JP2004503530A - カプロラクタムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
下記の式(I)NC−(CH2)5−CO−R (I)[但し、Rがカルボキシアミド基、カルボン酸基又はカルボン酸エステル基を表す。]で表される化合物からカプロラクタムの製造方法であって、a)化合物(I)又はこのような化合物の混合物を、アンモニア及び必要により液体希釈剤(VI)の存在下且つ触媒(II)の存在下に、水素で水素化して、混合物(III)を得、b)水素及び触媒(II)を混合物(III)から分離して混合物(IV)を得、そしてc)混合物(IV)を、必要により液体希釈剤(VII)の存在下、且つ触媒(V)の存在下にカプロラクタムに転化することを特徴とする方法。
Description
【0001】
本発明は、下記の式(I)
NC−(CH2)5−CO−R (I)
[但し、Rがカルボキシアミド基、カルボン酸基又はカルボン酸エステル基を表す。]
で表される化合物からカプロラクタムを製造する方法であって、
a)化合物(I)又はこのような化合物の混合物を、アンモニア及び必要により液体希釈剤(VI)を含んだ状態で、触媒(II)の存在下に水素で水素化して、混合物(III)を得、
b)水素及び触媒(II)を混合物(III)から分離して混合物(IV)を得、そして
c)混合物(IV)を、必要により液体希釈剤(VII)の存在下、且つ触媒(V)の存在下にカプロラクタムに転化することを特徴とする方法に関する。
式(I)の化合物からカプロラクタムを製造する方法は、一般に知られている。
例えば、DP915568には、シアノバレリン酸(シアノ吉草酸)エステルをラネーコバルト上で、120℃、200バールにおいて転化し、40−52%の収率でカプロラクタムが得られることが記載されている。
シアノバレリン酸エステルのラネー触媒上での転化もまた、J. Polymer. Sci. Part B, Polymer Lett. 2 (1964) No. 5, 491−3頁に記載されている。31−74%の収率でカプロラクタムが得られる。
EP−A−23751には、シアノバレリン酸エステルをRu/Feの固定床触媒上で水素化し、35%の収率でカプロラクタムが得られることが記載されている。
JP305330によれば、シアノバレリン酸エステルをまずラネーニッケル又はラネーコバルト上で水素化し、その後触媒無しで熱分解して80−90%の収率でカプロラクタムが得られる。
【0002】
これらの方法の不利は、収率又は時空収率が余りにも低く、工業的要求に合致しないことである。
本発明の目的は、上記不利を回避して、技術的に簡単で且つ経済的に、式(I)の化合物からカプロラクタムを製造することを可能にする方法を提供することにある。
本発明によれば、使用される化合物(I)は、下記の式(I)
NC−(CH2)5−CO−R (I)
[但し、Rがカルボキシアミド基、カルボン酸基又はカルボン酸エステル基を表す。]
で表される。
これらの化合物の混合物を使用することも可能であり、これらも本発明の化合物(I)ということができる。化合物(I)として単一の化合物を使用することが好ましい。
好適なカルボキシアミド基は、一般式−CO−NR1R2(R1及びR2が、相互に独立して水素又は有機基、好ましくはC1〜C4アルキルを表す)で表されるものであることが有利である。特にカルボキシアミド基が、基−CONH2であることが好ましい。
好適なカルボン酸エステル基は、一般式−CO−OR3(R3が、有機基、好ましくはC1〜C4アルキルを表す)で表されるものであることが有利である。特にカルボン酸エステル基が、基−CO−OCH3であることが好ましい。
式(I)の化合物の製法は、公知であり、例えばReppe, Lieb. Ann. Chem. 596 (1955) 127、BE850113、EP−A−576976又はOZ0050/49347に記載されている。
本発明によれば、工程a)において、アンモニア及び必要により液体希釈剤(VI)の存在下にある化合物(I)を、触媒(II)の存在下に水素で水素化して、混合物(III)が得られる。
アンモニアを、化合物(I)1kgに対して、少なくとも0.1kg、好ましくは0.1〜10kg、特に0.2〜5kg、とりわけ0.5〜5kgの量で使用することが有利である。
【0003】
工程a)は、液体希釈剤(VI)の存在下に行うことが有利である。好適な希釈剤(VI)としては、水又は有機希釈剤、例えばC4〜C9アルカノール(例、n−ブタノール、i−ブタノール又はn−ペンタノール)、エーテル(例、メチルtert−ブチルエーテル又はテトラヒドロフラン)、好ましくは脂肪族炭化水素(例、n−ヘキサン)、脂環式炭化水素(例、シクロペンタン又はシクロヘキサン)、そして特に好ましくは芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、i−プロピルベンゼン又はジ−i−プロピルベンゼン)、同様にこれらの化合物の混合物、例えば石油エーテル、を挙げることができる。炭化水素は、ハロゲン(例、塩素)等の官能基を有する(例、クロロベンゼン)ことができる。
適当な触媒(II)としては、不均一系触媒が有利である。また触媒(II)は固定床触媒として用いることが好ましい。Fe、Ni、Co及びRuからなる群より選ばれる金属、又はこれらの混合物が、触媒(II)の触媒活性成分として有利であることが分かっている。
このような成分は、非担持触媒として、例えばラネーニッケル、ラネーコバルト、又は合成若しくは天然の鉄酸化物(例、マグネタイト)含有材料の還元から得られる鉄を使用することができる。
このような成分を、担持触媒として使用することができる。適当な担持触媒は、担体にこのような金属又は金属混合物の化合物を含有する溶液を含浸させるか、噴霧することにより、或いは担体及び金属又は金属混合物の化合物を含有する懸濁液を噴霧乾燥することにより、有利に得ることができる。このような担持触媒は、それ自体公知の担体、好ましくは酸化アルミニウム、酸化ケイ素、アルミノシリケート、酸化ランタン、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ゼオライト又は活性炭、又はこれらの混合物を含み得る。
工程a)において、出発成分(即ち、化合物(I)、アンモニア及び希釈剤(VI))の合計に対する化合物(I)の割合は、一般に0.1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは2〜20質量%の範囲が有利である。
反応は、液相で行うことが有利である。
反応は、一般に40〜250℃、好ましくは50〜100℃、特に好ましくは60〜120℃で行うことが好ましい。圧力は、一般に1〜350バール、好ましくは25〜250バールとすべきである。
【0004】
工程a)の反応により混合物(III)が得られる。
【0005】
工程b)において、水素と触媒(II)が混合物(III)から分離され、混合物(IV)を得る。
【0006】
触媒(II)は、それ自体公知の方法で分離される。
【0007】
懸濁処理手順の場合、触媒(II)をろ過により、特に適当な孔径の膜により分離することが有利である。固定床手順の場合、反応混合物を反応器から抜き取り、反応器内に触媒(II)を残す。
【0008】
水素を、それ自体公知の方法、例えば高圧分離器で分離することができる。高圧分離器に続いて、残存水素を分離するため操作を行うことが有利である。
【0009】
アンモニアの全て又は一部を、工程b)で分離することが有利である。
【0010】
分離を、蒸留、特に60〜220℃の塔底温度、1〜30バールの圧力で行うことが有利である。
混合物(IV)を工程b)の後に得る。
【0011】
本発明によれば、工程c)において、混合物(IV)を、必要により液体希釈剤(VII)の存在下、触媒(V)の存在下にカプロラクタムに転化する。
【0012】
工程c)は、液体希釈剤(VII)の存在下に実施することが有利である。好適な希釈剤(VII)としては、水又は有機希釈剤、例えばC1〜C9アルカノール(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール又はn−ペンタノール)、好ましくは脂肪族炭化水素(例、n−ヘキサン)、脂環式炭化水素(例、シクロペンタン又はシクロヘキサン)、そして特に好ましくは芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、i−プロピルベンゼン又はジ−i−プロピルベンゼン)、同様にこれらの化合物の混合物、例えば石油エーテル、を挙げることができる。炭化水素は、ハロゲン(例、塩素)等の官能基を有する(例、クロロベンゼン)ことができる。
【0013】
希釈剤(VI)及び希釈剤(VII)は同一であり得る。
【0014】
好適な触媒(V)は不均一触媒であることが有利である。触媒(V)は固定床触媒として使用することが好ましい。
【0015】
好適な触媒(V)は、周期表の第II、第III及び第IV主族の元素の酸性、塩基性又は両性酸化物であり、例えば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化スズ又は熱分解法二酸化ケイ素の形態の二酸化ケイ素、シリカゲル、珪藻土、水晶又はこれらの混合物、更に周期表の第II〜VI複族の金属の酸化物、例えばアナターゼ又はルチル型のアモルファス二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化マンガン又はこれらの混合物を挙げることができる。ランタニド酸化物及びアクチニド酸化物、例えば酸化セリウム、酸化トリウム、酸化プラセオジム、酸化サマリウム、希土類混合酸化物、又はこれらの酸化物と前述の酸化物との混合物を使用することも可能である。他の使用可能な触媒の例としては、酸化バナジウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化鉄、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、又はこれらの混合物を挙げることができる。これらの酸化物相互の混合物も可能である。ある種の硫化物、セレン化物及びテルル化物、例えばテルル化亜鉛、セレン化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、及びニッケル、亜鉛及びクロムの硫化物も使用することができる。
【0016】
上記化合物は、周期表第I〜第VII主族の化合物でドープされているか、或いはこのような化合物を含むことが可能である。
【0017】
他の好適な触媒として、ゼオライト、リン酸塩若しくはエステル、及びヘテロ多塩基酸、並びにNafionの様な酸及び塩基イオン交換体を挙げることができる。
触媒として、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム及び二酸化ジルコニウムが好ましく、特に例えばWO95/14664に開示されたもの等の活性化酸化アルミニウムが好ましい。
【0018】
工程c)の反応において、アンモニアが存在しても良いが、存在しないことが好ましい。
【0019】
工程c)において、工程a)における化合物(I)から形成される化合物(化合物(VIII))の、化合物(VIII)及び希釈剤(VII)の合計に対する割合は、一般に0.1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%、特に2〜20質量%であることが有利である。
【0020】
反応は、一般に140〜320℃、好ましくは180〜320℃、特に200〜280℃の温度で行うことが有利である。圧力は、一般に1〜250バール、好ましくは5〜150バールの範囲にすべきである。
【0021】
ここで好ましい圧力及び温度の条件は、反応混合物が単一の均一液相の形態にある様な条件である。
【0022】
触媒の処理量は、1時間当たり、1L触媒容量に対して、一般に0.05〜5kg、好ましくは0.1〜2kg、特に0.2〜1kgの範囲の化合物(VIII)である。
【0023】
工程c)の反応により、カプロラクタム含有混合物が与えられる。カプロラクタムに加えて、この混合物は、一般に低沸点成分、高沸点成分、化合物(VIII)、必要によりアンモニア及び希釈剤(VII)を含んでいる。
【0024】
本発明では、低沸点成分はカプロラクタムより沸点が低い化合物を意味し、高沸点成分はカプロラクタムより沸点が高い化合物を意味すると解釈される。
【0025】
カプロラクタムは、この混合物からそれ自体公知の方法、例えば抽出又は蒸留、で得ることができる。蒸留の場合、後処理は、1基以上、例えば2又は3基の蒸留装置において、分別蒸留により行うことができる。
【0026】
好適な装置としては、蒸留に通常使用されるもの、例えば、Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 第3版, 第7巻, John Wiley & Sons, New York, 1979, 870−881頁に記載されているもので、例えば多孔板塔、泡鐘塔又は充填塔である。
【0027】
なお存在するアンモニア及び希釈剤(VII)は、混合物から最初に分離することが好ましい。その後、高沸点成分、低沸点成分及び未反応化合物(VIII)を、残存混合物からそれぞれ又は一緒に分離し、カプロラクタムを得る。
【0028】
この後処理で得られる希釈剤(VII)の全て又は一部を、工程a)又は工程c)に再循環することが有利である。
【0029】
この後処理で得られる高沸点成分及び/又は低沸点成分の全て又は一部を、工程c)に再循環することが有利である。
【0030】
この後処理で得られる未反応化合物(VIII)の全て又は一部を、工程c)に再循環することが有利である。
【0031】
本発明の方法で得られるカプロラクタムは、それ自体公知の方法で、ポリアミド等の工業的に重要なポリマーの製造に使用することができる。
【0032】
【実施例】
a)メチルシアノバレレートのバッチによる水素化
液相として、メチルシアノバレレート(nethyl cyanovalerate)、溶剤及びアンモニアを、表1に示すように、0.27Lのオートクレーブに導入した。このオートクレーブは、80gの触媒を含有するワイヤバスケット挿入部を備え、ガス注入攪拌機を備えている。この混合物を表1に記載の条件で反応させた。好適な反応圧力が、連続的な水素の計量導入により一定に保持された。
【0033】
結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
MCV:メチル6−シアノバレレート
MAH:メチル6−アミノヘキサノエート
AH:6−アミノヘキサナミド
CL:カプロラクタム
MTBE:メチルt−ブチルエーテル
【0035】
b)メチル6−アミノヘキサノエートのカプロラクタムへのバッチによる環化 2ml(1.6g)のメチル6−アミノヘキサノエートの10質量%トルエン溶液を、表2に示すように、5mlオートクレーブにおいて、150℃で、1gの粉末状触媒を用いて又は用いずに、転化する。
【0036】
メチル6−アミノヘキサノエートのカプロラクタムへの転化率(%)を、表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
c)メチルシアノバレレートの連続水素化
1.コバルト触媒で
抽出物溶液、アンモニア及び水素のための分離給送部を備えた100mlの管状反応器において、100mlのコバルトを280℃で活性化させ、そして処理量(MCV(g)/触媒(ml)/時間)及び温度を、200バールの圧力及び1:1のアンモニア/MCVにおいて、表3に示すように変化させた。
【0039】
結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
MCV:メチル6−シアノバレレート
MAH:メチル6−アミノヘキサノエート
【0041】
2.Cr−ドープ・ラネーコバルトで
抽出物溶液、アンモニア及び水素のための分離給送部を備え、100mlのCr−ドープ・ラネーコバルトを含有する100mlの管状反応器において、処理量(MCV(g)/触媒(ml)/時間)及び温度を、80バールの圧力、80℃の温度及び2:1のアンモニア/MCVの条件で表4に示すように変化させた。
【0042】
結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
MCV:メチル6−シアノバレレート
MAH:メチル6−アミノヘキサノエート
【0044】
d)メチル6−シアノヘキサノエートのカプロラクタムへの連続環化
1.TiO2触媒で
表5に示すように水を含んでいるかもしれないメチル6−アミノヘキサノエートの10質量%トルエン溶液を、20ml管状反応器(長さ90cm、直径6mm)において、表5に示す反応温度及び処理量(kg/L/h)にて、TiO2触媒(1.5mmペレット)上で転化した。
結果を表5に示す。
【表5】
MAH:メチル6−アミノヘキサノエート
CL:カポルラクタム
2.γ−酸化アルミニウム触媒で
表5に示すように水を含んでいるかもしれないメチル6−アミノヘキサノエートの10質量%トルエン溶液を、20ml管状反応器(長さ90cm、直径6mm)において、表5に示す反応温度及び処理量(kg/L/h)及び温度にて、γ−酸化アルミニウム(1−3mmチップ)上で触媒転化した。
結果を表6に示す。
【表6】
MAH:メチル6−アミノヘキサノエート
CL:カポルラクタム
本発明は、下記の式(I)
NC−(CH2)5−CO−R (I)
[但し、Rがカルボキシアミド基、カルボン酸基又はカルボン酸エステル基を表す。]
で表される化合物からカプロラクタムを製造する方法であって、
a)化合物(I)又はこのような化合物の混合物を、アンモニア及び必要により液体希釈剤(VI)を含んだ状態で、触媒(II)の存在下に水素で水素化して、混合物(III)を得、
b)水素及び触媒(II)を混合物(III)から分離して混合物(IV)を得、そして
c)混合物(IV)を、必要により液体希釈剤(VII)の存在下、且つ触媒(V)の存在下にカプロラクタムに転化することを特徴とする方法に関する。
式(I)の化合物からカプロラクタムを製造する方法は、一般に知られている。
例えば、DP915568には、シアノバレリン酸(シアノ吉草酸)エステルをラネーコバルト上で、120℃、200バールにおいて転化し、40−52%の収率でカプロラクタムが得られることが記載されている。
シアノバレリン酸エステルのラネー触媒上での転化もまた、J. Polymer. Sci. Part B, Polymer Lett. 2 (1964) No. 5, 491−3頁に記載されている。31−74%の収率でカプロラクタムが得られる。
EP−A−23751には、シアノバレリン酸エステルをRu/Feの固定床触媒上で水素化し、35%の収率でカプロラクタムが得られることが記載されている。
JP305330によれば、シアノバレリン酸エステルをまずラネーニッケル又はラネーコバルト上で水素化し、その後触媒無しで熱分解して80−90%の収率でカプロラクタムが得られる。
【0002】
これらの方法の不利は、収率又は時空収率が余りにも低く、工業的要求に合致しないことである。
本発明の目的は、上記不利を回避して、技術的に簡単で且つ経済的に、式(I)の化合物からカプロラクタムを製造することを可能にする方法を提供することにある。
本発明によれば、使用される化合物(I)は、下記の式(I)
NC−(CH2)5−CO−R (I)
[但し、Rがカルボキシアミド基、カルボン酸基又はカルボン酸エステル基を表す。]
で表される。
これらの化合物の混合物を使用することも可能であり、これらも本発明の化合物(I)ということができる。化合物(I)として単一の化合物を使用することが好ましい。
好適なカルボキシアミド基は、一般式−CO−NR1R2(R1及びR2が、相互に独立して水素又は有機基、好ましくはC1〜C4アルキルを表す)で表されるものであることが有利である。特にカルボキシアミド基が、基−CONH2であることが好ましい。
好適なカルボン酸エステル基は、一般式−CO−OR3(R3が、有機基、好ましくはC1〜C4アルキルを表す)で表されるものであることが有利である。特にカルボン酸エステル基が、基−CO−OCH3であることが好ましい。
式(I)の化合物の製法は、公知であり、例えばReppe, Lieb. Ann. Chem. 596 (1955) 127、BE850113、EP−A−576976又はOZ0050/49347に記載されている。
本発明によれば、工程a)において、アンモニア及び必要により液体希釈剤(VI)の存在下にある化合物(I)を、触媒(II)の存在下に水素で水素化して、混合物(III)が得られる。
アンモニアを、化合物(I)1kgに対して、少なくとも0.1kg、好ましくは0.1〜10kg、特に0.2〜5kg、とりわけ0.5〜5kgの量で使用することが有利である。
【0003】
工程a)は、液体希釈剤(VI)の存在下に行うことが有利である。好適な希釈剤(VI)としては、水又は有機希釈剤、例えばC4〜C9アルカノール(例、n−ブタノール、i−ブタノール又はn−ペンタノール)、エーテル(例、メチルtert−ブチルエーテル又はテトラヒドロフラン)、好ましくは脂肪族炭化水素(例、n−ヘキサン)、脂環式炭化水素(例、シクロペンタン又はシクロヘキサン)、そして特に好ましくは芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、i−プロピルベンゼン又はジ−i−プロピルベンゼン)、同様にこれらの化合物の混合物、例えば石油エーテル、を挙げることができる。炭化水素は、ハロゲン(例、塩素)等の官能基を有する(例、クロロベンゼン)ことができる。
適当な触媒(II)としては、不均一系触媒が有利である。また触媒(II)は固定床触媒として用いることが好ましい。Fe、Ni、Co及びRuからなる群より選ばれる金属、又はこれらの混合物が、触媒(II)の触媒活性成分として有利であることが分かっている。
このような成分は、非担持触媒として、例えばラネーニッケル、ラネーコバルト、又は合成若しくは天然の鉄酸化物(例、マグネタイト)含有材料の還元から得られる鉄を使用することができる。
このような成分を、担持触媒として使用することができる。適当な担持触媒は、担体にこのような金属又は金属混合物の化合物を含有する溶液を含浸させるか、噴霧することにより、或いは担体及び金属又は金属混合物の化合物を含有する懸濁液を噴霧乾燥することにより、有利に得ることができる。このような担持触媒は、それ自体公知の担体、好ましくは酸化アルミニウム、酸化ケイ素、アルミノシリケート、酸化ランタン、二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、ゼオライト又は活性炭、又はこれらの混合物を含み得る。
工程a)において、出発成分(即ち、化合物(I)、アンモニア及び希釈剤(VI))の合計に対する化合物(I)の割合は、一般に0.1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは2〜20質量%の範囲が有利である。
反応は、液相で行うことが有利である。
反応は、一般に40〜250℃、好ましくは50〜100℃、特に好ましくは60〜120℃で行うことが好ましい。圧力は、一般に1〜350バール、好ましくは25〜250バールとすべきである。
【0004】
工程a)の反応により混合物(III)が得られる。
【0005】
工程b)において、水素と触媒(II)が混合物(III)から分離され、混合物(IV)を得る。
【0006】
触媒(II)は、それ自体公知の方法で分離される。
【0007】
懸濁処理手順の場合、触媒(II)をろ過により、特に適当な孔径の膜により分離することが有利である。固定床手順の場合、反応混合物を反応器から抜き取り、反応器内に触媒(II)を残す。
【0008】
水素を、それ自体公知の方法、例えば高圧分離器で分離することができる。高圧分離器に続いて、残存水素を分離するため操作を行うことが有利である。
【0009】
アンモニアの全て又は一部を、工程b)で分離することが有利である。
【0010】
分離を、蒸留、特に60〜220℃の塔底温度、1〜30バールの圧力で行うことが有利である。
混合物(IV)を工程b)の後に得る。
【0011】
本発明によれば、工程c)において、混合物(IV)を、必要により液体希釈剤(VII)の存在下、触媒(V)の存在下にカプロラクタムに転化する。
【0012】
工程c)は、液体希釈剤(VII)の存在下に実施することが有利である。好適な希釈剤(VII)としては、水又は有機希釈剤、例えばC1〜C9アルカノール(例、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール又はn−ペンタノール)、好ましくは脂肪族炭化水素(例、n−ヘキサン)、脂環式炭化水素(例、シクロペンタン又はシクロヘキサン)、そして特に好ましくは芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、i−プロピルベンゼン又はジ−i−プロピルベンゼン)、同様にこれらの化合物の混合物、例えば石油エーテル、を挙げることができる。炭化水素は、ハロゲン(例、塩素)等の官能基を有する(例、クロロベンゼン)ことができる。
【0013】
希釈剤(VI)及び希釈剤(VII)は同一であり得る。
【0014】
好適な触媒(V)は不均一触媒であることが有利である。触媒(V)は固定床触媒として使用することが好ましい。
【0015】
好適な触媒(V)は、周期表の第II、第III及び第IV主族の元素の酸性、塩基性又は両性酸化物であり、例えば酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化スズ又は熱分解法二酸化ケイ素の形態の二酸化ケイ素、シリカゲル、珪藻土、水晶又はこれらの混合物、更に周期表の第II〜VI複族の金属の酸化物、例えばアナターゼ又はルチル型のアモルファス二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化マンガン又はこれらの混合物を挙げることができる。ランタニド酸化物及びアクチニド酸化物、例えば酸化セリウム、酸化トリウム、酸化プラセオジム、酸化サマリウム、希土類混合酸化物、又はこれらの酸化物と前述の酸化物との混合物を使用することも可能である。他の使用可能な触媒の例としては、酸化バナジウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、酸化ニオブ、酸化鉄、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、又はこれらの混合物を挙げることができる。これらの酸化物相互の混合物も可能である。ある種の硫化物、セレン化物及びテルル化物、例えばテルル化亜鉛、セレン化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、及びニッケル、亜鉛及びクロムの硫化物も使用することができる。
【0016】
上記化合物は、周期表第I〜第VII主族の化合物でドープされているか、或いはこのような化合物を含むことが可能である。
【0017】
他の好適な触媒として、ゼオライト、リン酸塩若しくはエステル、及びヘテロ多塩基酸、並びにNafionの様な酸及び塩基イオン交換体を挙げることができる。
触媒として、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム及び二酸化ジルコニウムが好ましく、特に例えばWO95/14664に開示されたもの等の活性化酸化アルミニウムが好ましい。
【0018】
工程c)の反応において、アンモニアが存在しても良いが、存在しないことが好ましい。
【0019】
工程c)において、工程a)における化合物(I)から形成される化合物(化合物(VIII))の、化合物(VIII)及び希釈剤(VII)の合計に対する割合は、一般に0.1〜50質量%、好ましくは1〜30質量%、特に2〜20質量%であることが有利である。
【0020】
反応は、一般に140〜320℃、好ましくは180〜320℃、特に200〜280℃の温度で行うことが有利である。圧力は、一般に1〜250バール、好ましくは5〜150バールの範囲にすべきである。
【0021】
ここで好ましい圧力及び温度の条件は、反応混合物が単一の均一液相の形態にある様な条件である。
【0022】
触媒の処理量は、1時間当たり、1L触媒容量に対して、一般に0.05〜5kg、好ましくは0.1〜2kg、特に0.2〜1kgの範囲の化合物(VIII)である。
【0023】
工程c)の反応により、カプロラクタム含有混合物が与えられる。カプロラクタムに加えて、この混合物は、一般に低沸点成分、高沸点成分、化合物(VIII)、必要によりアンモニア及び希釈剤(VII)を含んでいる。
【0024】
本発明では、低沸点成分はカプロラクタムより沸点が低い化合物を意味し、高沸点成分はカプロラクタムより沸点が高い化合物を意味すると解釈される。
【0025】
カプロラクタムは、この混合物からそれ自体公知の方法、例えば抽出又は蒸留、で得ることができる。蒸留の場合、後処理は、1基以上、例えば2又は3基の蒸留装置において、分別蒸留により行うことができる。
【0026】
好適な装置としては、蒸留に通常使用されるもの、例えば、Kirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology, 第3版, 第7巻, John Wiley & Sons, New York, 1979, 870−881頁に記載されているもので、例えば多孔板塔、泡鐘塔又は充填塔である。
【0027】
なお存在するアンモニア及び希釈剤(VII)は、混合物から最初に分離することが好ましい。その後、高沸点成分、低沸点成分及び未反応化合物(VIII)を、残存混合物からそれぞれ又は一緒に分離し、カプロラクタムを得る。
【0028】
この後処理で得られる希釈剤(VII)の全て又は一部を、工程a)又は工程c)に再循環することが有利である。
【0029】
この後処理で得られる高沸点成分及び/又は低沸点成分の全て又は一部を、工程c)に再循環することが有利である。
【0030】
この後処理で得られる未反応化合物(VIII)の全て又は一部を、工程c)に再循環することが有利である。
【0031】
本発明の方法で得られるカプロラクタムは、それ自体公知の方法で、ポリアミド等の工業的に重要なポリマーの製造に使用することができる。
【0032】
【実施例】
a)メチルシアノバレレートのバッチによる水素化
液相として、メチルシアノバレレート(nethyl cyanovalerate)、溶剤及びアンモニアを、表1に示すように、0.27Lのオートクレーブに導入した。このオートクレーブは、80gの触媒を含有するワイヤバスケット挿入部を備え、ガス注入攪拌機を備えている。この混合物を表1に記載の条件で反応させた。好適な反応圧力が、連続的な水素の計量導入により一定に保持された。
【0033】
結果を表1に示す。
【0034】
【表1】
MCV:メチル6−シアノバレレート
MAH:メチル6−アミノヘキサノエート
AH:6−アミノヘキサナミド
CL:カプロラクタム
MTBE:メチルt−ブチルエーテル
【0035】
b)メチル6−アミノヘキサノエートのカプロラクタムへのバッチによる環化 2ml(1.6g)のメチル6−アミノヘキサノエートの10質量%トルエン溶液を、表2に示すように、5mlオートクレーブにおいて、150℃で、1gの粉末状触媒を用いて又は用いずに、転化する。
【0036】
メチル6−アミノヘキサノエートのカプロラクタムへの転化率(%)を、表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
c)メチルシアノバレレートの連続水素化
1.コバルト触媒で
抽出物溶液、アンモニア及び水素のための分離給送部を備えた100mlの管状反応器において、100mlのコバルトを280℃で活性化させ、そして処理量(MCV(g)/触媒(ml)/時間)及び温度を、200バールの圧力及び1:1のアンモニア/MCVにおいて、表3に示すように変化させた。
【0039】
結果を表3に示す。
【0040】
【表3】
MCV:メチル6−シアノバレレート
MAH:メチル6−アミノヘキサノエート
【0041】
2.Cr−ドープ・ラネーコバルトで
抽出物溶液、アンモニア及び水素のための分離給送部を備え、100mlのCr−ドープ・ラネーコバルトを含有する100mlの管状反応器において、処理量(MCV(g)/触媒(ml)/時間)及び温度を、80バールの圧力、80℃の温度及び2:1のアンモニア/MCVの条件で表4に示すように変化させた。
【0042】
結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
MCV:メチル6−シアノバレレート
MAH:メチル6−アミノヘキサノエート
【0044】
d)メチル6−シアノヘキサノエートのカプロラクタムへの連続環化
1.TiO2触媒で
表5に示すように水を含んでいるかもしれないメチル6−アミノヘキサノエートの10質量%トルエン溶液を、20ml管状反応器(長さ90cm、直径6mm)において、表5に示す反応温度及び処理量(kg/L/h)にて、TiO2触媒(1.5mmペレット)上で転化した。
結果を表5に示す。
【表5】
MAH:メチル6−アミノヘキサノエート
CL:カポルラクタム
2.γ−酸化アルミニウム触媒で
表5に示すように水を含んでいるかもしれないメチル6−アミノヘキサノエートの10質量%トルエン溶液を、20ml管状反応器(長さ90cm、直径6mm)において、表5に示す反応温度及び処理量(kg/L/h)及び温度にて、γ−酸化アルミニウム(1−3mmチップ)上で触媒転化した。
結果を表6に示す。
【表6】
MAH:メチル6−アミノヘキサノエート
CL:カポルラクタム
Claims (9)
- 下記の式(I)
NC−(CH2)5−CO−R (I)
[但し、Rがカルボキシアミド基、カルボン酸基又はカルボン酸エステル基を表す。]
で表される化合物からカプロラクタムを製造する方法であって、
a)化合物(I)又はこの化合物の混合物を、アンモニア及び必要により液体希釈剤(VI)の存在下且つ触媒(II)の存在下に水素で水素化して、混合物(III)を得、
b)水素及び触媒(II)を混合物(III)から分離して混合物(IV)を得、そして
c)混合物(IV)を、必要により液体希釈剤(VII)の存在下且つ触媒(V)の存在下にカプロラクタムに転化することを特徴とする方法。 - 触媒(II)が、不均一系触媒である請求項1に記載の方法。
- 触媒(II)が、固定床触媒である請求項1又は2に記載の方法。
- Fe、Ni、Co及びRuから選択される金属又はこれらの混合物が、触媒(II)の触媒活性成分として使用される請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
- 工程a)で使用される反応混合物が、水素化中において液状である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- アンモニアの全て又は一部が、工程b)で更に分離される請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 触媒(V)が、触媒活性成分として金属酸化物を含む請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 触媒(V)が、固定床触媒である請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
- 二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムから選択される金属酸化物又はこれらの混合物を、触媒(V)の触媒活性成分として使用する請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
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