JP2004247236A - 電線の熱圧着端部及びその製造方法並びに製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】引張り強度の向上と引裂き強度の向上との両立を図ること。
【解決手段】複数の電線20の端部に露出した露出導体22の長手方向を第1方向Aに沿って揃えると共に各露出導体22を第1方向に略直交する第2方向Bに並列配置した状態で、第2方向Bに沿って圧力を加えて各露出導体22を抵抗溶接して熱圧着端部10を形成する。圧力の印加方向における熱圧着端部10の高さ寸法が、その先端側に向けて順次小さくなるように形成されている。高さ寸法が比較的小さい先端側の部分で十分な引裂き強度を得ると共に、高さ寸法が比較的大きい基端側の部分で十分な引張り強度を得る。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の電線20の端部に露出した露出導体22の長手方向を第1方向Aに沿って揃えると共に各露出導体22を第1方向に略直交する第2方向Bに並列配置した状態で、第2方向Bに沿って圧力を加えて各露出導体22を抵抗溶接して熱圧着端部10を形成する。圧力の印加方向における熱圧着端部10の高さ寸法が、その先端側に向けて順次小さくなるように形成されている。高さ寸法が比較的小さい先端側の部分で十分な引裂き強度を得ると共に、高さ寸法が比較的大きい基端側の部分で十分な引張り強度を得る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の電線の端部に露出した露出導体同士を相互に熱圧着する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤーハーネスにおける分岐部分等において複数の電線を相互接続する技術として、複数の電線の端部で被覆を除去し、露出した導体同士を接合するようにしたものがある(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
このような技術は、ジョイント圧着端子のような端子を用いることなく且つ導体間の接触抵抗も低くすることができることから、近年多用されている。
【0004】
具体的には、例えば特許文献2では、図11及び図12に示すように、接続すべき電線200の露出導体201同士を上下電極210,211間に挟込み、適当な圧力を加えながら電極210,211間に通電している。
【0005】
これにより、圧力と露出導体部分に発生する抵抗熱とで露出導体201相互を熱圧着して熱圧着端部202を形成している。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−1462号公報
【特許文献2】
特開平6−132041号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のように露出導体同士を熱圧着して接続した電線について、ワイヤーハーネス組立作業時等に十分に耐え得る強度が必要である。
【0008】
接合された導体の強度評価を行う試験としては、例えば、引裂き強度試験と引張り強度試験とがある。
【0009】
引裂き強度試験では、図13(a)に示すように、各電線200を互いに反対方向に引張り、熱圧着端部202が引裂かれるまでの強度を調べる。
【0010】
また、引張り強度試験では、図13(b)に示すように、熱圧着端部202から基端側へ引抜く方向へ所定の電線200を引張り、引抜かれるまでの強度を調べる。
【0011】
ここで、発明者が実際に抵抗溶接により熱圧着された熱圧着端部202の引裂き強度試験及び引張り強度試験を行ったところ、引裂き強度及び引張り強度と、熱圧着端部202の圧力印加方向における高さ寸法Hとの間に所定の関係があることを見出した。
【0012】
すなわち、図14に示すように、熱圧着端部202の高さ寸法Hが大きくなると(高さ寸法B参照)引裂き強度が比較的小さくなると共に引張り強度が比較的大きくなる一方、熱圧着端部202の高さ寸法Hが小さくなると(高さ寸法C参照)逆に引裂き強度が比較的大きくなると共に引張り強度が比較的小さくなる傾向にあることがわかった。また、それらの中間程度の高さ寸法に設定した場合には(高さ寸法A参照)、引張り強度と引裂き強度とが比較的低下してしまうことになる。
【0013】
このように、引張り強度を最も大きくできる熱圧着端部202の高さ寸法Hと、引裂き強度を最も大きくできる熱圧着端部202の高さ寸法Hとは異なっており、引張り強度の向上と引裂き強度の向上とを両立させることは困難であった。
【0014】
そこで、この発明の課題は、引張り強度の向上と引裂き強度の向上との両立を図ることが可能な技術を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、請求項1記載の発明は、複数の電線の端部に露出した露出導体の長手方向を第1方向に沿って揃えると共に前記各露出導体を前記第1方向に略直交する第2方向に並列配置した状態で、前記第2方向に沿って圧力を加えて前記各露出導体を熱圧着した電線の熱圧着端部であって、前記第2方向における高さ寸法が、前記第1方向に沿って異なっているものである。
【0016】
請求項2記載のように、最大引裂き強度に対応させた相対的に小さな高さ寸法の部分と、最大引張り強度に対応させた相対的に大きな高さ寸法の部分とを有していてもよい。
【0017】
請求項3記載のように、前記各露出導体を前記第1方向に沿って一方側に指向させた態様で、前記各露出導体が熱圧着され、基端部側における高さ寸法が相対的に大きく、先端部側における高さ寸法が相対的に小さくしてもよい。
【0018】
請求項4記載のように、基端部側から先端部側に向うに従って順次高さ寸法が小さくなるように設定されていてもよい。
【0019】
請求項5記載のように、前記第1方向に沿って部分的に、高さ寸法が一定である平坦な部分に形成されていてもよい。
【0020】
請求項6記載の発明は、数の電線の端部に露出した露出導体同士を熱圧着する電線の熱圧着端部の製造方法であって、前記各露出導体の長手方向を第1方向に沿って揃えると共に前記各露出導体を前記第1方向に略直交する第2方向に並列配置する工程と、配列配置された前記各露出導体に対して前記第2方向に沿って圧力を加えて前記各露出導体同士を熱圧着して熱圧着端部を形成する工程と、を備え、前記熱圧着端部を形成する工程においては、前記熱圧着端部の前記第2方向における高さ寸法が、前記第1方向に沿って異なるように、前記各露出導体に圧力を加えるものである。
【0021】
請求項7記載の発明は、複数の電線の端部に露出した露出導体同士を熱圧着するための電線の熱圧着端部の製造装置であって、複数の電線の端部に露出した露出導体の長手方向を第1方向に沿って揃えると共に前記各露出導体を前記第1方向に略直交する第2方向に並列配置した状態で、前記第2方向に沿って圧力を加えて前記各露出導体を熱圧着するための一対の加圧部を備え、前記一対の加圧部が近接移動して前記各露出導体に圧力を加えた状態で、一方側の前記加圧部の加圧面と他方側の前記加圧部の加圧面とは、前記第1方向に沿って不均等な距離を保つものである。
【0022】
この場合、請求項8記載のように、前記一対の加圧部の前記各加圧面のうち少なくとも一部が、凹凸面に形成されているとよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
{第1の実施の形態}
以下、この発明の第1の実施の形態に係る電線の熱圧着端部について説明する。
【0024】
図1は電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図であり、図2は熱圧着端部を示す側面図である。
【0025】
この熱圧着端部10は、複数の電線20の端部において被覆部を除去して所定長の露出導体22を形成し、この各露出導体22同士を相互に熱溶着することにより形成される。そして、熱圧着端部10の高さ寸法が、その長手方向に沿って異なるようになっている。ここで熱圧着端部10の高さ寸法は、熱溶着前の各露出導体22の並列配置方向の高さ寸法で定義され、熱圧着する際における圧力の印加方向と略同じである。この実施の形態では、熱圧着端部10の高さ寸法が、その先端側に向うに従って順次小さくなっている。
【0026】
この熱圧着端部10の製造方法について説明すると、まず、熱溶着するにあたって、上記各露出導体22は、その長手方向を所定の第1方向A(図1参照)に揃えて配置される。また、各露出導体22は、前記第1方向Aに対して略直交する所定の第2方向B(図1参照)に並列配置される。また、この実施の形態では、各露出導体22を上記第1方向Aに沿って一方側(図2の右側)に指向させている。もっとも、一部の露出導体22が他と反対側(図2の左側)に指向していてもよい。
【0027】
この状態で、並列配置された各露出導体22に対して前記第2方向Bに沿って圧力を加える。ここでは、一対の加圧部としての加圧電極30,32間に、各露出導体22を挟込むようにして、当該各露出導体22に対して圧力を加える。
【0028】
ここで用いられる一方側(図1の上側)の加圧電極30の加圧面31は、各露出導体22の先端側に向けて、他方側の加圧電極32の加圧面33に近接する方向へ傾斜している。従って、両加圧電極30,32を近接移動させてそれらの加圧面31,33の間に各露出導体22を挟み込み圧力を加えた状態では、各露出導体22の先端側に向けて加圧面31,33の距離が順次小さくなるようになっている。換言すれば、圧力を加えた状態で、一対の加圧面31,32とは、第1方向Aに沿って不均等な距離を保っている。
【0029】
そして、一対の加圧電極30の間に各露出導体22を挟込んだ状態で、一対の加圧電極30,32間に所定の電圧を印加する。これにより、各露出導体22に電流が流れて抵抗熱が発生する。この抵抗熱と加圧力により、各露出導体22が第2方向Bに沿って積重ねられた状態で熱圧着されることとなる。なお、このように各露出導体22を抵抗溶接する代りに、上記加圧電極30,32と同様構成のチップとアンビルとを用いて超音波及び加圧により、熱溶着(超音波溶着)するようにしてもよい。
【0030】
これにより、図2に示すように、上記第2方向Bにおける高さ寸法が前記第1方向Aに沿って異なる熱圧着端部10、より具体的には、熱圧着端部10の高さ寸法が、その先端側に向うに従って順次小さくなる熱圧着端部10が製造されることとなる。
【0031】
以上のように構成された電線20の熱圧着端部10によると、その第2方向Bにおける高さ寸法が第1方向Aに沿って異なっているため、高さ寸法が相対的に小さい部分で十分な引裂き強度を得ると共に、高さ寸法が相対的に大きい部分で十分な引張り強度を得ることができ、引張り強度の向上と引裂き強度の向上との両立を図ることができる。これにより、例えば、ワイヤーハーネスの組立作業の際でも、引抜きや引裂きを懸念することなく安心して組立を行える。
【0032】
なお、熱圧着端部10の高さ寸法が、各露出導体22の先端側に向うに従って順次大きくなる形状であってもよいし、また、基端部及び先端部で相対的に高さ寸法が小さく中間部で高さ寸法が相対的に大きくなっていてもよいし、また、その逆に基端部及び先端部で相対的に高さ寸法が大きく中間部で高さ寸法が相対的に小さくなっていてもよい。
【0033】
また、熱圧着端部10は、同条件の複数の露出導体22を図11及び図12に示す方法にて圧着して、引裂き強度及び引張り強度を試験し、最大引裂き強度を得ることができる相対的に小さな高さ寸法(図14のC参照)の部分と、最大引張り強度を得ることができる相対的に大きな高さ寸法(図14のB参照)の部分とを有していることが好ましい。当該相対的に小さな高さ寸法の部分で比較的十分な引裂き強度を得ることができ、相対的に大きな高さ寸法の部分で比較的十分な引張り強度を得ることができるからである。
【0034】
例えば、熱圧着端部10の先端部を、最大引裂き強度に対応させた相対的に小さな高さ寸法に形成し、熱圧着端部10の基端部を、最大引張り強度に対応させた相対的に大きな高さ寸法に形成するとよい。
【0035】
さらに、この実施の形態では、一方側の加圧電極30の加圧面31のみを傾斜させているが、図3及び図4に示すように、一対の加圧電極30B,32Bの双方の加圧面31B,33Bを傾斜させるようにしてもよい。この場合、加圧面31B,33Bの傾斜を考慮して、製造後の熱圧着端部10Bが最大引裂き強度に対応させた相対的に小さな高さ寸法の部分と、最大引張り強度に対応させた相対的に大きな高さ寸法の部分とを有するように設定する。
【0036】
さらに、この実施の形態では、一方側の加圧電極30の加圧面31の全体を傾斜させているが、図5及び図6に示すように、一方側の加圧電極30Cの加圧面31Cの一部を傾斜させた傾斜加圧面31Caに形成し、その他の部分を他方側の加圧電極32Cの加圧面33Cと略平行な平坦加圧面31Cbに形成してもよい。
【0037】
この場合、熱圧着端部10Cの先端部は、高さ寸法が一定である平坦な部分に形成され、熱圧着端部10Cの基端部は先端側に向けて順次高さ寸法が小さくなる部分に形成される。
【0038】
また、図7に示すように、一対の加圧電極30Dのうち少なくとも一部が凹凸面に形成されていてもよい。図7における加圧電極30Dでは、図5に示す加圧電極30Cの平坦加圧面31Cbに対応する部分をローレット切りして凹凸面31Dbに形成している。
【0039】
このように加圧電極30Dに凹凸面31Dbを形成した構成にあっては、一対の加圧電極30D,32D間に各露出導体22を挟込んだ際に、当該凹凸面31Dbによって加圧面31Dと露出導体22との間での滑り止めが図られる。これにより、加圧面31Dに対する露出導体22のずれが防止され、熱圧着端部10Cをより確実に所望の形状に形成することができる。
【0040】
なお、その他、図8(a)及び図8(b)に示す加圧電極30Eのように、凹条部と突条部とを各露出導体22の延在方向に沿って交互に形成することにより凹凸面31Eaに形成したり、或は、若干大きめの凹条部と突条部とを波状に形成することにより凹凸面に形成した構成であってもよい。
【0041】
勿論、図1及び図3に示す加圧電極30,32,30B,32Bの全体又はその部分的に凹凸面を形成してもよい。
【0042】
実施例.
本発明者らは実際に熱圧着端部10,202を製造した。
【0043】
即ち、電線5本を準備し、各電線の端部の絶縁被覆を13mmに亘って除去し露出導体22を形成した。
【0044】
そして、図11に示す上下電極210,211として、幅2mm長さ8mmのものを用い、各電線の熱圧着を行った。そして、熱圧着端部202の高さ寸法を変化させて最大引裂き強度及び最大引張り強度を試験したところ、最大引張り強度を得ることができる高さ寸法は1.2mmであり、最大引裂き強度を得ることができる高さ寸法は0.9mmであることがわかった。
【0045】
そこで、加圧面31の傾斜の高さ差を0.3mmとした加圧電極30を用いて、熱圧着を行い、製造後の熱圧着端部10の先端部分の高さ寸法が0.9mmとなり、その基端側部分の高さ寸法が1.2mmとなるようにした。
【0046】
これにより、十分な引張り強度及び十分な引裂き強度を持つ熱圧着端部10を製造することができた。
【0047】
{第2の実施の形態}
この発明の第2の実施の形態に係る電線の熱圧着端部110について説明する。なお、本実施の形態の説明において、上記第1の実施の形態において説明したものと同様構成要素については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図9は電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図であり、図10は熱圧着端部を示す側面図である。
【0049】
この熱圧着端部110は、その基端側部分が長手方向(第1方向A)に沿って所定長に亘って高さ寸法が一定な平坦部分でありかつ相対的に高さ寸法が大きい部分110bに形成されると共に、その先端側部分が長手方向(第1方向A)に沿って所定長に亘って高さ寸法が一定な平坦部分でありかつ相対的に高さ寸法が小さい部分110aに形成されている。
【0050】
このうち相対的に高さ寸法が小さい先端側の部分110aは、最大引裂き強度に対応させた高さ寸法の部分であり、相対的に高さ寸法が大きい基端側の部分110bは最大引張り強度に対応させた高さ寸法の部分である。
【0051】
この熱圧着端部110を製造するにあたっては、上記加圧電極30,32に代えて、次の加圧電極130,132が用いられている。
【0052】
即ち、一方側の加圧電極130の加圧面131のうち露出導体22の先端側部分を加圧する凸加圧面131aは、露出導体22の基端側部分を加圧する凹加圧面131bよりも段部を介して突出した形状となっている。凸加圧面131aと凹加圧面131bとの高さ寸法差は、上記先端側の部分110aと基端側の部分110bとの高さ寸法差と略一致している。
【0053】
なお、他方側の加圧電極132は、上記加圧電極32と同様に全体に亘って平坦な加圧面133を有している。勿論、この他方側の加圧電極132についても、上記加圧電極130と同様に一部を他部より突出させた形状としてもよい。
【0054】
そして、一対の加圧電極130,132を用いて、上記第1の実施の形態と同様にして、複数の電線20の露出導体22を熱溶着すると、図9に示す熱圧着端部110が製造される。
【0055】
このように構成された熱圧着端部110によると、その第2方向Bにおける高さ寸法が第1方向Aに沿って異なっているため、即ち、その基端側部分が相対的に高さ寸法が大きい部分110bに形成されると共に、その先端側部分が相対的に高さ寸法が小さい部分110aに形成されているため、高さ寸法が相対的に小さい部分110aで十分な引裂き強度を得ると共に、高さ寸法が相対的に大きい部分110bで十分な引張り強度を得ることができ、引張り強度の向上と引裂き強度の向上との両立を図ることができる。これにより、例えば、ワイヤーハーネスの組立作業の際でも、引抜きや引裂きを懸念することなく安心して組立を行える。
【0056】
なお、熱圧着端部110の基端側部分が相対的に高さ寸法の小さい部分に、また、その先端側部分が相対的に高さ寸法の大きい部分に形成されていてもよい。また、その中間部分が他の部分よりも相対的に高さ寸法が大きく又は小さく形成されていてもよい。
【0057】
また、加圧電極130の先端側の部分110a等に、図7や図8と同様に凹凸を形成してもよい。
【0058】
実施例.
本実施の形態に関して、本発明者らは、上記第1の実施の形態における実施例と同様に、実際に熱圧着端部110を製造した。
【0059】
この場合、幅2mm、長さ8mmの加圧電極130,132を用いた。また、加圧電極130の加圧面131の凹加圧面131bと凸加圧面131aとの高さ寸法差を0.3mmとした。また、第1方向A(熱圧着端部110の長手方向)における凹加圧面131bの長さ寸法を1.2mm、同方向における凸加圧面131aの長さ寸法を0.9mmにした。
【0060】
この加圧電極130を用いて熱圧着を行い、製造後の熱圧着端部110の先端側の部分の高さ寸法が0.9mmとなり、その基端側の部分の高さ寸法が1.2mmとなるようにした。
【0061】
これにより、同様に、十分な引張り強度及び十分な引裂き強度を持つ熱圧着端部110を製造することができた。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1〜請求項5記載の電線の熱圧着端部によると、第2方向における高さ寸法が第1方向に沿って異なっているため、高さ寸法が相対的に小さい部分で十分な引裂き強度を得ると共に、高さ寸法が相対的に大きい部分で十分な引張り強度を得ることができ、引張り強度の向上と引裂き強度の向上との両立を図ることができる。
【0063】
また、請求項2記載の発明によれば、より十分な引裂き強度及びより十分な引張り強度を得ることができる。
【0064】
請求項5記載の発明によれば、平坦な部分で十分な引裂き強度又は引張り強度を得ることができる。
【0065】
請求項6記載の発明によれば、電線の熱圧着端部の第2方向における高さ寸法が第1方向に沿って異なっているため、高さ寸法が相対的に小さい部分で十分な引裂き強度を得ると共に、高さ寸法が相対的に大きい部分で十分な引張り強度を得ることができ、引張り強度の向上と引裂き強度の向上との両立を図ることができる。
【0066】
請求項7記載の発明によれば、第2方向における高さ寸法が、前記第1方向に沿って異なっている電線の熱圧着端部を製造することができる。
【0067】
請求項8記載の発明によれば、凹凸面によって、加圧面と露出導体との間の滑り止めが図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図である。
【図2】同上の電線の熱圧着端部を示す側面図である。
【図3】変形例に係る電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図である。
【図4】変形例に係る電線の熱圧着端部を示す側面図である。
【図5】他の変形例に係る電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図である。
【図6】さらに他の変形例に係る電線の熱圧着端部を示す側面図である。
【図7】加圧電極の変形例を示す図である。
【図8】加圧電極の他の変形例を示す図である。
【図9】この発明の第2の実施の形態に係る電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図である。
【図10】同上の電線の熱圧着端部を示す側面図である。
【図11】従来における電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図である。
【図12】従来における電線の熱圧着端部を示す側面図である。
【図13】図13(a)は引裂き強度試験を説明するための図であり、図13(b)は引張り強度試験を説明するための図である。
【図14】熱圧着部の高さ寸法と引裂き強度及び引抜き強度との関係を示す図である。
【符号の説明】
10,10B,10C 熱圧着端部
20 電線
22 露出導体
30,30B,30C,30D 加圧電極
31,31B,31C,31D 加圧面
31Ca 傾斜加圧面
31Cb 平坦加圧面
31Db,31Ea 凹凸面
32,32B,32C 加圧電極
33,33B,33C 加圧面
110 熱圧着端部
130 加圧電極
131 加圧面
131a 凸加圧面
131b 凹加圧面
132 加圧電極
133 加圧面
【発明の属する技術分野】
この発明は、複数の電線の端部に露出した露出導体同士を相互に熱圧着する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワイヤーハーネスにおける分岐部分等において複数の電線を相互接続する技術として、複数の電線の端部で被覆を除去し、露出した導体同士を接合するようにしたものがある(特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
このような技術は、ジョイント圧着端子のような端子を用いることなく且つ導体間の接触抵抗も低くすることができることから、近年多用されている。
【0004】
具体的には、例えば特許文献2では、図11及び図12に示すように、接続すべき電線200の露出導体201同士を上下電極210,211間に挟込み、適当な圧力を加えながら電極210,211間に通電している。
【0005】
これにより、圧力と露出導体部分に発生する抵抗熱とで露出導体201相互を熱圧着して熱圧着端部202を形成している。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−1462号公報
【特許文献2】
特開平6−132041号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のように露出導体同士を熱圧着して接続した電線について、ワイヤーハーネス組立作業時等に十分に耐え得る強度が必要である。
【0008】
接合された導体の強度評価を行う試験としては、例えば、引裂き強度試験と引張り強度試験とがある。
【0009】
引裂き強度試験では、図13(a)に示すように、各電線200を互いに反対方向に引張り、熱圧着端部202が引裂かれるまでの強度を調べる。
【0010】
また、引張り強度試験では、図13(b)に示すように、熱圧着端部202から基端側へ引抜く方向へ所定の電線200を引張り、引抜かれるまでの強度を調べる。
【0011】
ここで、発明者が実際に抵抗溶接により熱圧着された熱圧着端部202の引裂き強度試験及び引張り強度試験を行ったところ、引裂き強度及び引張り強度と、熱圧着端部202の圧力印加方向における高さ寸法Hとの間に所定の関係があることを見出した。
【0012】
すなわち、図14に示すように、熱圧着端部202の高さ寸法Hが大きくなると(高さ寸法B参照)引裂き強度が比較的小さくなると共に引張り強度が比較的大きくなる一方、熱圧着端部202の高さ寸法Hが小さくなると(高さ寸法C参照)逆に引裂き強度が比較的大きくなると共に引張り強度が比較的小さくなる傾向にあることがわかった。また、それらの中間程度の高さ寸法に設定した場合には(高さ寸法A参照)、引張り強度と引裂き強度とが比較的低下してしまうことになる。
【0013】
このように、引張り強度を最も大きくできる熱圧着端部202の高さ寸法Hと、引裂き強度を最も大きくできる熱圧着端部202の高さ寸法Hとは異なっており、引張り強度の向上と引裂き強度の向上とを両立させることは困難であった。
【0014】
そこで、この発明の課題は、引張り強度の向上と引裂き強度の向上との両立を図ることが可能な技術を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、請求項1記載の発明は、複数の電線の端部に露出した露出導体の長手方向を第1方向に沿って揃えると共に前記各露出導体を前記第1方向に略直交する第2方向に並列配置した状態で、前記第2方向に沿って圧力を加えて前記各露出導体を熱圧着した電線の熱圧着端部であって、前記第2方向における高さ寸法が、前記第1方向に沿って異なっているものである。
【0016】
請求項2記載のように、最大引裂き強度に対応させた相対的に小さな高さ寸法の部分と、最大引張り強度に対応させた相対的に大きな高さ寸法の部分とを有していてもよい。
【0017】
請求項3記載のように、前記各露出導体を前記第1方向に沿って一方側に指向させた態様で、前記各露出導体が熱圧着され、基端部側における高さ寸法が相対的に大きく、先端部側における高さ寸法が相対的に小さくしてもよい。
【0018】
請求項4記載のように、基端部側から先端部側に向うに従って順次高さ寸法が小さくなるように設定されていてもよい。
【0019】
請求項5記載のように、前記第1方向に沿って部分的に、高さ寸法が一定である平坦な部分に形成されていてもよい。
【0020】
請求項6記載の発明は、数の電線の端部に露出した露出導体同士を熱圧着する電線の熱圧着端部の製造方法であって、前記各露出導体の長手方向を第1方向に沿って揃えると共に前記各露出導体を前記第1方向に略直交する第2方向に並列配置する工程と、配列配置された前記各露出導体に対して前記第2方向に沿って圧力を加えて前記各露出導体同士を熱圧着して熱圧着端部を形成する工程と、を備え、前記熱圧着端部を形成する工程においては、前記熱圧着端部の前記第2方向における高さ寸法が、前記第1方向に沿って異なるように、前記各露出導体に圧力を加えるものである。
【0021】
請求項7記載の発明は、複数の電線の端部に露出した露出導体同士を熱圧着するための電線の熱圧着端部の製造装置であって、複数の電線の端部に露出した露出導体の長手方向を第1方向に沿って揃えると共に前記各露出導体を前記第1方向に略直交する第2方向に並列配置した状態で、前記第2方向に沿って圧力を加えて前記各露出導体を熱圧着するための一対の加圧部を備え、前記一対の加圧部が近接移動して前記各露出導体に圧力を加えた状態で、一方側の前記加圧部の加圧面と他方側の前記加圧部の加圧面とは、前記第1方向に沿って不均等な距離を保つものである。
【0022】
この場合、請求項8記載のように、前記一対の加圧部の前記各加圧面のうち少なくとも一部が、凹凸面に形成されているとよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
{第1の実施の形態}
以下、この発明の第1の実施の形態に係る電線の熱圧着端部について説明する。
【0024】
図1は電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図であり、図2は熱圧着端部を示す側面図である。
【0025】
この熱圧着端部10は、複数の電線20の端部において被覆部を除去して所定長の露出導体22を形成し、この各露出導体22同士を相互に熱溶着することにより形成される。そして、熱圧着端部10の高さ寸法が、その長手方向に沿って異なるようになっている。ここで熱圧着端部10の高さ寸法は、熱溶着前の各露出導体22の並列配置方向の高さ寸法で定義され、熱圧着する際における圧力の印加方向と略同じである。この実施の形態では、熱圧着端部10の高さ寸法が、その先端側に向うに従って順次小さくなっている。
【0026】
この熱圧着端部10の製造方法について説明すると、まず、熱溶着するにあたって、上記各露出導体22は、その長手方向を所定の第1方向A(図1参照)に揃えて配置される。また、各露出導体22は、前記第1方向Aに対して略直交する所定の第2方向B(図1参照)に並列配置される。また、この実施の形態では、各露出導体22を上記第1方向Aに沿って一方側(図2の右側)に指向させている。もっとも、一部の露出導体22が他と反対側(図2の左側)に指向していてもよい。
【0027】
この状態で、並列配置された各露出導体22に対して前記第2方向Bに沿って圧力を加える。ここでは、一対の加圧部としての加圧電極30,32間に、各露出導体22を挟込むようにして、当該各露出導体22に対して圧力を加える。
【0028】
ここで用いられる一方側(図1の上側)の加圧電極30の加圧面31は、各露出導体22の先端側に向けて、他方側の加圧電極32の加圧面33に近接する方向へ傾斜している。従って、両加圧電極30,32を近接移動させてそれらの加圧面31,33の間に各露出導体22を挟み込み圧力を加えた状態では、各露出導体22の先端側に向けて加圧面31,33の距離が順次小さくなるようになっている。換言すれば、圧力を加えた状態で、一対の加圧面31,32とは、第1方向Aに沿って不均等な距離を保っている。
【0029】
そして、一対の加圧電極30の間に各露出導体22を挟込んだ状態で、一対の加圧電極30,32間に所定の電圧を印加する。これにより、各露出導体22に電流が流れて抵抗熱が発生する。この抵抗熱と加圧力により、各露出導体22が第2方向Bに沿って積重ねられた状態で熱圧着されることとなる。なお、このように各露出導体22を抵抗溶接する代りに、上記加圧電極30,32と同様構成のチップとアンビルとを用いて超音波及び加圧により、熱溶着(超音波溶着)するようにしてもよい。
【0030】
これにより、図2に示すように、上記第2方向Bにおける高さ寸法が前記第1方向Aに沿って異なる熱圧着端部10、より具体的には、熱圧着端部10の高さ寸法が、その先端側に向うに従って順次小さくなる熱圧着端部10が製造されることとなる。
【0031】
以上のように構成された電線20の熱圧着端部10によると、その第2方向Bにおける高さ寸法が第1方向Aに沿って異なっているため、高さ寸法が相対的に小さい部分で十分な引裂き強度を得ると共に、高さ寸法が相対的に大きい部分で十分な引張り強度を得ることができ、引張り強度の向上と引裂き強度の向上との両立を図ることができる。これにより、例えば、ワイヤーハーネスの組立作業の際でも、引抜きや引裂きを懸念することなく安心して組立を行える。
【0032】
なお、熱圧着端部10の高さ寸法が、各露出導体22の先端側に向うに従って順次大きくなる形状であってもよいし、また、基端部及び先端部で相対的に高さ寸法が小さく中間部で高さ寸法が相対的に大きくなっていてもよいし、また、その逆に基端部及び先端部で相対的に高さ寸法が大きく中間部で高さ寸法が相対的に小さくなっていてもよい。
【0033】
また、熱圧着端部10は、同条件の複数の露出導体22を図11及び図12に示す方法にて圧着して、引裂き強度及び引張り強度を試験し、最大引裂き強度を得ることができる相対的に小さな高さ寸法(図14のC参照)の部分と、最大引張り強度を得ることができる相対的に大きな高さ寸法(図14のB参照)の部分とを有していることが好ましい。当該相対的に小さな高さ寸法の部分で比較的十分な引裂き強度を得ることができ、相対的に大きな高さ寸法の部分で比較的十分な引張り強度を得ることができるからである。
【0034】
例えば、熱圧着端部10の先端部を、最大引裂き強度に対応させた相対的に小さな高さ寸法に形成し、熱圧着端部10の基端部を、最大引張り強度に対応させた相対的に大きな高さ寸法に形成するとよい。
【0035】
さらに、この実施の形態では、一方側の加圧電極30の加圧面31のみを傾斜させているが、図3及び図4に示すように、一対の加圧電極30B,32Bの双方の加圧面31B,33Bを傾斜させるようにしてもよい。この場合、加圧面31B,33Bの傾斜を考慮して、製造後の熱圧着端部10Bが最大引裂き強度に対応させた相対的に小さな高さ寸法の部分と、最大引張り強度に対応させた相対的に大きな高さ寸法の部分とを有するように設定する。
【0036】
さらに、この実施の形態では、一方側の加圧電極30の加圧面31の全体を傾斜させているが、図5及び図6に示すように、一方側の加圧電極30Cの加圧面31Cの一部を傾斜させた傾斜加圧面31Caに形成し、その他の部分を他方側の加圧電極32Cの加圧面33Cと略平行な平坦加圧面31Cbに形成してもよい。
【0037】
この場合、熱圧着端部10Cの先端部は、高さ寸法が一定である平坦な部分に形成され、熱圧着端部10Cの基端部は先端側に向けて順次高さ寸法が小さくなる部分に形成される。
【0038】
また、図7に示すように、一対の加圧電極30Dのうち少なくとも一部が凹凸面に形成されていてもよい。図7における加圧電極30Dでは、図5に示す加圧電極30Cの平坦加圧面31Cbに対応する部分をローレット切りして凹凸面31Dbに形成している。
【0039】
このように加圧電極30Dに凹凸面31Dbを形成した構成にあっては、一対の加圧電極30D,32D間に各露出導体22を挟込んだ際に、当該凹凸面31Dbによって加圧面31Dと露出導体22との間での滑り止めが図られる。これにより、加圧面31Dに対する露出導体22のずれが防止され、熱圧着端部10Cをより確実に所望の形状に形成することができる。
【0040】
なお、その他、図8(a)及び図8(b)に示す加圧電極30Eのように、凹条部と突条部とを各露出導体22の延在方向に沿って交互に形成することにより凹凸面31Eaに形成したり、或は、若干大きめの凹条部と突条部とを波状に形成することにより凹凸面に形成した構成であってもよい。
【0041】
勿論、図1及び図3に示す加圧電極30,32,30B,32Bの全体又はその部分的に凹凸面を形成してもよい。
【0042】
実施例.
本発明者らは実際に熱圧着端部10,202を製造した。
【0043】
即ち、電線5本を準備し、各電線の端部の絶縁被覆を13mmに亘って除去し露出導体22を形成した。
【0044】
そして、図11に示す上下電極210,211として、幅2mm長さ8mmのものを用い、各電線の熱圧着を行った。そして、熱圧着端部202の高さ寸法を変化させて最大引裂き強度及び最大引張り強度を試験したところ、最大引張り強度を得ることができる高さ寸法は1.2mmであり、最大引裂き強度を得ることができる高さ寸法は0.9mmであることがわかった。
【0045】
そこで、加圧面31の傾斜の高さ差を0.3mmとした加圧電極30を用いて、熱圧着を行い、製造後の熱圧着端部10の先端部分の高さ寸法が0.9mmとなり、その基端側部分の高さ寸法が1.2mmとなるようにした。
【0046】
これにより、十分な引張り強度及び十分な引裂き強度を持つ熱圧着端部10を製造することができた。
【0047】
{第2の実施の形態}
この発明の第2の実施の形態に係る電線の熱圧着端部110について説明する。なお、本実施の形態の説明において、上記第1の実施の形態において説明したものと同様構成要素については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0048】
図9は電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図であり、図10は熱圧着端部を示す側面図である。
【0049】
この熱圧着端部110は、その基端側部分が長手方向(第1方向A)に沿って所定長に亘って高さ寸法が一定な平坦部分でありかつ相対的に高さ寸法が大きい部分110bに形成されると共に、その先端側部分が長手方向(第1方向A)に沿って所定長に亘って高さ寸法が一定な平坦部分でありかつ相対的に高さ寸法が小さい部分110aに形成されている。
【0050】
このうち相対的に高さ寸法が小さい先端側の部分110aは、最大引裂き強度に対応させた高さ寸法の部分であり、相対的に高さ寸法が大きい基端側の部分110bは最大引張り強度に対応させた高さ寸法の部分である。
【0051】
この熱圧着端部110を製造するにあたっては、上記加圧電極30,32に代えて、次の加圧電極130,132が用いられている。
【0052】
即ち、一方側の加圧電極130の加圧面131のうち露出導体22の先端側部分を加圧する凸加圧面131aは、露出導体22の基端側部分を加圧する凹加圧面131bよりも段部を介して突出した形状となっている。凸加圧面131aと凹加圧面131bとの高さ寸法差は、上記先端側の部分110aと基端側の部分110bとの高さ寸法差と略一致している。
【0053】
なお、他方側の加圧電極132は、上記加圧電極32と同様に全体に亘って平坦な加圧面133を有している。勿論、この他方側の加圧電極132についても、上記加圧電極130と同様に一部を他部より突出させた形状としてもよい。
【0054】
そして、一対の加圧電極130,132を用いて、上記第1の実施の形態と同様にして、複数の電線20の露出導体22を熱溶着すると、図9に示す熱圧着端部110が製造される。
【0055】
このように構成された熱圧着端部110によると、その第2方向Bにおける高さ寸法が第1方向Aに沿って異なっているため、即ち、その基端側部分が相対的に高さ寸法が大きい部分110bに形成されると共に、その先端側部分が相対的に高さ寸法が小さい部分110aに形成されているため、高さ寸法が相対的に小さい部分110aで十分な引裂き強度を得ると共に、高さ寸法が相対的に大きい部分110bで十分な引張り強度を得ることができ、引張り強度の向上と引裂き強度の向上との両立を図ることができる。これにより、例えば、ワイヤーハーネスの組立作業の際でも、引抜きや引裂きを懸念することなく安心して組立を行える。
【0056】
なお、熱圧着端部110の基端側部分が相対的に高さ寸法の小さい部分に、また、その先端側部分が相対的に高さ寸法の大きい部分に形成されていてもよい。また、その中間部分が他の部分よりも相対的に高さ寸法が大きく又は小さく形成されていてもよい。
【0057】
また、加圧電極130の先端側の部分110a等に、図7や図8と同様に凹凸を形成してもよい。
【0058】
実施例.
本実施の形態に関して、本発明者らは、上記第1の実施の形態における実施例と同様に、実際に熱圧着端部110を製造した。
【0059】
この場合、幅2mm、長さ8mmの加圧電極130,132を用いた。また、加圧電極130の加圧面131の凹加圧面131bと凸加圧面131aとの高さ寸法差を0.3mmとした。また、第1方向A(熱圧着端部110の長手方向)における凹加圧面131bの長さ寸法を1.2mm、同方向における凸加圧面131aの長さ寸法を0.9mmにした。
【0060】
この加圧電極130を用いて熱圧着を行い、製造後の熱圧着端部110の先端側の部分の高さ寸法が0.9mmとなり、その基端側の部分の高さ寸法が1.2mmとなるようにした。
【0061】
これにより、同様に、十分な引張り強度及び十分な引裂き強度を持つ熱圧着端部110を製造することができた。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、この発明の請求項1〜請求項5記載の電線の熱圧着端部によると、第2方向における高さ寸法が第1方向に沿って異なっているため、高さ寸法が相対的に小さい部分で十分な引裂き強度を得ると共に、高さ寸法が相対的に大きい部分で十分な引張り強度を得ることができ、引張り強度の向上と引裂き強度の向上との両立を図ることができる。
【0063】
また、請求項2記載の発明によれば、より十分な引裂き強度及びより十分な引張り強度を得ることができる。
【0064】
請求項5記載の発明によれば、平坦な部分で十分な引裂き強度又は引張り強度を得ることができる。
【0065】
請求項6記載の発明によれば、電線の熱圧着端部の第2方向における高さ寸法が第1方向に沿って異なっているため、高さ寸法が相対的に小さい部分で十分な引裂き強度を得ると共に、高さ寸法が相対的に大きい部分で十分な引張り強度を得ることができ、引張り強度の向上と引裂き強度の向上との両立を図ることができる。
【0066】
請求項7記載の発明によれば、第2方向における高さ寸法が、前記第1方向に沿って異なっている電線の熱圧着端部を製造することができる。
【0067】
請求項8記載の発明によれば、凹凸面によって、加圧面と露出導体との間の滑り止めが図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態に係る電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図である。
【図2】同上の電線の熱圧着端部を示す側面図である。
【図3】変形例に係る電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図である。
【図4】変形例に係る電線の熱圧着端部を示す側面図である。
【図5】他の変形例に係る電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図である。
【図6】さらに他の変形例に係る電線の熱圧着端部を示す側面図である。
【図7】加圧電極の変形例を示す図である。
【図8】加圧電極の他の変形例を示す図である。
【図9】この発明の第2の実施の形態に係る電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図である。
【図10】同上の電線の熱圧着端部を示す側面図である。
【図11】従来における電線の熱圧着端部の一製造工程を示す図である。
【図12】従来における電線の熱圧着端部を示す側面図である。
【図13】図13(a)は引裂き強度試験を説明するための図であり、図13(b)は引張り強度試験を説明するための図である。
【図14】熱圧着部の高さ寸法と引裂き強度及び引抜き強度との関係を示す図である。
【符号の説明】
10,10B,10C 熱圧着端部
20 電線
22 露出導体
30,30B,30C,30D 加圧電極
31,31B,31C,31D 加圧面
31Ca 傾斜加圧面
31Cb 平坦加圧面
31Db,31Ea 凹凸面
32,32B,32C 加圧電極
33,33B,33C 加圧面
110 熱圧着端部
130 加圧電極
131 加圧面
131a 凸加圧面
131b 凹加圧面
132 加圧電極
133 加圧面
Claims (8)
- 複数の電線の端部に露出した露出導体の長手方向を第1方向に沿って揃えると共に前記各露出導体を前記第1方向に略直交する第2方向に並列配置した状態で、前記第2方向に沿って圧力を加えて前記各露出導体を熱圧着した電線の熱圧着端部であって、
前記第2方向における高さ寸法が、前記第1方向に沿って異なっている電線の熱圧着端部。 - 請求項1記載の電線の熱圧着端部であって、
最大引裂き強度に対応させた相対的に小さな高さ寸法の部分と、最大引張り強度に対応させた相対的に大きな高さ寸法の部分とを有している電線の熱圧着端部。 - 請求項1又は請求項2記載の電線の熱圧着端部であって、
前記各露出導体を前記第1方向に沿って一方側に指向させた態様で、前記各露出導体が熱圧着され、
基端部側における高さ寸法が相対的に大きく、先端部側における高さ寸法が相対的に小さい、電線の熱圧着端部。 - 請求項3に記載の電線の熱圧着端部であって、
基端部側から先端部側に向うに従って順次高さ寸法が小さくなるように設定された、電線の熱圧着端部。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電線の熱圧着端部であって、
前記第1方向に沿って部分的に、高さ寸法が一定である平坦な部分に形成されている、電線の熱圧着端部。 - 複数の電線の端部に露出した露出導体同士を熱圧着する電線の熱圧着端部の製造方法であって、
前記各露出導体の長手方向を第1方向に沿って揃えると共に前記各露出導体を前記第1方向に略直交する第2方向に並列配置する工程と、
配列配置された前記各露出導体に対して前記第2方向に沿って圧力を加えて前記各露出導体同士を熱圧着して熱圧着端部を形成する工程と、
を備え、
前記熱圧着端部を形成する工程においては、前記熱圧着端部の前記第2方向における高さ寸法が、前記第1方向に沿って異なるように、前記各露出導体に圧力を加える、電線の熱圧着端部の製造方法。 - 複数の電線の端部に露出した露出導体同士を熱圧着するための電線の熱圧着端部の製造装置であって、
複数の電線の端部に露出した露出導体の長手方向を第1方向に沿って揃えると共に前記各露出導体を前記第1方向に略直交する第2方向に並列配置した状態で、前記第2方向に沿って圧力を加えて前記各露出導体を熱圧着するための一対の加圧部を備え、
前記一対の加圧部が近接移動して前記各露出導体に圧力を加えた状態で、一方側の前記加圧部の加圧面と他方側の前記加圧部の加圧面とは、前記第1方向に沿って不均等な距離を保つ電線の熱圧着端部の製造装置。 - 請求項7記載の電線の熱圧着端部の製造装置であって、
前記一対の加圧部の前記各加圧面のうち少なくとも一部が、凹凸面に形成された、電線の熱圧着端部の製造装置。
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