JP2005145802A - Mn−Zn系フェライトおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 比初透磁率μirが3000以上と大きく、−40℃〜100℃に亘る広い温度範囲において、比初透磁率μirの温度変化が小さいMn-Zn系フェライトを提供する。
【解決手段】 原料として、レーザー回折により測定した粒度分布から求めたメディアン径が0.6μm以下、かつ上記粒度分布における10%累積径と上記メディアン径との差が該メディアン径の2.0倍以下で、比表面積から求めた1次粒子径が0.1μm以下の微粒子である酸化鉄を用い、この酸化鉄とMnOおよびZnOとの混合物を仮焼し、その後、成形、焼成することにより、Fe2O3:52〜53mol%、ZnO:20〜22mol%、残部が主としてMnOからなる組成を有し、かつ、25℃、10kHzでの比初透磁率が3000〜4500、−40〜100℃における比初透磁率の変動係数が10%以下の特性を示すフェライトを得る。
【選択図】 図1
【解決手段】 原料として、レーザー回折により測定した粒度分布から求めたメディアン径が0.6μm以下、かつ上記粒度分布における10%累積径と上記メディアン径との差が該メディアン径の2.0倍以下で、比表面積から求めた1次粒子径が0.1μm以下の微粒子である酸化鉄を用い、この酸化鉄とMnOおよびZnOとの混合物を仮焼し、その後、成形、焼成することにより、Fe2O3:52〜53mol%、ZnO:20〜22mol%、残部が主としてMnOからなる組成を有し、かつ、25℃、10kHzでの比初透磁率が3000〜4500、−40〜100℃における比初透磁率の変動係数が10%以下の特性を示すフェライトを得る。
【選択図】 図1
Description
本発明は、各種トランスやノイズフィルタ、センサ等に用いられる、広い温度範囲で比初透磁率μirが高く、かつその温度変化が小さいMn-Zn系フェライトに関するものである。なお、上記比初透磁率μirは、μir=μi /μ0(但し、μi はSI単位での初透磁率、μ0 は真空の透磁率)で定義され、以後、「μir」とも略記する。
Mn-Zn系フェライトは、Fe2O3,ZnOおよびMnOを主成分として構成されており、磁気異方性定数と磁歪定数が零となるような主成分組成において高い比初透磁率を発現する。そこで、Mn-Zn系フェライトは、この比初透磁率が高いという特性を活かして、トランスやノイズフィルタ、センサ等の磁心として用いられ、これらの電子部品の小型化、薄型化に寄与している。
中でも、ISDN等デジタル通信機器のインターフェイス部のパルストランスに使用されるMn-Zn系フェライトは、特に高い比初透磁率が要求されており、室温でのμirが10000以上のものも使用されている。さらに、このパルストランスは、公衆電話や回線終端装置に使用される場合には、屋外や軒下に設置されることがあるため、低温から高温まで高い比初透磁率であることが求められ、特に、最近では、−40℃の低温から100℃という高温までの広い温度範囲で高い比初透磁率であることが要求されている。
しかし、従来のMn-Zn系フェライトは、そのほとんどが室温付近以上の温度で使用されることを前提にして設計されており、室温付近で磁気異方性定数と磁歪定数が零となり高い比初透磁率を発現するような組成のものが用いられている。そのため、従来のMn-Zn系フェライトの比初透磁率の温度曲線は、キュリー温度直上で磁気異方性定数が急激に小さくなることによるピーク(プライマリーピーク)と室温付近で磁気異方性定数と磁歪定数が小さくなることによるピーク(セカンダリーピーク)の2つのピークを示す。
そこで、広い温度範囲で高い比初透磁率を確保するために、上記セカンダリーピークの高さを高くするか、あるいは、セカンダリーピークの発生温度を室温より低温側にずらすような検討がなされている。しかし、室温付近の比初透磁率を高めることは、逆に低温域(−40〜0℃程度)の比初透磁率の著しい低下を招く。そのため、低温域でのインダクタンスを確保するために巻線数を増やすか、あるいは、低温域での比初透磁率を高めるために室温での比初透磁率が必要以上に高いものを使う必要があり、非効率的であった。
上記問題に対しては、例えば、特許文献1には、Mn-Zn系フェライトの主成分であるFe2O3、ZnOおよびMnOの組成範囲を限定し、セカンダリーピークを−25〜10℃の範囲とすることにより、−20〜100℃の温度範囲でμi (CGS系単位での初透磁率。SI単位系での比初透磁率μirに相当。特許文献2〜6についても同様)を8000以上、かつその温度による変化率を70%以内に抑制する技術が開示されている。また、特許文献2には、Mn-Zn系フェライトに酸化ビスマスと酸化モリブデンを添加することにより、−20〜20℃の範囲でμi が8500以上、かつ、20〜100℃の温度範囲でμi が10000以上を示すフェライトを得る技術が開示されている。さらに、特許文献3には、Mn-Zn系フェライト中に不純物として含まれるBとPの量を限定することにより、−30〜90℃の温度範囲でμi が8000以上の高い初透磁率を得る技術が開示されている。しかし、これらの技術は、−40℃という低温から100℃という高温の広い温度域に亘って高い初透磁率を得るものではない。また、使用する温度範囲で必要な大きさの初透磁率を確保できても、その温度変化は極めて大きなものであった。
また最近では、使用される温度範囲で必要な初透磁率を確保するだけでなく、環境温度の変化に対して安定した磁気特性を持つ、すなわち、広い温度範囲で安定して高い初透磁率を有し、かつ、その値の温度による変化ができるだけ少ないことが要求されるようになってきた。このような要求に対しては、主成分の組成の限定や、酸化コバルトを添加して、温度による初透磁率の変化を抑制する技術が開示されている(例えば、特許文献4,5参照。)。また、特許文献6には、Mn-Zn系フェライトの主成分組成を限定し、セカンダリーピークを−20〜10℃、もしくは−10〜0℃に設定することにより、広い温度範囲で初透磁率の変化が小さいフェライトが得られることが開示されている。
また、高い初透磁率よりも初透磁率の温度変化が小さいことが重要視される場合には、磁心の磁路に空隙を設けることも行われている。
特開平06−263447号公報
特開平10−256025号公報
特開2000−277318号公報
特公昭52−031555号公報
特公昭61−011892号公報
特開平09−148115号公報
しかしながら、特許文献4や特許文献5の技術では、酸化コバルトの添加量が増すとともに初透磁率μi が低下するため、その値は1000程度であるものが多く、高いものでも2500以下程度であり、しかも、そのμi が得られる温度範囲は−20℃程度までが限度であった。また、主成分の組成に関しても、例えば、ZnOの含有量は20mol%以下に設定されることが多く、そのため、キュリー温度が上昇し、μi の温度特性も大きなうねりをもち、結果として温度変化が大きくなってしまうという問題があった。また、特許文献6の技術では、μi の温度変化を小さくできる範囲は−20〜100℃であり、−40℃の低温まで温度変化を小さくするまでには至っていない。さらに、磁路に空隙を設ける技術は、必然的に初透磁率の低下を招くため、μi 3000以上が要求される場合などには、高いμi と低い温度変化を同時に実現することが困難となる。さらに、磁心に空隙を設ける加工や空隙の突合わせ面の安定化対策等による工数やコストの増加も問題であった。
本発明の目的は、比初透磁率μir(SI単位。以下同様)が3000以上と大きく、しかも、−40℃という極低温域から100℃の高温に亘る広い温度範囲において、比初透磁率μirの温度変化が小さいMn-Zn系フェライトを提供することにある。
発明者らは、従来技術が抱える上記問題点を解決するために、Mn-Zn系フェライトの主成分であるFe2O3の原料となる酸化鉄に着目し、鋭意検討を行った。その結果、この酸化鉄の粒度分布特性を制御し、反応性を高めることにより、比初透磁率μirが高く、かつ−40〜100℃という広い温度範囲に亘って比初透磁率μirの温度変化を低く抑えることができることを見出し、本発明を完成させた。
上記知見に基き開発された本発明は、レーザー回折により測定した粒度分布から求めたメディアン径が0.6μm以下、かつ上記粒度分布における10%累積径と上記メディアン径との差が該メディアン径の2.0倍以下で、比表面積から求めた1次粒子径が0.1μm以下の微粒子である酸化鉄を原料とし、この酸化鉄とMnOおよびZnOとの混合物を仮焼し、その後、成形、焼成したものであって、Fe2O3:52〜53mol%、ZnO:20〜22mol%、残部が主としてMnOからなる組成を有し、かつ、25℃、10kHzでの比初透磁率が3000〜4500、−40〜100℃における比初透磁率の変動係数が10%以下の特性を示すMn-Zn系フェライトである。
また、本発明は、原料として、レーザー回折により測定した粒度分布から求めたメディアン径が0.6μm以下、かつ上記粒度分布における10%累積径と上記メディアン径との差が該メディアン径の2.0倍以下で、比表面積から求めた1次粒子径が0.1μm以下の微粒子である酸化鉄を用い、この酸化鉄とMnOおよびZnOとの混合物を仮焼し、その後、成形、焼成することにより、Fe2O3:52〜53mol%、ZnO:20〜22mol%、残部が主としてMnOからなる組成を有し、かつ、25℃、10kHzでの比初透磁率が3000〜4500、−40〜100℃における比初透磁率の変動係数が10%以下の特性を示すフェライトを得ることを特徴とするMn-Zn系フェライトの製造方法を提案する。
本発明によれば、25℃、10kHzでの比初透磁率μirが3000以上で、かつ、−40〜100℃における比初透磁率の変動係数を10%以下に抑制したMn−Zn系フェライトを製造することができ、広い温度範囲で安定した磁気特性を必要とする用途に極めて有益な材料を提供することができる。
本発明に係るMn-Zn系フェライトは、25℃、10kHzでの比初透磁率μirが3000〜4500を有し、かつ、−40〜100℃における比初透磁率の変動係数が10%以下のものであることが必要である。ここで、上記変動係数とは、比初透磁率μirの温度変化の大きさを表す指標であり、−40℃〜100℃の間のμirを測定した時のμirの平均値と標準偏差の比(標準偏差/平均値)で定義したものである。10kHzでの比初透磁率μirを3000〜4500に限定する理由は、μirが3000以上であれば、焼成条件を精密に制御することなく低コストで製造でき、また、4500を超えると、μirの温度変化を抑え難くなるためであり、この範囲の比初透磁率であれば、各種トランスやノイズフィルタ、センサ等に使用する上で特に問題とはならない。また、−40〜100℃における比初透磁率の変動係数を10%以下に制限する理由は、最近のMn-Zn系フェライトを用いた電子部品の使用温度が広い範囲に及び、かつ、その使用温度範囲での比初透磁率の温度変化が小さいことが求められており、この変動係数が10%以下であれば、実用上問題はないからである。
上記特性を有する本発明のMn-Zn系フェライトは、Fe2O3:52〜53mol%、ZnO:20〜22mol%、残部が主としてMnOの主成分から構成されるものである。主成分のFe2O3とZnOの組成を上記範囲に限定する理由は、比初透磁率μirのセカンダリーピークが出現する温度を、室温付近に設定するためである。また、このことは、基準となる室温付近で渦電流損失が最も小さくなるよう設定するためでもある。一般に、Mn-Zn系フェライトにおいては、Fe2O3量が多くなると、キュリー温度が高くなり、セカンダリーピーク温度は低下する。一方、ZnO量が多くなると、キュリー温度が低くなり、セカンダリーピーク温度は低下する。そのため、Fe2O3が52mol%未満または53mol%を超える組成領域、および、ZnOが20mol%未満または22mol%を超える組成領域では、μirの温度変化のセカンダリーピークを室温付近(20〜25℃)、また、キュリー温度を100℃以上に設定し、かつ、比初透磁率μirを3000〜4500とすることが困難となるからである。
次に、本発明の特徴である、主成分Fe2O3の原料となる酸化鉄について説明する。
Mn-Zn系フェライトの原料となる酸化鉄は、比表面積から求めた一次粒子径が0.1μm以下の微粒子であることが必要である。一次粒子径を0.1μm以下に制限する理由は、Mn-Zn系フェライトの場合、小さい粒子径の方が反応性が高く、スピネル化と結晶粒成長が速く進行し、低温で仮焼することができ、そのため、仮焼工程での粒の粗大化を抑制でき、粉砕性に優れた粒子を得ることができるからである。特に、0.1μm以下の微粒子であれば、反応性が高いので、高い磁気特性を得ることができる。なお、ここでいう一次粒子径とは、BET法などにより求めた比表面積から、粒子形状を球形と仮定して算出した粒子径のことである。
Mn-Zn系フェライトの原料となる酸化鉄は、比表面積から求めた一次粒子径が0.1μm以下の微粒子であることが必要である。一次粒子径を0.1μm以下に制限する理由は、Mn-Zn系フェライトの場合、小さい粒子径の方が反応性が高く、スピネル化と結晶粒成長が速く進行し、低温で仮焼することができ、そのため、仮焼工程での粒の粗大化を抑制でき、粉砕性に優れた粒子を得ることができるからである。特に、0.1μm以下の微粒子であれば、反応性が高いので、高い磁気特性を得ることができる。なお、ここでいう一次粒子径とは、BET法などにより求めた比表面積から、粒子形状を球形と仮定して算出した粒子径のことである。
また、この酸化鉄は、レーザー回折式の粒度分布測定装置で測定したメディアン径が0.6μm以下のものであることが必要である。メディアン径が0.6μm以下の酸化鉄の粉と0.6μmを超える酸化鉄の粉とを比べると、0.6μm以下の粉の方が反応性が高く、低温仮焼でも高い磁気特性を得ることができる。ここで、上記メディアン径とは、粒度分布データから得られる累積分布図で50%の高さを与える粒子径を意味し、粒数メディアン径、質量メディアン径、体積メディアン径などがあるが、本発明では、体積メディアン径を用いる。また、レーザー回折式の粒度分布測定装置としては、例えば、日機装製の粒度分布測定装置(マイクロトラック HRA)など、分散性のよい粒子の分布測定に適したものが好ましい。また、測定条件としては、レーザー光の透過モードで測定することが好ましい。
また、同じメディアン径を有する酸化鉄の粉でも、粉の分散性は大きく異なる、すなわち、粒度分布の狭い粉(粒度分布がシャープな粉)と粒度分布の広い粉(粒度分布がブロードな粉)が存在する。発明者らは、この酸化鉄粉についての分散性と反応性との関係を調査したところ、粒度分布曲線のメディアン径よりも粒子径が大きい側の粒度分布が酸化鉄の反応性と強い相関があり、特に、粒子径の大きな側から累積した体積の累積値が10%となる点の粒径を「10%累積径」と定義したとき、この10%累積径とメディアン径との差が小さいほど反応性が優れていることがわかった。その理由は、メディアン径よりも大きな粗粉は、スピネル化や粒成長を妨げるからと考えられる。そこで、本発明では、上記10%累積径とメディアン径との差をメディアン径の2.0倍以下に制御する。好ましくは1.6倍以下、より好ましくは1.5倍以下である。
なお、本発明で用いる酸化鉄を、上記の粒度分布特性を有するものとするには、予め原料となる酸化鉄を分級しておき、これらを適宜混合して粉砕する方法、あるいは、湿式法で溶液の温度やPHを制御し、粒径と分布を最適化する方法などを挙げることができ、何れの方法を用いてもよい。
また、本発明において用いる酸化鉄の製造方法は、特に制限する必要はないが、湿式法であることが好ましい。その理由は、湿式法の方が、噴霧焙焼法などの乾式法と比較して、粒径が小さい酸化鉄を製造するのに適しているためである。ここでいう湿式法とは、共沈法、空気酸化法、水熱法など溶液中で鉄酸化物を生成させる反応を利用した方法のことを意味する。また本発明でいう湿式法による酸化鉄には、水溶液中で直接生成されるものの他に、湿式法で合成されたマグネタイト(Fe3O4)やゲータイト(α-FeOOH)などの含水酸化鉄を加熱することにより製造されるものも含まれる。
次に、本発明に係るMn-Zn系フェライトの製造方法について説明する。
主成分であるFe2O3の原料として上述した酸化鉄の粉を用い、この酸化鉄の粉と他の主成分であるMnOおよびZnOの原料粉を、Fe2O3:52〜53mol%、ZnO:20〜22mol%、残部が主としてMnOからなる組成となるよう混合した後、仮焼する。仮焼条件としては、750〜950℃で0.5〜3hrとするのが好ましい。なお、本発明の酸化鉄は反応性が高いので、仮焼温度は低くても構わない。また、酸化鉄以外の原料であるZnOおよびMnOについては、特に限定されるものではなく、通常用いられているもので構わない。その後、この仮焼後の混合物に対し、副成分を添加し、ボールミル等を用いて粉砕処理を行う。上記副成分としては、比初透磁率の向上を目的として、酸化力ルシウムをCaO換算で50〜1000ppm、二酸化ケイ素をSiO2換算で50〜200ppmの範囲で添加することが好ましい。さらに、他の副成分として、結晶粒成長性の制御を目的として、酸化ビスマス、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化スズ等の中から選ばれる1種以上を添加することができる。これらの添加量は、それぞれBi2O3,In2O3,V2O5,Ta2O3,MoO3等に換算して合計で3000ppm以下であることが好ましい。
主成分であるFe2O3の原料として上述した酸化鉄の粉を用い、この酸化鉄の粉と他の主成分であるMnOおよびZnOの原料粉を、Fe2O3:52〜53mol%、ZnO:20〜22mol%、残部が主としてMnOからなる組成となるよう混合した後、仮焼する。仮焼条件としては、750〜950℃で0.5〜3hrとするのが好ましい。なお、本発明の酸化鉄は反応性が高いので、仮焼温度は低くても構わない。また、酸化鉄以外の原料であるZnOおよびMnOについては、特に限定されるものではなく、通常用いられているもので構わない。その後、この仮焼後の混合物に対し、副成分を添加し、ボールミル等を用いて粉砕処理を行う。上記副成分としては、比初透磁率の向上を目的として、酸化力ルシウムをCaO換算で50〜1000ppm、二酸化ケイ素をSiO2換算で50〜200ppmの範囲で添加することが好ましい。さらに、他の副成分として、結晶粒成長性の制御を目的として、酸化ビスマス、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化スズ等の中から選ばれる1種以上を添加することができる。これらの添加量は、それぞれBi2O3,In2O3,V2O5,Ta2O3,MoO3等に換算して合計で3000ppm以下であることが好ましい。
次に、上記粉砕後の混合物に、バインダーを加えて混練したのち、例えばリング状やE型形状、ER型形状のような製品形状のコアに成型加工し、焼成する。この時の焼成条件としては、室温〜600℃までは120〜1200℃/hrで昇温し、600℃から焼成温度までは200〜600℃/hrで昇温し、その後、保持温度1150〜1400℃で0.5〜10hrの焼成を行い、冷却するのが好ましい。なお、冷却は、保持温度〜150℃の間は200〜400℃/hrで行うことが好ましい。また、焼成時の雰囲気は、昇温の前半は大気中、後半は窒素雰囲気下で、均熱から冷却途中の600℃までは酸素濃度を10vol%以下に制御した雰囲気下で、また、600℃以下の冷却は窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
上記のように、本発明では、粒度分布特性を制御した酸化鉄をFe2O3の原料として用いることにより、比初透磁率μirが3000以上と高く、かつ、広い温度範囲においてμirの温度変化が小さいMn-Zn系フェライトを製造することができる。この理由についての詳細はまだ明らかではないが、本発明の酸化鉄は、反応性が極めて高いために、焼成後のフェライトは、個々の結晶粒子内では組成の均一性がよく、比較的磁気特性が均一で大きなμirを有しているためと考えられる。一方、仮焼しても個々の結晶粒子間での組成の差異に起因する結晶粒子間のセカンダリーピークの差異が残留するため、全体として見れば、セカンダリーピークにおけるμirの大きな変化が緩和されて広い温度範囲でμirが一定となるものと考えられる。
塩化第一鉄溶液を原料として噴霧培焼法により製造した酸化鉄と、第一鉄溶液と塩化第二鉄溶液の混合溶液を苛性ソーダで中和して得られるFe(OH)2を空気酸化して合成したマグネタイトを加熱酸化する湿式合成法により製造した酸化鉄の2種類の酸化鉄を製造し、これらの酸化鉄の粉末を、1000μm、106μmの篩を用いて分級した。この分級後の酸化鉄を、表1に示したような粒度比率で配合、混合した後、ジェットミル((株)セイシン企業製:SPJ-200)を用いて、粉砕圧力7kgf/cm2(0.7MPa)、サンプル供給速度10kg/hrで粉砕を行った。粉砕後の粉末について、比表面積をBET法により測定し、一次粒子径を求めた。また粒度分布を、レーザー回折式の粒子径分布測定装置(日機装(株)製:マイクロトラック HRA)を用い、0.5%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶液に酸化鉄を加えて超音波を3分間印加した後、透過モードにて測定し、メディアン径と10%累積径を求めた。
上記のようにして得た酸化鉄に、Fe2O3,ZnOおよびMnOが表1に示した組成となるようにZnOおよびMnOの原料粉を配合し、混合した後、800℃×1hrの仮焼を行い、その後、この仮焼した混合物に、副成分として、酸化カルシウムをCaO換算で0.04wt%、酸化ビスマスをBi2O3換算で0.02wt%添加し、ボールミルで3hrの粉砕処理を行った。この粉砕後の粉末に、バインダーとしてポリビニルアルコールを0.6%加えて混練し、リング状のコアに成形し、焼成を行った。焼成は、昇温を、室温から1100℃までを大気中で昇温速度250℃/hr、1100℃から焼成温度までを窒素雰囲気下で昇温速度500℃/hrで行い、1330℃の焼成温度に達した後は、酸素濃度を10vol%以下に制御した雰囲気下で2時間保持し、その後、冷却する条件で行った。得られた各焼結体について、10kHzにおける比初透磁率μirを−40℃〜120℃に温度範囲に亘って10℃間隔で測定し、この測定値から、−40〜100℃間のμirの平均値と標準偏差を計算し、標準偏差と平均値の比(標準偏差/平均値)を変動係数として求めた。
上記測定の結果を、表1中に併せて示した。また、図1には、焼結したフェライトNo.4,9,15および18の比初透磁率μirの温度変化曲線を示した。本発明のMn-Zn系フェライトは、いずれも25℃における比初透磁率μirが3000以上であり、かつ、−40〜100℃の温度範囲における比初透磁率μirの変動係数が10%以内の収まっており、広い温度範囲に亘って安定して優れた磁気特性が得られていることがわかる。一方、本発明外のMn-Zn系フェライトは、25℃における比初透磁率μirが3000未満であるか、あるいは、−40〜100℃の温度範囲における比初透磁率μirの変動係数が10%を上回っており、本発明の目標特性が得られていない。
Claims (2)
- レーザー回折により測定した粒度分布から求めたメディアン径が0.6μm以下、かつ上記粒度分布における10%累積径と上記メディアン径との差が該メディアン径の2.0倍以下で、比表面積から求めた1次粒子径が0.1μm以下の微粒子である酸化鉄を原料とし、この酸化鉄とMnOおよびZnOとの混合物を仮焼し、その後、成形、焼成したものであって、Fe2O3:52〜53mol%、ZnO:20〜22mol%、残部が主としてMnOからなる組成を有し、かつ、25℃、10kHzでの比初透磁率が3000〜4500、−40〜100℃における比初透磁率の変動係数が10%以下の特性を示すMn-Zn系フェライト。
- 原料として、レーザー回折により測定した粒度分布から求めたメディアン径が0.6μm以下、かつ上記粒度分布における10%累積径と上記メディアン径との差が該メディアン径の2.0倍以下で、比表面積から求めた1次粒子径が0.1μm以下の微粒子である酸化鉄を用い、この酸化鉄とMnOおよびZnOとの混合物を仮焼し、その後、成形、焼成することにより、Fe2O3:52〜53mol%、ZnO:20〜22mol%、残部が主としてMnOからなる組成を有し、かつ、25℃、10kHzでの比初透磁率が3000〜4500、−40〜100℃における比初透磁率の変動係数が10%以下の特性を示すフェライトを得ることを特徴とするMn-Zn系フェライトの製造方法。
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