JP2005229442A - スピーカ用部品及びその製造方法、並びに、該部品を用いたスピーカ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 難燃処理を施したスピーカ用部品(振動板等)が高吸湿性であるため音響特性が低下してしまうこと、難燃剤によるスピーカ用部品(振動板等)の強度低下や低弾性率および内部損失が生じること、処理工程の増加により製造コストが上昇すること、などを解決する。
【解決手段】 トリフェニルホスフェート難燃剤を用いた抄造物からなるスピーカ用部品を用いる。
【選択図】 図1
【解決手段】 トリフェニルホスフェート難燃剤を用いた抄造物からなるスピーカ用部品を用いる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、スピーカ用部品及びその製造方法、並びに、該部品を用いたスピーカ装置に関する。
動電型スピーカ装置などのスピーカ装置では、該スピーカ装置を構成する振動板等のスピーカ用部品が、過大電流によるリード等の異常な温度上昇により発火する虞がある。
例えば、アンプが損傷してスピーカ装置に直流電流が印加されることにより、ボイスコイルが異常に加熱される。するとリード線が断線し、このリード線の断線部で火花が発生する。そして、この火花が原因でリード線の固着部から発火し、振動板等の全体に燃え広がる虞がある(例えば、特許文献1参照)。
このため、スピーカ用部品(振動板等)における耐熱性および難燃性の向上が強く求められている。
そして、この耐熱性および難燃性の向上のために、種々の難燃処理を施した振動板がスピーカ装置に用いられている(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−115885号公報
特開昭62−150995号公報
例えば、アンプが損傷してスピーカ装置に直流電流が印加されることにより、ボイスコイルが異常に加熱される。するとリード線が断線し、このリード線の断線部で火花が発生する。そして、この火花が原因でリード線の固着部から発火し、振動板等の全体に燃え広がる虞がある(例えば、特許文献1参照)。
このため、スピーカ用部品(振動板等)における耐熱性および難燃性の向上が強く求められている。
そして、この耐熱性および難燃性の向上のために、種々の難燃処理を施した振動板がスピーカ装置に用いられている(例えば、特許文献2参照)。
ところが、従来の難燃処理を施したスピーカ用部品(振動板等)は、リン酸セルロース系繊維といった難燃性繊維の抄造物またはリン酸系化合物などの難燃剤により処理されて形成されるため高吸湿性である。
従って、このスピーカ用部品(振動板等)が空気中の水分を吸収して軟化するため、音響特性が低下してしまう。
従って、このスピーカ用部品(振動板等)が空気中の水分を吸収して軟化するため、音響特性が低下してしまう。
また、リン酸系化合物などの難燃剤により、繊維のパルプ相互間の結合が妨げられるため、スピーカ用部品(振動板等)の強度低下、低弾性率および内部損失などの音響的物性が乏しくなるといった悪影響が生じる。従って、この影響を低減するため、メラミン樹脂などの樹脂含浸をさらに別工程で行う必要がある。
また、従来のスピーカ用部品(振動板等)の製造工程では、難燃処理や補強等のための樹脂処理などの数工程に分かれる処理を実施することが求められ、処理工程の増加による製造コスト上昇の要因となっている。
本発明が解決しようとする課題としては、スピーカ用部品及びその製造方法、並びに、該部品を用いたスピーカ装置において、上述した従来技術において生じる難燃処理を施したスピーカ用部品(振動板等)が高吸湿性であるため音響特性が低下してしまうこと、難燃剤によるスピーカ用部品(振動板等)の強度低下や低弾性率および内部損失が生じること、処理工程の増加により製造コストが上昇すること、などがそれぞれ一例として挙げられる。
請求項1に記載のスピーカ用部品は、トリフェニルホスフェート難燃剤を用いた抄造物からなることを特徴とする。
請求項6に記載のスピーカ用部品の製造方法は、抄造により抄造物を形成する工程と、前記抄造物に、トリフェニルホスフェート難燃剤を含む難燃処理液を含浸させる工程と、前記含浸させる工程を行った後、前記抄造物を所定の形状に仕上げる工程と、を含むことを特徴とする。
請求項7に記載のスピーカ用部品の製造方法は、抄造により抄造物を形成する工程と、前記抄造物に、トリフェニルホスフェート難燃剤を含む難燃処理液を塗工液として、前記抄造物をコートする工程と、前記コートを行った後、前記抄造物を所定の形状に仕上げる工程と、を含むことを特徴とする。
請求項8に記載のスピーカ用部品の製造方法は、トリフェニルホスフェート難燃剤を粉砕し、抄紙用スラリーに分散させて抄造を行い、抄造物を形成する工程と、前記抄造物を所定の形状に仕上げる工程と、を含むことを特徴とする。
請求項9に記載のスピーカ装置は、請求項1〜5のいずれかに記載のスピーカ用部品を用いたことを特徴とする。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係るスピーカ用部品を用いたスピーカ装置の一例の概略構成図である。
本実施の形態に係るスピーカ装置10は、各種スピーカ用部品から構成されている。
例えば、図1に示すように、その各種スピーカ用部品として、環状ヨーク1、環状マグネット2、ボイスコイル3a、ボビン3、振動板4、エッジ5、ダンパー6、フレーム7、センターキャップ8、パッキン9、キャビネット12などが挙げられる。
図1は、本実施の形態に係るスピーカ用部品を用いたスピーカ装置の一例の概略構成図である。
本実施の形態に係るスピーカ装置10は、各種スピーカ用部品から構成されている。
例えば、図1に示すように、その各種スピーカ用部品として、環状ヨーク1、環状マグネット2、ボイスコイル3a、ボビン3、振動板4、エッジ5、ダンパー6、フレーム7、センターキャップ8、パッキン9、キャビネット12などが挙げられる。
上記各スピーカ用部品によるスピーカ装置10の構成の概略を説明する。
環状ヨーク1は、上部プレート1aおよび下部プレート1bからなり、これらの間に環状マグネット2が挟持されている。
環状ヨーク1および環状マグネット2は、磁気回路を構成しており、この磁気回路中央部のセンターポール11の周囲に、ボイスコイル3aを巻装したボビン3が配置されている。
ボビン3は、ダンパー6を介してフレーム7に保持されている。
振動板4は、コーン状をなし、ボイスコイル3aの振動を空気に伝える音再生機能を有し、その外周はエッジ5を介してフレーム7の周縁部に保持されている。
振動板4の中央部には、センターキャップ8が嵌着されており、エッジ5の外周部にはパッキング9が取り付けられている。
キャビネット12には、上記各スピーカ用部品からなるスピーカ本体が取り付けられており、バッフル板やスピーカボックスとして機能する。
環状ヨーク1は、上部プレート1aおよび下部プレート1bからなり、これらの間に環状マグネット2が挟持されている。
環状ヨーク1および環状マグネット2は、磁気回路を構成しており、この磁気回路中央部のセンターポール11の周囲に、ボイスコイル3aを巻装したボビン3が配置されている。
ボビン3は、ダンパー6を介してフレーム7に保持されている。
振動板4は、コーン状をなし、ボイスコイル3aの振動を空気に伝える音再生機能を有し、その外周はエッジ5を介してフレーム7の周縁部に保持されている。
振動板4の中央部には、センターキャップ8が嵌着されており、エッジ5の外周部にはパッキング9が取り付けられている。
キャビネット12には、上記各スピーカ用部品からなるスピーカ本体が取り付けられており、バッフル板やスピーカボックスとして機能する。
本実施の形態に係るスピーカ装置10において、上記の振動板4、エッジ5、センターキャップ8、ボビン3、ダンパー6、キャビネット12の各スピーカ用部品のうち、少なくとも1つは、トリフェニルホスフェート難燃剤を用いた抄造物からなるものである。
トリフェニルホスフェート((C6H5O)3PO)の化学構造式は、以下通りである。
トリフェニルホスフェート((C6H5O)3PO)の化学構造式は、以下通りである。
トリフェニルホスフェート難燃剤を用いた抄造物からなるスピーカ用部品の例として、振動板4を挙げ、以下、図2の製造工程図を参照してその製造方法を3通り挙げて、それぞれ説明する。
(製造方法1)
図2に示すように、まず、天然繊維、化学繊維、無機質繊維などの繊維を抄造することにより、コーン形状の抄造物を作る。この抄造物が乾燥した後、トリフェニルホスフェート難燃剤を溶剤で溶かした難燃処理液を含浸させる。
上記含浸を行った後、この抄造物を自然乾燥や温風乾燥によって乾燥させる。そして、乾燥が十分となったとき、振動板4として使用できる所定の形状に仕上げる。例えば、コーンが所定の外径となるように、コーン形状の抄造物の外縁部を切断し、さらに、ボビン3の径に合わせて、中央部をくり抜くように切断して、振動板4が形成される。
この製造方法において、前記溶剤を用いずに、トリフェニルホスフェート難燃剤自体を融点まで加温して難燃処理液にし、この難燃処理液を前記抄造物を含浸させるようにしてもよい。
図2に示すように、まず、天然繊維、化学繊維、無機質繊維などの繊維を抄造することにより、コーン形状の抄造物を作る。この抄造物が乾燥した後、トリフェニルホスフェート難燃剤を溶剤で溶かした難燃処理液を含浸させる。
上記含浸を行った後、この抄造物を自然乾燥や温風乾燥によって乾燥させる。そして、乾燥が十分となったとき、振動板4として使用できる所定の形状に仕上げる。例えば、コーンが所定の外径となるように、コーン形状の抄造物の外縁部を切断し、さらに、ボビン3の径に合わせて、中央部をくり抜くように切断して、振動板4が形成される。
この製造方法において、前記溶剤を用いずに、トリフェニルホスフェート難燃剤自体を融点まで加温して難燃処理液にし、この難燃処理液を前記抄造物を含浸させるようにしてもよい。
(製造方法2)
図3に示すように、まず、天然繊維、化学繊維、無機質繊維などの繊維を抄造することにより、コーン形状の抄造物を作る。
この抄造物が乾燥した後、トリフェニルホスフェート難燃剤を溶剤で溶かす、あるいは、トリフェニルホスフェート自体を融点まで加温して得られた難燃処理液を塗工液として用いてコートする(例えば、筆等を用いて、乾燥したコーン形状の抄造物の表面に塗工液を塗布する)。
また、トリフェニルホスフェート難燃剤を粉末状に粉砕し、これをバインダ性または接着性を有する樹脂や、セメントなどの無機物質に混合させて得られたものを塗工液として用いてもよい。
上記コートを行った後、この抄造物を自然乾燥や温風乾燥によって乾燥させる。そして、乾燥が十分となったとき、振動板4として使用できる所定の形状に仕上げる。例えば、コーンが所定の外径となるように、コーン形状の抄造物の外縁部を切断し、さらに、ボビン3の径に合わせて、中央部をくり抜くように切断して、振動板4が形成される。
このように、製造方法2においては、含浸ができないスピーカ部品やその一部への難燃処理を容易に行うことができる。
図3に示すように、まず、天然繊維、化学繊維、無機質繊維などの繊維を抄造することにより、コーン形状の抄造物を作る。
この抄造物が乾燥した後、トリフェニルホスフェート難燃剤を溶剤で溶かす、あるいは、トリフェニルホスフェート自体を融点まで加温して得られた難燃処理液を塗工液として用いてコートする(例えば、筆等を用いて、乾燥したコーン形状の抄造物の表面に塗工液を塗布する)。
また、トリフェニルホスフェート難燃剤を粉末状に粉砕し、これをバインダ性または接着性を有する樹脂や、セメントなどの無機物質に混合させて得られたものを塗工液として用いてもよい。
上記コートを行った後、この抄造物を自然乾燥や温風乾燥によって乾燥させる。そして、乾燥が十分となったとき、振動板4として使用できる所定の形状に仕上げる。例えば、コーンが所定の外径となるように、コーン形状の抄造物の外縁部を切断し、さらに、ボビン3の径に合わせて、中央部をくり抜くように切断して、振動板4が形成される。
このように、製造方法2においては、含浸ができないスピーカ部品やその一部への難燃処理を容易に行うことができる。
(製造方法3)
図4に示すように、天然繊維、化学繊維、無機質繊維などの繊維に加え、トリフェニルホスフェート難燃剤を粉砕したものを抄紙用スラリーに分散させて抄造を行い、コーン形状の抄造物を作る。
この抄造物が乾燥した後、振動板4として使用できる所定の形状に仕上げる。例えば、コーンが所定の外径となるように、コーン形状の抄造物の外縁部を切断し、さらに、ボビン3の径に合わせて、中央部をくり抜くように切断して、振動板4が形成される。
図4に示すように、天然繊維、化学繊維、無機質繊維などの繊維に加え、トリフェニルホスフェート難燃剤を粉砕したものを抄紙用スラリーに分散させて抄造を行い、コーン形状の抄造物を作る。
この抄造物が乾燥した後、振動板4として使用できる所定の形状に仕上げる。例えば、コーンが所定の外径となるように、コーン形状の抄造物の外縁部を切断し、さらに、ボビン3の径に合わせて、中央部をくり抜くように切断して、振動板4が形成される。
なお、上述の製造方法1〜3において、難燃性をより効果的に発現するために、ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、無機質系難燃剤等を混合したり、あるいは別工程処理で用いたりしてもよい。
また、木材パルプなどからなる抄造物への難燃性付与成分の定着性を良くするために、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等を混合したり、あるいは別工程処理で用いたりしてもよい。
また、木材パルプなどからなる抄造物への難燃性付与成分の定着性を良くするために、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等を混合したり、あるいは別工程処理で用いたりしてもよい。
以上の製造方法1〜3により製造された振動板4(スピーカ用部品)は、トリフェニルホスフェート難燃剤を用いて製造したので、難燃性が良好で、かつ、吸湿性が低く、軟化しにくいため、音響特性を劣化させることがない振動板を簡易な製造工程によって得ることができる。
なお、上記の製造方法1〜3では、振動板4の製造方法に関して述べたが、エッジ5、センターキャップ8、ボビン3、ダンパー6、キャビネット12などの他のスピーカ用部品に対しても、トリフェニルホスフェート難燃剤を用いた同様の製造方法にて、難燃性が良好で、かつ、吸湿性が低く、軟化しにくいため、音響特性を劣化させることがないスピーカ用部品を簡易な製造工程によって得ることができる。
上記の各スピーカ用部品に対して、例えば、以下のようにトリフェニルホスフェート難燃剤を用いることができる。
エッジ5の場合は、布材へのトリフェニルホスフェート難燃剤含浸、コート材・ゴムへのトリフェニルホスフェート難燃剤添加など。
センターキャップ8の場合は、紙、布製等の素材に対し振動板と同様に製造する、あるいは、フィルム材への練り込み、ベース樹脂へのトリフェニルホスフェート難燃剤添加など。
ボビン3の場合は、クラフトボビンへのトリフェニルホスフェート難燃剤含浸、フィルム材への練り込み、コート材へのトリフェニルホスフェート難燃剤添加など。
ダンパー6の場合は、布材へのトリフェニルホスフェート難燃剤含浸、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂等)へのトリフェニルホスフェート難燃剤添加など。
キャビネット12の場合は、樹脂へのトリフェニルホスフェートの練り込み、表面塗装剤へのトリフェニルホスフェート難燃剤添加など。
また、上記全てのスピーカ用部品に対して、トリフェニルホスフェート難燃剤添加樹脂のコートなど。
エッジ5の場合は、布材へのトリフェニルホスフェート難燃剤含浸、コート材・ゴムへのトリフェニルホスフェート難燃剤添加など。
センターキャップ8の場合は、紙、布製等の素材に対し振動板と同様に製造する、あるいは、フィルム材への練り込み、ベース樹脂へのトリフェニルホスフェート難燃剤添加など。
ボビン3の場合は、クラフトボビンへのトリフェニルホスフェート難燃剤含浸、フィルム材への練り込み、コート材へのトリフェニルホスフェート難燃剤添加など。
ダンパー6の場合は、布材へのトリフェニルホスフェート難燃剤含浸、熱硬化性樹脂(フェノール樹脂等)へのトリフェニルホスフェート難燃剤添加など。
キャビネット12の場合は、樹脂へのトリフェニルホスフェートの練り込み、表面塗装剤へのトリフェニルホスフェート難燃剤添加など。
また、上記全てのスピーカ用部品に対して、トリフェニルホスフェート難燃剤添加樹脂のコートなど。
次に、具体的な実施例を挙げて説明する。
(実施例1)
まず、
木材パルプ(針葉樹クラフトパルプ) 90重量部
化学繊維(繊維長2mm程度のアラミド繊維) 10重量部
を用いて、前記製造方法1に準じて抄造を行い、振動板4の基材となる抄造物を得た。
また、
トリフェニルホスフェート 20重量部
溶剤 80重量部
を用意した。
そして、溶剤に固体のトリフェニルホスフェートを溶解させることで、難燃処理液を得た。
次に、得られた抄造物に、上記難燃処理液をむら無く十分に含浸させた後、80℃の雰囲気中で、10分間温風乾燥する。これにより、難燃性振動板(実施例1品)を得た。
(実施例1)
まず、
木材パルプ(針葉樹クラフトパルプ) 90重量部
化学繊維(繊維長2mm程度のアラミド繊維) 10重量部
を用いて、前記製造方法1に準じて抄造を行い、振動板4の基材となる抄造物を得た。
また、
トリフェニルホスフェート 20重量部
溶剤 80重量部
を用意した。
そして、溶剤に固体のトリフェニルホスフェートを溶解させることで、難燃処理液を得た。
次に、得られた抄造物に、上記難燃処理液をむら無く十分に含浸させた後、80℃の雰囲気中で、10分間温風乾燥する。これにより、難燃性振動板(実施例1品)を得た。
上記のようにして作成した難燃性振動板(実施例1品)と、比較のために従来の難燃剤を用いた振動板(従来品)及び難燃剤を用いない振動板(難燃未処理品)とに対して、吸湿性試験を行った。
この吸湿性試験では、高湿度環境である温度40℃、湿度90%RHの条件下で、24時間放置し、試験前後の各振動板の重量変化率を求めた。
吸湿性試験の結果は、次の通りである。
各振動板の重量変化率が、
難燃未処理品 12%増加
従来品 16%増加
実施例1品 9%増加
という結果が得られた。
これにより、実施例1品が、従来品に比べて約半分に吸湿性が抑えられたことが確認できた。
この吸湿性試験では、高湿度環境である温度40℃、湿度90%RHの条件下で、24時間放置し、試験前後の各振動板の重量変化率を求めた。
吸湿性試験の結果は、次の通りである。
各振動板の重量変化率が、
難燃未処理品 12%増加
従来品 16%増加
実施例1品 9%増加
という結果が得られた。
これにより、実施例1品が、従来品に比べて約半分に吸湿性が抑えられたことが確認できた。
なお、抄造物としては、木材パルプ100重量部を使用することも可能であるが、一般的に、難燃性または不燃性の繊維を混抄することで、難燃性を向上することができる。また、溶剤としては、芳香族炭化水素類からなる混合溶剤を用いた。
また、トリフェニルホスフェートと溶剤の前記配合は一例であり、トリフェニルホスフェートの濃度は最低5重量部程度でも、未処理品と比較して難燃性を発現する。
また、トリフェニルホスフェートと溶剤の前記配合は一例であり、トリフェニルホスフェートの濃度は最低5重量部程度でも、未処理品と比較して難燃性を発現する。
本実施例1では、トリフェニルホスフェートの飽和濃度が60重量部程度であるため、作業性を考慮した上で、5〜60重量部の範囲内で濃度調整をすれば、所望の難燃性を得ることができる。
また、難燃性の試験確認では、実施例1品の燃焼試験を行ったところ、炎から取り出した試験体は炭化、自己消火性により残炎が無く、UL規格94‐V‐0〜V‐1に相当し、優れた難燃性を持つことが確認された。
(実施例2)
まず、実施例1に示した場合と同様の重量部の木材パルプおよび化学繊維を用いて、抄造物を得た。
また、
トリフェニルホスフェート 20重量部
リン系難燃剤 10重量部
アクリル酸エステル樹脂 20重量部
溶剤 50重量部
を用意した。そして、溶剤に液状のリン系難燃剤およびアクリル酸エステル樹脂を溶解させた後、固体のトリフェニルホスフェートを溶解させることで、難燃処理液を得た。
まず、実施例1に示した場合と同様の重量部の木材パルプおよび化学繊維を用いて、抄造物を得た。
また、
トリフェニルホスフェート 20重量部
リン系難燃剤 10重量部
アクリル酸エステル樹脂 20重量部
溶剤 50重量部
を用意した。そして、溶剤に液状のリン系難燃剤およびアクリル酸エステル樹脂を溶解させた後、固体のトリフェニルホスフェートを溶解させることで、難燃処理液を得た。
次に、実施例1の場合と同様に、抄造物にその難燃処理液を含浸させて引き上げた後、80℃の雰囲気で、10分間温風乾燥し、難燃性振動板を得た。
上記のようにして作成した難燃性振動板(実施例2品)と、比較のために従来の難燃剤を用いた振動板(従来品)及び難燃剤を用いない振動板(難燃未処理品)とに対して、実施例1と同様の条件下で吸湿性試験を行った。
吸湿性試験の結果は、次の通りである。
振動板の重量変化率が、
難燃未処理品 12%増加
従来品 16%増加
実施例2品 8%増加
という結果となった。これにより、実施例2品が実施例1品に対して、さらに吸湿性が抑えられていることが、確認された。
また、難燃性の試験確認では、実施例1品の燃焼試験を行ったところ、炎から取り出した試験体は炭化、自己消火性により残炎が無く、UL規格94‐V‐0〜V‐1に相当し、優れた難燃性を持つことが確認された。
また、燃焼性の試験確認でも、実施例1に示すものと同一の試験方法で、同様に優れた難燃性が確認された。
上記のようにして作成した難燃性振動板(実施例2品)と、比較のために従来の難燃剤を用いた振動板(従来品)及び難燃剤を用いない振動板(難燃未処理品)とに対して、実施例1と同様の条件下で吸湿性試験を行った。
吸湿性試験の結果は、次の通りである。
振動板の重量変化率が、
難燃未処理品 12%増加
従来品 16%増加
実施例2品 8%増加
という結果となった。これにより、実施例2品が実施例1品に対して、さらに吸湿性が抑えられていることが、確認された。
また、難燃性の試験確認では、実施例1品の燃焼試験を行ったところ、炎から取り出した試験体は炭化、自己消火性により残炎が無く、UL規格94‐V‐0〜V‐1に相当し、優れた難燃性を持つことが確認された。
また、燃焼性の試験確認でも、実施例1に示すものと同一の試験方法で、同様に優れた難燃性が確認された。
(実施例3)
実施例3では、まず、木材パルプ(針葉樹クラフトパルプ)100重量部を用いた抄造物を得た。
また、図5に示すように、トリフェニルホスフェート100重量部を入れた容器21を、ヒータ22によって50℃に加温された温浴23内に浸漬する。これにより、トリフェニルホスフェートを液状に溶融させた難燃処理液24を得た。
次に、前記抄造物の成形品であるコーン形状の振動板4を、中心部側からハトメ穴26を含む所定領域まで、図6に示すように、容器21内の難燃処理液24に浸漬した。
実施例3では、まず、木材パルプ(針葉樹クラフトパルプ)100重量部を用いた抄造物を得た。
また、図5に示すように、トリフェニルホスフェート100重量部を入れた容器21を、ヒータ22によって50℃に加温された温浴23内に浸漬する。これにより、トリフェニルホスフェートを液状に溶融させた難燃処理液24を得た。
次に、前記抄造物の成形品であるコーン形状の振動板4を、中心部側からハトメ穴26を含む所定領域まで、図6に示すように、容器21内の難燃処理液24に浸漬した。
続いて、この浸漬によって、振動板4に塗布した難燃処理液24を、80℃の雰囲気中で5分間温風乾燥させる。これにより、図7に示すように、難燃処理部25と未処理部27とを持つ振動板4が得られた。
スピーカ装置10において、ボイスコイルに信号電流を導く錦糸線を振動板4上に設けたハトメを経由させるものでは、錦糸線に流れる過大電流によって、ハトメが異常な高温に発熱する場合がある。
従って、ハトメ穴26付近まで難燃処理を施すことで、発火防止、燃焼防止を図ることができる。
(実施例4)
スピーカ装置10において、ボイスコイルに信号電流を導く錦糸線を振動板4上に設けたハトメを経由させるものでは、錦糸線に流れる過大電流によって、ハトメが異常な高温に発熱する場合がある。
従って、ハトメ穴26付近まで難燃処理を施すことで、発火防止、燃焼防止を図ることができる。
(実施例4)
図8に示すように、実施例4では、実施例3と同様の抄造物からなる振動板4の所定領域28に、実施例3と同様のトリフェニルホスフェート100重量部の難燃処理液を塗布した。
所定領域28は、ハトメ穴26付近から(ハトメに中継接続される)錦糸線が案内される(接触する可能性のある)配線領域である。
これにより、錦糸線に流れる過大電流に基づく発熱によって、振動板4が燃焼に至るのを回避できる。
なお、この場合の難燃処理液の塗布は、筆塗布で行ったが、周知の他の塗布方法を利用することもできる。
所定領域28は、ハトメ穴26付近から(ハトメに中継接続される)錦糸線が案内される(接触する可能性のある)配線領域である。
これにより、錦糸線に流れる過大電流に基づく発熱によって、振動板4が燃焼に至るのを回避できる。
なお、この場合の難燃処理液の塗布は、筆塗布で行ったが、周知の他の塗布方法を利用することもできる。
実施例3、4ではトリフェニルホスフェート100重量部の溶融体を用いた。 これにより、基材に応じた難燃性を付与することができる。また、実施例3,4は、振動板4の一部のみを難燃処理したサンプルであるため、吸湿性の測定対象から外した。
ところで、実施例1、2で述べた難燃処理液において、トリフェニルホスフェート、リン系難燃剤、アクリル酸エステル樹脂、溶剤の各重量部には、難燃効果を奏するのに好適な配合割合には、以下ような上限値及び下限値がある。
実施例1において、
上限値 下限値
トリフェニルホスフェート 50重量部 20重量部
溶剤 80重量部 50重量部
実施例2において、
上限値 下限値
トリフェニルホスフェート 50重量部 20重量部
リン系難燃剤 10重量部 0重量部
アクリル酸エステル樹脂 20重量部 0重量部
溶剤 50重量部 20重量部
以上の上限値及び下限値を超えると、以下のようになる。
すなわち、トリフェニルホスフェートは飽和濃度の60重量部を超えると、重量が過大になる。リン系難燃剤が10重量部を超えると、吸湿度が高くなる。アクリル酸エステル樹脂が20重量部を超えたり、溶剤が50重量部を超えたりすると、それぞれ発火し易くなる。
実施例1において、
上限値 下限値
トリフェニルホスフェート 50重量部 20重量部
溶剤 80重量部 50重量部
実施例2において、
上限値 下限値
トリフェニルホスフェート 50重量部 20重量部
リン系難燃剤 10重量部 0重量部
アクリル酸エステル樹脂 20重量部 0重量部
溶剤 50重量部 20重量部
以上の上限値及び下限値を超えると、以下のようになる。
すなわち、トリフェニルホスフェートは飽和濃度の60重量部を超えると、重量が過大になる。リン系難燃剤が10重量部を超えると、吸湿度が高くなる。アクリル酸エステル樹脂が20重量部を超えたり、溶剤が50重量部を超えたりすると、それぞれ発火し易くなる。
従って、上述の上限値および下限値間の範囲内で、所望の吸湿性、難燃性、重量等が得られる重量部を選択すれば、抄造物の種類に応じた最適の難燃処理液を得ることができる。
以上、詳述したように、本実施の形態におけるスピーカ用部品は、トリフェニルホスフェート難燃剤を用いた抄造物からなる。
これにより、難燃剤が低吸湿性であるため、難燃剤によるスピーカ用部品(振動板等)の音響特性の低下を防止でき、また、スピーカ用部品(振動板等)の強度低下や低弾性率化が生じることを防止でき、さらに、スピーカ用部品(振動板等)の製造の際に処理工程を増やさなくとも、難燃効果を得ることができる。
これにより、難燃剤が低吸湿性であるため、難燃剤によるスピーカ用部品(振動板等)の音響特性の低下を防止でき、また、スピーカ用部品(振動板等)の強度低下や低弾性率化が生じることを防止でき、さらに、スピーカ用部品(振動板等)の製造の際に処理工程を増やさなくとも、難燃効果を得ることができる。
そして、本実施の形態に係るスピーカ装置10は、ボビン3、振動板4、ダンパー6、エッジ5、センターキャップ8およびキャビネット12のいずれか一つまたは複数が、トリフェニルホスフェート難燃剤を用いた抄造物からなる。
これにより、スピーカ装置の各構成部品の吸湿性を従来品に比べて効果的に抑制でき、スピーカ装置の音響特性を低下させることなく、十分な難燃効果を奏すことができる。
これにより、スピーカ装置の各構成部品の吸湿性を従来品に比べて効果的に抑制でき、スピーカ装置の音響特性を低下させることなく、十分な難燃効果を奏すことができる。
3 ボビン
4 振動板
5 エッジ
6 ダンパー
7 フレーム
8 センターキャップ
12 キャビネット
24 難燃処理液
25 難燃処理部
26 ハトメ穴
28 所定領域(配線領域)
4 振動板
5 エッジ
6 ダンパー
7 フレーム
8 センターキャップ
12 キャビネット
24 難燃処理液
25 難燃処理部
26 ハトメ穴
28 所定領域(配線領域)
Claims (9)
- トリフェニルホスフェート難燃剤を用いた抄造物からなることを特徴とするスピーカ用部品。
- 前記抄造物に、前記トリフェニルホスフェート難燃剤を含む難燃処理液を含浸させてなることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ用部品。
- 前記抄造物に、前記トリフェニルホスフェート難燃剤を含む難燃処理液を塗工液としてコートしてなることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ用部品。
- 前記抄造物は、トリフェニルホスフェート難燃剤を粉砕し、抄紙用スラリーに分散させることにより、抄造されてなることを特徴とする請求項1に記載のスピーカ用部品。
- 前記スピーカ用部品が振動板、エッジ、センターキャップ、ボビン、ダンパー、又はキャビネットであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスピーカ用部品。
- 抄造により抄造物を形成する工程と、
前記抄造物に、トリフェニルホスフェート難燃剤を含む難燃処理液を含浸させる工程と、
前記含浸させる工程を行った後、前記抄造物を所定の形状に仕上げる工程と、
を含むことを特徴とするスピーカ用部品の製造方法。 - 抄造により抄造物を形成する工程と、
前記抄造物に、トリフェニルホスフェート難燃剤を含む難燃処理液を塗工液として、前記抄造物をコートする工程と、
前記コートを行った後、前記抄造物を所定の形状に仕上げる工程と、
を含むことを特徴とするスピーカ用部品の製造方法。 - トリフェニルホスフェート難燃剤を粉砕し、抄紙用スラリーに分散させて抄造を行い、抄造物を形成する工程と、
前記抄造物を所定の形状に仕上げる工程と、
を含むことを特徴とするスピーカ用部品の製造方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載のスピーカ用部品を用いたことを特徴とするスピーカ装置。
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| JP2004037394A JP2005229442A (ja) | 2004-02-13 | 2004-02-13 | スピーカ用部品及びその製造方法、並びに、該部品を用いたスピーカ装置 |
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- 2005-02-11 US US11/055,680 patent/US20050178516A1/en not_active Abandoned
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|---|---|---|---|---|
| JP2009055337A (ja) * | 2007-08-27 | 2009-03-12 | Victor Co Of Japan Ltd | ボイスコイル及びスピーカ |
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