JP2004143257A - 高損失樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な方法で製造可能であり、優れた耐振性を有する材料を開発すること。
【解決手段】強誘電性ポリマーに導電性材料を含有させることにより、安価でかつ優れた耐振性を有する材料が得られた。
【解決手段】強誘電性ポリマーに導電性材料を含有させることにより、安価でかつ優れた耐振性を有する材料が得られた。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は損失の大きい樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、制振材のような振動エネルギーを吸収する材料として、塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添加した軟質の塩化ビニル系樹脂が知られている。この軟質塩化ビニル系樹脂は、振動エネルギーを樹脂内部において摩擦熱として消費することで、その減衰が図られるようになっていたが、十分な振動の吸収、減衰ができなかった。
【0003】
また制振材料としては、加工性、機械的強度、材料コストの面から優れるブチルゴムやNBRなどのゴム材料が多く用いられている。ところがこのゴム材料は、一般の高分子の中では最も減衰性(振動エネルギーの伝達絶縁性能、あるいは伝達緩和性能)に優れてはいるものの、ゴム材料単独で制振材料として使用するには減衰性が低く、例えば建造物や機器類の制振には、ゴム材料と鋼鈑とを積層した積層体、あるいはこれに塑性変形して振動エネルギーを吸収する鉛コアや、オイルダンパーを組み合わせた制振構造体という複合形態で使用されていた。
【0004】
従来の制振材料としてのゴム材料は、上記の如く単独では使用できず、複合化を余儀なくされていたので、必然的にその防振構造も複雑なものとなってしまうことから、制振材料自身、ゴム材料自身の高減衰性が求められていた。
【0005】
一方、高分子材料と圧電性粉末材料とを主成分とした組成物が開示されている(例えば特許文献1参照。)。ここでは、高分子材料と圧電性粉末の組成物は圧電性により、振動エネルギーを電気エネルギーに変換し、生じた電気エネルギーをジュール熱によって消費、振動を吸収、減衰させるものである。ところが、この組成物においては圧電性粒子を50質量%以上含むように配合しないと十分な効果が得られない、しかし、そのように配合すると溶融状態での流動性が低くなり、混練や成形が困難となる。また、圧電性粒子にジルコン酸チタン酸鉛や、チタン酸バリウムなどのセラミクスを用いているため、質量が大きくなるという欠点があった。
【0006】
また、圧電性フィルムとフィルム表面に形成された導電層からなる制振材用フィルムも提案されている(例えば特許文献2参照。)。しかしながら、圧電性フィルムとして実用に供されているのはポリフッ化ビニリデン系ポリマによるもののみであった。ポリフッ化ビニリデン系ポリマは高価であり、加えて製膜が困難であるため大面積のフィルムを大量に作ることには難があるため、制振材用フィルムとしては実用化には至っていない。また、安価で製膜の容易な圧電性フィルムを用いた例として、ポリアミド系ポリマを利用した圧電性フィルムも提案されている(例えば特許文献3参照。)。しかしながらフィルムに圧電性を発現させるためには分極処理を必要とするため、その製造に特殊な装置が必要であり製造コストが上昇するという問題があった。
【0007】
また、高分子母材中に双極子モーメント量を増加させる活性成分が含まれる制振材料が開示されたものがある(例えば特許文献4参照。)。ところが、この材料で用いられる活性成分は低分子化合物であり、使用中に母材から滲みだして性能が低下するという欠点があった。
【0008】
【特許文献1】特開昭60−51750号公報
【特許文献2】特開平5−87186号公報
【特許文献3】特開平8−305369号公報
【特許文献4】特開平9−302139号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高分子材料を主体とした、簡便に製造可能で、軽量で、より高い損失を有する材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、強誘電性ポリマは導電性材料を分散させることにより、微小な単位での圧電性を発現することが可能であるという考えのもとに検討を行った結果、強誘電性材料として優れた性能を有する特定のポリアミド、ポリウレタン、ポリウレアに導電性材料を分散させることにより分極処理を必要とせず、成形性に優れ、低価格で、損失が大きな組成物が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は200MV/mの大きさの電界で分極処理を行ったときに20mC/m2以上の残留分極を有するポリアミド、ポリウレア、ポリウレタンより選ばれる1種もしくは2種以上からなる強誘電性ポリマと導電性材料を含有することを特徴とする高損失樹脂組成物である。本発明による高損失樹脂組成物は、各種機械装置や建築構造物、車輌・機体構造物の防振材、吸遮音材に好適なものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物に使用する強誘電性ポリマは、200MV/mの大きさの電界で分極処理を行ったときに20mC/m2以上の残留分極を有するポリアミド、ポリウレア、ポリウレタンより選ばれる1種もしくは2種以上からなるものであればいずれのポリマも使用できるが、カルボニル基間の主鎖中の炭素原子数が奇数の構造を含むポリマが好ましい。
【0013】
さらには、下記(1)式で示した2−メチルペンタメチレン構造を含むポリマが特に好ましい。
【化2】
このような構造を含むポリマは、導電性材料を分散させた際、より高い損失が得られる。ここでカルボニル基間の主鎖中の原子数とは、カルボニル基から最も近いカルボニル基まで、結合に沿った最短経路上に存在する原子数である。
【0014】
ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタンはいずれも既知の方法によって重縮合、あるいは重付加することにより製造できる。カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を形成するモノマーを使用することが好ましい。
【0015】
カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含むポリアミドを形成するモノマーとしては、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、1,3−プロパンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、メタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパンなどのジアミン、3−アミノプロパン酸、5−アミノペンタン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸などのアミノカルボン酸あるいはこれらのラクタムが例示できる。
【0016】
カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含むポリウレアを形成するモノマーとしては1,3−プロパンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、メタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパンなどのジアミン、及びこれらジアミンから誘導されるジイソシアネートが例示できる。
【0017】
カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含むポリウレタンを形成するモノマーとしては1,3−プロパンジイソシアネート、1,5−ペンタンジイソシアネート、1,7−ヘプタンジイソシアネート、1,9−ノナンジイソシアネート、2−メチルー1,5−ペンタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナトフェニル)エーテル、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)プロパン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)プロパンなどのジイソシアネート、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、メタキシリレングリコール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどのジオールが例示できる。
【0018】
本発明の樹脂組成物は強誘電性ポリマに導電性材料を分散させたものである。導電性材料を分散させることにより抵抗値を調整し、電気エネルギーを効率よく熱エネルギーに変換して消費するものである。導電性材料は既知のものを用いることができる。例えば、無機系では銀、銅、ニッケルなどの金属粉末や金属繊維、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウムなどの金属酸化物の微粒子、カーボンブラックなどの導電性カーボン粉末、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長黒鉛などのカーボン繊維、有機系では低分子帯電防止剤や導電性高分子などが挙げられる。さらには、無機系導電性材料、及び有機系導電性材料の両方を分散させることが好ましい。無機系導電性材料、及び有機系導電性材料の両方を分散させることにより、さらに損失を高めることができる。強誘電性ポリマと導電性材料の配合比率は、樹脂組成物の体積抵抗率が1012Ω・cm以下になるように調整することが好ましい。体積抵抗率が1012Ω・cm以下では電気機械変換作用により生じた電気エネルギーを効率よくジュール熱によって消費することができる。
【0019】
以下に本発明における各種性状の測定方法について説明する。
(1)残留分極
強誘電性ポリマを既知の方法により溶融成形し、厚さ約50〜200μmのフィルムとする。このフィルムを一軸、もしくは二軸延伸する。必要に応じて、延伸したフィルムを緊張状態を保ったままガラス転移温度以上、融点以下の温度で10〜30秒間熱処理を行っても良いが、熱処理により残留分極が低下する場合は熱処理は行わない。得られた延伸フィルムの両面に、真空蒸着装置を用いてアルミニウムを蒸着し、電極とする。このフィルムの両面の電極間に200MV/mの0.1Hzの正弦波電界を印加する。この時流れる電流をチャージアンプで積分した分極Dを測定、電場Eに対してプロットし、そのヒステリシス曲線からE=0の時のDの値を求め残留分極とする。
(2)体積抵抗率
JIS K6911の方法により測定する。
【0020】
本発明における樹脂組成物は上記強誘電性を有するポリマと導電性材料を含有することを特徴とするが、他の樹脂とのブレンド、分散剤、滑剤、耐候剤の添加、または成型後の表面処理などは、本発明の効果を阻害しない範囲で行うことができる。また、振動エネルギー吸収を向上させる目的で、マイカ鱗片、ガラス片、ガラスファイバー、カーボンファイバー、炭酸カルシウム、バライト、沈降硫酸バリウムなどのフィラーを充填することもできる。
【0021】
本発明の組成物は、上記強誘電性ポリマ、導電性材料並びに必要に応じてフィラーを配合することで得られるが、その際には、熱ロール、バンバリーミキサー、二軸混練機、押出機などの既知の溶融混合する装置を用いることができる。さらに、上記強誘電性ポリマを溶剤に溶解あるいは膨潤させ、導電性材料並びに必要に応じてフィラーを混入させた後乾燥する方法、各成分を微粉末状で混合する方法などの方法も採用することができる。
【0022】
本発明の組成物は、制振材料・吸遮音材料として射出成形品、シート、フィルム、繊維、発泡体、接着剤、塗料、拘束型シート、非拘束型シートなどの形状で用いることができる。本発明の組成物は、自動車、鉄道、建築資材、電気機器、精密機器、靴、スポーツ用品などの制振材料・吸遮音材料として使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を示すが本発明は以下の実施例に限定されるものではない。物性の測定などは以下の方法によった。
(1)残留分極
強誘電性ポリマを単軸押出機(スクリュー径20mm、L/D:25、スクリュー形式:フルフライト)を用い、Tダイ法により、シリンダー温度190〜200℃、Tダイ温度195℃、スクリュー回転数70rpmの条件下で、厚さ約200μmのシートを得た。このシートを株式会社東洋精機製作所製の二軸延伸機を用いて、60℃で20秒間予熱した後、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ3.5倍の条件で、縦、横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態を保ったまま100℃の雰囲気下で10秒間熱処理を行った。得られた厚さ10〜20μmの延伸フィルムの両面に、日本電子製JEE−400型真空蒸着装置を用いて、5mm×8mmのアルミニウムを蒸着し、電極とした。このフィルム両面の電極間に最大200MV/mの0.1Hzの正弦波電界を印加した。この時、分極Dを電場Eに対してプロットしたヒステリシス曲線から残留分極を求めた。
(2)体積抵抗率
JIS K6911の方法によって測定した。
(3)損失弾性率
樹脂組成物を熱プレスにより200℃で成形し、厚さ約1mmのシートとした。得られたシートを5mm×25mmに切り出し、試験片とした。得られた試験片を23℃、50%RHの恒温恒湿下において、周波数13Hzの条件で、動的粘弾性測定装置(レオログラフソリッドS−1、株式会社東洋精機製作所)により動的粘弾性を測定することにより評価した。
【0024】
(実施例1)
2−メチル−1,5−ペンタンジアミンとアゼライン酸を重縮合して得られたポリ(2−メチルペンタメチレンアゼラミド)76.5重量部と、導電性カーボン(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名ケッチェンブラックEC)15重量部と、アニオン系界面活性剤含有ポリエーテル共重合ポリエステル(竹本油脂株式会社製 MGA−902)8.5重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
【0025】
(実施例2)
2−メチル−1,5−ペンタンジアミンとアゼライン酸を重縮合して得られたポリ(2−メチルペンタメチレンアゼラミド)88重量部と、導電性カーボン(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名ケッチェンブラックEC)12重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
【0026】
(比較例1)
2−メチル−1,5−ペンタンジアミンとアゼライン酸を重縮合して得られたポリ(2−メチルペンタメチレンアゼラミド)を試料とした。物性を表1に示す。
【0027】
(比較例2)
2−メチル−1,5−ペンタンジアミンとアゼライン酸を重縮合して得られたポリ(2−メチルペンタメチレンアゼラミド)90重量部と、酸化チタン(石原産業株式会社製、商品名:タイペークCR−60)10重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
【0028】
比較例3
ナイロン6(宇部興産株式会社製、商品名UBEナイロン)81重量部と、導電性カーボン(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名ケッチェンブラックEC)10重量部と、アニオン系界面活性剤含有ポリエーテル共重合ポリエステル(竹本油脂株式会社製、MGA−902)9重量部を二軸押出機を用いて260℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは以下の方法で作製した。単軸押出機(スクリュー径20mm、L/D:25、スクリュー形状:フルフライト)を用い、Tダイ法により、シリンダー温度240〜250℃、Tダイ温度245℃、スクリュー回転数50rpmの条件で厚さ約50μmのフィルムを得た。このフィルムを株式会社東洋精機製作所製の二軸延伸機を用いて、90℃で数秒間予備加熱した後、延伸倍率が3.5倍の条件で、押出方向に一軸延伸した。得られた厚さ15〜20μmの延伸フィルムを用いた。また、損失弾性率の測定に用いたシートは、樹脂組成物を熱プレスにより260℃で成形し、厚さ1mmのシートとした。得られたシートを5mm×25mmに切り出し、試験片とした。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示すように、比較例1〜3と比較して、実施例1、2の本発明による高損失樹脂組成物は、高い損失を示した。
【0031】
【発明の効果】
本発明の高損失樹脂組成物によれば、簡便に製造可能な、軽量で、より優れた制振性を有する材料を提供することが可能となり、本発明の工業的意義は大きい。
【産業上の利用分野】
本発明は損失の大きい樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、制振材のような振動エネルギーを吸収する材料として、塩化ビニル系樹脂に可塑剤を添加した軟質の塩化ビニル系樹脂が知られている。この軟質塩化ビニル系樹脂は、振動エネルギーを樹脂内部において摩擦熱として消費することで、その減衰が図られるようになっていたが、十分な振動の吸収、減衰ができなかった。
【0003】
また制振材料としては、加工性、機械的強度、材料コストの面から優れるブチルゴムやNBRなどのゴム材料が多く用いられている。ところがこのゴム材料は、一般の高分子の中では最も減衰性(振動エネルギーの伝達絶縁性能、あるいは伝達緩和性能)に優れてはいるものの、ゴム材料単独で制振材料として使用するには減衰性が低く、例えば建造物や機器類の制振には、ゴム材料と鋼鈑とを積層した積層体、あるいはこれに塑性変形して振動エネルギーを吸収する鉛コアや、オイルダンパーを組み合わせた制振構造体という複合形態で使用されていた。
【0004】
従来の制振材料としてのゴム材料は、上記の如く単独では使用できず、複合化を余儀なくされていたので、必然的にその防振構造も複雑なものとなってしまうことから、制振材料自身、ゴム材料自身の高減衰性が求められていた。
【0005】
一方、高分子材料と圧電性粉末材料とを主成分とした組成物が開示されている(例えば特許文献1参照。)。ここでは、高分子材料と圧電性粉末の組成物は圧電性により、振動エネルギーを電気エネルギーに変換し、生じた電気エネルギーをジュール熱によって消費、振動を吸収、減衰させるものである。ところが、この組成物においては圧電性粒子を50質量%以上含むように配合しないと十分な効果が得られない、しかし、そのように配合すると溶融状態での流動性が低くなり、混練や成形が困難となる。また、圧電性粒子にジルコン酸チタン酸鉛や、チタン酸バリウムなどのセラミクスを用いているため、質量が大きくなるという欠点があった。
【0006】
また、圧電性フィルムとフィルム表面に形成された導電層からなる制振材用フィルムも提案されている(例えば特許文献2参照。)。しかしながら、圧電性フィルムとして実用に供されているのはポリフッ化ビニリデン系ポリマによるもののみであった。ポリフッ化ビニリデン系ポリマは高価であり、加えて製膜が困難であるため大面積のフィルムを大量に作ることには難があるため、制振材用フィルムとしては実用化には至っていない。また、安価で製膜の容易な圧電性フィルムを用いた例として、ポリアミド系ポリマを利用した圧電性フィルムも提案されている(例えば特許文献3参照。)。しかしながらフィルムに圧電性を発現させるためには分極処理を必要とするため、その製造に特殊な装置が必要であり製造コストが上昇するという問題があった。
【0007】
また、高分子母材中に双極子モーメント量を増加させる活性成分が含まれる制振材料が開示されたものがある(例えば特許文献4参照。)。ところが、この材料で用いられる活性成分は低分子化合物であり、使用中に母材から滲みだして性能が低下するという欠点があった。
【0008】
【特許文献1】特開昭60−51750号公報
【特許文献2】特開平5−87186号公報
【特許文献3】特開平8−305369号公報
【特許文献4】特開平9−302139号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高分子材料を主体とした、簡便に製造可能で、軽量で、より高い損失を有する材料を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、強誘電性ポリマは導電性材料を分散させることにより、微小な単位での圧電性を発現することが可能であるという考えのもとに検討を行った結果、強誘電性材料として優れた性能を有する特定のポリアミド、ポリウレタン、ポリウレアに導電性材料を分散させることにより分極処理を必要とせず、成形性に優れ、低価格で、損失が大きな組成物が得られることを見出し、本発明に至ったものである。
【0011】
すなわち、本発明は200MV/mの大きさの電界で分極処理を行ったときに20mC/m2以上の残留分極を有するポリアミド、ポリウレア、ポリウレタンより選ばれる1種もしくは2種以上からなる強誘電性ポリマと導電性材料を含有することを特徴とする高損失樹脂組成物である。本発明による高損失樹脂組成物は、各種機械装置や建築構造物、車輌・機体構造物の防振材、吸遮音材に好適なものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂組成物に使用する強誘電性ポリマは、200MV/mの大きさの電界で分極処理を行ったときに20mC/m2以上の残留分極を有するポリアミド、ポリウレア、ポリウレタンより選ばれる1種もしくは2種以上からなるものであればいずれのポリマも使用できるが、カルボニル基間の主鎖中の炭素原子数が奇数の構造を含むポリマが好ましい。
【0013】
さらには、下記(1)式で示した2−メチルペンタメチレン構造を含むポリマが特に好ましい。
【化2】
このような構造を含むポリマは、導電性材料を分散させた際、より高い損失が得られる。ここでカルボニル基間の主鎖中の原子数とは、カルボニル基から最も近いカルボニル基まで、結合に沿った最短経路上に存在する原子数である。
【0014】
ポリアミド、ポリウレア、ポリウレタンはいずれも既知の方法によって重縮合、あるいは重付加することにより製造できる。カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を形成するモノマーを使用することが好ましい。
【0015】
カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含むポリアミドを形成するモノマーとしては、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸などのジカルボン酸、1,3−プロパンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、メタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパンなどのジアミン、3−アミノプロパン酸、5−アミノペンタン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸などのアミノカルボン酸あるいはこれらのラクタムが例示できる。
【0016】
カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含むポリウレアを形成するモノマーとしては1,3−プロパンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、メタキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)メタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパンなどのジアミン、及びこれらジアミンから誘導されるジイソシアネートが例示できる。
【0017】
カルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数の構造を含むポリウレタンを形成するモノマーとしては1,3−プロパンジイソシアネート、1,5−ペンタンジイソシアネート、1,7−ヘプタンジイソシアネート、1,9−ノナンジイソシアネート、2−メチルー1,5−ペンタンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ビス(4−イソシアナトフェニル)エーテル、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−イソシアナトフェニル)プロパン、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)プロパンなどのジイソシアネート、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、メタキシリレングリコール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンなどのジオールが例示できる。
【0018】
本発明の樹脂組成物は強誘電性ポリマに導電性材料を分散させたものである。導電性材料を分散させることにより抵抗値を調整し、電気エネルギーを効率よく熱エネルギーに変換して消費するものである。導電性材料は既知のものを用いることができる。例えば、無機系では銀、銅、ニッケルなどの金属粉末や金属繊維、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウムなどの金属酸化物の微粒子、カーボンブラックなどの導電性カーボン粉末、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、気相成長黒鉛などのカーボン繊維、有機系では低分子帯電防止剤や導電性高分子などが挙げられる。さらには、無機系導電性材料、及び有機系導電性材料の両方を分散させることが好ましい。無機系導電性材料、及び有機系導電性材料の両方を分散させることにより、さらに損失を高めることができる。強誘電性ポリマと導電性材料の配合比率は、樹脂組成物の体積抵抗率が1012Ω・cm以下になるように調整することが好ましい。体積抵抗率が1012Ω・cm以下では電気機械変換作用により生じた電気エネルギーを効率よくジュール熱によって消費することができる。
【0019】
以下に本発明における各種性状の測定方法について説明する。
(1)残留分極
強誘電性ポリマを既知の方法により溶融成形し、厚さ約50〜200μmのフィルムとする。このフィルムを一軸、もしくは二軸延伸する。必要に応じて、延伸したフィルムを緊張状態を保ったままガラス転移温度以上、融点以下の温度で10〜30秒間熱処理を行っても良いが、熱処理により残留分極が低下する場合は熱処理は行わない。得られた延伸フィルムの両面に、真空蒸着装置を用いてアルミニウムを蒸着し、電極とする。このフィルムの両面の電極間に200MV/mの0.1Hzの正弦波電界を印加する。この時流れる電流をチャージアンプで積分した分極Dを測定、電場Eに対してプロットし、そのヒステリシス曲線からE=0の時のDの値を求め残留分極とする。
(2)体積抵抗率
JIS K6911の方法により測定する。
【0020】
本発明における樹脂組成物は上記強誘電性を有するポリマと導電性材料を含有することを特徴とするが、他の樹脂とのブレンド、分散剤、滑剤、耐候剤の添加、または成型後の表面処理などは、本発明の効果を阻害しない範囲で行うことができる。また、振動エネルギー吸収を向上させる目的で、マイカ鱗片、ガラス片、ガラスファイバー、カーボンファイバー、炭酸カルシウム、バライト、沈降硫酸バリウムなどのフィラーを充填することもできる。
【0021】
本発明の組成物は、上記強誘電性ポリマ、導電性材料並びに必要に応じてフィラーを配合することで得られるが、その際には、熱ロール、バンバリーミキサー、二軸混練機、押出機などの既知の溶融混合する装置を用いることができる。さらに、上記強誘電性ポリマを溶剤に溶解あるいは膨潤させ、導電性材料並びに必要に応じてフィラーを混入させた後乾燥する方法、各成分を微粉末状で混合する方法などの方法も採用することができる。
【0022】
本発明の組成物は、制振材料・吸遮音材料として射出成形品、シート、フィルム、繊維、発泡体、接着剤、塗料、拘束型シート、非拘束型シートなどの形状で用いることができる。本発明の組成物は、自動車、鉄道、建築資材、電気機器、精密機器、靴、スポーツ用品などの制振材料・吸遮音材料として使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を示すが本発明は以下の実施例に限定されるものではない。物性の測定などは以下の方法によった。
(1)残留分極
強誘電性ポリマを単軸押出機(スクリュー径20mm、L/D:25、スクリュー形式:フルフライト)を用い、Tダイ法により、シリンダー温度190〜200℃、Tダイ温度195℃、スクリュー回転数70rpmの条件下で、厚さ約200μmのシートを得た。このシートを株式会社東洋精機製作所製の二軸延伸機を用いて、60℃で20秒間予熱した後、縦、横方向の延伸倍率がそれぞれ3.5倍の条件で、縦、横方向に同時に延伸した。次いで、延伸したフィルムを緊張状態を保ったまま100℃の雰囲気下で10秒間熱処理を行った。得られた厚さ10〜20μmの延伸フィルムの両面に、日本電子製JEE−400型真空蒸着装置を用いて、5mm×8mmのアルミニウムを蒸着し、電極とした。このフィルム両面の電極間に最大200MV/mの0.1Hzの正弦波電界を印加した。この時、分極Dを電場Eに対してプロットしたヒステリシス曲線から残留分極を求めた。
(2)体積抵抗率
JIS K6911の方法によって測定した。
(3)損失弾性率
樹脂組成物を熱プレスにより200℃で成形し、厚さ約1mmのシートとした。得られたシートを5mm×25mmに切り出し、試験片とした。得られた試験片を23℃、50%RHの恒温恒湿下において、周波数13Hzの条件で、動的粘弾性測定装置(レオログラフソリッドS−1、株式会社東洋精機製作所)により動的粘弾性を測定することにより評価した。
【0024】
(実施例1)
2−メチル−1,5−ペンタンジアミンとアゼライン酸を重縮合して得られたポリ(2−メチルペンタメチレンアゼラミド)76.5重量部と、導電性カーボン(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名ケッチェンブラックEC)15重量部と、アニオン系界面活性剤含有ポリエーテル共重合ポリエステル(竹本油脂株式会社製 MGA−902)8.5重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
【0025】
(実施例2)
2−メチル−1,5−ペンタンジアミンとアゼライン酸を重縮合して得られたポリ(2−メチルペンタメチレンアゼラミド)88重量部と、導電性カーボン(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名ケッチェンブラックEC)12重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
【0026】
(比較例1)
2−メチル−1,5−ペンタンジアミンとアゼライン酸を重縮合して得られたポリ(2−メチルペンタメチレンアゼラミド)を試料とした。物性を表1に示す。
【0027】
(比較例2)
2−メチル−1,5−ペンタンジアミンとアゼライン酸を重縮合して得られたポリ(2−メチルペンタメチレンアゼラミド)90重量部と、酸化チタン(石原産業株式会社製、商品名:タイペークCR−60)10重量部を二軸押出機を用いて240℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
【0028】
比較例3
ナイロン6(宇部興産株式会社製、商品名UBEナイロン)81重量部と、導電性カーボン(ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、商品名ケッチェンブラックEC)10重量部と、アニオン系界面活性剤含有ポリエーテル共重合ポリエステル(竹本油脂株式会社製、MGA−902)9重量部を二軸押出機を用いて260℃で混練した。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。なお、残留分極測定に用いた延伸フィルムは以下の方法で作製した。単軸押出機(スクリュー径20mm、L/D:25、スクリュー形状:フルフライト)を用い、Tダイ法により、シリンダー温度240〜250℃、Tダイ温度245℃、スクリュー回転数50rpmの条件で厚さ約50μmのフィルムを得た。このフィルムを株式会社東洋精機製作所製の二軸延伸機を用いて、90℃で数秒間予備加熱した後、延伸倍率が3.5倍の条件で、押出方向に一軸延伸した。得られた厚さ15〜20μmの延伸フィルムを用いた。また、損失弾性率の測定に用いたシートは、樹脂組成物を熱プレスにより260℃で成形し、厚さ1mmのシートとした。得られたシートを5mm×25mmに切り出し、試験片とした。
【0029】
【表1】
【0030】
表1に示すように、比較例1〜3と比較して、実施例1、2の本発明による高損失樹脂組成物は、高い損失を示した。
【0031】
【発明の効果】
本発明の高損失樹脂組成物によれば、簡便に製造可能な、軽量で、より優れた制振性を有する材料を提供することが可能となり、本発明の工業的意義は大きい。
Claims (5)
- 200MV/mの大きさの電界で分極処理を行ったときに20mC/m2以上の残留分極を有するポリアミド、ポリウレア、ポリウレタンより選ばれる1種もしくは2種以上からなる強誘電性ポリマと導電性材料を含有することを特徴とする高損失樹脂組成物。
- 強誘電性ポリマがカルボニル基間の主鎖中の原子数が奇数である構造を含むことを特徴とする請求項1記載の高損失樹脂組成物。
- 体積抵抗率が1012(Ω・cm)以下であることを特徴とする請求項1乃至3記載の高損失樹脂組成物。
- 無機系導電性材料と有機系導電性材料の両方を含有することを特徴とする請求項1乃至4記載の高損失樹脂組成物。
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| JP2002308551A JP2004143257A (ja) | 2002-10-23 | 2002-10-23 | 高損失樹脂組成物 |
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Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2006077131A (ja) * | 2004-09-09 | 2006-03-23 | Mitsubishi Electric Corp | 振動音低減部材及び振動音低減装置 |
| JP2007054235A (ja) * | 2005-08-24 | 2007-03-08 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | 高制振性靴ソール |
| JP2010518200A (ja) * | 2007-02-07 | 2010-05-27 | バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト | 高誘電率および高破壊強度を有するカーボンブラック充填ポリウレタン |
| JP5262716B2 (ja) * | 2006-08-09 | 2013-08-14 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 制振材料 |
-
2002
- 2002-10-23 JP JP2002308551A patent/JP2004143257A/ja active Pending
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