JP2004285476A - パラジウムの凝集・沈澱剤、およびこれを用いるパラジウムの分離・回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 金属イオンとしてパラジウムを含有し他の貴金属や卑金属を含有することがある塩酸水溶液(好ましくはpHを−0.5〜2.5にする)を、粉末または水溶液状態のカフェインと混合することにより、パラジウムを塩化パラジウム−カフェインの有機金属錯体として選択的に凝集・沈澱させるパラジウムの分離・回収方法。
【選択図】 図1
Description
かくして、本発明に従えば、金属イオンとして少なくともパラジウムを含有する塩酸水溶液を、粉末または水溶液状態のカフェインと混合することにより、パラジウムを塩化パラジウム−カフェインの有機金属錯体として選択的に凝集・沈澱させる工程を含むことを特徴とするパラジウムの分離・回収方法が提供される。
さらに、本発明は、別の視点として、上記の方法に使用され、粉末または水溶液状態のカフェインから成ることを特徴とするパラジウムの凝集・沈澱剤も提供する。
本発明において、凝集・沈澱剤として用いるカフェインは、食品中に含まれる天然物質であり、処理後の排液に伴なう安全上または環境上の深刻な問題を生じることはなく、また、入手容易な普遍的な物質であるのでコスト面からも有利である。
実施例1〜実施例4は、本発明に従うパラジウムの分離・回収方法が適用されるモデル系として塩化パラジウムを対象としてカフェインによる凝集・沈澱挙動における各種因子を調べたものであり、また、実施例5は、本発明の方法が適用される実用例として歯科用材料からパラジウムを分離・回収する場合を示すものである。さらに、実施例6は、用いたカフェインを回収する場合を例示する。
実験はすべてパッチ法で行なった。水相はパラジウムの初濃度を1.0mmol dm-3にし、1.0mol dm-3塩酸を用いて調製した。pHは0.10であった。その塩化パラジウム溶液10cm3をサンプル管に分採した。カフェインの投入量は0.05gから1.0gに設定した。それぞれに重量の異なるカフェインを投入し5分間よく振り混ぜ、その後1時間静置し沈澱物を得た。各サンプルをろ紙(ADVANTEC社製、No5C)によりろ過し、ろ液を原子吸光光度計によりパラジウムの残留濃度を求めた。
結果を図1に示す。図1に示されるように、1.0mmol
dm-3の塩化パラジウム1.0mol
dm-3塩酸水溶液の10cm3からは0.2g以上のカフェイン投入量でほぼ100%の沈澱を生成させることがわかった。本実験におけるカフェインのモル濃度は投入量0.2g/10mlで0.1mol dm-3である。コーヒー1杯約140ccに0.1〜0.15gのカフェインが含まれているとされるが、このことを考慮してもこの溶液が河川等に廃棄されたとしても環境汚染の問題はほとんどない。
実験はすべてパッチ法で行なった。水相はパラジウムの初濃度を1.0mmol dm-3にし、塩酸濃度を0.001から5.0mol dm-3に調製した。その塩化パラジウム溶液10cm3をサンプル管にそれぞれ分採し、カフェイン0.5gをそれぞれに投入した。投入後5分間よく振り混ぜ、その後1時間静置し沈澱物を得た。各サンプルをろ紙(ADVANTEC社製、No5C)によりろ過し、ろ液を原子吸光光度計を用いパラジウムの残留濃度を求めた。
結果を図2および表1に示す。
また、表1に示されるように、沈澱生成後のpHは殆んど変化がなく、沈澱の生成は溶液がアルカリ側にシフトして起こっているのではなく、カフェインによるものであることが理解される。(後述の実施例4にも示すように、この沈澱物は、塩化パラジウム−カフェイン錯体である。)
パラジウム以外の金属を8種類含む溶液から選択的にパラジウムのみを沈澱させることができるかを調べた。実験はすべてパッチ法で行なった。水相は塩酸濃度を0.2mol dm-3と一定とし、各金属の濃度を1.0mmol dm-3に調製した。得られた溶液のpHは0.12であった。パラジウム以外の金属イオンは、貴金属である金、白金、ロジウム、卑金属では銅、鉄、ニッケル、コバルト、亜鉛を選択した。これらの全種混合溶液10cm3をサンプル管に分採し、カフェイン0.5gを加えた。投入後5分間よく振り混ぜ、その後1時間静置し沈澱物を得た。サンプルをろ紙(ADVANTEC社製、No5C)によりろ過し、ろ液を原子吸光光度計を用いすべての金属イオンの残留濃度を求めた。結果を表2に示す。
実施例3と同様の操作により得られた沈澱物を含有する液をろ過し、ろ過した後のろ過物を0.1Nの稀塩酸で洗浄し、さらに、クロロホルムで洗浄した。この精製物について3−ニトロベンジルアルコールをマトリックスとして用いるSIMS法によるマススペクトルを測定したところ、(M+H)+が564.00の分子イオンピークが観測されたことにより、塩化パラジウム−カフェインから成る錯体であることを確認した。
廃歯科治療金属(1.001g)を8mlの王水(塩酸:硝酸=3:1)に溶解させ廃歯科治療金属の王水溶液を調製した。この溶液を蒸留水で約10倍に希釈した。そのときのpHは0.58であり、また、各金属の濃度は、Pd(983.74ppm)、Pt(なし)、Au(668.62ppm)、Ag(3.14ppm)であった。
この溶液10mlにカフェイン0.5gを投入し3時間静置し、沈殿物を得た。これをろ過し、稀塩酸(0.1N)で洗浄して、ろ液に含まれる金属イオン濃度を測定したところ、Pd(1.7ppm)、Au(650.26ppm)、Ag(2.98ppm)であり、Pd(パラジウム)が選択的に沈殿・分離されていた。
上記のようにして得られた沈澱物(カフェイン−パラジウム錯体)を、ヒドラジン水溶液に投入、還元し、ろ過、乾燥させたものを1600℃のバーナーで溶融させたところ、パラジウム金属160mgを得ることができた。パラジウム金属の確認はXRD(X線回折)分析を行ない、ライブラリとの一致で確認した。
実施例5に示す操作において、カフェインを投入して得られた沈澱物(カフェイン−パラジウム錯体)0.5gを2.0Nのアンモニア水5mlと混合し攪拌した後、室温で24時間静置し、カフェインを再結晶させた。得られたカフェイン回収量は0.28gであり、この場合の回収量はモル反応比から約82%と見積もられた。
Claims (8)
- 金属イオンとして少なくともパラジウムを含有する塩酸水溶液を、粉末または水溶液状態のカフェインと混合することにより、パラジウムを塩化パラジウム−カフェインの有機金属錯体として選択的に凝集・沈澱させる工程を含むことを特徴とするパラジウムの分離・回収方法。
- パラジウムを含有する前記塩酸水溶液が−0.5〜2.5の範囲のpHを有することを特徴とする請求項1に記載のパラジウムの分離・回収方法。
- パラジウムを含有する前記塩酸水溶液が、パラジウム以外の貴金属を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のパラジウムの分離・回収方法。
- パラジウムを含有する前記塩酸水溶液が、卑金属を含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のパラジウムの分離・回収方法。
- 凝集・沈澱した前記塩化パラジウム−カフェインの有機金属錯体を含む溶液をろ過し、ろ過物を蒸留水、稀塩酸、および有機溶媒から選ばれる少なくとも1種の溶媒で洗浄することにより当該有機金属錯体を精製する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパラジウムの分離・回収方法。
- 精製後の前記有機金属錯体を還元剤水溶液で還元処理した後、1550℃以上の温度に加熱溶融させることにより金属パラジウムを得る工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載のパラジウムの分離・回収方法。
- 凝集・沈澱した前記塩化パラジウム−カフェインの有機金属錯体に、アンモニア水またはチオ尿素水溶液を加えることにより、カフェインを回収する工程をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパラジウムの分離・回収方法。
- 粉末または水溶液状態のカフェインから成ることを特徴とするパラジウムの凝集・沈澱剤。
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