JP2004356421A - 光ファイバレーザ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レーザ活性物質が添加されたコアを有する光ファイバ10と、光ファイバ10が巻き回される円柱状のドラム20とを少なくとも備えた光ファイバレーザにおいて、光ファイバ10をドラム20の外周面20aに互いに重なり合わないように巻き回し、かつ、光ファイバ10とドラム20の溝21の内面との間には熱伝導性の材料を介在させる。ドラム20の外周面20aには、光ファイバ10を1本のみ収容可能な溝21をドラム20の一方の端面20b側から他方の端面20c側に向かって螺旋状に設け、光ファイバ10を溝21内に収容して、外周面20aに巻き回す。外周面20aに巻き回した光ファイバ10を覆うようにカバー30を設ける。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、共振器内にレーザ活性物質を含む光ファイバをレーザ媒質として用いた光ファイバレーザに関する。
【0002】
【従来の技術】
レーザ活性物質が添加されたコアを有する光ファイバは、励起光が入射されると、この励起光を吸収し、誘導放出によりレーザ光を出力する。しかし、この光ファイバが吸収する励起光のエネルギーは、全てがレーザ光に変換されず、一部は熱に変換される。
【0003】
このとき発生する熱は、低出力の光ファイバであれば問題にならない程度の量である。しかし、数10W以上の大出力で励起した場合、高い吸収率を有する光ファイバを用いると、この熱量は非常に大きなものとなる。
【0004】
また、光ファイバに入射した励起光が熱に変換される割合は、その光ファイバ自体の温度上昇に伴って大きくなる傾向にある。そのため、熱対策を施さずに、大出力で励起すると、発熱量の増加やレーザ出力効率の低下の原因となる。
【0005】
さらには、光ファイバ自体の高温化によって、光ファイバのガラス転位による動作中の機能低下や溶融、装置の発火などといった危険も発生する。
【0006】
特許文献1では、レーザ媒質の光ファイバを、導光部材と共にドラムに巻き回し、励起光を分布導入する方式における放熱機構が提案されている。しかしながら、この方法は光ファイバと共に巻き回す導光部材が必要であるため、導光部材を周囲に配置することなく、光ファイバ端面から光を入射する場合には、適さない方法である。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−156363号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、レーザ媒質として用いられる光ファイバの発熱を抑制し、高出力のレーザ光を出力することが可能な光ファイバレーザを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、レーザ活性物質が添加されたコアを有する光ファイバと、該光ファイバが巻き回される円柱状のドラムとを少なくとも備えた光ファイバレーザにおいて、前記光ファイバは前記ドラムの外周上に互いに重なり合わないように巻き回され、かつ、前記光ファイバと前記ドラムの外周との間には熱伝導性の材料が介在している光ファイバレーザを提供する。
【0010】
上記構成の光ファイバレーザにおいて、前記ドラムの外周には、前記光ファイバを1本のみ収容可能な溝がドラムの一方の端面側から他方の端面側に向かって螺旋状に設けられ、前記光ファイバは前記溝内に収容されて、前記ドラムの外周に巻き回されていることが好ましい。
【0011】
上記構成の光ファイバレーザにおいて、前記ドラムの外周に巻き回された光ファイバを覆うようなカバーが設けられていることが好ましい。
【0012】
上記構成の光ファイバレーザにおいて、前記ドラムの外周に設けられた溝の断面の深さおよび幅は、該溝内に収容される光ファイバの外径以上であり、かつ、該溝の断面形状は光ファイバが巻き回されたときに内周に位置する側面が接する面が円弧をなし、該円弧の直径は前記光ファイバの外径以上であることが好ましい。
【0013】
上記構成の光ファイバレーザにおいて、前記レーザ活性物質は、Nd3+、Yb3+、Er3+、Pr3+、Ce3+、Tm3+、Ho3+、Tb3+、Dy3+、Eu3+、Eu2+から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0014】
上記構成の光ファイバレーザにおいて、前記光ファイバのコアをなす材料は、フッ化物ガラスを主成分とすることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の光ファイバレーザの一例を示す概略正面図である。図2は、図1の光ファイバレーザをドラムの端面から見た概略平面図である。
図1および図2中、符号10はレーザ活性物質が添加されたコアを有する光ファイバ、20は円柱状のドラム、30は光ファイバを覆う円筒形状のカバーを示している。
この例の光ファイバレーザは、光ファイバ10と、ドラム20と、カバー30とから概略構成されている。この例の光ファイバレーザでは、光ファイバ10がドラム20の外周に螺旋状に設けられた溝21に収容されて、ドラム20の外周に互いに重なり合わないように巻き回され、このように巻き回された光ファイバ10を覆うようにカバー30が設けられている。
【0016】
光ファイバ10は、レーザ活性物質が添加されたフッ化物ガラスからなるコアと、このコアの周囲に設けられたフッ化物ガラスからなるクラッドとを有する光ファイバである。
光ファイバ10としては、光ファイバ裸線、光ファイバ素線、光ファイバ心線を使用することができる。
【0017】
上記レーザ活性物質としては、希土類元素のイオンが用いられており、例えば、Nd3+、Yb3+、Er3+、Pr3+、Ce3+、Tm3+、Ho3+、Tb3+、Dy3+、Eu3+、Eu2+から選択される少なくとも1種が用いられる。
これらの希土類元素のイオンが、光ファイバ10のコアに1,000ppm〜100,000ppm(重量比)程度添加されている。
【0018】
これらの希土類元素のイオンが添加されていることにより、光ファイバ10のコアに特定の波長を有する励起光を導入することで誘導放出により、別の波長の光のレーザ発振が可能となる。
【0019】
ドラム20は、アルミニウム合金、銅、真鍮などの熱伝送率の高い材料からなる円柱状の部材であり、外周面20aには、光ファイバ10を収容する溝21が、一方の端面20b側から他方の端面20c側に向かって螺旋状に設けられている。また、ドラム20には、一方の端面20aから他方の端面20bに向かって4つの貫通穴22が設けられている。
【0020】
ドラム20の外径および高さは、この外周に巻き回される光ファイバ10の長さに応じて適宜設定されるが、通常、外径は150mm〜200mm程度、高さは60mm〜100mm程度となっている。
【0021】
溝21は光ファイバ10を1本のみ収容可能な大きさに設けられており、溝21を設ける間隔は、隣り合う溝21に収容された光ファイバ10同士において、一方の光ファイバ10で発生した熱が、他方の光ファイバ10に達しない程度となっていることが望ましい。
このように、溝21を所定の間隔で設け、この中に光ファイバ10を収容することにより、光ファイバ10はドラム20の外周面20aに互いに重なり合わないように巻き回される。
【0022】
また、図3に示すように、溝21の断面形状は略U字状となっており、光ファイバ10が巻き回されたときに、光ファイバ10の内周に位置する側面が接する面(以下、「底面」と言う。)21aが円弧をなしている。
ここで、光ファイバ10の外径をdとすると、溝21の断面の深さD1および幅Wは、外径d以上であることが好ましく、d≦D1≦d+0.1mm、d≦W≦d+0.1mmであることがより好ましい。その上、底面21aの直径をD2とすると、直径D2は、外径d以上であることが好ましく、d≦D2≦d+0.1mmであることがより好ましい。
【0023】
溝21の断面の深さD1および幅Wが外径d未満であると、光ファイバ10の外周面10aとドラム20の外周面20aとが同一面上、あるいは、光ファイバ10の外周面10aの一部が外周面20aよりも溝21の内側とならず、光ファイバ10が外部からの衝撃などにより損傷し易くなる。一方、深さD1および幅Wが外径d+0.1mmを超えると、光ファイバ10が溝21から脱落し易くなる。また、光ファイバ10とドラム20との熱的な接触が悪くなり、光ファイバ10からドラム20への放熱の効率が低下する。
【0024】
また、溝21の断面の底面21aの直径D2が外径d未満であると、光ファイバ10の外周面10aとドラム20の外周面20aとが同一面上、あるいは、光ファイバ10の外周面10aの一部が外周面20aよりも溝21の内側とならず、光ファイバ10が外部からの衝撃などにより損傷し易くなる。一方、深さD1および幅Wが外径d+0.1mmを超えると、光ファイバ10が溝21から脱落し易くなる。また、光ファイバ10とドラム20との熱的な接触が悪くなり、光ファイバ10からドラム20への放熱の効率が低下する。
【0025】
さらに、光ファイバ10と溝21の内面21bとの間には、熱伝導性の材料が介在している。なお、ここでは、内面21bは底面21aを含んでいる。
熱伝導性の材料としては、シリコングリス、放熱コンパウンド、熱伝導シートなどが挙げられるが、中でも、1〜5W/mK程度の熱伝導性を有し、光ファイバ10と溝21との間にエアギャップを介在させないことで、熱伝導性の向上を図ることができる材料が望ましい。
【0026】
貫通穴22の大きさ(内径)は特に限定されないが、光ファイバ10からの熱を外部に効率良く放出するためには、貫通穴22を設ける位置には偏りがないことが望ましい。
【0027】
なお、この例の光ファイバレーザでは、4つの貫通穴22が設けられているが、本発明の光ファイバレーザはこれに限定されない。本発明の光ファイバレーザでは、内径の小さな多数の貫通穴を設けて、その内側面の表面積を大きくしてもよい。
【0028】
カバー30は、その内径がドラム20の外径に対して+0.1mm〜+0.4mm程度大きくなっており、その高さがドラム20に巻き回された光ファイバ10を覆うように、すなわち、光ファイバ10が配されたドラム20の外周面20aの領域を覆うように適宜設定された円筒形状の部材である。
また、カバー30は、アルミニウム合金、銅、真鍮などの金属で形成されている。
【0029】
なお、この例の光ファイバレーザでは、カバー30として、厚みの薄い円筒形状の部材が用いられているが、本発明の光ファイバレーザはこれに限定されない。本発明の光ファイバレーザでは、カバーとして、ドラムの外径よりも若干大きめの内径を有する穴が設けられた構造体を用い、この穴の中に光ファイバを巻き回したドラムを収容してもよい。
【0030】
また、本発明の光ファイバレーザでは、ドラムに設けられた貫通穴の長手方向に向けて送風機を配置し、貫通穴内に送風して、ドラムを強制冷却することにより、光ファイバの放熱の効率を上げるようにしてもよい。
【0031】
この例の光ファイバレーザでは、光ファイバ10をドラム20の外周面20aに互いに重なり合わないように巻き回し、かつ、光ファイバ10と溝21の内面21bとの間に熱伝導性の材料を介在させている。これにより、光ファイバ10は、その全長にわたって熱伝導率の高い材料からなるドラム20と直接、あるいは、それに相当する程度に接触しているから、光ファイバ10が発熱しても、光ファイバ10が単体で存在する場合よりも、放熱面積を大きくすることができる。したがって、この例の光ファイバレーザは、光ファイバ10から効率的に放熱させることができるので、高出力のレーザ光を出力することが可能となる。
【0032】
また、熱伝導性の材料を介在させることにより、光ファイバ10と溝21の内面21bとの間に空気が介在するのを防止することができるため、光ファイバ10からドラム20への放熱の効率が向上する。
【0033】
さらに、カバー30を設けることにより、光ファイバ10が損傷することや、光ファイバ10を溝21に収容した後に、光ファイバ10が溝21から外れることを防止することができるばかりでなく、光ファイバ10とドラム20との接触面積の向上、光ファイバ10の側面から漏出するレーザ光を直視する危険を低減することができる。
【0034】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実験例)
図1〜図3に示したような光ファイバレーザを作製した。
ドラム20として、外径150mm、高さ60mmのアルミニウム合金製の円柱状の部材の外周面に、一方の端面20b側から他方の端面20c側に向かって設けた螺旋状の溝21と、一方の端面20bから他方の端面20cに向かって設けた4つの貫通穴22とを有するものを用意した。
溝21の断面の深さD1を0.5mm、幅Wを0.5mm、底面21aの半径rを0.25mm、溝21の間隔を3mm、溝21の周回数を20回とした。
貫通穴22の内径を50mmとした。
【0035】
この溝21に、表面に熱伝導性のシリコングリスを塗布した光ファイバ10を収容して、光ファイバ10をドラム20の外周面20aに巻き回した。
光ファイバ10としては、エルビウムイオン(Er3+)を40,000ppm含むフッ化物ガラスからなる、外径100μmのコアを有する、外径0.5mmのマルチモードフッ化物ファイバを用いた。
さらに、光ファイバ10を巻き回したドラム20の外周面20aに、光ファイバ10を覆うように、厚み0.5mmのアルミニウム板を巻き付けて、カバー30とし、光ファイバレーザを得た。
【0036】
この実施例の光ファイバレーザの光ファイバ10の一方の端面に、波長0.98μm、出力10Wの励起光を入射したところ、光ファイバ10の温度は50℃であった。
一方、従来の光ファイバレーザの光ファイバの端面に、波長0.98μm、出力10Wの励起光を入射したところ、光ファイバの温度は200℃まで上昇した。
また、実施例の光ファイバレーザから出力されるレーザ光の出力と、従来の光ファイバレーザから出力されるレーザ光の出力を比較したところ、実施例の出力は比較例よりも5%向上していることが確認された。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の光ファイバレーザによれば、光ファイバをドラムの外周面に互いに重なり合わないように巻き回し、かつ、光ファイバとドラムの溝の内面との間に熱伝導性の材料を介在させることにより、光ファイバは、その全長にわたってドラムとほぼ直接接触するから、光ファイバが発熱しても、光ファイバが単体で存在する場合よりも、放熱面積を大きくすることができる。したがって、光ファイバから効率的に放熱させることができるので、高出力のレーザ光を出力することが可能となる。
【0038】
また、熱伝導性の材料を介在させることにより、光ファイバと溝の内面との間に空気が介在するのを防止することができるため、光ファイバからドラムへの放熱の効率が向上する。
さらに、カバーを設けることにより、光ファイバが損傷することや、光ファイバをドラムの溝に収容する作業を行なうのを容易にすることができるばかりでなく、光ファイバとドラムとの接触面積の向上、光ファイバの側面から漏出するレーザ光を直視する危険を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバレーザの一例を示す概略正面図である。
【図2】図1の光ファイバレーザをドラムの端面から見た概略平面図である。
【図3】ドラムの溝を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10・・・光ファイバ、20・・・ドラム、20a・・・外周面、20b,20c・・・端面、21・・・溝、21a・・・底面、21b・・・内面、22・・・貫通穴、30・・・カバー。
Claims (6)
- レーザ活性物質が添加されたコアを有する光ファイバと、該光ファイバが巻き回される円柱状のドラムとを少なくとも備えた光ファイバレーザにおいて、
前記光ファイバは前記ドラムの外周上に互いに重なり合わないように巻き回され、かつ、前記光ファイバと前記ドラムの外周との間には熱伝導性の材料が介在していることを特徴とする光ファイバレーザ。 - 前記ドラムの外周面には、前記光ファイバを1本のみ収容可能な溝がドラムの一方の端面側から他方の端面側に向かって螺旋状に設けられ、前記光ファイバは前記溝内に収容されて、前記ドラムの外周に巻き回されていることを特徴とする請求項1記載の光ファイバレーザ。
- 前記ドラムの外周に巻き回された光ファイバを覆うようなカバーが設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の光ファイバレーザ。
- 前記ドラムの外周に設けられた溝の断面の深さおよび幅は、該溝内に収容される光ファイバの外径以上であり、かつ、該溝の断面形状は光ファイバが巻き回されたときに内周に位置する側面が接する面が円弧をなし、該円弧の直径は前記光ファイバの外径以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の光ファイバレーザ。
- 前記レーザ活性物質は、Nd3+、Yb3+、Er3+、Pr3+、Ce3+、Tm3+、Ho3+、Tb3+、Dy3+、Eu3+、Eu2+から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光ファイバレーザ。
- 前記光ファイバのコアをなす材料は、フッ化物ガラスを主成分とすることを特徴とする請求項5記載の光ファイバレーザ。
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