JP2005100992A - 発光装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 半導体膜を用いて形成されるTFTはアルカリ金属の汚染によりしきい値電圧などの特性値が変動する。本発明は、このような問題点を解決するアクティブマトリクス型の発光装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 TFTを構成する半導体層の上層側及び下層側に、アルカリ金属に対してブロッキング性のある絶縁層を設け、有機化合物の層を含んで構成される発光素子の上層側及び下層側に、酸素、H2Oに対してブロキング性のある絶縁層を設け、薄膜トランジスタと発光素子を、層間絶縁膜を介して一体化する。このように、不純物に対する特性の異なる素子を組合せ、お互いが干渉することなく発光装置を完成させる。
【選択図】 図12

Description

本発明は、電場を加えることで発生するルミネッセンス(エレクトロルミネッセンス:Electro Luminescence)が得られる発光体及びそれを用いた発光装置に関する。特に本発明は、発光体に有機化合物を用いた発光装置に関する。
液晶を用いた表示装置は、その代表的な形態としてバックライトまたはフロントライトが用いられ、その光により画像を表示する仕組である。液晶表示装置は様々な電子装置における画像表示手段として採用されているが、視野角が狭いといった構造上に欠点を有していた。それに対し、エレクトロルミネセンスが得られる発光体を用いた表示装置は視野角が広く、視認性も優れることから次世代の表示装置として注目されている。
発光体に有機化合物を用いた発光素子(以下、有機発光素子という)は、の構造は、陰極と陽極との間に有機化合物で形成される正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などを適宣組み合わせた構造となっている。ここでは、正孔注入層と正孔輸送層とを区別して表記しているが、これらは正孔輸送性(正孔移動度)が特に重要な特性である意味において同じである。便宜上区別するために、正孔注入層は陽極に接する側の層であり、発光層に接する側の層は正孔輸送層と呼んでいる。また、陰極に接する層を電子注入層と呼び、発光層に接する側の層を電子輸送層と呼んでいる。発光層は電子輸送層を兼ねる場合もあり、発光性電子輸送層とも呼ばれる。これらの層を組み合わせて形成される発光素子は整流特性を示し、ダイオードと同様な構造となっている。
エレクトロルミネッセンスによる発光機構は、陰極から注入された電子と、陽極から注入された正孔が発光体で成る層(発光層)で再結合して励起子を形成し、その励起子が基底状態に戻る時に光を放出する現象として考えられている。エレクトロルミネッセンスには蛍光と燐光とがあり、それらは励起状態における一重項状態からの発光(蛍光)と、三重項状態からの発光(燐光)として理解されている。発光による輝度は数千〜数万cd/m2におよぶことから、原理的に表示装置などへの応用が可能であると考えられている。しかし、その一方で種々の劣化現象が存在し、実用化を妨げる問題として残っている。
有機化合物から成る発光体、或いは有機発光素子の劣化の要因として、(1)有機化合物の化学的な劣化(励起状態を経由)、(2)駆動時の発熱による有機化合物の溶融、(3)マクロな欠陥に由来する絶縁破壊(4)電極または電極/有機層界面の劣化、(5)有機化合物の非晶質構造における不安定性に起因する劣化、の5種類が考えられている。
上記(1)〜(3)は有機発光素子を駆動することにより劣化するものである。発熱は素子内の電流がジュール熱に変換されることにより必然的に発生する。有機化合物の融点またはガラス転移温度が低いと溶融することが考えられる。また、ピンホールや亀裂の存在によりその部分に電界が集中して絶縁破壊が起こる。(4)と(5)は室温で保存しても劣化が進行する。(4)はダークスポットとして知られ、陰極の酸化や水分との反応が原因である。(5)は有機発光素子に用いる有機化合物はいずれも非晶質材料であり、長期保存や経時変化、発熱により結晶化し、非晶質構造を安定に保存できるものは殆どないと考えられている。
ダークスポットは封止技術の向上によりかなり抑制されてきたが、実際の劣化は上記の要因が複合して発生するものであり、統一的に理解するのは困難な状況にある。典型的な封止技術は、基板上に形成された有機発光素子を封止材で密閉し、その空間に乾燥剤を設ける方法として知られている。しかし、定電圧を持続的に印加すると有機発光素子に流れる電流の低下と共に発光輝度が低下する現象は、有機化合物の物性に由来するものであると考えられている。
有機発光素子を形成するための有機化合物は、低分子系有機化合物と高分子系有機化合物の両者が知られている。低分子系有機化合物の一例は、正孔注入層として銅フタロシアニン(CuPc)芳香族アミン系材料であるα−NPD(4,4'-ビス-[N-(ナフチル)-N-フェニル-アミノ]ビフェニル)やMTDATA(4,4',4"-トリス(N-3-メチルフェニル-N-フェニル-アミノ)トリフェニルアミン)、発光層としてトリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)などが知られている。高分子有機発光材料では、ポリアニリンやポリチオフェン誘導体(PEDOT)などが知られている。
材料の多様性という観点からは、蒸着法で作製される低分子系有機化合物は高分子系有機系材料と比較して格段の多様性があるとされている。しかし、いずれにしても純粋に基本構成単位のみからできている有機化合物は希であり、異種の結合、不純物が製造過程で混入し、また顔料など種々の添加剤が加えられていることもある。また、これらの材料の中には水分により劣化する材料、酸化されやすい材料などが含まれている。水分や酸素などは大気中から容易に混入可能であり取り扱いには注意を要している。
有機化合物が光劣化を受けると、化学結合は二重結合、酸素を含んだ構造(−OH、−OOH、>C=O、−COOHなど)に変化することが知られている。従って、酸素を含む雰囲気中に有機化合物を置いた場合、または有機合物中に酸素やH2Oを不純物として含む場合には、結合状態が変化して劣化が促進すると考えられる。
半導体素子の一つであるダイオードに見られるように、半導体接合を有する半導体素子において、酸素を起因とする不純物は禁制帯中に局在準位を形成し、接合リークやキャリアのライフタイムを低下させる要因となり、半導体素子の特性を著しく低下させることが知られている。
図11は二次イオン質量分離法(SIMS)で測定される有機発光素子における酸素(O)、窒素(N)、水素(H)、珪素(Si)、銅(Cu)の深さ方向分布を示すグラフである。測定に用いた試料の構造は、トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)/カルバゾール系材料(Ir(ppy)3+CBP)/銅フタロシアニン(CuPc)/酸化物導電性材料(ITO)/ガラス基板である。Alq3には以下の化学式(化1)で示すように分子中に酸素が含まれている。
Figure 2005100992
一方、以下の化学式(化2、化3)で示すIr(ppy)3+CBPとCuPcには分子中には酸素は含まれない構造となっている。
Figure 2005100992
Figure 2005100992
図11で示す各元素の濃度分布において、Alq3の領域とITOのある領域で酸素濃度が高くなっているのはそのためである。一方、Ir(ppy)3+CBPとCuPcの層では酸素濃度は低下している。しかし、7×102count/sec程度でイオンが検出されており、本来酸素の存在がないはずの領域で酸素の存在を確認することができる。
酸素分子は、分子軌道の最高被占有準位(HOMO)が縮重しているので、基底状態で三重項状態の特異な分子である。通常、三重項から一重項の励起過程は禁制遷移(スピン禁制)となるため起こりにくく、そのため一重項状態の酸素分子は発生しない。しかしながら、酸素分子の周囲に一重項状態よりも高いエネルギー状態の三重項状励起状態の分子(3M*)が存在すると、以下のようなエネルギー移動が起こることにより、一重項状態の酸素分子が発生する反応を導くことができる。
Figure 2005100992
有機発光素子の発光層における分子の励起状態の内75%は三重項状態であると言われている。従って、有機発光素子内に酸素分子が混入している場合、数1のエネルギー移動により一重項状態の酸素分子が発生し得る。一重項励起状態の酸素分子はイオン的(電荷に偏りがある)性質を有するため、有機化合物に生じている電荷の偏りと反応する可能性が考えられる。
例えば、バソキュプロイン(以下、BCPと記している)においてメチル基は電子供与性であるため共役環に直接結合している炭素は正に帯電する。下記化4で示すようにイオン的性質を有する一重項酸素が正に帯電する炭素があると反応して、下記化5で示すようにカルボン酸と水素ができる可能性がある。その結果、電子輸送性が低下することが予想される。
Figure 2005100992
Figure 2005100992
このような考察を基にして、有機発光素子及びそれを用いた有機発光装置において、有機化合物中に含まれる酸素やH2Oなどの不純物が輝度の低下等、種々の劣化を起こす不純物であることを見出した。
本発明は、陰極と陽極との間に有機化合物から成る層を有する有機発光素子、及び当該有機発光素子を用いて構成される発光装置において、輝度の低下、ダークスポットなどの電極材料の劣化をもたらす酸素濃度を低減することを第1の目的とする。
有機発光素子を用いた好適な応用例は、当該有機発光素子で画素部を形成したアクティブマトリクス駆動方式の発光装置である。各画素には能動素子として薄膜トランジスタ(以下、TFTと記す)が設けられている。半導体膜を用いて形成されるTFTはアルカリ金属の汚染によりしきい値電圧などの特性値が変動することが知られている。本発明は、陰極に仕事関数の小さなアルカリ金属を用いる有機発光素子とTFTとを組み合わせて画素部を形成するための適した構造を提供することを第2の目的とする。
本発明は発光装置の劣化を防止するために、有機発光素子を形成する有機化合物中に含まれる酸素、H2Oなどの酸素を含む不純物を低減することを特徴としている。勿論、酸素、水素などは有機化合物の構成元素として含まれているが、本発明において有機化合物に対する不純物とは、本来の分子構造に含まれない外因性の不純物をいう。こうした不純物は原子状、分子状、遊離基、オリゴマーとして有機化合物中に存在していると推定している。
さらに、本発明は、アクティブマトリクス駆動をする発光装置において、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属がTFTを汚染してしきい値電圧の変動などを防ぐための構造を有していることを特徴としている。
本発明はかかる不純物を除去し、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層など有機発光素子を形成するために用いられる有機化合物から成る層に含まれる当該不純物濃度を、その平均濃度において5×1019/cm2以下、好ましくは1×1019/cm2以下に低減する。特に、発光層及びその近傍の酸素濃度を低減することが要求される。
有機発光素子が1000Cd/cm2の輝度で発光するとき、それを光子に換算すると1016個/sec・cm2の放出量に相当する。有機発光素子の量子効率を1%と仮定すると、必要な電流密度は100mA/cm2が要求される。非晶質半導体を用いた太陽電池やフォトダイオードなど半導体素子を基にした経験則に従えば、この程度の電流が流れる素子において良好な特性を得るためには、欠陥準位密度を1016個/cm3以下にする必要がある。その値を実現するたには、欠陥準位を形成する悪性の不純物元素の濃度を上記の様に5×1019/cm2以下、好ましくは1×1019/cm2以下に低減する必要がある。
有機発光素子を形成する有機化合物の不純物を低減するために、それを形成するための装置は以下の構成を備える。
低分子系有機化合物からなる層を形成するための蒸着装置では、成膜室内部の壁面を電解研磨により鏡面化し、ガスの放出量を低減する。成膜室に材質はステンレス鋼またはアルミニウムを用いる。内壁からのガス放出を防ぐという目的においては成膜室の外側にはヒーターを設けてベーキング処理を行う。ベーキング処理によりガス放出はかなり低減できるが、蒸着時には逆に冷媒で冷却することが好ましい。排気系はターボ分子ポンプとドライポンプを用い、排気系からの油蒸気の逆拡散を防止する。また、残留するH2Oを除去するためにクライオポンプを併設しても良い。
蒸発源は抵抗加熱型を基本とするが、クヌーセンセルを用いても良い。蒸着用材料は反応室に付随するロードロック式の交換室から搬入する。こうして、蒸着用材料の装着時に反応室の大気開放を極力さける。蒸発源は有機物材料が主であるが、蒸着前に反応室内部で昇華精製を行う。また、ゾーン精製法を適用しても良い。
反応室に導入する基板の前処理は、加熱によるガス放出処理やアルゴンを用いたプラズマ処理を行い、基板から放出される不純物を極力低減する。アクティブマトリクス駆動する発光装置では、有機発光素子を形成する基板には予めTFTが形成されている。当該基板の構成要素として、有機樹脂材料を用いた絶縁層などが適宣用いられている場合には、その部材からのガス放出を低減させておく必要がある。また、反応室に導入する窒素ガスやアルゴンガスは供給口で精製する。
一方、高分子系有機化合物から成る層を形成する場合には、重合度の制御を完全に行うことができないので分子量に幅が生じてしまい融点が一義的に決まらない場合がある。その場合には透析法や高速液体クロマトグラフィ法が適している。特に透析法ではイオン性不純物を効率良く取り除くには電気透析法が適している。
以上のような手段を用いることにより輝度の低下、ダークスポットなどの電極材料の劣化をもたらす酸素濃度を低減する。
こうして形成される有機発光素子で画素部を形成し、当該画素の各画素を能動素子により制御するアクティブマトリクス駆動方式では、その構造の一形態として、基板上に半導体膜、ゲート絶縁膜、ゲート電極を有するTFTが形成され、その上層に有機発光素子が形成されている。用いる基板の代表例はガラス基板であり、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスには微量のアルカリ金属が含まれている。半導体膜は下層側のガラス基板と上層側の有機発光素子からのアルカリ金属による汚染を防止するために、窒化珪素、酸化窒化珪素で被覆する。
一方、平坦化した表面に形成することが望ましい有機発光素子は、ポリイミドやアクリルなど有機樹脂材料から成る平坦化膜上に形成する。しかし、このような有機樹脂材料は吸湿性がある。酸素やH2Oで劣化する有機発光素子はガスバリア性のある窒化珪素、酸化窒化珪素、ダイアモンドライクカーボン(DLC)で被覆する。
図12は本発明のアクティブマトリクス駆動方式の発光装置の概念を説明する図である。発光装置1200の構成要素として、TFT1201と有機発光素子1202が同一の基板に形成されている。TFT1201の構成要素は半導体膜、ゲート絶縁膜、ゲート電極などであり、含まれる元素として珪素、水素、酸素、窒素、その他ゲート電極を形成する金属などがある。一方有機発光素子1202は有機化合物材料の主たる構成要素の炭素の他に、リチウムなどのアルカリ金属が元素として含まれている。
TFT1201の下層側(ガラス基板1203側)には、ブロッキング層として窒化珪素または酸化窒化珪素1205が形成されている。その反対の上層側には保護膜として酸化窒化珪素1206が形成されている。一方、有機発光素子1202の下層側には保護膜として窒化珪素または酸化窒化珪素1207が形成されている。上層側には保護膜としてDLC膜1208が形成される。そして、その両者の間には有機樹脂層間絶縁膜1204が形成され、一体化されている。TFT1201が最も嫌うナトリウムなどのアルカリ金属は、窒化珪素または酸化窒化珪素1205及び酸化窒化珪素1206でブロッキングしている。一方、有機発光素子1202は酸素やH2Oを最も嫌うため、それをブロッキングするために窒化珪素または酸化窒化珪素1207及びDLC膜1208が形成されてい
る。また、これらは有機発光素子1202が有するアルカリ金属元素を外に出さないための機能も有している。
このようにTFTと有機発光素子を組み合わせて構成される発光装置は、不純物汚染に対する相反する性質を満足させるために、酸素、H2Oに対するブロッキング性を有する絶縁膜を巧みに組み合わせて形成することで不純物の相互汚染による劣化を防止する。
尚、本明細書において発光装置とは、上記発光体を用いた装置全般を指して言う。また、陽極と陰極の間に前記発光体を含む層を有する素子(以下、発光素子と呼ぶ)にTAB(Tape Automated Bonding)テープ若しくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線基板が設けられたモジュール、または、発光素子が形成されている基板にCOG(Chip On Glass)方式によりICが実装されたモジュールも全て発光装置の範疇に含むものとする。
また、本明細書でいう不純物元素としての酸素濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)で測定される最低濃度を指していう。
以上説明したように、本発明を用いることにより、有機発光素子の正孔注入層、正孔輸送層、発光層などの機能を有する有機化合物からなる層の不純物元素としての酸素濃度を5×1019/cm3以下、好ましくは1×1019/cm3以下に減じることができる。本発明で開示する有機化合物の成膜装置及び成膜方法は、有機化合物に含まれる不純物元素を前記のレベルにまで低減することを可能とする。そのことにより、発光装置の劣化を低減させることができる。
また、本発明は、TFTの主要構成要素である半導体膜、ゲート絶縁膜及びゲート電極は、その下層側及び上層側を窒化珪素または酸化窒化珪素から成るブロッキング層と保護膜により囲むことにより、アルカリ金属や有機物の汚染を防ぐ構造を有している。一方有機発光素子はアルカリ金属を一部に含み、窒化珪素または酸化窒化珪素から成る保護膜と、窒化珪素または炭素を主成分とする絶縁膜から成るガスバリア層とで囲まれ、外部から酸素やH2Oが浸入することを防ぐ構造を実現する。そして、不純物に対する特性の異なる素子を組合せ、お互いが干渉することなく発光装置を完成させることができる。
勿論、本発明はアクティブマトリクス駆動方式の発光装置のみならずパッシブマトリクス駆動方式の発光装置においても、有機発光素子の劣化を抑制することができる。
[実施の形態1]
有機化合物に含まれる酸素、H2Oなどの不純物濃度を低減することが可能な有機発光素子製造装置の一例について図1を用いて説明する。図1は、有機化合物から成る層や陰極の形成及び封止を行う装置を示している。搬送室101は、ロード室104、前処理室105、中間室106、成膜室(A)〜成膜室(C)107〜109とゲート100a〜100fを介して連結されている。前処理室105は被処理基板のガス放出処理及び、表面改質を目的として設けられ、真空中での加熱処理や不活性ガスを用いたプラズマ処理が可能となっている。
成膜室(A)107、成膜室(B)108は蒸着法により主に低分子の有機化合物からなる被膜を形成するための処理室であり、成膜室109はアルカリ金属を含む陰極を蒸着法により成膜するための処理室となっている。成膜室(A)107〜成膜室(C)109には蒸発源に蒸着用材料を装填する材料交換室112〜114がゲート100h〜100jを介して接続されている。材料交換室112〜114は、成膜室(A)107〜成膜室(C)109を大気開放することなく蒸着用材料を充填するために用いる。
最初、被膜を堆積する基板103はロード室104に装着され、搬送室101にある搬送機構(A)102により前処理室や各成膜室に移動する。ロード室104、搬送室101、前処理室105、中間室106、成膜室(A)107〜成膜室(C)109、材料交換室112〜114は排気手段により減圧状態に保たれている。排気手段は大気圧から1Pa程度をオイルフリーのドライポンプで真空排気し、それ以上の圧力は磁気浮上型のターボ分子ポンプまたは複合分子ポンプにより真空排気する。成膜室にはH2Oを除去するためにクライオポンプを併設しても良い。こうして排気手段からの油蒸気の逆拡散を防止する。
これら真空排気される部屋の内壁面は、電解研磨により鏡面処理し、表面積を減らしてガス放出を防いでいる。材質はステンレス鋼またはアルミニウムを用いる。内壁からのガス放出を低減するという目的においては成膜室の外側にはヒーターを設けてベーキング処理を行うことが望ましい。ベーキング処理によりガス放出はかなり低減できる。さらにガス放出による不純物汚染を防止するには、蒸着時に冷媒を用いて冷却すると良い。こうして、1×10-6Paまでの真空度を実現する。
中間室106はスピナー111が備えられた塗布室110とゲート100gを介して接続されている。塗布室110では主に高分子材料から成る有機化合物の被膜をスピンコート法で形成するための処理室であり大気圧でこの処理は行われる。そのため、基板の搬出と搬入は中間室106を介して行い、基板が移動する側の部屋と同じ圧力に調節することにより行う。塗布室に供給する高分子系有機材料は、透析法、電気透析法、高速液体クロマトグラフで精製して供給する。精製は供給口で行う。
成膜室に導入する基板の前処理は、前処理室105において加熱によるガス放出処理とアルゴンプラズマによる表面処理を行い、基板から放出される不純物を極力低減する。特に基板に有機樹脂材料から成る層間絶縁膜または、パターンが形成されている場合には、当該有機樹脂材料が吸蔵しているH2Oなどが、減圧下で放出されるため、反応室内部を汚染してしまう。そのために、前処理室105で基板を加熱してガス放出処理を行い、或いはプラズマ処理を行い表面を緻密化することでガス放出量を低減させる。ここで、反応室に導入する窒素ガスやアルゴンガスは、ゲッター材を用いた精製手段で精製する。
蒸着法は抵抗加熱型であるが、高精度に温度制御し、蒸発量を制御するためにクヌーセンセルを用いても良い。蒸着用材料は反応室に付随する専用の材料交換室から導入する。こうして、反応室の大気開放を極力さける。成膜室を大気開放することにより、内壁にはH2Oをはじめ様々なガスが吸着し、これが真空排気をすることにより再度放出される。吸着したガスの放出が収まり真空度が平衡値に安定するまでの時間は、数十〜数百時間を要する。そのために成膜室の壁をベーキング処理してその時間を短縮させている。しかし、繰り返し大気開放することは効率的な手法ではないので、図1に示すように専用の材料交換室を設けることが望ましい。蒸発源は有機物材料が主であるが、蒸着前に反応室内部で昇華精製を行う。また、ゾーン精製法を適用しても良い。
一方、ロード室104で区切られた封止室115は、陰極の形成まで終了した基板を大気に曝すことなく封止材で封止するための加工を行う。封止材を紫外線硬化樹脂で固定する場合には、紫外線照射機構116を用いる。受渡室117には搬送機構(B)118が設けられ、封止室115で封止まで終了した基板を保存しておく。
図2は搬送室101、前処理室105、成膜室(A)107の詳細な構成を説明する図である。搬送室101には搬送機構102が設けられている。搬送室101の排気手段は、磁気浮上型の複合分子ポンプ又はターボ分子ポンプ207aとドライポンプ208aで行う。前処理室105と成膜室107はそれぞれゲート100b、100dで搬送室101と連結されている。前処理室105には、高周波電源202が接続された高周波電極201が設けられ、基板103は基板加熱手段214a、214bが備えられた対向電極に保持される。基板103に吸着した水分などの不純物は、基板加熱手段214a、214bにより50〜120℃程度に真空中で加熱することにより脱離させることができる。前処理室105に接続するガス導入手段はシリンダー216a、流量調節器216b、ゲッター材などによる精製器203から成っている。
プラズマによる表面処理はヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの不活性ガス、または不活性ガスと水素を混合したガスを精製器203により精製し、高周波電力を印加してプラズマ化した雰囲気中に基板を曝すことにより行う。用いるガスの純度はCH4、CO、CO2、H2O、O2の濃度のそれぞれが2ppm以下、好ましくは1ppm以下とすることが望ましい。
排気手段は、磁気浮上型の複合分子ポンプ207bとドライポンプ208bにより行う。表面処理時における前処理室105内の圧力制御は排気手段に備えられた制御弁により排気速度をコントロールして行う。
成膜室107は蒸発源211、吸着板212、シャッター218、シャドーマスク217が備えられている。基板103はシャドーマスク217上に備えられている。シャッター218は開閉式に、蒸着時に開く。蒸発源211及び吸着板212は温度が制御されるものであり、加熱手段213d、213eとそれぞれ接続している。排気系はターボ分子ポンプ207cとドライポンプ208cであり、さらにクライオポンプ209を加えて、成膜室内の残留水分を除去することを可能としている。成膜室はベーキング処理を行い成膜室の内壁からのガス放出量を低減することが可能となっている。ベーキング処理は50〜120℃程度に成膜室を加熱しながらターボ分子ポンプまたはクライオポンプが接続された排気系で真空排気をする。その後、反応室を室温または、冷媒により液体窒素温度程度にまで冷却することにより1×10-6Pa程度まで真空排気することを可能としている。
ゲート100hで区切られた材料交換室112には蒸発源210、211が備えられて、加熱手段213a、213bにより温度が制御される仕組みとなっている。排気系には、ターボ分子ポンプ207dとドライポンプ208dを用いる。蒸発源211は材料交換室112と成膜室107との間を移動可能であり、供給する蒸着用材料の精製を行う手段として用いる。
蒸着用材料の精製方法に限定はないが、成膜装置内においてその場で行うには昇華精製法を採用することが好ましい。勿論、その他にもゾーン精製法を行っても良い。図3と図4は図2で説明する成膜装置内で昇華精製を行う方法を説明する図である。
有機発光素子を形成するための有機化合物は酸素やH2Oによって劣化しやすいものが多い。特に低分子系有機化合物はその傾向が強い。従って、当初十分に精製され高純度化されているとしても、その後の取り扱いにより容易に酸素やH2Oを取り込んでしまう可能性がある。前述の如く、有機化合物に取り込まれた酸素は、分子の結合状態を変化させてしまう悪性の不純物と考えられる。それが有機発光素子の経時変化をもたらし特性を劣化させる原因となる。
図3は有機化合物材料の昇華精製の概念を説明する図である。本来目的とする有機化合物をM2とし、ある一定圧力下での蒸気圧は温度T1とT2の間にあるものとする。T1以下に高い蒸気圧を有するものはM1とし、H2Oなどの不純物がそれに該当する。また、T2以上に高い蒸気圧を有するM3は、遷移金属、有機金属などの不純物がそれに該当する。
このように、蒸気圧の異なるM1、M2、M3を含む材料を図4(A)に示すように、第1蒸発源210に入れT2よりも低い温度で加熱する。第1蒸発源からから昇華する材料はM1とM2であり、この時その上方に第2蒸発源211を設けておきT1よりも低い温度に保持しておくと、そこに吸着させることができる。次に、図4(B)に示すように第2蒸発源211をT1の温度に加熱するとM1が昇華し、吸着板212に吸着する。第2蒸発源211にはM1とM3が除去され、M2が残る。その後、図4(C)に示すように第2蒸発源211をT2程度の温度に加熱して基板上に有機化合物の層を形成する。
図4で示す昇華精製の工程は、図2で説明した成膜装置の材料交換室112と成膜室107内で行うことができる。成膜室内の清浄度は、内壁の鏡面仕上げやターボ分子ポンプやクライオポンプで排気することにより高められているので、基板上に蒸着された有機化合物中の酸素濃度は1×1019/cm3以下、好適には1×1019/cm3以下に低減させることができる。
[実施の形態2]
実施の形態1において示す成膜装置を用いて作製される有機発光素子は、その構造に限定される事項はない。有機発光素子は透光性の導電膜から成る陽極と、アルカリ金属を含む陰極と、その間に有機化合物から成る層をもって形成される。有機化合物から成る層は一層または複数の層から成っている。各層はその目的と機能により、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などと区別して呼ばれている。これらは、低分子系有機化合物材料または、高分子系有機化合物材料のいずれか、或いは、両者を適宣組み合わせて形成することが可能である。
正孔注入層や正孔輸送層は、正孔の輸送特性に優れる有機化合物材料が選択され、代表的にはフタロシアニン系や芳香族アミン系の材料が採用される。また、電子注入層には電子輸送性の優れる金属鎖体などが用いられている。
図5に有機発光素子の構造の一例を示す。図5(A)は低分子有機化合物による有機発光素子の一例であり、酸化インジウム・スズ(ITO)で形成される陽極300、銅フタロシアニン(CuPc)で形成される正孔注入層301、芳香族アミン系材料であるMTDATA及びα−NPDで形成される正孔輸送層302、303、トリス−8−キノリノラトアルミニウム錯体(Alq3)で形成される電子注入層兼発光層304、イッテルビウム(Yb)から成る陰極305が積層されている。Alq3は一重項励起状態からの発光(蛍光)を可能としている。
輝度を高めるには三重項励起状態からの発光(燐光)を利用することが好ましい。図5(B)にそのような素子構造の一例を示す。ITOで形成される陽極310、フタロシアニン系材料であるCuPcで形成される正孔注入層311、芳香族アミン系材料であるα−NPDで形成される正孔輸送層312上にカルバゾール系のCBP+Ir(ppy)3を用いて発光層313を形成している。さらにバソキュプロイン(BCP)を用いて正孔ブロック層314を形成し、Alq3による電子注入層315、イッテルビウム(Yb)又はリチウムなどのアルカリ金属を含む陰極316が形成された構造を有している。
上記二つの構造は低分子系有機化合物を用いた例であるが、高分子系有機化合物と低分子系有機化合物を組み合わせた有機発光素子を実現することができる。図5(C)はその一例であり、ITOで形成される陽極上320上に高分子系有機化合物のポリチオフェン誘導体(PEDOT)により正孔注入層321を形成し、α−NPDによる正孔輸送層322、CBP+Ir(ppy)3による発光層323、BCPによる正孔ブロック層324、Alq3による電子注入層325、イッテルビウム(Yb)又はリチウムなどのアルカリ金属を含む陰極316が形成されている。正孔注入層をPEDOTに変えることにより、正孔注入特性が改善され、発光効率を向上させることができる。
発光層としてカルバゾール系のCBP+Ir(ppy)3は三重項励起状態からの発光(燐光)を得ることができる有機化合物である。トリプレット化合物は、としては以下の論文に記載の有機化合物が代表的な材料として挙げられる。(1)T.Tsutsui, C.Adachi, S.Saito, Photochemical Processes in Organized Molecular Systems, ed.K.Honda, (Elsevier Sci.Pub., Tokyo,1991) p.437.(2)M.A.Baldo, D.F.O'Brien, Y.You, A.Shoustikov, S.Sibley, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Nature 395 (1998) p.151.この論文には次の式で示される有機化合物が開示されている。(3)M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest, Appl.Phys.Lett.,75 (1999) p.4.(4)T.Tsutsui, M.-J.Yang, M.Yahiro, K.Nakamura, T.Watanabe, T.tsuji, Y.Fukuda, T.Wakimoto, S.Mayaguchi, Jpn.Appl.Phys., 38 (12B) (1999) L1502.
また、上記論文に記載された発光性材料だけでなく、次の分子式で表される発光性材料(具体的には金属錯体もしくは有機化合物)を用いることが可能であると考えている。
Figure 2005100992
Figure 2005100992
上記分子式において、Mは周期表の8〜10族に属する元素である。上記論文では、白金、イリジウムが用いられている。また、本発明者はニッケル、コバルトもしくはパラジウムは、白金やイリジウムに比べて安価であるため、EL表示装置の製造コストを低減する上で好ましいと考えている。特に、ニッケルは錯体を形成しやすいため生産性も高く好ましいと考えられる。いずれにしても、三重項励起状態かからの発光(燐光)は、一重項励起状態からの発光(蛍光)よりも発光効率が高く、同じ発光輝度を得るにも動作電圧(有機発光素子を発光させるに要する電圧)を低くすることが可能である。
フタロシアニン系のCuPc、芳香族アミン系のα−NPD、MTDATA、カルバゾール系のCBPなどはいずれも分子に酸素が含まれない有機化合物である。このような有機化合物中に酸素またはH2Oが混入することにより、化4と化5を用いて説明したような結合状態の変化が起こり、正孔輸送特性や発光特性を劣化させる。このような有機化合物の層の形成において、実施の形態1において図1〜3を用いて説明した成膜装置及び成膜方法を採用する。そのことにより、発光素子中の酸素濃度を1×1019/cm3以下、或いは、フタロシアニン系または芳香族アミン系の正孔注入層または正孔輸送層、カルバゾール系発光層を有する有機発光素子において、正孔注入層または正孔輸送層及びその近傍の酸素濃度を1×1019/cm3以下にすることができる。
[実施の形態3]
図6はアクティブマトリクス駆動方式の発光装置の構造を示す一例である。TFTは画素部とその周辺の各種の機能回路に設けられる。TFTのチャネル形成領域を形成する半導体膜の材質は、非晶質珪素または多結晶珪素が選択可能であるが、本発明はどちらを採用しても構わない。
基板601はガラス基板または有機樹脂基板が採用される。有機樹脂材料はガラス材料と比較して軽量であり、発光装置自体の軽量化に有効に作用する。発光装置を作製する上で適用できるものとしては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アラミドなどの有機樹脂材料を用いることができる。ガラス基板は無アルカリガラスと呼ばれる、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスを用いることが望ましい。ガラス基板の厚さは0.5〜1.1mmのものが採用されるが、軽量化を目的とすると厚さは薄くする必要がある。また、さらに軽量化を図るには比重が2.37g/ccと小さいものを採用することが望ましい。
図6では駆動回路部650にnチャネル型TFT652とpチャネル型TFT653が形成され、画素部651にはスイッチング用TFT654、電流制御用TFT655が形成されている様子を示している。これらのTFTは、窒化珪素または酸化窒化珪素(SiOxyで表される)から成る第1絶縁層602上に半導体膜603〜606、ゲート絶縁膜607、ゲート電極608〜611などを用いて形成されている。
ゲート電極の上層には、窒化珪素、酸化窒化珪素からなる第2絶縁層618が形成され、保護膜として用いられている。さらに平坦化膜として、ポリイミドまたはアクリルから成る有機絶縁膜619が形成されている。この有機絶縁膜は吸湿性があるので、H2Oを吸蔵する性質を持っている。そのH2Oが再放出されると、有機化合物に酸素を供給し、有機発光素子を劣化させる原因となるので、H2Oの吸蔵及び再放出を防ぐために、有機絶縁膜619の上に窒化珪素または酸化窒化珪素から成る第3絶縁膜620を形成する。
駆動回路部650の回路構成は、ゲート信号側駆動回路とデータ信号側駆動回路とで異なるがここでは省略する。nチャネル型TFT652及びpチャネル型TFT653には配線612、613が接続され、これらのTFTを用いて、シフトレジスタやラッチ回路、バッファ回路などが形成することが可能である。
画素部651では、データ配線614がスイッチング用TFT654のソース側に接続し、ドレイン側の配線615は電流制御用TFT655のゲート電極611と接続している。また、電流制御用TFT655のソース側は電源供給配線617と接続し、ドレイン側の電極616がEL素子の陽極と接続するように配線されている。
有機発光素子656は、保護絶縁膜620上に形成され、ITO(酸化インジウム・スズ)で形成される陽極621、正孔注入層、正孔輸送層、発光層などを含む有機化合物層623、MgAgやLiFなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属などの材料を用いて形成される陰極624とから成っている。有機発光素子の構造は任意なものとするが、図5で示す構造を採用することができる。バンク622はポリイミドやアクリルなどの有機樹脂で形成する。バンク622は1μm程度の厚さで形成し、その端部をテーパー形状となるように形成する。TFTの配線と陽極621の端部を覆うように形成され、この部分で陰極と陽極とがショートすることを防ぐために設ける。
しかし、バンクを形成するポリイミドなどは吸湿性を有するため、アルゴンを用いたプラズマ処理で表面を緻密化して、H2Oなどを吸蔵しないように表面を改質する。こうして、バンクから再放出されるガス量を低下させ、有機化合物が劣化しないようにする。
有機発光素子の陰極624は、仕事関数の小さいマグネシウム(Mg)、リチウム(Li)若しくはカルシウム(Ca)を含む材料を用いる。好ましくはMgAg(MgとAgをMg:Ag=10:1で混合した材料)でなる電極を用いれば良い。他にもMgAgAl電極、LiAl電極、また、LiFAl電極が挙げられる。さらにその上層には、窒化珪素または、DLC膜で第3絶縁膜625を形成する。DLC膜は酸素をはじめ、CO、CO2、H2Oなどのガスバリア性が高いことが知られている。保護膜625は、陰極624を形成した後、大気解放しないで連続的に形成することが望ましい。保護膜625の下層には窒化珪素のバッファ層があっても良い。陰極624と有機化合物層623との界面状態は有機発光素子の発光効率に大きく影響するからである。
図6ではスイッチング用TFT654をマルチゲート構造とし、電流制御用TFT655にはゲート電極とオーバーラップする低濃度ドレイン(LDD)を設けている。多結晶珪素を用いたTFTは、高い動作速度を示すが故にホットキャリア注入などの劣化も起こりやすい。そのため、図6のように、画素内において機能に応じて構造の異なるTFT(オフ電流の十分に低いスイッチング用TFTと、ホットキャリア注入に強い電流制御用TFT)を形成することは、高い信頼性を有し、且つ、良好な画像表示が可能な(動作性能の高い)表示装置を作製する上で非常に有効である。
図6で示すように、TFT654、655を形成する半導体膜の下層側(基板601側)には、第1絶縁膜602が形成されている。その反対の上層側には第2絶縁膜618が形成されている。一方、有機発光素子656の下層側には第3絶縁膜620が形成されている。上層側には第4絶縁膜625が形成される。そして、その両者の間には有機発光素子656が形成され、第3絶縁膜620と保護膜625に挟まれて一体化されている。TFT654、655が最も嫌うナトリウムなどのアルカリ金属は、汚染源として基板601や有機発光素子656が考えられるが、第1絶縁膜602と第2絶縁膜618で囲むことによりブロッキングしている。一方、有機発光素子656は酸素やH2Oを最も嫌うため、それをブロッキングするために第3絶縁膜620、第4絶縁膜625が形成されている。これらは有機発光素子656が有するアルカリ金属元素を外に出さないため
の機能も有している。
また、ポリイミドなど有機樹脂の吸湿とガスの再放出を防ぐための他の形態は図7に示されている。陽極621を形成した後、バンク622を形成する。その後、スパッタ法またはプラズマCVD法で窒化珪素膜からなるガスバリア層630を形成する。窒化珪素膜は最初全面に形成されるので、エッチング処理により陽極621の表面を露出させる。その後、有機化合物層623、陰極624を形成することにより有機発光素子656が完成する。図示しないが更に陰極624上には窒化酸化珪素又はDLC膜で保護膜を形成する。好ましくは陰極を形成した後、大気開放せずに連続して保護膜を形成するのが良い。また、保護膜を形成する下地として窒化珪素膜を形成しておいても良い。
さらに、図6で示すような構造の有機発光装置において、効率的な作製方法の一例は、第3絶縁膜620、ITOに代表される透明導電膜で作製される陽極621をスパッタ法により連続成膜する工程を採用できる。有機絶縁膜619の表面に著しいダメージを与えることなく、緻密な窒化珪素膜または酸化窒化珪素膜を形成するにはスパッタ法は適している。
以上のように、TFTと有機発光装置を組み合わせて画素部を形成し、発光装置を完成させることができる。このような発光装置はTFTを用いて駆動回路を同一基板上に形成することもできる。図6または図7で示すように、TFTの主要構成要素である半導体膜、ゲート絶縁膜及びゲート電極を、その下層側及び上層側を窒化珪素または酸化窒化珪素から成るブロッキング層と保護膜により囲むことにより、アルカリ金属や有機物の汚染を防ぐ構造を有している。一方有機発光素子はアルカリ金属を一部に含み、窒化珪素または酸化窒化珪素またはDLC膜から成る保護膜と、窒化珪素または炭素を主成分とする絶縁膜から成るガスバリア層とで囲まれ、外部から酸素やH2Oが浸入することを防ぐ構造を有している。
このように、本発明は不純物に対する特性の異なる素子を組合せ、お互いが干渉することなく発光装置を完成させる技術を提供している。
[実施の形態4]
実施の形態3ではトップゲート型のTFT構造で説明したが、勿論ボトムゲート型或いは逆スタガ型のTFTを適用することも可能である。図8は画素部751に逆スタガ型のTFTにより、スイッチング用TFT754、電流制御用TFT755を形成している。基板701上にはモリブデンまたはタンタルなどで形成されるゲート電極702、703と配線704が形成され、その上にゲート絶縁膜として機能する第1絶縁膜705が形成されている。第1絶縁膜は100〜200nmの厚さで酸化珪素または窒化珪素などを用いて形成する。
半導体膜706、707にはチャネル形成領域の他ソース又はドレイン領域、LDD領域が形成されている。これらの領域を形成し、またチャネル形成領域を保護する都合上、絶縁膜708、709が設けられている。第2絶縁膜710は窒化珪素または酸化窒化珪素で形成され、半導体膜がアルカリ金属や有機物などにより汚染されないように設ける。さらに、ポリイミドなどの有機樹脂材料から成る平坦化膜711を形成する。その上には窒化珪素または酸化珪素から成る第3絶縁膜712を形成する。配線713〜716は第3絶縁膜712上に形成されている。
有機発光素子756の陽極717は第3絶縁膜712上に形成され、その後ポリイミドによりバンク718を形成する。バンク718の表面は図6のようにアルゴンによるプラズマ前処理を行い緻密化を行っても良いが、図8で示すように窒化珪素膜から成るガスバリア層719を形成してガス放出防止処理をしても良い。有機化合物層720、陰極721、第4絶縁膜の構成も実施の形態2と同様であり、こうして逆スタガ型のTFTを用いて発光装置を完成させることができる。
また、逆スタガ型のTFTを用いて駆動回路を同一基板上に形成することもできる。図8で示すように、TFTの主要構成要素である半導体膜は、その下層側及び上層側を窒化珪素または酸化窒化珪素から成る第1絶縁膜と第2絶縁膜で囲むことにより、アルカリ金属や有機物の汚染を防ぐ構造を有している。一方有機発光素子はアルカリ金属を一部に含み、第3絶縁膜と第4絶縁膜とにより、外部から酸素やH2Oが浸入することを防ぐ構造を有している。このように、逆スタガ型のTFTを用いても、不純物に対する特性の異なる素子を組合せ、お互いが干渉することなく発光装置を形成する技術を提供している。
[実施の形態5]
実施の形態3または4で形成される有機発光素子を封止する構造を図9に示す。図9はTFTを用いて駆動回路408と画素部409が形成された素子基板401と、封止基板402とがシール材405で固定されている状態を示している。保護膜406は窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、DLC膜で形成されている。また、保護膜406の下にバッファ層として窒化珪素膜があっても良い。素子基板401と封止基板402との間の封止領域内には有機発光素子403が形成され、乾燥剤は駆動回路408上または、シール材405が形成された近傍に設けられていても良い。
封止基板にはポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、アラミドなどの有機樹脂材料を用いる。基板の厚さは30〜120μm程度のものを採用し、可撓性を持たせる。端部にガスバリア層としDLC膜407を形成している。但し、DLC膜は外部入力端子404には形成されていない。シール材にはエポキシ系接着剤が用いられる。DLC膜407をシール材405に沿って、かつ、素子基板401と封止基板402の端部に沿って形成することで、この部分から浸透する水蒸気を防ぐことができる。
図10はこのような表示装置の外観を示す図である。画像を表示する方向は有機発光素子の構成によって異なるが、ここでは上方に光が放射して表示が成される。図10で示す構成は、TFTを用いて駆動回路部408及び画素部409が形成された素子基板401と封止基板402がシール材405により貼り合わされている。また、この駆動回路部408の他に、ビデオ信号に補正を加えたりビデオ信号を記憶する信号処理回路606を設けても良い。素子基板401の端には、入力端子404が設けられこの部分でFPC(Flexible Print Circuit)が接続される。入力端子404には外部回路から画像データ信号や各種タイミング信号及び電源を入力する端子が500μmピッチで設けられている。そして、配線410で駆動回路部と接続されている。また、必要に応じてCPU、メモリーなどを形成したICチップ411がCOG(Chip on Glass)法などにより素子基板401に実装されていても良い。
シール材に隣接した端部にはDLC膜が形成されシール部分から水蒸気や酸素などが浸入し、有機発光素子が劣化することを防いでいる。素子基板401や封止基板402に有機樹脂材料を用いる場合には、入力端子部を省く全面にDLC膜が形成されていても良い。DLC膜を成膜するとき、入力端子部はマスキングテープやシャドーマスクを用いて、予め被覆しておけば良い。
以上のようにして、実施の形態3または4で形成される有機発光素子を封止して発光装置を形成することができる。TFT及び有機発光素子はいずれも絶縁膜で囲まれ、外部から不純物が浸入しない構造となっている。さらに封止材を用いて素子基板と貼り合わせ、その端部をDLCで覆うことにより気密性が向上し、発光装置の劣化を防止することができる。
本発明の成膜装置の構成を説明する図。 本発明の成膜装置の構成を説明する図。 有機化合物材料に含まれる不純物とその蒸気圧の関係を説明する図。 成膜装置内で昇華精製を行う方法を説明する図。 有機発光素子の構造を説明する図。 画素部及び駆動回路部を備えた有機発光装置の構造を説明する部分断面図。 有機発光装置の画素部の構造を説明する部分断面図。 有機発光装置の画素部の構造を説明する部分断面図。 有機発光装置の構造を説明する断面図。 有機発光装置の外観を説明する斜視図。 SIMS測定により得られるAlq3/Ir(ppy)3+CBP/CuPc/ITO構造を有する試料の各元素の深さ方向分布を示すグラフ。 本発明の発光装置の概念を説明する図。
符号の説明
101 搬送室
105 前処理室
107 成膜室
112 材料交換室
207a〜207d ターボ分子ポンプまたは複合分子ポンプ
208a〜208d ドライポンプ

Claims (5)

  1. 薄膜トランジスタを構成する半導体層の上層側及び下層側に、アルカリ金属に対してブロッキング性のある絶縁層が形成され、
    有機化合物の層を含んで構成される発光素子の上層側及び下層側に、酸素、H2Oに対してブロキング性のある絶縁層が形成され、
    前記薄膜トランジスタと、前記発光素子が、有機樹脂層間絶縁膜を介して設けられていることを特徴とする発光装置。
  2. 薄膜トランジスタを構成する半導体層の上層側及び下層側に、アルカリ金属に対してブロッキング性のある窒化珪素または窒化酸化珪素の層が形成され、
    有機化合物の層を含んで構成される発光素子の上層側及び下層側に、酸素、H2Oに対してブロッキング性のある窒化珪素、酸化窒化珪素またはダイアモンドライクカーボンの層が形成され、
    前記薄膜トランジスタと、前記発光素子が、有機樹脂層間絶縁膜を介して設けられていることを特徴とする発光装置。
  3. 請求項1または請求項2において、前記薄膜トランジスタと、前記発光素子との間に、有機樹脂層間絶縁膜が形成され一体化されていることを特徴とする発光装置。
  4. 窒化珪素または酸化窒化珪素で形成される第1絶縁層と、酸化窒化珪素で形成される第2絶縁層との間に、薄膜トランジスタを構成する半導体層を有し、
    窒化珪素または酸化窒化珪素で形成される第3絶縁層と、窒化珪素または炭素を成分とする被膜で形成される第4絶縁層との間に、有機化合物の層を含んで構成される発光素子を有し、
    前記第2絶縁層と、前記第3絶縁層との間に、有機樹脂層間絶縁膜が介在していることを特徴とする発光装置。
  5. 窒化珪素または酸化窒化珪素で形成される第1絶縁層と、酸化窒化珪素で形成される第2絶縁層との間に、薄膜トランジスタを構成する半導体層を有し、
    窒化珪素または酸化窒化珪素で形成される第3絶縁層と、窒化珪素または炭素を成分とする被膜で形成される第4絶縁層との間に、陽極と、有機化合物の層と、陰極とを含んで構成される発光素子を有し、
    前記第2絶縁層と、前記第3絶縁層との間に、有機樹脂層間絶縁膜が介在していることを特徴とする発光装置。
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