JP2004201634A - 気泡入り豆腐の製造方法 - Google Patents

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孝雄 谷田
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Abstract

【課題】増粘剤を使用しないで絹ごし豆腐様のつるんとした口どけの食感を保ちつつ、気泡を含有し新たな食感を付与した気泡入り豆腐の開発を課題とする。
【解決手段】豆乳に豆腐用凝固剤を添加する直前もしくは添加した後、通気し気泡を含有させ、更に静止型混合器(インラインミキサー)を通過させた後、豆腐用容器に充填する工程を含み、かつ凝固剤添加豆乳の粘度が200〜700cpで、凝固剤添加後充填直前までの時間が90秒以内とすることによって増粘剤不使用の気泡入り豆腐を製造することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気泡入り豆腐の製造方法に関する。さらに詳細には豆腐用凝固剤を豆乳に添加し、更に粘度が一定範囲の値に保持されている時間内に、通気し気泡を含有させ、均一に混合するために静止型混合器(インラインミキサー)を通過させ、豆腐容器に充填するまでの処理をし、その後凝固させる豆腐の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
豆腐は古来からの伝統食品であり、健康的な食材として広く食生活の中に取り入れられてきている。代表的な豆腐としては、豆乳に凝固剤を加えて凝固させたものを崩し、上澄を除去して型箱に移し、圧搾、成型したいわゆる木綿豆腐と、豆乳に凝固剤を型箱の中で混合し、全体をゲル状に凝固させた絹ごし豆腐がある。近年木綿豆腐はそのボソボソとした食感が好まれなくなり、つるんとした口どけの食感を持つ絹ごし豆腐が市場で優勢になっている。しかしこの絹ごし豆腐といえども淡白な味とともに食感も変わり栄えがしないため、年々その消費が停滞もしくは微減傾向が続いている。そのため絹ごし豆腐の食感を兼ね備えつつ、新しい食感の豆腐が望まれている。
【0003】
そこで変わった豆腐の工夫として、味の改良として青豆や黒豆を使用したり、また食感改良として、絹ごし豆腐の凝固の緩いタイプのいわゆる寄せ豆腐や気泡入り豆腐が提案されている。特に気泡入り豆腐製造の場合問題として、いかに気泡を安定化させたまま豆乳を凝固せしめるかにある。その解決法としては豆乳と増粘剤を組み合わせることが知られている。この製法として特開平11−137203号公報 (特許文献1)には、豆乳にカラギーナンを添加・増粘せしめてから撹拌し気泡を含ませ、新食感の豆腐の製造法が記載されている。
【0004】
同様に、特開平10−80250号公報(特許文献2)には、こんにゃく成分(グルコマンナン含有原料及び/又はその部分分解物)と豆腐成分(豆乳及び/又は豆腐粉砕物)を一体ゲル化した豆腐こんにゃくに、気泡を含有させ多孔質にすることが記載されている。
【0005】
また特開2001−126号公報(特許文献3)には高温状態の豆乳にエアーを注入して気泡を含有させた後ゲル化剤ならびに凝固剤を添加・凝固させることが記載されている。
【0006】
特開昭53−24049号公報(特許文献4)には、増粘剤を使用しないことでは本発明と比較的類似するが、該発明は豆乳に空気や窒素等の気体を混入させ、油で揚げる際油揚げの伸びをよくするためのものであり、油揚げ用生地製造のため豆乳を気泡含有した凝固物を型箱に移し、十分に押えて成型するため、出来上がる生地が木綿豆腐様の食感になる。従って本願特許発明のように豆腐自体の絹ごし豆腐様の食感やいわゆる充填豆腐のような容器からの剥離性向上は期待できない。
【0007】
このように従来の技術では、絹ごし豆腐様のつるんとした口溶け食感を兼ね備えるため、いずれも増粘剤を用いることで対応しているのが現状である。増粘剤を併用する凝固のために、絹ごし豆腐の食感とは異なるものであることは避けられなかった。加えて、増粘剤の溶解工程の煩雑さや添加物使用により消費者嗜好の自然観に欠けるばかりか、コスト増にも繋がっていた。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−137203号公報
【特許文献2】
特開平10−80250号公報
【特許文献3】
特開2001−126号公報
【特許文献4】
特開昭53−24049号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、敢えて増粘剤を使用しないで絹ごし豆腐様のつるんとした口どけの食感を保ちつつ、気泡を含有し新たな食感を付与した気泡入り豆腐の開発を目指し、いわゆる従来の豆腐製造工程をできるだけ維持しながら、製造することができないかの研究を重ねた。
【0010】
すなわち、絹ごし豆腐の製法として大きく2つの方法がある。1つ目は出来たての熱い豆乳に凝固剤を添加し軽く撹拌し直ちに凝固を開始する方法と、2つ目として、出来た熱い豆乳を10℃前後に冷却後、凝固剤を添加・撹拌し、スチームや通電加熱、電磁波加熱等の手段により凝固剤入り豆乳の温度を凝固を行うに足る温度まで昇温する方法がある。
【0011】
前者は、再加熱の設備が要らない代わりに、豆乳の凝固反応が瞬時に進み、配管内で凝固してしまうため豆腐用容器に充填できず、通常豆乳を別の容器に計量し、そこに凝固剤を添加し凝固させる必要がある。この時撹拌等により気泡を含有させると高粘度のため気泡の安定化はするものの、豆乳と凝固剤の凝固を破壊することとなるので、ぼそぼその食感の豆腐となってしまう問題がある。
【0012】
後者の製法は、緻密な凝固反応を行わせるため豆乳と凝固剤の反応を敢えて遅らせる製法である。この凝固反応が進んでいない状態では、撹拌等により気泡を含有させても凝固剤入り豆乳の粘性がないため、通電加熱等による昇温の最中に含有させた気泡が抜けてしまい(脱気し)、豆腐用容器内での凝固まで、含有させた気泡を安定化保持することができない問題がある。
【0013】
従って、従来の絹ごし豆腐の製法では、本発明の目的である豆乳中で気泡を安定保持しながら、後の豆腐容器まで気泡入り豆乳を移動し凝固させるということはできなかった。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、豆乳と凝固剤との反応した物の粘度と粘度保持時間を特定範囲に保持しつつ通気し、静止型混合器を通し気泡を均一分散処理した後、豆腐容器に充填までの処理を行い、その後凝固処理すれば、気泡を安定的に含有した豆腐を製造することができることを見出した。
【0015】
とりわけ、静止型混合器を用いて包装豆腐を製造するときに、凝固剤の種類の選択と凝固剤を入れた豆乳の温度を特定温度範囲に設定することで特定粘度と保持時間が確保でき、気泡安定性と均一性が達成できた。
【0016】
すなわち、本発明は、
(1) 豆乳に豆腐用凝固剤を添加する直前もしくは添加した後、通気し気泡を含有させ、更に静止型混合器(インラインミキサー)を通過させた後、豆腐用容器に充填する工程を含み、かつ凝固剤添加気泡含有豆乳の粘度が200〜700cpで、凝固剤添加後充填直前までの時間が90秒以内であることを特徴とする増粘剤不使用の気泡入り豆腐の製造方法、
(2) 豆腐用凝固剤として塩化マグネシウム、粗製海水塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムのいずれか1以上を用いる(1)記載の気泡入り豆腐の製造方法、
(3) 豆腐用凝固剤に塩化マグネシウム及び/又は粗製海水塩化マグネシウムを用いる場合は、凝固剤添加後の豆乳温度を20〜35℃に保持することを特徴とする(1)記載の気泡入り豆腐の製造方法、
(4) 豆腐用凝固剤に硫酸カルシウム及び/又は硫酸マグネシウムを用いる場合は、凝固剤添加後の豆乳温度を50〜70℃に保持することを特徴とする(1)記載の気泡入り豆腐の製造方法、
(5) 気泡入り豆腐が包装豆腐である(1)から(4)記載の気泡入り豆腐の製造方法
に関する発明である。
【0017】
本発明では、豆乳を凝固剤と反応させた後、豆乳粘度を200〜700cpで90秒以内に保持できるようにすることが重要な要件であり、そのために凝固反応時の豆乳温度を特定温度に調整することが重要である。
【0018】
なお、90秒以内とは、凝固剤を添加し気泡を含有し混合し、充填容器に充填する直前までの時間を指す。また、本発明において粘度の値は、粘度計測定終了時の読み取り値を指す。
【0019】
具体的には凝固反応が早い凝固剤である塩化マグネシウムや粗製海水塩化マグネシウムを使用する場合は、豆乳温度を20〜35℃とし、遅効性の硫酸カルシウムや硫酸マグネシウムの凝固剤の場合では、50〜70℃に豆乳温度を調整すればよい。豆乳温度は使用する凝固剤の組み合わせにより、本発明の凝固剤添加豆乳の粘度を200〜700cpで90秒以内に保持できるよう調整すればよい。
【0020】
凝固剤添加量にもよるが、豆乳温度の大体の目安として、速効性凝固剤として塩化マグネシウムを、また遅効性凝固剤として硫酸カルシウムを豆乳に対し0.35%(w/w)添加するケースを例として下記表1に示す。両者を単独もしくは併用する場合で、それぞれの混合比率と凝固時の豆乳温度を目安とすることができる。
【0021】
【表1】
Figure 2004201634
【0022】
凝固剤添加量も通常の豆腐製造時使用する量でよく、一般的には0.25〜0.45%程度であるが、少なすぎると豆腐の硬さが発現できない。逆に多い場合は凝固反応が進むため、豆乳温度を表1より下げ気味にする必要がある。一般に豆乳と凝固剤の反応は、豆乳温度とともに急激に進行する。
【0023】
例えば凝固剤として塩化マグネシウム0.35%(w/w)を豆乳と反応させた場合の概要図を図1に示す。
図1に示した試験は、Brix12の調整した豆乳をそれぞれ20℃、30℃、35℃に加熱し、凝固剤として塩化マグネシウム(赤穂化成株式会社製 商品名「クリスタリン」)の30%水溶液を作製し、豆乳600gと凝固剤0.35%(w/w)になる様にオスター社製オスターブレンダーに入れ、攪拌条件(LOW+STIR)にて10秒間攪拌した。攪拌終了後の直後0秒、30秒、90秒、150秒後に粘度を測定した(測定値は30秒後の読み取り時数値を示す)。粘度はB型粘度計(東京計器製)のローターNo.1と2を使用して測定した。
【0024】
豆乳温度の35℃、150秒後では、高粘度で半凝固状態のため測定不可であった。また、粘度測定のために凝固剤添加豆乳をサンプリングし粘度の値を得るまでに30秒間程度必要のため、測定値読み取り時までの時間が30秒未満は測定値としなかった。
【0025】
結果として、気泡が安定して含まれ、迅速な充填操作が行えるのは、特定の粘度範囲となる様に、凝固剤添加時の豆乳温度を調整することが重要であることが分かった。
気泡含有量としては、絹ごし豆腐の食感を維持しつつ新たな食感付与を目的としているので、大体0.8〜10%(w/w)程度が良い。
【0026】
気泡含有方法としては、凝固剤添加豆乳に空気をコンプレッサー、あるいは液体窒素等気体をボンベから供給し、凝固剤と通気された気泡を分散均一化するためにスタティックミキサー(登録商標)やOHRラインミキサー(登録商標)と呼ばれる静止型混合器を用い、ラインミキシングし、気泡を含有・安定化させることができる。速効性凝固剤使用の場合、静止型混合器直前で豆乳に該凝固剤添加、次ぎに通気の工程順で行っても、あるいは豆乳に通気、該凝固剤添加の工程順で行ってもよい。これは、速効性凝固剤使用の場合は、反応によって瞬時に粘性が発現するために、脱気がほとんどないため工程の順序はほとんど考慮しなくてもよいという理由による。
【0027】
通気手段として静止型混合器を用いるのは、気泡安定性が特に良好であるという理由による。即ち、凝固剤添加豆乳を撹拌タンク内に連続的に流しホモジナイザーや高速撹拌機を用い撹拌しつつ気泡入り豆腐を作る方法も考えられるが、撹拌タンク内で凝固剤添加豆乳の滞留が起こり、局部的に粘性が増し、その結果気泡安定性に欠けるという欠点があったのに対し、静止型混合器は凝固剤入り豆乳が完全に先入れ先出しが行われ局部的な滞留がないため気泡安定性が良好である。
【0028】
次いで豆腐容器に充填後凝固処理する。ここでいう豆腐容器とは充填豆腐製造用の容器ばかりでなく、型箱を含んでいる。型箱は通常の絹ごし豆腐や木綿豆腐の製造の際使用される型箱を用いることができ、充填後スチーム庫あるいは通電加熱により加熱し凝固させる。また包装豆腐(充填豆腐)の場合は、容器に充填・シール後ボイル・冷却処理することで、気泡含有包装豆腐を製造することができる。
【0029】
気泡を含有させる前の凝固剤添加豆乳の粘度が700cpを超えると、静止型混合器内で気泡を混合・安定化させてから、容器に充填するまでの時間内に配管中に詰まり始め、充填が困難となるばかりでなく、特に包装豆腐の場合離水が多くなり食感が劣った豆腐となる。逆に凝固剤添加豆乳の粘度が200cp未満の場合、気泡の安定性が悪く豆腐用容器に充填された豆腐の表面のみに気泡が片寄り、均一な食感が得られない。
【0030】
本発明では、凝固剤入り豆乳の粘度保持時間を90秒以内と設定することが重要である。これは、増粘剤を使用しない本発明では、凝固剤入り豆乳の粘度が次第に上昇し、以後の安定した工程が採用できないことによる。すなわち、気泡と凝固剤と豆乳の均一化と、気泡入り豆乳を充填配管を通過し充填容器までの間の一定の粘度保持時間が必要なためである。充填までの工程に要する時間を考えると、90秒以上の保持時間は食感劣化やサニテーション不備につながり実質必要はない。
【0031】
また豆乳段階あるいは豆乳に豆腐用凝固剤を混合した段階あるいは気泡を含有させ容器に充填する前の段階で味のバラエティー化のため、海藻や野菜・キノコ・家禽畜肉等のエキス類、各種フレーバーの添加、更にはトランスグルタミナーゼ等の架橋酵素添加による弾力性向上を図っても良い。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の具体的実験例について説明するが、本発明はこれら実験例に限定されるものではない。
使用する豆乳は、豆腐の製造に普通に用いられるものであれば良い。すなわち大豆を水とともに磨砕して得られる呉を加熱し、これを濾過して得られる豆乳である。Brix10.0〜14.0(アタゴ製豆乳濃度計SM−20E)程度の範囲の豆乳であれば使用に際して問題はない。
【0033】
すなわち、常法通り生大豆を洗浄後十分量の水で14時間程度浸漬した大豆に5倍量(生大豆に対し)の水と共に磨砕し、得られる呉を100℃に加熱した後これを濾過によりオカラを分離・冷却して得られたBrix12.0の豆乳を使用する。
【0034】
[実験例1]
所定温度に加温した豆乳を株式会社ノリタケカンパニーリミテッド製スタティックミキサー(1/2インチ12エレメント)を設置したモメンタリー装置(凝固剤添加混合装置)を用い、豆乳ににがり液を添加し、次いで気泡を含有せしめ容器に充填・シールした。即ち豆乳流量20kg/分、(粗製海水塩化マグネシウム溶液(海の精株式会社製「海精にがり」)を0.7%(w/w)になるように添加した。次いで直ちにコンプレッサーから空気を凝固剤添加豆乳に500ml/分の割合で通気しスタティックミキサーで混合・気泡を含有せしめた。株式会社東京計器製B型粘度計を用い、スタティックミキサーから出てきた気泡含有豆乳の粘度を測定した。またこの気泡含有豆乳を300g用包装豆腐用容器(通称2Bパック)に充填・シール後、85℃60分間熱水中で加熱処理後急冷し、凝固剤添加時の豆乳温度を変化させた各種包装豆腐を試作した。なお凝固剤添加時の豆乳温度を無加温(10℃)・通気をしない以外は上記と同様に試作した豆腐を対照品とした。その結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 2004201634
充填重量=包装豆腐重量−包材重量(容器、フィルム重量を含む)
豆腐重量=試作包装豆腐から中身を取り出し60メッシュの網の上に30秒放置後重量を測定
離水率=(充填重量−豆腐重量)/充填重量×100
気泡含有率=(対照区豆腐重量−試験区豆腐重量)/対照区豆腐重量×100
剥離性=×:容器に豆腐の一部が付着 ○:容器に豆腐の付着なし
【0036】
表2からわかるように、豆乳温度を20〜35℃とし、凝固剤添加時の粘度が200〜700cpの時、剥離性もよく対照区のつるんとした食感を保ちつつ、豆腐全体に微細な泡が入り軽い新たな食感(軽くふわふわした食感)の豆腐が得られた。
【0037】
[実験例2]
スタテイックミキサーから充填口までの配管の長さを考慮し、スタティックミキサー出口にクッションタンクを設け時間を調節し、スタティックミキサーから出てきた気泡含有豆乳を所定時間保持(即ち、凝固剤添加後充填までの時間)後粘度を測定した以外は上記実験例1と同様な条件で、充填豆腐を試作した。なお豆乳温度は35℃で実施した。その結果を表3に示す。対照区は実験例1と同様に試作した。
【0038】
【表3】
Figure 2004201634
*カッコ内の秒数は、凝固剤添加し、気泡混合してからの粘度測定のためのサンプリングまでの秒数を示す。
表3から、凝固剤添加後充填直前までの滞留時間が90秒以内であればよいことが分った。
【0039】
[実験例3]
上記実験例1と同じ装置を用い、所定温度に加温した豆乳を流量20kg/分で流し、硫酸カルシウム(赤穂化成株式会社製「パール」)を最終0.35%(w/w)になるように添加した。次いで直ちにコンプレッサーから空気を凝固剤添加豆乳に通気(500ml/分)しスタティックミキサーで混合・撹拌し気泡を含有せしめ、直ちに株式会社東京計器製B型粘度計で粘度を測定した。また充填容器は、実験例1と同じ300g用包装豆腐容器を用い、充填・シール後85℃熱水中で加熱処理後急冷し試作した。なお、通気しない以外は上記と同様に試作した豆腐を対照品とした。その結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
Figure 2004201634
充填重量=包装豆腐重量−包材重量(容器、フィルム重量を含む)
豆腐重量=試作包装豆腐から中身を取り出し60メッシュの網の上に30秒放置後重量を測定
離水率=(充填重量−豆腐重量)/充填重量×100
気泡含有率=(対照区豆腐重量−試験区豆腐重量)/対照区豆腐重量×100
剥離性=×:容器に豆腐の一部が付着 ○:容器に豆腐の付着なし
【0041】
表4からわかるように、豆乳温度を50〜70℃とし、凝固剤添加時の粘度が200〜700cpの時、剥離性もよく対照品のつるんとした食感を保ちつつ、豆腐全体に微細な泡が入り軽い新たな食感の豆腐が得られた。
【0042】
[実験例4]
上記実験例1と同じ装置を用い、所定温度に加温した豆乳を流量20kg/分で流し、塩化マグネシウム(赤穂化成株式会社製「クリスタリン」)と硫酸カルシウム(赤穂化成株式会社製「パール」)を同量混合した凝固剤液を最終0.35%(w/w)になるように添加した。次いで直ちにコンプレッサーから空気を凝固剤添加豆乳に通気(500ml/分)しスタティックミキサーで混合・撹拌し気泡を含有せしめ、直ちに株式会社東京計器製B型粘度計で粘度を測定した。
また充填容器は、MK缶(アルミ製直方体の缶。容量約20L)を用い、充填後スチーム庫内で80℃まで加温・凝固させた。凝固後所定の大きさに切断・冷却し試験豆腐を試作した。なお対照区は、通気なしで豆乳温度を80℃で凝固剤添加して調整した。その結果を表5に示す。
【0043】
【表5】
Figure 2004201634
【0044】
気泡含有率は、対照区の豆腐入りMK缶の重量と各試験区の豆腐入りMK缶の重量をもとに算出した。
表5からわかるように、凝固剤として塩化マグネシウムと硫酸カルシウムを併用した場合、豆乳温度が30〜50℃である試験品が良好な食感の豆腐が得られた。
【0045】
[実施例1]
常法により作製したBrix12の豆乳を30℃に冷却し、30%(w/w)塩化マグネシウム(赤穂化成株式会社製「クリスタリン」)水溶液を塩化マグネシウム含量として0.35%になるように添加し、緩やかな凝固を開始させた。この凝固剤入り豆乳に、直ちにコンプレッサーから空気を凝固剤添加豆乳に500ml/分の割合で通気し、更に、通気後の凝固剤入り豆乳をインラインミキサーである株式会社ノリタケカンパニーリミテド製スタティックミキサー(1/2インチ12エレメント)を通過させて、空気と凝固剤と豆乳を均一混合させた。このときの気泡含有率は1.5%である。このミキサーを通過させた豆乳を113mm×80mm(底面65mm)×深さ35mmの豆腐樹脂性容器に満量充填した。豆乳に凝固剤を添加してから気泡入りで凝固剤添加後の均一化された豆乳を豆腐容器に充填するまでは12秒を要した。充填直前の粘度を測定したところ380cpで温度は30℃であった。充填後の豆乳をシール後、85℃60分間熱水中で加熱処理後急冷し、本発明の充填豆腐を作製した。
この充填豆腐は、容器からさかさにし取り出すと、容易に取り出すことができ、剥離性が良く、またつるんとしており軽い食感で美味であった。
【0046】
[実施例2]
常法により作製したBrix12の豆乳を60℃に冷却し、硫酸カルシウム(赤穂化成株式会社製「パール」)と佐藤食品工業株式会社製「昆布エキスコンク−HC」」を水に分散ならびに溶解させ、各々豆乳に対し、前者は0.30%、後者は2.0%になるように添加し、緩やかな凝固を開始させた。この凝固剤入り豆乳に、直ちにコンプレッサーから空気を凝固剤添加豆乳に500ml/分の割合で通気し、更に、通気後の凝固剤入り豆乳をインラインミキサーである株式会社ノリタケカンパニーリミテド製スタティックミキサー(1/2インチ12エレメント)を通過させて、空気と凝固剤と豆乳を均一混合させた。このときの気泡含有率は8.0%である。このミキサーを通過させた豆乳をMK缶に16L充填後蓋をし、スチーム庫内で80℃になるまで昇温し、そのまま10分間保持し熟成を行った。充填直前の粘度を測定したところ670cpで温度は59℃であった。
熟成後所定の大きさに切断し、MK缶の豆腐を冷却水槽にあけ冷却し、本発明の絹ごし豆腐を作製した。
この絹ごし豆腐は、軽い食感とともに旨味があり美味であった。
【0047】
[実施例3]
常法により作製したBrix12の豆乳を30℃に冷却し、粗製海水塩化マグネシウム溶液(海の精株式会社製「海精にがり」)に味の素株式会社製架橋酵素「KS−100」を溶解し、それぞれ豆乳に対し、0.8%(w/w)ならびに0.03%になるように添加し、緩やかな凝固を開始させた。この凝固剤入り豆乳に、直ちにコンプレッサーから空気を凝固剤添加豆乳に1000ml/分の割合で通気し、更に、通気後の凝固剤入り豆乳を西華産業株式会社OHRラインミキサーMX−10を用い、入口流入圧力を4.0kg/cm2で通過させて空気と凝固剤と豆乳を均一混合させた。このときの気泡含有率は6.8%である。このミキサーを通過させた豆乳を実施例1と同じ豆腐樹脂性容器に満量充填した。充填直前の粘度を測定したところ500cpで温度は30℃であった。充填後の豆乳をシール後、85℃60分間熱水中で加熱処理後急冷し、本発明の充填豆腐を作製した。
この充填豆腐は、容器からさかさにし取り出すと、容易に取り出すことができ、剥離性が良く、また食感もふわふわと弾力のある豆腐ができた。
【0048】
【発明の効果】
本発明によって、増粘剤を使用せずに従来の豆腐製造工程によって、気泡を含有させた新たな食感を持った豆腐を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】豆乳の温度と粘度上昇の関係を示す図。

Claims (5)

  1. 豆乳に豆腐用凝固剤を添加する直前もしくは添加した後、通気し気泡を含有させ、更に静止型混合器(インラインミキサー)を通過させた後、豆腐用容器に充填する工程を含み、かつ凝固剤添加気泡含有豆乳の粘度が200〜700cp(センチポイズ)で、凝固剤添加後充填直前までの時間が90秒以内であることを特徴とする増粘剤不使用の気泡入り豆腐の製造方法。
  2. 豆腐用凝固剤として塩化マグネシウム、粗製海水塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムのいずれか1以上を用いる請求範囲1記載の気泡入り豆腐の製造方法。
  3. 豆腐用凝固剤として塩化マグネシウム及び/又は粗製海水塩化マグネシウムを用いる場合は、凝固剤添加後の豆乳温度を20〜35℃に保持することを特徴とする請求範囲1記載の気泡入り豆腐の製造方法。
  4. 豆腐用凝固剤として硫酸カルシウム及び/又は硫酸マグネシウムを用いる場合は、凝固剤添加後の豆乳温度を50〜70℃に保持することを特徴とする請求範囲1記載の気泡入り豆腐の製造方法。
  5. 気泡入り豆腐が包装豆腐である請求項1から4記載の気泡入り豆腐の製造方法。
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