JP2004232119A - 透明性に優れた長繊維不織布 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】脂肪族ポリエステル長繊維からなり、平均繊維径が7μm以上40μm以下、目付が7g/m2以上50g/m2以下、透明性が50%以上、粉洩れ率が10wt%以下であることを特徴とする長繊維不織布。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性に優れた長繊維不織布に関する。
【0002】
【従来の技術】
不織布は、包材・衣料等の生活資材、オムツ用部材等の衛生材料、土木建築用等の産業資材、養生シート等の農業資材などに活用されている。これらの用途の多くは、不織布の遮蔽機能を活用し、製品保護等の包装性、皮膚保護等の被覆性、尿洩れ防止等の耐水性、家屋内環境改善等の透湿防水性・通気性、フィルター等の濾過性、等々を発現せしめる用途である。従って、これらの用途では内部を観察する必要性は少なく、むしろ遮光のために透明性を低くしたり、装飾のために着色や染色したり、耐水性向上のために繊維を緻密にしたりすることが要求され、内部を遮蔽することが必要であった。
【0003】
しかしながら、食料品の鮮度保持、植物の栽培、魚類の養殖、フィルター等の分野では、従来と同様の機能を有しながら、かつ、内部の食料品、植物、魚類、濾過物等を外部から観察することが必要とされる場合がある。
【0004】
従来、特許文献1や特許文献2に記載されているように、不織布が具備する透明性、通気性、濾過性を保持しながら、かつ漏出性や強度を向上したシートが提案されているが、これらは積極的に不織布の透明性を改良しようと試みたものではない。
【0005】
そこで、かかる要求に対して、薄い目付の不織布や透明フィルムに通気微細孔を開けた所謂通気フィルムや、透明なモノフィラメントで織ったネットなどの透明性を有する素材を使用し、透明性を改良しようとする試みがなされてきた。
【0006】
通気フィルムは、透明性に優れるものの、通気性が不十分であり、その欠点を克服すべく通気孔を増やすと、強度等の力学物性が低下する。そこで、特許文献3では、スリットが散在するフィルムを複合すること等によりスリット同士の交差部を通気部とするなどの提案がなされている。また、特許文献4では、水蒸気透過性高分子材料と多孔性高分子材料とを一体的にすることを特徴とする創傷被覆材用シートが提案されているが、創傷面を外部から観察することがようやく出来る程度の透明性を有するにすぎず、さらに一層の透明性の向上が求められている。
【0007】
ネットは、その構造に起因して遮蔽性が不足するため、特許文献5では、ネットに不織布を細幅にスリットしたテープ状糸条を複合すること等が提案されているが、遮光ネットで覆われた内部環境は改善されるものの、本来の透明性が損なわれ、外部からは観察しにくくなる。
【0008】
不織布は、通気フィルムよりも十分な通気性と力学物性、ネットよりも十分な遮蔽性を具備するものの、透明性を改善すべく単に薄い目付とした不織布は、通常の目付の不織布に比較して、内容物を均一に包む包装性、内部の植物や魚類を外気温や埃等から守るという遮蔽性、内容物を外部に洩らすことのない保持性が低下する。そのため、包装性、遮蔽性、保持性の性能を低下させることなく充分な透明性を有する不織布が期待されている。
【0009】
不織布に透明性を付与する方法として、例えば、特許文献6には、透明性に優れる新規な組成物にて不織布を形成することが提案されており、また、特許文献7には、不織布を構成する繊維の形状と不織布の目付の組み合わせにより適度な透光性を有する不織布を得る方法が提案されている。しかし、かかる不織布は、包装性、遮蔽性、保持性を維持したまま、ある程度は透明性が改善されるものの、不織布中の繊維を構成する熱可塑性重合体の屈折率以下にはなりえず、依然として透明性は不充分であった。
【0010】
さらに、不織布の透明性を改良する方法として、不織布を構成する単糸の繊維径を太くし、単位面積当たりの繊維の数を少なくすることにより単糸間の空隙を広げる方法がある。しかし、このようにして得られた不織布は、包装性、遮蔽性、保持性が低下するという問題があった。
【0011】
また、上記のような用途では、ほとんどの物が使い捨てにされており、焼却処分されるのが一般的である。しかし、近年の環境保護意識の高まりにより有機物循環型といえるコンポスト化のニーズが高まっている。ところが、非分解性の熱可塑性合成樹脂からなる不織布の場合、コンポスト化処理装置に投入すると、不織布は堆肥化しないでそのまま残ってしまうため、焼却あるいはそのまま埋め立てる以外に廃棄方法がないという問題点があった。
【0012】
以上のように、包装性、遮蔽性、保持性が良好で、かつ、透明性に優れ、生分解性を有しコンポスト化が可能であるという条件を全て満足する不織布やフィルムネットは、これまで得られていない。
【0013】
【特許文献1】
特開平7−330026号公報
【特許文献2】
特開平7−315391号公報
【特許文献3】
特開平5−50539号公報
【特許文献4】
特開平5−261145号公報
【特許文献5】
特開平10−327684号公報
【特許文献6】
特開2000−191852号公報
【特許文献7】
特開平8−35159号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明性、遮蔽性、保持性に優れ、かつ包装性が良好な上に、使用後にコンポスト化可能な生分解性を有する不織布を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、長繊維を構成する樹脂、単糸の繊維径ならびに不織布の構造を特定することにより、従来の不織布の包装性、遮蔽性、保持性の良好さを損なうことなく、優れた透明性を有し、かつ使用後にコンポスト化可能な不織布が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
【0016】
すなわち、本発明は下記の通りである。
【0017】
1.脂肪族ポリエステル長繊維からなり、平均繊維径が7μm以上40μm以下、目付が7g/m2以上50g/m2以下、透明性が50%以上、粉洩れ率が10wt%以下であることを特徴とする長繊維不織布。
【0018】
2.脂肪族ポリエステルが、D−乳酸の重合体、L−乳酸の重合体、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体から選ばれる重合体、または前記重合体から選ばれる二種以上のブレンド体であることを特徴とする上記1記載の長繊維不織布。
【0019】
3.湿熱収縮率が10%以下であることを特徴とする上記1または2に記載の長繊維不織布。
【0020】
4.部分熱圧着率が5%以上30%以下であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の長繊維不織布。
【0021】
以下、本発明について詳述する。
【0022】
本発明の長繊維不織布は、脂肪族ポリエステル長繊維からなる。脂肪族ポリエステルとしては、例えば、以下のような熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0023】
ポリグリコール酸やポリ乳酸のようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらを主たる繰り返し単位要素とする共重合体;ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロシキアルカノエート);ポリ−3−ヒドロキシプロピオネート、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリ−3−ヒドロキシカプロレート、ポリ−3−ヒドロキシヘプタノエート、ポリ−3−ヒドロキシオクタノエートのようなポリ(β−ポリヒドロシキアルカノエート)およびこれらを構成する繰り返し単位要素とポリ−3−ヒドロキシバリレートやポリ−4−ヒドロキシブチレートを構成する繰り返し単位要素との共重合体が挙げられる。また、グリコールとジカルボン酸との縮重合体からなるポリアルキレンジカルボキシレートとして、例えば、ポリエチレンオキサレート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンアゼレート、ポリブチレンオキサレート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンセバケート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリネオペンチルオキサレートまたはこれらを構成する繰り返し単位要素とするポリアルキレンジカルボシキレート共重合体が挙げられる。
【0024】
さらに、上記のような生分解性を有する重合体から選ばれた二種以上をブレンドしたものを使用することも出来る。
【0025】
本発明においては、紡糸性に優れ細繊径化が可能である点、遮蔽性、保持性、透明性および生分解性等の点から、ポリ乳酸系重合体が好ましい。ポリ乳酸系重合体としては、ポリ(D−乳酸)、ポリ(L−乳酸)、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体から選ばれる重合体、または上記重合体から選ばれる二種以上のブレンド体が好ましい。中でも特に、融点が100℃以上である重合体が好適に使用できる。ここで、乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体である場合におけるヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸等が挙げられる。これらの内、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。
【0026】
本発明において、脂肪族ポリエステルの分子量には特に制限は無いが、その分子量が低すぎると、紡糸が困難となることがあり、たとえ紡糸が可能であっても得られる繊維の強度が低下する傾向がある。また、分子量が高すぎると、加工性が低下する場合があり、また紡糸が困難となる傾向を示す。これらの点を考慮すると、例えば、ポリ乳酸系重合体の場合、好ましい重量平均分子量は1万以上100万以下の範囲から選ばれ、特に好ましい重量平均分子量の範囲は3万以上50万以下である。重合度を高めるために、少量のジイソシアネートやテトラカルボン酸二無水物などで鎖延長したものでも良い。
【0027】
また、脂肪族ポリエステルには、結晶核剤が添加されていても良い。結晶核剤としては、タルク、酸化チタン、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボン等が挙げられる。このような結晶核剤を添加すると、脂肪族ポリエステルの結晶化が促進されて、耐熱性や機械的強度が向上する。また、脂肪族ポリエステルを紡糸する際に、紡糸・冷却工程における糸条間の融着(ブロッキング)を防止できる。
【0028】
上記と同様の理由により、脂肪族ポリエステル長繊維の結晶化度は、10%以上40%以下の範囲にあることが好ましい。結晶化度が上記の範囲であると、耐熱性や機械的強度の向上効果が大きく、また、紡糸性に優れ、柔軟性に優れた繊維が得られ、コンポスト化処理時の分解速度も早い。結晶化度を上記のような好ましい範囲に調整するためには、脂肪族ポリエステルに対し、結晶核剤を0.1wt%以上3.0wt%以下の範囲で添加することが好ましく、より好ましくは0.5wt%以上2.0wt%以下の範囲である。なお、ここでいう結晶化度とは、粉末化した長繊維(不織布)を広角X線回折パターンにより、ルーランド法により求めたものである。
【0029】
また、本発明に用いられる脂肪族ポリエステルのうち、ポリ乳酸系重合体は可塑剤により可塑化されやすいことから、適度の風合いと柔軟性を有する長繊維を得るために、上記結晶核剤以外に、可塑剤を含有させても良い。
【0030】
可塑剤としては、例えば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジンルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジウンデシルフタレート等のフタル酸誘導体、ジイソオクチルフタレート等のイソフタル酸誘導体、ジ−n−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピン酸誘導体、ジ−n−ブチルマレート等のマレイン誘導体、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体、モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体、ブチルオレート等のオレイン酸誘導体、グリセリンモノリシルレート等のリシノール酸誘導体、トリクレジルフォスフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸エステル等の低分子化合物、トリアセチン(グリセリントリアセテート)等の酢酸誘導体、重合度2〜10程度の乳酸オリゴマー、ポリエチレンアジペート、ポリアクリレート等の高分子可塑剤等が挙げられる。
【0031】
上記可塑剤の内、好ましい可塑剤としては、トリアセチン、重合度2〜10程度の乳酸オリゴマー等が挙げられる。可塑剤の含有量は、ポリ乳酸系重合体に対し1wt%以上35wt%以下が好ましく、特に好ましくは5wt%以上15wt%以下である。
【0032】
脂肪族ポリエステル長繊維の繊維形態は、特に限定されるものではなく、脂肪族ポリエステルを単独で用いたものでも良いし、2種以上の脂肪族ポリエステルを用いた複合繊維でも良い。また、単繊維の断面形状は、丸断面が一般的であるが、その他にも、中空断面、異形断面、並列型複合断面、多層型複合断面、芯鞘型複合断面、分割型複合断面など、その目的と用途に応じて任意の断面形状を選択することが出来る。
【0033】
本発明の長繊維不織布は、平均繊維径が7μm以上40μm以下であり、好ましくは10μm以上37μm以下、より好ましくは12μm以上35μm以下である。平均繊維径が上記の範囲であると、透明性や紡糸性に優れ、また同時に、遮蔽性や布強度に優れる。
【0034】
本発明の長繊維不織布は、目付が7g/m2以上50g/m2以下であり、好ましくは10g/m2以上40g/m2以下、さらに好ましくは12g/m2以上30g/m2以下である。目付が上記の範囲にあると、透明性に優れると共に、繊維間の間隙が適度で、包装性、遮蔽性、保持性に優れる。
【0035】
本発明の長繊維不織布は、透明性が50%以上であり、好ましくは55%以上、より好ましくは60%以上である。透明性が50%以上であると、不織布越しに内容物等の確認が容易である。透明性は高いほど好ましい。
【0036】
本発明の長繊維不織布は、粉洩れ率が10wt%以下であり、好ましくは7.5wt%以下、さらに好ましくは5.0wt%以下である。粉洩れ率が10wt%以下であると、遮蔽性、保持性に優れる。粉洩れ率は低いほど好ましい。
【0037】
本発明の長繊維不織布は、平均見掛け密度が0.05g/cm3以上0.25g/cm3以下であることが好ましい。より好ましくは0.08g/cm3以上0.20g/cm3以下である。平均見掛け密度は、不織布の風合い、硬さ、及び透明性に関係し、上記の範囲であると、透明性に優れと共に、包装性、遮蔽性、保持性に優れる。
【0038】
本発明の長繊維不織布は、湿熱収縮率が、好ましくは10%以下、より好ましくは8%以下、さらに好ましくは5%以下である。湿熱収縮率が10%以下であると、熱成型加工等での収縮がほとんどなく、製品化が容易であり、また、100℃近い高温環境下にさらされるような使用形態でも、形態保持性に優れる。
【0039】
本発明の長繊維不織布の好ましい形態は、構成繊維同士が水流交絡処理等により、交絡して一体化してなるもの、熱風処理等により繊維交点が熱融着して一体化してなるもの、また、部分熱圧着処理により部分的な熱圧着部を有することにより一体化してなる不織布等が挙げられる。中でも、部分的に熱圧着されて不織布としての形態が保持されている不織布が、強力の点から好ましい。部分的に熱圧着された不織布は、点状融着区域においてのみ接着されているため、柔軟性と形態保持性とを兼ね備えたものとなり、柔らかくて毛羽立ちにくい不織布となる。
【0040】
ここで、部分的な熱圧着とは、エンボス加工または超音波融着処理によって点状融着区域を形成することをいい、具体的には、加熱されたエンボスロールと表面が平滑なロールとの間にウエブを通して繊維間に点状融着区域を形成する方法、またはパターンロール上で超音波による高周波を印加してパターン部の繊維間に点状融着区域を形成する方法がある。
【0041】
以下に、本発明の長繊維不織布の製造方法につき、代表例を挙げて説明する。
まず、本発明の長繊維不織布は、いわゆるスパンボンド法にて効率よく製造することが出来る。すなわち、前記の脂肪族ポリエステルを加熱溶融して紡糸口金から吐出させ、得られた紡出糸条を公知の冷却装置を用いて冷却し、その後、エアーサッカーなどの吸引装置にて牽引細化する。引き続き、吸引装置から排出された糸条群を開繊させた後、スクリーンからなるコンベアのごとき移動堆積装置上に堆積させてウエブとする。次いで、この移動堆積装置上に形成されたウエブに、加熱されたエンボスロールまたは超音波融着装置などの部分熱圧着装置を用いて部分的に熱圧着を施すことにより、長繊維スパンボンド不織布を得る。
【0042】
本発明においては、紡出糸条を3500m/分〜6000m/分の高速で牽引細化することが好ましい。紡出糸条を牽引細化する際の牽引速度が上記の範囲であると、重合体の配向結晶化が十分で、機械的特性に優れ、湿熱収縮率の小さい長繊維不織布が得られ、また、紡糸性が良好で糸切れがほとんど生じない。
【0043】
本発明において、長繊維不織布に部分熱圧着を施すと、不織布を構成する繊維間隙を小さくすることができるので、透明性、遮蔽性、保持性に効果的である。部分熱圧着は、上記の方法により、不織布全体に均等に分散された融着部分を形成させることができる。
【0044】
部分熱圧着率は、長繊維不織布全体に対して熱圧着部分の面積率で表される。部分熱圧着率は5%以上30%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以上28%以下、さらに好ましくは14%以上25%以下である。部分熱圧着率が上記の範囲であると、透明性に優れると共に、包装性、遮蔽性、布強度等にも優れ、また、不織布が脆化しにくい。なお、上記の部分熱圧着率を満足する限り、点状融着区域の形状は何ら限定されるものではない。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
【0046】
なお、測定方法及び評価方法は下記の通りである。
【0047】
(1)目付(g/m2)
JIS L−1906に規定の方法にしたがい、縦20cm×横25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3箇採取して質量を測定し、その平均値を単位面積当たりの質量に換算して求める。
【0048】
(2)平均見掛け密度(g/cm3)
目付とJIS L−1906に規定の方法で測定した荷重10kPaの厚みから単位容積当たりの質量を求め、それを平均して求める。
【0049】
(3)平均繊維径(μm)
生産された不織布の両端10cmを除き、巻取り幅方向にほぼ5分割して、1cm角の試験片をサンプリングして電子顕微鏡で写真を撮影し、その各写真より単糸繊維径を各20点づつ測定し、その総平均値から平均繊維径を算出する。
【0050】
ここで、平均繊維径とは、真円の単糸繊維の場合は該単糸繊維の直径を言い、異形断面繊維の場合は、該単糸繊維断面の断面積から、真円と仮定した場合の単糸繊維の直径に換算した値を言う。
【0051】
(4)透明性(%)
サカタインク製のマクベス分光光度計[CE−300型]で反射率を測定し、白板Lw0値、黒板Lb0値の差を求めて基準とし、試料のLw値とLb値から下記式により透明性を求める。
【0052】
透明性(%)=(ΔL/ΔL0)×100
但し、ΔL0=Lw0−Lb0であり、ΔL=Lw−Lbである。
【0053】
(5)湿熱収縮率(%)
JIS L−1906に規定の方法にしたがい、縦25cm×横25cmの試験片を、試料の幅1m当たり3箇所採取し、沸騰水中に3分間浸漬し、自然乾燥後にタテ及びヨコの収縮率を求める。それぞれの平均値を算出し、タテとヨコのいずれか大きい方の収縮率をその不織布の湿熱収縮率とする。
【0054】
(6)部分熱圧着率(%)
生産された不織布の両端10cmを除き、巻取り幅方向にほぼ5分割して、1cm角の試験片をサンプリングして電子顕微鏡で写真を撮影し、その各写真より熱圧着部の面積を各20点づつ測定し、その総平均値を熱圧着部の面積とする。不織布の単位面積当たりに占める熱圧着部の面積の比率を、部分熱圧着率として算出する。
【0055】
(7)メルトフローレート(MFR)
「熱可塑性プラスチックの流れ試験方法」JIS K−7210の表1の条件4、試験温度190℃、試験荷重21.18Nに準じて測定を行い、MFRを求める。
【0056】
(8)固有粘度([η])
固有粘度[η]は、次の定義式に基づいて求められる値である。
【0057】
【数1】
【0058】
式中、ηrは、純度98%以上のo−クロルフェノールに溶解したポリエチレンテフタレート溶液の35℃での粘度を、同一温度で測定した上記溶剤自体の粘度で割った値であり、相対粘度と定義されているものである。また、Cは、上記溶液100ml中の溶質のグラム単位で表した質量値である。
【0059】
(9)粉洩れ率(%)
25/50メッシュのフィルターで650/300μmに粒度区分された金属粉末CR53(太平洋金属株式会社製)を用い、質量(W1:2g)の金属粉末を10cm四方の篩に張った不織布上に載せて、振動機上にて3cm幅で60rpmで5分間振動させ、不織布を通過した金属粉末の質量(W2)を測定し、下記式により粉洩れ率を求める。
【0060】
粉洩れ率(%)=(W2/W1)×100
粉洩れ率が低いということは、不織布の遮蔽性、保持性が高いということである。
【0061】
(10)保持性(級)
上記(9)の測定で得られた粉洩れ率(%)の結果から、下記の基準にしたがって評価し、3級以上を遮蔽性・保持性有りと判定する。
【0062】
5級:粉洩れ率0〜2.5%未満(極めて良好)
4級:粉洩れ率2.5〜5.0%未満(非常に良好)
3級:粉洩れ率5.0〜7.5%未満(良好)
2級:粉洩れ率7.5〜10.0%未満(普通)
1級:粉洩れ率10%以上(不良)
(11)コンポスト処理試験
コンポスト処理試験機を用いて、60℃の一定環境下で4週間後の試料片の状態を目視で観察し、下記の基準で判定した。
【0063】
○:試料片が小片化した
×:試料の外観変化が見られなかった
〔実施例1〜8、比較例1〜3〕
65mmの押出機を用い、融点が170℃、MFR値が10g/分のポリ乳酸〔D体/L体の共重合比(モル比)=1.3/98.7〕熱可塑性樹脂を、押出温度215℃にて押出し、1540ホールの紡糸口金を用いてフィラメント群を紡出し、これを高速気流牽引装置を使用して牽引し、移動する吸引装置の付いた金網製ウエブコンベアに受けてウエブを作成した。
【0064】
得られたウエブを搬送し、彫刻ロールと平滑ロールを組み合わせた熱圧着ロールにて、50kg/cmの圧力で部分熱圧着することにより、長繊維スパンボンド不織布を得た。
【0065】
なお、孔当たりの吐出量、フィラメントの紡出速度、平均繊維径、目付、熱圧着率、熱圧着温度などの条件については、表1に記載する。
【0066】
実施例1〜3、実施例4及び5は、目付が一定で、平均繊維径を各種変更した本発明の不織布である。
【0067】
実施例5と6は、平均繊維径が一定で、目付を各種変更した本発明の不織布である。
【0068】
実施例2と7、実施例4と8は、部分熱圧着率の異なる本発明の不織布である。
【0069】
比較例1は、実施例1より細い平均繊維径よりなる不織布であり、粉洩れ率、保持性は極めて良好であるが、透明性は不良であった。
【0070】
比較例2は、実施例3より太い平均繊維径よりなる不織布であり、透明性は良好であるが、粉洩れ率、保持性は不良であった。また、湿熱収縮率も大きい不織布となった。
【0071】
比較例3は、実施例3より太い平均繊維径、小さい平均見掛け密度よりなる不織布であり、透明性は良好であるが、粉洩れ率、保持性は不良であった。
【0072】
〔比較例4〕
65mmの押出機を用い、融点が256℃、[η]=0.71のポリエチレンテフタレート熱可塑性樹脂を、押出温度300℃にて押出し、1340ホールの紡糸口金を用いてフィラメント群を紡出し、これを高速気流牽引装置を使用して牽引し、移動する吸引装置の付いた金網製ウエブコンベアに受けてウエブを作成した。
【0073】
得られたウエブを搬送し、彫刻ロールと平滑ロールを組み合わせた熱圧着ロールにて、50kg/cmの圧力で部分熱圧着することにより、長繊維スパンボンド不織布を得た。
【0074】
なお、孔当たりの吐出量、フィラメントの紡出速度、平均繊維径、目付、熱圧着率、熱圧着温度などの条件については、表1に記載する。
【0075】
比較例4は、ポリエチレンテフタレート熱可塑性樹脂よりなる不織布である。粉洩れ率、保持性は良好であるが、透明性が不良であり、コンポスト処理時に分解されなかった。
【0076】
以上の実施例、比較例の結果から、本発明の長繊維不織布は、透明性、遮蔽性、保持性に優れ、かつ生分解性を有することは明らかである。
【0077】
【表1】
【0078】
【発明の効果】
本発明の長繊維不織布は、透明性に優れ、かつ遮蔽性、保持性にも併せて優れた不織布であって、該不織布で製品を被覆または包装した際、内部の製品の保護や保持の効果を十分有しながら、しかも内部の製品の状況を良く観察し、確認することが出来るという製品管理に至便な不織布である。また、本発明の長繊維不織布は、製品品質の維持向上、製品安全の確保、清涼感等の審美性に優れ、更には、生分解性を有することにより、ゴミ、廃棄物の問題が無く、地球環境に優しい不織布である。
Claims (4)
- 脂肪族ポリエステル長繊維からなり、平均繊維径が7μm以上40μm以下、目付が7g/m2以上50g/m2以下、透明性が50%以上、粉洩れ率が10wt%以下であることを特徴とする長繊維不織布。
- 脂肪族ポリエステルが、D−乳酸の重合体、L−乳酸の重合体、D−乳酸とL−乳酸との共重合体、D−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、L−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体、D−乳酸とL−乳酸とヒドロキシカルボン酸との共重合体から選ばれる重合体、または前記重合体から選ばれる二種以上のブレンド体であることを特徴とする請求項1記載の長繊維不織布。
- 湿熱収縮率が10%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の長繊維不織布。
- 部分熱圧着率が5%以上30%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の長繊維不織布。
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