JP2004237619A - 記録方法 - Google Patents

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卓英 石川
Koichiro Nakazawa
広一郎 中澤
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Abstract

【課題】画像領域と非画像領域との間の境界部におけるインクのにじみを抑えて、その境界部がシャープできれのよい画像を記録することができる記録方法を提供すること。
【解決手段】インクと反応液が付与されることによって画像が形成される画像領域S1の周囲の少なくとも一部に、反応液を付与する。
【選択図】 図14

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録媒体にインクと反応液を付与して画像を記録する記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、記録液(インク)の小滴を飛翔させ、それを紙などの被記録材(被記録媒体)に付着させて記録を行うものである。特許文献1,2,3には、インクの吐出エネルギー供給手段として電気熱変換体を用い、熱エネルギーをインクに与えて気泡を発生させることにより、インクの液滴を吐出させる方法が記載されている。このような記録方法によれば、記録ヘッドの高密度マルチオリフィス化が容易に実現できると共に、高解像度、高品質の画像を高速に記録することができる。
【0003】
また、インクジェット記録方法において用いられる一般的なインクは、水を主成分として、それに乾燥防止や目詰まり防止などを目的としてグリコールなどの水溶性高沸点溶剤が含有されている。このような一般的なインクを用いて普通紙に記録を行った場合、そのインクが記録紙の内部に浸透してしまい十分な画像濃度が得られなかったり、記録紙表面における填料やサイズ剤の不均一な分布によると思われる画像濃度の不均一が生じるおそれがある。特に、カラー画像を記録する場合には、複数色のインクが定着する前に次々と重ねられることから、異色の記録画像の境界部分において色が滲み、複数色のインクが不均一に混じり合って(以下、「ブリーディング」という)、満足すべき画像が得られなくなるおそれがあった。
【0004】
ブリーディングを改善する手段の1つとしては、記録インクの噴射に先立って、記録紙上における画像の記録性を向上させるための液体(反応液)を付着させる方法が知られている。例えば、特許文献4には、多価金属イオンとカルボキシル基の反応を利用してブリーディングを防止方法が提案されており、また特許文献5には、顔料と樹脂エマルジョンと多価金属塩による反応によりブリーディングを改善する提案がなされている。
【0005】
このように反応液と着色インクの2液を用い、着色インクに先行して反応液を被記録媒体に付着させるインクジェット記録方法としては、画像が形成される画像形成領域(画像領域)と画像が形成されなり領域(非画像領域)との境界領域において、画像領域の着色インクが非画像領域へ侵入(以下、「にじみ」という)ことを抑える方法が提案されている。例えば、特許文献6には、画像の最外輪郭部分に対してのみ反応液を付着させる方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特公昭61−59911号公報
【0007】
【特許文献2】
特公昭61−59912号公報
【0008】
【特許文献3】
特公昭61−59914号公報
【0009】
【特許文献4】
特開平5−202328号公報
【0010】
【特許文献5】
特開平9−207424号公報
【0011】
【特許文献6】
特開平9−240137号公報
【0012】
【特許文献7】
特許第2783647号公報
【0013】
【特許文献8】
米国特許第4,723,129号明細書
【0014】
【特許文献9】
米国特許第4,740,796号明細書
【0015】
【特許文献10】
米国特許第4,463,359号明細書
【0016】
【特許文献11】
米国特許第4,345,262号明細書
【0017】
【特許文献12】
米国特許第4,313,124号明細書
【0018】
【特許文献13】
米国特許第4,558,333号明細書
【0019】
【特許文献14】
米国特許第4,459,600号明細書
【0020】
【特許文献15】
特開昭59−123670号公報
【0021】
【特許文献16】
特開昭59−138461号公報
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述したように、単に、画像の最外輪郭部に対してのみ反応液を付着させただけでは、着色インクのにじみを十分に抑えることはできない。さらに、画像の輪郭部と画像の内部との間において、画像の濃度に差が生じてしまうおそれがある。このように、従来においては、画像領域と非画像領域との間の境界領域において、着色インクによるにじみを効果的に抑えることができなかった。
【0023】
本発明の目的は、画像領域と非画像領域との間の境界部におけるインクのにじみを抑えて、その境界部がシャープできれのよい画像を記録することができる記録方法を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の記録方法は、インクと該インクに反応する反応液を被記録媒体に付与することによって画像を記録する記録方法において、前記インクと前記反応液が付与されることによって画像が形成される画像領域の周囲の少なくとも一部に、前記反応液を付与することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本発明を適用可能な液体吐出装置としてのインクジェット記録装置の一部切欠き斜視図である。本例の記録装置は、インクジェット記録ヘッドして、後述するように、インクの吐出時に気泡を大気と連通させる吐出方式の液体吐出ヘッドを用いる。
【0027】
図1の記録装置は、搬送装置1030、記録部1010、および移動駆動部1006を含む構成となっている。搬送装置1030は、ケーシング1008内において被記録材としての用紙1028を矢印Pの副走査方向に間欠的に搬送する。記録部1010は、ガイド軸1014に沿って、矢印P方向と直交する矢印S(S1,S2)の主走査方向に往復移動される。移動駆動部1006は、記録部1010を往復移動させるための駆動手段である。
【0028】
移動駆動部1006において、所定の間隔をもって対向配置される回転軸に取り付けられたプーリ1026a,1026bの間には、ローラユニット1022aと略並行にベルト1016が架け渡されている。そのベルト1016は、記録部1010のキャリッジ部材1010aに連結されており、逆転可能に回転駆動させるモータ1018によって移動される。
【0029】
モータ1018の一方向の回転によってベルト1016が矢印R1方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aが図1中の矢印S1方向に移動される。また、モータ1018の他方向の回転によってベルト1016が矢印R2方向に回転したとき、記録部1010のキャリッジ部材1010aが矢印S2方向に移動される。さらに、移動駆動部1006の一端部側には、キャリッジ部材1010aのホームポジションとなる位置に回復ユニット1026が配備されている。この回復ユニット1026は、後述するように、記録部1010におけるインク吐出口と対向して、記録部1010の回復処理を行うものである。
【0030】
記録部1010は、インクジェットカートリッジ(以下、単に「カートリッジ」ともいう)1012Y、1012M、1012C、1012B、1012Sがキャリッジ部材1010aに対して着脱自在に備えられる。カートリッジ1012Y、1012M、1012C、1012Bは、異なるインクを吐出するためのインクジェット記録ヘッドと、それらのインクを収容するタンクとによって主要部が構成されている。異なるインクは、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック顔料を含有した着色顔料インクである。またカートリッジ1012Sは、反応液を吐出するためのインクジェット記録ヘッドと、その反応液を収容するタンクとによって主要部が構成されている。
【0031】
図2は、インクジェットカートリッジの構成例を示す。以下においては、図1のカートリッジ1012Y、1012M、1012C、1012B、1012Sのそれぞれをカートリッジ1012とし、それらを構成するインクジェット記録ヘッドをインクジェット記録ヘッド100とし、また吐出すべきインクおよび反応液を収容するタンクをタンク1001として説明する。
【0032】
インクジェット記録ヘッド100は、液体組成物等の液体を吐出するための多数の吐出口832が形成されており、その液体は、タンク1001から図示しない液体供給通路を介して記録ヘッド100の後述する共通液室(図3参照)へ導かれる。本例の記録ヘッド100は、インクおよび反応液を吐出可能な液体吐出ヘッドであり、インクを吐出するものを記録ヘッド、また反応液を吐出するものを反応液吐出ヘッドともいう。これらのヘッドは同様に構成される。図2に示したカートリッジ1012は、記録ヘッド100と液体タンク1001とを一体的に構成し、必要に応じて液体タンク1001内に外部から液体を補給できるようにしたものである。しかし、この記録ヘッド100に対して、タンク1001を交換可能に連結した構造を採用してもよい。
【0033】
次に、このような記録ヘッド100の具体例を更に詳しく説明する。図3は、記録ヘッド100の要部を模式的に示した概略斜視図である。この図において、後述する電気熱変換素子を駆動するための電気的な配線等は省略されている。
【0034】
本例の記録ヘッド100には、ガラス、セラミックス、プラスチック或いは金属等からなる基板934が用いられる。このような基板934の材質は、本発明の本質ではなく、液体(インクおよび反応液)の流路構成部材の一部として機能し、後述する液体の吐出エネルギー発生素子、液流路、および吐出口を形成するための材料層の支持体として機能し得るものであればよく、特に限定されるものではない。本例では、基板934としてSi基板(ウエハ)を用いた場合について説明する。このような基板934上にインク吐出口を形成するための方法としては、レーザー光による形成方法の他、例えば、後述するオリフィスプレート(吐出口プレート)935を感光性樹脂として、MPA(Mirror ProjectionAliner)等の露光装置により、吐出口を形成する方法を挙げることができる。
【0035】
図3において、基板934は、液体の吐出エネルギー発生素子としての電気熱変換素子(以下、「ヒータ」ともいう)931と、共通液室部としての長溝状の貫通口からなるインク供給口933を備える。インク供給口933の長手方向に沿う両側には、ヒータ931がそれぞれ1列ずつ千鳥状に配列されている。ヒータ931の間隔は、例えば300dpiである。また、基板934には、インク流路を形成するためのインク流路壁936が設けられている。更に、このインク流路壁936には、吐出口832が形成された吐出口プレート935が備えられている。
【0036】
図3においては、インク流路壁936と吐出口プレート935とは、別部材とされている。しかし、このインク流路壁936は、例えば、スピンコート等の手法によって基板934上に形成することにより、インク流路壁936と吐出口プレート935とを同一部材として同時に形成することも可能である。また、本例においては、吐出口面(上面)935a側に撥水処理が施されている。
【0037】
本例のシリアルタイプの記録装置は、このような構成の記録ヘッド100を用い、図1の矢印S(S1,S2)方向に走査しながら、例えば、1200dpiの解像度で記録を行う。その場合、記録ヘッド100の駆動周波数は10kHzであり、1つの吐出口832は、最短時間間隔100μs毎に液体(インクおよび反応液)を吐出することになる。
【0038】
次に、図4から図11を用いて、上述した構成の記録ヘッド100による液体(インクおよび反応液)の吐出動作について説明する。図4から図11は図3の記録ヘッド100のX−X断面図であり、これらの図において、吐出口部940のオリフィスプレート厚み方向の端部は、溝1141の頂部1141aとなっている。溝1141は、吐出口832の周部に分散されるように(図3参照)、吐出口832の周部に複数(例えば、6つ)設けられており、その吐出口832の軸線方向に延在する。
【0039】
図4は、ヒータ931の発熱により、その上の液体(インクおよび反応液)に膜状の気泡が生成した状態を示し、図5は、図4の約1μs後、図6は、図4の約2μs後、図7は、図4の約3μs後、図8は、図4の約4μs後、図9は、図4の約5μs後、図10は、図4の約6μs後、図11は、図4の約7μs後の状態をそれぞれ示す。なお、以下の説明において、「落下」、「落とし込み」、または「落ち込み」とは、いわゆる重力方向への落下という意味ではなく、記録ヘッドの取り付け方向によらず、ヒータ931の方向への移動をいう。
【0040】
まず、図4に示すように、記録信号等に基づくヒータ931への通電により、そのヒータ931が発熱し、そのヒータ931上の液流路1338内の液体(インクおよび反応液)I中に気泡101が生成される。その気泡101は、その後の2μsの間に、図5および図6のように急激に体積が膨張して成長する。気泡101の最大体積時における高さは吐出口面935aを上回るが、そのときの気泡101の圧力は、大気圧の数分の1から10数分の1にまで減少している。
【0041】
次に、気泡101の生成から約2μs後の時点から、図7のように気泡101の体積は最大体積から減少に転じ、これとほぼ同時にメニスカス102の形成も始まる。このメニスカス102は、図7のように、ヒータ931側の方向に後退、即ち、落下してゆく。
【0042】
本例の記録ヘッドにおいては、吐出口部に複数の溝1141が分散した状態で設けられているため、メニスカス102が後退する際に、溝1141の部分には、メニスカス102の後退方向FMとは反対方向FCに毛管力が作用する。その結果、仮に、何らかの原因により気泡101の状態に多少のバラツキが認められたとしても、メニスカス102の後退時におけるメニスカス102および主液滴Iaの形状は、吐出口832を中心として略対称形状となるように補正される。
【0043】
本例の記録ヘッドでは、メニスカス102の落下速度が気泡101の収縮速度よりも速いために、図8に示すように、気泡101の生成から約4μs後の時点において気泡101が吐出口832の下面近傍で大気に連通する。このとき、吐出口832の中心軸近傍の液体は、ヒータ931に向かって落ち込んでゆく。これは、気泡101の大気連通後も、大気に連通する前の気泡101の負圧によってヒータ931側に引き戻された液体が慣性によってヒータ931面に向かう方向の速度を保持しているからである。
【0044】
ヒータ931側に向かって落ち込んでいった液体は、図9に示すように、気泡101の生成から約5μs後の時点でヒータ931の表面に到達し、そして図10に示すように、ヒータ931の表面を覆うように拡がってゆく。このようにヒータ931の表面を覆うように拡がった液体は、ヒータ931の表面に沿った水平方向のベクトルを有するが、ヒータ931の表面に交差する、例えば垂直方向のベクトルは消滅し、ヒータ931の表面上に留まろうとして、それよりも上側の液体、すなわち吐出方向(図10中上方)の速度ベクトルを保つ液体を下方向に引っ張ることになる。
【0045】
その後、ヒータ931の表面に拡がった液体と、上側の液体(主液滴)Iaとの間の液体部分Ibが細くなってゆく。そして、気泡101の生成から約7μs後の時点において、図11に示すように、ヒータ931の表面の中央にて液体部分Ibが切断され、吐出方向の速度ベクトルを保つ主液滴Iaと、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icとが分離される。このような分離の位置は、液流路1338内部、より好ましくは、吐出口832よりもヒータ931側の位置が望ましい。
【0046】
主液滴Iaは、吐出方向に偏りや吐出方向がよれる(吐出ヨレ)ことなく、吐出口832の中央部分から吐出され、被記録材の被記録面の所定位置に着弾される。また、ヒータ931の表面上に拡がった液体Icは、主液滴Iaの後続としてサテライト滴となって飛翔することなく、ヒータ931の表面上に留まって吐出されない。このように、サテライト滴の吐出を抑制することができるため、サテライト滴の吐出により発生し易いスプラッシュの発生を防止して、霧状に浮遊するミストによって被記録材の被記録面が汚れることを確実に防止することができる。なお、図8から図11において、Idは溝1141に付着したインク(溝内のインク)、またIeは液流路1338内に残存しているインクを表している。
【0047】
このように、本例の記録ヘッドは、最大体積に成長した気泡101の体積が減少する段階において液体を吐出する際、吐出口832の中心に対して分散した形態の複数の溝1141により、主液滴Iaの吐出方向を安定化させることができる。その結果、液体の吐出方向のよれ(吐出ヨレ)のない、着弾精度の高い記録ヘッドを提供することができる。また、記録ヘッドを高い駆動周波数で駆動しても、発泡ばらつきの影響を抑えて液体を安定的に吐出できるため、高速高精細の記録を実現することができる。
【0048】
また、本例の記録ヘッドは、気泡の体積減少段階において、その気泡を始めて大気と連通させることによって液体を吐出するため、気泡を大気に連通させて液滴を吐出する際に発生するミストを防止することができる。この結果、突然にインクを吐出しなくなる(所謂、突然不吐出)要因となる吐出口面における液滴の付着を抑制することもできる。本発明に好適に使用できる記録ヘッドとしては、上述したように液体の吐出時に気泡を大気と連通させる吐出方式の記録ヘッドのみに特定されず、例えば、特許文献7に記載されているような、いわゆるエッジシュータータイプの記録ヘッドであってもよい。
【0049】
本発明の記録方法は、インクジェット記録方式の中でも、特に、熱エネルギーを利用して液滴を吐出し、その液滴によって記録を行うインクジェット方式の記録ヘッドや記録装置において、優れた効果をもたらすものである。その代表的な構成や原理については、例えば、特許文献8および特許文献9に開示されている基本的な原理を用いることが好ましい。
【0050】
その方式は、いわゆるオンデマンド型及びコンティニュアス型のいずれにも適用可能である。特に、オンデマンド型の場合には、液体が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応し、かつ液体に膜沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生させて、記録ヘッドにおける液体の熱作用面に膜沸騰を生じさせることができる。このように、オンデマンド型の場合には、駆動信号に一対一に対応して液体内に気泡を形成することができるため、特に有効となる。そして、このような気泡の成長および収縮により、液体吐出用の開口を通して液体が吐出されて、少なくとも1つの液滴が形成される。
【0051】
また、駆動信号をパルス形状とした場合には、即時適切に気泡の成長と収縮が行なわれるため、特に応答性に優れた液体の吐出が達成できてより好ましい。その際、パルス形状の駆動信号としては、特許文献10および特許文献11に記載されているような駆動信号が適している。また、上記の熱作用面の温度上昇率についての発明に関する特許文献12に記載されている条件を採用することにより、更に、優れた記録を行なうことができる。
【0052】
本発明を適用可能なインクカートリッジ、記録ユニット、インクジェット記録装置を構成する記録ヘッドとしては、上記に挙げた各明細書に開示されているような吐出口、液路及び電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他に、特許文献13および特許文献14に記載されているように、熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成のものを使用することも好ましい。加えて、特許文献15に記載されているように、複数の電気熱変換体に対して、共通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を採用したり、特許文献16に記載されているように、熱エネルギーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を採用することも有効である。
【0053】
また、記録ヘッドとして、記録装置が記録できる最大範囲における被記録材の幅に対応した長さのフルラインタイプの記録ヘッドを用いることもできる。その場合の記録ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているような複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満たす構成のものや、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての構成されたもののいずれであってもよい。
【0054】
さらに、記録ヘッドとしては、装置本体に装着されることによって、装置本体との間の電気的な接続や装置本体からの液体の供給が可能となる交換可能なチップタイプの記録ヘッド、或いは記録ヘッド自体に一体的に液体のタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いることもできる。
【0055】
また、図1における回復ユニット1026のように、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手段等を付加することは、本発明の効果を一層安定させる上において好ましい。これらの手段は、記録ヘッドの性能を維持するための回復処理を行うものである。具体的には、記録ヘッドをキャップによってキャッピングするためキャッピング手段、記録ヘッドの吐出口面をワイピングするためのクリーニング手段、記録ヘッドの吐出口から画像の記録に寄与しない液体を排出させる排出手段、記録ヘッド内の液体を予備的に加熱する予備加熱手段、記録ヘッドの吐出口から画像の記録に寄与しない液体を吐出させる予備吐出モードを実行する手段などを挙げることができる。その排出手段としては、記録ヘッド内の液体を加圧することによって、記録ヘッドの吐出口から画像の記録に寄与しない液体を吐出させる加圧手段や、負圧によって、記録ヘッドの吐出口から画像の記録に寄与しない液体を吸引排出させる吸引手段を用いることができる。また、予備加熱手段は、画像の記録に寄与する液体を吐出するための電気熱変換体、これとは別の加熱素子、或いはこれらの組み合わせによって、インクを予備加熱するものであってもよい。
【0056】
(凝集プロセスについて)
次に、本発明における反応液と着色顔料インクによる凝集プロセスについて、図12を用いて説明する。図12は、その凝集プロセスの基本的な概念の説明図である。
【0057】
図12(a)は、被記録媒体10の上面10aまたは上方で反応液20と着色顔料インク30とを接触させる第1ステップとして、予め反応液20が付与されている被記録媒体10に、着色顔料インク30を付与させて反応液20と接触した瞬間を表している。反応液20の付与方法は、本発明では特に規定されず、例えば、従来技術であるインクジェット法による付与やローラによる塗布などを好適に使用することができる。また、本発明の第1ステップにおいて、被記録媒体10の上面10aおよび上方で反応液20と着色顔料インク30とを接触させるためには、被記録媒体10に付与される反応液20が被記録媒体10に浸透する前に、着色顔料インク30を付与する必要がある。そのため、反応液20が被記録媒体10に対して低い浸透性を有していれば、着色顔料インク30を付与するまでの時間をある程度長く確保して、好適な記録条件を設定することができる。被記録媒体10に対する反応液20の低い浸透性は、浸透促進剤となる界面活性剤などの添加量を抑制することにより達成できる。
【0058】
次の図12(b),(c)のステップは、反応液20と着色顔料インク30が接触した界面で瞬時に凝集膜31bを形成させる第2ステップである。
【0059】
この第2ステップは、第1ステップの直後に、瞬時に凝集膜31bを形成するステップであり、本発明の特徴の1つである。凝集膜31bを形成するには、反応液20を着色顔料インク30中に含有されている成分と反応させて、凝集を起こさせる必要がある。そのための方法としては、反応液20中に多価金属イオンを含有させて凝集させる方法、反応液20を低pHにして酸析現象を利用する方法、カチオン性有機物質を含有させて凝集させる方法などを単独または併用して利用することができる。ここでは、反応速度の速い多価金属イオン21を反応液20に含有させた方法を用いた例について説明する。
【0060】
反応液20中の多価金属イオン21は、着色顔料インク30中のカルボン酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオンなどとが衝突することによって反応を起こすため、凝集膜31bの瞬時の形成は、それらの衝突確率を高めることにより達成される。すなわち、反応液20に含有される多価金属イオン21を、その多価金属イオン21と反応する顔料インク30中の逆極性イオンの総電荷濃度よりも多く含有させることにより達成される。ここでの総電荷濃度とは、反応液20では単位質量あたりにおける多価金属イオン21の数で定義し、着色顔料インク30では単位質量あたりおけるカルボン酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオンなどの逆極性イオンの数で定義している。このような反応液20と着色顔料インク30を用いることにより、図12(a)に示すような反応液20と着色顔料インク30とが接触した直後の接触界面では、着色顔料インク30が反応液20に衝突する衝撃により、着色顔料インク30と反応液20のそれぞれを構成する組成成分が界面近傍で混合される。そして、図12(b)に示すように、高い衝突確率のために瞬時に着色顔料インク30中のカルボン酸イオン、スルホン酸イオン、リン酸イオンなどと多価金属イオン21の結合が起こり、分散状態にある顔料粒子31の電気的斥力を消失させた顔料粒子31aができる。そして、図12(c)に示すように、顔料粒子31a同士の間に働くファンデルワールス引力により、急速に顔料粒子31a同士による凝集膜31bが形成させる。
【0061】
このように瞬時に形成された凝集膜31bの特徴は、顔料粒子31a同士が凝集したものであることから完全に何も通さない膜ではなく、顔料粒子31a間を通って、顔料粒子31aよりも小さい着色顔料インク30中の界面活性剤32、溶媒、反応液中の多価金属イオン21の内、少なくとも溶媒は通すことができる。
【0062】
次に、図12(d),(e),(f)は、着色顔料インク30中の分散状態にある顔料粒子31を凝集膜31b上に凝集および/または堆積させるプロセスと、被記録媒体10に対する反応液20の浸透性を促進させるプロセスと、凝集膜31bを被記録媒体10の表面に定着させるプロセスをほぼ同時に進行させる第3ステップを時系列的に表したものである。
【0063】
図12(d)のように、着色顔料インク30中の分散状態にある顔料粒子31は、反応液20中の余剰にある多価金属イオン21と順次衝突して反応し、電気的斥力を消失して、顔料粒子31a同士がファンデルワールス力により凝集膜31b上に凝集および/または堆積する。これと並行して、着色顔料インク30中に含有される界面活性剤32に代表される浸透促進剤と溶媒が凝集膜31bを介して反応液20中に拡散していく。この拡散に伴って、被記録媒体10に対して低い浸透性を有している反応液20は、普通紙などの被記録媒体10への浸透性が高まり、反応液20中の溶媒成分および着色顔料インク30中の溶媒成分が被記録媒体10に速やかに浸透していく。
【0064】
このような浸透促進剤の拡散と反応液20の浸透性の変化が本発明の他の1つの特徴である。図12(e)は、このようなプロセスが進行した状態であり、最終的には図12(f)に示すように、凝集膜31bが被記録媒体10の表面10aに覆い被さるように定着する。この第3ステップにより、反応液20と着色顔料インク30の混合液体成分が被記録媒体10に速やかに浸透して速い定着が達成でき、また被記録媒体10の表面10aに覆い被さるように定着された顔料粒子31aからなる凝集物31bにより、高い発色性が達成できる。このように、早い定着と高い発色性を同時に満足することができる。
【0065】
(反応液について)
次に、本発明において使用可能な反応液について説明する。
【0066】
本発明において使用可能な反応液に含有される反応剤、つまり着色顔料インクと反応する反応剤の最も好適な例としては、多価金属塩が挙げられる。多価金属塩とは、二価以上の多価金属イオンと、これら多価金属イオンに結合する陰イオンとから構成される。多価金属イオンの具体例としては、Ca2+、Cu2+、Ni2+、Mg2+、Zn2+などの二価金属イオン、そしてFe3+、Al3+などの三価金属イオンが挙げられる。また陰イオンとしては、Cl−、NO3−、SO4−などが挙げられる。瞬時に反応させて凝集膜を形成するために、反応液中の多価金属イオンの総電荷濃度は、着色顔料インク中の逆極性イオンの総電荷濃度の2倍以上であることが望ましい。
【0067】
反応液に使用できる水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の1価アルコール類の他、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルホキサイド等が挙げられる。本発明において用いる反応液中における上記水溶性有機溶剤の含有量については特に制限はないが、反応液全重量の5〜60重量%、更に好ましくは、5〜40重量%が好適な範囲である。
【0068】
また、本発明において使用可能な反応液には、上述した例の他、必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤などの添加剤を適宜配合してもよい。ただし、浸透促進剤として機能する界面活性剤の選択と添加量は、被記録媒体に対する反応液の浸透性を抑制する上で注意が必要である。さらに、本発明において用いる反応液は、無色であることがより好ましいが、被記録媒体上でインクと混合された際に、各色インクの色調を変えない範囲の淡色のものでもよい。更に、本発明において用いる反応液の各種物性の好適な範囲としては、25℃付近での粘度が1〜30cps.の範囲となるように調整されたものが好ましい。
【0069】
(顔料インクについて)
次に、着色顔料インクについて説明する。
【0070】
本発明において使用可能な着色顔料インクの顔料は、着色顔料インクの全重量に対して、重量比で1〜20重量%、好ましくは2〜12重量%の範囲で用いる。本発明において使用される顔料として、具体的には、黒色の顔料としてのカーボンブラックが挙げられる。例えば、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックであって、一次粒子径が15〜40mμ(nm)、BET法による比表面積が50〜300m2/g、DBP吸油量が40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9等の特性を有するものが好ましく用いることができる。このような特性を有する市販品としては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、No.2200B(以上、三菱化成製)、RAVEN1255(以上、コロンビア製)、REGAL400R、REGAL330R、REGAL660R、MOGUL L(以上キャボット製)、Color Black FWl、COLOR Black FW18、Color Black S170、Color Black S150、Printex 35、Printex U(以上、デグッサ製)等があり、何れも好ましく使用することができる。
【0071】
また、イエローの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 83等が挙げられる。また、マゼンタの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red 57(Ca)、C.I.Pigment Red 112、C.I.Pigment Red 122等が挙げられる。また、シアンの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.PigmentBlue 15 3、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 6等が挙げられる。本発明において用いる顔料は、これらに限られるものではない。以上の例の他、自己分散型顔料など新たに製造された顔料も、勿論、使用することが可能である。
【0072】
また、顔料の分散剤としては、水溶性樹脂であればどのようなものでもよいが、重量平均分子量が1,000〜30,000の範囲のものが好ましく、更に好ましくは、3,000〜15,000の範囲のものを使用する。このような分散剤として、具体的には、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びその誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体(このうち少なくとも1つは親水性の重合性単量体)からなるブロック共重合体、或いは、ランダム共重合体、グラフト共重合体、又はこれらの塩等が挙げられる。或いは、ロジン、シェラック、デンプン等の天然樹脂も好ましく使用することができる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶であり、アルカリ可溶型樹脂である。なお、これらの顔料分散剤として用いられる水溶性樹脂は、着色顔料インクの全重量に対して0.1〜5重量%の範囲で含有させるのが好ましい。
【0073】
特に、上記したような顔料が含有されている着色顔料インクの場合には、その着色顔料インクの全体が中性又はアルカリ性に調整されていることが好ましい。このような着色顔料インクを用いることにより、顔料分散剤として使用される水溶性樹脂の溶解性を向上させ、長期保存性に一層優れた着色顔料インクとすることができて好ましい。但し、この場合には、インクジェット記録装置に使われている種々の部材を腐食させる原因となるおそれがあるため、好ましくは、7〜10のpH範囲とするのが望ましい。その際に使用するpH調整剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の各種有機アミン、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等の無機アルカリ剤、有機酸や鉱酸等が挙げられる。このような顔料及び分散剤である水溶性樹脂は、水性液媒体中に分散又は溶解される。
【0074】
本発明において使用可能な顔料が含有された着色顔料インクにおいて、好適な水性液媒体は水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒であり、水としては種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
【0075】
水と混合して使用される水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン;エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等が挙げられる。これらの多くの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール等の多価アルコール、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテルが好ましい。
【0076】
このような水溶性有機溶剤の着色顔料インク中の含有量は、一般的には、着色顔料インクの全重量の3〜50重量%の範囲、より好ましくは3〜40重量%の範囲で使用する。また、使用される水の含有量としては、着色顔料インクの全重量の10〜90重量%、好ましくは30〜80重量%の範囲とする。
【0077】
また、本発明において使用可能な着色顔料インクとしては、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つ着色顔料インクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を適宜に添加することができる。特に、浸透促進剤として機能する界面活性剤は、被記録媒体に、反応液と着色顔料インクの液体成分を速やかに浸透させる役割を担うために適量を添加する必要がある。その添加量の例としては、0.05〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。アニオン性界面活性剤の例としては、カルボン酸塩型、硫酸エステル型、スルホン酸塩型、燐酸エステル型等、一般に使用されているものを何れも好ましく使用することができる。
【0078】
上記したような顔料が含有された着色顔料インクの作製方法の例としては、次のような方法がある。始めに、分散剤としての水溶性樹脂と水とが少なくとも含有された水性媒体に顔料を添加し、それを混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の分散液を得る。次に、この分散液に、サイズ剤及び上記したような中から適宜に選択された添加剤成分を加え、それらを撹拌して本発明において使用する着色顔料インクとする。
【0079】
なお、分散剤として、上記のようなアルカリ可溶型樹脂を使用する場合には、樹脂を溶解させるために塩基を添加することが必要である。その際の塩基類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール、アンモニア等の有機アミン、或いは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が好ましく使用できる。
【0080】
また、顔料が含有されている着色顔料インクの作製方法においては、顔料を含む水性媒体を攪拌し、分散処理する前に、プレミキシングを30分間以上行うのが効果的である。すなわち、このようなプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進することができるため好ましい。
【0081】
上記した顔料の分散処理の際に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル及びサンドミル等が挙げられる。その中でも、高速型のサンドミルが好ましく使用される。その例としては、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
【0082】
また、顔料が含有されている着色顔料インクを用いるインクジェット記録方法では、記録ヘッドにおけるインク吐出口の目詰まり対策(耐目詰り性)等の要請から、最適な粒度分布を有する顔料を用いる。その場合、所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、分散機の粉砕メディアのサイズを小さくすること、粉砕メディアの充填率を大きくすること、処理時間を長くすること、吐出速度を遅くすること、粉砕後にフィルタや遠心分離機等で分級すること、及びこれらを組み合わせた手法等が挙げられる。
【0083】
(着色顔料インクの具体例)
次に、着色顔料インクの具体例について説明する。以下の記載において、部、%とあるものは、特に断わらない限り重量基準である。
【0084】
まず、下記のようにして、夫々顔料とアニオン性化合物とを含むブラック、シアン、マゼンタ、およびイエローの各色インクである着色顔料インクを得た。
【0085】
<顔料分散液の作製>
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体
(酸価240、重量平均分子量=5,000)
1.5部
・モノエタノールアミン 1.0部
・ジエチレングリコール 5.0部
・イオン交換水 81.5部
【0086】
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に、新たに試作されたカーボンブラック(MCF88、三菱化成製)10部、イソプロピルアルコール1部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機 サンドグラインダー(五十嵐機械製)
・粉砕メディア ジルコニウムビーズ、1mm径
・粉砕メディアの充填率 50%(体積比)
・粉砕時間 3時間
【0087】
更に、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行い、粗大粒子を除去して顔料分散液とした。
【0088】
<着色顔料インクKの作製>
上記の分散液を使用し、下記の組成比を有する成分を混合し、顔料を含有するインクを作製して着色顔料インクとした。このときの表面張力は34mN/mであった。
・上記顔料分散液 30.0部
・グリセリン 10.0部
・エチレングリコール 5.0部
・N−メチルピロリドン 5.0部
・エチルアルコール 2.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 1.0部
・イオン交換水 47.0部
【0089】
(反応液の具体例)
次に、反応液の具体例について説明する。以下の記載において、部、%とあるものは、特に断わらない限り重量基準である。
【0090】
下記の成分を混合溶解した後、更にポアサイズが0.22μmのメンブレンフィルター(商品名 フロロポアフィルター、住友電工製)にて加圧濾過し、pHが3.8に調整されている反応液を得た。
【0091】
<反応液Sの組成>
・ジエチレングリコール 10.0部
・メチルアルコール 5.0部
・硝酸マグネシウム 3.0部
・アセチレノールEH(川研ファインケミカル製) 0.1部
・イオン交換水 81.9部
【0092】
(記録方式について)
次に、本発明においけるインクジェット記録方式について説明する。本例においては、上記具体例の着色顔料インクKと反応液Sを用いた。
【0093】
本例のインクジェット記録方式は、被記録媒体上に、画像情報に応じて反応液Sを吐出する第1の段階と、上記画像情報に応じて着色顔料インクKを被記録媒体上に吐出させる第2の段階とからなる。被記録媒体としては、例えば、普通紙であるPB用紙(キヤノン製)を用いた。以下においては、画像情報の一例として、縦が7ドット、横が7ドットからなる単色の画像を記録する場合について説明する。図13中の実線は、その画像(7ドット×7ドット)が形成される被記録媒体上の画像形成領域(以下、「画像領域」ともいう)S1を示し、同図中の点線は、その画像領域S1に隣接して画像が形成されない領域(以下、「非画像領域」ともいう)S2を示す。以下においては、インクの付着によって形成されるドットを「インクドット」、反応液の付着によって形成されるドットを「反応液ドット」ともいう。
【0094】
図14(a)は、記録ヘッドから吐出されたインクによって、画像領域S1に7×7のインクドットを間引くことなく形成して、画像(7ドット×7ドット)を記録した場合を示す。その記録領域S1には、前述したように予め反応液が付着されて、7×7の反応液ドットが形成されている。この場合には、全てのインクドットが間引かれることなく100%形成されて、いわゆるベタパターンが記録される。
【0095】
図14(b)は、図14(a)の画像の最外輪郭部、つまり画像領域S1の輪郭部分を構成するインクドットを一律50%の比率で間引いた場合を示す。その画像領域S1には、予め反応液が付着されて、7×7の反応液ドットが形成されている。
【0096】
図14(c)、(d)は、画像領域S1に隣接する非画像領域S2に対して、反応液を付着させた場合を示す。図14(c)の場合には、画像領域S1に隣接する非画像領域S2に対して、反応液ドットが100%形成されて、反応液のベタパターンが形成される。図14(d)の場合には、画像領域S1に隣接する非画像領域S2に対して、反応液ドットが50%の比率で間引いて形成される。また、これらの図14(c)、(d)の場合において、画像領域S1には、図14(a)と同様に反応液とインクが付着される。また、画像領域S1に隣接する非画像領域S2に付与される反応液は、インクが付与される前に付与される。
【0097】
これらの図14(a),(b),(c),(d)のような記録方式により、画像情報に基づいて画像を記録した。本例において用いた記録ヘッドは、1200dpiの記録密度を有し、その駆動条件は駆動周波数15kHzとした。その記録ヘッドは、インクおよび反応液の1ドット当たりの吐出体積が夫々4plである。また、このような記録テストの際の環境条件は、25℃/55%RHに統一した。
【0098】
そして、これらの記録方式により画像を記録した記録物を下記の評価方法および評価基準により評価した。その結果を下表1に示す。
【0099】
【表1】
Figure 2004237619
【0100】
図14(c)、(d)のように、画像の画像領域S1に隣接する非画像領域S2の少なくとも一部に反応液を付与することにより、にじみのない鮮明な画像が記録できた。これは、画像領域S1に隣接する非画像領域S2に付与された反応液の凝集効果によって、画像領域S1と非画像領域S2との画像境界部における着色インクのにじみが抑えられ、その着色インクが画像領域S1を越えずに、画像境界部がはっきりしたからである。
【0101】
(他の実施形態)
本発明において用いるインクは顔料インクのみに特定されず、染料インクであってもよい。また、反応液は、インク中の色材を凝固または凝集させるように反応して、画像の記録性を向上させるものであってもよい。また、反応液は、インクの付与よりも先に被記録媒体に付与する他、インクの付与後に被記録媒体に付与してもよい。また、インクを吐出可能な記録ヘッドおよび反応液を吐出可能な記録ヘッド(反応液吐出ヘッド)の構成は、上述した実施形態のみに特定されず、電気熱変換体を用いた吐出方式の他、ピエゾ素子などを種々の吐出方式のヘッドを用いることができる。また、インクおよび反応液を付与する手段は、それらを吐出可能なヘッドのみに特定されず、それらを被記録媒体に付与できるものであればよい。
【0102】
また、画像が予め選択された特定色からなる場合に、その画像が形成される画像領域に隣接する非画像領域の少なくとも一部に反応液を付与することにより、非画像領域に付与する反応液によって、画像領域から非画像領域への着色インクのにじみを抑えることができる。また、インクの付与に際しては、制御装置において、反応液と一色または複数色の着色インクによって画像が形成される披記録媒体上の画像領域を入力画像情報に基づいて定め、反応液付与手段によって、反応液の付与後に着色インクを画像領域に付与することができる。
【0103】
以下に、本発明の実施態様を列挙する。
[実施態様1] インクと該インクに反応する反応液を被記録媒体に付与することによって画像を記録する記録方法において、
前記インクと前記反応液が付与されることによって画像が形成される画像領域の周囲の少なくとも一部に、前記反応液を付与することを特徴とする記録方法。
【0104】
[実施態様2] 前記画像領域の周囲に位置する画素単位の複数領域の少なくとも一部に、前記反応液を付与することを特徴とする実施態様1に記載の記録方法。
【0105】
[実施態様3] 前記画像領域に対しての前記反応液は、前記画像領域に対しての前記インクの付与前または付与後に付与することを特徴とする実施態様1または2に記載の記録方法。
【0106】
[実施態様4] 前記画像領域の周囲の少なくとも一部に対しての前記反応液は、前記画像領域に対しての前記インクの付与前または付与後に付与することを特徴とする実施態様1から3のいずれかに記載の記録方法。
【0107】
[実施態様5] 前記インクは、顔料粒子を含む顔料インクであり、
前記反応液は、前記顔料インクを凝集させる反応液である
ことを特徴とする実施態様1から4のいずれかに記載の記録方法。
【0108】
[実施態様6] 前記被記録媒体に付与した前記インクと前記反応液を接触させる第1工程と、
前記インクと前記反応液が接触した界面で凝集膜を形成させる第2工程と、
分散状態にある前記顔料インクの顔料粒子を前記凝集膜上に凝集および/または堆積させるプロセスと、前記被記録媒体に対する前記反応液の浸透性を促進させるプロセスと、前記凝集膜を前記被記録媒体の表面に定着させるプロセスとをほぼ同時に進行させる第3工程と、
を含むことを特徴とする実施態様5に記載の記録方法。
【0109】
[実施態様7] 前記インクは、該インクを吐出可能な記録ヘッドを用いて前記被記録媒体に付与することを特徴とする実施態様1から6のいずれかに記載の記録方法。
【0110】
[実施態様8] 前記反応液は、該反応液を吐出可能な反応液用ヘッドを用いて前記被記録媒体に付与することを特徴とする実施態様1から7のいずれかに記載の記録方法。
【0111】
[実施態様9] インクと該インクに反応する反応液を被記録媒体に付与することによって画像を記録する記録装置において、
前記インクと前記反応液が付与されることによって画像が形成される画像領域の周囲の少なくとも一部に、前記反応液を付与する手段を備えたことを特徴とする記録装置。
【0112】
[実施態様10] 前記手段は、前記画像領域の周囲に位置する画素単位の複数領域の少なくとも一部に、前記反応液を付与することを特徴とする実施態様9に記載の記録装置。
【0113】
[実施態様11] 前記手段は、前記画像領域に対しての前記インクの付与前または付与後に、前記画像領域に対して前記反応液を付与することを特徴とする実施態様9または10に記載の記録装置。
【0114】
[実施態様12] 前記手段は、前記画像領域に対しての前記インクの付与前または付与後に、前記画像領域の周囲の少なくとも一部に対して前記反応液を付与することを特徴とする実施態様9から11のいずれかに記載の記録装置。
【0115】
[実施態様13] 前記インクは、顔料粒子を含む顔料インクであり、
前記反応液は、前記顔料インクを凝集させる反応液である
ことを特徴とする実施態様9から12のいずれかに記載の記録装置。
【0116】
[実施態様14] 前記インクは、該インクを吐出可能な記録ヘッドを用いて前記被記録媒体に付与することを特徴とする実施態様9から13のいずれかに記載の記録装置。
【0117】
[実施態様15] 前記反応液は、該反応液を吐出可能な反応液用ヘッドを用いて前記被記録媒体に付与することを特徴とする実施態様9から14のいずれかに記載の記録装置。
【0118】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、インクと反応液が付与されることによって画像が形成される画像領域の周囲の少なくとも一部に、反応液を付与することにより、画像領域と非画像領域との間の境界部におけるインクのにじみを抑えて、その境界部がシャープできれのよい画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用可能なインクジェット記録装置の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1におけるインクジェトカートリッジの概略斜視図である。
【図3】図2における記録ヘッドの模式的概略斜視図である。
【図4】図3の記録ヘッドの吐出動作を経時的に説明するための図3中のX−X線に沿う断面図である。
【図5】図3の記録ヘッドの吐出動作を経時的に説明するための図3中のX−X線に沿う断面図である。
【図6】図3の記録ヘッドの吐出動作を経時的に説明するための図3中のX−X線に沿う断面図である。
【図7】図3の記録ヘッドの吐出動作を経時的に説明するための図3中のX−X線に沿う断面図である。
【図8】図3の記録ヘッドの吐出動作を経時的に説明するための図3中のX−X線に沿う断面図である。
【図9】図3の記録ヘッドの吐出動作を経時的に説明するための図3中のX−X線に沿う断面図である。
【図10】図3の記録ヘッドの吐出動作を経時的に説明するための図3中のX−X線に沿う断面図である。
【図11】図3の記録ヘッドの吐出動作を経時的に説明するための図3中のX−X線に沿う断面図である。
【図12】(a)から(f)は、インクと反応液による凝集プロセスを説明するための概念図である。
【図13】画像領域と非画像領域との関係を説明するための概念図である。
【図14】図13の画像領域と非画像領域に対する記録例を説明するための概念図である。
【符号の説明】
10 被記録媒体
10a 被記録媒体の印字表面
20 反応液
21 多価金属イオン
30 着色顔料インク
31 分散状態にある顔料粒子
31a 電気的斥力を消失した顔料粒子
31b 凝集状態にある顔料粒子
32 浸透促進剤
832 吐出口
931 電気熱変換素子(ヒータ,インク吐出エネルギー発生素子)
933 インク供給口(開口部)
934 基板
935 オリフィスプレート(吐出口プレート)
935a 吐出口面
936 インク流路壁
940 吐出口部
1338 液流路
1141a 頂部
100 インクジェット記録ヘッド
101 気泡
1001 液体タンク
1006 移動駆動部
1008 ケーシング
1010 記録部
1010a キャリッジ部材
1012 カートリッジ
1012Y ,M ,C ,B,S インクジェットカートリッジ
1014 ガイド軸
1016 ベルト
1018 モータ
1020 駆動部
1022a 、1022b ローラユニット
1024a 、1024b ローラユニット
1026 回復ユニット
1026a 、1026b プーリ
1028 用紙
1030 搬送装置
FM メニスカス後退方向
FC メニスカス後退方向と反対方向
I インク
Ia 主液滴(液体)
Ib ,Ic インク(液体)
Id 溝部に付着したインク(液体)
Ie 液流路内に残存しているインク(液体)
P 副走査方向
R1,R2 ベルトの回転方向
S(S1,S2) 主走査方向
S1 画像領域
S2 非画像領域

Claims (1)

  1. インクと該インクに反応する反応液を被記録媒体に付与することによって画像を記録する記録方法において、
    前記インクと前記反応液が付与されることによって画像が形成される画像領域の周囲の少なくとも一部に、前記反応液を付与することを特徴とする記録方法。
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