JP2004306540A - インクジェットヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】フィルタ近傍に残留する気泡に起因して、インクの不吐出等の不具合が発生するのを抑制する。
【解決手段】圧力室、ノズル、インク通路を有する積層した複数のプレート31〜37でキャビティプレート30を構成し、そのキャビティプレート30のスペーサプレート36の供給孔56を覆うようにフィルタ60を配置すると共に、フィルタ60を囲むようにフィルタ60よりも厚いベースプレート37を積層する。すると、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間およびフィルタ60の下流側におけるフィルタ60とスペーサプレート32との間に扁平な空間が形成される。
【選択図】 図4
【解決手段】圧力室、ノズル、インク通路を有する積層した複数のプレート31〜37でキャビティプレート30を構成し、そのキャビティプレート30のスペーサプレート36の供給孔56を覆うようにフィルタ60を配置すると共に、フィルタ60を囲むようにフィルタ60よりも厚いベースプレート37を積層する。すると、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間およびフィルタ60の下流側におけるフィルタ60とスペーサプレート32との間に扁平な空間が形成される。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクの流路内にフィルタを備えたインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置には、インクを貯留するインク貯留タンクと、インクを吐出するインクジェットヘッドとが備えられており、両者が配管等で形成されたインク流路を介して接続されているのが一般的である。そして、インク流路内には、インクに含まれる塵等を除去するためのフィルタが配置される(例えば、特許文献1参照)。かかるインクジェット記録装置では、フィルタが2つの略円錐状の部材間に配置されており、インク流路内のフィルタの上流側近傍および下流側近傍の断面積はフィルタに近づくにつれてテーパ状に大きくなっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−1847号公報(第5頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
インク流路内のフィルタの上流側近傍および下流側近傍がテーパ状に広がっているところではインクの流速が低下するため、インクに溶け込んでいたエアがフィルタの上流側近傍および下流側近傍に停滞して気泡となって成長し易い。そして、フィルタ近傍に残留する気泡を放置しておくと、気泡が成長して大きくなった後でヘッドに対して供給される場合がある。その結果、ヘッドにおけるインクの不吐出等の不具合が発生してしまう。
【0005】
本発明は、フィルタ近傍に残留する気泡に起因して、インクの不吐出等の不具合が発生するのを抑制することができるインクジェットヘッドを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、上記目的を達成するための研究を続けた結果、インクの流路内のフィルタの上流側および下流側の空間の形状を適正に設定することによって、フィルタ近傍に残留する気泡を少なくすることができることを見出した。すなわち、請求項1のインクジェットヘッドは、インク供給源から供給されたインクが流出する流出口を有する供給部材と、複数のシート状部材が積層して構成され、その積層方向の一方の面に前記供給部材の前記流出口から流出するインクが流入する供給孔を有し且つ前記供給孔から前記積層方向に延在しその後前記シート状部材の面方向に延在した流路を有するヘッド部とを備えており、前記ヘッド部は、前記流路のうち積層方向に延在した部分にフィルタを含んでおり、前記供給部材の前記流出口の面積は前記ヘッド部の前記供給孔の面積よりも小さく、且つ、前記供給部材は前記流出口周囲の前記ヘッド部の供給孔と対向する面を平坦な面とするとともに、前記フィルタの上流側における前記フィルタと前記供給部材の平坦な面との間および前記フィルタの下流側における前記フィルタと前記シート状部材の1つとの間を、それぞれ扁平な空間としたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項1によると、フィルタの上流側におけるフィルタと供給部材の平坦な面との間およびフィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間にそれぞれ扁平な空間が設けられている。そのため、インクが供給部材の流出口から扁平な空間を通るインクの流速の低下が比較的小さくなり、インクに溶け込んでいるエアが溶け込んだ状態のままでインクと共に流れ易くなるので、フィルタの近傍において気泡として現れにくくなる。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのを抑制することができる。
【0008】
請求項2のインクジェットヘッドは、請求項1に記載の構成において、前記流路のうち積層方向に延在した部分が、前記シート状部材に形成した開口によって構成され、前記フィルタの下流側において前記フィルタと間隔をおいた前記シート状部材の前記開口を他の前記シート状部材の前記開口よりも小さくしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2によると、ヘッド部の流路のうち積層方向に延在した部分をシート状部材に形成した開口によって構成し、フィルタの下流側においてフィルタと間隔をおいたシート状部材の開口が他のシート状部材の開口よりも小さくなっている。そのため、小さい開口が形成されたシート部材の開口を通過するインクの流速が速くなる。その結果、ヘッド部の流路内のフィルタの下流側近傍において気泡が残留しにくくなって、インクの不吐出等の不具合が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0010】
請求項3のインクジェットヘッドは、請求項1または2に記載の構成において、前記フィルタが、1つのシート状部材に積層して構成され、前記シート状部材の前記フィルタと同じ側に積層されるシート状部材は、前記フィルタを囲む開口を有することを特徴とするものである。
【0011】
請求項3によると、1つのシート状部材に積層されたフィルタと同じ側に積層されるシート状部材にはフィルタを囲む開口が形成されているため、その開口が形成されたシート状部材の厚さとフィルタの厚さとによって、フィルタの上流側の扁平空間を所定の大きさに精度よく容易に形成することができる。
【0012】
請求項4のインクジェットヘッドは、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、前記フィルタの上流側における前記フィルタと前記供給部材の平坦な面との間隔が、前記フィルタの下流側における前記フィルタと前記シート状部材の1つとの間隔よりも小さいことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4によると、フィルタと供給部材の平坦な面との間隔がフィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタの上流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、ヘッド部の流路内のフィルタの上流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【0014】
請求項5のインクジェットヘッドは、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、前記フィルタの下流側における前記フィルタと前記シート状部材の1つとの間隔が、前記フィルタの上流側における前記フィルタと前記供給部材の平坦な面との間隔よりも小さいことを特徴とするものである。
【0015】
請求項5によると、フィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間隔がフィルタと供給部材の平坦な面との間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタの下流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、ヘッド部の流路内のフィルタの下流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
まず、本発明の第1の実施の形態に係るインクジェットヘッドの構成について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態によるインクジェットヘッドを示す分解斜視図である。図2は、キャビティプレートの分解斜視図である。図3は、キャビティプレートの部分的拡大斜視図である。
【0018】
インクジェットヘッド1は、キャビティプレート30と、圧電アクチュエータ20と、圧電アクチュエータ20に駆動パルスを供給するためのフレキシブルケーブル10とを備えている。
【0019】
キャビティプレート30は、図2に示すように、ノズルプレート31、スペーサプレート32、3枚のマニホールドプレート33、34、35、スペーサプレート36、ベースプレート37の7枚の薄い金属シート状部材を積層した構造である。なお、上述の7枚のシート状部材としては、例えば約40μm〜約150μmの厚さのNi−Fe合金の板が用いられる。
【0020】
ノズルプレート31には、微小径のインク吐出用の多数のノズル41が、その長手方向に延びる2つの平行状の基準線31a、31bに沿って、微小ピッチの間隔で千鳥状配列に設けられている。
【0021】
3枚のマニホールドプレート33〜35には、ノズル41の列の両側に沿って延びる開口で構成されるインク通路43、44、45がそれぞれ形成されている。なお、インク通路43〜45は、マニホールドプレート33〜35が積層されることにより一体となって、キャビティプレート30の面方向に延在する流路を形成する。
【0022】
スペーサプレート36の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔56が形成されている。ここで、2つの供給孔56は、マニホールドプレート35のインク通路45の一端部に連通するように配置されている。なお、スペーサプレート36の供給孔56の径は、マニホールドプレート35のインク通路45の一端部近傍の幅とほぼ同じになっている。
【0023】
スペーサプレート36の上面には、2つの供給孔56をそれぞれ別々に覆うように2つのフィルタ60が配置されている。ここで、フィルタ60は、供給孔56の径よりも大きい外径を有する略円板状部材である。ここで、フィルタ60は、その上方のインクタンク(図示しない)から供給されるインクに含まれる塵等を除去する機能を有している。なお、本実施の形態におけるフィルタ60の厚さは約50μm〜75μmである。
【0024】
ベースプレート37には、その長辺に沿う中心線に対して直交する方向(短辺方向)に延びる細幅の多数の圧力室48が設けられている。そして、中心線を挟んで左右両側にて平行に長手基準線37a、37b(図3参照)を設定すると、中心線より右側(図3では手前側)の圧力室48の先端48aは長手基準線37a上に位置し、逆に中心線より左側(図3では奥側)の圧力室48の先端48aは長手基準線37b上に位置し、且つ、これらの左右の圧力室48の先端48aが長辺方向に沿って交互に配置されているので、左右両側の圧力室48は互いに逆方向に延びるように交互に配置されていることになる。
【0025】
各圧力室48の先端48aは、ノズルプレート31における千鳥状配列のノズル41に、スペーサプレート36およびマニホールドプレート33〜35に設けられた微小径の貫通孔46を介して連通している。一方、各圧力室48の他端48bは、スペーサプレート36に設けられた貫通孔47を介して、マニホールドプレート33〜35におけるインク通路43〜45に連通している。なお、各圧力室48の他端48bは、図3に示すように、ベースプレート37の下面側にのみ開口するように凹状に形成されている。
【0026】
また、ベースプレート37の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔57が形成されている。ここで、2つの供給孔57は、スペーサプレート36の供給孔56に対応するように配置されている。そして、ベースプレート37の供給孔57の径は、スペーサプレート36の供給孔56の径よりも大きく、フィルタ60の径とほぼ同じである。従って、ベースプレート37がスペーサプレート36の上面に積層されると、フィルタ60がベースプレート37の供給孔57内に配置されることになる。また、ベースプレート37は、フィルタ60の厚さよりも厚い部材である。そのため、フィルタ60がベースプレート37の供給孔57内に配置されている状態においては、ベースプレート37の上面はフィルタ60の上面よりも上方にある(図4参照)。
【0027】
また、キャビティプレート30の上面に配置される圧電アクチュエータ20は、ベースプレート37の多数の圧力室48に跨る複数枚の連続平板状の圧電シートが含まれており、この圧電シート間には、多数の圧力室に共通であってグランド電位に保持された共通電極と、各圧力室に対応する位置に配置された個別電極(いずれも図示しない)とが配置されている。そして、圧電アクチュエータ20は、フレキシブルケーブル10を介して共通電極と個別電極との間に電圧が印加されることによって、それに挟まれる圧電シートに歪みが発生して、ベースプレート37の多数の圧力室48の容積を選択的に変化させることができる。その結果、キャビティプレート30のノズルプレート31のノズル41からインクを吐出することができる。
【0028】
次に、キャビティプレート30の一端部近傍の構成について、図4を参照して説明する。図4は、キャビティプレートの一端部近傍の断面図である。なお、図4では、ベースプレート37の一端部に形成された2つの供給孔57のうち一方に対応する部分の断面図のみが描かれている。
【0029】
キャビティプレート30の一端部近傍の内部には、図4に示すように、ベースプレート37の供給孔57、スペーサプレート36の供給孔56、マニホールドプレート35のインク通路45の一端部近傍、マニホールドプレート34のインク通路44の一端部近傍、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部近傍の順に連通することにより、その積層方向に延在する流路が形成されている。
【0030】
また、キャビティプレート30の下端部近傍の内部には、スペーサプレート32とスペーサプレート36との間のマニホールドプレート33〜35のインク通路43〜45により、その面方向(図4では紙面奥方向に向かう方向)に延在する流路が形成されている。
【0031】
そして、キャビティプレート30の一端部近傍の上方には、図4に示すように、インクタンク内のインクをキャビティプレート30へ供給するためのインク供給部材70が配置されている。インク供給部材70は、その下面に通じる略円柱形状の貫通孔72が形成された略円筒状部材である。また、インク供給部材70の下端部71は、貫通孔72を中心に拡径されたフランジ形状になっており、その外径はベースプレート37の供給孔57の径よりも大きくなっている。ここで、インク供給部材70の下端部71の下面、すなわち、インク供給部材70のキャビティプレート30に対向する面は、平坦な面に形成されている。
【0032】
そして、インク供給部材70は、その貫通孔72の下端部がキャビティプレート30の最上層のベースプレート37の供給孔57に連通するように配置されている。なお、インク供給部材70の下端部71の下面の外縁近傍がベースプレート37の上面の供給孔57の周辺部に当接し接着等により固着されている。
【0033】
また、インク供給部材70の貫通孔72の断面積は、ベースプレート37の供給孔57およびスペーサプレート36の供給孔56のいずれの断面積よりも小さくなっている。また、上述したように、ベースプレート37はフィルタ60の厚さよりも厚いので、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間には、極めて薄い扁平な空間が形成される。
【0034】
なお、本実施の形態におけるフィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間隔は約50μmである。また、フィルタ60の下流側におけるフィルタ60とスペーサプレート32との間にも扁平な空間が形成される。ここで、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間隔は、フィルタ60の下流側におけるフィルタ60とスペーサプレート32との間隔よりも小さくなっている。
【0035】
従って、インク供給部材70の貫通孔72からキャビティプレート30のベースプレート37の供給孔57内に流入したインクは、フィルタ60を通過した後で、キャビティプレート30の積層方向に(図4では下方に向かって)スペーサプレート36の供給孔56を通過して、マニホールドプレート33〜35のインク通路43〜45内に流入する。その後、そのインクは、マニホールドプレート33〜35においてキャビティプレート30の面方向に延在するインク通路43〜45内を水平方向に(図4では紙面奥方向に向かって)流れる。そして、インク通路43〜45から各貫通孔47を通って各圧力室48内に分配されたのち、この各圧力室48内から貫通孔46を通って、圧力室48に対応するノズル41に至るという構成になっている。
【0036】
なお、本実施の形態では、キャビティプレート30が、複数の薄い金属シート状部材を積層した構造であるため、前記特許文献1の円錐形部材を樹脂成形によって構成する場合と比較して、フィルタ上流側及び下流側の容積を容易に一定にすることができる。従って、貫通孔72からフィルタ60を経てその下流側の流路内でのインクの流速をほぼ一定にすることが可能となる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態のインクジェットヘッド1によると、キャビティプレート30の流路内において、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間およびフィルタ60の下流側におけるフィルタ60とスペーサプレート32との間に扁平な空間が設けられている。そのため、インクがインク供給部材70の貫通孔72からフィルタ60の上流側の扁平な空間に流れ込む際のインクの流速の低下が比較的小さくなる。従って、例えば特許文献1のテーパ状空間の場合と比較して、フィルタ60の上流側における圧力の低下が少なくなる。従って、インクに溶け込んでいるエアが溶け込んだ状態のままでインクと共に流れ易くなる。従って、キャビティプレート30の流路内のフィルタ60の近傍に残留する気泡が少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡が貫通孔47からノズル41への微細な流路に対して供給されることが少なくなるため、インクジェットヘッド1におけるインクの不吐出等の不具合が発生するのを抑制することができる。
【0038】
また、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間隔が、フィルタ60の下流側におけるフィルタ60とスペーサプレート32との間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタ60の上流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、キャビティプレート30の流路内のフィルタ60の上流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、インクジェットヘッド1におけるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【0039】
また、フィルタ60の厚さとベースプレート37の厚さとを所定値に設定することによって、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間に、極めて薄い扁平空間を所定の大きさに精度よく容易に形成することができる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るインクジェットヘッドについて、図面を参照しつつ説明する。図5は、第2の実施の形態に係るインクジェットヘッドに含まれるキャビティプレートの分解斜視図である。図6は、図5に示すキャビティプレートの一端部近傍の断面図である。
【0041】
第2の実施の形態のインクジェットヘッドが、第1の実施の形態のインクジェットヘッド1と異なる点は、インクジェットヘッド1では、キャビティプレート30の一端部近傍の積層方向の流路の幅がほぼ一定であるのに対して、本実施の形態のインクジェットヘッドでは、キャビティプレート130の一端部近傍の積層方向の流路の幅がフィルタ60の下流側において部分的に狭くなっている点である。なお、本実施の形態のインクジェットヘッドのその他の構成は、図1のインクジェットヘッド1と同様であるので、同じ構成の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
ここで、キャビティプレート130は、図1のマニホールドプレート34、35に変えて、マニホールドプレート134、スペーサプレート135が用いられる。マニホールドプレート134には、インク流路144が供給孔56と対応する位置まで達しない長さに形成されている。
【0043】
マニホールドプレート134の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔154が形成されている。ここで、2つの供給孔154は、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部に対応するように配置されている。なお、マニホールドプレート134の供給孔154の径は、供給孔56の径よりも小さく且つマニホールドプレート33のインク通路43の一端部近傍の幅よりも小さくなっている(図6参照)。
【0044】
また、スペーサプレート135の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔155が形成されている。ここで、2つの供給孔155は、マニホールドプレート134の供給孔154に対応するように配置されている。なお、スペーサプレート135の供給孔155の径は、マニホールドプレート134の供給孔154の径よりも大きく、スペーサプレート36の供給孔56の径とほぼ同じになっている(図6参照)。
【0045】
なお、マニホールドプレート134およびスペーサプレート135には、スペーサプレート36の貫通孔46に対応する貫通孔46がそれぞれ設けられている。また、スペーサプレート135には、スペーサプレート36の貫通孔47と対応する貫通孔47が設けられている。
【0046】
そして、キャビティプレート130の一端部近傍の内部には、図6に示すように、ベースプレート37の供給孔57、スペーサプレート36の供給孔56、スペーサプレート135の供給孔155、マニホールドプレート134の供給孔154、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部近傍の順に連通することにより、その積層方向に延在する流路が形成されている。
【0047】
また、キャビティプレート130の下端部近傍の内部には、スペーサプレート32、36の間のマニホールドプレート33、134のインク通路43、144により、その面方向(図6では紙面奥方向に向かう方向)に延在する流路が形成されている。
【0048】
従って、キャビティプレート130内部のその積層方向に延在する流路は、フィルタ60の下流側において、スペーサプレート36、135の供給孔56、155の幅が広く、その下方のマニホールドプレート134の供給孔154の幅が狭くなって、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部で、供給孔56、155とほぼ同じ幅に広がっている。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態のインクジェットヘッドによると、フィルタ60の下流側においてフィルタ60と間隔をおいたマニホールドプレート134の供給孔154の幅が著しく小さくなっている。そのため、フィルタ60の下流側においてマニホールドプレート134の供給孔154を通過するインクの流速が速くなる。その結果、ヘッド部の流路内のフィルタ60の下流側近傍において気泡が残留しにくくなるため、インクジェットヘッドにおけるインクの不吐出等の不具合が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0050】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るインクジェットヘッドについて、図面を参照しつつ説明する。図7は、第3の実施の形態に係るインクジェットヘッドに含まれるキャビティプレートの分解斜視図である。図8は、図7に示すキャビティプレートの一端部近傍の断面図である。
【0051】
第3の実施の形態のインクジェットヘッドが、第1の実施の形態のインクジェットヘッド1と異なる点は、インクジェットヘッド1では、フィルタ60がスペーサプレート32よりもインク供給部材70に近接して配置されているのに対して、本実施の形態のインクジェットヘッドでは、フィルタ260がインク供給部材70よりもスペーサプレート32に近接して配置されている点である。なお、本実施の形態のインクジェットヘッドのその他の構成は、図1のインクジェットヘッド1と同様であるので、同じ構成の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
ここで、キャビティプレート230は、図1のマニホールドプレート34、35に変えて、マニホールドプレート234、スペーサプレート235が用いられる。マニホールドプレート234には、インク流路244が供給孔56と対応する位置まで達しない長さに形成されている。
【0053】
マニホールドプレート234の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔254が形成されている。ここで、2つの供給孔254は、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部に対応するように配置されている。マニホールドプレート234の供給孔254の径は、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部近傍の幅よりも大きくなっており、その供給孔254を覆ってフィルタ260がそれぞれ配置されている(図8参照)。その結果、フィルタ260は、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部の上面を覆っている。
【0054】
また、スペーサプレート235の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔255が形成されている。ここで、2つの供給孔255は、マニホールドプレート234の供給孔254に対応するように配置されている。なお、スペーサプレート235の供給孔255の径は、マニホールドプレート234の供給孔254の径よりも小さく、スペーサプレート36の供給孔56の径とほぼ同じになっている(図8参照)。
【0055】
なお、マニホールドプレート234およびスペーサプレート235には、スペーサプレート36の貫通孔46に対応する貫通孔46がそれぞれ設けられている。また、スペーサプレート235には、スペーサプレート36の貫通孔47と対応する貫通孔47が設けられている。
【0056】
また、キャビティプレート230の最上層のベースプレート237の一端部近傍に、スペーサプレート36の供給孔56と一致して形成される2つの略円形の供給孔257は供給孔56の径とほぼ同じである。
【0057】
そして、キャビティプレート230の一端部近傍の内部には、図8に示すように、ベースプレート237の供給孔257、スペーサプレート36、235の供給孔56、255、マニホールドプレート234の供給孔254、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部近傍の順に連通することにより、その積層方向に延在する流路が形成されている。
【0058】
また、キャビティプレート230の下端部近傍の内部には、スペーサプレート32、36の間のマニホールドプレート33、234のインク通路43、244により、その面方向(図8では紙面奥方向に向かう方向)に延在する流路が形成されている。
【0059】
従って、キャビティプレート230内部のその積層方向に延在する流路は、フィルタ上流側及び下流側ともほぼ同じ幅である。ここで、フィルタ260の下流側におけるフィルタ260とスペーサプレート32との間隔は、フィルタ260の上流側におけるフィルタ260とインク供給部材70の下面との間隔よりも小さくなっている。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態のインクジェットヘッドによると、フィルタ260の上流側におけるフィルタ260とインク供給部材70の下面との間およびフィルタ260の下流側におけるフィルタ260とスペーサプレート32との間にそれぞれ扁平な空間が設けられている。そのため、インクがインク供給部材70の貫通孔72からフィルタ260の上流側の扁平な空間に流れ込む際のインクの流速の低下が比較的小さくなる。従って、フィルタ60の上流側における圧力の低下が少なくなるため、インクに溶け込んでいるエアが溶け込んだ状態のままでインクと共に流れ易くなる。
【0061】
また、フィルタ260の下流側におけるフィルタ260とスペーサプレート32との間隔が、フィルタ260の上流側におけるフィルタ260とインク供給部材70の下面との間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタ260の下流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、キャビティプレート230の流路内のフィルタ260の下流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、その結果、フィルタ上流側での効果と相俟ってインクジェットヘッドにおけるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の第1および第2の実施の形態では、フィルタ60がキャビティプレート30の最上層のベースプレート37の供給孔57内に配置されている場合について、一方、第3の実施の形態では、フィルタ260がマニホールドプレート234内に配置されている場合について説明しているが、キャビティプレートの積層方向に延在する流路内に配置されるフィルタの位置は任意に変更することができる。従って、フィルタの配置を変更することによって、フィルタの上流側におけるフィルタとインク供給部材の下面との間隔およびフィルタの下流側におけるフィルタとスペーサプレートとの間隔を変更することができる。
【0063】
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、フィルタ60、260が、ベースプレート37またはマニホールドイプレート234のそれぞれに形成された供給孔57、254内に配置されて位置決めされている場合について説明しているが、フィルタはその他の構成によって位置決めされてもよい。また、フィルタ60、260が、ベースプレート37またはマニホールドプレート234と必ずしも別部材である必要はなく、ベースプレート37またはマニホールドプレート234に対してフィルタ60、260と同様の機能を有するように多数の貫通孔が形成されていてもよい。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によると、フィルタの上流側におけるフィルタと供給部材の平坦な面との間およびフィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間に扁平な空間が設けられている。そのため、偏平な空間を通るインクの流速の低下が小さくなって、フィルタの近傍に残留する気泡が少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのを抑制することができる。
【0065】
請求項2によると、ヘッド部の流路のうち積層方向に延在した部分を形成するシート状部材のそれぞれの開口において、フィルタの下流側においてフィルタと間隔をおいたシート状部材の開口が他のシート状部材の開口よりも小さくなっている。そのため、フィルタの下流側においてインクの流速が速くり、その結果、フィルタの下流側近傍において気泡が残留しにくくなるため、インクの不吐出等の不具合が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0066】
請求項3によると、1つのシート状部材に積層されたフィルタと同じ側に積層されるシート状部材にはフィルタを囲む開口が形成されているため、その開口が形成されたシート状部材の厚さとフィルタの厚さとによって、フィルタの上流側の扁平空間を所定の大きさに精度よく容易に形成することができる。
【0067】
請求項4によると、フィルタと供給部材の平坦な面との間隔がフィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタの上流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、ヘッド部の流路内のフィルタの上流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【0068】
請求項5によると、フィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間隔がフィルタと供給部材の平坦な面との間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタの下流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、ヘッド部の流路内のフィルタの下流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるインクジェットヘッドを示す分解斜視図である。
【図2】キャビティプレートの分解斜視図である。
【図3】キャビティプレートの部分的拡大斜視図である。
【図4】キャビティプレートの一端部近傍の断面図である。
【図5】第2の実施の形態に係るインクジェットヘッドに含まれるキャビティプレートの分解斜視図である。
【図6】図5に示すキャビティプレートの一端部近傍の断面図である。
【図7】第3の実施の形態に係るインクジェットヘッドに含まれるキャビティプレートの分解斜視図である。
【図8】図7に示すキャビティプレートの一端部近傍の断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
30、130、230 キャビティプレート(ヘッド部)
31 ノズルプレート(シート状部材)
32 スペーサプレート(シート状部材)
33 マニホールドプレート(シート状部材)
34 マニホールドプレート(シート状部材)
35 マニホールドプレート(シート状部材)
36 スペーサプレート(シート状部材)
37、237 ベースプレート(シート状部材)
41 ノズル
43〜45、144、244 インク通路
56 供給孔
57、257 供給孔
60、260 フィルタ
70 インク供給部材
72 貫通孔(流出口)
134 マニホールドプレート(シート状部材)
135 スペーサプレート(シート状部材)
234 マニホールドプレート(シート状部材)
235 スペーサプレート(シート状部材)
154、155 供給孔
254、255 供給孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクの流路内にフィルタを備えたインクジェットヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクを吐出して画像を形成するインクジェット記録装置には、インクを貯留するインク貯留タンクと、インクを吐出するインクジェットヘッドとが備えられており、両者が配管等で形成されたインク流路を介して接続されているのが一般的である。そして、インク流路内には、インクに含まれる塵等を除去するためのフィルタが配置される(例えば、特許文献1参照)。かかるインクジェット記録装置では、フィルタが2つの略円錐状の部材間に配置されており、インク流路内のフィルタの上流側近傍および下流側近傍の断面積はフィルタに近づくにつれてテーパ状に大きくなっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−1847号公報(第5頁、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
インク流路内のフィルタの上流側近傍および下流側近傍がテーパ状に広がっているところではインクの流速が低下するため、インクに溶け込んでいたエアがフィルタの上流側近傍および下流側近傍に停滞して気泡となって成長し易い。そして、フィルタ近傍に残留する気泡を放置しておくと、気泡が成長して大きくなった後でヘッドに対して供給される場合がある。その結果、ヘッドにおけるインクの不吐出等の不具合が発生してしまう。
【0005】
本発明は、フィルタ近傍に残留する気泡に起因して、インクの不吐出等の不具合が発生するのを抑制することができるインクジェットヘッドを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、上記目的を達成するための研究を続けた結果、インクの流路内のフィルタの上流側および下流側の空間の形状を適正に設定することによって、フィルタ近傍に残留する気泡を少なくすることができることを見出した。すなわち、請求項1のインクジェットヘッドは、インク供給源から供給されたインクが流出する流出口を有する供給部材と、複数のシート状部材が積層して構成され、その積層方向の一方の面に前記供給部材の前記流出口から流出するインクが流入する供給孔を有し且つ前記供給孔から前記積層方向に延在しその後前記シート状部材の面方向に延在した流路を有するヘッド部とを備えており、前記ヘッド部は、前記流路のうち積層方向に延在した部分にフィルタを含んでおり、前記供給部材の前記流出口の面積は前記ヘッド部の前記供給孔の面積よりも小さく、且つ、前記供給部材は前記流出口周囲の前記ヘッド部の供給孔と対向する面を平坦な面とするとともに、前記フィルタの上流側における前記フィルタと前記供給部材の平坦な面との間および前記フィルタの下流側における前記フィルタと前記シート状部材の1つとの間を、それぞれ扁平な空間としたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項1によると、フィルタの上流側におけるフィルタと供給部材の平坦な面との間およびフィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間にそれぞれ扁平な空間が設けられている。そのため、インクが供給部材の流出口から扁平な空間を通るインクの流速の低下が比較的小さくなり、インクに溶け込んでいるエアが溶け込んだ状態のままでインクと共に流れ易くなるので、フィルタの近傍において気泡として現れにくくなる。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのを抑制することができる。
【0008】
請求項2のインクジェットヘッドは、請求項1に記載の構成において、前記流路のうち積層方向に延在した部分が、前記シート状部材に形成した開口によって構成され、前記フィルタの下流側において前記フィルタと間隔をおいた前記シート状部材の前記開口を他の前記シート状部材の前記開口よりも小さくしたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2によると、ヘッド部の流路のうち積層方向に延在した部分をシート状部材に形成した開口によって構成し、フィルタの下流側においてフィルタと間隔をおいたシート状部材の開口が他のシート状部材の開口よりも小さくなっている。そのため、小さい開口が形成されたシート部材の開口を通過するインクの流速が速くなる。その結果、ヘッド部の流路内のフィルタの下流側近傍において気泡が残留しにくくなって、インクの不吐出等の不具合が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0010】
請求項3のインクジェットヘッドは、請求項1または2に記載の構成において、前記フィルタが、1つのシート状部材に積層して構成され、前記シート状部材の前記フィルタと同じ側に積層されるシート状部材は、前記フィルタを囲む開口を有することを特徴とするものである。
【0011】
請求項3によると、1つのシート状部材に積層されたフィルタと同じ側に積層されるシート状部材にはフィルタを囲む開口が形成されているため、その開口が形成されたシート状部材の厚さとフィルタの厚さとによって、フィルタの上流側の扁平空間を所定の大きさに精度よく容易に形成することができる。
【0012】
請求項4のインクジェットヘッドは、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、前記フィルタの上流側における前記フィルタと前記供給部材の平坦な面との間隔が、前記フィルタの下流側における前記フィルタと前記シート状部材の1つとの間隔よりも小さいことを特徴とするものである。
【0013】
請求項4によると、フィルタと供給部材の平坦な面との間隔がフィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタの上流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、ヘッド部の流路内のフィルタの上流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【0014】
請求項5のインクジェットヘッドは、請求項1〜3のいずれかに記載の構成において、前記フィルタの下流側における前記フィルタと前記シート状部材の1つとの間隔が、前記フィルタの上流側における前記フィルタと前記供給部材の平坦な面との間隔よりも小さいことを特徴とするものである。
【0015】
請求項5によると、フィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間隔がフィルタと供給部材の平坦な面との間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタの下流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、ヘッド部の流路内のフィルタの下流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
まず、本発明の第1の実施の形態に係るインクジェットヘッドの構成について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態によるインクジェットヘッドを示す分解斜視図である。図2は、キャビティプレートの分解斜視図である。図3は、キャビティプレートの部分的拡大斜視図である。
【0018】
インクジェットヘッド1は、キャビティプレート30と、圧電アクチュエータ20と、圧電アクチュエータ20に駆動パルスを供給するためのフレキシブルケーブル10とを備えている。
【0019】
キャビティプレート30は、図2に示すように、ノズルプレート31、スペーサプレート32、3枚のマニホールドプレート33、34、35、スペーサプレート36、ベースプレート37の7枚の薄い金属シート状部材を積層した構造である。なお、上述の7枚のシート状部材としては、例えば約40μm〜約150μmの厚さのNi−Fe合金の板が用いられる。
【0020】
ノズルプレート31には、微小径のインク吐出用の多数のノズル41が、その長手方向に延びる2つの平行状の基準線31a、31bに沿って、微小ピッチの間隔で千鳥状配列に設けられている。
【0021】
3枚のマニホールドプレート33〜35には、ノズル41の列の両側に沿って延びる開口で構成されるインク通路43、44、45がそれぞれ形成されている。なお、インク通路43〜45は、マニホールドプレート33〜35が積層されることにより一体となって、キャビティプレート30の面方向に延在する流路を形成する。
【0022】
スペーサプレート36の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔56が形成されている。ここで、2つの供給孔56は、マニホールドプレート35のインク通路45の一端部に連通するように配置されている。なお、スペーサプレート36の供給孔56の径は、マニホールドプレート35のインク通路45の一端部近傍の幅とほぼ同じになっている。
【0023】
スペーサプレート36の上面には、2つの供給孔56をそれぞれ別々に覆うように2つのフィルタ60が配置されている。ここで、フィルタ60は、供給孔56の径よりも大きい外径を有する略円板状部材である。ここで、フィルタ60は、その上方のインクタンク(図示しない)から供給されるインクに含まれる塵等を除去する機能を有している。なお、本実施の形態におけるフィルタ60の厚さは約50μm〜75μmである。
【0024】
ベースプレート37には、その長辺に沿う中心線に対して直交する方向(短辺方向)に延びる細幅の多数の圧力室48が設けられている。そして、中心線を挟んで左右両側にて平行に長手基準線37a、37b(図3参照)を設定すると、中心線より右側(図3では手前側)の圧力室48の先端48aは長手基準線37a上に位置し、逆に中心線より左側(図3では奥側)の圧力室48の先端48aは長手基準線37b上に位置し、且つ、これらの左右の圧力室48の先端48aが長辺方向に沿って交互に配置されているので、左右両側の圧力室48は互いに逆方向に延びるように交互に配置されていることになる。
【0025】
各圧力室48の先端48aは、ノズルプレート31における千鳥状配列のノズル41に、スペーサプレート36およびマニホールドプレート33〜35に設けられた微小径の貫通孔46を介して連通している。一方、各圧力室48の他端48bは、スペーサプレート36に設けられた貫通孔47を介して、マニホールドプレート33〜35におけるインク通路43〜45に連通している。なお、各圧力室48の他端48bは、図3に示すように、ベースプレート37の下面側にのみ開口するように凹状に形成されている。
【0026】
また、ベースプレート37の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔57が形成されている。ここで、2つの供給孔57は、スペーサプレート36の供給孔56に対応するように配置されている。そして、ベースプレート37の供給孔57の径は、スペーサプレート36の供給孔56の径よりも大きく、フィルタ60の径とほぼ同じである。従って、ベースプレート37がスペーサプレート36の上面に積層されると、フィルタ60がベースプレート37の供給孔57内に配置されることになる。また、ベースプレート37は、フィルタ60の厚さよりも厚い部材である。そのため、フィルタ60がベースプレート37の供給孔57内に配置されている状態においては、ベースプレート37の上面はフィルタ60の上面よりも上方にある(図4参照)。
【0027】
また、キャビティプレート30の上面に配置される圧電アクチュエータ20は、ベースプレート37の多数の圧力室48に跨る複数枚の連続平板状の圧電シートが含まれており、この圧電シート間には、多数の圧力室に共通であってグランド電位に保持された共通電極と、各圧力室に対応する位置に配置された個別電極(いずれも図示しない)とが配置されている。そして、圧電アクチュエータ20は、フレキシブルケーブル10を介して共通電極と個別電極との間に電圧が印加されることによって、それに挟まれる圧電シートに歪みが発生して、ベースプレート37の多数の圧力室48の容積を選択的に変化させることができる。その結果、キャビティプレート30のノズルプレート31のノズル41からインクを吐出することができる。
【0028】
次に、キャビティプレート30の一端部近傍の構成について、図4を参照して説明する。図4は、キャビティプレートの一端部近傍の断面図である。なお、図4では、ベースプレート37の一端部に形成された2つの供給孔57のうち一方に対応する部分の断面図のみが描かれている。
【0029】
キャビティプレート30の一端部近傍の内部には、図4に示すように、ベースプレート37の供給孔57、スペーサプレート36の供給孔56、マニホールドプレート35のインク通路45の一端部近傍、マニホールドプレート34のインク通路44の一端部近傍、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部近傍の順に連通することにより、その積層方向に延在する流路が形成されている。
【0030】
また、キャビティプレート30の下端部近傍の内部には、スペーサプレート32とスペーサプレート36との間のマニホールドプレート33〜35のインク通路43〜45により、その面方向(図4では紙面奥方向に向かう方向)に延在する流路が形成されている。
【0031】
そして、キャビティプレート30の一端部近傍の上方には、図4に示すように、インクタンク内のインクをキャビティプレート30へ供給するためのインク供給部材70が配置されている。インク供給部材70は、その下面に通じる略円柱形状の貫通孔72が形成された略円筒状部材である。また、インク供給部材70の下端部71は、貫通孔72を中心に拡径されたフランジ形状になっており、その外径はベースプレート37の供給孔57の径よりも大きくなっている。ここで、インク供給部材70の下端部71の下面、すなわち、インク供給部材70のキャビティプレート30に対向する面は、平坦な面に形成されている。
【0032】
そして、インク供給部材70は、その貫通孔72の下端部がキャビティプレート30の最上層のベースプレート37の供給孔57に連通するように配置されている。なお、インク供給部材70の下端部71の下面の外縁近傍がベースプレート37の上面の供給孔57の周辺部に当接し接着等により固着されている。
【0033】
また、インク供給部材70の貫通孔72の断面積は、ベースプレート37の供給孔57およびスペーサプレート36の供給孔56のいずれの断面積よりも小さくなっている。また、上述したように、ベースプレート37はフィルタ60の厚さよりも厚いので、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間には、極めて薄い扁平な空間が形成される。
【0034】
なお、本実施の形態におけるフィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間隔は約50μmである。また、フィルタ60の下流側におけるフィルタ60とスペーサプレート32との間にも扁平な空間が形成される。ここで、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間隔は、フィルタ60の下流側におけるフィルタ60とスペーサプレート32との間隔よりも小さくなっている。
【0035】
従って、インク供給部材70の貫通孔72からキャビティプレート30のベースプレート37の供給孔57内に流入したインクは、フィルタ60を通過した後で、キャビティプレート30の積層方向に(図4では下方に向かって)スペーサプレート36の供給孔56を通過して、マニホールドプレート33〜35のインク通路43〜45内に流入する。その後、そのインクは、マニホールドプレート33〜35においてキャビティプレート30の面方向に延在するインク通路43〜45内を水平方向に(図4では紙面奥方向に向かって)流れる。そして、インク通路43〜45から各貫通孔47を通って各圧力室48内に分配されたのち、この各圧力室48内から貫通孔46を通って、圧力室48に対応するノズル41に至るという構成になっている。
【0036】
なお、本実施の形態では、キャビティプレート30が、複数の薄い金属シート状部材を積層した構造であるため、前記特許文献1の円錐形部材を樹脂成形によって構成する場合と比較して、フィルタ上流側及び下流側の容積を容易に一定にすることができる。従って、貫通孔72からフィルタ60を経てその下流側の流路内でのインクの流速をほぼ一定にすることが可能となる。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態のインクジェットヘッド1によると、キャビティプレート30の流路内において、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間およびフィルタ60の下流側におけるフィルタ60とスペーサプレート32との間に扁平な空間が設けられている。そのため、インクがインク供給部材70の貫通孔72からフィルタ60の上流側の扁平な空間に流れ込む際のインクの流速の低下が比較的小さくなる。従って、例えば特許文献1のテーパ状空間の場合と比較して、フィルタ60の上流側における圧力の低下が少なくなる。従って、インクに溶け込んでいるエアが溶け込んだ状態のままでインクと共に流れ易くなる。従って、キャビティプレート30の流路内のフィルタ60の近傍に残留する気泡が少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡が貫通孔47からノズル41への微細な流路に対して供給されることが少なくなるため、インクジェットヘッド1におけるインクの不吐出等の不具合が発生するのを抑制することができる。
【0038】
また、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間隔が、フィルタ60の下流側におけるフィルタ60とスペーサプレート32との間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタ60の上流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、キャビティプレート30の流路内のフィルタ60の上流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、インクジェットヘッド1におけるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【0039】
また、フィルタ60の厚さとベースプレート37の厚さとを所定値に設定することによって、フィルタ60の上流側におけるフィルタ60とインク供給部材70の下面との間に、極めて薄い扁平空間を所定の大きさに精度よく容易に形成することができる。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るインクジェットヘッドについて、図面を参照しつつ説明する。図5は、第2の実施の形態に係るインクジェットヘッドに含まれるキャビティプレートの分解斜視図である。図6は、図5に示すキャビティプレートの一端部近傍の断面図である。
【0041】
第2の実施の形態のインクジェットヘッドが、第1の実施の形態のインクジェットヘッド1と異なる点は、インクジェットヘッド1では、キャビティプレート30の一端部近傍の積層方向の流路の幅がほぼ一定であるのに対して、本実施の形態のインクジェットヘッドでは、キャビティプレート130の一端部近傍の積層方向の流路の幅がフィルタ60の下流側において部分的に狭くなっている点である。なお、本実施の形態のインクジェットヘッドのその他の構成は、図1のインクジェットヘッド1と同様であるので、同じ構成の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0042】
ここで、キャビティプレート130は、図1のマニホールドプレート34、35に変えて、マニホールドプレート134、スペーサプレート135が用いられる。マニホールドプレート134には、インク流路144が供給孔56と対応する位置まで達しない長さに形成されている。
【0043】
マニホールドプレート134の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔154が形成されている。ここで、2つの供給孔154は、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部に対応するように配置されている。なお、マニホールドプレート134の供給孔154の径は、供給孔56の径よりも小さく且つマニホールドプレート33のインク通路43の一端部近傍の幅よりも小さくなっている(図6参照)。
【0044】
また、スペーサプレート135の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔155が形成されている。ここで、2つの供給孔155は、マニホールドプレート134の供給孔154に対応するように配置されている。なお、スペーサプレート135の供給孔155の径は、マニホールドプレート134の供給孔154の径よりも大きく、スペーサプレート36の供給孔56の径とほぼ同じになっている(図6参照)。
【0045】
なお、マニホールドプレート134およびスペーサプレート135には、スペーサプレート36の貫通孔46に対応する貫通孔46がそれぞれ設けられている。また、スペーサプレート135には、スペーサプレート36の貫通孔47と対応する貫通孔47が設けられている。
【0046】
そして、キャビティプレート130の一端部近傍の内部には、図6に示すように、ベースプレート37の供給孔57、スペーサプレート36の供給孔56、スペーサプレート135の供給孔155、マニホールドプレート134の供給孔154、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部近傍の順に連通することにより、その積層方向に延在する流路が形成されている。
【0047】
また、キャビティプレート130の下端部近傍の内部には、スペーサプレート32、36の間のマニホールドプレート33、134のインク通路43、144により、その面方向(図6では紙面奥方向に向かう方向)に延在する流路が形成されている。
【0048】
従って、キャビティプレート130内部のその積層方向に延在する流路は、フィルタ60の下流側において、スペーサプレート36、135の供給孔56、155の幅が広く、その下方のマニホールドプレート134の供給孔154の幅が狭くなって、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部で、供給孔56、155とほぼ同じ幅に広がっている。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態のインクジェットヘッドによると、フィルタ60の下流側においてフィルタ60と間隔をおいたマニホールドプレート134の供給孔154の幅が著しく小さくなっている。そのため、フィルタ60の下流側においてマニホールドプレート134の供給孔154を通過するインクの流速が速くなる。その結果、ヘッド部の流路内のフィルタ60の下流側近傍において気泡が残留しにくくなるため、インクジェットヘッドにおけるインクの不吐出等の不具合が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0050】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るインクジェットヘッドについて、図面を参照しつつ説明する。図7は、第3の実施の形態に係るインクジェットヘッドに含まれるキャビティプレートの分解斜視図である。図8は、図7に示すキャビティプレートの一端部近傍の断面図である。
【0051】
第3の実施の形態のインクジェットヘッドが、第1の実施の形態のインクジェットヘッド1と異なる点は、インクジェットヘッド1では、フィルタ60がスペーサプレート32よりもインク供給部材70に近接して配置されているのに対して、本実施の形態のインクジェットヘッドでは、フィルタ260がインク供給部材70よりもスペーサプレート32に近接して配置されている点である。なお、本実施の形態のインクジェットヘッドのその他の構成は、図1のインクジェットヘッド1と同様であるので、同じ構成の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
ここで、キャビティプレート230は、図1のマニホールドプレート34、35に変えて、マニホールドプレート234、スペーサプレート235が用いられる。マニホールドプレート234には、インク流路244が供給孔56と対応する位置まで達しない長さに形成されている。
【0053】
マニホールドプレート234の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔254が形成されている。ここで、2つの供給孔254は、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部に対応するように配置されている。マニホールドプレート234の供給孔254の径は、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部近傍の幅よりも大きくなっており、その供給孔254を覆ってフィルタ260がそれぞれ配置されている(図8参照)。その結果、フィルタ260は、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部の上面を覆っている。
【0054】
また、スペーサプレート235の一端部近傍には、2つの略円形の供給孔255が形成されている。ここで、2つの供給孔255は、マニホールドプレート234の供給孔254に対応するように配置されている。なお、スペーサプレート235の供給孔255の径は、マニホールドプレート234の供給孔254の径よりも小さく、スペーサプレート36の供給孔56の径とほぼ同じになっている(図8参照)。
【0055】
なお、マニホールドプレート234およびスペーサプレート235には、スペーサプレート36の貫通孔46に対応する貫通孔46がそれぞれ設けられている。また、スペーサプレート235には、スペーサプレート36の貫通孔47と対応する貫通孔47が設けられている。
【0056】
また、キャビティプレート230の最上層のベースプレート237の一端部近傍に、スペーサプレート36の供給孔56と一致して形成される2つの略円形の供給孔257は供給孔56の径とほぼ同じである。
【0057】
そして、キャビティプレート230の一端部近傍の内部には、図8に示すように、ベースプレート237の供給孔257、スペーサプレート36、235の供給孔56、255、マニホールドプレート234の供給孔254、マニホールドプレート33のインク通路43の一端部近傍の順に連通することにより、その積層方向に延在する流路が形成されている。
【0058】
また、キャビティプレート230の下端部近傍の内部には、スペーサプレート32、36の間のマニホールドプレート33、234のインク通路43、244により、その面方向(図8では紙面奥方向に向かう方向)に延在する流路が形成されている。
【0059】
従って、キャビティプレート230内部のその積層方向に延在する流路は、フィルタ上流側及び下流側ともほぼ同じ幅である。ここで、フィルタ260の下流側におけるフィルタ260とスペーサプレート32との間隔は、フィルタ260の上流側におけるフィルタ260とインク供給部材70の下面との間隔よりも小さくなっている。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態のインクジェットヘッドによると、フィルタ260の上流側におけるフィルタ260とインク供給部材70の下面との間およびフィルタ260の下流側におけるフィルタ260とスペーサプレート32との間にそれぞれ扁平な空間が設けられている。そのため、インクがインク供給部材70の貫通孔72からフィルタ260の上流側の扁平な空間に流れ込む際のインクの流速の低下が比較的小さくなる。従って、フィルタ60の上流側における圧力の低下が少なくなるため、インクに溶け込んでいるエアが溶け込んだ状態のままでインクと共に流れ易くなる。
【0061】
また、フィルタ260の下流側におけるフィルタ260とスペーサプレート32との間隔が、フィルタ260の上流側におけるフィルタ260とインク供給部材70の下面との間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタ260の下流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、キャビティプレート230の流路内のフィルタ260の下流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、その結果、フィルタ上流側での効果と相俟ってインクジェットヘッドにおけるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の第1および第2の実施の形態では、フィルタ60がキャビティプレート30の最上層のベースプレート37の供給孔57内に配置されている場合について、一方、第3の実施の形態では、フィルタ260がマニホールドプレート234内に配置されている場合について説明しているが、キャビティプレートの積層方向に延在する流路内に配置されるフィルタの位置は任意に変更することができる。従って、フィルタの配置を変更することによって、フィルタの上流側におけるフィルタとインク供給部材の下面との間隔およびフィルタの下流側におけるフィルタとスペーサプレートとの間隔を変更することができる。
【0063】
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、フィルタ60、260が、ベースプレート37またはマニホールドイプレート234のそれぞれに形成された供給孔57、254内に配置されて位置決めされている場合について説明しているが、フィルタはその他の構成によって位置決めされてもよい。また、フィルタ60、260が、ベースプレート37またはマニホールドプレート234と必ずしも別部材である必要はなく、ベースプレート37またはマニホールドプレート234に対してフィルタ60、260と同様の機能を有するように多数の貫通孔が形成されていてもよい。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1によると、フィルタの上流側におけるフィルタと供給部材の平坦な面との間およびフィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間に扁平な空間が設けられている。そのため、偏平な空間を通るインクの流速の低下が小さくなって、フィルタの近傍に残留する気泡が少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのを抑制することができる。
【0065】
請求項2によると、ヘッド部の流路のうち積層方向に延在した部分を形成するシート状部材のそれぞれの開口において、フィルタの下流側においてフィルタと間隔をおいたシート状部材の開口が他のシート状部材の開口よりも小さくなっている。そのため、フィルタの下流側においてインクの流速が速くり、その結果、フィルタの下流側近傍において気泡が残留しにくくなるため、インクの不吐出等の不具合が発生するのを効果的に抑制することができる。
【0066】
請求項3によると、1つのシート状部材に積層されたフィルタと同じ側に積層されるシート状部材にはフィルタを囲む開口が形成されているため、その開口が形成されたシート状部材の厚さとフィルタの厚さとによって、フィルタの上流側の扁平空間を所定の大きさに精度よく容易に形成することができる。
【0067】
請求項4によると、フィルタと供給部材の平坦な面との間隔がフィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタの上流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、ヘッド部の流路内のフィルタの上流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【0068】
請求項5によると、フィルタの下流側におけるフィルタとシート状部材の1つとの間隔がフィルタと供給部材の平坦な面との間隔よりも小さくなっている。そのため、フィルタの下流側におけるインクの流速の低下がより小さくなるので、ヘッド部の流路内のフィルタの下流側近傍に残留する気泡がより少なくなり、さらに、その気泡が成長するのが抑制される。その結果、気泡によるインクの不吐出等の不具合が発生するのをより効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるインクジェットヘッドを示す分解斜視図である。
【図2】キャビティプレートの分解斜視図である。
【図3】キャビティプレートの部分的拡大斜視図である。
【図4】キャビティプレートの一端部近傍の断面図である。
【図5】第2の実施の形態に係るインクジェットヘッドに含まれるキャビティプレートの分解斜視図である。
【図6】図5に示すキャビティプレートの一端部近傍の断面図である。
【図7】第3の実施の形態に係るインクジェットヘッドに含まれるキャビティプレートの分解斜視図である。
【図8】図7に示すキャビティプレートの一端部近傍の断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド
30、130、230 キャビティプレート(ヘッド部)
31 ノズルプレート(シート状部材)
32 スペーサプレート(シート状部材)
33 マニホールドプレート(シート状部材)
34 マニホールドプレート(シート状部材)
35 マニホールドプレート(シート状部材)
36 スペーサプレート(シート状部材)
37、237 ベースプレート(シート状部材)
41 ノズル
43〜45、144、244 インク通路
56 供給孔
57、257 供給孔
60、260 フィルタ
70 インク供給部材
72 貫通孔(流出口)
134 マニホールドプレート(シート状部材)
135 スペーサプレート(シート状部材)
234 マニホールドプレート(シート状部材)
235 スペーサプレート(シート状部材)
154、155 供給孔
254、255 供給孔
Claims (5)
- インク供給源から供給されたインクが流出する流出口を有する供給部材と、
複数のシート状部材が積層して構成され、その積層方向の一方の面に前記供給部材の前記流出口から流出するインクが流入する供給孔を有し且つ前記供給孔から前記積層方向に延在しその後前記シート状部材の面方向に延在した流路を有するヘッド部とを備えており、
前記ヘッド部は、前記流路のうち積層方向に延在した部分にフィルタを含んでおり、
前記供給部材の前記流出口の面積は前記ヘッド部の前記供給孔の面積よりも小さく、且つ、前記供給部材は前記流出口周囲の前記ヘッド部の供給孔と対向する面を平坦な面とするとともに、
前記フィルタの上流側における前記フィルタと前記供給部材の平坦な面との間および前記フィルタの下流側における前記フィルタと前記シート状部材の1つとの間を、それぞれ扁平な空間としたことを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記流路のうち積層方向に延在した部分は、前記シート状部材に形成した開口によって構成され、前記フィルタの下流側において前記フィルタと間隔をおいた前記シート状部材の前記開口を他の前記シート状部材の前記開口よりも小さくしたことを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記フィルタは、1つのシート状部材に積層して構成され、前記シート状部材の前記フィルタと同じ側に積層されるシート状部材は、前記フィルタを囲む開口を有することを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記フィルタの上流側における前記フィルタと前記供給部材の平坦な面との間隔は、前記フィルタの下流側における前記フィルタと前記シート状部材の1つとの間隔よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
- 前記フィルタの下流側における前記フィルタと前記シート状部材の1つとの間隔は、前記フィルタの上流側における前記フィルタと前記供給部材の平坦な面との間隔よりも小さいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェットヘッド。
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