実施例1]
アクリルゴムA(「ベーマックG」、昭和電工・デュポン社製、エチレン−メチルアクリレート共重合体)50重量部、アクリルゴムB(「ノックスタイトPA−312」、NOK社製、エチルアクリレート系重合体)50重量部、鉄粉(カルボニル鉄の分解によって生成する鉄粉「S−1641」、三菱電線工業社製)860重量部、難燃剤A(「キスマ5B」、協和化学工業社製、水酸化マグネシウム)180重量部、安定剤2重量部、及び滑剤2重量部を加圧ニーダーで15分間混練し、この混練物を粉砕機等で粉砕した後、70℃に加熱しながら2本の圧延ロールでシート状に圧延成形し、それぞれ厚さ1.8mm及び1.9mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を得た。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
【0031】
[比較例1]
実施例1と同様にして、厚さ1.5mm及び2.4mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を得た。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
[比較例2]
非ハロゲン系難燃剤を省略した以外は実施例と同様にして厚さ1.9mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を製造した。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
【0032】
[比較例3及び4]
各成分の配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして電波吸収体を製造しようとしたが、比較例3の場合非ハロゲン系難燃剤の量が350体積%を超えていたため、比較例4の場合軟磁性金属粉微粒子の量が1000重量部を超えていたため、いずれも成形性が悪くシート状にすることができなかった。
【0033】
[実施例2]
各成分の配合を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ1.9mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を製造した。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
【0034】
[実施例3]
ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーをNBR(「N222L」、JSR社製)100重量部に変更した以外は実施例1と同様にして厚さ1.9mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を製造した。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
【0035】
[実施例4]
非ハロゲン系難燃剤Aの代わりに非ハロゲン系難燃剤B(「ハイジライトH−21、昭和電工社製、水酸化アルミニウム)を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ1.9mmの非ハロゲン型難燃性電波吸収体を製造した。
この非ハロゲン型難燃性電波吸収体について、引張強さ、比重、電波反射減衰量及び難燃性を評価した。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1〜4の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、いずれも5.8GHzにおいて実用レベルの電波反射減衰量(−15dB以下)を有しており、また、UL94Vによる20mm垂直燃焼試験において、いずれもV−0の難燃性を示した。
比較例1は、シートの厚さが1.7〜2.1mmの範囲外であったため、5.8GHzにおける電波反射減衰量−15dB以下の基準を満足できなかった。
比較例2は、難燃剤を配合していなかったため、UL94HBによる燃焼試験において、燃えてしまった。
比較例3は、混練する前の非ハロゲン系難燃剤が350重量部を超えていたため、シート状に成形できなかった。
比較例4は、軟磁性金属粒子の配合量が1100重量部を超えていたため、シート状に成形できなかった。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーと、該バインダー100重量部に対して700〜1000重量部の軟磁性金属粒子と、該バインダー100重量部に対して50〜350重量部の非ハロゲン系難燃剤とを含有するので、加硫が必要でなく低コストであり、軽量で施工性に優れ、難燃性を有し、機械的強度にも優れる。
【0039】
本発明の非ハロゲン型難燃性電波吸収体は、実質的にハロゲンを含有していないため、燃焼した際に有害なハロゲン系ガスが発生するおそれがなく、環境への負荷を軽減することができる。
【0040】
また、本発明の難燃性電波吸収体が、さらに無機充填剤を含有していれば、製造の際の加工性が向上し、さらに軽量化することができる。
また、前記非加硫のバインダーが、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)又はこれらの混合物であれば、5.8GHz付近の電磁波を吸収できる電波吸収体としたときに、その厚さを比較的薄くでき、また電波吸収体の引張強さをさらに向上できる。
また、前記軟磁性金属粒子が、カルボニル鉄の分解によって生成する鉄粉であれば、製造の際に非加硫のバインダーとの混練が容易になる。
また、前記難燃剤が、水酸化物系難燃剤であれば、製造の際に非加硫のバインダーとの混練が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
【図2】比較例1の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
【図3】比較例2の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
【図4】実施例2の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
【図5】実施例3の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
【図6】実施例4の非ハロゲン型難燃性電波吸収体の電波反射減衰量と周波数との関係を示すグラフである。
Claims (5)
- ハロゲンを含有しない非加硫のバインダーと、該バインダー100重量部に対して700〜1000重量部の軟磁性金属粒子と、該バインダー100重量部に対して50〜350重量部の非ハロゲン系難燃剤とを含有することを特徴とする非ハロゲン型難燃性電波吸収体。
- 該バインダー100重量部に対して、さらに5〜350重量部の非ハロゲン系無機充填剤を含有することを特徴とする請求項1記載の非ハロゲン型難燃性電波吸収体。
- 前記バインダーが、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の非ハロゲン型難燃性電波吸収体。
- 前記軟磁性金属粒子が、カルボニル鉄の分解によって生成する鉄粉であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の非ハロゲン型難燃性電波吸収体。
- 前記難燃剤が、水酸化物系難燃剤であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項に記載の非ハロゲン型難燃性電波吸収体。
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|---|---|---|---|---|
| JP2005159337A (ja) * | 2003-10-31 | 2005-06-16 | Nitta Ind Corp | 電磁干渉抑制体およびこれを用いる電磁障害抑制方法 |
| JP2007088388A (ja) * | 2005-09-26 | 2007-04-05 | Yazaki Corp | 熱成形用電磁波吸収体素材 |
| JP2007208121A (ja) * | 2006-02-03 | 2007-08-16 | Bridgestone Corp | 電波吸収体用ゴム組成物、その配合方法及び製造方法、並びに電波吸収シート |
| JP2009096979A (ja) * | 2007-09-28 | 2009-05-07 | Ntn Corp | 誘電性エラストマー組成物および高周波用電子部品材料 |
-
2002
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