JP2004238760A - 加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材およびその発泡方法 - Google Patents

加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材およびその発泡方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツ等への取り付け作業効率および薬剤液の浸透・移行性能にも優れ、かつ繊維の脱落を防止できる、安価な、加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材およびその発泡方法を提供する。
【解決手段】容器に収納された薬剤液面に接触して該薬剤を浸透させ、揮散させる薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツ等に取り付けて用いられる該薬剤含浸用多孔性基材であって、
前記薬剤含浸用基材が、パルプもしくは不織布からなる繊維層に少なくとも加熱発泡性マイクロカプセルを分散保持されていることを特徴とする加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材およびその発泡方法である。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、容器に収納された薬剤液面に接触して該薬剤を浸透させ、揮散させる薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツ等に取り付けて用いられる薬剤含浸用基材に係わり、さらに詳細には、パルプもしくは不織布からなる繊維層に少なくとも加熱発泡性マイクロカプセルを分散保持されている加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、薬剤を収納する容器本体と、収納された薬剤液面に接触して、薬剤を浸透させ、揮散させる薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツとからなり、薬剤液面上にでる薬剤含浸用基材の長さを調節して薬剤の揮散量を調整可能とする薬剤充填容器において用いられる薬剤含浸用基材として、厚さが2〜4mm程度で、密度が0.01〜0.3g/cmの濾紙や不織布などが用いられていた。
【0003】
しかしながら、例えば、図3に示すような、薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツ9に基材を取り付け、セッティングする際、厚さが2〜4mm程度で、密度が0.01〜0.3g/cmの濾紙や不織布では、分厚く、コシ(柔軟性)がないので、取り付けセッティング作業が困難で、その作業効率に問題があった。
【0004】
また、一般に、厚さが2〜4mm程度の濾紙や不織布は、単層で得ることが難しく、2枚積層したものを薬剤含浸用基材として用いていた。さらに、パルプなどの繊維の脱落などの問題から、脱落防止のために、濾紙や不織布の表裏両面に、コーティングもしくはラミネートにより樹脂層などを積層して用いられていた。このように、濾紙や不織布どうしの積層や樹脂などの異種材料の積層のために薬剤含浸用基材としてコストアップを招く問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、容器に収納された薬剤液面に接触して該薬剤を浸透させ、揮散させる薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツ等に取り付けて用いられる、スライドパーツへの取り付け作業効率に優れ、また、毛管現象による薬剤液の浸透・移行性能にも優れ、かつ繊維などの脱落を防止できる、安価な、加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材およびその発泡方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、すなわち請求項1に係る発明は、
容器に収納された薬剤液面に接触して該薬剤を浸透させ、揮散させる薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツ等に取り付けて用いられる薬剤含浸用基材であって、
前記薬剤含浸用基材が、パルプからなる繊維層に加熱発泡性マイクロカプセルを分散保持されていることを特徴とする加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材である。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、
前記薬剤含浸用基材が、不織布からなる繊維層に加熱発泡性マイクロカプセルと熱可塑性樹脂を分散保持されていることを特徴とする加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材である。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、
前記加熱発泡性マイクロカプセルを、内添抄紙して分散保持されていることを特徴とする請求項1記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材である。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、
前記加熱発泡性マイクロカプセルと熱可塑性樹脂を、湿式含浸して分散保持されていることを特徴とする請求項2記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材である。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、
前記薬剤が、常温揮散性の芳香剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材である。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、
前記薬剤が、常温揮散性の消臭剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材である。
【0012】
また、請求項7に係る発明は、
前記薬剤が、常温揮散性の害虫駆除剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材である。
【0013】
また、請求項8に係る発明は、
前記加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材をスライドパーツに取り付けた後、該薬剤含浸用多孔性繊維基材を加熱発泡させることを特徴とする加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材の発泡方法である。
【0014】
また、請求項9に係る発明は、
前記加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材をスライドパーツに取り付けた後、該薬剤含浸用多孔性繊維基材の密度が、0.01〜0.3g/cmの範囲を満たすように加熱発泡させることを特徴とする請求項8記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材の発泡方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、薬剤を収納する容器本体と、薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツとからなる薬剤充填容器において用いられる、一例としてのスライドパーツに取り付けられた本発明の薬剤含浸用多孔性繊維基材を示す斜視図である。図2は、一例としてのスライドパーツに本発明の薬剤含浸用多孔性繊維基材を取り付け、セッテングする手順を説明する斜視図である。図3は、スライドパーツの一例を示す斜視図である。
【0016】
図1に示すように、例えば、薬剤を収納する容器本体(図示せず)と、薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツとからなる薬剤充填容器(図示せず)において用いられる、一例としてのスライドパーツ2に取り付けられた本発明の薬剤含浸用多孔性繊維基材1は、パルプからなる繊維層に加熱発泡性マイクロカプセルを分散保持されていることを特徴とするものである。
なお、本発明の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材は、スライドパーツに取り付けて用いることに限定されるものではない。本発明の薬剤含浸用多孔性繊維基材は、発泡してなる多孔性繊維基材自体の低密度および多孔性から、薬剤液の浸透・移行性能に基づき、安定的に保持された状態で含有させ、薬剤液に基づく性能が長期間に亘り安定的に発揮されることが可能な薬剤含浸用基材として構成されるものであればその形態は特に限定されない。
【0017】
そして、加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材1をスライドパーツ2に取り付けた後、その薬剤含浸用多孔性繊維基材中に分散保持されている加熱発泡性マイクロカプセルの膜ポリマーの軟化点以上に加熱して発泡させることを特徴とするものである。
【0018】
図1に示すA領域の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材1の加熱発泡前の拡大断面図を図1のA1に示すように、本発明の薬剤含浸用多孔性繊維基材1は、パルプからなる繊維層3に加熱発泡性マイクロカプセル4を分散保持されている構造のものである。
【0019】
本発明の薬剤含浸用多孔性繊維基材1をスライドパーツ2に取り付け、セッティングされた状態で加熱発泡操作を施した加熱発発泡後の薬剤含浸用多孔性繊維基材1′は、図1のA2に示すように、加熱発泡性マイクロカプセル4の膜ポリマーの軟化点以上に加熱されると膜ポリマーが軟化しはじめ、同時に内包されている膨張剤の蒸気圧が上昇し、膜が押し広げられてカプセルが膨張した膨張マイクロカプセル5がパルプからなる繊維層に分散保持された構造からなるものである。
【0020】
加熱発泡操作を行った後の薬剤含浸用多孔性繊維基材の密度が、0.01〜0.3g/cmの範囲を満たすように加熱発泡を制御するのが望ましい。
【0021】
上記の加熱発泡操作において、加熱発泡性マイクロカプセルが発泡膨張することで、パルプからなる繊維層間に空隙が生じ、薬剤含浸用多孔性繊維基材の密度が低下し、従来使用されていた濾紙や不織布等と同等またはそれ以上に薬剤液を毛管現象により浸透・移行性が向上する。
【0022】
また、上記のように、スライドパーツに、本発明の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材を取り付け、セッテングした後、加熱発泡操作を施すことにより、従来、厚さが2〜4mm程度で、密度が0.01〜0.3g/cmの分厚く、コシ(柔軟性)がない濾紙や不織布を使用していたことで、スライドパーツに、これらの濾紙や不織布の取り付け、セッティング作業が困難で、セッティング作業効率が悪いという問題が解消される。
【0023】
さらに、上記の加熱発泡操作において、マイクロカプセルの膜ポリマーの軟化点以上に加熱されるので、膜ポリマーが軟化しはじめ、パルプからなる繊維と膨張マイクロカプセルとが熱融着することで、基材からパルプ繊維が脱落することを防止できる効果を奏する。
【0024】
上記のパルプからなる繊維層に加熱発泡性マイクロカプセルを分散保持されている、加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材の代わりに、さらに本発明のもう一つの薬剤含浸用多孔性繊維基材として、不織布からなる繊維層に加熱発泡性マイクロカプセルと熱可塑性樹脂を分散保持されている加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔繊維基材も同様に使用できる。
【0025】
本発明で用いられるパルプからなる繊維は、パルプは特に制限はなく、通常の製紙で使用されるものはどれでも使用することができる。例えば、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)等の木材パルプを主材とし、麻、木綿、藁パルプ、ケナフ等の非木材パルプなどを挙げることができる。
【0026】
また、本発明で用いられる不織布を形成する繊維は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル等を原料とした繊維、アクリル繊維、レーヨン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の有機合成繊維やガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナシリケート繊維、ロックウール等の無機繊維等、各種の繊維を挙げることができる。
【0027】
本発明に使用する加熱発泡性マイクロカプセルは、マイクロカプセル内に低沸点溶剤を封入した熱膨張性マイクロカプセルである。このカプセルは、70〜150℃の比較的低温度で短時間の加熱により、直径が約4〜5倍、体積が50〜100倍に膨張する平均粒径5〜30μmの粒子である。低沸点溶剤としてはイソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等の揮発性有機溶剤(膨張剤)を塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の共重合体から成る熱可塑性樹脂で包み込んだものであり、マイクロカプセルの膜ポリマーの軟化点以上に加熱されると膜ポリマーが軟化しはじめ、同時に内包されている膨張剤の蒸気圧が上昇し、膜が押し広げられてカプセルが膨張する。熱膨張性マイクロカプセルは比較的低温、短時間で膨張して独立気泡を形成し、基材の低密度化ができる。
【0028】
パルプからなる繊維層に熱発泡性マイクロカプセルを分散保持する方法として、内添抄紙して分散保持することができる。
【0029】
熱発泡性マイクロカプセルを内添抄紙して分散保持する製造方法は、長網、円網、短網等の抄紙マシンで、パルプからなる繊維材料に発泡性マイクロカプセルを添加して湿紙を抄造し(いわゆる内添法)、湿紙を発泡性マイクロカプセルの発泡開始温度よりも低い温度で乾燥して、加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材を製造することができる。
【0030】
発泡性マイクロカプセルの含有量はパルプ繊維に対して2〜30重量%、好ましくは4〜15重量%である。2重量%以下では充分な低密度が得られず、30重量%を越えると効果が頭打ちになって経済性の面から適当とはいえず、さらに発泡性マイクロカプセルが繊維基材の表面に残留しやすくなって、繊維基材表面における発泡性マイクロカプセルの脱落傾向が強くなるという欠点がでる。
【0031】
本発明では、パルプ以外の副材料、例えばサイズ剤、紙力増強剤、染料、顔料、歩留り向上剤、填料、PH調整剤、粘剤、防腐剤、防カビ剤、等の公知の材料を必要に応じて単独でまたは組み合わせて使用することができる。
【0032】
また、不織布からなる繊維層に熱発泡性マイクロカプセルと熱可塑性樹脂を分散保持する方法として、湿式含浸して分散保持することができる。
【0033】
熱発泡性マイクロカプセルを湿式含浸して分散保持する製造方法は、紙の二次加工としての含浸加工法を応用する方法があげられる。先ず、湿式含浸加工法の常法に従い、不織布からなる繊維層を発泡性マイクロカプセルと熱可塑性樹脂を含む含浸液に浸漬し、過剰量の含浸液を一時的に付与できるディッピング法や、好ましくは、含浸液を一定量だけ塗工または含浸させるグラビアコーティング法やロールコーティング法などがあり、繊維基材の表裏から含浸剤を含浸することもできる。また、2ユニット以上あるグラビア含浸方法では、はじめに不織布からなる繊維基材に含浸させる含浸液を片面もしくは両面より施し、不織布からなる繊維基材内部まで発泡性マイクロカプセルと熱可塑性樹脂を均一に含浸させることができる。その後絞りを行ってから、湿紙を発泡性マイクロカプセルの発泡開始温度よりも低い温度で乾燥して、加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材を製造することができる。これらの加工は、二次加工的に行われるために、抄紙工程での内添法に比較して安価に行うことができる。
【0034】
含浸液に発泡性マイクロカプセルと併用して用いられる熱可塑性樹脂として、天然ゴムラテックス、スチレン・ブタジエン共重合ラテックス、メチルメタアクリレート・ブタジエン共重合ラテックス等のゴムラテックス及び/またはポリアクリル酸エステルエマルション、ポリ酢酸ビニルエマルション、ポリ塩化ビニルエマルション等の合成樹脂エマルションの熱可塑性樹脂を挙げることができる。
これらの含浸割合は繊維に対して5〜40重量%、好ましくは10〜25重量%である。こうすることで、発泡性マイクロカプセルの分布がより均一に分散するようになる。さらに、繊維や発泡性マイクロカプセルの脱落が防止でき、強度も改善できる。また、熱可塑性樹脂の種類と共に添加率を選択することで、基材をを硬くしたり柔らかくしたりする等、目的に合わせて自由に設計することができるので、繊維の脱落を防止したり、低密度でありかつフレキシブルで丈夫な基材にすることができる。含浸割合が5重量%未満であるとこれら効果が出難くなり、30重量%を越えると経済的に不利になり、また効果がそれ以上期待でき難くなる。
【0035】
本発明の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材は、薬剤を収納する容器本体と、収納された薬剤液面に接触して薬剤を浸透させ、揮散させる薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツとからなり、薬剤液面上にでる薬剤含浸用基材の長さを調節して、薬剤の揮散量を調整可能とする薬剤充填容器の構成で製品化される、そのスライドパーツに取り付ける薬剤含浸用基材として用いられるものである。
【0036】
薬剤液としては、例えば、芳香剤として、タイムホワイト油、レモングラス油、カッシャ油、ピメント油、ヒノキ油、ヒバ油、フローラル油等の天然植物精油や、天然植物精油抽出物としてのシトラール、シンナミックアルデヒト、チモール、オイゲノール、ローズマリー、セイジ等、消臭剤として、カルノソール、ローズマノール等、液状防虫剤、殺虫剤として、(RS)−(1)−エチニル−2−メチル−2−ペンテニル(1R)−シス,トランス−クリサンテマート、ジエチルトルアミド、ディート等を挙げることができる。なお、これらのものに限定されるものではない。
【0037】
また、薬剤液の接触面から薬剤含浸用多孔性繊維基材に薬剤液を浸透させる方法によれば、本発明の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材を発泡してなる多孔性繊維基材自体の低密度および多孔性能から、その薬剤液接触面を通じて薬液は、接触面上からでる多孔性繊維基材にまで効率的に浸透・移行され、また、その浸透・移行した薬液は、多孔性繊維基材表面から徐放的に揮散される。また、薬剤液面上にでる薬剤含浸用多孔性繊維基材の長さを調節して、薬剤の揮散量を調整することが可能である。
【0038】
このように構成されて、収納される薬剤液の種類により多様な用途のものとして製品化される。例えば、薬剤液が芳香剤である場合、薬剤液が防虫ないし殺虫剤である場合、また、消臭剤である場合など、それぞれ製品化されるものである。
【0039】
本発明の薬剤含浸用多孔性繊維基材は、発泡してなる多孔性繊維基材自体の低密度および多孔性から、薬剤液の浸透・移行性能に基づき、従来の濾紙や不織布と比較して、より多量の薬液を容易かつ迅速に浸透・移行すると共に、安定的に保持された状態で含有させることが可能である。従って、薬剤液に基づく性能が長期間に亘り安定的に発揮されることが可能な薬剤含浸用基材として構成できる。即ち、含浸薬液が常温揮散性の防虫剤や芳香剤である場合には、その周囲に徐放的に発散させることができる。また、消臭剤である場合には、その周囲の悪臭成分に対して長期間に亘り安定的に消臭作用を有効に維持させることができる。
【0040】
次に、本発明の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材を、薬剤を収納する容器本体(図示せず)と、薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツとからなる薬剤充填容器(図示せず)において用いられる、そのスライドパーツに取り付ける方法を説明する。
【0041】
例えば、図2に示すようなスライドパーツ7に、本発明の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材6を、(a)、(b)、(c)、(d)の手順で順次取り付け、(d)に示す薬剤含浸用多孔性繊維基材端部6′を引っ張って基材の弛みのないようにセッテングする。そして、引き出した基材端部6′の長さLを必要に応じて適宜その長さを調節する。
【0042】
本発明の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材を取り付けたスライドパーツごと、例えば、加熱オーブン等を用いて、薬剤含浸用多孔性繊維基材中に含有する加熱発泡性マイクロカプセルの膜ポリマーの軟化点以上の温度で加熱発泡操作を行い、マイクロカプセルに内包されている低沸点溶剤からなる膨張剤の蒸気圧が上昇し、膜が押し広げられてカプセルが膨張した膨張マイクロカプセルが繊維層に分散保持された構造からなるものである。
【0043】
上記の加熱発泡操作は、加熱発泡後の薬剤含浸用多孔性繊維基材の密度が、0.01〜0.3g/cmの範囲を満たすように加熱発泡を制御するのが望ましい。この時の加熱発泡後の薬剤含浸用多孔性繊維基材の厚さは2〜4mmの範囲で、単層で上記の厚さの薬剤含浸用多孔性繊維基材が得られる。従って、従来、薬剤含浸用基材として用いられていた濾紙や不織布を積層して、2〜4mm程度の厚さを得ていたのに比較して、低コストの薬剤含浸用基材が得られる。
【0044】
上記のように、スライドパーツに、本発明の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材を取り付け、セッテングした後、加熱発泡操作を施すことにより、スライドパーツに多孔性繊維基材を容易に取り付け、セッティング作業ができるために、取り付け、セッティング作業効率が極めて優れる効果を奏する。
【0045】
また、上記の加熱発泡操作において、薬剤含浸用多孔性繊維基材中に分散保持されている加熱発泡性マイクロカプセルが発泡膨張することで、繊維層間に空隙が生じ、薬剤含浸用多孔性繊維基材の密度が低下し、薬剤液を毛管現象により浸透・移行性能が向上する。
【0046】
さらに、上記の加熱発泡操作において、薬剤含浸用多孔性繊維基材に分散保持されたマイクロカプセルの膜ポリマーの軟化点以上に加熱されると膜ポリマーが軟化しはじめ、繊維とマイクロカプセルが熱融着することで、基材から繊維が脱落することを防止できる効果を奏する。従って、従来、パルプなどの繊維の脱落などの問題から、脱落防止のために、濾紙や不織布の表裏両面に、コーティングもしくはラミネートにより樹脂層などの異種材料を積層して用いていたことによるコストアップを招く問題が解消される。
【0047】
【発明の効果】
本発明により、容器に収納された薬剤液面に接触して該薬剤を浸透させ、揮散させる薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツ等に取り付けて用いられる薬剤含浸用基材として、パルプもしくは不織布からなる繊維層に少なくとも加熱発泡性マイクロカプセルを分散保持された加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材の構成とし、この薬剤含浸用多孔性繊維基材をスライドパーツへの取り付け後の後発泡を可能としたことで、スライドパーツへの取り付け作業効率に優れ、また、毛管現象による薬剤液の浸透・移行性能に優れ、かつ繊維などの脱落を防止できる、安価な、加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材およびその発泡方法を提供することができる。
【0048】
容器に収納される薬剤液が、例えば、芳香剤である場合、防虫ないし殺虫剤である場合、また、消臭剤である場合など、多様な用途の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材として好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例としてのスライドパーツに取り付けられた薬剤含浸用多孔性繊維基材を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例として薬剤含浸用多孔性繊維基材をスライドパーツに取り付ける手順を説明する斜視図である。
【図3】スライドパーツの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1、6・・・加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材
1′・・・薬剤含浸用多孔性発泡繊維基材
2、7、8・・・スライドパーツ
3・・・繊維
4・・・加熱発泡性マイクロカプセル
5・・・膨張マイクロカプセル
6′・・・スライドパーツに取り付けられた加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材端部
A・・・加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材の一部断面拡大領域
A1・・・加熱発泡前の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材の一部拡大断面
A2・・・加熱発泡後の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材の一部拡大断面

Claims (9)

  1. 容器に収納された薬剤液面に接触して該薬剤を浸透させ、揮散させる薬剤含浸用基材を取り付けるスライドパーツ等に取り付けて用いられる薬剤含浸用基材であって、
    前記薬剤含浸用基材が、パルプからなる繊維層に加熱発泡性マイクロカプセルを分散保持されていることを特徴とする加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材。
  2. 前記薬剤含浸用基材が、不織布からなる繊維層に加熱発泡性マイクロカプセルと熱可塑性樹脂を分散保持されていることを特徴とする加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材。
  3. 前記加熱発泡性マイクロカプセルを、内添抄紙して分散保持されていることを特徴とする請求項1記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材。
  4. 前記加熱発泡性マイクロカプセルと熱可塑性樹脂を、湿式含浸して分散保持されていることを特徴とする請求項2記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材。
  5. 前記薬剤が、常温揮散性の芳香剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材。
  6. 前記薬剤が、常温揮散性の消臭剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材。
  7. 前記薬剤が、常温揮散性の害虫駆除剤であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材。
  8. 前記加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材をスライドパーツに取り付けた後、該薬剤含浸用多孔性繊維基材を加熱発泡させることを特徴とする加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材の発泡方法。
  9. 前記加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材をスライドパーツに取り付けた後、該薬剤含浸用多孔性繊維基材の密度が、0.01〜0.3g/cmの範囲を満たすように加熱発泡させることを特徴とする請求項8記載の加熱発泡性を有する薬剤含浸用多孔性繊維基材の発泡方法。
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