JP2006142902A - 車両のヒルホールド制動力制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 車輪を駆動する動力源に装備された少なくとも1つのモータと、車輪の駆動スリップ検出時にモータトルクダウン制御により車輪のグリップを回復させるモータトラクション制御手段と、坂道停止時に前後輪の制動力を維持することで車両が後退するのを防止するヒルホールド制動力制御手段と、を備えた車両のヒルホールド制動力制御装置において、前記ヒルホールド制動力制御手段は、前後輪の制動力を解除する坂道発進時、駆動輪制動力を従動輪制動力より遅く解除する手段とした。
【選択図】 図6
Description
前記ヒルホールド制動力制御手段は、前後輪の制動力を解除する坂道発進時、駆動輪制動力を従動輪制動力より遅く解除することを特徴とする。
図1は実施例1のモータトラクション制御装置が適用されたハイブリッド車の駆動系を示す全体システム図である。実施例1におけるハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジンEと、第1モータジェネレータMG1と、第2モータジェネレータMG2(モータ)と、出力スプロケットOS、動力分割機構TMと、を有する。
前記両モータジェネレータMG1,MG2は、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この状態を「回生」と呼ぶ)。
ここで、「共線図」とは、差動歯車のギヤ比を考える場合、式により求める方法に代え、より簡単で分かりやすい作図により求める方法で用いられる速度線図であり、縦軸に各回転要素の回転数(回転速度)をとり、横軸に各回転要素をとり、各回転要素の間隔をサンギヤSとリングギヤRの歯数比λに基づき、(S〜PC):(PC〜R)の長さの比を1:λになるように配置したものである。
実施例1におけるハイブリッド車の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、パワーコントロールユニット3(強電ユニット)と、バッテリ4(二次電池)と、ブレーキコントローラ5と、統合コントローラ6と、を有して構成されている。
実施例1のヒルホールドブレーキ制御装置は、図6に示すように、統合コントローラ6と、ブレーキコントローラ5と、ブレーキ液圧ユニット19及び各ホイールシリンダ20,21,22,23を有するブレーキアクチュエータと、により構成される。
前記統合コントローラ6には、アクセル開度センサ7と車速センサ8からのセンサ信号を入力するトルク指令演算部6aと、アクセル開度センサ7及び車速センサ8からのセンサ信号と、トルク指令演算部6aからの演算結果を入力する登坂量推定演算部6bと、を有する。
前記ブレーキコントローラ5には、前記登坂量推定演算部6bからの演算結果と、ブレーキストロークセンサ18からのセンサ信号を入力するヒルホールドトルク演算部5aを有する。なお、前記トルク指令演算部6a、登坂量推定演算部6b、ヒルホールドトルク演算部5aでの演算処理内容については、図7に示すフローチャートにより詳述する。
実施例1のハイブリッド車の駆動力は、図2(b)に示すように、エンジン直接駆動力(エンジン総駆動力から発電機駆動分を差し引いた駆動力)とモータ駆動力(両モータジェネレータMG1,MG2の総和による駆動力)との合計で示される。その最大駆動力の構成は、図2(a)に示すように、低い車速ほどモータ駆動力が多くを占める。このように、変速機を持たず、エンジンEの直接駆動力と電気変換したモータ駆動力を加えて走行させることから、低速から高速まで、定常運転のパワーの少ない状態からアクセルペダル全開のフルパワーまで、ドライバの要求駆動力に対しシームレスに応答良く駆動力をコントロールすることができる(トルク・オン・デマンド)。
そして、実施例1のハイブリッド車では、動力分割機構TMを介し、エンジンEと両モータジェネレータMG1,MG2と左右前輪(車輪)とがクラッチ無しで繋がっている。また、上記のように、エンジンパワーの大部分を発電機で電気エネルギに変換し、高出力かつ高応答のモータで車両を走らせている。このため、例えば、アイスバーン等の滑りやすい路面での走行時において、車輪のスリップやブレーキ時の車輪のロック等で車両の駆動力が急変する場合、過剰電流からのパワーコントロールユニット3の部品保護、あるいは、動力分割機構TMのピニオン過回転からの部品保護を行う必要がある。これに対し、高出力・高応答のモータ特性を活かし、部品保護の機能から発展させて、車輪の駆動スリップを瞬時に検出し、そのグリップを回復させ、車両を安全に走らせるためのモータトラクション制御を採用している。
実施例1のハイブリッド車では、エンジンブレーキやフットブレーキによる制動時には、モータとして作動している第2モータジェネレータMG2を、ジェネレータ(発電機)として作動させることにより、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換してバッテリ4に回収し、再利用する回生ブレーキシステムを採用している。
この回生ブレーキシステムでの一般的な回生ブレーキ協調制御は、図3(a)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動力を算出し、要求制動力に大きさにかかわらず、算出された要求制動力を回生分と油圧分とで分担することで行われる。
これに対し、実施例1のハイブリッド車で採用している回生ブレーキ協調制御は、図3(b)に示すように、ブレーキペダル踏み込み量に対し要求制動力を算出し、算出された要求制動力に対し回生ブレーキを優先し、回生分で賄える限りは油圧分を用いることなく、最大限まで回生分の領域を拡大している。これにより、特に加減速を繰り返す走行パターンにおいて、エネルギ回収効率が高く、より低い車速まで回生制動によるエネルギの回収を実現している。
実施例1のハイブリッド車での車両モードとしては、図4の共線図に示すように、「停車モード」、「発進モード」、「エンジン始動モード」、「定常走行モード」、「加速モード」を有する。
「停車モード」では、図4(1)に示すように、エンジンEと発電機MG1とモータMG2は止まっている。「発進モード」では、図4(2)に示すように、モータMG2のみの駆動で発進する。「エンジン始動モード」では、図4(3)に示すように、エンジンスタータとしての機能を持つ発電機MG1によって、サンギヤSが回ってエンジンEを始動する。「定常走行モード」では、図4(4)に示すように、主にエンジンEにて走行し、効率を高めるために発電を最小にする。「加速モード」では、図4(5)に示すように、エンジンEの回転数を上げると共に、発電機MG1による発電を開始し、その電力とバッテリ4の電力を使ってモータMG2の駆動力を加え、加速する。
なお、後退走行は、図4(4)に示す「定常走行モード」において、エンジンEの回転数上昇を抑えたままで、発電機MG1の回転数を上げると、モータMG2の回転数が負側に移行し、後退走行を達成することができる。
[ヒルホールドブレーキ制御処理]
図7は実施例1の統合コントローラ6及びブレーキコントローラ5にて実行されるヒルホールドブレーキ制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する(ヒルホールドブレーキ制御手段)。
ここで、車速情報については、車速演算に代え、各車輪速センサ12,13,14,15からのセンサ信号に基づき、車輪速を演算しても良い。
ここで、「トルク指令(ドライバ要求トルク)」は、例えば、図示しない駆動力マップ(アクセル開度×車速×駆動トルク)を予め用意しておき、アクセル開度情報と車速情報から駆動力マップを検索してトルク指令を算出する。
ここで、「登坂量(=路面勾配)」の推定は、トルク指令により推定される車速より低いか、高いかに応じて勾配を推定する。また、車両が停止時に後退する場合は、後退量(変化量)に応じて勾配を推定する。以上の処理は、統合コントローラ6にて行われる。
ここで、「ヒルホールドトルク」とは、坂道にて車両停止を維持するトルクであり、図8に示すように、路面勾配値(%)が大きな値であるほどヒルホールドトルクは大きなトルクとなる。
ここで、「フロント制動力の応答性とリア制動力の応答性」は、図9に示すように、フロント制動力とリア制動力とを比べた場合には、フロント制動力の時定数を高い値とすることでリア制動力の応答性に比べフロント制動力の応答性を遅くしている。また、路面勾配値(%)に対するフロント制動力の低下応答性とリア制動力の低下応答性は、路面勾配値(%)が大きくなるほど共に時定数を低くすることで応答性を早めている。さらに、フロント制動力の低下応答性とリア制動力の低下応答性の差は、路面勾配値(%)が大きいほど低下応答性が大きくなる設定としている。
すなわち、坂道停止時であって、ヒルホールド制御の開始時には、図10のEBD液圧特性に示すように、リアEBD液圧が目標液圧に達した後、フロントEBD液圧が応答遅れにより目標液圧に達するように指令されることになる。ここで、「EBD(Electoric Brake force Distributionの略称)」とは、電子制御制動力分配システムのことをいい、ABSシステムを応用し、前輪制動力特性と後輪制動力特性を分けて制御できるようにしたものである。
例えば、特開平10−304514号公報には、スリップ初期にトルクダウン応答性を向上させる技術(角加速度制御)が開示されている。この手法は、主にハイブリッド車や電気自動車や燃料電池車等のように、駆動力を発生させるユニットとしてモータを用いた車両に適用されるケースが多い。この技術の基本は、駆動輪の回転角速度の変化率(角加速度)が所定値以上のときに駆動スリップが発生すると予測し、モータトルクを低下させる構成となっている。この構成とすることにより、モータトルクの増加に伴って生じる駆動スリップを防止することができる。
仮にモータトラクション制御装置が無くて駆動スリップした場合には、エンジンの発電が追いつかず、モータはバッテリからどんどん電流を持ち出す。よって、モータ駆動回路に過電流が発生し、回路上の素子等にダメージを与えることになる。例えば、実施例1のパワーコントロールユニット3において、図5の矢印に示すように、コンデンサ3eを介して過電流が流れると、ジョイントボックス3aのヒューズや昇圧コンバータ3bのスイッチング回路がダメージを受けてしまう場合がある。しかも、ハイブリッド車や燃料電池車では、二次電池に対してモータ出力(モータ出力比)が大きければ大きいほど過電流が流れやすい。また、二次電池に対してエンジン、燃料電池の出力(エンジン出力比)が大きければ大きいほど過電圧、過電流が流れやすい。という関係がある。したがって、確実に部品保護を図るためには、滑ったらトルク制限をかけるという「角加速度制御」により駆動スリップを応答良く収束させるモータトラクション制御が必要となる。
実施例1では、前後輪のヒルホールド制動力を解除する坂道発進時、駆動輪制動力を従動輪制動力よりも遅く解除することで、発進性能や登坂能力を向上し、シームレスな発進を実現するようにした。
言い換えると、フロント・リア共に液圧を高応答で排除する場合のように、モータトルクの低下を招く前輪側でのスリップ発生が解消されるし、逆に、フロント・リア共に液圧を応答遅れで排除する場合のように、大きな引き摺り抵抗発生が解消される。
加えて、フロント制動力の低下応答性を遅くすることでゆっくりと前輪(駆動輪)の液圧をリリースするようにしているため、前輪の急激な車輪速変化が有効に抑制され、強電ユニットであるパワーコントロールユニット3での電圧上昇や単相に過電流が流れ込んだりして、システムに大きなダメージを与えることを確実に防止することができる。
実施例1の車両のヒルホールド制動力制御装置にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
MG1 第1モータジェネレータ
MG2 第2モータジェネレータ(モータ)
OS 出力スプロケット
TM 動力分割機構
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 パワーコントロールユニット
4 バッテリ
5 ブレーキコントローラ
6 統合コントローラ
7 アクセル開度センサ
8 車速センサ
9 エンジン回転数センサ
10 第1モータジェネレータ回転数センサ
11 第2モータジェネレータ回転数センサ
12 前左車輪速センサ
13 前右車輪速センサ
14 後左車輪速センサ
15 後右車輪速センサ
16 操舵角センサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 ブレーキストロークセンサ
19 ブレーキ液圧ユニット
20 前左車輪ホイールシリンダ
21 前右車輪ホイールシリンダ
22 後左車輪ホイールシリンダ
23 後右車輪ホイールシリンダ
Claims (5)
- 車輪を駆動する動力源に装備された少なくとも1つのモータと、車輪の駆動スリップ検出時にモータトルクダウン制御により車輪のグリップを回復させるモータトラクション制御手段と、坂道停止時に前後輪の制動力を維持することで車両が後退するのを防止するヒルホールド制動力制御手段と、を備えた車両のヒルホールド制動力制御装置において、
前記ヒルホールド制動力制御手段は、前後輪の制動力を解除する坂道発進時、駆動輪制動力を従動輪制動力より遅く解除することを特徴とする車両のヒルホールド制動力制御装置。 - 請求項1に記載された車両のヒルホールド制動力制御装置において、
前記ヒルホールド制動力制御手段は、前後輪の制動力を解除する坂道発進時、駆動輪制動力の低下応答性を従動輪制動力の低下応答性より遅くすることを特徴とする車両のヒルホールド制動力制御装置。 - 請求項2に記載された車両のヒルホールド制動力制御装置において、
停止している坂道の路面勾配を検出する路面勾配検出手段を設け、
前記ヒルホールド制動力制御手段は、路面勾配が大きいほど、駆動輪制動力の低下応答性と従動輪制動力の低下応答性を共に早くすることを特徴とする車両のヒルホールド制動力制御装置。 - 請求項3に記載された車両のヒルホールド制動力制御装置において、
前記ヒルホールド制動力制御手段は、路面勾配が大きいほど、駆動輪制動力の低下応答性と従動輪制動力の低下応答性との差を大きくすることを特徴とする車両のヒルホールド制動力制御装置。 - 請求項1乃至4の何れか1項に記載された車両のヒルホールド制動力制御装置において、
前記モータトラクション制御手段は、駆動輪またはモータの角加速度を検出し、角加速度が設定角加速度を超えたらモータトルクダウン制御により車輪のグリップを回復させる角加速度制御を行うことを特徴とする車両のヒルホールド制動力制御装置。
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