JP2004229657A - 核酸又は様々な生物学的物質を分離及び精製するためのキットと、このキットを用いて生物学的物質の分離又は精製操作を自動化するためのシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】核酸又は様々な生物学的物質を分離するに適した固体物質やバッファを保持するように設けられた複数のチャンバー14が1列に並んで形成された容器10と、貫通孔が設けられた平板部21と、貫通孔と連通しながら終端が密閉された内部通路を有し、容器10の各チャンバー14内に入れられるバッファ内に浸漬され得る所定の長さの凸部23が設けられたキャリッジ20とを備え、キャリッジ20の平板部21には、キャリッジ20を各チャンバー14に移送するための手段に選択的に着脱可能な取り付け手段24が設けられており、さらに、このようなキットを用いて分離又は精製操作を自動化したシステムを提供する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、核酸又は様々な生物学的物質を分離及び精製するためのキットと、このキットを用いて生物学的物質の分離又は精製操作を自動化するためのシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
血液や細胞又は様々な生物学的試料から核酸又は生物学的物質を分離、精製するための装置は、生物学、生化学、分子医学、法医学、診断医学などの様々な分野において広く適用されている。
【0003】
最近、生命工学の飛躍的な成長の土台となったDNA増幅のための合成酵素連鎖反応(以下、「PCR」と称する)は、生物学的研究や診断分野において、必須の段階として頻繁に利用されている(米国特許第4,683,195号参照)。核酸の分離のための従来の方法は、フェノールとクロロホルムのような有機溶媒などを用いている。最近には、核酸と結合する性質を有する物質を用いる種々の方法が提案されている。これらの物質としては、例えば、シリカ、ガラス繊維、陰イオン交換樹脂、又は変形した磁性ビーズなどがある。
【0004】
これらの物質を用いる方法は、有害な有機溶媒を用いず、その分離過程においても、核酸が物理的、生化学的に分解されることを最小化すると共に、さらに、固着した核酸は、核酸を分解する酵素の影響を受けにくくなるという利点がある。しかし、これらの方法は、前記物質を他の容器に移すために、煩わしく手でピペット(pipette)を用いて移す段階を依然として必要とする。よって、使用者が核酸を分離すべき出発物質として、感染されている血液又はバクテリアを使用すれば、感染されているウィルスやバクテリアからの潜在的な感染に露出されてしまうという欠点がある。
【0005】
このような種々の問題点を避け、手動作業による実験の誤差を低減し、より信頼性高い測定の結果を得るために、「MagNa Pure LC(Roche,Switzerland)」などのような自動化装置が開発されていた。これらの装置は、米国特許第3,985,649号に開示されている概念に基づいて、多数の試料を取り扱うことができるように考案されている。このような自動化装置の大半は、様々な生物学的試料から核酸又は生物学的物質を収集する過程において、化学的溶媒を用いる段階と、遠心分離段階とを除去するために磁性ビーズ(magnetic bead)を用いている。しかし、このような大型の自動化装置の場合、核酸又は生物学的物質を分離するにあたって、大きい処理量を有していても中・少量の試料の取り扱いにおいてその装置などは、大型となり、高価且つ複雑であるため効率的でない。このため、結果としてこれらの装置は、大半の臨床診断と小型実験室では実用的でない。
【0006】
一方、最近には、「KingFisher」(Thermo Lab systems, Massachusetts, USA)及びSX−6G(PSS, Chiba, Japan)などのような相対的に少ない量の試料を取り扱いできるように設計された中・小型の自動化装置も開発された。しかし、これらの自動化装置の場合にも、試料の測定(又は、処理)の作業において、その装置の全体の試料処理量を一度に行なうように設計されており、所定の個別試料のみを測定しようとする場合には、依然として効率的でないという欠点があった。即ち、必要な数だけの試料を、必要に応じて所定の数のみを選択的に処理できる移動性に優れた小型装置を製造することが求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、生物学的試料から核酸又は生物学的物質を分離及び精製するために、生物学的物質を分離するにあたって必要な固体物質、バッファ、酵素のような適切な物質が複数のチャンバー内に予め入られており、必要な所定の数だけを選択的に用いることができる新規なキットを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記キットを用いて、必要とする所定の数だけの試料を処理できる自動化した試料処理システムを提供することを他の目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の実施の形態によると、固体物質を用い、生物学的試料から核酸又は生物学的物質を処理するための自動化システムに用いられるキットが提供される。
【0010】
前記キットは、核酸又は様々な生物学的物質を分離するに適した固体物質やバッファを保持するように設けられた複数のチャンバーが1列に並んで形成された容器と、貫通孔が設けられた平板部と、前記貫通孔と連通しながら終端が密閉された内部通路を有し、前記容器の各チャンバー内に入れられるバッファ内に浸漬され得る所定の長さの凸部とが設けられたキャリッジとを備え、前記キャリッジの平板部には、前記キャリッジを各チャンバーに移送させるための手段に選択的に着脱可能な取り付け手段が設けられることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の他の実施の形態によると、前記キットを用い、生物学的試料から核酸又は生物学的物質を処理するための選択的試料処理システムが提供される。前記システムは、一連のチャンバーを有する各容器を実験の用途によって、所定の数だけを選択的に装着できる基底板と、前記基底板に設けられる各容器の所定の配置に合致するように貫通孔が設けられたフレームを有し、前記キットのキャリッジが実験の用途によって着脱可能となるように、フレームの下部表面に前記キャリッジの取り付け手段に対応して取り付け手段が設けられたキャリッジ取り付けフレーム組立体と、前記キャリッジ取り付けフレーム組立体のフレームに設けられた貫通孔と合致するように、複数の磁性バーがその下部表面に取り付けられたフレームを有する磁性バー組立体と、前記容器が選択的に配置された基底板を水平移動させるための基底板の移送装置と、前記チャンバー内のバッファ及び固体物質を混合したり、攪拌したりするために、前記キャリッジ取り付けフレーム組立体を上下動させるためのキャリッジ取り付けフレーム組立体移送装置と、前記磁性バー組立体の磁性バーを前記キャリッジの貫通孔及び内部通路を通じて上下動させるための磁性バー組立体移送装置と、前記全ての移送装置を所定の分離又は処理の手続きによって制御するための制御装置とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の上記及びその他の目的と特徴は、添付図面を参照して、好ましい実施の形態に対する以下の詳細な説明により明らかになるだろう。
【0013】
【実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面に基づいて詳しく説明する。
【0014】
図1及び図2には、生物学的試料から核酸又は生物学的物質を分離するために用いられる本発明によるキットを詳しく示している。
【0015】
図1に示すように、キット100は、複数のチャンバー14からなる直線形の容器10と、この容器10のチャンバー14内に挿入されるように設けられた凸部23を有するキャリッジ20とを備えている。容器10の各チャンバー14には、核酸又は生物学的物質を分離するに適した固体物質やバッファが保持されており、かつ、このチャンバー14は、前記容器10に1列に並んでいる。また、キャリッジ20は、貫通孔22が設けられた平板部21と、前記貫通孔22と連通しながら終端が密閉された内部通路を有し、チャンバー14内のバッファに浸漬されるように所定の長さを有する凸部23とを備える。さらに、図2に示すように、キャリッジ20が後述するキャリッジ取り付けフレーム組立体(図3及び図4参照)30に着脱可能に取り付けられるように、平板部21には取り付け手段が設けられている。このような取り付け手段24は、通常の磁石、ゴム磁石、ネオジウム、磁性に反応する金属体などから構成されても良い。この取り付け手段24と、後述するキャリッジ取り付けフレーム組立体30の磁石型の対応の取り付け手段とがお互いに結合されることにより、キャリッジ20がキャリッジ取り付けフレーム組立体30に取り付け可能となり、結果として所定の試料処理手順によってキャリッジ20が移送されることができる。
【0016】
前記容器10の各チャンバー14は、空間の効率的な利用のために、通常、矩形断面を有するが、必ずこのような形状に限定されるものではない。例えば、その断面形状が、円形又は楕円形のものも可能である。さらに、キャリッジ20の凸部23の断面形状は、必ずそれに限定されるものではないが、チャンバー14の断面形状に相応することが好ましい。
【0017】
このような構成となるキット100の容器10は、実験に必要な所定数だけ後述する基底板50に選択的に装着(配置)することができる。従って、所定数の容器10は、所定の手続きによって後述する基底板の移送手段(図4参照)80により水平面上で移送されることができる。
【0018】
図2に示すように、磁石24のような取り付け手段が平板部21の上部表面の両側面に設けられて、キャリッジ20をキャリッジ取り付けフレーム組立体30に容易に取り付けられるようにしている。しかし、本発明は、このような形態に限定されるものでなく、平板部21の内部に設けていても良い。ここで、キャリッジ取り付けフレーム組立体30と着脱可能に安定して取り付けられるものであれば、いずれの種類の公知の取り付け手段も使用することが可能であり、例えば、ベルクロ(Velcro)を使用しても良いことは言うまでもない。
【0019】
また、生物学的試料から核酸又は様々な生物学的物質を処理する作業に慣れていない使用者のために、前記容器10の各チャンバー14には、所定の手続きに合わせて固体物質及びバッファなどが予め入られても良い。前記固体物質としては、核酸又は生物学的物質の吸収又は運搬を容易にするための磁性ビーズ(magnetic bead)を用いることが好ましい。
【0020】
さらに、前記容器10及びキャリッジ20は、キットの制作を容易にするか、あるいは固体物質とバッファとの化学的反応を最小に抑えるために、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、又はアクリロブタジエンスチレン(ABS)などの物質から製造されることが好ましい。
【0021】
以下、図3及び図4を参照して、このキットを用いて、核酸などの生物学的物質を分離又は精製するための自動化システムについて説明する。
【0022】
先ず、キット100の容器10内の核酸及び生物学的物質を収集及び運搬するための固体物質を所定の手続きによって処理し、それを運搬するときに使用される手段について説明する。
【0023】
図3は、前述のキャリッジ20を選択的に取り付けるためのキャリッジ取り付けフレーム組立体30と、キャリッジの取り付けられた状態で磁性ビーズのような固体物を用いて、核酸のような生物学的物質を処理するための磁性バー42を備えた磁性バー組立体40とをキット100と共に示した斜視図である。
【0024】
図3に示すように、キャリッジ取り付けフレーム組立体30は、平板部(以下、「下部フレーム」と称する)36を備えている。この下部フレーム36には、キャリッジ20の貫通孔22と連通する貫通孔32が設けられており、さらに、キャリッジ20の磁石24に対応する位置に磁石型の対応の取り付け手段が設けられている。キャリッジ20と関連して説明したとおり、前記対応の取り付け手段は、下部フレーム36の下部表面に設けることも可能であり、必要に応じては下部フレーム36の内部に設けることも可能である。ここで、前記磁石の代わりに、キャリッジと関連して前述したとおり、任意の着脱可能な取り付け手段を備えていても良いことは言うまでもない。
【0025】
また、キャリッジ取り付けフレーム組立体30の上部に設けられた磁性バー組立体40は、平板部(以下、「上部フレーム」と称する)46を備えている。この上部フレーム46の下部表面にはキャリッジ取り付けフレーム組立体30の貫通孔32に対応する位置から垂直下向きに所定の長さだけ延びる磁性バー42が堅固に設けられている。この磁性バー42は、キャリッジ取り付けフレーム組立体30の貫通孔32とキャリッジ20の貫通孔22を通じてキャリッジ20の凸部23の内部通路に進入できるように設けられている。後述のように、使用者の必要に応じてキャリッジ20をキャリッジ取り付けフレーム組立体30から容易に取り外しできるように、この磁性バー42の長さは、キャリッジ20の平板部21の下部表面から凸部23の最下端部までの距離よりやや長く形成することが好ましい。
【0026】
以下、前記運搬手段と、この運搬手段を移送するための移送装置とから構成される自動化システムについて、図4を参照して詳しく説明する。
【0027】
システム200は、キット100の容器10を実験の目的に合わせて所定数だけを選択的に装着できる基底板50と、前記キット100のキャリッジ20を所定数だけ取り付けるためのキャリッジ取り付けフレーム組立体30と、磁性バー組立体40と、前記キャリッジ20、即ち、キャリッジ取り付けフレーム組立体30を垂直方向に移動させるためのキャリッジ取り付けフレーム移送装置60と、前記磁性バー組立体40を垂直方向に移動させるための磁性バー組立体移送装置70と、前記基底板50を水平方向に移動させることができる基底板移送装置80と、これらの全ての移送装置を制御するための制御装置90とを備えている。
【0028】
一般に、キャリッジ取り付けフレーム移送装置60は、第1のモータ65を用いてキャリッジ取り付けフレーム組立体30をベルト駆動し、磁性バー組立体移送装置70は、第2のモータ75を用いて磁性バー組立体40をベルト駆動する。かつ、基底板移送装置80は、第3のモータを用いて基底板50をギア駆動するように構成されている。ここで、ベルトやギアなどの何れの手段が前記移送装置に使用されても良い。
【0029】
前述のように、キャリッジ20は、平板部21に設けられた取り付け手段24が下部フレーム36に設けられた対応の取り付け手段に取り付けられたまま、キャリッジ取り付けフレーム移送装置60により移送され、凸部23は、キャリッジ20の平板部21が容器10の上部面に接近するときに、該当のチャンバー内に浸漬されるように設けられる。従って、キャリッジ20の上下運動の際に、各バッファ(例えば、液体反応物)や固体物質は、凸部23によりそれぞれの該当のチャンバー14内で効率良く混合されたり、攪拌されたりする。前記固体物質や各バッファをより効率的に混合したり、攪拌したりするために、容器10を振盪するための他の手段を備えても良い。
【0030】
また、該当のチャンバー14内の固体物質を集めて、次のチャンバーに移動させるために、磁性バー組立体40の磁性バー42は、磁性バー組立体移送装置70の下向き移送作動によりキャリッジ20の貫通孔22及び凸部23の内部通路を通じて凸部23の最下端壁に接触するように挿入される。このとき、磁性バー組立体移送装置70は、キャリッジ取り付けフレーム移送装置60と同期化することが好ましく、よって、磁性バー組立体40の磁性バー42は、キャリッジ20と共に容器10のチャンバー14内に移動する。即ち、磁性バー組立体40の磁性バー42がキャリッジ20の凸部23の最下端壁に接触した状態でキャリッジ20の平板部21が容器10の上部面と接触すると、キャリッジ20の凸部23がチャンバー14内のバッファ内に浸漬されるようになり、よって、磁性バー42の磁気力により該当のチャンバー14内の固体物質が引き寄せられ、凸部23の外部表面に付着されるようになり、前記磁性ビーズのような固体物質を適宜に集めることが可能となる。その次、容器10がキャリッジ20の凸部23により妨げられることなく移動できる程度にキャリッジ20などを上昇させ、後続工程のために、所定のピッチに該当する程度の水平距離だけ容器10の装着された基底板50を基底板移送装置80を用いて水平移送させた後、再びキャリッジ取り付けフレーム組立体30及び磁性バー組立体40が次のチャンバーに向けて下降し後続工程を行う。上述の手続きを繰り返すことにより、所定の手続きが制御装置90により自動的に行われることが可能となる。従って、核酸又は生物学的物質のような最終の成分を最終のチャンバー内で容易に得られる。
【0031】
前記所定の手続き及び各移送装置の移送を制御するための制御手段90は、通常のマイクロコンピュータであっても良いし、同じ目的を遂行するマイクロチップ(micro−chip)なども用いられることは言うまでもない。このような制御装置90は、一般的のものと同様であり、さらに詳しい説明は省略する。
【0032】
このように、核酸又は様々な生物学的物質の分離及び精製のような一部の手続きが終了した後、あるいは使用者の必要に応じて適切な時期に、キャリッジ20は、キャリッジ取り付けフレーム組立体30から取り外されるべきである。前述のように、キャリッジ20をキャリッジ取り付けフレーム組立体30から取り外すために、磁性バー42の長さは、キャリッジ20の平板部21の下部表面から凸部23の最下端部までの距離よりもやや長く形成する必要がある。即ち、所定の時期に磁性バー組立体40の磁性バー42をキャリッジ取り付けフレーム組立体30の貫通孔32、キャリッジ20の貫通孔22及び凸部23の内部通路を通じて終端まで挿入されるように制御プログラムを作成するか、あるいは手動に上述の操作を行なうと、磁性バー42とキャリッジ20の凸部23との長さ関係により磁性バー42がキャリッジ20の凸部23の内部の最下端部壁を押し付けることになり、磁石型の取り付け手段の結合力を超えて、キャリッジ20がキャリッジ取り付けフレーム組立体30から取り外される。従って、所定の手続きが終了した最終の生成物を含有したキット100は、必要な追加工程で使用することが可能となる。
【0033】
一方、キャリッジの形状は、容器のチャンバー内で試料が混合される性能に影響を及ぼすだけでなく、その表面に付着される磁性粒子の量及び試料の量に影響を与える。図5及び図6は、このような混合性能の向上のために、本発明によるキットのキャリッジを変形した他の実施の形態を示している。
【0034】
図5及び図6に示すように、本発明によるキット100のキャリッジ20は、凸部23の下端に、凸部23の水平断面積よりも大きい断面積の拡張部26を有するように設けられている。これにより、キャリッジ20の拡張部26がチャンバー14内に進入することによって、拡張部26を通る液体の流れが強くなり、前記液体の混合が良好になる。また、キャリッジ20の拡張部26の上面には所定の渦流形成空間が備えられており、液体の混合がさらに円滑に行なわれる。なお、この混合効果をより向上させるために、図6に示すように、2つ以上の拡張部26がキャリッジ20の長手方向に並んで配置されている。さらに、液体の流れが速まるとともに、多くの磁性粒子が付着されるように、拡張部26の下部面は、容器10のチャンバー14の底面に相応する形状(例えば、平面形、半球形、円錐形など)を有するものが好ましい。
【0035】
図示していないが、本発明によるキャリッジ20の拡張部26の下部面には、溝や突起が設けられており、キャリッジ20が各チャンバー14内に完全に進入されてから後退するときにチャンバー内の液体との凝着力によりキャリッジ20がキャリッジ取り付けフレーム組立体30から不意に取り外されることを防止することも可能である。
【0036】
特に、上述のような構成となる拡張部26を備えるキャリッジ20は、液体成分の試料のみならず、植物、昆虫又は動物組織のように、殻を有する固体試料にも適用することができる。即ち、前記拡張部26がキャリッジの凸部23よりも半径方向に大きく設けられ、チャンバー14の底面と相応する形状を有することにより、植物の葉や昆虫又は動物組織を容器のチャンバー内で直接圧搾・粉砕して生物学的試料として用いることができる。従って、植物、昆虫又は動物組織のような試料も本発明によるキットにおいて直接使用可能であることが分かる。
【0037】
以上のように、上記実施の形態を参照して詳細に説明され図示されたが、本発明は、これに限定されるものでなく、このような本発明の基本的な技術的思想を逸脱しない範囲内で、当業界の通常の知識を有する者にとっては、他の多くの変更が可能であろう。また、本発明は、添付の特許請求の範囲により解釈されるべきであることは言うまでもない。
【0038】
【発明の効果】
以上のように、本発明によると、実験の目的に合わせて、バッファ、固体物質、酵素などが予め入れられた複数のチャンバーを有する容器及びキャリッジを備えたキットを、所定の数だけ選択的に基底板に設けることが可能となり、臨床的及び生物学的実験に十分なれていない使用者にとってもピペットを用いる手動作業を要することなく、必要な試料の数だけの中・少量の試料を処理するときに非常に効果的である。
【0039】
これにより、少量の試料を迅速に処理することが可能となり、不要な試料の消耗を避けることができるという付加的な効果も期待される。
【0040】
また、キャリッジの下端に、凸部よりも水平断面積が大きい拡張部が、チャンバーの底面形状に相応するように設けられているから、キャリッジのチャンバー内への進入にあたって、チャンバー内の液体の混合が良好となり、さらに、植物や昆虫などの固体試料を直接用いることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るキットを示す断面図である。
【図2】図1に示すキットのキャリッジの細部構成を示す平面図である。
【図3】図1に示すキットと、このキットを用いる自動化システムの一部構成要素とを共に示す斜視図である。
【図4】本発明に係る所定数のキットを用いる自動化システムの全体構成図である。
【図5】本発明に係るキットのキャリッジの変形例を示す図である。
【図6】本発明に係るキットのキャリッジの他の変形例を示す図である。
【符号の説明】
10…容器
14…チャンバー
20…キャリッジ
21…平板部
23…凸部
24…取り付け手段(磁石)
26…拡張部
30…キャリッジ取り付けフレーム組立体
36…下部フレーム
40…磁性バー組立体
42…磁性バー
46…上部フレーム
50…基底板
60…キャリッジ取り付けフレーム移送装置
70…磁性バー組立体移送装置
80…基底板移送装置
90…制御装置
100…キット
200…システム
Claims (19)
- 固体物質を用いて生物学的試料から核酸又は生物学的物質を処理するための自動化システムに用いられるキットにおいて、
核酸又は生物学的物質を分離するに適した固体物質やバッファを保持するように設けられた複数のチャンバーが1列に並んで形成された容器と、
貫通孔が設けられた平板部と、前記貫通孔と連通しながら終端が密閉された内部通路を有し、前記容器の各チャンバー内に入れられるバッファ内に浸漬され得る所定の長さの凸部とが設けられたキャリッジとを備え、
前記キャリッジの平板部には、前記キャリッジを各チャンバーに移送させるための手段に選択的に着脱可能な取り付け手段が設けられていることを特徴とするキット。 - 前記容器やキャリッジは、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、及びアクリロブタジエンスチレン(ABS)からなるグループより選択された何れか一つの材料から製作されることを特徴とする請求項1に記載のキット。
- 前記固体物質は、核酸又は生物学的物質を収集又は運搬するための磁性ビーズであることを特徴とする請求項1に記載のキット。
- 前記貫通孔及び凸部の内部通路は、前記磁性ビーズをピックアップするための磁性バーの上下移動通路となることを特徴とする請求項3に記載のキット。
- 前記取り付け手段は、磁石であることを特徴とする請求項1に記載のキット。
- 前記キャリッジ凸部の下端に、凸部の水平断面積よりも大きい断面積を有する拡張部がさらに設けられていることを特徴とする請求項1に記載のキット。
- 前記拡張部は、キャリッジの長手方向に2つ以上設けられていることを特徴とする請求項6に記載のキット。
- 前記キャリッジが前記チャンバー内へ完全に進入したとき、チャンバー内の流体が強く流動でき、チャンバーの底面と前記拡張部との間に強い圧着粉砕機能を有するように、前記キャリッジの拡張部の形状は、前記チャンバーの底面の形状と相応していることを特徴とする請求項6に記載のキット。
- 前記拡張部の下部面又は前記チャンバーの底面には、突起又は溝が設けられることを特徴とする請求項6に記載のキット。
- 前記生物学的試料は、固体試料を含むことを特徴とする請求項8に記載のキット。
- 前記固体試料に植物が含まれることを特徴とする請求項10に記載のキット。
- 前記固体試料に昆虫が含まれることを特徴とする請求項10に記載のキット。
- 前記固体試料に動物組織が含まれることを特徴とする請求項10に記載のキット。
- 請求項1に記載のキットを必要な数だけ用いて生物学的試料から核酸又は生物学的物質を処理するための試料処理システムにおいて、
一連のチャンバーを有する各容器を実験の用途によって所定の数だけ選択的に設けることができる基底板と、
前記基底板に設けられる各容器の所定配置に合致するように貫通孔が形成されたフレームを有し、前記キットのキャリッジが実験の用途によって選択的に着脱できるように、フレームの下部表面に、前記キャリッジの取り付け手段に対応して取り付け手段が設けられたキャリッジ取り付けフレーム組立体と、
前記キャリッジ取り付けフレーム組立体のフレームに形成された貫通孔と合致するように、複数の磁性バーがその下部表面に取り付いたフレームを有する磁性バー組立体と、
前記容器が選択的に配置された基底板を水平移動させるための基底板移送装置と、
前記チャンバー内のバッファ及び固体物質を混合したり、攪拌したりするために、前記キャリッジ取り付けフレーム組立体を上下動させるためのキャリッジ取り付けフレーム組立体移送装置と、
前記磁性バー組立体の磁性バーを前記キャリッジの貫通孔及び内部通路を通じて上下動させるための磁性バー組立体移送装置と、
前記全ての移送装置を所定の分離又は処理の手続きによって制御するための制御装置とを備えることを特徴とするシステム。 - 前記固体物質は、核酸又は生物学的物質を収集又は運搬するための磁性ビーズであることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
- 前記取り付け手段は、磁石であることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
- 前記キャリッジがキャリッジ取り付けフレーム組立体から取り外れるように、前記磁性バー組立体の各磁性バーの長さは、前記キャリッジ取り付けフレーム組立体のフレームの上部表面からキャリッジの内部通路の最下端部までの距離よりも長く形成されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
- 前記キャリッジ取り付けフレーム移送装置と前記磁性バー組立体移送装置とは、お互いに同期化して駆動されることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
- 前記各移送装置は、モータと、ベルト又はギアを含むことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
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