JP2004129576A - 超耐熱性エンドグルカナーゼの製造法 - Google Patents

超耐熱性エンドグルカナーゼの製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】超好熱性古細菌由来のエンドグルカナーゼの新規な製造方法の提供。
【解決手段】バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)由来のシグナルペプチド領域をコードするDNA配列の下流に、超好熱性古細菌由来でアミノ末端(N−末端)に1ないし20個のアミノ酸を付加したエンドグルカナーゼをコードする核酸配列が接続された遺伝子発現ベクターを有するバチルス(Bacillus)属細菌を培養し、エンドグルカナーゼを産生および分泌させることを特徴とする、古細菌由来超耐熱性エンドグルカナーゼの製造方法。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はバチルス・ブレビス由来であって改良したシグナルペプチドを利用して、遺伝子組み換え法により一部改変した超耐熱性エンドグルカナーゼをバチルス属細菌で分泌生産させる方法に関するものである。
エンドグルカナーゼはセルラーゼ等として、繊維加工、飼料製造、食品加工、バイオマスよりの燃料やプラスチック原料の製造等に幅広く利用されている。
【0002】
【従来の技術】
異種タンパク質の分泌生産としてはこれまでにバチルス属細菌による分泌生産の総説(Microbiol. Review, 57, 109−137 (1993)、メタノール資化性酵母Pichia pastorisによる分泌生産の総説〔Bio/Technology, 11, 905−910 (1993)〕, Aspergillus属等のカビによる工業生産の報告(Bio/Technology 6, 1419−1422 (1988) ; Bio/Technology, 9, 976−981 (1991))等のように多数報告されている。しかしながら、これらの宿主を用いる生産系によって、古細菌由来の超耐熱性エンドグルカナーゼを高効率で分泌生産した成功例は知られていない。大腸菌を用いれば、ごく少量の酵素(1mg/L程度)を得ることは可能であるが、効率的な菌体外への大量生産は全く期待できない。
【0003】
本発明の1つの実施態様において分泌生産されるセルラーゼ(エンドグルカナーゼの一種)は、D−グルコースがβ−1,4結合で直鎖状につながったホモ多糖であるセルロースをセロオリゴ糖に分解する反応を触媒する酵素であり、真菌類、放線菌、真性細菌、古細菌を含む多数の微生物により、生成分泌される。また、セルラーゼはオリゴ糖をセロビオースへ、さらにグルコースにまで分解する酵素群の総称である。
【0004】
例えば、アルカリ性の環境下でよく生育するバチルス属細菌の一種が生産するアルカリセルラーゼは、pH5〜11で安定なうえ、界面活性剤やアルカリプロテアーゼにも安定である故、洗剤に配合されると木綿衣類の表面微少繊維をセルラーゼが分解し、付着の汚れを除去するので強力な洗浄力を有する洗剤用酵素として広く使用されるようになった。その他セルラーゼの多様な性質によって、幅広く利用されている。
【0005】
一方、バチルス属細菌の一種、バチルス・ブレビスを宿主として異種タンパク質を効率良く分泌生産するシステムは長年にわたる研究によって開発され、バチルス・ブレビス47(特許第2082727号、特開昭62−201583号公報)の主要菌体外タンパク質の一種であるMWタンパク質(MWP)遺伝子のプロモーターおよびその遺伝子にコードされるシグナルペプチド領域を利用した分泌ベクターを作成し、タンパク質の分泌生産系が確立されている(Methods in Enzymology, 217, 23−33 (1994))。さらに、バチルス・ブレビスの中で菌体外プロテアーゼの生産量が特に少ないバチルス・ブレビスHPD31が分離され、これを宿主としたタンパク質生産系が開発されている(特許第1785518号、特開昭63−56277号公報)。
【0006】
耐熱性α−アミラーゼの高効率分泌生産(Agric. Biol. Chem., 53, 2279−2289(1989) やヒト上皮増殖因子(EGF)の高生産(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 3589−3593 (1989)、特開平2−31682号公報、特許第2787585号)、ヒトインターロイキン−2(Biosci. Biotechnol. Biochem., 61, 1858−1861 (1997) やヒトインターロイキン−6(Biosci. Biotechnol. Biochem., 64, 665−669 (2000) などの分泌生産に成功している。なかでもEGFについては極めて高い生産量(1.5g/L)が得られ、既に羊の採毛薬として工業的に生産されている(J. Ind. Microbiol. Biotechnol., 21, 208−214 (1998)。
【0007】
【特許文献1】
特許第1785518号
【特許文献2】
特許第2082727号
【特許文献3】
特許第2787585号
【特許文献4】
特開昭62−201583
【特許文献5】
特開昭63−56277号公報
【特許文献6】
特開平2−31682号公報
【0008】
【非特許文献1】
Microbiol. Review, 57, 109−137 (1993)
【非特許文献2】
Bio/Technoloty, 11, 905−910 (1993)
【非特許文献3】
Bio/Technology 6, 1419−1422 (1988)
【非特許文献4】
Bio/Technology, 9, 976−981 (1991)
【非特許文献5】
Methods in Enzymology, 217, 23−33 (1994)
【0009】
【非特許文献6】
Agric. Biol. Chem., 53, 2279−2289 (1989)
【非特許文献7】
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86, 3589−3593 (1989)
【非特許文献8】
Biosci. Biotechnol. Biochem., 61, 1858−1861 (1997)
【非特許文献9】
Biosci. Biotechnol. Biochem., 64, 665−669 (2000)
【非特許文献10】
J. Ind. Microbiol. Biotechnol., 21, 208−214 (1998)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これまで見出されたほとんどのエンドグルカナーゼは、至適温度が35℃から60℃付近であり、結晶状のセルロースや繊維の処理にも、耐熱性の低いカビ由来の酵素が使用されているのが現状であるが、処理効率を高めるにはより高温下で反応を行う必要がある。従って、100℃近い高温でもなお、安定かつ強力な触媒活性を失わない超耐熱性エンドグルカナーゼが渇望されていた。
【0011】
最近、そのような高温に耐性を示すエンドグルカナーゼが超好熱性細菌ピロコッカスから見出されているが、その酵素をコードする遺伝子を発現ベクターに組込んでから、宿主の大腸菌に導入して少量の生産(1mg/L程度)が得られているに過ぎない(Appl. Environ. Microbiol. 68, 430−433 (2002))。本発明は、微生物、特に細菌類を用いて超耐熱性エンドグルカナーゼを効率的、大量に製造する方法を提供するのを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、バチルス・ブレビスが原核・真核いずれの細胞由来の外来遺伝子でも高発現できる宿主菌であること、および分泌生産の効率は分泌生産させる目的タンパク質、特にそのタンパク質のアミノ末端側のアミノ酸配列・構造によって左右されることに着目し、種々検討を加え研究した結果、産業上重要な異種タンパク質、特にエンドグルカナーゼを効率良くバチルス・ブレビスによって分泌生産する方法を発明するに至った。
【0013】
すなわち、本発明の方法は、バチルス・ブレビスを用いる宿主ベクター系により、バチルス・ブレビス由来の改良シグナルペプチド領域をコードする配列:
【化2】
Figure 2004129576
(特開平4−103891;特開平7−170984;Appl. Microbiol. Biotechnol., 42, 358−363 (1994);Biosci. Biotechnol. Biochem., 61, 1858−1861 (1997))の下流に、アミノ末端に1ないし複数個、例えば1〜20個、のアミノ酸を付加したエンドグルカナーゼ遺伝子配列を結合した発現ベクターを構築し、その発現ベクターをバチルス・ブレビスに導入し、得られた形質転換体を培養し、生じたタンパク質を菌体外に効率良く分泌生産させ、菌体外に放出されたタンパク質を回収することによって、多量の目的異種タンパク質、特にエンドグルカナーゼを得る方法である。
【0014】
この方法で異種タンパク質、特にエンドグルカナーゼのアミノ末端に少なくとも1ないし複数個のアミノ酸を付加することが必須であり、シグナルペプチドの改良のみでは効率的生産は達成できない。逆に、分泌させる異種タンパク質のみを改変して、改良シグナルペプチドを用いなければ矢張り効率生産を得ることができない。この両者の条件が効率的分泌に必要である。
【0015】
従って、本発明は、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)由来のシグナルペプチド領域をコードするDNA配列の下流に、超好熱性古細菌由来でアミノ末端(N−末端)に1ないし20個のアミノ酸を付加したエンドグルカナーゼをコードする核酸配列が接続された遺伝子発現ベクターを有するバチルス(Bacillus)属細菌を培養し、エンドグルカナーゼを産生および分泌させることを特徴とする、古細菌由来超耐熱性エンドグルカナーゼの製造方法を提供する。
【0016】
前記シグナルペプチドとしては、バチルス・ブレビス由来で細胞表層タンパク質遺伝子のシグナルペプチドは、下記のアミノ酸配列:
【化3】
Figure 2004129576
を有し、好ましくは配列番号:2に示すアミノ酸配列を示すものである。
【0017】
前記エンドグルカナーゼとしては、ピロコッカス(Pyrococcus)属古細菌由来のエンドグルカナーゼが好ましく、具体例として配列番号4に示すアミノ酸配列を有するエンドグルカナーゼが挙げられる。前記エンドグルカナーゼは更に、配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入および/または付加により修飾されたアミノ酸配列を有するものであってもよい。
【0018】
前記エンドグルカナーゼのN−末端に付加されるアミノ酸の数は、好ましくは1〜15個であり、具体的なアミノ酸、またはアミノ酸配列の例としては、Ala、Val、Thr、Asp、Asp−Pro、Ala−Glu−Asp−Pro(配列番号:28)、Ala−Glu−Glu−Ala−Ala−Asp−Pro(配列番号:29)、Ala−Ala−Ala−Glu−Glu−Asp−Pro(配列番号:30)、Ala−Glu−Ala−Ala−Ala−Asp−Pro(配列番号:31)、Asn−Ser−Asp−Ser−Glu−Asp−Pro(配列番号:32)、Ala−Glu−Glu−Ala−Ala−Thr−Thr−Thr−Asp−Pro(配列番号:33)またはAla−Gul−Glu−Ala−Ala−Thr−Thr−Thr−Ala−Pro−Lys−Asp−Pro(配列番号:34)が挙げられる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の方法において製造の対象にするのは、古細菌由来のエンドグルカナーゼであり、その生産微生物である古細菌の例としてピロコッカス(Pyrococcus)属の微生物が挙げられ、より具体的な例として、ピロコッカス・ホリコシ(Pyrococuus horikoshii)が挙げられる。古細菌由来のエンドグルカナーゼの具体例としては、配列番号:4に記載のアミノ酸配列を有するものが挙げられる。また、このアミノ酸配列をコードする核酸の塩基配列の一例として配列番号3に示す塩基配列が挙げられる。
【0020】
エンドグルカナーゼのごとき加水分解酵素の場合、その活性のためには本来のアミノ酸配列が必須ではなく、酵素全体の内、活性に必須でない領域のアミノ酸配列を、1又は複数のアミノ酸の付加(例えば末端への付加)、除去または欠失、他のアミノ酸による置換、アミノ酸の挿入(配列内部への)、などにより修飾されたアミノ酸配列を有するタンパク質でも、本来の活性を維持していることがよく知られている。
【0021】
従って、本発明のエンドグルカナーゼは、配列番号:4に示すアミノ酸配列を有するもののみならず、配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入および/または付加により修飾されたアミノ酸配列を有し、且つエンドグルカナーゼの酵素活性を維持しているエンドグルカナーゼの変異体も本発明エンドグルカナーゼの範囲に属する。上記のアミノ酸配列の修飾に係るアミノ酸の数は1〜数個、即ち10個以下であることが望ましく、好ましくは7個以下、例えば5個以下、例えば3個以下である。
【0022】
上記の、エンドグルカナーゼのN−末端には、エンドグルカナーゼの生産性を増強するため、1〜複数個、好ましくは1〜20個のアミノ酸を付加する。付加するアミノ酸の数は、例えば1〜15個ていどであり、特に限定されない。付加するアミノ酸の種類は特に限定されず、例えば表1に示す如く、種々のアミノ酸を用いることが出来る。種々のアミノ酸又はアミノ酸配列の具体例として、例えば次のものが挙げられる。
【0023】
Ala、Val、Thr、Asp、Asp−Pro、
Ala−Glu−Asp−Pro(配列番号:28)、
Ala−Glu−Glu−Ala−Ala−Asp−Pro(配列番号:29)、
Ala−Ala−Ala−Glu−Glu−Asp−Pro(配列番号:30)、
Ala−Glu−Ala−Ala−Ala−Asp−Pro(配列番号:31)、
Asn−Ser−Asp−Ser−Glu−Asp−Pro(配列番号:32)、
Ala−Glu−Glu−Ala−Ala−Thr−Thr−Thr−Asp−Pro(配列番号:33)
Ala−Gul−Glu−Ala−Ala−Thr−Thr−Thr−Ala−Pro−Lys−Asp−Pro(配列番号:34)
【0024】
上記のアミノ酸やペプチドには、エンドグルカナーゼが分泌されるために生体膜を通過する過程で有利になると考えられる酸性アミノ酸(Glu,Asp)や小さい中性アミノ酸(Ala,Thrなど)を用いる一方、不利になるようなアミノ酸である塩基性アミノ酸(Arg,Lys)や疎水性の強いアミノ酸(Leu,Ile,Pheなど)を避ける。
【0025】
バチルス・ブレビスを用いる異種タンパク質を菌体外に分泌生産するために使用される遺伝子構築物は、一般にプロモーター、SD配列、適切なシグナルペプチド、目的タンパク質をコードするDNA、およびバチルス・ブレビス菌中で目的タンパク質遺伝子を発現させるために必要な制御配列(プロモーター、ターミネーター等)を含む適切な配列を適切な位置に有するものである。この構築物のために使用できるベクターは特定の種類に制限されず、バチルス・ブレビス菌中で機能し得るものであればよく、プラスミドのように染色体外で自律増殖するものであっても染色体に組込まれるものであってもよい。
【0026】
バチルス・ブレビス由来のプラスミドは特に好ましい。これらには、例えばpHT926(特開平4−216605号公報)、およびこれらを改良した薬剤耐性遺伝子を有するプラスミドが含まれる。バチルス・サチルス(枯草菌)で利用されているpUB110(J. Bacteriol., 134, 318−329 (1978))も利用できる。また、ファージ、トランスポゾン等も利用しうる。本発明に使用できるプロモーター、SD、改良前のシグナルペプチドは特に限定されず、宿主内で機能するものであればいずれでもよいが、バチルス・ブレビス47またはHPD31由来のプロモーター、SD、シグナルペプチドをコードする遺伝子(J. Bacteriol., 170, 935−945 (1988), J. Bacteriol., 172, 1312−1320 (1990))を用いるのが有効である。
【0027】
本発明で使用するシグナルペプチドは、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)(新分類では、ブレビバチルス(Brevibacillus)属に属する)由来のものであり、好ましくはそれを修飾して改良したものである。このシグナルペプチドの本来のアミノ酸配列を配列番号:1に示し、改良されたシグナルペプチドのアミノ酸配列の一例を下記:
【0028】
【化4】
Figure 2004129576
に示し、その具体的な配列の一例を配列番号:2に示す。
【0029】
改良されたシグナルペプチドは、ヒト、動物を含む真核生物の遺伝子を発現・分泌させる場合に特に必要で、改良されたシグナルペプチドを使用しない場合に比べその生産効率は10倍以上になる(Appl. Microbial. Biotechnol., 42, 358−363 (1994);特開平4−103891号公報)。そもそも、シグナルペプチドの改良なしには発現ベクターをバチルス・ブレビスへ導入することが非常に困難である。プラスミドを構築する方法としては、常法が適宜用いられ、例えば、Molecular cloning, a Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (1982) に記載の方法等が例示される。
【0030】
前記条件にて構築された発現ベクターに改変エンドグルカナーゼ遺伝子を挿入したプラスミドを用いて、微生物を形質転換すれば、改変エンドグルカナーゼを効率良く分泌生産しうる形質転換体を得ることができる。外来遺伝子産物をコードする遺伝子を組込んだベクターで形質転換する宿主菌としては、ベクター、プロモーターが発現可能な微生物であれば何れでもよく、本発明ではバチルス・ブレビス細菌が用いられる。バチルス・ブレビスとは好気性のグラム陽性桿菌であり、例えばバチルス・ブレビス47(特開昭60−58074号公報、特開昭62−201583号公報)、バチルス・ブレビスH102(HPD31と同一の菌種)(特開昭63−56277号公報)等が挙げられる。また、これらの変異株も含まれる。
【0031】
微生物を形質転換する方法は公知の方法でよく、例えば、Takahashi らの方法(J. Bacteriol., 156, 1130 (1983))、やTakagiらの方法(Agric. Biol. Chem., 53, 3099−3100 (1989))等が例示される。
【0032】
得られた形質転換体の培養に用いる培地は、形質転換体が生育して、目的とする外来遺伝子産物を生産しうるものであればいかなるものでもよい。該培地に含有される炭素源としては、グルコース、グリセロール、でんぷん、糖蜜、有機酸等が挙げられる。窒素源としては、カゼイン、ペプトン、大豆ペプトン、酵母エキス、肉エキス、カザミノ酸、尿素等の有機窒素源と硫酸アンモニウム、塩酸アンモニウム等の無機窒素源等が挙げられる。また、糖と無機窒素源を主とする合成培地を用いて培養してもよい。栄養要求性を示す菌は、その生育に必要な栄養物質を培地に添加すればよい。該栄養物質としては、アミノ酸類、ビタミン類、核酸塩基等が挙げられる。
【0033】
また、培養に際して必要であれば、培地に抗生物質、例えばアンピシリン、エリスロマイシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール等が加えられる。さらに必要であればTween40等の界面活性剤、グリシン、消泡剤等が加えられる。
培地のpHは5〜9.5であり、より好ましくは6〜8である。好気的条件下で、培養温度は通常20℃〜40℃であり、培養時間は48〜200時間である。
【0034】
本発明によって菌体外に分泌されたタンパク質は、当該者によく知られた方法に従って培養後の培地から分離精製することができる。例えば、菌体を遠心分離等により除去した後、塩析、エタノール沈殿、限外濾過、ゲル濾過、イオン交換カラムクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィー、等電点電気泳動等の既知の適切な方法、またはこれらを組み合わせることによって分離精製することができる。
【0035】
【実施例】
本発明は以下の実施例および添付の図面によって、さらに具体的に説明されるが、これらはいかなる意味でも本発明を限定するものと解してはならない。
実施例において使用された発現・分泌ベクターは次の種類がある。枯草菌などで頻用されるpUB110(Plasmid 15, 93−103 (1986))をベースとして、その複製起点、pHW1(J. Bacteriol., 150, 804−814 (1982))のエリスロマイシン耐性遺伝子を有するプラスミドへバチルス・ブレビス47菌の細胞表層タンパク質遺伝子(mwp)(J. Bacteriol., 170, 176−186 (1988))のプロモーター領域、さらにシグナルペプチドをコードする領域を挿入したpNU210(Methods Enzymol., 217,23−33 (1993))が作成された。
【0036】
プラスミドpNU212はpNU210のmwpの翻訳開始コドン近傍の1塩基を変更してBspHIサイトを造成し(pNU211の作成)、pNU211にある2ヶ所のNcoIサイトのうち、シグナルペプチド領域のサイトのみに変更してpNU212を作成した(Appl. Microbiol. Biotechnol., 42, 358−363 (1994))。
【0037】
プラスミドpNH326はpNH300のmwpシグナル配列をR2L6シグナル配列(Appl. Microbiol. Biotechnol., 42, 358−363 (1994))に変更して作成したものである(Appl. Environ. Microbiol., 66, 304−309 (2000))。プラスミドpNH300はP4、P5のプロモーター領域、mwpシグナル配列、並びにマルチクローニングサイトを有するpNU210のDNA断片をpUB110(Plasmid, 15, 93−103 (1986))に挿入して作成した。ベクターpNH300及びpNH326はネオマイシン耐性遺伝子のみを有し、これらプラスミドによる形質転換株の選択に使用する。
【0038】
実施例1. アミノ末端へ1ないし複数個のアミノ酸を付加したエンドグルカナーゼをコードする塩基配列を有する発現ベクターの調製
発現・分泌ベクターの構築の代表例として、アミノ末端にアミノ酸を付加したエンドグルカナーゼ遺伝子を発現ベクターに組込む様式を図1に示した。
【0039】
(1)プラスミドpNUR2L6−EGの構築
プラスミドpNU212をBspHI−HindIII にて消化して得られる約4.3kbの断片に、pNH326をBspHI−HindIII にて消化して得られる約100bpの断片を連結し、プラスミドpNUR2L6を得た。
ピロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)由来のエンドグルカナーゼ遺伝子をコードするORF(PH1171)(配列番号4)を有するプラスミドpET−EGPh(Appl. Environ. Microbiol., 68, 430−433 (2002))を鋳型として、順方向プライマー(配列番号5)および逆方向プライマー(配列番号6)を用いてPCRを行い、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。
【0040】
得られた断片をNcoI−XbaIによって消化し、プラスミドpNUR2L6をNcoI−XbaIにて消化して得られる約4.3kbの断片と連結することによって、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端には何も付加されない、エンドグルカナーゼ発現プラスミド(pNUR2L6−EG)を調製した。本プラスミド中のエンドグルカナーゼ遺伝子およびその近傍の塩基配列はABI prism 310 DNAシークエンサーを用いてプロモーター領域からエンドグルカナーゼ遺伝子の下流領域までの約1.5kbの塩基配列が正しいことを確認した。
配列番号5;5’−CATGCCATGG CTTTCGCTGA AAATACAACA TATCAAACAC CGA−3’
配列番号6;5’−GCTCTAGATC AAAGAACTTT TGGAACAACT AT
【0041】
(2)プラスミドpNUR2L6−A−EGの構築
上記pET−EGPhを鋳型として、順方向プライマー(配列番号7)および逆方向プライマー(配列番号6)を用いたPCRを実施し、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。得られた断片をPstI−XbaIによって消化し、プラスミドpNUR2L6をPstI−XbaIにて消化して得られる約4.4kbの断片と連結することによって、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端にAlaが付加されるように、エンドグルカナーゼ発現プラスミド(pNUR2L6−A−EG)を調製した。この塩基配列の正しいことを上記(1)と同様の方法で確認した。
配列番号7;5’−AACTGCAGAA AATACAACAT ATCAAACACC GA−3’
配列番号6;5’−GCTCTAGATC AAAGAACTTT TGGAACAACT AT−3’
【0042】
(3)プラスミドpNUR2L6−V−EGの構築
上記と同一の鋳型を使用し、配列番号8(順方向)および配列番号6の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。その後は、上記(1)と同様の方法でエンドグルカナーゼのアミノ末端にValが付加したエンドグルカナーゼを発現するプラスミドを調製した。
配列番号8;5’−CATGCCATGG CTTTCGCAGT AGAAAATACA ACATATCAAA CACCGA−3’
【0043】
(4)プラスミドpNUR2L6−D−EGの構築
上記と同一の鋳型を使用し、配列番号9(順方向)および配列番号6の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。その後は、上記(1)と同様の方法でエンドグルカナーゼのアミノ末端にAspが付加したエンドグルカナーゼを発現するプラスミドを調製した。
配列番号9;5’−CATGCCATGG CTTTCGCAGA TGAAAATACA ACATATCAAA CACCGA−3’
【0044】
(5)プラスミドpNUR2L6−T−EGの構築
上記と同一の鋳型を使用し、配列番号10(順方向)および配列番号6の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。その後は、上記(1)と同様の方法でエンドグルカナーゼのアミノ末端にThrが付加したエンドグルカナーゼを発現するプラスミドを調製した。
配列番号10;5’−CATGCCATGG CTTTCGCAAC TGAAAATACA ACATATCAAA CACCGA−3’
【0045】
(6)プラスミドpNUR2L6−DP−EGの構築
上記と同一の鋳型を使用し、配列番号11(順方向)および配列番号6の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。その後は、上記(1)と同様の方法でエンドグルカナーゼのアミノ末端にAsp−Proが付加したエンドグルカナーゼを発現するプラスミドを調製した。
配列番号11;5’−CATGCCATGG CTTTCGCAGA TCCAGAAAAT ACAACATATC AAACACCGA−3’
【0046】
(7)プラスミドpNUR2L6−AEDP−EGの構築
上記鋳型を使用し、配列番号12および配列番号6のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。得られた断片をBamHI−XbaIによって消化し、プラスミドpNUR2L6をBamHI−XbaIにて消化して得られる約4.3kbp の断片と連結し、プラスミドpNUR2L6cEGを得た。
【0047】
得られたプラスミドpNUR2L6cEGをNcoI−BamHIによって消化して得られる約5.6kbp のDNA断片に、互いに相補的なオリゴヌクレオチドIP1(配列番号13)およびIP2(配列番号14)同士をアニールさせることによって調製した2本鎖DNA断片を結合し、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端にAla−Glu−Asp−Proの配列(配列番号:28)が付加されるように、エンドグルカナーゼ発現プラスミド(pNUR2L6−AEDP−EG)を調製した。塩基配列の確認も行った。
配列番号12;5’−CGGGATCCGG AAAATACAAC ATATCAAACA CCGA−3’
配列番号13;5’−CATGGCTTTC GCAGCAGAA−3’
配列番号14;5’−GATCTTCTGC TGCGAAAGC−3’
【0048】
(8)プラスミドpNUR2L6−AEEAADP−EGの構築
プラスミドpNUR2L6cEGをNcoI−BamHIにて消化して得られる約5.6kbのDNA断片に、互いに相補的なオリゴヌクレオチドIP5(配列番号15)およびIP6(配列番号16)同士をアニールさせた2本鎖DNA断片を結合し、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端にAla−Glu−Glu−Ala−Ala−Asp−Proの配列(配列番号:29)が付加されるように、エンドグルカナーゼ発現プラスミドを調製した。塩基配列の確認も行った。
配列番号15;5’−CATGGCTTTC GCAGCAGAAG AAGCAGCA−3’
配列番号16;5’−GATCTGCTGC TTCTTCTGCT GCGAAAGC−3’
【0049】
(9)プラスミドpNUR2L6−AAAEEDP−EGの構築
プラスミドpNUR2L6cEGをNcoI−BamHIにて消化して得られる約5.6kbのDNA断片に、互いに相補的なオリゴヌクレオチドIP7(配列番号17)およびIP8(配列番号18)同士をアニールさせた2本鎖DNA断片を結合し、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端にAla−Ala−Ala−Glu−Glu−Asp−Proの配列(配列番号:30)が付加されるように、エンドグルカナーゼ発現プラスミドを調製した。塩基配列の確認も行った。
配列番号17;5’−CATGGCTTTC GCAGCAGCAG CTGAAGAA−3’
配列番号18;5’−GATCTTCTTC AGCTGCTGCT GCGAAAGC−3’
【0050】
(10)プラスミドpNUR2L6−AEAAADP−EGの構築
プラスミドpNUR2L6cEGをNcoI−BamHIにて消化して得られる約5.6kbのDNA断片に、互いに相補的なオリゴヌクレオチドIP9(配列番号19)およびIP10(配列番号20)同士をアニールさせた2本鎖DNA断片を結合し、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端にAla−Glu−Ala−Ala−Ala−Asp−Proの配列(配列番号:31)が付加されるように、エンドグルカナーゼ発現プラスミドを調製した。塩基配列も確認した。
配列番号19;5’−CATGGCTTTC GCAGCAGAAG CAGCAGCA−3’
配列番号20;5’−GATCTGCTGC TGCTTCTGCT GCGAAAGC−3’
【0051】
(11)プラスミドpNUR2L6−NSDSEDP−EGの構築
プラスミドpNUR2L6cEGをNcoI−BamHIにて消化して得られる約5.6kbのDNA断片に、互いに相補的なオリゴヌクレオチドIP11(配列番号21)およびIP12(配列番号22)同士をアニールさせた2本鎖DNA断片を結合し、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端にAsn−Ser−Asp−Ser−Glu−Asp−Proの配列(配列番号:32)が付加されるように、エンドグルカナーゼ発現プラスミドを調製した。塩基配列も確認した。
配列番号21;5’−CATGGCTTTC GCAAACAGTG ATAGTGAA−3’
配列番号22;5’−GATCTTCACT ATCACTGTTT GCGAAAGC−3’
【0052】
(12)プラスミドpNUR2L6−AEEAATTTDP−EGの構築
プラスミドpNUR2L6cEGをNcoI−BamHIにて消化して得られる約5.6kbのDNA断片に、互いに相補的なオリゴヌクレオチドIP13(配列番号23)およびIP14(配列番号24)同士をアニールさせた2本鎖DNA断片を結合し、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端にAla−Glu−Glu−Ala−Ala−Thr−Thr−Thr−Asp−Pro(配列番号:33)の配列が付加されるように、エンドグルカナーゼ発現プラスミドを調製した。塩基配列も確認した。
配列番号23;5’−CATGGCTTTC GCAGCAGAAG AAGCAGCAAC TACTACA−3’
配列番号24;5’−GATCTGTAGT AGTTGCTGCT TCTTCTGCTG CGAAAGC−3’
【0053】
(13)プラスミドpNUR2L6−AEEAATTTAPKDP−EGtの構築
上記(1)のpET−EGPhを鋳型に使用し、配列番号12および配列番号27のオリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。得られた断片をBamHI−XbaIによって消化し、プラスミドpNUR2L6をBamHI−XbaIにて消化して得られる約4.3kbp の断片と連結し、プラスミドpNUR2L6cEGtを得た。
【0054】
EGtは配列番号3に示すエンドグルカナーゼ遺伝子からコードされるポリペプチド(シグナルペプチドを除く、第1アミノ酸残基から第430アミノ酸残基まで)であり、EGはEGtよりカルボキシ末端から42アミノ酸残基少ないポリペプチド。
【0055】
得られたプラスミドpNUR2L6cEGtをNcoI−BamHIによって消化して得られる約5.6kbのDNA断片に、互いに相補的なオリゴヌクレオチドIP15(配列番号25)およびIP16(配列番号26)同士をアニールさせた2本鎖DNA断片を結合し、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端にAla−Glu−Glu−Ala−Ala−Thr−Thr−Thr−Ala−Pro−Lys−Asp−Pro(配列番号:34)の配列が付加されるように、エンドグルカナーゼ発現プラスミドを調製した。
【0056】
本プラスミド中のエンドグルカナーゼ遺伝子およびその近傍の塩基配列はABI prism 310 DNAシークエンサーを用いてプロモーター領域からエンドグルカナーゼ遺伝子の下流領域までの約1.5kbp の塩基配列が正しいことを確認した。
配列番号25;5’−CATGGCTTTC GCAGCAGAAG AAGCAGCAAC TACTACAGCT CCAAAG−3’
配列番号26;5’−GATCCTTTGG AGCTGTAGTA GTTGCTGCTT CTTCTGCTGC GAAAGC−3’
配列番号27;5’−GCTCTAGACT ACCTGGGAGC CCTTCTTAAG−3’
【0057】
(14)プラスミドpNU212−EGの構築
上記(1)のpET−EGPhを鋳型として、配列番号5および配列番号6の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしたPCRを実施し、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。得られた断片をNcoI−XbaIにて消化し、プラスミドpNU212をNcoI−XbaIにて消化して得られる断片約4.3kbの断片と連結することによって、分泌されるエンドグルカナーゼの末端には何も付加されない、エンドグルカナーゼ発現プラスミド(pNU212−EG)を調製した。また、本発現プラスミドは、改良配列ではなく原配列のシグナルペプチドを有する。塩基配列も確認した。
【0058】
(15)プラスミドpNU212−A−EGの構成
上記(1)のpET−EGPhを鋳型として、配列番号7および配列番号6の合成オリゴヌクレオチドをプライマーに用いてPCRを行い、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。得られた断片をPstI−XbaIによって消化し、プラスミドpNU212をPstI−XbaIで消化してえられる約4.3kbの断片と連結することによって、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端にAlaが付加されるように、発現プラスミド(pNU212−A−EG)を調製した。塩基配列も確認した。
【0059】
(16)プラスミドpNU212−A−EGtの構築
上記(1)のpET−EGPhを鋳型として、配列番号7および配列番号27の合成オリゴヌクレオチドをプライマーとしてPCRを行い、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調整した。この後のプラスミド調製過程は上記(15)の場合と全く同様であるが、得られた発現プラスミドはpNU212−A−EGtであった。塩基配列も確認した。
【0060】
(17)プラスミドpNH326−A−EGの構築
上記(1)のpET−EGPhを鋳型として、EG3(配列番号7)およびEG2(配列番号6)をプライマーとしたPCRを実施し、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。得られた断片をPstI−XbaIによって消化し、プラスミドpNH326をPstI−XbaIにて消化して得られる約3.9kbp の断片と連結することによって、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端にAlaが付加されるように、エンドグルカナーゼ発現プラスミドを調製した。本プラスミド中のエンドグルカナーゼ遺伝子およびその近傍の塩基配列はABI prism 310 DNAシークエンサーを用いてプロモーター領域からエンドグルカナーゼ遺伝子の下流領域までの約1.5kbp の塩基配列が正しいことを確認した。
【0061】
(18)プラスミドpNH326−A−EGtの構築
上記(1)のpET−EGPhを鋳型として、EG3(配列番号7)およびEG8(配列番号27)をプライマーとしたPCRを実施し、エンドグルカナーゼをコードするDNA断片を調製した。得られた断片をPstI−XbaIによって消化し、プラスミドpNH326をPstI−XbaIにて消化して得られる約3.9kbp の断片と連結することによって、分泌されるエンドグルカナーゼのN末端にAlaが付加されるように、エンドグルカナーゼ発現プラスミドを調製した。本プラスミド中のエンドグルカナーゼ遺伝子およびその近傍の塩基配列はABI prism 310 DNAシークエンサーを用いてプロモーター領域からエンドグルカナーゼ遺伝子の下流領域までの約1.5kbp の塩基配列が正しいことを確認した。
【0062】
実施例2. 発現ベクターを有するバチルス・ブレビスによるエンドグルカナーゼの分泌生産
実施例1の(1)〜(18)で構築した各種発現ベクター・プラスミドによってバチルス・ブレビスHPD31株、或いは31−OK株を形質転換し、得られた形質転換体を好気的に培養することによって、エンドグルカナーゼを培養液中に分泌生産させた。生産はそれぞれの菌を生産用培地(3%ポリペプトン−S、0.8%酵母エキス、3%グルコース、その他、必要に応じて各種金属塩、Tween−40、エリスロマイシン、ネオマイシン等を含有する)に接種し、30℃、振とう培養で数日間培養することにより行った。それらの培養液の上清中のエンドグルカナーゼ活性を測定した結果を表1に示す。
【0063】
分泌生産されたエンドグルカナーゼ量は、カルボキシメチルセルロース(CMC)を基質として活性を測定することにより測定した。0.2mlの1%CMC水溶液と0.2mlの0.2M酢酸緩衝液(pH5.6)を混合し、これに50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)に対して一晩透析した培養液上清を加え、85℃にて反応させた。0.2mlの反応液と0.4mlのSomogi銅液を混合し、沸騰浴中にて20分間加熱した後、0.4mlのNelson試薬を混合した。
【0064】
この溶液の、500nmにおける吸光度を測定し、別にグルコースを用いて作成した検量線より、還元性末端量(Main)を測定した。また、培養液の代わりに50mMトリス−塩酸緩衝液(pH5.6)を用いたブランク1、CMCの代わりに水を用いたブランク2を同様に処理し、それぞれの還元性末端量を測定した。Mainの値とブランク1およびブランク2の差を算出することにより、反応によって増加した還元性末端量を求めた。活性1単位(U)はCMCから1分間に1mgグルコースに相当する還元力を生じる酵素量と定義した。精製酵素の比活性は8.5U/mgタンパク質であった。
【0065】
【表1】
Figure 2004129576
【0066】
表1から、エンドグルカナーゼ生産量は、そのアミノ末端に1ないし数個のアミノ酸を付加した場合にアミノ酸を付加しない場合の生産量の5〜20数倍になり、顕著に増加することが分かる。また、本酵素の生産量をその比活性で重量に換算すると、効率よい場合は1リットル当たり100mg以上であり、大腸菌による生産量の約100倍であった。
【0067】
実施例1の(2)及び(13)の発現ベクターによって得られたエンドグルカナーゼを含有する培養液を遠心分離し、菌体を除いた後、硫安塩析、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー等により、電気泳動的に単一に精製した。そのタンパク質の分子量、酵素活性、耐熱性、最適pH、基質特異性、などは、大腸菌で生産されたものと一致した。アミノ末端のアミノ酸配列を決定したところ、(2)及び(13)のどちらの場合もA或いはAEEAATTTAPKDPの付加したエンドグルカナーゼが生産されていることが明らかになり、それらの付加アミノ酸やペプチドが酵素の性質に有意の影響を与えていないことが示された。
【0068】
【配列表】
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576
Figure 2004129576

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の発現プラスミドpNUR2L6−X−EGの構築過程を示す図である。

Claims (7)

  1. バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)由来のシグナルペプチド領域をコードするDNA配列の下流に、超好熱性古細菌由来でアミノ末端(N−末端)に1ないし20個のアミノ酸を付加したエンドグルカナーゼをコードする核酸配列が接続された遺伝子発現ベクターを有するバチルス(Bacillus)属細菌を培養し、エンドグルカナーゼを産生および分泌させることを特徴とする、古細菌由来超耐熱性エンドグルカナーゼの製造方法。
  2. 前記シグナルペプチドがバチルス・ブレビス由来で細胞表層タンパク質遺伝子のシグナルペプチドを改変した下記のアミノ酸配列:
    Figure 2004129576
    を有するペプチドである請求項1記載の方法。
  3. 前記エンドグルカナーゼがピロコッカス(Pyrococcus)属古細菌由来のエンドグルカナーゼである請求項1及び2記載の方法。
  4. 前記エンドグルカナーゼが配列番号4に示すアミノ酸配列を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記エンドグルカナーゼが、配列番号4に記載のアミノ酸配列において、1〜数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入および/または付加により修飾されたアミノ酸配列を有する請求項1〜3に記載の方法。
  6. 前記エンドグルカナーゼのN−末端に付加されるアミノ酸の数が1〜15個である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記エンドグルカナーゼのN−末端に付加されるアミノ酸が、次のアミノ酸またはアミノ酸配列:Ala、Val、Thr、Asp、Asp−Pro、Ala−Glu−Asp−Pro(配列番号:28)、Ala−Glu−Glu−Ala−Ala−Asp−Pro(配列番号:29)、Ala−Ala−Ala−Glu−Glu−Asp−Pro(配列番号:30)、Ala−Glu−Ala−Ala−Ala−Asp−Pro(配列番号:31)、Asn−Ser−Asp−Ser−Glu−Asp−Pro(配列番号:32)、Ala−Glu−Glu−Ala−Ala−Thr−Thr−Thr−Asp−Pro(配列番号:33)またはAla−Gul−Glu−Ala−Ala−Thr−Thr−Thr−Ala−Pro−Lys−Asp−Pro(配列番号:34)を構成する、請求項6に記載の方法。
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