前記特許文献1に見られる光源装置では、発光セル内の発光物質を均一的に発光させることが可能であるものの、発光セルの形状が複雑な形状であるため、その発光セルの製造コストが高価なものとなりやすい。また、該発光セルを同軸共振器や半同軸共振器内に組付けて保持する機構も複雑なものとならざるを得ず、ひいては、光源装置の組み立てが困難となると共に、製造コストの増加を招くという不都合があった。
本発明はかかる背景に鑑み、簡単な構造で、発光セル内の発光物質をマイクロ波のエネルギーのより効率良く発光させることができる光源装置を提供することを目的とする。
本願発明者の種々様々の検討の結果、次のことを知見した。すなわち、管状に形成された外導体の両端部に該外導体と導通して該外導体の軸心と直交する短絡面を有すると共に、該外導体の軸心部に該外導体の一端部側から他端部側に向かって該他端部側の短絡面と間隔を存する位置まで延在する中心導体を有し、該外導体の内部空間で共振させるマイクロ波が該外導体の外部から供給される半同軸共振器を使用する。そして、この半同軸共振器を、その中心導体の先端と外導体の他端側の短絡面との間隔aと、該中心導体の外周面と外導体の内周面との間隔bと、該中心導体の径cとの間にc<a<bの関係が満たされるように構成する。
このとき、該半同軸共振器の外導体の内部空間のうち、前記中心導体の先端と前記外導体の他端側の短絡面との間の間隔内の空間(より詳しくは、中心導体の先端を含んで該中心導体の軸心に直交する平面と外導体の前記他端側の短絡面と該外導体の内周面とで囲まれた空間。以下、中心導体先端側空間ということがある)における電磁場の強さを中心導体の周囲よりも高めつつ、該中心導体先端側空間における電磁場のエネルギー分布のばらつき(高低差)を十分に小さなものにできる。
すなわち、仮にc>aとなるように半同軸共振器を構成した場合には、中心導体と、外導体の他端側の短絡面との間の電界が、該短絡面の中心部付近(中心導体の先端に対向する部分)に集中する。このため、上記中心導体先端側空間内の電磁場のエネルギーは、該中心導体先端側空間内の軸心付近に集中し過ぎてしまう。これに対して、c<aとなるように半同軸共振器を構成することで、上記中心導体先端側空間内の電磁場のエネルギーを、該中心導体先端側空間内の軸心付近の周囲に分散させることができる。また、仮にa>bとなるように半同軸共振器を構成した場合には、中心導体の先端と外導体の外周面との間で径方向の電界が強くなり、中心導体の先端と外導体の他端側の短絡面との間の電界(前記中心導体先端側空間内の電界)が弱くなる。これに対して、a>bとなるように半同軸共振器を構成した場合には、中心導体の先端と外導体の外周面との間の電界よりも、中心導体の先端と外導体の他端側の短絡面との間の電界(前記中心導体先端側空間内の電界)を強くできる。
従って、c<a<bの関係を満たすように半同軸共振器を構成することで、上記中心導体先端側空間における電磁場のエネルギーを外導体の内部空間のうちの他の空間よりも高めつつ、比較的均一性の高いエネルギー分布にすることができる。このため、該中心導体先端側空間に発光セルを収容するようにすれば、その発光セルの形状の影響をさほど受けることなく、該発光セル内の発光物質を外導体の内部空間で共振させるマイクロ波のエネルギーにより均一的に励起して、発光させること可能である。
そこで、本発明(第1発明)の光源装置は、前記の目的を達成するために、発光物質を封入した発光セルの内部にマイクロ波を供給し、該マイクロ波のエネルギーにより励起する前記発光物質が発生した光を該発光セルの外部に放射させるようにした光源装置において、
管状に形成された外導体の両端部に該外導体と導通して該外導体の軸心と直交する短絡面を有すると共に、該外導体の軸心部に、該外導体の一端部側の短絡面から他端部側の短絡面に向かって該他端部側の短絡面と間隔を存する位置まで延在する中心導体を有し、該外導体の内部空間で共振させるマイクロ波が該外導体の外部から供給される半同軸共振器と、
該半同軸共振器の外導体の内部空間のうち、前記中心導体の先端と前記外導体の他端部側の短絡面との間の間隔内の空間に収容された前記発光セルとを備え、
前記半同軸共振器は、その中心導体の先端と外導体の他端部側の短絡面との間隔aと、該中心導体の外周面と外導体の内周面との間隔bと、該中心導体の径cとの間にc<a<bの関係が満たされるように構成されており、
前記発光セルは、その外周面を前記外導体の内周面に接触させて該外導体に嵌入可能な形状に形成されていることを特徴とする。
かかる第1発明によれば、前記発光セルは、その外周面を前記外導体の内周面に接触させて該外導体に嵌入可能な形状にされているので、該発光セルを容易に外導体の内部空間に組付けることができる。そして、このとき、c<a<bの関係が満たされるように半同軸共振器を構成し、この半同軸共振器の前記中心導体先端側空間内に前記発光セルを収容するので、該発光セルの形状を複雑な形状に形成せずとも、該発光セル内の発光物質を、外導体の内部空間に供給されるマイクロ波のエネルギーによって、高い均一性で、効率よく発光させることが可能となる。この場合、発光セルの形状は、例えば、中心導体の軸心に直交する横断面での形状が、外導体の内部空間の横断面の形状とほぼ同一となり、また、該中心導体の軸心方向における発光セルの両端面は平面状の形状でよい。
従って、第1発明の光源装置によれば、簡単な構造で、発光セル内の発光物質をマイクロ波のエネルギーにより効率良く発光させることができる。ひいては、該光源装置を廉価に提供できる。
なお、本発明の光源装置における半同軸共振器の外導体および中心導体は、横断面が円形のものであることが好ましい。
かかる第1発明では、前記発光セルは、前記中心導体の先端位置で該中心導体の軸心と直交する平面と、前記外導体の他端部側の短絡面と、該外導体の内周面とで形成される空間と略同一の外形状に形成されていることが好ましい(第2発明)。
これによれば、発光セルの形状は、中心導体の軸心に直交する横断面での形状が、外導体の内部空間の横断面の形状とほぼ同一となり、また、該中心導体の軸心方向における発光セルの両端面は平面状の形状となる。このため、該発光セルの形状を単純な形状にすることができる。同時に、中心導体の軸心方向における発光セルの両端面のうち、中心導体側の端面を、中心導体の先端に当接させることができることとなる。このため、発光セルを外導体の内部空間(前記中心導体先端側空間)に収容するときに、中心導体の軸心方向(外導体の軸心方向)における発光セルの組付け位置を容易に規制できる。その結果、発光セルの外導体への組付け作業を容易に行なうことが可能となる。
また、前記第1発明または第2発明の光源装置では、前記中心導体の軸心方向における前記発光セルの両端面のうち、少なくとも前記外導体の他端部側の端面は、該中心導体の軸心に直交する平面状に形成されており、前記外導体の他端部側の短絡面は、前記発光セルの両端面のうちの該外導体の他端部側の端面を被覆するように該端面に固着されて該外導体に導通された透明導電性膜により構成されていることが好ましい(第3発明)。
この第3発明によれば、発光セルの両端面のうちの外導体の他端部側の端面に固着した透明導電性膜によって、外導体の他端部側の短絡面を容易に構成できる。また、発光セル内の発光物質を可視光を発生する物質とした場合、発光セル内の発光物質が発生した光(可視光)を透明性導電性膜を介して外部に放出することができる。
なお、この第3発明を前記第2発明と組み合わせた場合には、発光セルの両端面が平面状に形成され、その両端面のうちの中心導体側の端面が該中心導体の先端に当接することとなる。
この第3発明では、前記透明導電性膜は、その周縁部が、前記外導体の他端部側端面に該外導体に導通して固定された環状の導電性押さえ部材に接触されて、該導電性押さえ部材を介して外導体に導通されており、前記発光セルは、その両端面のうちの前記中心導体側の端面が該中心導体の先端に当接されて、前記導電性押さえ部材と該中心導体との間に挟み込まれていることが好ましい(第4発明)。
この第4発明によれば、発光セルは、導電性押さえ部材と中心導体との間で挟み込まれるようにして保持されることとなる。同時に、短絡面を構成する透明導電性膜が、導電性押さえ部材を介して外導体に導通することとなる。従って、発光セルの組付けを含めた半同軸共振器の構成を簡易なものとしつつ、それらの組立を容易に行なうことが可能となる。
また、前記第1発明または第2発明の光源装置では、前記外導体の他端部側の短絡面は、該外導体の他端部の位置で該外導体に導通して設けられた金属メッシュにより構成してもよい(第5発明)。
この第5発明によれば、前記金属メッシュによって、外導体の他端部側の短絡面を容易に構成できる。また、発光セル内の発光物質から可視光だけでなく、可視光以外の光(例えばTHz域の電磁波)を発生させ、それを金属メッシュを介して外部に放出することが可能となる。
なお、金属メッシュは、その目開きのサイズ(幅)が前記外導体の内部空間で共振させるマイクロ波の波長よりも十分に小さく、且つ、発光セル内の発光物質が発生する光の波長よりも十分に大きく設定しておくことで、マイクロ波を金属メッシュで反射させる一方、発光物質が発光する光を金属メッシュを透過させることができる。
また、上記第5発明を前記第2発明と組み合わせた場合には、発光セルの両端面が平面状に形成され、その両端面のうちの中心導体側の端面が該中心導体の先端に当接することとなる。
上記第5発明では、前記中心導体の軸心方向における前記発光セルの両端面のうち、少なくとも前記外導体の他端部側の端面は、該中心導体の軸心に直交する平面状に形成されて前記金属メッシュに接触されていると共に、該発光セルの両端面のうちの前記中心導体側の端面は、該中心導体の先端に当接されており、さらに、該金属メッシュは、その周縁部が、前記外導体の他端部側端面に該外導体に導通して固定された環状の導電性押さえ部材に接触されて該導電性押さえ部材を介して外導体に導通されており、該発光セルおよび金属メッシュは、前記中心導体と導電性押さえ部材との間に挟み込まれていることが好ましい(第6発明)。
この第6発明によれば、発光セルおよび金属メッシュは、導電性押さえ部材と中心導体との間で挟み込まれるようにして保持されることとなる。同時に、短絡面を構成する金属メッシュが、導電性押さえ部材を介して外導体に導通することとなる。従って、発光セルおよび金属メッシュの組付けを含めた半同軸共振器の構成を簡易なものとしつつ、それらの組立を容易に行なうことが可能となる。
上記のように導電性押さえ部材を有する第4発明または第6発明では、前記導電性押さえ部材は、その周方向に間隔を存して配列される複数の締結部材を介して前記外導体の他端部側端面に固定され、該導電性押さえ部材の周方向で互いに隣合う締結部材同士の間隔は、前記外導体の内部空間で共振させるマイクロ波の波長の1/4よりも小さい間隔に設定されていることが好ましい(第7発明)。
この第7発明によれば、締結部材同士の間隔を、前記外導体の内部空間で共振させるマイクロ波の波長の1/4よりも小さい間隔に設定しておくことで、外導体の内部空間で共振させるマイクロ波の漏出を極力抑えることができる。ひいては、光源装置のエネルギー効率を高めることができる。
なお、前記金属メッシュを使用する第5発明または第6発明は、前記発光セル内の発光物質が発生する光がTHz帯の電磁波である場合に好適である(第8発明)。
すなわち、前記したように金属メッシュを介してTHz帯の電磁波を発光セルの内部から外部に放出することができるので、簡易で安価な構成のTHz帯光源装置を提供できる。
以上説明した第1〜第8発明では、前記外導体の内部空間にマイクロ波を供給するために、前記中心導体をマイクロ波の放射用アンテナとして利用することが可能である。ただし、その場合には、外導体の内部空間のうち、発光セルの存在箇所と、それ以外の箇所との誘電率の相違などに起因するマイクロ波の波長の変化によって、中心導体のインピーダンスの短絡点と、外導体の一端部側の短絡面とのずれが生じやすい。その結果、外導体の内部空間におけるマイクロ波の共振のQ値の低下を招きやすい。
そこで、前記第1〜第8発明では、前記中心導体は、前記外導体の一端部側の短絡面に導通して設けられ、前記外導体の外部から供給されるマイクロ波を該外導体の内部空間に放射するアンテナが該外導体の一端部側の短絡面と前記発光セルとの間に設けられていることが好ましい(第9発明)。
この第9発明によれば、前記中心導体とは別のアンテナを介して外導体の内部空間にマイクロ波が放射され、それが、中心導体に電磁的に結合して共振することとなる。そのため、外導体の内部空間でのマイクロ波の共振を効率よく行なうことが可能となる。
なお、前記アンテナとしては、ループアンテナ、マイクロストリップアンテナなどが挙げられる。
本発明の光源装置の第1実施形態を図1および図2を参照して説明する。図1は本実施形態の光源装置の縦断面図、図2は図1のA矢視図である。
図1および図2を参照して、本実施形態の光源装置1は、管状の外導体3と、この外導体3内の軸心部に延在する中心導体5とを備える半同軸共振器7と、発光物質を内部に封入した中空の発光セル9とを備えている。外導体3および中心導体5は、金属等の導体材料により構成されている。本実施形態では、外導体3は、その横断面(外導体3の軸心に直交する断面)が円形となる円筒管状のものであり、中心導体5は、その横断面(中心導体5の軸心に直交する断面)が円形となる棒状のものである。
外導体3の一端部(図1の右側端部。以下、第1端部という)は、該外導体3と一体に形成された短絡板11により閉塞されている。この短絡板11により、外導体3の第1端部側の短絡面11aが構成されている。すなわち、短絡板11の内面11aは外導体3の軸心に直交する平面状に形成されており、該内面11aが外導体3の第1端部側の短絡面11aとなっている。また、外導体3の他端部(図1の左側端部。以下、第2端部という)は開口しており、該第2端部の外周には、該外導体3と一体に形成された環状のフランジ13が設けられている。
短絡板11の外面11bには、図示を省略するマイクロ波発振器に同軸ケーブルを介して接続される同軸コネクタ15が外導体3と同軸心に結合されている。そして、前記中心導体5は、その一端部(図1の右端部)が、短絡板11に穿設された貫通穴17を通って同軸コネクタ15の中心導体(図示せず)に連結され、該同軸コネクタ15の中心導体に導通されている。なお、中心導体5は、貫通穴17内で該中心導体5の周囲に設けられた絶縁物19を介して外導体3と絶縁されている。また、同軸コネクタ15の外周部は、外導体3に導通されている。
中心導体5は、外導体3の第1端部側から第2端部側に向かって該外導体3と同軸心に延在している。この場合、中心導体5の長さL(外導体3の第1端部側の短絡面11aから中心導体5の先端5aまでの長さ。図1参照)は、短絡面11aから外導体3の第2端部の端面(開口端面)までの長さよりも短く設定されており、該中心導体5の先端5aは、外導体3の第2端部の端面(開口端面)よりも該外導体3の内奥側に位置している。
ここで、本実施形態では、同軸コネクタ15に接続されるマイクロ波発振器から中心導体5を介して外導体3の内部空間(キャビティ)にマイクロ波を供給し、このマイクロ波を外導体3の内部空間で共振させる。このマイクロ波の共振を行なうために、中心導体5の長さLは、該マイクロ波の波長をλとしたとき、例えばL=λ/4となるように設定されている。本実施形態では、外導体3の内部空間で共振させるマイクロ波の周波数を例えば2450MHzとしている。このとき、λは122.499mmであるので、Lは30.612mmである。なお、中心導体5の長さLは、より一般的には、λ/4の奇数倍の長さであればよい。
前記発光セル9は、外導体3の開口している第2端部側から外導体3の内部空間に挿入され、中心導体5の先端5aと外導体3の第2端部側の端面(開口端面)との間で外導体3の内部空間に収容されている。
さらに詳細には、発光セル9は、その横断面(中心導体5の軸心に直交する横断面)の形状が、外導体3の内部空間の横断面の形状と同じ形状(すなわち円形状)であると共に、その外径が外導体3の内部空間の横断面の径d(外導体3の内径d)とほぼ同一の大きさを有している。また、中心導体5の軸心方向における発光セル9の両端面9a,9bは、いずれも、該中心導体5の軸心(=発光セル9の軸心)に直交する平面状に形成されている。換言すれば、発光セル9は、外導体3の内径dとほぼ同じ外径を有する中空の円板形状に形成されている。従って、発光セル9は、その外周面を外導体3の内周面に接触させるようにして該外導体3に同軸心に嵌入されている。そして、発光セル9の両端面9a,9bのうち、中心導体5側の端面9aの中央部は、該中心導体5の先端5aに当接されている。さらに、発光セル9の軸心方向の厚さ(発光セル9の両端面9a,9bの間隔)は、該発光セル9の端面9aを該中心導体5の先端に当接させた状態で、他方の端面9b(外導体3の第2端部側の端面9b)が外導体3の第2端部の端面(開口端面)とほぼ面一になるような厚さに設定されている。
また、該発光セル9の、外導体3の第2端部側の端面9bには、その全面にわたって薄膜状の透明導電性膜21(いわゆるITO膜。以下、ITO膜21という)が固着されている。なお、図1中の括弧付きの参照符号(27)は後述の第2実施形態に関するものであり、それについては後述する。
そして、外導体3の第2端部の端面(開口端面)には環状の導電性押さえ部材23が該外導体3と同軸心に配置され、この導電性押さえ部材23の外周寄りの周縁部を前記フランジ13に当接させた状態で締結部材としての複数のネジ25により該フランジ13に締結・固定されている。導電性押さえ部材23の材質は、例えば外導体3や中心導体5と同じである。この場合、導電性押さえ部材23の内径は、外導体3の内径dよりも小さく設定されており、該導電性押さえ部材23の内周寄りの周縁部が前記ITO膜21に接触されて導通している。これにより、ITO膜21は、導電性押さえ部材23を介して外導体3に導通されている。そして、このITO膜21の、発光セル9側の面により、外導体3の第2端部側の短絡面が構成されることとなる。同時に、発光セル9は、その外周面を外導体3の内周面に接触させた状態で導電性押さえ部材23と中心導体5の先端5aとの間で挟み込まれるように保持されている。
このように発光セル9およびITO膜21が外導体3に組み込まれているので、発光セル9は、結果的には、前記中心導体5の先端5aの位置で該中心導体5の軸心と直交する平面と外導体3の第2端部側の短絡面であるITO膜21の発光セル9側の面と該外導体3の内周面とで形成される空間とほぼ同一の外形状に形成されていることとなる。
なお、導電性押さえ部材23を外導体3に締結するネジ25は、図2に示すように、該導電性押さえ部材23の周方向に等間隔で配列されている。この場合、その周方向で互いに隣合うネジ25,25同士の間隔e(周方向の間隔)は、該外導体3の内部空間で共振させるマイクロ波の波長λに対して、λ/4よりも小さい間隔とされている。これは、外導体3の内部空間で共振させるマイクロ波が外導体3の第2端部側から外部に漏出するのを極力抑えるためである。
発光セル9の内部には、硫黄、水銀、アルゴンガス(Ar)、キセノンガス(Xe)等の発光物質が単独又は混合状態で封入されている。この発光セル9は、外導体3の内部空間で共振させるマイクロ波と、発光セル9の内部の発光物質が励起されて発生する光とを十分に透過する材質により構成され、本実施形態では、例えば石英ガラスにより構成されている。また、本実施形態では、発光物質は、その励起により可視光を発生する物質である。
補足すると、前記ITO膜21は、外導体3の内部空間で共振させるマイクロ波を透過しないが、発行セル9内の発光物質がマイクロ波によって励起された時に発生する光(可視光)に対しては透明性を有するものである。本実施形態では、ITO膜21は、例えば酸化インジュウムにスズをドーピングした物質により構成されている。
ここで、本実施形態における外導体3、中心導体5および発光セル9のサイズは、次のように設定されている。図1を参照して、本実施形態では、外導体3の内部空間で共振させるマイクロ波をTEM波だけにするために、中心導体5の径(直径)cと、外導体3の内径dとは、λ>1.47×(c+d)の関係を満たすように設定されている。
また、中心導体5の径cは、中心導体5の外周面と外導体3の内周面との間隔b(=(d−c)/2)よりも小さく設定されている。そして、中心導体5の先端5aとITO膜21との間隔a(これは本実施形態では発光セル9の軸心方向の厚さに等しい)は、中心導体5の径cよりも大きく、且つ、中心導体5の外周面と外導体3の内周面との間隔bよりも小さくなるように設定されている。すなわち、c<a<bとなるようにc、a、bの値が設定されている。例えば、a=20mm、b=25mm、c=10mmに設定されている。
以上が、本実施形態の光源装置1の詳細構成である。
かかる本実施形態の光源装置1では、発光セル9内の発光物質を発光させるときには、図示しないマイクロ波共振器を同軸ケーブルを介して同軸コネクタ15に接続して、該マイクロ波共振器から半同軸共振器7の外導体3内にマイクロ波を供給する。この供給されたマイクロ波は前記中心導体5を介して(中心導体5がアンテナとして機能して)外導体3の内部空間に放射され、該内部空間で共振する。また、該外導体3の内部で共振するマイクロ波はTEM波となる。
このとき、中心導体5の先端5aの付近の空間では、該中心導体5の先端部と、その周囲の導体である外導体3の内周面およびITO膜21の短絡面と間で、該中心導体5の先端部に集中する電界が形成される。この場合、中心導体5の先端5aとITO膜21との間隔a(中心導体5の先端5aと外導体3の第2端部側の短絡面との間隔)は、中心導体5の外周面と外導体3の内周面との間隔bよりも小さいので、中心導体5の先端部と外導体3の内周面との間で形成される電磁場よりも、中心導体5の先端部とITO膜21の短絡面との間で形成される電磁場の方が高いエネルギー密度を持つ。換言すれば、外導体3の内部空間(キャビティ)のうち、発光セル9が存在する空間における電磁場のエネルギー密度が、それ以外の空間における電磁場のエネルギー密度よりも高くなる。
また、中心導体5の先端5aとITO膜21との間隔aは、中心導体5の径cよりも大きいので、中心導体5の先端部とITO膜21の短絡面との間に形成される電磁場のエネルギーは、中心導体5の先端aに対向する部分(発光セル9の軸心付近の部分)に集中したりすることなく、発光セル9の存在空間に分散する。換言すれば、発光セル9内の電磁場のエネルギーが、局所的に集中することがなく、比較的均一的に分布するようになる(発光セル9内の各部のエネルギー密度のばらつきが比較的小さなものとなる)。
このため、発光セル9内の発光物質が、外導体3の内部空間で共振するマイクロ波のエネルギーによって均一的、且つ効率よく励起されて発光する。そして、その発生した光(本実施形態では可視光)は、発光セル9の内部からITO膜21を透過して、前記導電性押さえ部材23の中心部の穴を介して外部に放出される。
また、本実施形態の光源装置1の構造にあっては、発光セル9が、中空の円板形状という単純な形状であるため、該発光セル9を安価に製造できる。
また、発光セル9を光源装置1に組付ける場合には、導電性押さえ部材25を外導体3から取り外した状態で、該発光セル9の外周面を外導体3の内周面に接触させつつ、外導体3の第2端部側端面(開口端面)から該外導体3の内部空間に該発光セル9を嵌入し、さらに該発光セル9を中心導体5の先端5aに当接させる。そして、この状態で、導電性押さえ部材23を外導体3のフランジ13にネジ25により締結することにより、該発光セル9は、その外周面が外導体3の内周面に支えられつつ、導電性押さえ部材23と中心導体5との間で挟みこまれるように外導体3の内部空間に組み付けられることとなる。同時に、このとき、ITO膜21によって、半同軸共振器7の外導体5の第2端部側の短絡面も形成される。従って、本実施形態の光源装置1の組立を極めて容易に行なうことができると共に、その組立のための構成も極めて簡単なものとすることができる。その結果、光源装置1の製造コストを廉価にすることができる。
さらに、導電性押さえ部材25を外導体3のフランジ13に締結するネジ25の間隔eは、λ/4よりも小さく設定されているので、外導体3の内部空間のマイクロ波が導電性押さえ部材25とフランジ13との隙間を通って外部に漏出したりするのを極力抑えることができる。このため、半同軸共振器7でのマイクロ波のエネルギー損失を小さくして、効率よく発光セル9内の発光物質を励起することができる。
次に、本発明の光源装置の第2実施形態を図1および図3を参照して説明する。なお、本実施形態の光源装置は、第1実施形態の光源装置1と一部の構成のみが相違するものであるので、同一部分については、第1実施形態と同じ参照符号を用いて説明を省略する。そして、第1実施形態と相違する部分を中心に説明する。
本実施形態の光源装置が第1実施形態のものと相違する点は、半同軸共振器7の外導体3の第2端部側の短絡面を構成する部材と、発光セル9の発光物質の種類(該発光物質の励起によって発生する光の波長もしくは周波数)である。
具体的には、本実施形態では、外導体3の第2端部側の短絡面を構成するために、前記ITO膜21の代わりに、図3に示すように網目状に形成された金属メッシュ27が用いられる。この場合、本実施形態では、金属メッシュ27は、その外周形状が、外導体3の内径d(≒発光セル9の外径)とほぼ同じ直径の円形状に形成されている。そして、この金属メッシュ27は、図1に示すように、発光セル9の両端面9a,9bのうちの外導体3の第2端部側の端面9aに密着され、この状態で、該金属メッシュ27の周縁部が、前記導電性押さえ部材25の内周寄りの周縁部に接触されている。この場合、金属メッシュ27は、発光セル9を介して導電性押さえ部材25と中心導体5の先端5aとの間で挟みこまれている。これにより、金属メッシュ27は、発光セル9と共に保持されていると共に、導電性押さえ部材23を介して外導体3に導通されている。また、該金属メッシュ27によって、外導体3の第2端部側の短絡面が構成されている。すなわち、金属メッシュ27の発光セル9の端面9bに密着する面が、外導体3の第2端部側の短絡面となっている。
また、本実施形態では、発光セル9内には、THz帯の光(電磁波)を発生する発光物質が封入されている。該発光物質は、例えばH2Oであり、その発光物質がマイクロ波の励起によって発生する光(THz帯電磁波)の周波数は約2THz(波長は0.15mm)である。
そして、金属メッシュ27の目開きf(金属メッシュ27の各穴の幅)は、外導体3の内部空間で共振させるマイクロ波の波長よりも十分小さいものに設定され、それにより、該マイクロ波が金属メッシュ27をほとんど透過しないようにされている。この場合、目開きfの値は、金属メッシュ27を介して透過するマイクロ波の電力(マイクロ波のリーク電力)が50dB以下となるような値に設定しておくことが望ましい。同時に、金属メッシュ27の目開きfは、発光セル9内の発光物質が発生する光(THz帯電磁波)の波長よりも十分に大きいものに設定され、それにより、発光物質が発生する光(THz帯電磁波)が、金属メッシュ27を十分に透過するようにされている。この場合、目開きfの値は、発光物質が発生する光(THz帯電磁波)の波長の10倍以上であることが望ましい。
具体的には、マイクロ波の波長λを第1実施形態と同様に122.499mmとし、発光物質が発生する光(THz帯電磁波)の波長を上記のように0.15mmとしたとき、目開きfは、マイクロ波の波長λの1/4よりも十分に小さく、且つ、THz帯電磁波の波長よりも十分大きい3mm程度に設定することが望ましい。
以上説明した以外の構成は、前記第1実施形態と同じである。なお、この場合、図1中のaは、中心導体5の先端5aと、金属メッシュ27との間隔(より正確には、中心導体5aと金属メッシュ27の短絡面との間隔。これは本実施形態においても、発光セル9の軸心方向の厚さに等しい)を意味する。
かかる本実施形態の光源装置においては、図示しないマイクロ波共振器から同軸コネクタ15を介して外導体3の内部空間にマイクロ波を供給したとき、第1実施形態と同様に、発光セル9内の発光物質を均一的に、且つ効率よく発光させることができる。この場合、発生する光は、THz帯電磁波であるので、本実施形態の光源装置は、THz帯の光源として使用できる。
また、本実施形態の光源装置を組み立てる場合には、第1実施形態と同様に、導電性押さえ部材25を外導体3から取り外した状態で、該発光セル9の外周面を外導体3の内周面に接触させつつ、外導体3の第2端部側端面(開口端面)から該外導体3の内部空間に該発光セル9を嵌入し、さらに該発光セル9を中心導体5の先端5aに当接させる。そして、この状態で、金属メッシュ27を発光セル9の端面9bに密着させながら、導電性押さえ部材23を外導体3のフランジ13にネジ25により締結することにより、発光セル9が、金属メッシュ27と共に、外導体3に組み付けられることとなる。同時に、このとき、金属メッシュ27によって、半同軸共振器7の外導体5の第2端部側の短絡面も形成される。従って、本実施形態の光源装置1の組立を極めて容易に行なうことができると共に、その組立のための構成も極めて簡単なものとすることができる。その結果、光源装置1の製造コストを廉価にすることができる。
なお、金属メッシュ27は、導電性押さえ部材23にあらかじめ固定しておくようにしてもよい。また、本実施形態では、発光セル9内に、THz帯の光(電磁波)を発生する発光物質を封入するようにしたが、第1実施形態と同様に、可視光を発生する発光物質を封入しておくようにしてもよい。この場合、金属メッシュ27の目開きfは、第2実施形態の場合と同じでもよいが、可視光の波長よりも十分大きい範囲(可視光の波長の10倍以上の範囲)で、第2実施形態の場合よりもさらに小さくしてもよい。いずれにせよ、金属メッシュにより、外導体3の第2端部側の短絡面を構成する場合には、該金属メッシュの目開きは、第2実施形態の場合と同様に、外導体3の内部空間で共振させるマイクロ波の波長よりも十分に小さく、且つ、発光物質が発生する光の波長よりも十分に大きく設定することが望ましい。
次に、本発明の光源装置の第3実施形態を図4を参照して説明する。図4は本実施形態の光源装置1’の縦断面図である。なお、本実施形態の光源装置1’は、第1実施形態の光源装置1と一部の構成のみが相違するものであるので、同一部分については、第1実施形態と同じ参照符号を用いて説明を省略する。そして、第1実施形態と相違する部分を中心に説明する。
図4を参照して、本実施形態の光源装置1’では、外導体3の第1端部(図4の右端部)側の短絡板11の内面(短絡面)11aに、中心導体5の一端面(図4の右端面)が接触されている。そして、該中心導体5は、短絡板11の外面11b側から短絡板11を貫通して締め付けられた金属製の(導電性の)ネジ30により、短絡板11に締結されている。これにより、中心導体5は、外導体3の第1端部側の短絡面11aに導通されている。
また、短絡板11の中心と外周との間の箇所には、貫通孔32が穿設されており、この貫通孔31と同軸に、同軸コネクタ15が短絡板11の外面11b側に固定されている。そして、この同軸コネクタ15の中心導体(図示せず)に導通するループアンテナ34が外導体3の内部に設けられている。このループアンテナ34は、一端部を同軸コネクタ15の中心導体に連結した線状導体36により構成されている。該線状導体36は、同軸コネクタ15の中心導体から前記貫通孔32を通って、外導体3の内部空間に導入されている。そして、該線状導体36は、その先端部が短絡板11の内面11a(短絡面)に接触して導通するように、折り曲げられている。これによりループアンテナ34が構成されている。なお、線状導体36は、貫通孔32の内周面と非接触で、該貫通孔32の箇所では、短絡板11と絶縁されている。また、線状導体36の先端を短絡板11に半田付けなどにより固定してもよい。
本実施形態の光源装置1’は、以上説明した以外の構成は、前記第1実施形態の光源装置1と同じである。補足すると、図4では、外導体3の内周面と中心導体5の外周面との間隔bと、外導体3の内径dとを図1の光源装置1よりも大きくなっているが、それらの寸法は、図1の光源装置1と同じでもよい。いずれにせよ、本実施形態の光源装置1’も、前記光源装置1と同様に、c<a<bの関係が成立するように構成される。
かかる本実施形態の光源装置1’では、同軸コネクタ15に図示しない同軸ケーブルを介して供給されるマイクロ波は中心導体5とは別のループアンテナ34を介して外導体3の内部空間に放射される。そして、その放射されたマイクロ波は、中心導体5と電磁的に結合して、共振する。その共振するマイクロ波のエネルギーによって、前記第1実施形態と同様に、発光セル9内の発光物質が均一的、且つ効率よく励起されて発光する。そして、その発生した光は、発光セル9の内部からITO膜21を透過して、前記導電性押さえ部材23の中心部の穴を介して外部に放出される。
この場合、本実施形態では、中心導体5の短絡板11側の端部が、短絡面11aの位置で構造的に該短絡版11aに短絡されている。このため、外導体3の内部空間に放射されるマイクロ波が効率よく中心導体5に結合し、該マイクロ波の共振が効率よく行なわれる。従って、該マイクロ波の共振のQ値を高めることができ、ひいては、発光セル9内の発光物質の発光効率を高めることができる。
なお、本実施形態では、外導体3の内部空間にマイクロ波を放射するためのアンテナとして、ループアンテナ34を用いたが、マイクロストリップアンテナなどの他の形態のアンテナを使用してもよい。
また、外導体3の第2端部(図4の左端部)側の短絡面は、前記第2実施形態の如く、金属メッシュ27により構成するようにしてもよい。
1…光源装置、3…外導体、5…中心導体、7…半同軸共振器、9…発光セル、11a…外導体の一端部側の短絡面、21…透明導電性膜、23…導電性押さえ部材、25…ネジ(締結部材)、27…金属メッシュ、34…ループアンテナ。