JP2004128372A - 分布帰還型半導体レーザ素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】共振器長が1200μmの分布帰還型半導体レーザ素子10では、回折格子15を構成する個々の回折パターン26が、3本毎に1本が間引かれた構成を有している。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、分布帰還型半導体レーザ素子に関し、特に、大きな共振器長を有し、単一モードで発振し、且つモード間遷移が抑制された分布帰還型半導体レーザ素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
分布帰還型半導体レーザ素子(DFBレーザ素子)は、共振器内部に屈折率の実部又は虚部が周期的に変化する構造(以下、回折格子と言う)を有するレーザ素子である。回折格子により特定の波長の光にのみ帰還がかかるため、DFBレーザ素子は波長選択性を有し、単一モード(単一波長)でレーザ発振することが可能である。
【0003】
DFBレーザ素子は、その高い単一モード性のため、光通信用信号光源として好適に使用できる。光通信用信号光源としてのDFBレーザ素子には、用途によって、連続波(CW)、直接変調(DM)、電界吸収型光変調器・内蔵型(EA−DFB)など様々なタイプがある。これらのうち、CWタイプのDFBレーザ素子(CW−DFBレーザ)は、外部変調器と組み合わせて用いられ、例えばWDM用の基幹系の信号光源やCATV等のアナログ伝送などに使用されており、高出力でレーザ発振することが要求される。
【0004】
高出力のCW−DFBレーザでは通常、光出射側となる一方の端面(以下、前端面と言う)に低反射率膜を、他方の端面(以下、後端面と言う)に高反射率膜をそれぞれ形成する非対称な反射膜構造が採用される。この場合、共振器の前端面側からレーザ光の大半を取り出すことができ、高効率でレーザ出力が得られる。
【0005】
CW−DFBレーザでは、通常、単一モード性、効率等を考慮し、結合係数κが最適化される。つまり、κが大き過ぎると高出力が得られず、κが小さ過ぎると単一モード性が得られない。このため、κを適当な範囲に制御する必要があり、上述の単一モード性、効率等の歩留まりの観点から、κと共振器長Lとの積κLとして1程度の値が最も良いと考えられている。結合係数κは、屈折率結合であるDFBレーザ素子の場合、回折格子の膜厚、組成、屈折率の大きな部分と小さな部分の幅の比であるデューティ(duty)比、及び回折格子と活性層との距離などの様々なパラメータを調節することによって所定の値に設定することができる。
【0006】
高出力化のためには、また、共振器長Lを長くするのが有効である。この場合、大きな駆動電流による発熱がもたらす熱飽和を抑えつつ高い出力を得ることができる。この際に、前述のようにκL=1程度に制御する必要があるため、Lの増大に伴って結合係数κを小さくする必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、例えばL=1000μmとなるような非常に大きな共振器長Lを採用する場合には、上述のκL=1程度を実現しようとすると、κ=10cm−1となるような非常に小さな結合係数κを実現する必要がある。しかし、このように非常に小さなκを実現するのは容易ではない。ここで、小さなκを実現するには、例えば回折格子の膜厚を薄くする方法や、回折格子とこれを埋め込んだ導波路層との間の屈折率差を小さくするなどの手法が考えられる。しかし、何れも非常に高い製造精度が要求されるため、一定の結合係数κを有するレーザ素子を安定して製造することは難しく、高い単一モード性を有するレーザ素子を安定して得ることが出来ないという問題があった。
【0008】
小さなκを実現する方法として、共振器の一部にのみ回折格子を形成する部分回折格子を採用することができる。部分回折格子では、共振器長に対する部分回折格子の長さの割合によって、実効的な結合係数κを小さくすることができる。しかし、この構造では、部分回折格子が形成された領域と、形成されない領域の境界で電界強度分布が不連続となり、電流注入時にキャリア濃度の不均一が起こり易い。このため、モード間の発振利得差が小さくなり、高出力下においてモード間遷移が発生し、またこれに伴って光出力の電流依存性にキンクが発生するという問題があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、大きな共振器長を有し、単一モードで発振し、且つモード間遷移が抑制されたDFBレーザ素子を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決する研究の過程で、回折格子を構成する回折パターンを周期的に間引く構造に着想し、この構造が上記課題の解決に有効ではないかと考え、以下の考察を行った。即ち、回折パターンを周期的に間引くことにより、大きな共振器長Lを有するDFBレーザ素子で、実効的な結合係数κを十分に小さくでき、高い単一モード性を有するレーザ素子を安定して製造できる。ここで、回折パターンが間引かれる周期の長さを、例えばサブミクロン単位の小さな値にすることにより、部分回折格子を有するDFBレーザ素子で発生していたような、電界強度分布の不連続性を抑制し、モード間遷移の発生を抑制できるのではないかと考えた。そして、種々の実験を経て、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、上記目的を達成する本発明に係るDFBレーザ素子は、共振器に隣接し共振器方向に配列された複数の回折パターンから成る回折格子を備える分布帰還型半導体レーザ素子において、
前記回折格子が複数の回折パターン群から構成され、該回折パターン群では、所定ピッチで配設される回折パターンのうち所定数の回折パターンがそれぞれ間引かれていることを特徴としている。
【0012】
回折パターン群では、所定ピッチで配設される回折パターンのうち所定数の回折パターンがそれぞれ間引かれることにより、実効的な結合係数κを小さくすることが可能となる。このため、小さい結合係数κを有するレーザ素子を安定して製造することが可能となり、高い単一モード性を有するレーザ素子を安定して得ることができる。また、回折格子を構成する複数の回折パターン群の長さを適当に調節することによって、共振器内部の電界強度分布の不連続性を抑え、高出力下でのモード間遷移の発生を抑制することができる。
【0013】
本発明の好適な実施態様では、前記回折パターン群では、対応する位置の回折パターンがそれぞれ間引かれている。これにより、共振器内部の電界強度分布の不連続性を効果的に抑え、高出力下でのモード間遷移の発生を効果的に抑制することができる。
【0014】
本発明の好適な実施態様では、前記回折パターン群は、共振器方向に30μm以下の長さを有する。これにより、共振器内部の電界強度分布の不連続性を十分に抑制し、高出力下でのモード間遷移の発生を効果的に抑制することができる。本発明の好適な実施態様では、前記回折パターン群は、共振器方向に3μm以下の長さを有する。高出力下でのモード間遷移の発生をより効果的に抑制することができる。
【0015】
本発明は、好適には、前記所定数が、各回折パターン群に含まれる回折パターンの数の1/5〜1/2である。上記所定数が上記回折パターンの数の1/5以下だと、大きい共振器長を有するレーザ素子で、一定の小さい結合係数κ有するレーザ素子を安定して製造することが難しく、高い単一モード性を有するレーザ素子を安定して得ることができない。一方、上記所定数が上記回折パターンの数の1/2以上だと、回折パターンが間引かれる割合が大き過ぎるため、単一モード性などのレーザ特性に悪影響を及ぼす。
【0016】
本発明は、前記共振器の長さが500μm以上のDFBレーザ素子に適用することにより、長い共振器長を有するDFBレーザ素子で、一定の小さな結合係数κ有するレーザ素子を安定して製造することが難しいという問題を解決し、高い単一モード性を有するレーザ素子を安定して得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照し、実施形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的且つ詳細に説明する。
実施形態例1
図1は、本実施形態例のDFBレーザ素子の一部を断面で示す斜視図であり、図2は、図1のII−II断面を示す断面図である。本DFBレーザ素子は、発振波長を1550nmに設定した、共振器長が1200μmの埋め込みヘテロ型のDFBレーザ素子である。本DFBレーザ素子10は、膜厚120μm程度のn−InP基板11上に形成された、n−InPバッファ層12、MQW−SCH(Separate Confinement Hetero−Structure)活性層13、p−InPスペーサ層14、膜厚10nmの回折格子15、回折格子15を埋め込むp−InP埋込み層16、及び、p−InPクラッド層17から成る積層構造を有する。MQW−SCH活性層13は、量子井戸活性層(MQW)中に6層の量子井戸層を含む。
【0018】
回折格子15は、4元系材料から成るバンドギャップ波長λgが1100nmのInGaAsPで構成される。回折格子15は、図2に示すように、そのパターン周期が240nmであり、且つ回折格子15を構成する個々の回折パターン26が、3本毎に1本が間引かれた構成を有している。更に、回折パターン26の幅と、隣接する回折パターン26間の距離との比が、3:7である。このような回折格子15の構成により、約10cm−1の結合係数κを得ることができる。
【0019】
本実施形態例では、上述のように回折パターン26が3本毎に1本が間引かれた構成を有することにより、同様の条件で共振器の全領域で一様な回折パターンが形成された回折格子と比較して、実効的な結合係数κの大きさを2/3に低減することが可能である。また、回折パターン26が間引かれる周期が、サブミクロン程度の大きさであるため、従来、部分回折格子を有するDFBレーザ素子で問題となっていた、電界強度分布の不連続性を抑えることができる。
【0020】
積層構造のうち、p−InPクラッド層17、p−InP埋込み層16、回折格子15、p−InPスペーサ層14、MQW−SCH活性層13、及び、n−InPバッファ層12の上部は、MQW−SCH活性層13が約1.8μmの幅を有するように、メサストライプ状に加工されている。メサストライプの両側は、p−InP層20及びn−InP層21の積層構造からなるキャリアブロック層で埋め込まれている。
【0021】
p−InPクラッド層17及びその両側のn−InP層21上には、膜厚約2μmのp−InPクラッド層18、及び高ドープGaInAsコンタクト層19が、順次に積層されている。高ドープGaInAsコンタクト層19は、後述するp側電極22とオーミックなコンタクトを取るために、p型ドーパントが高濃度にドープされている。
【0022】
高ドープGaInAsコンタクト層19上には、p側電極22としてTi/Pt/Au多層金属膜が、n−InP基板11の裏面には、n側電極23としてAuGeNi膜が、それぞれ設けてある。DFBレーザ素子30の前端面24には無反射コーティングが、後端面25には反射率が90%程度のHR(High Reflective)コーティングが、それぞれ施されている。
【0023】
本実施形態例のDFBレーザ素子10の作製に当たっては、先ず、MOCVD装置を使って、成長温度600℃で、n−InP基板11上に、n−InPバッファ層12、MQW−SCH活性層13、p−InPスペーサ層14、回折格子形成層15aを成長させる。回折格子形成層15aの成長にあたっては、バンドギャップ波長λgが1100nmのInGaAsPを成長させる。MQW−SCH活性層13の成長にあたっては、量子井戸活性層(MQW)中に6層の量子井戸層を含むように成長させる。
【0024】
次いで、回折格子形成層15a上に電子ビーム(EB)描画用レジストを約100nmの厚さで塗布し、EB描画装置を使ってEB描画を行い、図3に示すような回折格子形成マスク27を形成する。回折格子形成マスク27は、そのパターン周期が240nmであり、且つ回折格子形成マスク27を構成する各長方形パターン28が、3本毎に1本が間引かれた形状に形成する。また、各長方形パターン28の幅と、隣接する長方形パターン28間の距離との比が、3:7となるように形成する。
【0025】
次いで、メタン・水素系のドライエッチングにより、回折格子形成マスク27上から回折格子形成層15aを貫通するようにエッチングして、回折格子15を形成する。続いて、MOCVD装置を使って、p−InP埋込み層16及びp−InPクラッド層17を成長させ、回折格子15の埋め込み再成長を行う。
【0026】
DFBレーザ素子10は、前述のように、回折パターン26が3本毎に1本が間引かれた構成を有する回折格子15を採用したことにより、同様の条件で共振器の全領域で一様な回折パターンを有する回折格子と比較して、実効的な結合係数κの大きさを2/3に低減することが可能である。このため、回折格子15の形成にあたっては、非常に高い製造精度は要求されず、本実施形態例のように10cm−1程度の小さい結合係数κを有するレーザ素子を安定して製造することができる。
【0027】
次いで、プラズマCVD装置を用いて、基板全面にSiNx膜を成膜し、フォトリソグラフィ及び反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)により、回折格子15の周期方向に延びるストライプ状にSiNx膜をエッチングして、SiNx膜マスク(図示せず)を形成した。続いて、ストライプ状のSiNx膜マスクをエッチングマスクとして用い、p−InPクラッド層17、p−InP埋込み層16、回折格子15、p−InPスペーサ層14、MQW−SCH活性層13、及び、n−InPバッファ層12の上部をエッチングして、MQW−SCH活性層13が約1.8μmの幅を有するように、メサストライプ状に加工した。
【0028】
次いで、SiNx膜マスクを選択成長マスクとして用い、p−InP層20及びn−InP層21を、順次に選択成長させて、メサストライプの両脇を埋め込み、キャリアブロック層とした。続いて、SiNx膜マスクを除去した後、膜厚約2μmのp−InPクラッド層18、及び、高ドープInGaAsコンタクト層19を順次に成長させた。
【0029】
次いで、高ドープInGaAsコンタクト層19上に、p側電極22としてTi/Pt/Au多層金属膜を形成した。また、n−InP基板11の厚さが120μm程度になるように、n−InP基板11の裏面を研磨し、n−InP基板11の裏面には、n側電極23としてAuGeNi膜を設けた。
【0030】
次いで、得られたウエハを、レーザ素子の共振器長Lが1200μmになるように、前端面24及び後端面25で壁開した。続いて、各前端面24には無反射コーティングを、各後端面25には反射率が約90%のHRコーティングをそれぞれ施し、更に、個々のレーザ素子に分割した後に、チップ化してボンディングした。
【0031】
本実施形態例では、上述のように、回折パターン26が3本毎に1本が間引かれた構成を有する回折格子15を採用したことにより、回折格子15の形成にあたっては、非常に高い製造精度を必要とすることなく、小さな結合係数κを有するレーザ素子が得られる。このため、高い単一モード性を有するレーザ素子を安定して提供できる。また、回折パターン26が間引かれる周期が、サブミクロン程度の大きさであるため、従来、部分回折格子を有するDFBレーザ素子で問題となっていた電界強度分布の不連続性を抑え、モード間遷移の発生を抑制するため、キンクの発生が防止できる。
【0032】
比較例
上記実施形態例のDFBレーザ素子の性能を評価するために、DFBレーザ素子10、及び、従来のDFBレーザ素子として、比較例のDFBレーザ素子を試作した。比較例のDFBレーザ素子は、回折パターンが共振器の全領域で一様に形成され、且つ発振波長が1551nmに設定されることを除いては、DFBレーザ素子10と同様の構成を有する。このような回折格子15により、約15cm−1の結合係数κが得られる。比較例のDFBレーザ素子は、回折パターンを共振器の全領域で一様に形成し、且つ発振波長を1551nmに設定することを除いては、DFBレーザ素子10と同様に製造することができる。
【0033】
本実施形態例のDFBレーザ素子10及び比較例のDFBレーザ素子について、発振波長λDFBに対する光出力効率SE(Slope Efficiency)の特性を調べたところ、図4(a)に示すグラフが得られた。光出力効率SEとは、レーザ素子の注入電流に対する光出力の勾配をいう。同図中、(i)は本実施形態例のDFBレーザ素子10の特性を示し、(ii)は比較例のDFBレーザ素子の特性を示す。光出力効率SEは、回折格子に対する後端面の位相位置θにより影響を受けるため、それぞれ発振波長を中心に広がりを有する。発振波長においてθ=0で、両端においてθ=−π、πである。
【0034】
同図より、本実施形態例のDFBレーザ素子10では、光出力効率SEの最大値が約0.35mW/mAであり、比較例のDFBレーザ素子では、光出力効率SEの最大値が約0.28mW/mAである。よって、本実施形態例のDFBレーザ素子10は、比較例のDFBレーザ素子と比較して、光出力効率SEの最大値が約1.25倍に増加し、良好な光出力効率SEの特性が得られたものと評価できる。
【0035】
本実施形態例のDFBレーザ素子10、及び比較例の構成を有するDFBレーザ素子について、発振波長λDFBに対するしきい値利得差ΔαthLの特性についてシミュレーションを行い、図4(b)に示す結果を得た。同図中、(i)は本実施形態例のDFBレーザ素子10の特性を示し、(ii)は比較例のDFBレーザ素子の特性を示す。しきい値利得差ΔαthLは、主モードと副モードとの発振しきい値利得差であり、DFBレーザ素子の単一モード性を表すパラメータである。しきい値利得差ΔαthLは、回折格子に対する後端面の位相位置θにより影響を受けるため、それぞれ発振波長を中心に広がりを有する。発振波長においてθ=0で、両端においてθ=−π、πである。
【0036】
同図より、(i)のグラフと(ii)のグラフとの間に大きな違いは見られず、本実施形態例のDFBレーザ素子10は比較例のDFBレーザ素子と比較して、単一モード性について同等の性能を有するものと評価できる。
【0037】
実施形態例2
図5(a)は、本実施形態例のDFBレーザ素子の構成を示す平面図である。本実施形態例のDFBレーザ素子は、部分回折格子が周期的に繰り返された構成を有するレーザ素子であり、共振器方向に設定された4つのゾーンに、後端面25側から回折格子が形成される部分回折格子領域29と回折格子が形成されないファブリペロー領域30とが交互に設けられている。部分回折格子29とファブリペロー領域30との長さの比は2:1である。部分回折格子領域29では、図2に示した実施形態例1のDFBレーザ素子10の回折パターン26と同様の構成を有する回折パターンが、間引かれることなく一様に形成されている。このような回折格子の構成により、約10cm−1の結合係数κを得ることができる。その他の構成は、実施形態例1のDFBレーザ素子10と同様である。
【0038】
本実施形態例のDFBレーザ素子の製造方法は、EB描画により回折格子形成マスクを形成する際に、共振器方向に4つのゾーンを設定し、後端面25側から回折格子マスクが形成される領域(図示なし)と、回折格子マスクが形成されない領域(図示なし)とを交互に設ける。回折格子マスクが形成される領域と回折格子マスクが形成されない領域との長さの比を2:1とする。回折格子マスクが形成される領域では、図3に示した実施形態例1のDFBレーザ素子の長方形パターン28と同様の構成を有する長方形パターンを、間引くことなく一様に形成する。その他の製造方法は、実施形態例1のDFBレーザ素子10の製造方法と同様である。
【0039】
本実施形態例のDFBレーザ素子では、部分回折格子29とファブリペロー領域30との長さの比を2:1としたことにより、同様の条件で共振器の全領域で一様に回折格子が形成された場合と比較して、実効的な結合係数κの大きさを2/3に低減することが可能である。このため、回折格子の形成にあたっては、非常に高い製造精度を必要とすることなく、小さな結合係数κを有するレーザ素子が得られ、高い単一モード性を有するレーザ素子を安定して提供できる。また、共振器方向に設定された4つのゾーンに、部分回折格子領域29とファブリペロー領域30とが交互に設けられることにより、実施形態例1のDFBレーザ素子ほどではないものの、電界強度分布の不連続性を抑え、モード間遷移およびキンクの発生を抑制することができる。
【0040】
実施形態例3
図5(b)は、本実施形態例のDFBレーザ素子の構成を示す平面図である。本実施形態例のDFBレーザ素子は、共振器方向に設定された8つのゾーンに、後端面25側から回折格子が形成される部分回折格子領域29と回折格子が形成されないファブリペロー領域30とが交互に設けられていることを除いては、実施形態例2のDFBレーザ素子と同様の構成を有している。また、本実施形態例のDFBレーザ素子の製造方法は、EB描画により回折格子形成マスクを形成する際に、共振器方向に8つのゾーンを設定し、後端面25側から回折格子マスクが形成される領域(図示なし)と、回折格子マスクが形成されない領域(図示なし)とを交互に設けることを除いては、実施形態例2のDFBレーザ素子の製造方法と同様である。
【0041】
本実施形態例のDFBレーザ素子は、部分回折格子29とファブリペロー領域30との長さの比を2:1としたことにより、実施形態例2と同様に、回折格子の形成にあたっては、非常に高い製造精度を必要とすることなく、小さな結合係数κを有するレーザ素子が得られ、高い単一モード性を有するレーザ素子を安定して提供できる。また、本実施形態例のDFBレーザ素子は、共振器方向に設定された8つのゾーンに、部分回折格子領域29とファブリペロー領域30とが交互に設けられることにより、実施形態例1のDFBレーザ素子ほどではないものの、実施形態例2のDFBレーザ素子より効果的に電界強度分布の不連続性を抑え、モード間遷移およびキンクの発生を抑制することができる。
【0042】
実施形態例4
図5(c)は、本実施形態例のDFBレーザ素子の構成を示す平面図である。本実施形態例のDFBレーザ素子は、共振器方向に設定された16のゾーンに、後端面25側から回折格子が形成される部分回折格子領域29と回折格子が形成されないファブリペロー領域30とが交互に設けられていることを除いては、実施形態例2のDFBレーザ素子と同様の構成を有している。また、本実施形態例のDFBレーザ素子の製造方法は、EB描画により回折格子形成マスクを形成する際に、共振器方向に16のゾーンを設定し、後端面25側から回折格子マスクが形成される領域(図示なし)と、回折格子マスクが形成されない領域(図示なし)とを交互に設けることを除いては、実施形態例2のDFBレーザ素子の製造方法と同様である。
【0043】
本実施形態例のDFBレーザ素子は、部分回折格子29とファブリペロー領域30との長さの比を2:1としたことにより、実施形態例2と同様に、回折格子の形成にあたっては、非常に高い製造精度を必要とすることなく、小さな結合係数κを有するレーザ素子が得られ、高い単一モード性を有するレーザ素子を安定して提供できる。また、本実施形態例のDFBレーザ素子は、共振器方向に設定された16のゾーンに、部分回折格子領域29とファブリペロー領域30とが交互に設けられることにより、実施形態例1のDFBレーザ素子ほどではないものの、実施形態例3のDFBレーザ素子より効果的に電界強度分布の不連続性を抑え、モード間遷移およびキンクの発生を抑制することができる。
【0044】
実施形態例5
図5(d)は、本実施形態例のDFBレーザ素子の構成を示す平面図である。本実施形態例のDFBレーザ素子は、共振器方向に設定された32のゾーンに、後端面25側から回折格子が形成される部分回折格子領域29と回折格子が形成されないファブリペロー領域30とが交互に設けられていることを除いては、実施形態例2のDFBレーザ素子と同様の構成を有している。また、本実施形態例のDFBレーザ素子の製造方法は、EB描画により回折格子形成マスクを形成する際に、共振器方向に32のゾーンを設定し、後端面25側から回折格子マスクが形成される領域(図示なし)と、回折格子マスクが形成されない領域(図示なし)とを交互に設けることを除いては、実施形態例2のDFBレーザ素子の製造方法と同様である。
【0045】
本実施形態例のDFBレーザ素子は、部分回折格子29とファブリペロー領域30との長さの比を2:1としたことにより、実施形態例2と同様に、回折格子の形成にあたっては、非常に高い製造精度を必要とすることなく、小さな結合係数κを有するレーザ素子が得られ、高い単一モード性を有するレーザ素子を安定して提供できる。また、本実施形態例のDFBレーザ素子は、共振器方向に設定された32のゾーンに、部分回折格子領域29とファブリペロー領域30とが交互に設けられることにより、実施形態例1のDFBレーザ素子ほどではないものの、実施形態例4のDFBレーザ素子より効果的に電界強度分布の不連続性を抑え、モード間遷移およびキンクの発生を抑制することができる。
【0046】
実施形態例1〜5の構成を有するDFBレーザ素子について、共振器内部の電界強度分布のシミュレーションを行ったところ、図6に示すグラフが得られた。同図中、(i)〜(v)は実施形態例1〜5のDFBレーザ素子の特性をそれぞれ示す。同図より、実施形態例2〜5のDFBレーザ素子では、ゾーン数を増加させるに従って、電界強度分布の不連続性がより効果的に抑えられていく様子が判る。また、実施形態例1のDFBレーザ素子10では、回折パターンを間引く周期をサブミクロンの単位に制御したことによって、共振器内部の電界強度分布の不連続性を大幅に緩和し、高出力下におけるモード間遷移がこれらのうちで最も発生しにくい構造を有するものと評価できる。
【0047】
本発明の製造方法によれば、回折パターンの間引き方法を設定するだけでレーザ素子の実効的な結合係数κを調節することができる。このため、大きな共振器長を有するレーザ素子に限らず、1枚のウエハ上に様々な結合係数κを有するレーザ素子を同時に、且つ従来同様の工程数で製造することができ、製造の効率化を図ることが可能である。
【0048】
以上、本発明をその好適な実施形態例に基づいて説明したが、本発明のDFBレーザ素子は、上記実施形態例の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態例の構成から種々の修正及び変更を施したDFBレーザ素子も、本発明の範囲に含まれる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、回折パターン群で、所定ピッチで配設される回折パターンのうち所定数の回折パターンがそれぞれ間引かれることにより、実効的な結合係数κを小さくすることが可能となる。このため、小さな結合係数κを有するレーザ素子を安定して製造することが可能となり、高い単一モード性を有するレーザ素子を安定して得ることができる。また、回折格子を構成する複数の回折パターン群の長さを適当に調節することによって、共振器内部の電界強度分布の不連続性を抑え、高出力下でのモード間遷移の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1のDFBレーザ素子の一部を断面で示す斜視図である。
【図2】図1のII−II断面を示す断面図である。
【図3】実施形態例1のDFBレーザ素子の一製造工程段階に係る平面図である。
【図4】(a)は、実施形態例1及び比較例のDFBレーザ素子における、発振波長λDFBと光出力効率SEとの関係をそれぞれ示すグラフであり、(b)は、実施形態例1及び比較例のDFBレーザ素子における、発振波長λDFBとしきい値利得差ΔαthLとの関係をそれぞれ示すグラフである。
【図5】(a)〜(d)は、実施形態例2〜5のDFBレーザ素子の構成をそれぞれ示す平面図である。
【図6】実施形態例1〜5のDFBレーザ素子における、共振器内部の電界強度分布をそれぞれ示すグラフである。
【符号の説明】
10 実施形態例1のDFBレーザ素子
11 n−InP基板
12 n−InPバッファ層
13 MQW−SCH活性層
14 p−InPスペーサ層
15 回折格子
15a 回折格子の形成層
16 p−InP埋込み層
17 p−InPクラッド層
18 p−InPクラッド層
19 InGaAsコンタクト層
20 p−InP層
21 n−InP層
22 p側電極
23 n側電極
24 出射面
25 後端面
26 回折パターン
27 回折格子形成マスク
28 長方形パターン
29 部分回折格子領域
30 ファブリペロー領域
Claims (6)
- 共振器に隣接し共振器方向に配列された複数の回折パターンから成る回折格子を備える分布帰還型半導体レーザ素子において、
前記回折格子が複数の回折パターン群から構成され、該回折パターン群では、所定ピッチで配設される回折パターンのうち所定数の回折パターンがそれぞれ間引かれていることを特徴とする分布帰還型半導体レーザ素子。 - 前記回折パターン群では、対応する位置の回折パターンがそれぞれ間引かれている、請求項1に記載の分布帰還型半導体レーザ素子。
- 前記回折パターン群は、共振器方向に30μm以下の長さを有する、請求項1又は2に記載の分布帰還型半導体レーザ素子。
- 前記回折パターン群は、共振器方向に3μm以下の長さを有する、請求項1又は2に記載の分布帰還型半導体レーザ素子。
- 前記所定数が、各回折パターン群に含まれる回折パターンの数の1/5〜1/2である、請求項1〜4の何れかに記載の分布帰還型半導体レーザ素子。
- 前記共振器の長さが500μm以上である、請求項1〜5の何れかに記載の分布帰還型半導体レーザ素子。
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