JP2005200788A - セルロースエステル系仮撚加工糸 - Google Patents

セルロースエステル系仮撚加工糸 Download PDF

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Abstract

【課題】熱水処理後も保持可能な捲縮によって嵩高性を発現可能なセルロースエステル系仮撚加工糸を提供すること。
【解決手段】少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる、特定の嵩高度を有する仮撚加工糸によって解決が可能である。
【選択図】 図1

Description

本発明は衣料用途に好適な嵩高い捲縮を有するセルロースエステル系仮撚加工糸およびその製造方法に関する。より詳しくは、組成物が熱可塑性を有するため仮撚加工によって嵩高い捲縮を付与されたセルロースエステル系仮撚加工糸およびその製造方法に関する。
セルロース系フィラメントとしてはビスコース、キュプラなどのレーヨン繊維、セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロース単一エステル繊維が知られている。これらの繊維はいずれも組成物が熱可塑性を有していないため、溶融紡糸によって繊維化することはできず、溶媒を使用する湿式あるいは乾式の製糸方法によって製造されている。これらの繊維はセルロース由来であることによって良好な光沢や吸放湿性など衣料用布帛として非常に良好な特徴を有している一方、熱可塑性の不足あるいは欠如によってポリエステル繊維などの熱可塑性繊維で通常行われるプリーツ加工や仮撚加工などを適用することが非常に困難あるいは不可能であるという欠点を有している。
例えばセルロースジアセテート繊維やセルローストリアセテート繊維では、ポリマーであるセルロースアセテートがアセチル基のみによって置換されたものであるため十分な熱可塑性を有しておらず、仮撚加工における熱セット性がほとんど得られない。そのため通常の仮撚加工方法では嵩高い捲縮、特に熱水処理後も形態を保持可能な堅牢な捲縮を有する加工糸とすることができなかった。セルロースアセテート繊維の捲縮加工方法としては、熱硬化樹脂とコーニングオイルの混合槽に接触させた後、加撚して湿熱処理を行い、その後解撚するという特殊な方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法によれば水洗によって伸縮性が失われてしまうセルロースアセテート繊維でも、水洗やドライクリーニング後にも伸縮性が保持されると記載されている。しかし、この方法では加工糸を製造する際の生産性が低いこと、熱硬化樹脂により風合いが硬化してしまうことなどの問題があり、工業的に採用することは困難であった。
また、セルロースアセテート繊維の表面を鹸化し、鹸化した部分を酵素処理によって分解した後、溶媒水溶液で残りの部分を膨潤、可塑化させることによって5000個/m以上の微細な捲縮が得られることが知られている(特許文献2参照)。この捲縮加工糸は捲縮が非常に小さいため、特殊な優れた風合いが得られるものの、糸条としての嵩高性が得られるものではなかった。
このようにセルロースアセテート系繊維の捲縮加工糸を得るためには特殊な方法を用いるしかなく、また、嵩高性を発現する堅牢な捲縮を得ることができない。そのため、商品展開の上ではポリエステル繊維やナイロン繊維など混合して仮撚加工を行い、混合相手であるポリエステル繊維やナイロン繊維の捲縮によって全体の嵩高性を得ることとなる(特許文献3〜6参照)。これらの場合には十分な嵩高性を得るためには混合相手の比率を高める必要があり、セルロースアセテートの有する吸湿性や発色性などの良好な特性が十分に発揮できない問題があった。
特開昭57−77334号公報 特開平7−300775号公報 特開2000−34633号公報 特開2001−316951号公報 特開2001−316952号公報 特開2002−30532号公報
本発明が解決しようとする課題は、上述のセルロースアセテート系仮撚加工糸の持つ問題点を解決し、熱水処理後も保持可能な捲縮によって嵩高性を発現可能なセルロースエステル系仮撚加工糸およびその製造方法を提供することである。また、セルロースエステル系繊維が本来有する吸放湿性や高光沢などの利点に加えて、優れた嵩高性、保温性、軽量性、ストレッチ性などの特性も併せ持つ繊維構造物を提供することである。
上記した課題は、少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる仮撚加工糸であって、嵩高度が5〜50cm3/gであることを特徴とするセルロースエステル系仮撚加工糸によって解決が可能である。
その際、セルロースエステルとしては、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどを用いることができる。また、セルロースエステル組成物は水溶性可塑剤を2〜25wt%含有するものであることができる。また、仮撚加工糸としては、平均捲縮ピッチが0.3〜10mmであることが好適に採用できる。
上述した別の課題は、少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる繊維糸条を、接触式あるいは非接触式の加熱媒体を用いて糸条温度80〜150℃に加熱しつつ、仮撚回転子によって仮撚を付与し、その後解撚し、パッケージに巻き取ることを特徴とするセルロースエステル系仮撚加工糸の製造方法によって解決が可能である。
上述した別の課題は、上述したセルロースエステル系仮撚加工糸を少なくとも一部に用いてなり、20℃・65%RHにおける吸湿率が1〜10%であることを特徴とする繊維構造物によって解決が可能である。
本発明によって従来得られなかったセルロース誘導体をベースとする嵩高性の優れた捲縮加工糸が得られるため、保温性、軽量性、ストレッチ性といった繊維の物理的特性に優れるのみならず、吸放湿性や接触冷感といった化学的特性にも優れた仮撚加工糸、またこの加工糸を用いてなる織物・編物等の繊維構造物を得ることができる。すなわち、本発明の仮撚加工糸は優れた物理的特性と化学的特性を併せ持つ従来になかった素材であるため、衣料用途全般に好適に用いることができる。
本発明の仮撚加工糸は、セルロースエステル組成物よりなるが、組成物の主成分であるセルロースエステルは、少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたものである。炭素数2のアシル基であるアセチル基のみによって置換されたセルロースアセテート(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなど)よりなる仮撚加工糸は、ポリマー組成物としての熱可塑性がほとんどないため、仮撚加工時の十分な熱セットを受けることができず、十分に堅牢な捲縮および嵩高性を有する物ではない。それに対し、少なくとも一部の水酸基が例えば炭素数3のアシル基であるプロピオニル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とする場合、仮撚加工時の熱セットが可能となるため、仮撚加工糸は例えば熱水処理を施した後にも残存しているような強固かつ嵩高い捲縮を有するものとなる。
少なくとも一部の水酸基を置換するアシル基の炭素数に関しては、3以上であれば良好な熱可塑性によって嵩高い捲縮を有する仮撚加工糸となるため好ましい。また18以下であれば仮撚加工糸の強度および耐熱性が低下することがないため好ましい。また、水酸基を置換するアシル基は1種類である必要はなく、炭素数2のアセチル基と炭素数3のプロピオニル基によって置換されたセルロース混合エステルであってもよい。
本発明で採用しうる具体的なセルロースエステルの例としては、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、また、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートカプロネート、セルロースアセテートカプリレート、セルロースアセテートラウレート、セルロースアセテートパルミテート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートオレート、セルロースアセテートフタレート、セルロースプロピオネートブチレートなどがあげられる。中でも、製造が容易なことおよび耐熱性が優れていることから、本発明のセルロースエステルとしてはセルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好適に採用できる。
また、セルロースの水酸基のアシル基による置換割合については、セルロースを構成するグルコース単位あたり3個存在する水酸基のうち、2.4〜3.0がアシル基によって置換されていることが好ましい。水酸基の置換度は2.5〜2.9がより好ましく、2.6〜2.8が最も好ましい。但しセルロースエステルが2種類以上のアシル基によってエステル化されたものである場合には、置換度とは、全てのアシル基による置換度のトータルを意味する。
また、本発明のセルロースエステル組成物は前述のセルロースエステルを主成分としてなるが、セルロースエステルの他に可塑剤を2〜25wt%含有するものであることも好適に採用できる。可塑剤を含有するセルロースエステル組成物は、仮撚加工時の熱セット性が良好であり、その結果嵩高度の高い捲縮加工糸が得られる。可塑剤は2wt%以上であれば組成物全体の熱可塑性、熱セット性が良好となるため好ましく、また25wt%以下であれば仮撚加工糸の強度や耐熱性を過度に低下させることがないため好ましい。本発明のセルロースエステル組成物の可塑剤含有量は、より好ましくは5〜20wt%であり、最も好ましくは10〜18wt%である。
可塑剤は、仮撚加工時には繊維に熱可塑性を付与する重要な役目を果たすが、最終製品である織物や編物等の繊維構造物中に残存してしまう場合、耐熱性の低下や染色堅牢度の悪化などの望ましくない影響を及ぼす。そのため、本発明における可塑剤は水溶性であることが好ましい。ここで水溶性とは室温水あるいは加熱された水に対する溶解度が2wt%以上であることを意味している。
本発明で具体的に用いうる水溶性可塑剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよびこれらの変性体、共重合体などをあげることができる。水溶性可塑剤としてポリエチレングリコールを用いる場合には、その分子量は400〜2000であることが好ましく、500〜1500であることが最も好ましい。
本発明の仮撚加工糸の嵩高度は5〜50cm3/gである。嵩高度とは捲縮を有する糸条の評価方法であり、1g分の仮撚加工糸が占める見かけ体積を意味している。この嵩高度が5cm3/gよりも大きい値であれば、加工糸は十分な捲縮を有しており、保温性やふくらみに優れた繊維構造物を得ることができる。一方、50cm3/gよりも大きな嵩高度を有する捲縮糸を得ることは技術的に困難であるし、ふかつきを生じて製織や製編などの高次加工工程において取扱性が不良となる懸念がある。本発明における嵩高度は、良好な保温性、軽量性、ストレッチ性を発現する範囲として、10cm3/g以上であることがより好ましく、15cm3/g以上であることが最も好ましい。
本発明のセルロースエステル系仮撚加工糸を構成する単糸の平均捲縮ピッチは0.3〜10mmであることが好ましい。ここで捲縮ピッチとは加工糸の捲縮形態を光学顕微鏡によって観察した場合の、ある捲縮の山から次の山までの距離(mm)をいう。仮撚加工糸が複数の単糸から構成される場合、それぞれの単糸について10カ所ずつ測定を行い全ての測定結果の平均値をもって、平均捲縮ピッチとする。本発明のセルロースエステル系仮撚加工糸の平均捲縮ピッチは、0.3mm以上であれば加工糸としてのふくらみに優れたものとなるため望ましく、また10mm以下であれば捲縮が均一化されて緻密な捲縮となるため好ましい。平均捲縮ピッチは0.4mm〜8mmであることがより望ましく、0.5〜2mmであることが最も好ましい。
本発明のセルロースエステル系仮撚加工糸を得るための方法としては、少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる繊維糸条を、接触式あるいは非接触式の加熱媒体を用いて糸条温度80〜150℃に加熱しつつ、回転仮撚子によって仮撚を付与し、その後解撚し、パッケージに巻き取ることを特徴とするセルロースエステル系仮撚加工糸の製造方法を用いることができる。
この場合、セルロースエステル組成物は、その主成分のセルロースエステルとしてセルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることができる。また、セルロースエステル組成物は水溶性可塑剤を2〜25wt%含有する物であることができる。
図1に本発明のセルロースエステル系仮撚加工糸の加工装置の一例を示す。図1において、供給糸条AはフィードローラーBを用いて安定的に加熱媒体Cへ供給され、糸条温度80〜150℃に加熱される。加熱媒体は仮撚加工用として公知の物を適宜使用すればよいが、接触式の加熱媒体の具体例としては電熱あるいは循環する加熱媒体によって加熱される熱板があげられる。また非接触式の加熱媒体としては、スリットヒーターを具体例としてあげられる。いずれの場合にも繊維糸条の温度が80〜150℃に加熱されることが重要である。加熱温度が80℃以上であれば、セルロースエステル系繊維を加熱状態で熱セットすることができ、強固な捲縮の付与を行うことができて嵩高性の高い加工糸を得られる。また、150℃以下であれば、繊維の融着によって粗硬感が発生することがなく好ましい。十分な熱セット性および融着防止の観点から、繊維糸条の温度は90〜130℃であることが好ましく、100〜120℃であることがもっとも好ましい。
加撚されつつ加熱された走行糸条は冷却媒体Dで冷却され、仮撚を与えるための仮撚回転子Eを通過する。仮撚回転子は、直接撚糸を与えるスピナーピンであってもよいし、間接的に撚糸を与えるフリクションディスクあるいはベルトニップであってもよい。走行する糸条は回転子を通過した後に解撚され、最終的にパッケージIへと巻き取られる。必要に応じ、延伸ローラーFとリラックスローラーHの間に設置されたノズルGを用いて交絡あるいは混繊を付与してもよい。ノズルとしては、インターレースノズルやタスランノズルに代表される圧縮空気ノズルなどを特に制限なく使用することができる。
また、本発明のセルロースエステル系仮撚加工糸は、良好な嵩高性を有するばかりか、ベース組成物がセルロース由来であることによって、衣料用布帛として用いられる場合に吸放湿性や光沢など良好な特性を発現する。本発明のセルロースエステル系仮撚加工糸を少なくとも一部に用いてなり、20℃・65%RHにおける吸湿率が1〜10%であることを特徴とする繊維構造物は、仮撚加工による嵩高性、ソフト風合い、保温性、軽量性に優れるだけでなく、吸放湿性が良好であって衣料用途に非常に好適である。吸湿率は繊維構造物の快適性の観点から、2%以上であることがより好ましく、4%以上であることが最も好ましい。
本発明の繊維構造物の形態としては特に制限はなく、任意の組織、糸構成の織物であってもよいし、任意の組織、糸構成の編物であってもよい。繊維構造物が編物の場合には、繊維構造物中での繊維にかかる張力が比較的小さいため、本発明の仮撚加工糸の捲縮が効率よく発現可能であるという利点があり、好適に採用が可能である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。なお、実施例中の物性は次の方法により求めた。
A.嵩高度
測定する仮撚加工糸を周長1mの検尺機にて250回巻き(カセ長さ約50cm、構成糸本数500本、全長250m)のカセを作成し原長A0を測定する。その後、沸騰水処理を20分間行って一晩風乾する。沸騰水処理後の長さA1およびカセ重量W1を測定して、下記式によって繊度D(dtex)を算出する。
繊度D(dtex)=W1×(10000/250)×(100/(100−S))
但し、収縮率S(%)=((A0−A1)/A0)×100
図2は嵩高度を測定する装置の斜視図であり、図3はこの装置による測定方法を説明するための見取り図である。試料台1の上面に2本の切り込み6を設け、その外側縁部間の間隔を6mmとし、この切り込みに幅2.5cmのPETフィルム2を掛け渡し、その下に指針付き金具3及び荷重4を結合する。金具3の指針は、試料を装着しない場合に目盛5のゼロ位を示すようにセットする。次いで沸騰水処理後のカセを4折りにしたカセ7(カセ長さ約12.5cm、構成糸本数2000本)を図3に示すようにPETフィルム2と試料台1との間に差し入れ固定する。荷重4は指針付き金具3と合計して50gになるようにしておき、指針の示す値L(cm)(かせの外周の長さ/2に相当)を読みとる。測定は3回行い、平均のL値から次式によって嵩高度Mを算出する。
M(cm3/g)=体積V/重量W=450L2/πD
但し、V(cm3)=(L2/π)×2.5
但し、W(g)=2000×D×2.5/(9000×100)
B.吸湿率
繊維試料約1gを用意し、その絶乾時の重量(W0)を測定した。この試料を20℃・65%RHの状態に調湿された恒温恒湿器(ナガノ科学機械製LH−20−11M)中に24時間放置し、平衡状態となった試料の重量(W20)を測定して下記式により求めた。
吸湿率(%)=(W20−W0)/W0
C.風合い(嵩高性・ふくらみ)
官能検査によって嵩高性とふくらみについて評価し、非常に良好と感じられるものを◎、良好と感じられるものを○、普通を△、劣っているを×とした。本評価においては○以上を合格と判定する。
D.風合い(ソフト感)
官能検査によってソフト感を評価し、非常に良好と感じられるものを◎、良好と感じられるものを○、普通を△、劣っているを×とした。本評価においては○以上を合格と判定する。
実施例1
セルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル社製)80部とポリエチレングリコール(三洋化成(株)製PEG600)20部を二軸エクストルーダーで混練し、ペレットを得た。このペレットを棚式乾燥機で80℃×8hrの条件で真空乾燥を行って絶乾状態とした後、溶融紡糸機にて紡糸温度240℃、紡糸速度750m/分の条件で溶融紡糸を行い、105dtex−24fの繊維を得た。
得られた105dtex−24fの繊維を供給糸条として用い、石川製作所(株)製IVF−24仮撚加工機を用いて、スピナーピン1mmφ、熱板温度120℃、撚数2000T/m、ストレッチ率1.1、加工速度100m/分の条件で仮撚加工を施した。熱板により接触した繊維の温度は120℃であった。
得られた仮撚加工糸の嵩高度を測定するため250回巻きのかせを作成し、沸騰水中で20分間の処理を行った。加工糸の捲縮は沸騰水処理後も失われることなく、良好な嵩高性を示していた。沸騰水処理後の加工糸の収縮率Sは7.4%であり、繊度Dは、91.8dtexであった。嵩高度測定における指針が示す値L(cm)を測定したところ3.9cmであり、嵩高度Mは24と算出された。この数値は加工糸の捲縮が非常に優れた嵩高性を有することを示している。平均捲縮ピッチは0.9mmであり、嵩高性を発現しうる捲縮形態になっていることが確認できた。
得られた繊維を筒編み機(24ゲージ)を用いて編物(天竺)を作成し、沸騰水中で10分間熱水処理を行った。得られた編物の20℃・65%RHにおける吸湿率は4.8%であり、吸湿性に優れていた。また、良好な嵩高度を示したことに対応して、編物の風合いは、嵩高性・ふくらみに非常に優れており、また融着や未解燃の発生もなくソフト感にも非常に優れていた。
実施例2〜4
添加する可塑剤ポリエチレングリコールの分子量および添加量を表1に記載のように変更し、仮撚加工の熱板温度を表1に記載のよう変更する以外は、実施例1と同様にして仮撚加工を行った。実施例3では可塑剤の分子量が400とやや低めで添加量が22%とやや多めであったため、加熱時に糸条が軟化して糸切れの発生が認められた。実施例4では糸条温度が95℃と低めであったので嵩高度にやや難があった。
しかし、実施例1と同様に筒編みを行い、熱水処理を行った編物(天竺)は、いずれのサンプルも吸湿率、嵩高性・ふくらみ、およびソフト感が非常に良好または良好であった。
Figure 2005200788
比較例1
実施例1にて溶融紡糸した105T−24fの繊維(生糸)について、仮撚加工を施さずそのまま嵩高度の測定を行った。表2に示す通り、沸騰水処理後の生糸の収縮率Sは4.6%であり、繊度Dは89.1dtexであった。嵩高度測定における指針が示すL(cm)を測定したところ、1.2cmであり、これらの数値により嵩高度Mは2.3と算出された。この数値はほとんど嵩高性が発現していないことを意味している。
また、この繊維を用いて実施例1と同様に筒編みを行って編物(天竺)を作成し、熱水処理を行ったが、吸湿性およびソフト感は良好なものの、捲縮をほとんど有さない繊維であるため、嵩高性・ふくらみについてはほとんど感じられず劣っていた。
比較例2
市販のセルロースジアセテートフィラメント繊維(84T−20f)を用いる他は、実施例4と同様にして仮撚加工を行った。沸騰水処理後の収縮率Sは3.5%であり、繊度Dは87.0dtexであった。嵩高度測定における指針が示すL(cm)を測定したところ1.7cmであり、これらの数値により嵩高度Mは4.8(cm3/g)と算出された。平均捲縮ピッチは18mmであった。これらの数値は加工糸の捲縮にほとんど嵩高性がないことを示している。
また、この繊維を用いて実施例1と同様に筒編みを行って編物(天竺)を作成し、熱水処理を行ったが、吸湿性およびソフト感は良好なものの、捲縮をほとんど有さない繊維であるため、嵩高性・ふくらみについてはほとんど感じられず劣っていた。
比較例3
可塑剤としてアジピン酸ジオクチルを16wt%含有するセルロースアセテートブチレート(イーストマン社製)をポリマーとして用いる他は、実施例1と同様にして溶融紡糸によって105T−24fの繊維を得た。仮撚加工時の熱板温度を190℃とする他は実施例1と同様に仮撚加工を行ったが、加工糸は単糸が互いに融着しており非常にざらざらしたものとなった。嵩高度は3.9(cm/g)と低い値であり、平均捲縮ピッチは単糸が融着しているため、測定できなかった。
実施例1と同様に筒編みを行って編物(天竺)を作成し、熱水処理を行ったが、嵩高度が発現しておらず、嵩高性・ふくらみに劣った物であった。また粗硬感があってソフト感に劣るものであった。
Figure 2005200788
実施例5
仮撚加工の条件として、仮撚回転子として3軸ウレタンディスクを用いる他は、実施例1と同様にして仮撚加工糸を作成した。
実施例1と同様に筒編みを行い、熱水処理を行った編物(天竺)は、吸湿率、嵩高性・ふくらみ、およびソフト感が非常に良好または良好であった。
実施例6
セルロースエステルとしてセルロースアセテートブチレート(イーストマン社製)を用いる他は、実施例1と同様にして仮撚加工糸を作成した。
実施例1と同様に筒編みを行い、熱水処理を行った編物(天竺)は、吸湿率がやや低めの値であったが、嵩高性・ふくらみ、およびソフト感が非常に良好であった。
実施例7〜9
実施例1で得られた仮撚加工糸を250T/mの条件で撚糸して湿熱セットを施した糸条を経糸とし、実施例7では緯糸にも実施例1で得られた仮撚加工糸を用い、実施例8では緯糸として市販のポリエチレンテレフタレート繊維(50T−24f)を用い、実施例9では緯糸としてポリプロピレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート系バイメタル繊維(50T−24f)を用いて、タフタ織物を作成した。これらのタフタ織物はそれぞれ100℃の熱水中で10分間の熱水処理を行った。
実施例7では吸湿率が4.8%と高い値であったが、実施例8では2.3%、実施例9では2.2%とやや低い値であった。しかしいずれも布帛の快適性の観点からは十分良好な値であった。また、嵩高性・ふくらみおよびソフト感についても良好な特性を維持できていた。
Figure 2005200788
本発明の仮撚加工糸の製造方法の一例を示す工程概略図である。 嵩高度を測定する装置の斜視図である。 嵩高度を測定する方法を示す概略図である。
符号の説明
A.供給糸条
B.フィードローラー
C.加熱媒体
D.冷却媒体
E.仮撚回転子
F.延伸ローラー
G.ノズル
H.リラックスローラー
I.パッケージ
1.試料台
2.PETフィルム
3.指針付き金具
4.荷重
5.目盛
6.切り込み
7.カセ

Claims (6)

  1. 少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる仮撚加工糸であって、嵩高度が5〜50cm3/gであることを特徴とするセルロースエステル系仮撚加工糸。
  2. セルロースエステルがセルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートからなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースエステル系仮撚加工糸。
  3. セルロースエステル組成物が水溶性可塑剤を2〜25wt%含有するものであることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のセルロースエステル系仮撚加工糸。
  4. 仮撚加工糸の平均捲縮ピッチが0.3〜10mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のセルロースエステル系仮撚加工糸。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のセルロースエステル系仮撚加工糸を少なくとも一部に用いてなり、20℃・65%RHにおける吸湿率が1〜10%であることを特徴とする繊維構造物。
  6. 少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる繊維糸条を、接触式あるいは非接触式の加熱媒体を用いて糸条温度80〜150℃に加熱しつつ、仮撚回転子によって仮撚を付与し、その後解撚し、パッケージに巻き取ることを特徴とするセルロースエステル系仮撚加工糸の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008031605A (ja) * 2006-07-31 2008-02-14 Mitsubishi Rayon Co Ltd アセテート系仮撚加工糸及び布帛並びにその製造方法
JP2008308804A (ja) * 2007-06-18 2008-12-25 Kuraray Trading Kk 衣料用布帛及びこれを用いた衣類
JP2013163882A (ja) * 2012-02-13 2013-08-22 Yotsugi Co Ltd 手袋

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