JP2006103277A - セラミックスシートの製造方法およびそれを用いたセラミックス基板、その用途 - Google Patents

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Abstract

【課題】
従来の押出成形によるセラミックシートの製造方法は、原料の顆粒化(顆粒工程)および練土の均一化(混練および寝かせ工程)を必要とするリードタイムの長い生産方法である。さらに、この練土の均一化が不十分であると、グリーンシートの密度ムラが生じ、焼成後のセラミックス焼結体に変形や反りが発生するため、回路パターン印刷不良や金属回路板・放熱板との接合不良が生じるという課題があった。
【解決手段】
強混練性能を有した2軸押出機と、成形安定性を有した1軸成形機を組み合わせた押出成形機を使用することにより、従来と同等もしくはそれ以上の品質が得られ、しかも生産効率が良好なセラミックシートの製造方法、及びそれを用いたセラミックス基板を製造することが可能となった。

Description

本発明は、セラミックスシートの製造方法およびそれを用いたセラミックス基板、その用途に関する。
従来、回路基板は、半導体搭載用セラミックス基板の主面に導電性を有する金属回路をロウ材で接合し、金属回路の所定位置に半導体素子を搭載したものが用いられている。回路基板の高信頼性を保つには、半導体素子が発生する熱を放熱し、半導体素子の温度が過度に上昇しないようにすることが必要であり、セラミックス基板には、電気絶縁性に加えて、優れた放熱特性が要求される。近年、回路基板の小型化、パワーモジュールの高出力化が進む中、小型軽量化モジュールに関して、電気絶縁性が高く、高熱伝導性を有する窒化アルミニウム(以下、AlNと記載)焼結体を用いるセラミックス基板、並びにAlN基板の主面に金属回路を形成したセラミックス回路基板が注目されている。
セラミックス基板となるセラミックス焼結体は、一般に以下の方法で製造される。即ち、セラミックス粉末に焼結助剤、有機バインダー、可塑剤、分散剤、離型剤等の添加剤を適量混合し、それを押出成形やテープ成形によって薄板状又はシート状に成形する。厚板状又は大型形状の場合は、押出成形やプレスにより成形される。本発明では、厚さ1mm未満を薄板、1mm以上を厚板とする。次いで、成形体を空気あるいは真空、窒素等の雰囲気下で、450〜650℃に加熱して有機バインダーを除去した後(脱脂工程)、空気あるいは真空、窒素等の雰囲気下で、1600〜1900℃で0.5〜10時間保持すること(焼成工程)により製造される。
一般に、押出成形法を用いることで、成形厚みの制限を無くすことができ、薄板及び厚板のセラミックスシート成形が可能である。まず、万能混合機、ライカイ機、ミキサー、振動篩機等を用いて、予めオレイン酸処理したセラミックス粉末と焼結助剤と有機粉末バインダーからなる混合粉末を調製する。この混合粉末に、水、有機液体バインダー、離型剤及び可塑剤等からなる混合液体を噴霧し、万能混合機、ライカイ機、ミキサー、振動篩機等を用いて顆粒状の湿紛原料を作製する(顆粒化工程)。次に、この湿紛からなるオレイン酸処理したAlN粉末とバインダー水溶液を馴染ませるため、2〜3日間低温にて放置する(寝かせ工程)。この原料を混練機の原料供給口に投入し、練土を調製した後(混練工程)、さらに、2〜3日間低温にて放置し、練土粘度を低粘度化させる。この練土をダイスが設置された1軸押出成型機の原料供給部に投入し、厚板状又はシート状に成形する
特開平2−248358号公報 特開平2−283672号公報 特開平2−083265号公報
上記製造方法は、原料の顆粒化(顆粒化工程)および練土の均一化(寝かせ工程及び混練工程)を必要とするリードタイムの長い生産方式である。さらに、この練土の均一化が不十分であると、グリーンシートの密度ムラが生じ、焼成後のセラミックス焼結体が変形するという課題がある。本発明の目的は、従来と同等もしくはそれ以上の品質が得られ、しかも生産効率の良好なセラミックスシートの製造方法、及びそれを用いたセラミックス基板を提供することである。
即ち、本発明は、原料投入口を複数有する2軸押出機の吐出口と、1軸成形機の原料供給口を連結させた押出成形機を用いて、厚みが1〜10mmのセラミックスシートを成形することを特徴とするセラミックスシートの製造方法であり、2軸押出機の混錬部のスクリュー構成が、ニーディングディスクとローダーの組合せからなることを特徴とする該セラミックスシートの製造方法であり、セラミックス粉末が、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物セラミックスの群から選ばれることを特徴とする該セラミックスシートの製造方法であり、であり、窒化物セラミックスが窒化ケイ素(以下、Si3N4と略)であることを特徴とする該セラミックスシートの製造方法である。
さらに、上記方法により製造されたセラミックスシートに、脱脂及び焼結処理を施してなるセラミックス基板であり、該セラミックス基板の一主面に金属回路を形成し、他の一主面に放熱板を接合してなるセラミックス回路基板であり、該セラミックス回路基板を用いたモジュールである。
本発明により、従来法と同等もしくはそれ以上の品質が得られ、しかも生産効率の良好なセラミックスシートの製造方法が提供され、さらに、セラミックス基板の製造、並びに、モジュールへの適用が可能である。
本発明では、酸化物セラミックス(例えば酸化アルミニウム、以下Al)、炭化物セラミックス(例えば炭化ケイ素、以下SiC)、窒化物セラミックス(例えばSi3N4)の使用が可能であり、Al粉末およびSiC粉末は平均粒径5μm以下のものを用いることが好ましい。Si3N4粉末は、反応焼結法、シリカ還元法等の公知の方法で製造された粉末が使用できるが、酸素量3質量%以下、平均粒径5μm以下のものを用いることが好ましい。
本発明に係る酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物セラミックスの群から選ばれるセラミックス粉末の焼結助剤は、希土類金属、アルカリ土類、アルミニウム酸化物、フッ化物、塩化物、硝酸塩、硫酸塩等を単独あるいは複合にて使用することが可能である。これらの焼結助剤を用いることによりセラミックス粉末の焼結を促進させることが一般的である。焼結助剤の使用量は、セラミックス粉末100質量部に対して1〜6質量部が好ましい。1質量部未満であると焼結しにくくなる場合があり、逆に6質量部を超えると、焼結助剤が過剰に存在することにより高融点の相が残留するために、結果的に高密度な焼結体が得られない場合がある。
本発明に係るセラミックス粉末に適用できる焼結助剤を例示すれば、Si3N4の焼結助剤としてイットリウム酸化物(以下、Y)が、Alの焼結助剤としてMgOが、また、SiCの焼結助剤としてAl等を挙げることができる。
本発明に係る有機バインダーは粉末あるいは液体に限定されないが、メチルセルロース系有機バインダーが好ましい。当粉末の使用量は、セラミックス粉末に対して外割配合で0.5〜10質量%が好ましい。0.5質量%より少ないと、十分な成形体強度が得られず割れを生じる場合があり、一方、10質量%を超えると、脱脂処理に多大な時間がかかる上に、脱脂体中の残留炭素分が多いため、焼結体基板に色むらが生じる場合がある。
本発明に係る可塑剤としては、精製グリセリン、グリセリントリオレート、ジエチレングリコール等が使用可能であり、その使用量は、セラミックス粉末100質量部に対して0.1〜3質量部が好ましい。0.1質量部未満だと成形シートの柔軟性が不十分なため、プレス成形時に成形体が脆くなるため、シートへ亀裂が入りやすくなる傾向がある。一方、3質量部を超えると練土粘度が低下し、シート形状の保持が困難になるため、シート幅方向の厚みムラを生じる場合がある。本発明では、必要に応じて、さらに分散剤を配合することも可能である。分散剤は特に限定されないが、例えばポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマーが挙げられる。
本発明に係る溶媒としては、エタノールやトルエン等が挙げられるが、地球環境への配慮及び防爆設備対応を勘案すると、イオン交換水又は純水の使用も可能である。溶媒の使用量は、セラミックス粉末100質量部に対して1〜5質量部が好ましい。1質量部未満だと練土の流動性が悪く、シート成形に支障をきたす場合がある。一方、5質量部を超えると、練土粘度が低下し、シート形状の保持が困難になるため、シート幅方向の厚みムラが生じる場合がある。
本発明の成形機は、原料投入口を複数有する2軸押出機の吐出口と、1軸成形機の原料供給口を連結させた押出成形機であり、グリーンシートの見掛け密度を2.6g/cm以上にすることが可能である。これにより、セラミックス焼結体において収縮率を約10%以下にすることが出来、焼成時の収縮に伴う寸法不良や変形不良が低減できる。グリーンシートの見掛け密度が2.6g/cm未満だと収縮率が大きく、寸法不良や変形不良が発生し易い傾向がある。
本発明者は、セラミックスシートを製造するため、ドクターブレード法、押し出し成型法、乾式プレス法、射出成型法、スリップキャスト法について検討した。
乾式プレス法及び射出成型法は、バインダー量が多くなるため焼成時の収縮率が大きくなり、寸法精度が取れず、焼結体を研磨加工して放熱板とする必要がある。スリップキャスト法は、少ロットの異形品向きで量産性に劣り、厚みが厚い成形体は幅方向および流れ方向に厚みムラが生じやすい。
ドクターブレード法によれば、厚み0.5〜1mmの成型品は可能であるが、厚みが1mm程度を越えると厚みムラが大きくなり、特に端部と中心部の厚み差が40μm以上になることもあり、大きな反りを生じる場合がある。更に、厚いものは、シ−ト成型後に有機溶剤を乾燥・除去する際、蒸発する有機溶剤によって表面が荒れたりピンホールが発生し、放熱板としては不適となる場合がある。
これに対し、押出成形法は、ダイスのクリアランスを調整するだけで容易に厚みの厚いシートを成形することができ、しかも成形圧力を5〜10MPaと高くすることができるため、成形体密度を上げることが可能で、焼成時の寸法精度が良いという特長がある。
本発明に係る、2軸押出機と1軸押出機を組合せた押出成形機を図1に示す。
一般に、セラミックスを1軸成形機にて成形する場合、原料は湿粉状である。セラミック粉と有機バインダー粉を大型ミキサーやボールミル等で混合した後、有機液体バインダー、可塑剤及び溶媒からなる混合溶液を噴霧しながら、再度大型ミキサーやボールミル等で混合することにより得られる。しかし、このような方法は横もち作業が多いため、リードタイムが長いという課題がある。
本発明では、図1に示す通り、2軸押出機の原料供給箇所を複数設け、それらの供給箇所から使用する原料を個別に供給することで、2軸押出機内で原料の混合、混練を予備混合することなく連続的に行うことが可能である。
Si3N4やSiC焼結体は他の酸化物や窒化物よりヤング率が高いため、1軸成形機を用いて混練した場合、混練不十分が生じやすいので、シートにボイドが発生しやすい。一般的なボイド低減対策としては、一旦溶媒を馴染ませ、低温保管することで混練しやすい練土を作製することが必要となっていた。しかし、1軸成形機より混練性能が高い2軸押出機を使用することで溶媒を馴染ませ、低温保管させる工程の排除が可能である。
本発明に係る2軸押出機の特徴は、(1)2軸スクリューが同方向回転であり、2軸スクリュー間の噛み合い部において、1軸成形機よりも高いせん断応力を負荷でき、短時間で均一に混練された練土が得られる。(2)2軸スクリューは複数のパーツからなり、材料に応じて組み替えられるため混練の自由度が大きく、シート流れ方向とシート幅方向の密度バラツキを低減させることが可能である。さらに、焼結してセラミックス基板とする際は、押出方向に依存しない等方的な収縮性能を発現することから、セラミックス基板の寸法および変形不良を低減させることができる。
混錬部長さ(M)の占有率はM/L=20〜70%であることが好ましい。ここで、Lは2軸スクリューの長さである。M/Lが20%未満であると、混練不足が生じてセラミックスシートの密度バラツキを誘発する場合があり、一方、70%を超えると、過剰混練により練土の発熱が著しくなり、溶液中の低沸点物質の蒸発に伴い、練土の流動性が低下するため、安定した品質のシートが得られない場合がある。
2軸押出機の混錬部に使用する主なスクリューセグメントは、ニーディングディスクとローダーセグメントである。一般に、2軸押出機を用いてセラミック練土を混錬する場合、混練部はニーディングディスクから成っている。このニーディングディスクの長所はフライト部とバレル内側のクリアランスが狭いので、不連続ディスクによって切り分ける分配混合を行えることであるが、短所は狭いクリアランス部のため局所発熱が発生することである。その発熱温度の増加に伴い、練土温度も上昇するため、練土の品質に悪影響を及ぼす場合がある。また、クリアランスの狭い不連続ディスクのため、分配可能なフライト頂部のクリアランスを通過する材料は少ないため、回転数の増加に伴い混錬不足が生じる場合がある。
ローターセグメントの長所は、1)特殊な連続翼の形状をしており、広いチップ部とバレルの間はニーディングディスクより広いクリアランスを形成しているため、局所発熱を押さえることが出来る。2)チップクリアランスを全ての材料が繰り返し通過することから、均一な分散混合が可能である。短所はニーダーよりクリアランスが広いため分配が劣ることである。
ニーディングディスクとローターセグメントを組み合わせて使用することで、品質の安定した練土を得ることが可能である。その際、混錬部において上流(原料)側にニーディングを用いて粉末系と液体系の分配混合を行い、下流(吐出)側のローターにて分散混合を行うことで、練土を均一にすることが可能である。
混錬部におけるニーディングディスク(N)とローター(R)の占有率は原料によって異なるため限定はしないが、R/M=30〜50%、N/M=70〜50%であることが好ましい。
練土の成分が均一で、良好な成形性が得られる場合の粘度は、降下式フローテスターでせん断応力を0.3MPaとした場合、4000〜5000Pa・secであり、シート断面の輪郭形状はフラットとなる。粘度が4000Pa・sec未満であると、シート幅方向において厚みムラが発生し、焼成後のセラミック基板の寸法不良や変形が生じる場合がある。一方、粘度が5000Pa・secを超えると、シート断面の輪郭形状はフラットになるが、シート表面の流れ方向にフローマークが著しく現れるため、焼成後のセラミック基板表面の外観が損なわれる場合がある。
2軸押出機のスクリュー回転数は50〜200rpmが好ましく、より好ましくは70〜150rpmである。回転数が50rpm未満では所望の吐出量が得らないため、生産性が低下する。一方、200rpmを超えると練土の発熱が著しくなり、溶媒の蒸発に伴う流動性の低下が生じるため、安定したシート品質が得られない場合がある。2軸押出機の混練により練土中に包括された気泡を消滅させるために、混錬部からストランドダイス間で真空引きを行う。このとき、真空度は絶対圧力表示にて1300Pa以下の真空雰囲気に保たれる。2軸押出機は冷却用チラーユニットに接続され、2軸押出機からの吐出物温度は5〜15℃に調節される。
1軸成形機のスクリュー径Dおよびスクリュー長さLに関して特に制約は無いが、1軸成形機のスクリュー径Dは2軸押出機以上にすることが好ましい。1軸成形機の回転数は吐出量に比例するため、特に制約は無いが、5〜60rpmが好ましい。回転数が5rpm未満では、所望の吐出量が得られず生産性が低下する。一方、60rpmを超えると練土の発熱が著しくなり、溶媒の蒸発に伴う流動性の低下が生じるため、安定した品質のシートが得られない場合がある。1軸成形機の混錬部は、2軸押出機にて十分混錬されているため不要である。1軸成形機は冷却用チラーユニットに接続され、1軸成形機からの吐出物温度は5〜15℃に調節される。
2軸押出機の吐出口と1軸成形機の原料供給部の接続部は図1の様に設置される。この箱状容器(真空室)は、材質に制限はないが透明な容器であり、高真空下でも破損しないことが必要である。練土の表面に気泡が混入し密度低下を起こさぬよう、容器内は絶対圧力表示にて1300Pa以下の真空度に保たれる。2軸押出機及び1軸成形機と、容器の界面は真空漏れが生じないように、樹脂やゴムパッキン等のシール材が用いられる。2軸押出機の吐出口から吐出された練土は、その直下の1軸成形機の練土供給口に設置されたニーダーにより、1軸成形機内に搬送される。
本発明に係る1軸成形機の特徴は、原料供給系に起因する圧力変動が2軸押出機よりも小さく、2軸押出機のシート流れ方向の厚みバラツキがR>5μmなのに対し、1軸成形機ではR≦5μmと吐出安定性に優れる。シート流れ方向の厚みバラツキがR>5μmでは、焼成後のセラミック基板幅方向の反り量が80μm以上となるため、金属回路板側および金属放熱板側との接合に不具合を発生させる場合がある。本発明において、2軸押出機と1軸成形機を組み合せた理由は、両機の欠点を補い、優れた特徴を活かすためである。
粉末供給はウエイトロス式の粉末フィーダーを用い、液体供給はウエイトロス式の吐出脈動の少ないウエイトロス式モノポンプあるいはウエイトロス式チューブポンプ等を用いて原料供給を行うことが好ましい。ここで重要なのは、粉末および液体のフィードバラツキを│±R%│≦1以内に制御し、且つ粉末フィーダーと液体添加ポンプの吐出を同調化させることである。ここで、±R%は(1)および(2)式から算出した。
Figure 2006103277
ここで、Xiはi回測定したときの吐出量である。
Figure 2006103277
バラツキが│±R%│≦1を外れると、粉末と液体の配合比率がズレ、練土が均一成分とならないため、グリーンシートの密度バラツキが生じることから、焼成後のセラミックス基板に著しい変形が生じる場合がある。
成形シートに含まれる有機バインダー等を除去するため、常圧下の大気雰囲気中、温度400〜700℃、1〜20時間で保持することが好ましい。ここで、脱脂後の成形シートに存在する残炭素量は1質量%以下にすることが好ましい。残炭素量が1質量%を超えると、残炭素と脱脂雰囲気である大気中の酸素、助剤であるYが反応し、融点の高い希土類炭酸が生成するため、焼結がしにくくなり、焼結体体の外観に色むらが生じる場合がある。
得られた脱脂体を焼成容器内に収容し、焼成を行うことで、セラミックス焼結体を作製することが可能である。一般的に、焼成条件はセラミックス粉末の種類により異なり、1)酸化物セラミックス(例えばAl)は焼成温度が1300〜1600℃、0.5〜5時間保持、大気雰囲気中、常圧下、2)炭化物セラミックス(例えばSiC)は焼成温度が1800〜2000℃、0.5〜5時間保持、大気雰囲気中、常圧下、3)窒化物セラミックス(例えばSi3N4)は焼成温度が1600〜1900℃、0.5〜5時間保持、窒素雰囲気中、8〜10MPa下で焼成することが好ましい。
板状のセラミックス焼結体の一主面に金属回路用の金属板を、他の主面に放熱板用の金属板を接合した後、回路面にエッチングレジストを印刷する際、突き当てを用いて位置決めを行うが、寸法不良や変形不良により、Si基板の長手・短手方向寸法および形状が適性でないと回路パターンの印刷ズレを生じさせ、後工程であるモジュール組立工程において、ワーヤーボンディング設置位置が不適当になり、電気的特性の劣化を生じさせる場合がある。
本発明により製造されたセラミックス焼結体は、機械的特性に優れ、且つ、高い熱伝導率を有するので、厳しい使用条件下で用いられる回路基板、例えばパワーモジュール用回路基板に好適な材料である。本発明のセラミックス回路基板は、セラミックス焼結体を用いた基板の一主面に金属回路、他の主面に放熱板を形成してなるものである。
本発明に係るセラミックス基板の厚みは特に限定されるものではなく、例えば、放熱特性を重視する場合は0.3〜1.0mm程度、高電圧下での絶縁耐圧を著しく高めたい場合は1〜3mm程度のものを用いるのが一般的である。
金属回路と金属放熱板の材質はAl、Cu、またはAl−Cu合金であることが好ましい。これらは単層ないしはこれを一層として含むクラッド等の積層体の形態で用いることが可能である。中でも、AlはCuよりも降伏応力が小さいため塑性変形し易く、ヒートサイクル等の熱応力負荷が掛かった際に、セラミックス基板に加わる熱応力を大幅に低減することができる。そのため、AlはCuよりも、金属回路とセラミックス基板間に発生する水平クラックが発生しにくく、より高信頼性モジュールの作製が可能である。
金属回路の厚みは、特に限定されるものではないが、電気的および熱的仕様からAl回路は0.1〜0.5mm、Cu回路は0.1〜0.5mmが一般的である。一方、放熱板は、半田付け時に反りを生じない厚みにすることが必要であり、例えば、Al放熱板は0.1〜0.5mm、Cu放熱板は0.1〜0.5mmが一般的である。
本発明に係るセラミックス回路基板は、板状のセラミックスまたは研削加工により板状に加工したセラミックス焼結体を基板とし、金属板を接合した後、エッチング等の手法により回路を形成させるか、或いは、予め形成した金属回路を、接合することにより製造することが可能である。板状のセラミックス焼結体または研削加工により板状に加工したセラミックス焼結体と金属板又は金属回路との接合は、例えば、Al−Cu、Ag、Cu、またはAg−Cu合金と、Ti、Zr、Hf等の活性金属成分を含むロウ材を介在させ、不活性ガスまたは真空雰囲気中で加熱する方法(活性金属法)により可能である。
〈実験No.1〜10〉
2軸押出機と1軸成形機を組合せた強混練型成形機の2軸押出機部分のシリンダー(以下Cと略)0にSiN粉末を15kg/h、C1にYOを0.6kg/h、C2に有機バインダー粉末を0.75kg/hで定量粉末フィーダー(供給バラツキ<1%)を用いて供給し、C3に可塑剤液体を0.15kg/h、C4に溶媒を0.45kg/hを定量液体モノポンプ(供給バラツキ<1%)にて供給した。2軸押出機はD=46mm、L=4000mm、スクリュー回転数100rpm、混錬部のM/L=30%、R/M=33%、N/M=67%であった。また、2軸押出機と1軸成形機間の真空室の真空度は600Paであった。1軸成形機はD=60mm、L=700mmからなる装置を用い、スクリュー回転速度10rpmの運転条件にて、シートダイスを用いて、巾80mm×厚み1.174mmの帯状のシート成形を行った。成形条件及びシートの物性を表1に示す。同機により成形されたグリーンシートを、ベルト式乾燥機を用いて含水率が2%となるよう乾燥した後、金型付プレス機により70mm×50mm×1.174mmtの寸法に調整し、成形シートを作製した。
BNセッターの上に、離形剤としてBN粉末スラリーを表面に塗布した成形シートを20枚段積みし、成形シートに含まれる有機バインダー等を除去するため、窒素ガス雰囲気中、常圧下にて温度550℃、5時間保持して、脱脂処理を施した。次に、得られた脱脂体をBN製焼成容器内に収容し、窒素ガス雰囲気中、10MPaの加圧下にて1830℃、3時間保持して、焼成処理を施すことにより、セラミック基板を得た。
〈使用材料〉
・Si3N4粉末:D50の粉末粒径3.0μm、純度99.9%、不純物含有量は鉄が40ppm、シリコン100ppm。
・Y:信越化学工業株式会社製、商品名「Yttrium Oxide」、D50粉末粒径1.0μm、純度99.9%。
・有機バインダー粉末:ユケン工業株式会社製、商品名「セランダー」、主成分メチルセルロース。
・可塑剤:花王社製、商品名「エキセパール」、主成分グリセリン。
・溶剤:イオン交換水
・アルミニウム板:三菱アルミニウム株式会社製、商品名「1085材」(対応JIS番号)。
・ロウ合金箔:東洋精箔株式会社製、商品名「A2017R−H合金箔」(対応JIS番号)。
・UV硬化型レジストインク:互応化学工業株式会社製、商品名「PER−27B−6」。
Figure 2006103277
Figure 2006103277
得られたSiN焼結体の回路基板としての性能を評価するため、金属回路及び金属放熱板としてアルミニウム板を以下の方法にて接合し、回路パターンを形成した。
SiN焼結体の両面に70×50mm×0.2mmtのロウ合金箔を貼付け、さらにその両面から70×50mm×0.2mmtのアルミニウム板を挟み、それを10枚積層したものをカーボン治具にカーボンネジ締めにより設置した後、620℃で2時間保持してSiN焼結体とアルミニウム板を接合した。接合体の一主面には所定の形状の回路パターンを、もう一方の主面には放熱板パターンを形成させるべく、UV硬化型レジストインクをスクリーン印刷した後、UVランプを照射させてレジスト膜を硬化させた。次いで、レジスト塗布した部分以外を水酸化ナトリウム水溶液でエッチングした後、フッ化アンモニウム水溶液にてレジスト剥離し、図3に記載したようにアルミニウム回路SiN基板を作製した。
得られた回路基板の信頼性を評価するため熱履歴衝撃試験を実施し、1)パターン印刷ズレの有無、2)断面観察による回路面及び放熱板面とAlN基板間の接合クラック発生の有無、3)回路および放熱板部分を溶解後、インクテストによる窒化アルミニウム基板のクラック発生の有無確認を確認した。結果を表3に示す。ここで、接合クラック発生の有無は、熱履歴衝撃試験を実施し、2000サイクル未満にて接合クラックが発生した場合を記号1、2000〜3000サイクルにて接合クラックが発生した場合を記号2、3000サイクルでも接合クラックが発生しない場合を記号3とした。回路基板としての信頼性保証基準は記号2以上である。結果を表3に示す。
Figure 2006103277
〈測定方法〉
・熱履歴衝撃試験:(−25℃、10分→室温、10分→125℃、10分→室温、10分)を1サイクルとして、3000サイクルのヒートサイクルに供試体を晒す試験。
・練土粘度:降下式フローテスターにより、せん断応力0.3MPa時の粘度を測定した。
・シート厚みバラツキR:マイクロメーターを用いて、シート幅方向の他端から5mm間隔で厚みを測定し、(3)式より求めた。
Figure 2006103277
ここで、yはi回測定したときのシート厚みである。
・シート密度:金型プレス後の成形体を用いて(4)式より求めた。
Figure 2006103277
ここで、Wsheetは成形体重量、Wliquedは100℃、1時間乾燥後の含水除去した成形体重量、lはシート長手方向距離、wは短手方向距離、t成形体厚み。
・焼結体の収縮率:(5)式より求めた。
Figure 2006103277
ここで、SはL方向の収縮率(%)、lsheetは成形体の長手方向長さ、lsintered bodyは焼結体の長手方向長さ。
シート化までの日数内訳を以下に記す。粉末と液体の調製に要する日数:0.5日、粉末と液体の混合調製に要する日数:0.5日、混合品の寝かせに要するに日数:3日、混合品の混練に要する日数:1日、混練品の寝かせに要するに日数:3日とした。
・焼結体のL方向およびW方向変形率:(6)式より求めた。
Figure 2006103277
ここで、lyeilded rateは長手方向の変形量であり、+符号の場合は長手方向中央部が端部より長く、−符号の場合は長手方向中央部が端部より短い、lcenterは長手方向中央部の長さ、lendは長手方向端部の長さ。W方向変形率は同式を用いて算出する。
・焼結体密度:アルキメデス法により(7)式から算出した。
Figure 2006103277
ここで、rは嵩密度,W1は空気中での焼結体の質量,W2は焼結体の開気孔にイオン交換水が含浸したときの空気中における焼結体の質量,W3はイオン交換水中での焼結体質量,rEは密度測定時(25℃)のイオン交換水の密度:0.999g/cm3である。
・焼結体の抗折強度:下部スパン30mm、クロスヘッド速度0.5mm/分の条件にて3点曲げ試験(JIS R1601)を行い、その破壊荷重を(8)式により求めた(n=10)。
Figure 2006103277
ここで、σfは抗折強度、Pfは破壊荷重,bは試験片の幅,hは試験片の厚さ,Lは下部スパン長さである.
・焼結体の熱伝導率:AlN基板表面にカーボンスプレー処理を施し、レーザーフラッシュ法にて測定した。
・焼結体の反り量:株式会社東京精密社製触針式輪郭測定器『CONTOURECORD 1600D』を用いて測定した。
〈実験No.11〜13〉
2軸押出機と1軸成形機を組合せた強混練型成形機の代わりに、2軸押し出し機又は1軸成形機のみを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1〜3に示す。
〈実験No.14〉
金属回路と金属放熱板に銅板を用い、下記の方法で接合及び回路パターン形成したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表3に示す。
Ag85質量%、Cu10質量%、Zr2質量%、TiH3質量%からなる混合粉末と、外割で30質量%テルピネオールからなるペースト状混合液をSiN焼結体の両面に塗布し、その両面に3インチ×2インチ×0.02インチ厚の無酸素銅板を貼付け、それを14枚積層したものをカーボン治具にカーボンネジ締めにより設置を行った後、850℃で2時間保持させてAlN焼結体を銅板で挟んだ接合体を作製した。接合体の一主面には所定の形状の回路パターンを、もう一方の主面には放熱板パターンを形成させるべく、UV硬化型レジストインクをスクリーン印刷した後、UVランプを照射させてレジスト膜を硬化させた。次いで、レジスト塗布した部分以外を塩化第2銅溶液でエッチングした後、フッ化アンモニウム水溶液にてレジスト剥離し、銅回路SiN基板を作製した。
〈使用材料〉
・無酸素銅板:住友金属鉱山伸銅株式会社製、商品名『3100系』(対応JIS番号)。
〈実験No.15〉
SiN粉末の代わりにAl2O3粉末とし、C0にAl2O3粉末、C1にMgO焼結助剤を供給したこと、並びに焼成条件を大気中、常圧下にて1400℃、3時間保持としたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
〈使用材料〉
・Al2O3:日本軽金属株式会社製、商品名「A32」、D50粉末粒径1.0μm、純度99.9%。
・MgO:タテホ学工業株式会社製、商品名「MgO #1000」、D50粉末粒径1.0μm、純度99.9%。Al2O3粉末100質量部に対して4質量部添加。
〈実験No.16〉
Si3N4粉末の代わりにSiC粉末とし、C0にSiC粉末、C1にAl2O3焼結助剤を供給したこと、並びに焼成条件を大気中、常圧下にて2000℃、3時間保持としたこと以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
〈使用材料〉
・SiC粉末:株式会社ニューメタルス製、商品名「Type−10」、D50の粉末粒径0.8μm、純度99.9%。
・Al2O3:日本軽金属株式会社製、商品名「A32」、D50粉末粒径1.0μm、純度99.9%。SiC粉末100質量部に対して4質量部添加。
本発明の実施例は、シート密度が2.6g/cm以上、セラミックス焼結体の収縮率が12%以下であり、熱履歴衝撃試験後に、接合クラック及び基板クラックが発生せず、回路基板として高い信頼性が得られることが判る。
本発明に係る押出成形機の説明図。 本発明に係る2軸押出機および1軸成形機のスクリューの説明図。 本発明に係るセラミック回路基板の説明図。
符号の説明
[図1]
1 主原料粉末供給口(C0)
2 助剤粉末供給口(C1)
3 有機バインダー粉末供給口(C2)
4 溶媒供給口(C3)
5 可塑剤液体供給口(C4)
6 混錬部ローター
7 混錬部ニーダー
8 2軸押出機
9 ストランドダイス
10 真空室
11 ニーダー
12 シートダイス
13 1軸成形機
[図2]
1 混練スクリュー:ローターセグメント外観
2 混練スクリュー:ローターセグメント断面
3 混練スクリュー:ニーディングディスク外観
4 混練スクリュー:ニーディングディスク断面
5 搬送スクリュー外観
6 搬送スクリュー断面
[図3]
1 回路側金属板
2 放熱側金属板
3 Si基板

Claims (7)

  1. 原料投入口を複数有する2軸押出機の吐出口と、1軸成形機の原料供給口を連結させた押出成形機を用いて、厚みが1〜10mmのセラミックスシートを成形することを特徴とするセラミックスシートの製造方法。
  2. 2軸押出機の混錬部のスクリュー構成が、ニーディングディスクとローダーの組合せからなることを特徴とする請求項1記載のセラミックスシートの製造方法。
  3. セラミックス粉末が、酸化物セラミックス、窒化物セラミックス、炭化物セラミックスの群から選ばれることを特徴とする請求項1又は2記載のセラミックスシートの製造方法。
  4. 窒化物セラミックスが窒化ケイ素であることを特徴とする請求項3記載のセラミックスシートの製造方法。
  5. 請求項1〜4のうちいずれか一項記載の方法により製造されたセラミックスシートに、脱脂及び焼結処理を施してなるセラミックス基板。
  6. 請求項5記載のセラミックス基板の一主面に金属回路を形成し、他の一主面に放熱板を接合してなるセラミックス回路基板。
  7. 請求項6記載のセラミックス回路基板を用いてなるモジュール。
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