JP2004203643A - セラミックグリーンシートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】再生利用可能なセラミックグリーンシートの添加量が適度な範囲にあり、更に分散剤又は凝集剤の添加量が適度であるために、シート化した際の密度のバラツキが小さく、焼成後のセラミック基板の外辺寸法の精度が高い、セラミックグリーンシートを提供する。
【解決手段】セラミック粉体、有機溶剤、結合剤の有機バインダー及び可塑剤からなる1次スラリーに、セラミックグリーンシートの作製工程で発生する厚みが所定の規格を満足しない耳等や金型の打ち抜き工程で発生する打ち抜き後の耳や打ち抜き屑等の再利用できるグリーンシートを添加混合し、更に分散剤又は凝集剤を添加して成形用スラリーとし、この成形用スラリーを用いてシート化する。
【選択図】 図1
【解決手段】セラミック粉体、有機溶剤、結合剤の有機バインダー及び可塑剤からなる1次スラリーに、セラミックグリーンシートの作製工程で発生する厚みが所定の規格を満足しない耳等や金型の打ち抜き工程で発生する打ち抜き後の耳や打ち抜き屑等の再利用できるグリーンシートを添加混合し、更に分散剤又は凝集剤を添加して成形用スラリーとし、この成形用スラリーを用いてシート化する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼成後電子部品用セラミック基板となるセラミックグリーンシートに係わり、高精度な外辺寸法を持つ基板に好適なセラミックグリーンシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品用セラミック基板の作製方法として一般的なものは、セラミックグリーンシートに金型により外辺形状、スルーホール、分割溝加工を施し、所定の温度で作製する方法と、焼結後のセラミック基板にレーザー加工により外辺切断、スルーホール加工、分割溝形成をする方法と、その双方の組み合わせによる方法が良く用いられている。更にこれらセラミック基板に電極等の導体をスクリーン印刷で印刷する際には、高い外辺寸法精度がセラミック基板に要求される。
【0003】
量産性に最も適しているのはセラミックグリーンシートに金型成型する方法である。しかし、セラミックグリーンシートの密度が不安定であると、各々のグリーンシートの焼成時の収縮率が異なるために、外辺寸法が異なるセラミック基板が作製される。密度が不安定なグリーンシートの焼成後の外辺寸法のバラツキを小さくするための解決策として、グリーンシートの収縮率に合致するような、収縮率の異なる金型即ち金型寸法の異なる2〜3種類の金型を準備し、焼成するために、この2〜3種類の金型を作製するためのコストがかかり、トータルの生産コストがアップすることになる。又は焼成後のセラミック基板の外辺寸法を規格に合致させようとし、焼成炉の焼成温度を適宜変更するために、生産性が劣るなどの欠点があった。これらの課題解決手段の一つとして、セラミックグリーンシートの密度を一定にする事が考えられる。
【0004】
これらの課題解決の公知技術として例えば、特許文献1では、焼成体のマイクロポアを無くすために、泥しょうやグリーン体を再度、セラミック粉末とバインダーを混合した泥しょうに添加混合して、セラミックグリーンシートを作製する方法について述べている。また、特許文献2では、セラミックグリーンシート用のバインダーとして、再利用する際のグリーンシートの再分散性が良好なバインダー組成について述べている。
【0005】
〔特許文献1〕特開平9−315868号公報
〔特許文献2〕特開2000−233975号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特許文献1には、焼成後の寸法を安定させるためのグリーンシートの密度の安定化については、記述されておらず、単に泥しょうやグリーンシートを再利用した時に、窒化アルミニウム焼結体のマイクロポアを無くす技術に関するものであった。また、同じく前述の特許文献2においても、グリーンシートの再利用においてグリーンシートの密度の安定化については記述されておらず、単に再分散が良好なバインダー組成に関するものであった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題に鑑み、本発明はセラミックグリーンシートの製造方法において、セラミック粉体、有機溶剤、結合剤の有機バインダー及び可塑剤からなる1次スラリーに、セラミックグリーンシートの作製工程で発生する厚みが所定の規格を満足しない耳等や金型の打ち抜き工程で発生する打ち抜き後の耳や打ち抜き屑等の再利用できるグリーンシートを20〜80重量部、更に分散剤又は凝集剤を0.10重量部以下添加混合して成形用スラリーを作製し、この成形用スラリーを用いてシート化することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
本発明のセラミックグリーンシートは、セラミック粉体、有機溶剤及び結合剤の有機バインダー及び可塑剤からなる1次スラリー100重量部に、グリーンシートの作製工程で発生する厚みが所定の規格を満足しない耳等や、金型の打ち抜き工程で発生する打ち抜き後の耳や打ち抜き屑等の再利用できるグリーンシートを20〜80重量部添加し、更に分散剤又は凝集剤を添加しボールミルで成形用スラリーを作製し、この成形用スラリーをドクターブレード法などでシート化する方法である。
【0010】
ここで再利用できるグリーンシートの添加量が20重量部より少なくなると、グリーンシートの密度が所定の密度の範囲より小さくなり、焼成後のセラミック基板の外辺寸法が小さくなり、また再利用できるグリーンシートの添加量が80重量部より多くなると、グリーンシートの密度が所定の密度の範囲より大きくなり、焼成後のセラミック基板の外辺寸法が大きくなる。グリーンシートの製造工程で発生する厚みが所定の規格を満足しない耳等や、金型の打ち抜き工程で発生する打ち抜き後の耳や打ち抜き屑等の再利用できるグリーンシートの発生割合や焼成後のセラミック基板の外辺寸法の精度を考慮すると、再利用できるグリーンシートの添加量は好ましくは30〜70重量部である。
【0011】
更にグリーンシートの密度を所定の範囲に合致させるために微調整の目的で分散剤又は凝集剤を添加する。グリーンシートの密度が所定の範囲よりわずかに低い時は、1次スラリーの作製時に使用した分散剤を0.10重量部以下の範囲で添加混合し、グリーンシートの密度が所定の範囲よりわずかに高い時は、有機溶剤中で相溶性のない凝集剤を0.10重量部以下の範囲で添加混合した成形用スラリーを用いる。
【0012】
このようにして、所定の密度の範囲に調整されたグリーンシートは、チップレジスター用基板に適用され、中でも1608タイプ(1.6×0.8mmの寸法に多数個取りするもの、以下同様)、1005タイプ、0603タイプ等の小チップレジスターと呼ばれるタイプ、または多連チップレジスターと呼ばれるタイプ等、特にスクリーン印刷をする際に高寸法精度が要求される、電子部品セラミック基板に適用される。
【0013】
ここで言うセラミック粉末とはアルミナ、フォルステライト、ジルコニア等の酸化物セラミック、窒化アルミニウムや窒化珪素等の非酸化物セラミックに適用が可能である。
【0014】
1次スラリーに用いる有機溶剤としてはトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等を2種類以上を混合して用いる。結合剤としては熱可塑性樹脂のブチラール樹脂、アクリル樹脂等、可塑剤としてはフタル酸エステル、脂肪酸エステル、グリコール誘導体等を用いる。また分散剤としてはカルボン酸系の界面活性剤、エステル系非イオン性界面活性剤、ソルビタン系の多価アルコール、凝集剤としてはグリコール誘導体、脂肪酸エステル、水等を用いる。
【0015】
【実施例】
以下のようにしてセラミックグリーンシートを作製した。
【0016】
ドクターブレード法に用いるセラミックスラリーは、セラミック粉末として96重量%のアルミナ、更にシリカ、カルシア及びマグネシアからなる焼結助剤とソルビタン系の多価アルコールの分散剤と有機溶媒にトルエンとイソプロピルアルコールを添加しボールミルで約48時間混合し、その後結合剤として熱可塑性樹脂のブチラール樹脂をセラミック粉体に対して8重量部と、この樹脂の可塑剤としてアジピン酸ジオクチルをブチラール樹脂に対して50重量部添加し、更にボールミルで約24時間混合し1次スラリーを調製した。この1次スラリーに、シート化する際に発生する厚みが所定の規格を満足しない耳等や金型の打ち抜き加工で発生する打ち抜き後の耳や打ち抜き屑等の再利用できるグリーンシートを20〜80重量部の範囲で適宜添加調整し、更に有機溶剤も添加しボールミルで成形用スラリーを作製した。更にグリーンシートの密度を微調整しバラツキの範囲を小さくするために、グリーンシートの密度が低い時は、1次スラリーを作製する際に用いたソルビタン系の多価アルコールの分散剤を成形用スラリーに対して適宜添加混合し、グリーンシートの密度の調整を行った。逆にグリーンシートの密度が高い時は、主溶剤のトルエンと相溶性が低いグリコ−ル系の添加剤を凝集剤として成形用スラリーに対して適宜添加混合し、グリーンシートの密度の調整を行った。
【0017】
このように調製した成形用セラミックスラリーを防爆型のドクターブレード成形機を用い、成形速度及びブレードの高さを調整し、厚み0.58mmのグリーンシートを作製した。本発明実施例は、再利用できるグリーンシートの添加量を20、30、50、70、80重量部とし、更に分散剤又は凝集剤の添加量は成形用スラリーに対し0.10重量部以下とした。得られたグリーンシートの外辺寸法の評価方法は、打ち抜き寸法が長辺方向70mm、短辺方向60mmになるような金型で外片を打ち抜き、次にこのグリーンシートを1600℃で焼成した。
【0018】
焼成後のセラミック基板の外辺寸法の評価は、焼成後の長辺寸法と短辺寸法をノギスで測定し、その値を金型寸法で除して収縮率を算出した実施例1〜13を作製した。比較として、本発明以外の比較例1〜8も作製した。
【0019】
尚、セラミックグリーンシートの密度は、下記に示すような測定方法と算出式で行った。
【0020】
1)試験片;巾12×長さ50mm
2)測定数;3
3)測定項目
・試験片重量(g)
・試験片厚み(mm)
4)密度の算出法
重量/(1.2×5.0×厚み)=密度g/cm3
表1に、再利用できるグリーンシートの添加量とグリーンシートの密度及び焼成した基板の短辺、長辺の収縮率の関係、更に分散剤又は凝集剤の添加量とグリーンシートの密度及び焼成した基板の短辺、長辺の収縮率の関係を記載した一連の結果を示す。更に図1〜5にもこれらの結果を示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表1、図1の結果から判るように、再利用できるグリーンシートの添加量が20〜80重量部の範囲ではシート密度が2.339〜2.364g/cm3のバラツキが0.025g/cm3の範囲であることが判る。図2の結果から判るように、再利用できるグリーンシートの添加量が20〜80重量部の範囲で作製しグリーンシートの密度バラツキが0.025g/cm3の範囲であるグリーンシートを焼成した後の基板の収縮率のバラツキの範囲は、短辺が0.30%、長辺が0.29%となり収縮率のバラツキが小さく、外辺寸法のバラツキが小さい寸法精度が高いセラミック基板の作製が可能であった。これに対し、再利用できるグリーンシートの添加量が20重量部より小さい比較例1、2や80重量部より大きい比較例3、4ではシート密度のバラツキが0.034g/cm3以上になる。この範囲にあるグリーンシートを焼成した後の基板の収縮率のバラツキの範囲は、短辺が0.53%以上、長辺が0.43%以上になり収縮率のバラツキが大きくなった。
【0023】
図3の結果から判るように、分散剤を添加することでグリーンシートの密度が上昇し、凝集剤を添加することでグリーンシートの密度が低下することが判る。分散剤の添加量が0.10重量部より多くなるとグリーンシートの密度が高くなり過ぎ、所定のシート密度の範囲に入れることが不可能であった。逆に凝集剤の添加量が0.10重量部より多くなるとグリーンシートの密度が低くなり過ぎ、所定のシート密度の範囲に入れることが不可能であった。
【0024】
図4の結果から判るように、分散剤の添加量が0.10重量部以下で作製したグリーンシートは、グリーンシートの密度バラツキが0.020g/cm3の範囲であり、このグリーンシートを焼成した後の基板の収縮率は短辺が0.24%、長辺が0.21%となり収縮率のバラツキが小さく、外辺寸法のバラツキが小さい寸法精度が高いセラミック基板の作製が可能であった。
【0025】
また図5の結果から判るように、凝集剤の添加量が0.10重量部以下で作製したグリーンシートは、グリーンシートの密度バラツキが0.021g/cm3の範囲であり、このグリーンシートを焼成した後の基板の収縮率は短辺が0.25%、長辺が0.25%となり収縮率のバラツキが小さく、外辺寸法のバラツキが小さい寸法精度が高いセラミック基板の作製が可能であった。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法により得られたセラミックグリーンシートは、再生利用可能なセラミックグリーンシートの添加量が適度な範囲にあるために、シート化した際の密度のバラツキが小さく、焼成後のセラミック基板の外辺寸法の精度が高い、セラミックグリーンシートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックグリーンシートの製造方法における再利用できるグリーンシートの添加量とシート密度の関係を示したグラフである。
【図2】本発明のセラミックグリーンシートの製造方法におけるグリーンシートのシート密度と焼成した基板の短辺と長辺の収縮率の関係を示したグラフである。
【図3】本発明のセラミックグリーンシートの製造方法における分散剤と凝集剤の添加量とグリーンシートのシート密度の関係を示したグラフである。
【図4】本発明のセラミックグリーンシートの製造方法における分散剤を添加したグリーンシートのシート密度と焼成した基板の短辺と長辺の収縮率の関係を示したグラフである。
【図5】本発明のセラミックグリーンシートの製造方法における凝集剤を添加したグリーンシートのシート密度と焼成した基板の短辺と長辺の収縮率の関係を示したグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼成後電子部品用セラミック基板となるセラミックグリーンシートに係わり、高精度な外辺寸法を持つ基板に好適なセラミックグリーンシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子部品用セラミック基板の作製方法として一般的なものは、セラミックグリーンシートに金型により外辺形状、スルーホール、分割溝加工を施し、所定の温度で作製する方法と、焼結後のセラミック基板にレーザー加工により外辺切断、スルーホール加工、分割溝形成をする方法と、その双方の組み合わせによる方法が良く用いられている。更にこれらセラミック基板に電極等の導体をスクリーン印刷で印刷する際には、高い外辺寸法精度がセラミック基板に要求される。
【0003】
量産性に最も適しているのはセラミックグリーンシートに金型成型する方法である。しかし、セラミックグリーンシートの密度が不安定であると、各々のグリーンシートの焼成時の収縮率が異なるために、外辺寸法が異なるセラミック基板が作製される。密度が不安定なグリーンシートの焼成後の外辺寸法のバラツキを小さくするための解決策として、グリーンシートの収縮率に合致するような、収縮率の異なる金型即ち金型寸法の異なる2〜3種類の金型を準備し、焼成するために、この2〜3種類の金型を作製するためのコストがかかり、トータルの生産コストがアップすることになる。又は焼成後のセラミック基板の外辺寸法を規格に合致させようとし、焼成炉の焼成温度を適宜変更するために、生産性が劣るなどの欠点があった。これらの課題解決手段の一つとして、セラミックグリーンシートの密度を一定にする事が考えられる。
【0004】
これらの課題解決の公知技術として例えば、特許文献1では、焼成体のマイクロポアを無くすために、泥しょうやグリーン体を再度、セラミック粉末とバインダーを混合した泥しょうに添加混合して、セラミックグリーンシートを作製する方法について述べている。また、特許文献2では、セラミックグリーンシート用のバインダーとして、再利用する際のグリーンシートの再分散性が良好なバインダー組成について述べている。
【0005】
〔特許文献1〕特開平9−315868号公報
〔特許文献2〕特開2000−233975号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の特許文献1には、焼成後の寸法を安定させるためのグリーンシートの密度の安定化については、記述されておらず、単に泥しょうやグリーンシートを再利用した時に、窒化アルミニウム焼結体のマイクロポアを無くす技術に関するものであった。また、同じく前述の特許文献2においても、グリーンシートの再利用においてグリーンシートの密度の安定化については記述されておらず、単に再分散が良好なバインダー組成に関するものであった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで、上記課題に鑑み、本発明はセラミックグリーンシートの製造方法において、セラミック粉体、有機溶剤、結合剤の有機バインダー及び可塑剤からなる1次スラリーに、セラミックグリーンシートの作製工程で発生する厚みが所定の規格を満足しない耳等や金型の打ち抜き工程で発生する打ち抜き後の耳や打ち抜き屑等の再利用できるグリーンシートを20〜80重量部、更に分散剤又は凝集剤を0.10重量部以下添加混合して成形用スラリーを作製し、この成形用スラリーを用いてシート化することを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
本発明のセラミックグリーンシートは、セラミック粉体、有機溶剤及び結合剤の有機バインダー及び可塑剤からなる1次スラリー100重量部に、グリーンシートの作製工程で発生する厚みが所定の規格を満足しない耳等や、金型の打ち抜き工程で発生する打ち抜き後の耳や打ち抜き屑等の再利用できるグリーンシートを20〜80重量部添加し、更に分散剤又は凝集剤を添加しボールミルで成形用スラリーを作製し、この成形用スラリーをドクターブレード法などでシート化する方法である。
【0010】
ここで再利用できるグリーンシートの添加量が20重量部より少なくなると、グリーンシートの密度が所定の密度の範囲より小さくなり、焼成後のセラミック基板の外辺寸法が小さくなり、また再利用できるグリーンシートの添加量が80重量部より多くなると、グリーンシートの密度が所定の密度の範囲より大きくなり、焼成後のセラミック基板の外辺寸法が大きくなる。グリーンシートの製造工程で発生する厚みが所定の規格を満足しない耳等や、金型の打ち抜き工程で発生する打ち抜き後の耳や打ち抜き屑等の再利用できるグリーンシートの発生割合や焼成後のセラミック基板の外辺寸法の精度を考慮すると、再利用できるグリーンシートの添加量は好ましくは30〜70重量部である。
【0011】
更にグリーンシートの密度を所定の範囲に合致させるために微調整の目的で分散剤又は凝集剤を添加する。グリーンシートの密度が所定の範囲よりわずかに低い時は、1次スラリーの作製時に使用した分散剤を0.10重量部以下の範囲で添加混合し、グリーンシートの密度が所定の範囲よりわずかに高い時は、有機溶剤中で相溶性のない凝集剤を0.10重量部以下の範囲で添加混合した成形用スラリーを用いる。
【0012】
このようにして、所定の密度の範囲に調整されたグリーンシートは、チップレジスター用基板に適用され、中でも1608タイプ(1.6×0.8mmの寸法に多数個取りするもの、以下同様)、1005タイプ、0603タイプ等の小チップレジスターと呼ばれるタイプ、または多連チップレジスターと呼ばれるタイプ等、特にスクリーン印刷をする際に高寸法精度が要求される、電子部品セラミック基板に適用される。
【0013】
ここで言うセラミック粉末とはアルミナ、フォルステライト、ジルコニア等の酸化物セラミック、窒化アルミニウムや窒化珪素等の非酸化物セラミックに適用が可能である。
【0014】
1次スラリーに用いる有機溶剤としてはトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等を2種類以上を混合して用いる。結合剤としては熱可塑性樹脂のブチラール樹脂、アクリル樹脂等、可塑剤としてはフタル酸エステル、脂肪酸エステル、グリコール誘導体等を用いる。また分散剤としてはカルボン酸系の界面活性剤、エステル系非イオン性界面活性剤、ソルビタン系の多価アルコール、凝集剤としてはグリコール誘導体、脂肪酸エステル、水等を用いる。
【0015】
【実施例】
以下のようにしてセラミックグリーンシートを作製した。
【0016】
ドクターブレード法に用いるセラミックスラリーは、セラミック粉末として96重量%のアルミナ、更にシリカ、カルシア及びマグネシアからなる焼結助剤とソルビタン系の多価アルコールの分散剤と有機溶媒にトルエンとイソプロピルアルコールを添加しボールミルで約48時間混合し、その後結合剤として熱可塑性樹脂のブチラール樹脂をセラミック粉体に対して8重量部と、この樹脂の可塑剤としてアジピン酸ジオクチルをブチラール樹脂に対して50重量部添加し、更にボールミルで約24時間混合し1次スラリーを調製した。この1次スラリーに、シート化する際に発生する厚みが所定の規格を満足しない耳等や金型の打ち抜き加工で発生する打ち抜き後の耳や打ち抜き屑等の再利用できるグリーンシートを20〜80重量部の範囲で適宜添加調整し、更に有機溶剤も添加しボールミルで成形用スラリーを作製した。更にグリーンシートの密度を微調整しバラツキの範囲を小さくするために、グリーンシートの密度が低い時は、1次スラリーを作製する際に用いたソルビタン系の多価アルコールの分散剤を成形用スラリーに対して適宜添加混合し、グリーンシートの密度の調整を行った。逆にグリーンシートの密度が高い時は、主溶剤のトルエンと相溶性が低いグリコ−ル系の添加剤を凝集剤として成形用スラリーに対して適宜添加混合し、グリーンシートの密度の調整を行った。
【0017】
このように調製した成形用セラミックスラリーを防爆型のドクターブレード成形機を用い、成形速度及びブレードの高さを調整し、厚み0.58mmのグリーンシートを作製した。本発明実施例は、再利用できるグリーンシートの添加量を20、30、50、70、80重量部とし、更に分散剤又は凝集剤の添加量は成形用スラリーに対し0.10重量部以下とした。得られたグリーンシートの外辺寸法の評価方法は、打ち抜き寸法が長辺方向70mm、短辺方向60mmになるような金型で外片を打ち抜き、次にこのグリーンシートを1600℃で焼成した。
【0018】
焼成後のセラミック基板の外辺寸法の評価は、焼成後の長辺寸法と短辺寸法をノギスで測定し、その値を金型寸法で除して収縮率を算出した実施例1〜13を作製した。比較として、本発明以外の比較例1〜8も作製した。
【0019】
尚、セラミックグリーンシートの密度は、下記に示すような測定方法と算出式で行った。
【0020】
1)試験片;巾12×長さ50mm
2)測定数;3
3)測定項目
・試験片重量(g)
・試験片厚み(mm)
4)密度の算出法
重量/(1.2×5.0×厚み)=密度g/cm3
表1に、再利用できるグリーンシートの添加量とグリーンシートの密度及び焼成した基板の短辺、長辺の収縮率の関係、更に分散剤又は凝集剤の添加量とグリーンシートの密度及び焼成した基板の短辺、長辺の収縮率の関係を記載した一連の結果を示す。更に図1〜5にもこれらの結果を示す。
【0021】
【表1】
【0022】
表1、図1の結果から判るように、再利用できるグリーンシートの添加量が20〜80重量部の範囲ではシート密度が2.339〜2.364g/cm3のバラツキが0.025g/cm3の範囲であることが判る。図2の結果から判るように、再利用できるグリーンシートの添加量が20〜80重量部の範囲で作製しグリーンシートの密度バラツキが0.025g/cm3の範囲であるグリーンシートを焼成した後の基板の収縮率のバラツキの範囲は、短辺が0.30%、長辺が0.29%となり収縮率のバラツキが小さく、外辺寸法のバラツキが小さい寸法精度が高いセラミック基板の作製が可能であった。これに対し、再利用できるグリーンシートの添加量が20重量部より小さい比較例1、2や80重量部より大きい比較例3、4ではシート密度のバラツキが0.034g/cm3以上になる。この範囲にあるグリーンシートを焼成した後の基板の収縮率のバラツキの範囲は、短辺が0.53%以上、長辺が0.43%以上になり収縮率のバラツキが大きくなった。
【0023】
図3の結果から判るように、分散剤を添加することでグリーンシートの密度が上昇し、凝集剤を添加することでグリーンシートの密度が低下することが判る。分散剤の添加量が0.10重量部より多くなるとグリーンシートの密度が高くなり過ぎ、所定のシート密度の範囲に入れることが不可能であった。逆に凝集剤の添加量が0.10重量部より多くなるとグリーンシートの密度が低くなり過ぎ、所定のシート密度の範囲に入れることが不可能であった。
【0024】
図4の結果から判るように、分散剤の添加量が0.10重量部以下で作製したグリーンシートは、グリーンシートの密度バラツキが0.020g/cm3の範囲であり、このグリーンシートを焼成した後の基板の収縮率は短辺が0.24%、長辺が0.21%となり収縮率のバラツキが小さく、外辺寸法のバラツキが小さい寸法精度が高いセラミック基板の作製が可能であった。
【0025】
また図5の結果から判るように、凝集剤の添加量が0.10重量部以下で作製したグリーンシートは、グリーンシートの密度バラツキが0.021g/cm3の範囲であり、このグリーンシートを焼成した後の基板の収縮率は短辺が0.25%、長辺が0.25%となり収縮率のバラツキが小さく、外辺寸法のバラツキが小さい寸法精度が高いセラミック基板の作製が可能であった。
【0026】
【発明の効果】
以上のように、本発明のセラミックグリーンシートの製造方法により得られたセラミックグリーンシートは、再生利用可能なセラミックグリーンシートの添加量が適度な範囲にあるために、シート化した際の密度のバラツキが小さく、焼成後のセラミック基板の外辺寸法の精度が高い、セラミックグリーンシートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックグリーンシートの製造方法における再利用できるグリーンシートの添加量とシート密度の関係を示したグラフである。
【図2】本発明のセラミックグリーンシートの製造方法におけるグリーンシートのシート密度と焼成した基板の短辺と長辺の収縮率の関係を示したグラフである。
【図3】本発明のセラミックグリーンシートの製造方法における分散剤と凝集剤の添加量とグリーンシートのシート密度の関係を示したグラフである。
【図4】本発明のセラミックグリーンシートの製造方法における分散剤を添加したグリーンシートのシート密度と焼成した基板の短辺と長辺の収縮率の関係を示したグラフである。
【図5】本発明のセラミックグリーンシートの製造方法における凝集剤を添加したグリーンシートのシート密度と焼成した基板の短辺と長辺の収縮率の関係を示したグラフである。
Claims (3)
- セラミック粉体、有機溶剤、結合剤の有機バインダー及び可塑剤からなる1次スラリーに、セラミックグリーンシートの作製工程で発生する厚みが所定の規格を満足しない耳等や金型の打ち抜き工程で発生する打ち抜き後の耳や打ち抜き屑等の再利用できるグリーンシートを添加混合し、更に分散剤又は凝集剤を添加して成形用スラリーとし、この成形用スラリーを用いてシート化することを特徴とするセラミックグリーンシートの製造方法。
- 上記1次スラリーに対し、上記再利用できるグリーンシートを20〜80重量部添加混合することを特徴とする請求項1記載のセラミックグリーンシートの製造方法。
- 上記分散剤又は凝集剤の添加量は、成形用スラリーの総重量に対して0.10重量部以下としたことを特徴とする請求項1または2記載のセラミックグリーンシートの製造方法。
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| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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| JP2002372370A JP2004203643A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | セラミックグリーンシートの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2002372370A JP2004203643A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | セラミックグリーンシートの製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2004203643A true JP2004203643A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32810995
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2002372370A Pending JP2004203643A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | セラミックグリーンシートの製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2004203643A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2007119281A (ja) * | 2005-10-26 | 2007-05-17 | Ngk Spark Plug Co Ltd | セラミックグリーンシートの製造方法およびセラミックグリーンシート |
| JP2008516820A (ja) * | 2004-10-19 | 2008-05-22 | ロールス−ロイス・コーポレーション | 焼結セラミック物品の異方性収縮と関連づけられた方法及び装置 |
| JP2009083390A (ja) * | 2007-10-02 | 2009-04-23 | Panasonic Corp | セラミックグリーンシートの製造方法 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372370A patent/JP2004203643A/ja active Pending
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| JP2007119281A (ja) * | 2005-10-26 | 2007-05-17 | Ngk Spark Plug Co Ltd | セラミックグリーンシートの製造方法およびセラミックグリーンシート |
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