JP2006183200A - セルロースエステル系先撚仮撚加工糸およびその製造方法 - Google Patents

セルロースエステル系先撚仮撚加工糸およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
織編物に繊細なシボ感を付与することでシャリ感を表現できる、トルクをと捲縮を併せ持ったセルロースエステル系先撚仮撚加工糸を提供する。
【解決手段】
少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる先撚仮撚加工糸であって、先撚の撚方向と仮撚の撚方向が同方向であり、トルク撚数が100〜400回/mで、平均捲縮ピッチが0.3〜5mmであることを特徴とするセルロースエステル系先撚仮撚加工糸。
【選択図】 図1

Description

本発明は、婦人衣料用途に好適なセルロースエステル系先撚仮撚加工糸およびその製造方法に関するものである。より詳しくは、本発明は、本発明で用いられる組成物が熱可塑性を有するため先撚仮撚加工によってトルクと捲縮を付与されたセルロースエステル系先撚仮撚加工糸およびその製造方法に関するものである。
従来、婦人衣料用途に用いられるシボ織物や表面効果織編物の原糸としては、ポリエステル繊維からなる実撚強燃糸や先撚仮撚加工糸が用いられてきたが(特許文献1参照)、これらの糸条は、発色性や光沢およびシャリ感が満足いくレベルではなかった。また、ポリエステル繊維からなる先撚仮撚加工糸は、未解撚が発生しやすく、虫食い状の欠点が織編物上に発生するなどの問題があった。さらに、これらの糸条の場合、吸放湿性などの機能性が付与することができなかった。
また、セルロース系フィラメントとしては、ビスコースやキュプラなどからなるレーヨン繊維や、セルロースジアセテートおよびセルローストリアセテートなどからなるセルロース単一エステル繊維が知られている。これらの繊維は、いずれも構成成分が熱可塑性を有していないため、溶融紡糸によって繊維化することはできず、溶媒を使用する湿式あるいは乾式の製糸方法によって製造されている。これらの繊維は、セルロース由来であることによって良好な光沢や吸放湿性など衣料用布帛として非常に良好な特徴を有している一方、熱可塑性の不足あるいは欠如によってポリエステル繊維などの熱可塑性繊維で通常行われる仮撚加工を施すことができず、すなわち、先撚加工糸も得ることができなかった。
そのため、商品展開の上ではポリエステル繊維やナイロン繊維など混合して仮撚加工を行い、混合相手であるポリエステル繊維やナイロン繊維の捲縮によって全体の嵩高性を得る方法が提案されている(特許文献2参照)。しかしながら、これらの方法においても、織編物に十分なシボ感を付与することはできず、また、セルロースアセテート系繊維の有する吸湿性や発色性などの良好な特性が十分に発揮できないというような問題があった。
特開2002−38344号公報 特開2000−34633号公報
そこで、本発明が解決しようとする課題は、上述のポリエステル繊維やセルロースアセテート系繊維では達成できなかった、織編物に上質なシャリ感を付与することができるセルロースエステル系先撚仮撚加工糸およびその製造方法を提供することにある。また、本発明が解決しようとする他の課題は、セルロースエステル系繊維が本来有する吸放湿性や高発色性などの利点を併せ持つ織編物を提供することにある。
上述した目的を達成する本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸は、以下の構成からなるものである。すなわち、本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸は、少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる先撚仮撚加工糸であって、先撚の撚方向と仮撚の撚方向が同方向であり、トルク撚数が100〜400回/mで、平均捲縮ピッチが0.3〜5mmであることを特徴とするセルロースエステル系先撚仮撚加工糸である。
本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸の好ましい態様のひとつは、前記のセルロースエステルが、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートからなる群より選ばれた少なくとも1種のセルロースエステルである。
また、本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸の好ましい態様のひとつは、前記のセルロースエステル組成物が水溶性可塑剤を2〜25wt%含有することである。
また、本発明の織編物は、前記のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸を少なくとも一部に用いてなり、20℃・65%RHにおける吸湿率が1〜10%であることを特徴とする織編物である。
また、上述した目的を達成する本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸の製造方法は、少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる繊維糸条を、下記の式(1)で表される先撚係数K1が2000〜15000である先撚を施して、次いで接触式あるいは非接触式の加熱媒体を用いて糸条温度80〜150℃に加熱しつつ、仮撚方向を該先撚方向と同方向にして下記の式(2)で表される仮撚係数K2が5000〜35000である仮撚回転子によって仮撚を付与し、その後解撚し、パッケージに巻き取ることを特徴とするセルロースエステル系先撚仮撚加工糸の製造方法である。
K1=T1×D−1/2 式(1)
K2=T2×D−1/2 式(2)
ただし、T1:先撚数(回/m)
T2:仮撚数(回/m)
D :トータル繊度(dtex)
本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸製造方法の好ましい態様のひとつは、前記のセルロースエステル組成物が、水溶性可塑剤を2〜25wt%含有することである。
本発明によって、従来得られなかったセルロース誘導体をベースとした糸条に先撚仮撚加工を施すことで、高発色性、吸放湿性および触冷感というセルロース系繊維の特長に加え、上質なシャリ感という物理的特性を織編物に付与することができる。
また、本発明の織編物は、衣料として特に婦人衣料素材に好適であるが、それ以外に和装やスポーツ衣料や裏地などにも用いることができる。
本発明の先撚仮撚加工糸は、セルロースエステル組成物よりなるが、そのセルロースエステル組成物の主成分であるセルロースエステルは、少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたものである。炭素数2のアシル基であるアセチル基のみによって置換された、セルロースジアセテートやセルローストリアセテートなどのセルロースアセテートからなる先撚仮撚加工糸は、ポリマー組成物としての熱可塑性が殆どないため、仮撚加工時の十分な熱セットを受けることができず、十分に堅牢な捲縮および嵩高性を有するものではない。それに対し、少なくとも一部の水酸基が、例えば、炭素数3のアシル基であるプロピオニル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とする場合、仮撚加工時の熱セットが可能となるため、先撚仮撚加工糸は、例えば、熱水処理を施した後にも残存しているような強固な捲縮を有するものとなる。
少なくとも一部の水酸基を置換するアシル基の炭素数に関しては、炭素数が3以上であれば良好な熱可塑性によって強固な捲縮を有する先撚仮撚加工糸となる。また、炭素数が18以下であれば仮撚加工糸の強度および耐熱性が低下することがない。炭素数が3以上であるアシル基の具体例としては、プロピオニル基(プロパノイル基)、ブチリル基(ブタノイル基)、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基およびオクタデカノイル基などがあげられる。また、水酸基を置換するアシル基は1種類である必要はなく、炭素数2のアセチル基と炭素数3のプロピオニル基によって置換されたセルロース混合エステルであってもよい。
本発明で採用し得る具体的なセルロースエステルの例としては、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、また、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートカプロネート、セルロースアセテートカプリレート、セルロースアセテートラウレート、セルロースアセテートパルミテート、セルロースアセテートステアレート、セルロースアセテートオレート、セルロースアセテートフタレートおよびセルロースプロピオネートブチレートなどが挙げられる。中でも、製造が容易なことおよび耐熱性が優れていることから、本発明では、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートからなる群から選ばれた少なくとも1種のセルロースエステルが、特に好適である。
また、セルロースの水酸基のアシル基による置換割合(置換度)は、セルロースを構成するグルコース単位あたり3個存在する水酸基のうち、2.4〜3.0個に相当する水酸基がアシル基によって置換されていることが好ましい。水酸基の置換度は、2.5〜2.9個がより好ましく、2.6〜2.8個が最も好ましい。ただし、セルロースエステルが2種類以上のアシル基によってエステル化されたものである場合には、置換度とは、全てのアシル基による置換度のトータルを意味する。
少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルは、公知の方法によって合成し得ることができる。
また、本発明で用いられるセルロースエステル組成物は、前述のセルロースエステルを主成分とするものであるが、セルロースエステルの他に可塑剤を2〜25wt%含有するセルロースエステル組成物も好適に採用される。
可塑剤を含有するセルロースエステル組成物からなるセルロースエステル系繊維は、仮撚加工時の熱セット性が良好であり、その結果、強固な捲縮を有する先撚仮撚加工糸が得られる。可塑剤の含有量は、2wt%〜25wt%であることが好ましい。含有量が2wt%以上であれば、セルロースエステル組成物全体の熱可塑性と熱セット性が良好となり、また、含有量が25wt%以下であれば、先撚仮撚加工糸の強度や耐熱性を過度に低下させることがない。本発明において、セルロースエステル組成物中の可塑剤含有量は、より好ましくは5〜20wt%であり、最も好ましくは10〜18wt%である。
可塑剤は、仮撚加工時には繊維に熱可塑性を付与する重要な役目を果たすが、最終製品である織物や編物等の繊維構造物中に残存してしまう場合、耐熱性の低下や染色堅牢度の悪化などの望ましくない影響を及ぼす。そのため、本発明における可塑剤は水溶性であることが好ましい。ここで水溶性とは室温水あるいは加熱された水に対する溶解度が2wt%以上であることを意味している。
本発明で具体的に用い得る水溶性可塑剤としては、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよびこれらの変性体および共重合体などを挙げることができる。水溶性可塑剤としてポリエチレングリコールを用いる場合には、その分子量は400〜2000であることが好ましく、500〜1500であることが最も好ましい。 本発明においてセルロースエステル系繊維は、セルロースエステルおよび可塑剤を少なくとも含んでなるセルロースエステル組成物を、公知の溶融押出紡糸機において加熱溶融した後、口金から押出し、紡糸し、必要に応じて延伸し巻き取る方法により製造することができる。この際、紡糸温度は180〜260℃が好ましく、さらに好ましくは190〜250℃である。紡糸温度を180℃以上とすることにより、溶融粘度が低くなり溶融紡糸性が向上する。また、紡糸温度を260℃以下にすることにより、セルロースエステル組成物の熱分解が抑制される。
また、本発明で用いられるセルロースエステル組成物からなるセルロースエステル系繊維の断面形状は、円形であっても異型であっても構わないが、上品な光沢を生ずることから、三角や六角などの異形断面形状が好ましい。
セルロースエステル系繊維の単繊維繊度は、シャリ感を構築させる観点から1dtex以上が好ましく、ソフトな風合いを得る観点から10dtex以下であることが好ましい。
また、セルロースエステル系繊維からなる本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸としてのトータル繊度は、しなやかな風合いを得る観点から、好ましくは30dtex以上300dtex以下である。

本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸は、先撚の撚方向と仮撚の撚方向が同方向であり、トルク撚数が100〜400回/mであることが重要である。先撚と仮撚が同方向でかつ100回/m以上であることで、糸にトルクを付与することができ、織編物の拘束をトルク発現方向に微妙に歪ませ、繊細なシボを生み出し、上質なシャリ感を織編物に付与することができる。トルク撚数は、好ましくは150〜250回/mである。
また、通常のポリエステル繊維からなる糸条の場合は、トルク撚数が150回以上になってくると、加工糸に未解撚が多く発生するようになり、織編物の表面品位が悪くなるが、本発明で用いられるセルロースエステル組成物はポリエステルほど熱可塑性が強くないので、トルク撚数が400未満であれば、表面品位も問題はない。
また、本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸を構成する単繊維の平均捲縮ピッチは、0.3〜5mmであることが、均一なシボを織編物に付与する点で重要である。ここで捲縮ピッチとは、先撚仮撚加工糸の捲縮形態を光学顕微鏡によって観察した場合の、ある捲縮の山から次の山までの距離(mm)をいう。仮撚加工糸が複数の単糸から構成される場合、それぞれの単繊維について10カ所ずつ測定を行い全ての測定結果の平均値をもって、平均捲縮ピッチとする。平均捲縮ピッチが0.3mmより小さいと、たとえ糸条にトルクがあったとしても、微細な捲縮がシボを吸収してしまうので、シャリ感を得ることができない。また、平均捲縮ピッチが5mmより大きくなると均一なシボを織編物に付与できず、表面品位が悪くなってしまう。平均捲縮ピッチは、より好ましくは0.3mm〜2mmである。
本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸の製造方法は、少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる繊維糸条を、下記の式(1)で表される先撚係数K1が2500〜15000である先撚を施して、次いで接触式あるいは非接触式の加熱媒体を用いて糸条温度80〜150℃に加熱しつつ、仮撚方向を該先撚方向と同方向にして下記の式(2)で表される仮撚係数K2が15000〜35000で仮撚回転子によって仮撚を付与し、その後解撚し、パッケージに巻き取る工程である。
K1=T1×D−1/2 式(1)
K2=T2×D−1/2 式(2)
ただし、T1:先撚数(回/m)
T2:仮撚数(回/m)
D :繊度(dtex)

この場合、セルロースエステル組成物は、その主成分のセルロースエステルとしてセルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートからなる群から選ばれた少なくとも1種のセルロースエステルあることが好ましい。また、セルロースエステル組成物は、水溶性可塑剤を好ましくは2〜25wt%含有することができる。
本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸を得るためには、まず、先撚係数K1が2500〜15000である先撚仮撚を施す必要がある。先撚係数が、K1>2500であることで糸にトルクを付与することができる。また、先撚係数が、K1<15000であることで、製織や編成工程でのビリの発生を抑えることができる。より好ましい先撚係数は、3000<K1<11000である。
本発明で用いられるセルロースエステル組成物は、伸度が小さいことに加え、繊維表面がフィブリル化しやすいという特徴があるため、仮撚加工を施す際に毛羽が発生しやすいという問題があったが、本発明では仮撚前に上記先撚を実施することで、仮撚における糸へのせん断ひずみを和らげることができ、毛羽の発生を抑えることができる。
また、先撚の方向は、SとZのどちらでも良く、イタリー撚糸機、ダウンツイスターおよびダブルツイスター等の一般の撚糸機を用い、常法に従い撚糸することができる。
先撚糸で得られた撚糸は撚糸トルクがあるので、ビリ止めのボビンキャップを経て、仮撚加工機に供給することが好ましい。すなわち、先撚糸は糸条にかかる張力が下がるとビリやスナールを発生しやすくなるので、適当な張力を付加することにより、これらを防ぐことができる。
図1は、本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸の製造工程を例示説明するための工程概略図である。図1において、セルロースエステル系繊維からなる供給糸条1は、ビリ防止装置であるボビンキャップAを経て解舒され、フィードローラーBを用いて安定的に加熱媒体Cに供給され、糸条温度80〜150℃に加熱される。加熱媒体Cは、仮撚加工用として公知の媒体を適宜使用すればよいが、接触式の加熱媒体の具体例としては電熱あるいは循環する加熱媒体によって加熱される熱板が挙げられる。また、非接触式の加熱媒体としては、スリットヒーターを具体例として挙げられる。いずれの場合にも繊維糸条の温度が80〜150℃に加熱されることが重要である。加熱温度が80℃以上であれば、セルロースエステル系繊維を加熱状態で熱セットすることができ、強固な捲縮の付与を行うことができて嵩高性の高い加工糸を得られる。また、加熱温度が150℃以下であれば、繊維の融着によって粗硬感が発生することがなく好ましい態様である。十分な熱セット性および融着防止の観点から、繊維糸条の温度は90〜130℃であることが好ましく、100〜120℃であることが最も好ましい。
加撚されつつ加熱された走行糸条は、次いで冷却媒体Dで冷却され、仮撚を与えるための仮撚回転子Eを通過する。仮撚回転子Eは、直接撚糸を与えるスピナーピンであってもよいし、間接的に撚糸を与えるフリクションディスクあるいはベルトニップであってもよいが、好ましい仮撚回転子は、直接撚糸を与えるスピナーピンである。
このとき、工程通過性の観点から、仮撚係数K2を15000〜35000にすることが重要である。K2<15000であると、スナールが多発し、織編物工程通過性が悪くなる。また、K2>35000であると、仮撚時の糸切れが発生しやすくなる。より好ましいK2の範囲は、20000〜32000である。
走行する糸条は、仮撚回転子Eを通過した後に解撚され、最終的にパッケージIへと巻き取られる。必要に応じ、延伸ローラーFとリラックスローラーHの間に設置されたノズルGを用いて交絡あるいは混繊を付与してもよい。ノズルGとしては、インターレースノズルやタスランノズルに代表される圧縮空気ノズルなどを特に制限なく使用することができる。
本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸を用いて、織編物を製編織することができる。本発明で用いられるベースとなるセルロースエステル組成物が、セルロース由来であることによって、衣料用布帛として用いられる場合に吸放湿性や発色性、接触冷感など良好な特性を発現する。
本発明の織編物は、セルロースエステル系先撚仮撚加工糸を少なくとも一部に用いてなり、織編物の形態としては特に制限はなく、任意の組織および糸構成の織物であってもよい。
また、本発明の織編物は、20℃・65%RHにおける吸湿率が1〜10%であれば、吸放湿性が良好であって、衣料用用途に非常に好適である。吸湿率は織編物の快適性の観点から、2%以上であることが好ましく、4%以上であることが最も好ましい。
本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸は、婦人衣料用途に用いられるシボ織物や表面効果織編物、和装着尺用の原糸として好適である。
以下、実施例により、本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸とその製造方法について詳細に説明する。なお、実施例中の物性は次の方法により求めた。
A.トルク撚数
1mの長さにサンプリングした先撚仮撚加工糸の両端を横方向に固定し加工糸の中央に、0.5mg/dの荷重を吊した状態で徐々に両端を近づけ、完全に両端が一致したときにヨリ合った数を50cmあたりのトルク撚数として測定し、1mあたりに換算して求める。
B.吸湿率
繊維試料約1gを用意し、その絶乾時の重量(W0)を測定する。この試料を20℃・65%RHの状態に調湿された恒温恒湿器(ナガノ科学機械製LH−20−11M)中に24時間放置し、平衡状態となった試料の重量(W20)を測定して下記式により求める。
・吸湿率(%)=(W20−W0)/W0
C.発色性 黒発色性は、得られた織編物を4枚重ねし、測色計(スガ試験機株式会社性のSM−3型)により、測定径30mmφの条件でL*を5回測定し、その平均値で評価した。

D.風合い(シャリ感) 実施例および比較例のそれぞれの生地を手に持ったときの感触で相対的にシャリ感を大変大きく感じるものを◎、大きく感じるものを○、大きく感じないものを×とし、無作為に選んだ5人の評価の平均に近いものを特性とした。

E.表面品位 実施例および比較例のそれぞれの生地の表面を観察したときに、表面品位が大変良いものを◎、良いものを○、悪いものを×、少し悪いを△とし、無作為に選んだ5人の評価の平均に近いものを特性とした。

(実施例1)
セルロースアセテートプロピオネート(イーストマンケミカル社製)80部(エステル置換度:2.7)と可塑剤としてポリエチレングリコール(三洋化成(株)製PEG600)20部を含むセルロースエステル組成物を、二軸エクストルーダーで混練してペレットを得た。このペレットを、棚式乾燥機で80℃×8hrの条件で真空乾燥を行って絶乾状態とした後、溶融紡糸機にて紡糸温度260℃、紡糸速度1000m/分の条件で溶融紡糸を行い、105dtex−24fの繊維糸条を得た。得られた繊維糸条を供給糸条として用い、まず石川製作所製ダウンツイスターでS方向に先撚係数(K1)が4000である先撚を実施し、その後、石川製作所(株)製IVF−24仮撚加工機を用いて、スピナーピン1mmφ、熱板温度120℃、仮撚係数(K2)26000、ストレッチ率1.1、加工速度100m/分の条件で仮撚加工を施した。熱板により接触した繊維糸条の温度は120℃であった。得られた先撚仮撚加工糸のトルク撚数は195回/mであり、平均捲縮ピッチは0.9mmであった。得られた先撚仮撚加工糸を経糸および緯糸に用い、レピア織機により平織物を作成した後、沸騰水中で10分間熱処理を行った。得られた織物は、細かなシボを発現し、シャリ感が非常に良く表面品位も良好であった。また吸湿性および発色性ともに良好であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1と同じ繊維糸条を供給糸条として用い、先撚係数(K1)を2800、仮撚係数(K2)を30000に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、先撚仮撚加工を実施した。得られた先撚仮撚加工糸のトルク撚数は125回/mであり、平均捲縮ピッチは0.7mmであった。得られた先撚仮撚加工糸を用い実施例1と同様の方法で織物を作成した結果、得られた織物は、シャリ感があり表面品位も良好であった。また、吸湿性および発色性ともに良好であった。結果を表1に示す。
(実施例3)
セルロースアセテートブチレート(イーストマンケミカル社製)90部(エステル置換度:2.7)と可塑剤としてポリエチレングリコール(三洋化成(株)製PEG600)10部を含むセルロースエステル組成物を用いた他は、実施例1と同様にして先撚仮撚加工を実施した。
得られた先撚仮撚加工糸のトルク撚数は115回/mであり、平均捲縮ピッチは0.8mmであった。得られた先撚仮撚加工糸を用い実施例1と同様の方法で織物を作成した結果、得られた織物は、シャリ感があり表面品位も良好であった。また、吸湿性および発色性ともに良好であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
供給糸条としてセルロースジアセテートフィラメント繊維糸条(110dtex−20f)を用いたこと他は、実施例1と同様にして先撚仮撚加工を行った。得られた先撚仮撚加工糸のトルク撚数は280回/mであり、平均捲縮ピッチは19mmであり、捲縮をほとんど付与することができなかった。得られた先撚仮撚加工糸を用い実施例1と同様の方法で織物を作成した結果、得られた織物は、吸湿性および発色性は良好なものの、捲縮をほとんど有さない繊維糸条であるため、ジャリジャリしたかたい風合いの織物であった。また、トルクを捲縮で吸収することができないため、製織の準備工程でタテ糸にビリが多発するという問題が発生した。結果を表1に示す。
(比較例2)
仮撚加工の前に先撚加工を実施しないこと以外は、実施例1と同様にして仮撚加工を行った。得られた仮撚加工糸のトルク撚数は65回/mであり、平均捲縮ピッチは7mmであり、トルクをほとんど付与することができなかった。また、単糸切れをする箇所が多く、毛羽が発生した。得られた仮撚加工糸を用い実施例1と同様の方法で織物を作成した結果、得られた織物は、吸湿性および発色性は良好なものの、トルクをほとんど有さない繊維糸条であるため、シボ感を織物に付与することができず、またシャリ感は得られなかった。結果を表1に示す。
(比較例3)
供給糸条としてポリエチレンテレフタレート繊維糸条(110dtex−24f)を用いて、仮撚温度を210℃としたこと他は、実施例1と同様にして先撚仮撚加工を行った。得られた先撚仮撚加工糸のトルク撚数は210回/mであり、平均捲縮ピッチは0.8mmであり、未解撚が多くみられた。得られた先撚仮撚加工糸を用い実施例1と同様の方法で織物を作成した結果、得られた織物にはシボ感を付与することはできたが、未解撚が多いためか、表面に虫食い状の欠点が多くみられザラザラした風合いになった。また、吸湿性および発色性ともに満足いくレベルでなかった。結果を表1に示す。
Figure 2006183200
本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸は、特に婦人衣料用途に好適であり、婦人衣料に用いられるシボ織物や表面効果織編物の原糸として有用である。
図1は、本発明のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸の製造工程を例示説明するための工程概略図である。
符号の説明
1.供給糸条
A.ボビンキャップ
B.フィードローラー
C.加熱媒体
D.冷却媒体
E.仮撚回転子
F.延伸ローラー
G.ノズル
H.リラックスローラー
I.パッケージ

Claims (6)

  1. 少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる先撚仮撚加工糸であって、先撚の撚方向と仮撚の撚方向が同方向であり、トルク撚数が100〜400回/mで、平均捲縮ピッチが0.3〜5mmであることを特徴とするセルロースエステル系先撚仮撚加工糸。
  2. セルロースエステルが、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートからなる群から選ばれた少なくとも1種のセルロースエステルであることを特徴とする請求項1記載のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸。
  3. セルロースエステル組成物が、水溶性可塑剤を2〜25wt%含有することを特徴とする請求項1または2記載のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸を少なくとも一部に用いてなり、20℃・65%RHにおける吸湿率が1〜10%であることを特徴とする織編物。
  5. 少なくとも一部の水酸基が炭素数3〜18のアシル基によって置換されたセルロースエステルを主成分とするセルロースエステル組成物からなる繊維糸条を、下記の式(1)で表される先撚係数K1が2000〜15000である先撚を施して、次いで接触式あるいは非接触式の加熱媒体を用いて糸条温度80〜150℃に加熱しつつ、仮撚方向を該先撚方向と同方向にして、下記の式(2)で表される仮撚係数K2が5000〜35000である仮撚回転子によって仮撚を付与し、解撚することを特徴とするセルロースエステル系先撚仮撚加工糸の製造方法。
    K1=T1×D−1/2 式(1)
    K2=T2×D−1/2 式(2)
    ただし、T1:先撚数(回/m)
    T2:仮撚数(回/m)
    D :トータル繊度(dtex)
  6. セルロースエステル組成物が、水溶性可塑剤を2〜25wt%含有することを特徴とする請求項5記載のセルロースエステル系先撚仮撚加工糸の製造方法。
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