JP2006298977A - 熱可塑性樹脂組成物および成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリアセタール樹脂本来の特性を有し、特に耐衝撃性等の機械物性が向上した成形品を得ることができ、かつポリアセタール樹脂の分解が抑制された熱可塑性樹脂組成物および成形品を提供する。
【解決手段】
αメチルスチレンダイマーの存在下にゴム質重合体を構成する単量体を重合して得られたゴム質重合体(R)に、ビニル系単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A)と、ポリアセタール樹脂(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物;およびこれを成形してなる成形品。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアセタール樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物およびこれを成形してなる成形品に関する。
ポリアセタール樹脂は、機械的強度、耐疲労性、摺動性、耐薬品性等に優れたエンジニアリングプラスチックであり、OA機器、情報機器、家電、自動車、衣類、文具、雑貨、建材等における、樹脂製歯車、機構部品等の素材として広く利用されている。特に、上記特性に加えて、低コストで大量生産が可能なこと等から、上記の特性が必要なボタン類、クリップ、歯車の素材として利用されている。
ポリアセタール樹脂をボタン類、クリップ、歯車の素材として利用するにあたっては、高耐衝撃性、低騒音性、低摩耗性、高精度等の性能が要求される。特に耐衝撃性に優れることは重要である。
ポリアセタール樹脂からなる成形品の耐衝撃性を向上する手段としては、ポリアセタール樹脂に、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、炭酸カルシウム、タルク等の無機充填材等の強化用充填剤を添加することが考えられる。しかし、強化用充填剤は、通常、ポリアセタール樹脂よりも硬いため、摺動時に強化用充填剤がポリアセタール樹脂を削り、摩耗量の増大を招くおそれがある。
また、ポリアセタール樹脂にはホモポリマーとコポリマーとが存在し、ホモポリマーはコポリマーに比べて、耐衝撃性が高い傾向にある。しかし、ホモポリマーは、結晶化の進行に伴う後収縮が大きいため、寸法安定性が悪く、例示した用途には適さない。
その他、めっき用途、クリップ特性等を考慮し、ゴム状ポリマーのコアとガラス状ポリマーのシェルとを有するコアシェルポリマーをポリアセタール樹脂に配合して耐衝撃性を改良しようとする例が、特許文献1および2に提案されている。しかし、耐衝撃性はいまだ充分ではなく、耐衝撃性のより一層の向上が求められている。また、コアシェルポリマーとポリアセタール樹脂との溶融混練時および成形時にポリアセタール樹脂が分解しやすいという問題点を有している。
特開平2−129266号公報 特開平6−100759号公報
本発明の目的は、ポリアセタール樹脂本来の特性を有し、特に耐衝撃性等の機械物性が向上した成形品を得ることができ、かつポリアセタール樹脂の分解が抑制された熱可塑性樹脂組成物、およびポリアセタール樹脂本来の特性を有し、特に耐衝撃性等の機械物性が向上した成形品を提供することにある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム質重合体(R)にビニル系単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A)と、ポリアセタール樹脂(B)とを含有し、前記ゴム質重合体(R)が、αメチルスチレンダイマーの存在下にゴム質重合体を構成する単量体を重合して得られたものであることを特徴とする。
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物によれば、ポリアセタール樹脂本来の特性を有し、特に耐衝撃性等の機械物性が向上した成形品を得ることができ、かつポリアセタール樹脂の分解が抑制される。
本発明の成形品は、ポリアセタール樹脂本来の特性を有し、特に耐衝撃性等の機械物性が向上したものである。
<ゴム質重合体(R)>
ゴム質重合体(R)は、αメチルスチレンダイマーの存在下にゴム質重合体を構成する単量体を重合して得られたゴム質重合体である。
通常、ゴム質重合体の製造時には、得られる成形品の耐衝撃性を確保するために、連鎖移動剤を用いてゴム架橋度を制御することが行われている。例えば、連鎖移動剤を用いない場合、ゴム質重合体のゴム架橋度が高くなり、得られる成形品の耐衝撃性の低下を招く場合があるため、ジエン系ゴムの製造時には、連鎖移動剤としてメルカプタン系化合物が用いられている。
本発明においては、連鎖移動剤としてαメチルスチレンダイマーを用いる。αメチルスチレンダイマーを用いることにより、従来のメルカプタン系化合物等を用いた場合に比較して、ポリアセタール樹脂(B)の熱安定性、耐分解性を向上させることができる。なお、αメチルスチレンダイマー以外の他の連鎖移動剤については、質量基準でαメチルスチレンダイマーの使用量を上回らない範囲で用いてもよい。
αメチルスチレンダイマーの使用量は、ゴム質重合体(R)100質量%のうち、0.01〜20質量%が好ましく、0.05〜10質量%がより好ましく、0.1〜5質量%が特に好ましい。αメチルスチレンダイマーの使用量が0.01質量%未満では、連鎖移動の効果が充分に発現せず、得られる成形品の機械物性が不充分となるおそれがある。αメチルスチレンダイマーの使用量が20質量%を超えると、成形品の耐衝撃性が低下するおそれがある。
ゴム質重合体(R)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)αメチルスチレンダイマーの存在下にジエン系単量体を含む単量体を重合して得られたジエン系ゴム(R1)。
(2)αメチルスチレンダイマーの存在下に(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を重合して得られ、かつガラス転移温度の異なる2種類以上のアクリルゴム成分を含むポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)。
(3)ポリオルガノシロキサンおよびαメチルスチレンダイマーの存在下に(メタ)アクリル酸エステルを含む単量体を重合して得られたシリコーン/アクリル複合ゴム(R3)。
本発明において「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを意味し、「アルキル(メタ)アクリレート」は、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートを意味する。
これらゴム質重合体(R)のうち、連鎖移動剤を用いて製造されるゴム質重合体(R)としては、ジエン系ゴム(R1)が好適である。
以下、これらゴム質重合体(R)について説明する。
(ジエン系ゴム(R1))
ジエン系ゴムとしては、1,3−ブタジエンの単独重合体または共重合体(以下、これらをブタジエン系ゴム重合体と記す。)が好ましい。ブタジエン系ゴム重合体は、1,3−ブタジエンと、必要に応じて、架橋性単量体と、1,3−ブタジエンと共重合し得るビニル系単量体とを重合して得られる。
架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の芳香族多官能ビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート等の多価アルコールのジカルボン酸エステル;トリメタクリル酸エステル;トリアクリル酸エステル;アリルアクリレート、アリルメタクリレート等のカルボン酸アリルエステル;ジアリルフタレート、ジアリルセバケート、トリアリルトリアジン等のジまたはトリアリル化合物等が挙げられる。架橋性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1,3−ブタジエンと共重合し得るビニル系単量体(架橋性単量体を除く。以下、同様。)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、エチレングリコールグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニル系単量体等が挙げられる。ビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
各単量体の割合は、ブタジエン系ゴム重合体の重合に用いる単量体総量を100質量%とした場合、1,3−ブタジエンを65〜100質量%、架橋性単量体を0〜10質量%とし、残部を1,3−ブタジエンと共重合し得るビニル系単量体とすることが好ましい。1,3−ブタジエンを65質量%以上とすることで、良好な耐衝撃性付与効果が得られる。また、架橋性単量体は、耐衝撃性付与効果の観点から、10質量%以下が好ましい。
ブタジエン系ゴム重合体の製造法としては、乳化重合法が好ましい。乳化重合に際しては、公知の各種乳化剤を適宜用いることができる。乳化剤としては、スルホン酸系塩化合物および/または硫酸塩系塩化合物が好ましい。重合温度は、重合開始剤の種類にもよるが、通常は40〜80℃程度である。また、重合開始前に、例えばスチレン等を含むシードラテックスをあらかじめ仕込んでおいてもよい。
乳化重合法としては、多段乳化重合法が好ましい。具体的には、単量体の一部をあらかじめ反応系内に仕込んでおき、重合開始後、残りの単量体を一括添加、分割添加、または連続添加する方法が特に好ましい。多段乳化重合法においては、初期に仕込む単量体の組成と、後から添加する単量体の組成とは、同一であってもよく、異なってもよい。多段乳化重合法を採用することにより、良好な重合安定性が得られ、所望の粒子径および粒子径分布を有するブタジエン系ゴム重合体のラテックスを安定して得ることができる。また、多段乳化重合法により得たブタジエン系ゴム重合体を用いることにより、耐衝撃性、流動性、成形外観に非常に優れた成形品が得られる。
ブタジエン系ゴム重合体の質量平均粒子径(dw)は、80〜800nmが好ましく、85〜400nmがより好ましく、90〜250nmが特に好ましい。質量平均粒子径(dw)が80nm未満では、耐衝撃性付与効果が小さくなるおそれがある。質量平均粒子径(dw)が800nmを超えると、成形品の耐衝撃性が低下するおそれがある。
ブタジエン系ゴム重合体の粒子径分布については、質量平均粒子径(dw)と数平均粒子径(dn)との比(dw/dn)が2以下であることが、高いレベルの衝撃強度を得るためには好ましい。ブタジエン系ゴム重合体のdw/dnが2を超えると、耐衝撃性付与効果が小さくなる場合がある。
ブタジエン系ゴム重合体の質量平均粒子径(dw)およびdw/dnは、公知の方法により測定できる。例えば、市販のキャピラリー式粒度分布計を用いて、測定できる。
(ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2))
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)としては、分岐側鎖を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、炭素数が13以上のアルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、エトキシエトキシエチルアクリレートおよび4−ヒドロキシブチルアクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種を構成単位として含むアクリルゴム成分(1)と、n−ブチルアクリレートを構成単位として含むアクリルゴム成分(2)とを含有し、かつアクリルゴム成分(1)由来のガラス転移温度(Tg1)が、アクリルゴム成分(2)由来のガラス転移温度(Tg2)より低い複合ゴムが好ましい。アクリルゴム成分(1)とアクリルゴム成分(2)とを含有する複合ゴムは、優れた耐衝撃性付与効果を有する。また、 Tg1がTg2よりも低い複合ゴムは、低温での耐衝撃性付与効果に優れる。
アクリルゴム成分(1)は、分岐側鎖を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、炭素数が13以上のアルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、エトキシエトキシエチルアクリレートおよび4−ヒドロキシブチルアクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種を構成単位として含むものである。
分岐側鎖を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、2−エチルヘキシルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、イソブチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート等が挙げられる。炭素数が13以上のアルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
これらのうち、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートのうち少なくとも1種を構成単位として含む場合には、耐衝撃性付与効果に優れ、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートのうち少なくとも1種を構成単位として含む場合には、特に低温での耐衝撃性付与効果に優れる。
アクリルゴム成分(1)は、必要に応じて他の単量体からなる構成単位を含んでいてもよい。他の単量体としては、他のビニル系単量体、重合性二重結合を2つ以上有する単量体(以下、多官能単量体と記す。)が挙げられる。
他のビニル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;メタクリル酸変性シリコーン、フッ素含有ビニル化合物等が挙げられる。これら他のビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。他のビニル系単量体からなる構成単位は、アクリルゴム成分(1)(100質量%)中、30質量%以下である。
多官能単量体は、架橋剤またはグラフト交叉剤としての役割を有するものである。架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーン等が挙げられる。グラフト交叉剤としては、アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。アリルメタクリレートは架橋剤として用いることもできる。これら多官能単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。多官能単量体からなる構成単位は、アクリルゴム成分(1)(100質量%)中、20質量%以下であり、0.1〜18質量%が好ましい。
アクリルゴム成分(2)は、n−ブチルアクリレートを構成単位として含むものである。アクリルゴム成分(2)は、必要に応じて他の単量体からなる構成単位を含んでいてもよい。他の単量体としては、他のビニル系単量体、多官能単量体が挙げられる。
他のビニル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;メタクリル酸変性シリコーン、フッ素含有ビニル化合物等が挙げられる。これら他のビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。他のビニル系単量体からなる構成単位は、アクリルゴム成分(2)(100質量%)中、30質量%以下である。
多官能単量体としては、上述の架橋剤およびグラフト交叉剤が挙げられる。これら多官能単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。多官能単量体からなる構成単位は、アクリルゴム成分(2)(100質量%)中、20質量%以下であり、0.1〜18質量%が好ましい
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)は、アクリルゴム成分(1)由来のガラス転移温度(Tg1)がアクリルゴム成分(2)由来のガラス転移温度(Tg2)より低いものである。また、耐衝撃性の観点から、Tg1およびTg2が10℃以下であることが好ましい。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)のガラス転移温度は、動的機械的特性解析装置(以下、DMAと記す。)で測定されるTanδ曲線の転移点として測定される。ビニル系単量体を重合して得られた重合体は、固有のガラス転移温度を有し、単一のビニル系単量体を重合して得られた単独重合体、または複数のビニル系単量体を重合して得られたランダム共重合体では、一つの転移点が観測される。一方、数種類の重合体の混合物、または数種類の重合体が複合化された重合体では、各重合体成分に由来する複数の転移点が観測される。例えば、少なくともアクリルゴム成分(1)とアクリルゴム成分(2)とを含有するゴム質重合体(A)の場合には、Tanδ曲線に少なくとも2つの転移点(Tg1およびTg2)が観測される。DMAにより測定されるTanδ曲線では、組成比に偏りがある場合または転移温度が近い場合には、各重合体に由来するピークが接近する場合があり、ショルダー部分を持つピークとして観測される場合があるが、単独重合体またはランダム共重合体の場合に見られる単純な1ピークの曲線とは異なり判別可能である。つまり、アクリルゴム成分(1)由来のガラス転移温度(Tg1)は、アクリルゴム成分(2)由来のガラス転移温度(Tg2)よりも低く観測される。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)の製造方法としては、分岐側鎖を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、炭素数が13以上のアルキル基を有するアルコールの(メタ)アクリル酸エステル、エトキシエトキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートのうちの少なくとも1種を含む単量体混合物を乳化重合法等で重合して、アクリルゴム成分(1)のラテックスを得て、ついで、アクリルゴム成分(1)のラテックス中に、n−ブチルアクリレートを含む単量体混合物を添加、含浸させた後、ラジカル重合開始剤の存在下に重合させる方法等が挙げられる。重合の進行にともない、2種のアクリルゴム成分が複合化したポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)のラテックスが得られる。他の方法としては、アクリルゴム成分(1)のラテックス中に、n−ブチルアクリレートを含む単量体混合物を適下しながら重合させる方法(適下重合法)が挙げられる。また、複合化したゴムを酸または塩等で肥大化してもよい。
アクリルゴム成分(1)の製造方法は、乳化重合法が好ましく、2−エチルアクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートは水溶性に乏しいため、強制乳化重合法がより好ましい。室温付近において結晶性を有するステアリルメタクリレート等を用いる場合には、これを溶解する単量体と混合して使用することが好ましい。
乳化剤、分散安定剤としては、アニオン系、非イオン系、カチオン系等、公知の界面活性剤が挙げられる。これらの混合物を用いる場合、ミセル形成能の大きい乳化剤と、ミセル形成能の小さい乳化剤とを組み合わせて用いることが好ましい。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)の質量平均粒子径(dw)は、得られる成形品の耐衝撃性および成形外観を考慮すると、100〜800nmが好ましい。質量平均粒子径(dw)が100nm未満では、成形品の耐衝撃性が低減するおそれがある。質量平均粒子径(dw)が800nmを超えると、成形品の耐衝撃性が低減するとともに成形外観が悪化するおそれがある。
質量平均粒子径(dw)は、質量分布の測定によって求められる。「質量分布」とは、ある粒子径dpとdp+Δdpとの微小間隔内にある粒子の全粒子に対する質量割合を百分率で示した分布である。ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)の質量平均粒子径は、上述のブタジエン系ゴム重合体と同様にして測定できる。
(シリコーン/アクリル複合ゴム(R3))
シリコーン/アクリル複合ゴム(R3)としては、ポリオルガノシロキサン成分1〜99質量%とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分99〜1質量%とが分離できないように相互に絡み合った構造を有し、かつポリオルガノシロキサン成分とポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分との合計量が100質量%のものが好ましい。
ポリオルガノシロキサンとしては、ビニル重合性官能基を含有するポリオルガノシロキサンが好ましい。該ポリオルガノシロキサンは、ジオルガノシロキサンと、ビニル重合性官能基含有シロキサンと、必要に応じてシロキサン系架橋剤とを含むシロキサン混合物を重合させたものである。
ジオルガノシロキサンとしては、3員環以上のジオルガノシロキサン系環状体が挙げられ、3〜7員環のものが特に好ましい。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル重合性官能基含有シロキサンとしては、ビニル重合性官能基を含有しかつジオルガノシロキサンとシロキサン結合を介して結合し得るものであればよく、ジオルガノシロキサンとの反応性を考慮すると、ビニル重合性官能基を含有する各種アルコキシシラン化合物が好ましい。具体的には、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメトキシジメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルエトキシジエトキシメチルシラン、δ−メタクリロイルオキシブチルジエトキシメチルシラン等のメタクリロイルオキシシラン;テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等のビニルシロキサン;p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン等のビニルフェニルシラン;γ−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシロキサン等が挙げられる。ビニル重合性官能基含有シロキサンは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シロキサン系架橋剤としては、トリメトキシメチルシラン、トリエトキシフェニルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等の3官能性または4官能性のシラン系架橋剤が挙げられる。
ポリオルガノシロキサンの製造は、例えば、ジオルガノシロキサンと、ビニル重合性官能基含有シロキサンと、必要に応じてシロキサン系架橋剤とを含むシロキサン混合物を、乳化剤および水によって乳化させたラテックスを、高速回転による剪断力で微粒子化するホモミキサー、高圧発生機による噴出力で微粒子化するホモジナイザー等を用いて微粒子化した後、酸触媒を用いて高温下で重合させ、ついでアルカリ性物質により酸触媒を中和することにより行うことができる。
酸触媒の添加方法としては、(i)シロキサン混合物、乳化剤および水とともに混合する方法;(ii)シロキサン混合物が微粒子化されたラテックスを高温の酸水溶液中に一定速度で滴下する方法等が挙げられる。ポリオルガノシロキサンの粒子径の制御のしやすさを考慮すると、(ii)の方法が好ましい。また、シロキサン混合物、乳化剤、水および/または酸触媒を混合する方法としては、高速攪拌によって混合する方法、ホモジナイザー等の高圧乳化装置を用いて混合する方法等が挙げられる。これらのうち、ホモジナイザーを用いて混合する方法は、ポリオルガノシロキサンラテックスの粒子径分布を小さくできることから好ましい。
乳化剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウム等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。これらのうち、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等が特に好ましい。
酸触媒としては、脂肪族スルホン酸、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸、脂肪族置換ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸類;硫酸、塩酸、硝酸等の鉱酸類等が挙げられる。これら酸触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのうち、ポリオルガノシロキサンラテックスの安定化作用にも優れている点で、脂肪族置換ベンゼンスルホン酸が好ましく、n−ドデシルベンゼンスルホン酸が特に好ましい。また、n−ドデシルベンゼンスルホン酸と硫酸等の鉱酸とを併用すると、ポリオルガノシロキサンラテックスの乳化剤成分に起因する成形品の外観不良を低減させることができ、好適である。
シロキサン混合物の重合の停止は、反応液を冷却し、さらにラテックスを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ性物質によって酸触媒を中和することによって行うことができる。
シリコーン/アクリル複合ゴム(R3)は、ポリオルガノシロキサンラテックス中に、(メタ)アクリル酸エステルを添加し、公知のラジカル重合開始剤を作用させて重合することによって製造できる。
(メタ)アクリル酸エステルの添加方法としては、ポリオルガノシロキサンラテックスと一括で混合する方法や、ポリオルガノシロキサンラテックス中に一定速度で滴下する方法等がある。但し、得られる樹脂組成物の耐衝撃性を考慮すると、前者の方法が好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート;ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート等のアルキルメタクリレート等が挙げられる。これらのうち、成形品の耐衝撃性および成形光沢を考慮すると、n−ブチルアクリレートが特に好ましい。
また、(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アリルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等の多官能性(メタ)アクリレートを用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、過酸化物、アゾ系開始剤、酸化剤・還元剤を組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。これらのうち、レドックス系開始剤が好ましく、硫酸第一鉄・エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩・ロンガリット・ハイドロパーオキサイドを組み合わせたレドックス系開始剤が特に好ましい。
シリコーン/アクリル複合ゴム(R3)の質量平均粒子径(dw)は、成形品の耐衝撃性および成形外観を考慮すると、100〜800nmが好ましい。質量平均粒子径(dw)が100nm未満では、成形品の耐衝撃性が低下するおそれがある。質量平均粒子径(dw)が800nmを超えると、成形品の耐衝撃性が低下するとともに成形外観が悪化するおそれがある。
<グラフト共重合体(A)>
グラフト共重合体(A)は、ゴム質重合体(R)にビニル系単量体をグラフト重合させたものであり、衝撃強度改質剤としてポリアセタール樹脂(B)に添加されるものである。グラフト共重合体(A)としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)ジエン系ゴム(R1)にビニル系単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A1)。
(2)ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)にビニル系単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A2)。
(3)シリコーン/アクリル複合ゴム(R3)にビニル系単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A3)。
以下、これらグラフト共重合体(A)について説明する。
(グラフト共重合体(A1))
グラフト共重合体(A1)としては、質量平均粒子径(dw)が80〜800nmであり、かつ質量平均粒子径(dw)と数平均粒子径(dn)との比(dw/dn)が2以下のブタジエン系ゴム重合体を50〜85質量%含有するラテックスの存在下に、メタクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物の合計80〜100質量%と、これらに共重合可能な他のビニル系単量体0〜20質量%と(ただし、これら単量体の総量を100質量%とする。)を重合して得られたグラフト共重合体が好ましい。
ラテックス(100質量%)中のブタジエン系ゴム重合体の含有量は、50〜85質量%が好ましい。ブタジエン系ゴム重合体の含有量が50質量%未満では、成形品の耐衝撃性が不充分となるおそれがある。ブタジエン系ゴム重合体の含有量が85質量%を超えると、マトリックス樹脂であるポリアセタール樹脂(B)中でのグラフト共重合体(A1)の分散性が低下し、また、ブタジエン系ゴム重合体にビニル系単量体をグラフト重合させた後、グラフト共重合体(A1)を粉体として回収することが困難になる場合がある。
グラフト共重合体(A1)は、ブタジエン系ゴム重合体のラテックスの存在下に、メタクリル酸エステルおよび芳香族ビニル化合物の合計80〜100質量%と、これらに共重合可能な他のビニル系単量体0〜20質量部と(ただし、これらビニル系単量体の総量を100質量%とする。)を重合し、その後、噴霧乾燥または塩析にて粉体として回収して得られる。
グラフト重合法としては、一段重合または二段以上の多段重合が適用可能である。多段重合を採用する場合、重合に用いる単量体の一部を反応系内にあらかじめ仕込んでおき、重合開始後、残りの単量体を一括添加、分割添加または連続添加する方式が特に好ましい。かかる重合方式を採用することで、良好な重合安定性が得られ、かつ所望の粒子径分布を有するグラフト共重合体(A1)のラテックスを安定に得ることができる。
ビニル系単量体は、少なくともメタクリル酸エステルを含有し、必要に応じて、芳香族ビニル化合物、さらに必要に応じて、これらと共重合可能な他のビニル系単量体を含有するものである。
メタクリル酸エステルとしては、マトリクス樹脂であるポリアセタール樹脂(B)との親和性を高め、また、ブタジエン系ゴム重合体にビニル系単量体をグラフト重合させた後、グラフト共重合体(A1)を良好な粉体として回収する点で、アルキルメタクリレートが好ましい。アルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ハロゲン、アルキル置換スチレン等が挙げられる。
他のビニル系単量体としては、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有ビニル系単量体等が挙げられる。また、ブタジエン系ゴム重合体の製造に用いた架橋性単量体を併用してもよい。
これらビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル系単量体の総量を100質量%とした場合、メタクリル酸エステル10〜100質量%、芳香族ビニル化合物0〜70質量%、他のビニル系単量体0〜20質量部とすることが好ましい。
ブタジエン系ゴム重合体とビニル系単量体の割合は、ブタジエン系ゴム重合体(固形分)とビニル系単量体との合計を100質量%とした場合、ブタジエン系ゴム重合体50〜85質量%、ビニル系単量体15〜50質量%とすることが好ましい。ビニル系単量体の割合が50質量%以下であれば、成形品の耐衝撃性等の点で好ましい。ビニル系単量体の割合が15質量%以上であれば、グラフト重合時に塊状物が発生し難くなり、成形加工性の点で好ましい。
グラフト重合に際しては、必要に応じて、各種のラジカル重合開始剤を用いてもよい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系開始剤;上記各化合物と、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、第一金属塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、デキストローズ等とを組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。
(グラフト共重合体(A2))
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)にグラフト重合させるビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;メチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物等が例示できる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ビニル系単量体には、必要に応じて、分子中に2個以上の不飽和結合を有するエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、多官能メタクリル基変性シリコーン等の架橋剤;アリルメタクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のグラフト交叉剤を、20質量%以下の範囲で添加してもよい。
ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)とビニル系単量体との割合は、ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)60〜99.9質量%、ビニル系単量体40〜0.1質量%が好ましく;ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)70〜99.9質量%、ビニル系単量体30〜0.1質量%がより好ましく;ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)80〜99.9質量%、ビニル系単量体20〜0.1質量%がさらに好ましく;ポリアルキル(メタ)アクリレート系複合ゴム(R2)85〜95質量%、ビニル系単量体15〜5質量%が特に好ましい。
ビニル系単量体が0.1質量%未満では、得られるグラフト共重合体(A2)のポリアセタール樹脂(B)中での分散性が低下し、それを配合して得られる樹脂組成物の加工性が低下するおそれがある。ビニル系単量体が40質量%を超えると、グラフト共重合体(A2)の衝撃強度付与効果が低下するおそれがある。
(グラフト共重合体(A3))
グラフト共重合体(A3)は、シリコーン/アクリル複合ゴム(R3)の存在下に、ビニル系単量体を重合させることにより得られる。例えば、シリコーン/アクリル複合ゴム(R3)のラテックスにビニル系単量体を加え、ビニル系単量体を一段または多段重合させることにより製造できる。多段重合を採用する場合、重合に用いるビニル系単量体の一部を反応系内にあらかじめ仕込んでおき、重合開始後、残りのビニル系単量体を一括添加、分割添加または連続添加する方式が好ましい。かかる重合方式を採用することで、良好な重合安定性が得られ、かつ所望の粒子径および粒子径分布を有するグラフト共重合体(A3)のラテックスを安定に得ることができる。
ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート等のメタクリル酸エステル;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等のアクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物等が挙げられる。これらビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、シリコーン/アクリル複合ゴム(R3)の製造(ポリオルガノシロキサンと(メタ)アクリル酸エステルとの反応)で例示したものを用いることができる。
グラフト共重合体(A3)(100質量%)中のポリオルガノシロキサンの含有量は、8〜70質量%が好ましい。ポリオルガノシロキサンの含有量が8質量%未満では、充分な耐衝撃性付与効果が得られないおそれがある。ポリオルガノシロキサンの含有量が70質量%を超えると、ポリアセタール樹脂(B)の他の優れた特性が損なわれるおそれがある。
グラフト共重合体(A3)(100質量%)中のシリコーン/アクリル複合ゴム(R3)の含有量は65〜90質量%が好ましい。シリコーン/アクリル複合ゴム(R3)の含有量が65質量%未満では、充分な耐衝撃性付与効果が得られないおそれがある。シリコーン/アクリル複合ゴム(R3)の含有量が90質量%を超えると、ポリアセタール樹脂(B)の他の優れた特性が損なわれるおそれがある。
グラフト共重合体(A)を、粉体として回収する際には、乳化重合によって得られたものの場合においては、凝析剤を用いる。
凝析剤としては、カルシウム塩が特に好ましい。カルシウム塩を用いると、ポリアセタール樹脂(B)の安定性を増加することができる。カルシウム塩としては、塩化カルシウム、酢酸カルシウムが挙げられる。
カルシウム塩の使用量は、グラフト共重合体(A)100質量部(固形分)に対して、0.1〜20質量部が好ましく、0.2〜10質量部がより好ましく、0.5〜8質量部が特に好ましい。カルシウム塩の使用量が0.1質量部未満では、粉体回収が困難となるおそれがあり、また、ポリアセタール樹脂(B)の安定性が保持できないおそれがある。カルシウム塩の使用量が20質量部を超えると、成形品の機械物性が低下するおそれがある。
<ポリアセタール樹脂(B)>
ポリアセタール樹脂(B)としては、オキシメチレン基を主たる繰り返し単位とし、炭素数2以上のオキシアルキレン基単位を含むポリオキシメチレン共重合体が好ましい。
ポリアセタール樹脂(B)としては、炭素数2以上のオキシアルキレン基単位の含有量が0.5〜3.0質量%のものが好ましく、0.6〜2.0質量%のものがより好ましく、0.7〜1.6質量%のものが特に好ましい。炭素数2以上のオキシアルキレン基単位の含有量が少なすぎると、ポリアセタール樹脂(B)の熱および薬品に対する安定性が不充分となり、成形品の強度、精度等の諸特性の長期耐久性が低下するおそれがある。炭素数2以上のオキシアルキレン基単位の含有量が多すぎると、成形品の強度、剛性が低下する傾向にある。
ポリアセタール樹脂(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアセタール樹脂(B)は、ホルムアルデヒドまたはその環状オリゴマーであるトリオキサンを主モノマーとし、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、1,3−ジオキソラン、1,3,5−トリオキセパン、1,4−ブタンジオールホルマール、ジエチレングリコールホルマール等の少なくとも1つの炭素間結合を有する環状エーテルおよび環状アセタールの中から選ばれた少なくとも1種をコモノマーとし、これらをカチオン性触媒の存在下で共重合することで得られる。コモノマーとしては、その分散性が良好なことから、ポリマー中に連鎖移動を生じさせない1,3−ジオキソランおよび/または1,3,5−トリオキセパンが好ましい。
ポリアセタール樹脂(B)は、公知のトリオキサンの共重合法と同様の装置および方法にて製造することができる。
ポリアセタール樹脂(B)の製造にあたっては、バッチ式、連続式、いずれの製造方式を採用してもよく、また、溶融重合、溶液塊状重合等、いずれの重合法を採用してもよい。工業生産性を考慮すれば、原料として液体モノマーを用い、必要に応じて不活性液体触媒の存在下、重合の進行とともに固体粉塊状のポリマーを得る連続式塊状重合法が好適である。
重合時に、ポリアセタール樹脂(B)の分子量調節のために、連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、メチラール、エチラール、ブチラール等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。連鎖移動剤の添加量は、ポリアセタール樹脂(B)の分子量に応じて0〜1000ppmの範囲内で適宜調整される。
重合触媒としては、公知のカチオン活性触媒が挙げられる。カチオン活性触媒としては、ルイス酸(ホウ素、スズ、チタン、リン、ヒ素、アンチモン等のハロゲン化物、例えば、三フッ化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、五塩化リン、五フッ化リン、五フッ化ヒ素、五フッ化アンチモン、これらの錯体化合物または塩)、プロトン酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸、パークロル酸)、プロトン酸のエステル(パークロル酸と低級脂肪族アルコールとのエステル、例えば、パークロル酸の三級ブチルエステル)、プロトン酸の無水物(パークロル酸と低級脂肪族カルボン酸との混合無水物、例えば、アセチルパークロライト)、イソポリ酸、ヘテロポリ酸(例えば、リンモリブデン酸)、トリエチルオキソニウムヘキサフルオロホスファート、トリフェニルメチルヘキサフルオロアルゼナート、アセチルヘキサフルオロボラート等が挙げられる。これらのうち、三フッ化ホウ素、または三フッ化ホウ素と有機化合物(例えば、エーテル類)との配位化合物が好適である。これら重合触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合触媒の添加量は、通常、主モノマーおよびコモノマーの総量に対して10〜300ppmである。
重合装置としては、コニーダー、2軸スクリュー式連続押出混合機、2軸パドルタイプの連続混合機等のトリオキサンの連続重合装置が挙げられる。装置は密閉系であれば2段階以上に分かれているものであってもよい。重合反応によって生成される固体重合物が微細な形態で得られる粉砕機能を備えたものが好ましい。
重合温度は、通常、64〜120℃であり、この範囲内でも比較的低温が好適である。重合時間は、触媒量に応じて好適範囲が変動し、通常は、0.5〜100分である。
重合装置から排出される粗重合体に対して、直ちに失活剤を混合し、重合触媒の失活化を行うことが好ましい。失活剤としては、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のアミン類と、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等の無機アルカリ性物質等とを混合した溶液等が挙げられる。失活剤は水溶液であることが好ましい。
ポリアセタール樹脂(B)は、重合触媒を失活させた後、必要に応じて洗浄、未反応モノマーの分離回収、乾燥等を行い、さらに必要に応じて不安定末端部の分解除去等の末端安定化を行い、さらに必要に応じて各種安定剤、加工性改良剤等の添加剤を添加した後、溶融混練ペレット化され、製品化される。
添加剤としては、酸化防止剤、含窒素化合物、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1−ジメチルエチル}2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、ジ−ステアリル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)等のヒンダードフェノール類等が挙げられる。
含窒素化合物としては、ナイロン6・10、ナイロン6・66・610、ポリアクリルアミド等のポリアミド;メラミン、ジシアンジアミド等とホルムアルデヒドとの重縮合物等が挙げられる。
耐熱安定剤としては、ステアリン酸等の高級脂肪酸または水酸基等の置換基を有する置換高級脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等の金属含有化合物等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−〔2−ヒドロキシ−3,5−ビス−(α,α’−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類等が挙げられる。
光安定剤としては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)アジペート等のヒンダードアミン類等が挙げられる。
滑剤としては、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート等の高級脂肪酸エステル類;エチレンビス(ステアリルアミド)等の高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
可塑剤としては、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンポリプロピレン共重合体等が挙げられる。
酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス−{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ−〕1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等のヒンダードフェノール類が好ましい。
含窒素化合物としては、メラミン、ジシアンジアミド等とホルムアルデヒドとの重縮合が好ましい。
金属含有化合物としては、高級脂肪酸または置換高級脂肪酸のマグネシウム塩、カルシウム塩が好ましい。
<熱可塑性樹脂組成物>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、グラフト共重合体(A)とポリアセタール樹脂(B)とを含有するものである。
グラフト共重合体(A)とポリアセタール樹脂(B)との配合比は、グラフト共重合体(A)1〜50質量%、ポリアセタール樹脂(B)99〜50質量%が好ましく、グラフト共重合体(A)5〜40質量%、ポリアセタール樹脂(B)95〜60質量%がより好ましく、グラフト共重合体(A)7〜35質量%、ポリアセタール樹脂(B)93〜65質量%が特に好ましい(ただし、グラフト共重合体(A)とポリアセタール樹脂(B)との合計を100質量%とする)。グラフト共重合体(A)が1質量%未満では、所望の耐衝撃性を有する成形品が得られないおそれがある。グラフト共重合体(A)が50質量%を超えると、得られる成形品の機械物性が損なわれるおそれがある。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の調製方法は、ポリアセタール樹脂(B)に対して、グラフト共重合体(A)を所定量配合することができる方法であればよい。例えば、ポリアセタール樹脂(B)とグラフト共重合体(A)とを、直接、またはあらかじめ混和した後、1軸または2軸の押出機等により混練し、ペレット化して熱可塑性樹脂組成物を調製することができる。熱可塑性樹脂組成物の調製に際しては、ポリアセタール樹脂(B)の一部または全部をあらかじめ粉砕しておくことが、これに配合される他の成分の分散性を良くするために、好適である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本来の物性を損なわない範囲において、以下に示す熱可塑性樹脂を配合してもよい。
熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル樹脂(PVC)、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等の硬質、半硬質、軟質の含塩素系樹脂;ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)、(メタ)アクリレート−スチレン共重合体(MS)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS)、アクリレート−スチレン−アクリロニトリル樹脂(ASA)、アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン樹脂(AES)等のスチレン系樹脂(St系樹脂);ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂(Ac系樹脂);ポリカーボネート系樹脂(PC系樹脂);ポリアミド系樹脂(PA系樹脂);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル系樹脂(PEs系樹脂);ポリ乳酸樹脂、熱可塑性ポリビニルアルコール樹脂、ポリブチレンサクシネート、その他生分解性を有する天然原料、石油原料由来の環境適応樹脂(生分解性樹脂);(変性)ポリフェニレンエーテル系樹脂(PPE系樹脂)、ポリオキシメチレン系樹脂(POM系樹脂)、ポリスルフォン系樹脂(PSO系樹脂)、ポリアリレート系樹脂(PAr系樹脂)、ポリフェニレン系樹脂(PPS系樹脂)、熱可塑性ポリウレタン系樹脂(PU系樹脂)等のエンジニアリングプラスチックス;スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、フッ素系エラストマー、1,2−ポリブタジエン、トランス1,4−ポリイソプレン等の熱可塑性エラストマー(TPE);PC/ABS等のPC系樹脂/St系樹脂アロイ、PVC/ABS等のPVC系樹脂/St系樹脂アロイ、PA/ABS等のPA系樹脂/St系樹脂アロイ、PA系樹脂/TPEアロイ、PA/PP等のPA系樹脂/ポリオレフィン系樹脂アロイ、PBT系樹脂/TPE、PC/PBT等のPC系樹脂/PEs系樹脂アロイ、ポリオレフィン系樹脂/TPE、PP/PE等のオレフィン系樹脂どうしのアロイ、PPE/HIPS、PPE/PBT、PPE/PA等のPPE系樹脂アロイ、PVC/PMMA等のPVC系樹脂/Ac系樹脂アロイ等のポリマーアロイが挙げられる。
<成形品>
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなるものである。
成形方法としては、所望の組成となるように調製されたペレットを成形する方法;組成の異なる複数種のペレットを調製した後、これらを所定比で混合(希釈)して成形に供し、成形後に所望の組成とする方法等を採用できる。
本発明の成形品としては、 OA機器、情報機器、家電、自動車、衣類、文具、雑貨、建材等における、樹脂製歯車、機構部品等が挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の「部」および「%」は、特に断らない限り、それぞれ「質量部」、「質量%」を表すものとする。
製造例におけるラテックス中の重合体の質量平均粒子径および粒子径分布は、以下のようにして測定した。
得られたラテックスを蒸留水で希釈したものを試料として、米国MATEC社製CHDF2000型粒度分布計を用いて、質量平均粒子径および粒子径分布を測定した。測定条件は、MATEC社が推奨する標準条件で行った。具体的には、専用の粒子分離用キャピラリー式カートリッジおよびキャリア液を用い、液性を中性、流速を1.4mL/min、圧力を28MPa、温度を35℃に保った状態で、濃度3%の希釈ラテックス試料0.1mLを用いて測定した。なお、標準粒子径物質として、米国DUKE社製の粒子径既知の単分散ポリスチレンを、0.03μmから0.8μmの範囲内で合計12点用いた。
(グラフト共重合体(A)の製造)
〔製造例1〕
(1)ブタジエン系ゴム重合体(R1−1)ラテックスの製造:
乳化剤として、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム0.1部、第一単量体として、1,3−ブタジエン19.0部、スチレン1.0部、αメチルスチレンダイマー0.1部、重合開始用の過酸化物としてジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.3部、および脱イオン水146.67部を、70Lオートクレーブに仕込んだ後、昇温し、50℃になった時点で、レドックス系開始剤として、硫酸第一鉄0.003部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、および脱イオン水4部を添加して重合を開始した。その後、さらに60℃まで昇温した。
重合開始から6時間後に、開始剤として、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.36部、第二単量体として、1,3−ブタジエン76.0部、スチレン4.0部、αメチルスチレンダイマー0.4部、乳化剤として、アルキルジフェニルエーテルジスルフォン酸ナトリウム1.1部、および脱イオン水24.7部を6時間かけて連続滴下した。
重合開始から21時間後、ブタジエン系ゴム重合体(R1−1)ラテックスを得た。ラテックス中のブタジエン系ゴム重合体(R1−1)の質量平均粒子径(dw)は165nmであり、dw/dn=1.2であった。また、ラテックス中のブタジエン系ゴム重合体のコンバージョンは97.6%であった。
(2)グラフト共重合体(A1−1)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体(R1−1)ラテックス77.5部(固形分)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部を窒素置換したフラスコ内に仕込み、内温を75℃に保持した。
ついで、フラスコ内に、メチルメタクリレート19.7部、スチレン0.1部、エチルアクリレート2.7部、クメンハイドロキシパーオキサイド(ビニル系単量体100部に対して0.3部となる量)の混合物を1時間かけて滴下し、その後、2時間保持した。
重合反応終了後、グラフト共重合体(A1−1)のラテックスを得た。このラテックスに、ラテックスの固形分100部に対して5.0部の酢酸カルシウムを添加し、ラテックス中のグラフト共重合体(A1−1)を凝固させ、65℃で12時間乾燥させ、粉体状のグラフト共重合体(A1−1)を得た。
〔製造例2〕
(1)ブタジエン系ゴム重合体(R1−2)ラテックスの製造:
αメチルスチレンダイマーを使用しなかった以外は、製造例1の(1)と同様にしてブタジエン系ゴム重合体(R1−2)ラテックスを得た。ラテックス中のブタジエン系ゴム重合体(R1−2)の質量平均粒子径(dw)は160nmであり、dw/dn=1.25であった。
(2)グラフト共重合体(A1−2)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体(R1−1)の代わりにブタジエン系ゴム重合体(R1−2)を用いた以外は、製造例1の(2)と同様にしてグラフト重合体(A1−2)を得た。
〔製造例3〕
(1)ブタジエン系ゴム重合体(R1−3)ラテックスの製造:
αメチルスチレンダイマーの代わりにノルマルオクチルメルカプタンを用いた以外は、製造例1の(1)と同様にしてブタジエン系ゴム重合体(R1−3)ラテックスを得た。ラテックス中のブタジエン系ゴム重合体(R1−3)の質量平均粒子径(dw)は155nmであり、dw/dn=1.2であった。
(2)グラフト共重合体(A1−3)の製造:
ブタジエン系ゴム重合体(R1−1)の代わりにブタジエン系ゴム重合体(R1−3)を用いた以外は、製造例1の(2)と同様にしてグラフト重合体(A1−3)を得た。
〔製造例4〕
トリオキサンと少量の1,3−ジオキソラン(コモノマー)との混合物を、三フッ化ホウ素エーテラート(触媒)の存在下に重合して、オキシエチレン基を1.50%含むポリアセタール樹脂(B−1)を得た後、トリエチルアミン(失活剤)によって触媒を失活させ、さらに末端安定化工程を経てペレット化した。
〔実施例1、比較例1〜2〕
表1に示す割合で、ポリアセタール樹脂(B−1)にグラフト共重合体(A)を配合し、東芝機械(株)製、TEM35B型2軸押出機にてペレット化し、熱可塑性樹脂組成物を得た。
ついで、各種の評価試験を行うため、得られた熱可塑性樹脂組成物を三条機械製SAV60型射出成形機にて通常の条件で射出成形し、試験片を作製した。
熱可塑性樹脂組成物および試験片について、以下の評価試験を行った。
(1)ポリアセタール樹脂の耐分解性の評価:
熱可塑性樹脂組成物のペレットを、210℃に昇温したテクノセブン社製メルトインデクサに口径2.1mmのダイを装着したところに、5g秤量して仕込み、5分間保持した後、10kgfの荷重をかけて、それにより押出されたストランドの量について、30秒間に流れ出る質量(MI)を測定した。同様に、30分間保持した後にMIを測定した。30分間保持した時のMIから5分間保持した時のMIを引いた△MIを耐分解性の判断基準とした。この数値ができるだけ小さい正の値または負の値であるものを良好と判断した。
また同時に、30分間保持した時のストランドの着色および匂いについて評価した。着色がなく、また、臭いが少ないほど良好であることを示す。
(2)アイゾット衝撃強度:
試験片のアイゾット衝撃強度を、ASTMD256に従って23℃で測定した。厚さ1/8インチ、ノッチ付き試験片を用いた。
(3)引張試験:
ダンベル状の試験片の破断伸びおよび弾性率を、ASTM D638に従って23℃で測定した。試験片の厚さは1/8インチとした。
Figure 2006298977
表1に示すとおり、実施例は、ポリアセタール樹脂の耐分解性(安定性)が良好で、しかも成形品の機械物性に優れている。これに対して連鎖移動剤を用いなかった比較例1は、成形品の機械物性に劣っていた。メルカプト系の連鎖移動剤を用いた比較例2は、ポリアセタール樹脂の耐分解性に劣っていた。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、安定性に優れ、かつ得られる成形品の機械物性に優れているため、OA機器、情報機器、家電、自動車、衣類、文具、雑貨、建材等に利用される、樹脂製歯車、機構部品等に好適に用いられる。

Claims (2)

  1. ゴム質重合体(R)にビニル系単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体(A)と、
    ポリアセタール樹脂(B)とを含有し、
    前記ゴム質重合体(R)が、αメチルスチレンダイマーの存在下にゴム質重合体を構成する単量体を重合して得られたものであることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品。
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