JP2004141018A - 海藻類養殖網用ポリアミド繊維 - Google Patents

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山口 創
Kuniyoshi Nakagawa
中川 訓由
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Abstract

【課題】胞子の付着性が良く、強度や耐屈曲疲労性に優れ、しかも簡便かつ低コストで製造できる海藻類養殖網用ポリアミド繊維を提供する。
【解決手段】海藻類養殖網に用いられるポリアミド繊維であって、ポリアミド繊維には吸水性樹脂が含有され、好ましくはポリアルキレンオキシド変性物が1〜10質量%含有されていることを特徴とする海藻類養殖網用ポリアミド繊維。その繊維表面に幅2μm以下の微細なスジを多数有していると、胞子の付着・生育性がさらに向上するので好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、海苔等の海藻類を養殖するのに使用される海藻類養殖網を構成するための、海藻類養殖網用ポリアミド繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、海苔網等の海藻類養殖網としては、ビニロン繊維を主体として構成されたものがよく知られている。ビニロン繊維は海苔等の海藻類の付着性に優れていることから、現在も海藻類養殖網に広く用いられており、特に有明海に代表されるような波浪条件の穏やかな湾内では、網地の強度がさほど必要とされないため、ビニロン繊維100%使いの網地が多用されている。
【0003】
しかしながら、波浪条件が厳しく、網地やロープに大きな力のかかる場所で行われる浮き流し式の海苔網の場合には、ビニロン繊維のみでは求められる強度や耐屈曲疲労性を満足する海苔網を構成することが困難であるため、ポリアミド繊維やポリエステル繊維等、ビニロン繊維より強度特性に優れた繊維をビニロン繊維と交撚した状態で使用されている。かかる交撚糸の使用により海苔網の強度特性が向上する反面、海苔胞子の付着性の低下、ひいては海苔の収量が低下するという問題点を有していた。
そのような問題点を解決するものとして、1分子中に3個以上の水酸基を有するタンニン酸等の化合物でポリアミド繊維等を処理することにより海苔胞子付着性を向上させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)が、この方法は加工工程が複雑であり、コスト高にもなる。
【0004】
【特許文献1】
特公平7−8188号公報(第2頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来技術に鑑み、本発明は、胞子の付着性が良く、強度や耐屈曲疲労性に優れ、しかも簡便かつ低コストで製造できる海藻類養殖網用ポリアミド繊維を提供することを課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成すべく、海藻類養殖網に用いられるポリアミド繊維であって、ポリアミド繊維には吸水性樹脂が含有されていることを特徴とする海藻類養殖網用ポリアミド繊維を要旨とするものであり、さらには、海藻類養殖網に用いられるポリアミド繊維であって、ポリアミド繊維にはポリアルキレンオキシド変性物が1〜10質量%含有されていることを特徴とする海藻類養殖網用ポリアミド繊維を要旨とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の海藻類養殖網用ポリアミド繊維は、吸水性樹脂を含有するポリアミド繊維よりなる。
本発明のポリアミド繊維を構成するポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド46、ポリアミド66、ポリアミド610等が挙げられ、これらを単独あるいは共重合やブレンドしたものを用いることができる。なかでも安価で優れた強力と耐久性を有するポリアミド6が好ましい。
【0008】
ポリアミド繊維の形態としては、マルチフィラメントでもモノフィラメントでもよい。また、繊維を形成する単繊維の断面形状も特に限定されるものではなく、例えば円形、楕円形、3角形、T字形、Y字形、H字形、十字形、5〜8葉等の多葉形、正方形、長方形、菱形、繭型、馬蹄型等の断面形状あるいはこれらの形状を一部変更した断面形状を採用することができ、それらの各種断面形状の繊維を適宜組み合わせて用いることもできる。また、複合断面でもよい。
マルチフィラメントの場合には、マルチフィラメントの繊度としては220〜550dtex程度が好ましく、マルチフィラメントを構成する単糸の繊度としては3.3〜22dtex程度が好ましい。
モノフィラメントの場合には、その繊度としては、網糸として撚糸する場合の収束性、耐久性及び製織性を考慮して、55〜1100dtex程度が好ましく、220〜670dtexがより好ましい。
【0009】
本発明において重要なことは、ポリアミド繊維に吸水性樹脂が含有されていることである。ポリアミド繊維に吸水性樹脂が含有されていることにより、繊維の保水力が高まるので、海藻類の胞子が付着し易いだけでなく、付着した胞子から発芽した海藻類の定着が良好であり、結果として海藻類の生育が促進されるのである。ポリアミド繊維に含有される吸水性樹脂としては、特に限定されるものではなく、一般に吸水性樹脂として知られている合成樹脂を用いることができるが、好ましくは熱可塑性の吸水性樹脂が用いられる。熱可塑性の吸水性樹脂であれば、溶融紡糸時にポリアミド樹脂と溶融混合して用いることにより、繊維中に均一に分散させて含有させることができるので、後加工処理により含有させる場合に比べて吸水性樹脂の脱落の心配が無く耐久性が良くなる。そのような熱可塑性の吸水性樹脂として特に好ましいのはポリアルキレンオキシド変性物であり、より具体的には、住友精化株式会社製「アクアコーク(商品名)」、明成化学株式会社製「アクアプレーン(商品名)」等を例示できる。
【0010】
本発明に用いられるポリアルキレンオキシド変性物の溶融粘度としては、170℃で4900Paの圧力を印加して測定される溶融粘度が、100〜2000Pa・secであることが好ましい。上記溶融粘度が100Pa・sec未満であると、吸水時にゲルが繊維表面に溶出するおそれがあるので好ましくない。一方、2000Pa・secを超えると、ポリアミドとの分散性が悪くなり曳糸性に悪影響を与え、目的とする繊維を得るのが難しくなるので好ましくない。
【0011】
本発明のポリアミド繊維における吸水性樹脂の含有率としては、1〜10質量%、さらには3〜8質量%が好ましい。吸水性樹脂の含有率が1質量%未満では目的とする効果が得られ難く、一方、10質量%を超えると過剰な吸水により繊維の寸法安定性が悪くなるので好ましくない。
なお、本発明においてポリアミド繊維に吸水性樹脂を含有させる方法としては、特に限定されるものではないが、繊維製造の際にポリアミド樹脂とブレンドして紡糸する方法が好ましく採用される。
【0012】
さらに、本発明のポリアミド繊維の表面には、海苔等の海藻類胞子の付着・生育性をより高める点で、微細な凹部や亀裂を有することが好ましく、具体的には幅2μm以下の微細なスジを有することがより好ましい。そのような微細なスジ等が繊維表面に存在することで、海苔等の海藻類の胞子が付着・生育するのに好適な土台を提供できる。
なお、そのような微細な凹部や亀裂を繊維表面に形成する方法としては、繊維表面を薬剤で溶解する公知の方法や、サンドペーパー等の擦過材で擦過する方法等を採用することができるが、後者の方法が簡便で好ましく採用できる。
【0013】
また、本発明のポリアミド繊維には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク等の各種無機粒子、架橋高分子粒子、各種金属粒子、老化防止剤、抗酸化剤、着色防止剤、耐光剤、包接化合物、帯電防止剤、各種着色剤、各種界面活性剤、各種強化繊維類(フィラー)等が添加されていてもよい。
【0014】
上記したような構成を有する本発明の海藻類養殖網用ポリアミド繊維は、それ自体単独で用いて、あるいは他の繊維と混用して海藻類養殖網を製造するのに供することができる。
【0015】
本発明のポリアミド繊維を用いて海藻類養殖網を製造するにあたっては、該ポリアミド繊維を単独で必要本数収束して用いることができる。また、公知のポリアミド繊維、ポリエステル繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維およびポリエチレン繊維から選ばれた1種以上の繊維と交撚して用いることにより、海藻類養殖網の各種特性、例えば網強度、柔軟性、乾燥性、寸法安定性、海藻胞子の付着性、海藻胞子の間引き性及び比重等の特性を、使用目的に応じて調整することができる。特に、公知のポリアミド繊維、ポリエステル繊維及びビニロン繊維から選ばれた1種以上の繊維と交撚して用いることが好ましい。
なお、上記のように、本発明のポリアミド繊維を他の繊維と交撚して用いる場合の交撚比率としては、目的、要求特性により異なるが、本発明のポリアミド繊維が網糸の総繊度の20%以上を占めるようにすることが好ましい。
【0016】
上記のようにして本発明のポリアミド繊維を用いて得られる海藻類養殖網は、ポリアミド繊維に特有の良好な強度特性及び耐屈曲疲労性を具備すると共に、含有された吸水性樹脂の作用により海苔、もずく等の海藻の付着・生育性が良好である。したがって、本発明の海藻類養殖用ポリアミド繊維は、海藻類養殖用網、特に海苔養殖用網の構成素材として好適である。
なお、本発明の海藻類養殖網用ポリアミド繊維とは、狭義の網のみならず、狭義の網を使用するのと同様に海藻類を付着させ生育する目的で使用される海藻類養殖用ロープ類に用いられる場合をも含むものである。
【0017】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
なお、実施例及び比較例におけるポリアミド繊維の特性は方法により試験して評価した。
(1)繊維の強度及び伸度
JIS L−1013に準じて、引張り試験機(島津製作所製、オートグラフDSS−500)を用いて、試料長25cm、引張速度30cm/minで測定した。
(2)海苔胞子付着数試験
枝付ビーカに海水と海苔胞子種貝を入れ、この枝付きビーカー内の海水中に長さ5cmの各々のサンプル糸条を吊し、これを18℃に保持されたインキュベータ中において3000ルックスの光を1日あたり10時間照射することを1週間繰り返すことによりサンプルに海苔胞子を付着させた後、サンプル表面を顕微鏡下100倍の倍率で観察した時の1視野中の胞子を合計10視野計数し、1視野あたり胞子数を平均値として求め海苔胞子付着数Aとした。
(3)海苔胞子残存率試験
上記の海苔胞子付着数試験により胞子を付着させたサンプル糸条を300ccの海水と共に500ccのビーカに入れ、マグネットスターラーで300rpm×5分間撹拌した後、サンプル表面を顕微鏡下100倍の倍率で観察した時の1視野中の胞子を合計10視野計数し、1視野あたり胞子数を平均値として求めBとした。このBの値を上記の海苔胞子付着数Aで除した値に100を乗じて胞子残存率Cとした。
【0018】
実施例1
ポリアミド6チップと吸水性樹脂であるポリアルキレンオキシド変性物(住友精化株式会社製「アクアコーク(商品名)」)とを質量比で95/5の割合でブレンドしたものを、スクリュ径40mmの1軸エクストルダーに連続供給し、常法に従って紡糸パックを通して円形断面糸用紡糸口金よりモノフィラメントとして紡出した。紡出したモノフィラメントを20℃の水槽で冷却後、常法により合計5.0倍に延伸及び熱セットを行ない、ボビンに捲取ることにより、断面が円形、繊度が600dtexである本発明の海藻類養殖網用ポリアミド繊維(モノフィラメント)を得た。
【0019】
実施例2
実施例1の手順において、ボビンに捲取る前に800メッシュのサンドペーパーを接触させて表面を軽く擦過することにより表面に幅1.5μmのスジを多数形成させる以外は実施例1と同様にして、断面が円形、繊度が600dtexであり、表面に微細なスジを多数有する本発明の海藻類養殖網用ポリアミド繊維(モノフィラメント)を得た。
【0020】
比較例1
吸水性樹脂を用いずポリアミド6チップのみを用いる以外は実施例1と同様にして、断面が円形、繊度が600dtexである比較用のポリアミド繊維(モノフィラメント)を得た。
【0021】
比較例2
吸水性樹脂を用いずポリアミド6チップのみを用いる以外は実施例2と同様にして、断面が円形、繊度が600dtexであり、表面に微細なスジを多数有する比較用のポリアミド繊維(モノフィラメント)を得た。
【0022】
実施例及び比較例で得られたポリアミド繊維についての特性を調べた結果につて下記表1に示す。
表1に示されるように、実施例で得られた本発明の海藻類養殖網用ポリアミド繊維は、吸水性樹脂が含有されているので、海苔胞子の付着数、残存率ともに、吸水性樹脂が含有されていない比較例のものに比べて大きく向上しており、海藻類養殖に好適な特性を有していることがわかった。
【0023】
【表1】
Figure 2004141018
【0024】
【発明の効果】
本発明の海藻類養殖網用ポリアミド繊維は、ポリアミド繊維特有の優れた強伸度特性、耐屈曲疲労性を具備していると共に、吸水性樹脂を含有していることにより海藻類胞子の付着性に優れている。したがって、本発明のポリアミド繊維を用いて海藻類養殖網を製網することにより、特別な後加工を要することなしに海藻類養殖に好適な生育性のよい丈夫な海藻類養殖網を提供することができ、特に、波浪条件が厳しく、網地やロープに大きな力のかかる場所で行われる浮き流し式の海苔網等に最適である。

Claims (2)

  1. 海藻類養殖網に用いられるポリアミド繊維であって、ポリアミド繊維には吸水性樹脂が含有されていることを特徴とする海藻類養殖網用ポリアミド繊維。
  2. 海藻類養殖網に用いられるポリアミド繊維であって、ポリアミド繊維にはポリアルキレンオキシド変性物が1〜10質量%含有されていることを特徴とする海藻類養殖網用ポリアミド繊維。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017209268A1 (ja) * 2016-06-03 2017-12-07 ユニチカ株式会社 耐摩耗性に優れるポリアミド繊維およびその製造方法
JP2023532486A (ja) * 2020-06-25 2023-07-28 ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド 海藻養殖システム

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