JP2006299624A - タイプレートの固定構造およびまくら木の補修方法 - Google Patents

タイプレートの固定構造およびまくら木の補修方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 まくら木の凹みの発生を防止し、レール位置の調節が容易なタイプレートの固定構造を提供する。また、その固定構造を用いたまくら木の補修方法を提供する。
【解決手段】 タイプレート30をまくら木Mに固定するタイプレートの固定構造1であって、タイプレート30を支承する台座10と、タイプレート30の両側に配され、まくら木Mの長手方向における複数の異なる位置において台座10と係合可能な一対の位置決め部材20,20とを備え、当該位置決め部材20,20は、台座10との係合位置を相補的に移動させてタイプレート30をまくら木Mの長手方向両側から挟持しつつ上下方向に位置決めした状態で締結解除および再締結可能にまくら木Mに締結される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、レールを支持するタイプレートをまくら木に固定するタイプレートの固定構造と、その固定構造を用いたまくら木の補修方法に関する。
近時、木材製やPC(Prestressed-Concrete)製のまくら木に代えて、繊維強化硬質樹脂発泡体などの合成木材で製された合成まくら木が多用されている。合成まくら木は木材製のまくら木に比べて耐用年数が長く、PC製のまくら木に比べて軽量で敷設性に優れている。しかし、合成まくら木はPC製のまくら木に比べて耐摩耗性に劣る。
ところで、犬釘で締結するタイプレートは、犬釘を挿通する固定孔にクリアランスが設けられる。このため、列車通過時にレールから伝わる振動や衝撃によってタイプレートに緩みが生じ易く、タイプレートに接するまくら木表面が摩擦磨耗を受けて凹みが生じ易い問題があった。
このようなまくら木に生じた凹みを補修するまくら木の補修方法が特許文献1,2に開示されている。特許文献1,2に開示された補修方法は、まくら木の表面に生じた凹み部位に芯材を挿入して速硬化性樹脂を流し込み、その上から蓋をして補修するものである。特許文献1,2に開示された補修方法を採用することにより、効率良くまくら木の補修を行うことが可能である。
また、まくら木に生じる凹みの問題とは異なり、まくら木の補修や軌道のメンテナンスに際して、レール位置の調節を要する場合が多い。
通常、レール位置を調節する際には、タイプレートを固定する締結部材を引き抜き、下穴を拡径して疲弊した内壁を除去する。そして、拡径された下穴に樹脂材を塗布した埋め栓を嵌入し、樹脂材の硬化後にタイプレートの固定位置に合わせて下穴を再穿孔し、締結部材でタイプレートをまくら木に再固定する作業が行われる。
特開2002−4205号公報 特開2004−244919号公報
ところが、特許文献1,2に開示されたまくら木の補修方法は、効率良く補修作業ができるものの、タイプレートをまくら木に固定する構造はそのままであり、凹みが発生する根本要因を取り除くものではなかった。このため、時間の経過と共にタイプレートの緩みが再発して補修されたまくら木に再び凹みが生じることとなり、定期的に補修を繰り返さざるを得ない嫌いがあった。
また、前記したレール位置の調節作業は、下穴に埋め栓をした後に新たな下穴を再穿孔しなければならず、多大な手間と労力を要するために改善が望まれていた。
本発明は前記事情に鑑みて提案されるもので、まくら木の凹みの発生を防止すると共に、レール位置を容易に調節可能なタイプレートの固定構造を提供することを目的としている。また、同時に提案される本発明は、その固定構造を用いたまくら木の補修方法を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために提案される請求項1に記載の発明は、レールを支持するタイプレートをまくら木に固定するタイプレートの固定構造であって、まくら木の上面に固定されてタイプレートを支承する台座と、タイプレートの両側に配され、まくら木の長手方向における複数の異なる位置において前記台座と係合可能な一対の位置決め部材とを備え、当該位置決め部材は、台座との係合位置を相補的に移動させてタイプレートをまくら木の長手方向両側から挟持しつつ上下方向に位置決めした状態で締結解除および再締結可能にまくら木に締結されるタイプレートの固定構造である。
本発明のタイプレートの固定構造は、タイプレート自体を直接まくら木に固定するものではなく、位置決め部材によってタイプレートを位置決め固定するものである。
本発明によれば、一対の位置決め部材は、台座に係合した状態でタイプレートをまくら木の長手方向両側から挟持しつつまくら木に固定される。従って、まくら木の長手方向においてタイプレートと位置決め部材との間に隙間が生じない。また、位置決め部材は、タイプレートを上下方向に位置決めするので、まくら木の上下方向においてもタイプレートと位置決め部材との間に隙間が生じない。
これにより、レールから伝わる振動や衝撃がタイプレートに印加されても、タイプレートは位置決め部材によって強固に位置決めされて位置ずれを生じることがない。
また、本発明によれば、タイプレートとまくら木との間に、タイプレートよりも底面積の広い台座が配される。これにより、タイプレートに印加された荷重は台座に分散されることとなり、台座を設けない場合に比べてまくら木の単位面積当たりに加わる荷重が低減し、荷重によるまくら木の損傷の発生が防止される。
更に、本発明によれば、位置決め部材の締結を緩めて台座との係合位置を相補的に移動させるだけで、タイプレートの固定位置を容易に調節できる。これにより、軌道の保守に際してレール位置の調節を要する場合でも、下穴を再穿孔するような手間が不要となり、調節作業を短時間に行うことが可能となる。
則ち、本発明によれば、タイプレートの位置ずれが阻止され、まくら木に凹みや損傷が生じることを長期間に渡って防止することができ、しかも、レール位置の調節を容易に行うことが可能となる。
請求項2に記載の発明は、レールを支持するタイプレートをまくら木に固定するタイプレートの固定構造であって、まくら木の上面に固定されてタイプレートを支承する台座と、タイプレートの両側に配され、まくら木の長手方向における複数の異なる位置において前記台座と係合可能な一対の位置決め部材とを備え、当該位置決め部材は、台座との係合位置を相補的に移動させてタイプレートをまくら木の長手方向両側から挟持しつつ締結解除および再締結可能にまくら木に締結されると共に、前記タイプレートは位置決め部材によって位置決めされた状態で締結解除および再締結可能にまくら木に締結されるタイプレートの固定構造である。
本発明によれば、一対の位置決め部材は、タイプレートをまくら木の長手方向両側から挟持しつつ台座に係合した状態でまくら木に固定されるので、まくら木の長手方向においてタイプレートと位置決め部材との間に隙間が生じない。更に、まくら木の長手方向に位置決めされたタイプレートを直接まくら木に固定する。
これにより、レールから伝わる振動や衝撃によっても、タイプレートの位置ずれが生じることがない。
また、本発明によれば、請求項1に記載の発明と同様に、タイプレートとまくら木との間に、タイプレートよりも底面積の広い台座を配置するので、まくら木の単位面積当たりに加わる荷重が低減し、まくら木の損傷の発生が防止される。
更に、本発明によれば、タイプレートおよび位置決め部材の締結を緩めて位置決め部材の台座への係合位置を相補的に移動させるだけで、タイプレートの固定位置を容易に調節することができる。従って、軌道の保守に際してレール位置の調節を要する場合でも、下穴を再穿孔するような手間が不要となり、調節作業を容易に行うことができる。
則ち、本発明によれば、タイプレートの位置ずれが阻止され、まくら木に凹みや損傷が生じることを長期間に渡って防止することができ、しかも、レール位置の調節を容易に行うことが可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のタイプレートの固定構造において、前記台座は、まくら木の幅方向に対して同一の所定角度だけ傾斜させた長手両側縁を上方へ向けて折曲した傾斜係合側縁を備えた略平行四辺形状を有し、前記位置決め部材は、前記台座の傾斜係合側縁に当接して係合する傾斜側縁と、まくら木の幅方向に延びてタイプレートに当接する非傾斜側縁とを備えた略台形状を有し、前記位置決め部材を台座の傾斜係合側縁に沿ってまくら木の幅方向へ移動させることにより、位置決め部材の台座への係合位置をまくら木の長手方向に向けて連続的に調節可能な構成とされている。
本発明は、請求項1または2に記載のタイプレートの固定構造において、位置決め部材を台座へ係合させる構成を具体的に示したものである。
本発明によれば、簡単な構成によって位置決め部材の台座への係合位置をまくら木の長手方向に向けて連続的に調節でき、請求項1または2に記載の固定構造を容易に実施することが可能となる。
本発明において、台座は、強度および耐久性の面から鉄やステンレススチールなどの金属材を用いて製するのが良い。位置決め部材は強度、耐久性および加工性の面から鋳物で製するのが良い。また、耐錆性を向上させるために、亜鉛どぶ付けメッキなどの防錆処理を施すのが好ましい。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のタイプレートの固定構造において、前記位置決め部材は、非傾斜側縁に当接するタイプレートの上方への移動を阻止する係止部を当該非傾斜側縁に沿って備えた構成とされている。
本発明は、請求項3に記載の構成を用いて請求項1に記載の固定構造を実施する際に、位置決め部材によってタイプレートの上下方向の位置決めを行う構成を具体的に示したものである。
本発明によれば、簡単な構成によってタイプレートの上下方向の位置決めを行うことができ、請求項3に記載の固定構造を容易に実施することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載のタイプレートの固定構造において、前記台座は、傾斜係合側縁に係合する位置決め部材の上方への移動を阻止する係止部を傾斜係合側縁に沿って備えた構成とされている。
本発明によれば、台座に設けた係止部によって位置決め部材の上方への移動が阻止される。従って、位置決め部材をまくら木に固定する締結部材の一部が仮に緩んだ場合でも、位置決め部材と台座との係合を維持しつつ締結部材に加わる荷重を低減することができ、固定構造の耐久性が向上する。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造において、前記位置決め部材は、台座への係合位置に応じて相対移動する台座の固定孔に対応した長穴状の固定孔を備え、当該長穴状の固定孔および台座の固定孔を貫通する締結部材によって台座と共にまくら木に締結される構成とされている。
本発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造において、位置決め部材を台座と共にまくら木に固定する構造を具体的に示したものである。
本発明によれば、簡単な構成によって、係合位置に応じて台座上で移動する位置決め部材を台座と共に確実にまくら木締結固定することができ、請求項1〜5に記載のタイプレートの固定構造を容易に実施することが可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項2乃至6のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造において、前記タイプレートは、固定位置に応じて相対移動する台座の固定孔に対応した長穴状の固定孔を備え、当該長穴状の固定孔および台座の固定孔を貫通する締結部材によって台座と共にまくら木に締結される構成とされている。
本発明は、請求項2乃至6のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造において、タイプレートを台座と共にまくら木に固定する構造を具体的に示したものである。
本発明によれば、簡単な構成によって、位置決め状態に応じて台座上で移動するタイプレートを台座と共に確実にまくら木締結固定することができ、請求項2〜6に記載のタイプレートの固定構造を容易に実施することが可能となる。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造において、前記台座の上面または下面の少なくともいずれかの面に、制振性または弾性を有するシート材を配した構成とされている。
本発明によれば、台座の上部に位置するタイプレートおよび位置決め部材と台座との間、または、台座とまくら木との間の少なくともいずれかの部位に制振性または弾性を有するシート材を配するので、タイプレートからまくら木へ至る振動伝達経路をシート材によって遮断することができる。
これにより、レールで生じる振動や衝撃がタイプレートを介してまくら木へ伝わることを効果的に抑制され、まくら木を介して周囲に広がる振動や騒音を低減することが可能となる。
本発明において、制振性または弾性を有するシート材は、台座の上面または下面のいずれか一方の面だけに配しても良く、台座の上下両面に配しても良い。
また、制振性または弾性を有するシート材は、台座の上下面に加えて、まくら木の上面全面に渡って配したり、更に、まくら木の長手両端部側面に配することにより、まくら木を介して周囲に広がる振動や騒音を低減することが可能となる。
制振性を有するシート材としては、制振用樹脂組成物を板状乃至フィルム状に成形したものを用いることができる。
制振材用樹脂組成物としては適宜のものを採用できるが、一例としては、塩素含有熱可塑性樹脂100重量部と、平均炭素数が12〜16である塩素化パラフィン20〜200重量部とを含有し、塩素含有熱可塑性樹脂の塩素含量は好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜70重量%であり、塩素化パラフィンの塩素化度は好ましくは30〜70重量%、より好ましくは35〜65重量%のものを挙げることができる。
また、弾性を有するシート材としては適宜のものを採用可能であるが、クロロプレンゴム(CR)やスチレンブタジエンゴム(SBR)などの一般的な合成ゴムを用いれば、省コスト化を図りつつ充分な振動・衝撃吸収を行うことが可能となる。
請求項9に記載の発明は、請求項1または請求項3乃至8のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造を用いたまくら木の補修方法であって、既設のまくら木からタイプレートを固定する締結部材を引き抜いてタイプレートを取り外す工程と、台座を固定する締結部材の下穴を穿孔する工程と、締結部材の引き抜かれた穴を含むタイプレートの下部に生じた凹み部位の内部に少なくとも速硬化性樹脂剤を充填し、凹み部位の開口部に台座を覆い被せて仮固定しつつ速硬化性樹脂剤を硬化させる工程と、位置決め部材によってタイプレートを位置決めしつつ位置決め部材を台座と共にまくら木に締結固定する工程とを備えたまくら木の補修方法である。
本発明によれば、速硬化性樹脂剤を充填した凹み部位に台座を覆い被せて仮固定するので、別の当て板などを覆い被せる補修方法に比べて、速硬化性樹脂剤の硬化後に当て板を取り外す手間が不要である。
また、タイプレート自体を締結部材で直接まくら木に固定しないので、従来の様に、締結部材を引き抜いた穴を拡径し芯材を嵌入した後に再穿孔する手間を要しない。
更に、位置決め部材を調節してタイプレートをまくら木の長手方向に容易に移動させて位置決め固定できる。
これにより、補修作業に要する労力が著しく低減することとなり、補修作業を短時間に効率良く行うことが可能となる。
また、前記したように、タイプレートの緩みの発生が阻止されるので、まくら木に凹みが再発することがなく、長期間に渡ってメンテナンスを要することがなくなる。
更に、レール位置の調節が必要な際は、下穴の再穿孔などの多大な手間を要することなく、位置決め部材によってタイプレートの固定位置を容易に調節することが可能となる。
請求項10に記載の発明は、請求項2または請求項3乃至8のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造を用いたまくら木の補修方法であって、既設のまくら木からタイプレートを固定する締結部材を引き抜いてタイプレートを取り外す工程と、台座を固定する締結部材の下穴を穿孔する工程と、締結部材の引き抜かれた穴を拡径し速硬化性樹脂剤を塗布した芯材を嵌入させる工程と、タイプレートの下部に生じた凹み部位の内部に少なくとも速硬化性樹脂剤を充填し、凹み部位の開口部に台座を覆い被せて仮固定しつつ速硬化性樹脂剤を硬化させる工程と、タイプレートを固定する締結部材の下穴を台座の固定孔を介して再穿孔する工程と、位置決め部材によってタイプレートを位置決めしつつ位置決め部材を台座と共にまくら木に締結固定する工程と、位置決めされたタイプレートを台座と共にまくら木に締結する工程とを備えたまくら木の補修方法である。
前記請求項9の補修方法が、タイプレートを直接まくら木に締結しない構造であったのに対して、本発明は、締結部材によってタイプレートを直接まくら木に締結する構造であり、締結部材の引き抜かれた穴の拡径処理、芯材の嵌入、下穴の再穿孔およびタイプレートをまくら木に締結する工程が追加される。
しかし、本発明によれば、速硬化性樹脂剤を充填した凹み部位に台座を覆い被せて仮固定するので、速硬化性樹脂剤の硬化後に当て板を取り外す手間が不要であり、また、位置決め部材を調節してタイプレートをまくら木の長手方向に容易に移動させて位置決め固定することができる。これにより、補修作業に要する労力が低減することとなり、補修作業を短時間に極めて効率良く行うことが可能となる。
また、前記したように、タイプレートの緩みの発生が阻止されるので、まくら木に凹みが再発することがない。これにより、長期間に渡ってメンテナンスを要することがなく、補修の際の下穴の再穿孔などの手間を削減することが可能となる。
更に、レール位置の調節が必要な際は、下穴の再穿孔などの多大な手間を要することなく、位置決め部材によってタイプレートの固定位置を容易に調節することが可能となる。
ここで、前記した本発明において、まくら木および埋め栓は、ガラス長繊維強化硬質合成樹脂発泡体を素材とする合成木材で製するのが良い。
発泡樹脂の種類としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化樹脂であって硬質のものが好適に使用される。尚、発泡樹脂中に、圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレーなどの無機充填材や、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン等の軽量骨材が添加されても良い。
板材の硬質樹脂発泡材を補強する繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維などの無機質繊維や、芳香族ポリアミド繊維等の合成繊維や天然繊維等の有機質繊維の何れかであればよいが、強度や経済性の面からガラス繊維が適している。繊維の形態は、ヤーン、クロス、ロービング、ロービングクロス、クロスマット等の長繊維形態のものが好適であり、必要に応じてチップ、ミドルファイバー等の短繊維やシラスバルーン等の中空充填材を併用しても良い。
ガラス繊維としては、ガラスロービング、ガラスロービングクロス、ガラスマット、コンティニュアスストランドマット等の形態のものが挙げられる。この繊維は単独で使用しても良いし、2層以上積層して使用しても良く、また、長繊維と短繊維を混ぜて使用しても良い。最も好適な材料としては硬質ウレタン樹脂を長手方向へ引き揃えられたガラス長繊維で補強した発泡体である(例えば、商品名「エスロンネオランバー FFU」積水化学工業株式会社製)。
まくら木や埋め栓を合成木材で成する場合、合成木材に含まれる繊維方向が各部材の長手方向となるようにするのが良い。則ち、まくら木にかかる応力は、主としてレールを支点とする曲げモーメントに起因するものであり、まくら木の長手方向への高い曲げ剛性(EI)が要求される。合成木材の繊維方向をまくら木の長手方向へ合わせたものや、或いは、繊維方向の異なる合成木材を積層したまくら木とすることにより、高い曲げ剛性を得ることができる。また、まくら木に埋め込む埋め栓についても、繊維方向が部材の長手方向となるように原板から切り出したものを用いるのが良い。
請求項1,2に記載の発明によれば、タイプレートの位置ずれが阻止され、まくら木に凹みや損傷が生じることを長期間に渡って防止することができ、しかも、レール位置の調節を極めて容易に行うことが可能なタイプレートの締結構造を提供できる。
請求項3〜7に記載の発明によれば、簡単な構成によって請求項1,2に記載の発明を容易に実施することが可能となる。
請求項8に記載の発明によれば、振動および騒音の発生を低減したタイプレートの固定構造を提供できる。
請求項9,10に記載の発明によれば、補修作業に要する労力が低減され、しかも、まくら木の凹みの再発が防止されると共に、レール位置の調節が容易なまくら木の補修方法を提供することができる。
以下に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るタイプレートの固定構造1を示す平面図および断面図、図2は図1の固定構造1に採用する台座および位置決め部材を示す斜視図、図3は図1の固定構造1においてタイプレートの位置決めを行う手順を示す説明図である。また、図4は図1の固定構造1の変形例を示す断面図である。
本実施形態のタイプレートの固定構造1は、図1の様に、レールRを支持する従来のタイプレート30に加えて、まくら木Mの上面に固定されてタイプレート30を支承する台座10と、タイプレート30の両側の台座10上に配される一対の位置決め部材20,20を備えて構成される。
タイプレート30は、図1の様に、犬釘によってまくら木に締結される従来と同様のものである。則ち、タイプレート30は、鋳物で製された長方形状の部材で、その中央部には、レール抑え具33を固定するレール締結ボルト32が2本設けられている。また、犬釘を挿通する4個の固定孔(角穴)31が開けられている。
台座10は、図1,図2(a)の様に、本体部11を形成する平行四辺形状の鉄板の長手両端部を折曲加工して製された部材である。又、切削加工により製作しても良い。
則ち、台座10は、まくら木Mの幅方向に対して同一の所定角度だけ傾斜させた本体部11の長手両側縁を上方へ向けて折曲した傾斜係合側縁12を備え、当該傾斜係合側縁12の上端部は更に内方へ向けて折曲されて係止部13を形成している。
台座10の長手方向中央部であって、タイプレート30の4個の固定孔31に対応する部位には、締結部材を貫通させる固定孔(丸穴)15が開けられている。また、台座10の長手両端部に位置する傾斜係合側縁12の近傍には、当該傾斜係合側縁12に沿って2個の固定孔(丸穴)が開けられている。
則ち、台座10は、長手両端部が傾斜した平行四辺形状を有し、当該長手両端部に係止部13を備えた断面がコ字状の傾斜係合側縁12を備えた部材である。
尚、台座10に設けた4個の固定孔15は、本実施形態の固定構造1には不要であり、後述する第3実施形態の固定構造において使用するものである。
位置決め部材20は、図1,図2(b)の様に、鋳物で製された部材であり、傾斜側縁21と非傾斜側縁22を備えた台形状を有する。傾斜側縁21は、台座10の傾斜係合側縁12と同一角度だけ傾斜した側縁であり、台座10の傾斜係合側縁12と当接して係合する。また、非傾斜側縁22はタイプレート30と当接する傾斜を持たない側縁である。
また、傾斜側縁21の近傍には、当該傾斜側縁21に沿って2個の長穴状の固定孔24,24が開けられている。
本実施形態の固定構造1は、前記したタイプレート30、台座10および一対の位置決め部材20,20を用いて構成される。
則ち、図1の様に、まくら木Mの上面に台座10を載置し、その長手中央部にタイプレート30を載置すると共に、タイプレート30の両側の台座10上に一対の位置決め部材20,20が配置される。
そして、固定ボルト(締結部材)25を、位置決め部材20の固定孔(長穴)24および台座10の固定孔(丸穴)14を介して、予めまくら木Mに穿孔した下穴50に嵌入させた埋め栓53にねじ込み、位置決め部材20,20によってタイプレート30の位置決めを行った後に固定ボルト25を締結する。
則ち、本実施形態の固定構造1は、タイプレート30を直接まくら木Mに締結する構造ではなく、位置決め部材20によってタイプレート30を位置決めした状態で、当該位置決め部材20,20を台座10と共にまくら木Mに締結する固定構造である。
ここで、位置決め部材20によってタイプレート30の位置決めを行う手順を図1,図3を参照して説明する。尚、以下の説明では、まくら木Mの幅方向への移動を区別するために図3の記載に従って上方および下方と記載する。
位置決め部材20は長穴状の固定孔24を備えるので、図3(a)において、固定ボルト25を緩めた状態では、位置決め部材20は、固定孔24の範囲内で台座10の傾斜係合側縁12に沿ってまくら木Mの幅方向(上下方向)に移動自在である。
従って、右方の位置決め部材20を台座10の傾斜係合側縁12に沿って下方へ移動させると、傾斜側縁21の台座10との係合位置はまくら木Mの長手方向左方へ移動し、逆に、右方の位置決め部材20を傾斜係合側縁12に沿って上方へ移動させると、傾斜側縁21の台座10との係合位置はまくら木Mの長手方向右方へ移動する。
同様に、左方の位置決め部材20を台座10の傾斜係合側縁12に沿って上方へ移動させると、傾斜側縁21の台座10との係合位置はまくら木Mの長手方向右方へ移動し、逆に、左方の位置決め部材20を台座10の傾斜係合側縁12に沿って下方へ移動させると、傾斜側縁21の台座10との係合位置はまくら木Mの長手方向左方へ移動する。
則ち、左右の位置決め部材20,20を台座10の傾斜係合側縁に沿って上下方向へ移動させることにより、台座10との係合位置をまくら木Mの長手方向へ向けて連続的に調節可能である。
これにより、左右の位置決め部材20,20を相補的に移動させて台座10との係合位置を調節することにより、非傾斜側縁22,22同士の間にタイプレート30を挟持しつつまくら木Mの長手方向に位置調節可能な構成とされている。
従って、図3(a)の様に、左右の位置決め部材20,20を上下方向へ適宜に移動させると、各位置決め部材20の傾斜側縁21が台座10の傾斜係合側縁12に係合した状態で、各位置決め部材20の非傾斜側縁22によってタイプレート30が左右から挟持されて、まくら木Mの長手方向における位置決めが行われる。
ここで、位置決めに際してタイプレート30にレールRが締結されているときは、位置決め部材20の移動に伴って台座10に大きな反作用が生じるが、固定ボルト25を緩めている場合でも台座10はまくら木Mの長手方向に位置決めされるので、台座10が移動することはない。
また、位置決め部材20,20によってタイプレート30を左右から挟持すると、非傾斜側縁22の係止部23によってタイプレート30は台座10に押しつけられて上下方向に位置決めされる。
そして、タイプレート30の位置決めを行った後に、固定ボルト25をまくら木Mに締結することにより、タイプレート30は位置決め部材20,20で位置決めされた状態で強固に固定される。
一方、タイプレート30を右方へ移動させる場合は、図3(b)の様に、左右の位置決め部材20,20を上方へ向けて適宜に移動させる。これにより、位置決め部材20,20が台座10と係合した状態で、その非傾斜側縁22が共に右方へ移動し、タイプレート30を挟持しつつ位置決めする。
逆に、タイプレート30を左方へ移動させる場合は、図3(c)の様に、左右の位置決め部材20,20を下方へ向けて適宜に移動させることにより、位置決め部材20,20が台座10と係合した状態で、その非傾斜側縁22が共に左方へ移動し、タイプレート30を挟持しつつ位置決めする。
このように、本実施形態のタイプレートの固定構造1によれば、固定ボルト25の締結を緩めて位置決め部材20,20を相補的に移動させるだけで、タイプレート30の固定位置、則ち、レールRの位置を容易に調節することができる。従って、従来のように、レールRの位置調節に際して、タイプレートの移動に伴って下穴を再穿孔するような手間が不要となり、調節作業に要する手間を大幅に削減される。
また、タイプレート30を直接まくら木Mに締結しない構造にも拘わらず、位置決め部材20,20によってタイプレート30を両側から強固に挟持固定するので、振動や衝撃に伴うタイプレート30の位置ずれが効果的に阻止される。
更に、タイプレート30の下部に底面積の広い台座10を配するので、タイプレート30に加わる荷重が分散されてまくら木の単位面積に加わる荷重が低減する。これにより、荷重に伴うまくら木Mの損傷を最小限に抑えることが可能となる。
尚、本実施形態では、台座10をまくら木に締結する締結部材として固定ボルト25を用いたが、ねじ釘を用いて締結することもできる。その場合、埋め栓53は不要で、ねじ釘に応じた下穴を穿孔すれば良く、部材点数および手間を削減することができる。
また、本実施形態では、台座10の傾斜係合側縁12に係止部13を設けた構成としたが、係止部13を省略した構成を採ることも可能である。
ここで、本発明のタイプレートの固定構造は、前記した固定構造1に限定されるものではない。
例えば、図4(a)の様に、台座10の下面とまくら木Mとの間にゴム板(弾性シート材)54を配した固定構造2とすることも可能である。
また、図4(b)の様に、台座10の上面とタイプレート30および位置決め部材20,20との間にゴム板(弾性シート材)55を配した固定構造2’とすることも可能である。
図4(a),(b)の固定構造2,2’を採用することにより、タイプレート30からまくら木Mへ至る振動伝達経路がゴム板54,55によって遮断され、レールRで生じる振動や衝撃がタイプレート30を介してまくら木Mへ伝わることを効果的に抑制され、まくら木Mを介して周囲に広がる振動や騒音を低減することが可能となる。
また、図4の固定構造2,2’では、ゴム板54,55を用いたが、ゴム板54,55に代えて制振性を有するシート材を配することにより、同様の効果を奏することが可能である。
更に、台座10の上下面に限らず、弾性や制振性を有するシート材を、まくら木Mの表面に全面に渡って貼付する構成や、同様のシート材をまくら木Mの長手両側縁に貼付する構成を採ることにより、振動や騒音を一層低減させることが可能である。
このような図4の固定構造2,2’を新規に敷設する場合は、予め工場においてゴム板54,55を糊材を用いて台座10に貼付しておくことにより、敷設作業を容易に行うことができる。
尚、制振性や弾性を有するシート材を各部に配した場合の振動や騒音の低減効果については後述する。
次に、本発明の第2実施形態に係るまくら木の補修方法3を説明する。図5および図6は、本実施形態のまくら木の補修方法3の工程を示す説明図である。
本実施形態のまくら木の補修方法3は、犬釘によってタイプレートを直接まくら木に締結する軌道の補修に適用されるもので、まくら木に生じた凹みを前記第1実施形態のタイプレートの固定構造1を用いて補修するものである。
図5(a)の様に、犬釘Kによってタイプレート30を直接まくら木Mに締結する軌道では、犬釘Kを挿通するタイプレート30の固定孔31にクリアランスが設けられる。このため、列車の通過に伴う振動によってタイプレート30に緩みが生じ、タイプレート30の移動に伴う摩擦摩耗によってまくら木Mに凹み部位52が生じる。
補修に際しては、まず、図5(a)の様に、ナット34の締結を解除してレール締結ボルト32からレール抑え具33を取り外し、犬釘Kを引き抜いてまくら木Mからタイプレート30を取り外す。
続いて、図5(b)の様に、台座10の4個の固定孔14(図2a参照)に対応するまくら木Mの上面に、ドリルD1を用いて各々下穴50を穿孔し、図5(c)の様に、穿孔した下穴50に埋め栓53を嵌入する。
次いで、図5(d)の様に、先に犬釘Kを引き抜いた穴51を含むまくら木Mの凹み部位52に速硬化性樹脂剤Jを充填する。そして、図6(a)の様に、凹み部位52を覆うように台座10を被せ、台座10の左右に位置決め部材20,20を載置し、位置決め部材20および台座10の固定孔24,14を介して固定ボルト25をまくら木Mの埋め栓53にねじ込んで図6(b)の様に仮固定する。
速硬化性樹脂剤Jが硬化すると、凹み部位52の開口部には台座10が密着して平面状に補修される。
本実施形態で使用する速硬化性樹脂剤Jはウレタン樹脂接着剤であり、ポリオール液とポリイソシアネート液を調合混合したものであり、略10分程度で硬化する。このウレタン樹脂には若干のガラスチョップを混入して粘度調節、硬化後の強度向上を図っても良い。また、凹み部位52に速硬化性樹脂剤Jを塗布した凹み形状に応じた芯部材を挿入し、その上から速硬化性樹脂剤Jを充填しても良い。
速硬化性樹脂剤Jが硬化すると、図6(c)の様に、仮固定した固定ボルト25,25を一旦緩めて締結を解除し、位置決め部材20,20の間にレールRの下面に沿わせてタイプレート30を挿入する。そして、前記図3で示した手順によってタイプレート30のまくら木Mの長手方向における位置決めを行う。
位置決めを行った後、図6(d)の様に、タイプレート30のレール締結ボルト32にレール抑え具33を装着してナット34で締結すると共に、固定ボルト25をねじ込んで位置決め部材20,20を台座10と共にまくら木Mに締結する。以上の手順により、まくら木Mの補修が完了する。
このように、本実施形態のまくら木の補修方法3によれば、速硬化性樹脂剤Jを充填した凹み部位52に台座10を覆い被せて仮固定するので、別の当て板などを覆い被せる補修方法に比べて、当て板を取り外す手間が不要である。また、タイプレート30を直接まくら木Mに固定しないので、従来の様に、締結部材の下穴を再穿孔する手間が不要となる。また、位置決め部材20,20を調節してタイプレート30をまくら木Mの長手方向に容易に移動させて位置決め固定することが可能である。
これにより、補修作業に要する労力が著しく低減することとなり、補修作業を短時間に効率良く行うことが可能となる。
また、前記したように、タイプレート30の緩みの発生が阻止されると共に、台座10を設けることにより、まくら木Mに凹みが再発することがなく、長期間に渡ってメンテナンスを要することがない。
更に、補修後においても、レール位置の調節を要するときは、下穴の再穿孔などの多大な手間を要することなく、位置決め部材20,20によってタイプレート30の固定位置を容易に調節することが可能となる。
尚、本実施形態のまくら木の補修方法3において、前記図4の構成、則ち台座10の上面や下面に制振性または弾性を有するシート材を配する構成を採ることもでき、騒音や振動の発生を低減することが可能となる。
また、本実施形態のまくら木の補修方法3は、タイプレートを犬釘で締結する既設のまくら木Mを前記第1実施形態の固定構造1を用いて補修するものであったが、タイプレートをねじ釘で締結する既設のまくら木であっても、同様の手順で補修可能である。
次に、本発明の第3実施形態に係るタイプレートの固定構造5を説明する。
図7は本発明の第3実施形態に係るタイプレートの固定構造5を示す平面図および断面図である。
本実施形態の固定構造5は、前記図1に示した固定構造1において、タイプレートの形状および締結構造の一部が異なる。従って、同一構成部分には同一符号を付して重複した説明を省略する。
本実施形態の固定構造5は、図7の様に、レールRを支持するタイプレート36に加えて、台座10および位置決め部材20,20を備えて構成され、台座10および位置決め部材20,20は、前記第1実施形態の固定構造1に用いたものと同一である。
タイプレート36は、図7の様に、ねじ釘27を用いてまくら木Mに締結される従来と同様のものであるが、固定孔37の形状が異なる。
則ち、タイプレート36は、鋳物で製された長方形状の部材で、その中央部には、レール抑え具33を固定するレール締結ボルト32が2本設けられている。また、ねじ釘27を挿通する4個の長穴状の固定孔31を備えている。
本実施形態の固定構造5は、図7の様に、まくら木Mの上面に台座10を載置し、その長手中央部にタイプレート36を載置すると共に、タイプレート36の両側の台座10上に一対の位置決め部材20,20が配置される。
そして、固定ボルト(締結部材)25を、位置決め部材20および台座10の固定孔24,14を介して、予めまくら木Mに穿孔した下穴50に嵌入させた埋め栓53にねじ込み、位置決め部材20,20によってタイプレート36の位置決めを行った後に固定ボルト25を締結する。更に、ねじ釘27を、タイプレート36および台座10の固定孔37,15を介して、予めまくら木Mに穿孔した下穴56にねじ込んで締結する構造である。
則ち、本実施形態の固定構造5は、位置決め部材20によってタイプレート36を位置決めした状態で、当該位置決め部材20,20を台座10と共にまくら木Mに締結し、更に、タイプレート36を台座10と共にまくら木Mに締結する構造である。
本実施形態のタイプレートの固定構造5によれば、タイプレート36に長穴の固定孔37が設けられているので、固定ボルト25およびねじ釘27の締結を緩め、前記図4に示した手順によって位置決め部材20,20を相補的に移動させるだけで、タイプレート36の固定位置を容易に調節可能である。従って、従来のように、レールRの位置調節に際してタイプレートの移動に伴って下穴を再穿孔するような手間が不要となり、位置調節の手間を大幅に削減することが可能となる。
また、位置決め部材20,20によるタイプレート36の位置決め固定に加えて、タイプレート36自体をまくら木Mに直接固定するので、タイプレート36の耐荷重性が著しく向上することとなり、振動や衝撃に伴うタイプレート36の緩みの発生が効果的に阻止される。
更に、タイプレート30の下部に底面積の広い台座10を配するので、タイプレート30に加わる荷重が分散されてまくら木の単位面積に加わる荷重が低減し、荷重に伴うまくら木Mの損傷を最小限に抑えることが可能となる。
尚、本実施形態のタイプレートの固定構造5においても、前記図4の構成、則ち台座10の上面や下面に制振性または弾性を有するシート材を配する構成を採ることができ、騒音や振動の発生を低減することが可能となる。
また、本実施形態では、台座10をまくら木に締結する締結部材に固定ボルト25を用いたが、前記した固定構造1と同様に、ねじ釘を用いて締結することも可能である。
また、本実施形態では、タイプレート36をまくら木Mに締結する構造であるので、位置決め部材20に設けた係止部23を省略した構成を採ることもでき、更に、台座10の傾斜係合側縁12に設けた係止部13を省略することも可能である。
次に、本発明の第4実施形態に係るまくら木の補修方法6を説明する。
図8および図9は、本実施形態のまくら木の補修方法6の工程を示す説明図である。
本実施形態のまくら木の補修方法6は、犬釘によってタイプレートを直接まくら木に締結する既設の軌道において、まくら木に生じた凹みを前記した第3実施形態のタイプレートの固定構造5を用いて補修するものである。
補修に際しては、まず、図8(a)の様に、ナット34の締結を解除してレール締結ボルト32からレール抑え具33を取り外し、犬釘Kを引き抜いてまくら木Mからタイプレート30を取り外す。
続いて、図8(b)の様に、台座10の4個の固定孔14(図2a参照)に対応するまくら木Mの上面に、ドリルD1を用いて下穴50を穿孔する。また、犬釘Kを引き抜いた穴51をドリルD2を用いて拡径しつつ下穴58を穿孔する。
そして、図8(c)の様に、下穴50に埋め栓53を嵌入すると共に、下穴58に速硬化性樹脂剤Jを塗布した芯材57を嵌入する。
次いで、図8(d)の様に、まくら木Mの表面の凹み部位52に速硬化性樹脂剤Jを充填する。そして、図9(a)の様に、凹み部位52を覆うように台座10を被せ、位置決め部材20および台座10の固定孔24,14を介して固定ボルト25をまくら木Mの埋め栓53にねじ込んで図9(b)の様に仮固定する。
凹み部位52に充填された速硬化性樹脂剤Jは略10分程度で硬化し、凹み部位52の開口部には台座10が密着して平面状に補修される。
本実施形態においても、速硬化性樹脂剤Jとしてウレタン樹脂接着剤を用いている。
速硬化性樹脂剤Jが硬化すると、図9(b)の様に、ドリルD3により台座10の固定孔15を介して芯材57に下穴59を再穿孔する。
続いて、図9(c)の様に、仮固定した固定ボルト25,25を一旦緩め、位置決め部材20,20の間にレールRの下面に沿わせてタイプレート30を挿入する。そして、前記図3で示した手順によってタイプレート30のまくら木Mの長手方向における位置決めを行う。
そして、図9(c),(d)の様に、タイプレート30のレール締結ボルト32にレール抑え具33を装着してナット34で締結すると共に、固定ボルト25をねじ込んで位置決め部材20,20を台座10と共にまくら木Mに締結する。更に、ねじ釘27を、タイプレート36および台座10の固定孔37,15を介して下穴59にねじ込んで、タイプレート36を台座10と共にまくら木Mに締結する。以上の手順により、まくら木Mの補修が完了する。
このように、本実施形態のまくら木の補修方法6によれば、速硬化性樹脂剤Jを充填した凹み部位52に台座10を覆い被せて仮固定するので、別の当て板などを覆い被せる補修方法に比べて、当て板を取り外す手間が不要である。
また、タイプレート30をまくら木に締結するための下穴の再穿孔を要するが、補修後は、タイプレートの緩みの発生が阻止されると共に、台座10を設けることにより、まくら木に凹みが再発することがなく、長期間に渡ってメンテナンスを要することがない。
また、位置決め部材を調節してタイプレートをまくら木の長手方向に容易に移動させて位置決め固定することが可能である。
これにより、補修作業に要する労力が著しく低減することとなり、補修作業を短時間に効率良く行うことが可能となる。
更に、補修後においても、レール位置の調節が必要な際は、下穴の再穿孔などの多大な手間を要することなく、位置決め部材によってタイプレートの固定位置を容易に調節することが可能となる。
尚、本実施形態のまくら木の補修方法6において、前記図4の構成、則ち台座10の上面や下面に制振性または弾性を有するシート材を配する構成を採ることもでき、騒音や振動の発生を低減することが可能となる。
また、本実施形態のまくら木の補修方法6は、タイプレートを犬釘で締結する既設のまくら木Mを前記第3実施形態の固定構造5を用いて補修するものであったが、タイプレートをねじ釘で締結する既設のまくら木Mを補修する場合であっても、固定構造5を用いて補修が可能である。その場合、既設のねじ釘の下穴をそのまま利用して補修することができ、補修作業の手間を一層削減することが可能である。
以上、本発明に係るタイプレートの固定構造1,2,2’,5およびまくら木の補修方法3,6について説明したが、前記実施形態で示したタイプレートの固定構造の利点を継承した異なる固定構造を構築することも可能である。
則ち、前記実施形態で示した固定構造1,5は、台座10に係合する位置決め部材20,20によってタイプレート30(36)を位置調節可能に挟持固定することにより、タイプレート30(36)の位置ずれを効果的に阻止するものであった。
これに対して、犬釘で締結された既設のタイプレートの両側に挟持部材を追加し、当該挟持部材でタイプレートを両側から挟持しつつ当該挟持部材をまくら木に締結固定する簡略化した固定構造を採ることも可能である。
また、この固定構造において、タイプレートを固定していた犬釘を取り除いた構造とすることも可能である。
更に、犬釘用角穴を丸穴に変更して、スクリューボルトやネジ釘締結に変更して、より緩みにくくしても良い。
いずれの構造においても、前記実施形態で示した位置調節の機能は持たないものの、従来の欠点であったタイプレートの固定孔のクリアランスに伴うタイプレートの緩みの発生を挟持部材を追加配置するだけで阻止することができ、摩擦摩耗に伴うまくら木の損傷の発生を効果的に防止することが可能となる。
ところで、本発明者らは、前記したタイプレートの固定構造2,2’(図4参照)における騒音、振動の発生レベルを検証する試験を行った。図10は試験に用いた試験装置70の説明図である。
試験装置70は、騒音および振動を電気信号に変換して出力するもので、図10の様に、タイプレートに見立てた鉄板Tをまくら木Mに固定し、インパルスハンマPで鉄板Tを打撃したときの反射音をマイクロフォンM1,M2で捕捉すると共に、そのときのまくら木Mの振動を加速度センサで検出するものである。
試験装置70の具体的な構成は次の通りである。
まくら木M:長さL(1000mm)、幅W(230mm)、高さH(150mm)
ケンパス材、ブナ材、合成木材(商品名「エスロンネオランバーFFU」
積水化学工業株式会社製)
コンクリート床面に敷いた高発泡ポリウレタン板(厚さ50mm)S上に載置
鉄板T :縦(200mm)、横(200mm)、厚さ(20mm) 中央部に断面半球形の突条部
コーチスクリューでまくら木Mに固定
マイクロフォンM1:A特性 鉄板Tの真上d1(300mm)に配置
マイクロフォンM2:A特性 鉄板Tの真横d2(300mm)に配置
加速度センサG1 :まくら木Mの長手端部よりd4(450mm)の鉄板T上に固定
加速度センサG2 :まくら木Mの長手端部に固定
インパルスハンマP:鉄板Tの真上d3(100mm)に配置 加振力5000N
また、制振性シート材および弾性シート材の効果を検証するために、図11に示す被験体71〜76を試作した。但し、制振性シート材は、厚さ1.2mmの制振シートを用い、弾性シート材は、厚さ5mmのクロロプレンゴムで成るゴム板を用いた。
被験体71:まくら木Mの中央部に鉄板Tを固定
被験体72:被験体71の鉄板Tの下面に制振シート60またはゴム板60を貼付
被験体73:被験体71のまくら木Mの上面全面に
制振シート61またはゴム板61を貼付
被験体74:被験体71の鉄板Tの両側のまくら木Mの上面に
制振シート62,62またはゴム板62,62を貼付
被験体75:被験体74のまくら木Mの長手両端部側面に
制振シート63,63またはゴム板63,63を貼付
被験体76:被験体73のまくら木Mの長手両端部側面に
制振シート63,63またはゴム板63,63を貼付
前記した被験体71〜76を試験装置70に載置して騒音、振動レベルを測定した。
測定結果を表1〜表4に示す。尚、表2〜表4には、表1における合成木材の被験体71の測定結果を併記している。
Figure 2006299624
Figure 2006299624
Figure 2006299624
Figure 2006299624
表1より、上方向の騒音レベルは合成木材が最も優れ、しかも、横方向の騒音レベルおよび振動レベルはケンパス材やブナ材と略同等のレベルであることが分かる。
表2より、鉄板Tの下面にゴム板60を介在させた被験体72(図11参照)では、被験体71に比べて騒音レベルの改善は見られないものの、まくら木Mの端部における振動レベルの改善が見られることが分かる。
表3より、鉄板Tの部位を除くまくら木Mの上面にゴム板61を貼付した被験体74(図11参照)では、被験体71に比べて騒音レベルの改善は見られないものの、振動レベルが略3db低下していることが分かる。また、まくら木Mの長手両端部側縁にゴム板63を追加した被験体75(図11参照)では、被験体71に比べて騒音レベルおよび振動レベル共に1〜7db低下することが分かる。
また、表4より、まくら木Mの上面全面および長手両端部側縁にゴム板61,63を貼付した被験体76(図11参照)は、被験体71に比べて騒音レベルが略1db低減すると共に、振動レベルも3〜8db低減することが分かる。一方、制振シート61,63を貼付した被験体76は、上方の騒音レベルの改善は見られないものの、振動レベルが略2〜4db低下することが分かる。
以上の試験結果を総合すると、合成まくら木は木製まくら木に比べて同等以上の騒音および振動抑制効果を有し、特に、上方の騒音レベルの抑制効果が高いことが分かった。
また、騒音および振動の抑制対策として、まくら木Mの上面および側面にゴム板を貼付した被験体75,76の構成を採ることが効果的であることが判明した。
(a)は本発明の第1実施形態に係るタイプレートの固定構造を示す平面図、(b)は(a)のA−A矢視断面図である。 (a)は図1の固定構造に採用する台座の斜視図、(b)は図1の固定構造に採用する位置決め部材の斜視図である。 (a)〜(c)は図1の固定構造においてタイプレートの位置決め手順を示す説明図である。 (a),(b)は、図1の固定構造の変形例を示す断面図である。 (a)〜(d)は、本発明の第2実施形態に係るまくら木の補修方法の前段階の工程を示す説明図である。 (a)〜(d)は、図5に続く後段階の工程を示す説明図である。 (a)は本発明の第3実施形態に係るタイプレートの固定構造を示す平面図、(b)は(a)のB−B矢視断面図である。 (a)〜(d)は、本発明の第4実施形態に係るまくら木の補修方法の前段階の工程を示す説明図である。 (a)〜(d)は、図8に続く後段階の工程を示す説明図である。 騒音、振動試験に用いた試験装置の説明図である。 試験体を示す斜視図である。
符号の説明
J 速硬化性樹脂剤
K 締結部材(犬釘)
M まくら木
R レール
1,2,2’,5 タイプレートの固定構造
3,6 まくら木の補修方法
10 台座
12 傾斜係合側縁
13 係止部(台座の係止部)
14 固定孔(台座の固定孔)
15 固定孔(台座の固定孔)
20 位置決め部材
21 傾斜側縁
22 非傾斜側縁
23 係止部(位置決め部材の係止部)
24 固定孔(位置決め部材の長穴状の固定孔)
25 締結部材(固定ボルト)
27 締結部材(ねじ釘)
30,36 タイプレート
37 固定孔(タイプレートの長穴状の固定孔)
50 下穴
52 凹み部位
54,55 弾性シート材(ゴム板)
57 芯材
59 下穴

Claims (10)

  1. レールを支持するタイプレートをまくら木に固定するタイプレートの固定構造であって、まくら木の上面に固定されてタイプレートを支承する台座と、タイプレートの両側に配され、まくら木の長手方向における複数の異なる位置において前記台座と係合可能な一対の位置決め部材とを備え、当該位置決め部材は、台座との係合位置を相補的に移動させてタイプレートをまくら木の長手方向両側から挟持しつつ上下方向に位置決めした状態で締結解除および再締結可能にまくら木に締結されることを特徴とするタイプレートの固定構造。
  2. レールを支持するタイプレートをまくら木に固定するタイプレートの固定構造であって、まくら木の上面に固定されてタイプレートを支承する台座と、タイプレートの両側に配され、まくら木の長手方向における複数の異なる位置において前記台座と係合可能な一対の位置決め部材とを備え、当該位置決め部材は、台座との係合位置を相補的に移動させてタイプレートをまくら木の長手方向両側から挟持しつつ締結解除および再締結可能にまくら木に締結されると共に、前記タイプレートは位置決め部材によって位置決めされた状態で締結解除および再締結可能にまくら木に締結されることを特徴とするタイプレートの固定構造。
  3. 前記台座は、まくら木の幅方向に対して同一の所定角度だけ傾斜させた長手両側縁を上方へ向けて折曲した傾斜係合側縁を備えた略平行四辺形状を有し、前記位置決め部材は、前記台座の傾斜係合側縁に当接して係合する傾斜側縁と、まくら木の幅方向に延びてタイプレートに当接する非傾斜側縁とを備えた略台形状を有し、前記位置決め部材を台座の傾斜係合側縁に沿ってまくら木の幅方向へ移動させることにより、位置決め部材の台座への係合位置をまくら木の長手方向に向けて連続的に調節可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のタイプレートの固定構造。
  4. 前記位置決め部材は、非傾斜側縁に当接するタイプレートの上方への移動を阻止する係止部を当該非傾斜側縁に沿って備えたことを特徴とする請求項3に記載のタイプレートの固定構造。
  5. 前記台座は、傾斜係合側縁に係合する位置決め部材の上方への移動を阻止する係止部を傾斜係合側縁に沿って備えたことを特徴とする請求項3または4に記載のタイプレートの固定構造。
  6. 前記位置決め部材は、台座への係合位置に応じて相対移動する台座の固定孔に対応した長穴状の固定孔を備え、当該長穴状の固定孔および台座の固定孔を貫通する締結部材によって台座と共にまくら木に締結されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造。
  7. 前記タイプレートは、固定位置に応じて相対移動する台座の固定孔に対応した長穴状の固定孔を備え、当該長穴状の固定孔および台座の固定孔を貫通する締結部材によって台座と共にまくら木に締結されることを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造。
  8. 前記台座の上面または下面の少なくともいずれかの面に、制振性または弾性を有するシート材を配したことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造。
  9. 請求項1または請求項3乃至8のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造を用いたまくら木の補修方法であって、既設のまくら木からタイプレートを固定する締結部材を引き抜いてタイプレートを取り外す工程と、台座を固定する締結部材の下穴を穿孔する工程と、締結部材の引き抜かれた穴を含むタイプレートの下部に生じた凹み部位の内部に少なくとも速硬化性樹脂剤を充填し、凹み部位の開口部に台座を覆い被せて仮固定しつつ速硬化性樹脂剤を硬化させる工程と、位置決め部材によってタイプレートを位置決めしつつ位置決め部材を台座と共にまくら木に締結固定する工程とを備えたまくら木の補修方法。
  10. 請求項2または請求項3乃至8のいずれか1項に記載のタイプレートの固定構造を用いたまくら木の補修方法であって、既設のまくら木からタイプレートを固定する締結部材を引き抜いてタイプレートを取り外す工程と、台座を固定する締結部材の下穴を穿孔する工程と、締結部材の引き抜かれた穴を拡径し速硬化性樹脂剤を塗布した芯材を嵌入させる工程と、タイプレートの下部に生じた凹み部位の内部に少なくとも速硬化性樹脂剤を充填し、凹み部位の開口部に台座を覆い被せて仮固定しつつ速硬化性樹脂剤を硬化させる工程と、タイプレートを固定する締結部材の下穴を台座の固定孔を介して再穿孔する工程と、位置決め部材によってタイプレートを位置決めしつつ位置決め部材を台座と共にまくら木に締結固定する工程と、位置決めされたタイプレートを台座と共にまくら木に締結する工程とを備えたまくら木の補修方法。
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