JP2007308532A - 抗菌防カビ性樹脂組成物、コーティング被膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】抗菌防カビ性樹脂組成物は、式(1)の重量平均分子量100000〜2000000のホスホリルコリン基含有重合体と、式(2)のビグアニド系抗菌防カビ剤とを含む。
【選択図】なし
Description
そこで、細菌類及び真菌類の双方に効果がある抗菌材料の開発が望まれている。
従来、抗菌材料としては、基材に抗菌剤等を備える塗膜材料や、細菌類等の基材への付着そのものを防止する抗菌剤等を有していない塗膜材料等が知られている。
前者の基材に抗菌剤等を備える材料としては、例えば、非特許文献1において、抗菌防カビ剤をプラスチックに練り込んだり、抗菌防カビ剤を含有する塗料をコーティングした材料が提案されている。また、特許文献1及び2においては、アクリル樹脂に抗菌防カビ剤としての塩酸ポリヘキサメチレンビグアニドを内包した材料が提案されている。
このような材料は、基材のアクリル樹脂自体に菌付着抑制作用がないため、抗菌防カビ剤として有機系を用いた場合には、該抗菌防カビ剤が基材から徐放されることにより抗菌活性が発現される。
一方、近年、銀系等の無機系の抗菌防カビ剤を用い、湿気による塗膜表面への微量銀イオンの溶出により殺菌作用を示す材料や、酸化チタン系の光触媒作用による微量活性酸素発生等による抗菌材料も開発されている。
しかし、このような材料は、抗菌作用を得るために、いずれも適当な湿度環境や光が必要等の外部環境に大きな影響を受けるため、特に、上述のダクト環境下等においての使用には適していない。
これら文献によると、該塗膜の抗タンパク吸着性や細胞接着抑制等のいわゆる生体物質の吸着抑制効果を利用した用途が検討されている。
しかし、このような効果は、理化学機器やメディカルデバイス等における一時的な菌付着抑制作用を得るためのものであり、例えば、空調ダクト等の中長期使用環境下においては、特に真菌類が再付着するために、所望性能の持続が見込めない。
ところで、前記ホスホリルコリン基含有重合体を基体とし、抗菌防カビ剤を備えた塗膜材料も考えられる。しかし、このような材料は、上述した従来の抗菌防カビ剤の溶出や徐放による抗菌防カビ作用の発現を期待するものであり、該抗菌防カビ剤の溶出を抑制した抗菌防カビ作用の発現が見込めるものではない。
特殊機能コーティングの開発と展望、シーエムシー、2002年、p.278−289
本発明の別の課題は、上記コーティング被膜を所望の防菌面に容易に形成することが可能な抗菌防カビ性のコーティング膜の製造方法を提供することにある。
本発明の他の課題は、抗菌防カビ剤の基体からの溶出等が抑制され、該抗菌防カビ剤により形成される菌の発育阻止ゾーン(ハロー)の拡散も抑制され、ダクトにおける空調によって生じる抗菌防カビ剤の人体への悪影響を防止しながら中長期的にダクト内における抗菌防カビ作用を発揮しうる空調ダクトを提供することにある。
また本発明によれば、上記抗菌防カビ性樹脂組成物を含む抗菌防カビ性のコーティング被膜が提供される。
更に本発明によれば、上記抗菌防カビ性樹脂組成物を溶剤に溶解し、該組成物濃度が0.5〜5重量%の抗菌防カビ用塗工液を準備する工程(a)と、該抗菌防カビ用塗工液を、防菌面に塗布又はスプレー噴霧し、塗工液被膜を形成する工程(b)と、該塗工液被膜を乾燥させる工程(c)とを含むことを特徴とする抗菌防カビ性のコーティング被膜の製造方法が提供される。
更にまた本発明によれば、空調ダクトの防菌面に、上記抗菌防カビ性のコーティング被膜を備えたことを特徴とする空調ダクトが提供される。
本発明の抗菌防カビ性のコーティング被膜は、上記本発明の組成物を含むので、抗菌防カビ剤の溶出及び拡散に伴う人体への影響を抑え、優れた抗菌防カビ作用を中長期的に発揮することができる。従って、建築構造物、室内装飾品、各種空調機、ダクト、水周り等の抗菌防カビを必要とする種々の防菌面に適用することができる。
本発明の空調ダクトは、上記本発明のコーティング被膜を所望の防菌面に備えるので、抗菌防カビ剤の基体からの溶出等が抑制され、該抗菌防カビ剤により形成される菌の発育阻止ゾーンの拡散も抑制され、ダクトにおける空調によって生じる抗菌防カビ剤の人体への悪影響を防止しながら中長期的にダクト内における抗菌防カビ作用が発揮される。従って、特に、病院、食品工場、バス、車両内等における空調ダクトとしての使用に好適である。
本発明の抗菌防カビ性樹脂組成物(以下、本発明の組成物という)は、上記式(1)で示される特定分子量のホスホリルコリン基含有重合体(以下、重合体(1)と略す)と、上記式(2)で示されるビグアニド系抗菌防カビ剤(以下、抗菌防カビ剤(2)と略す)とを特定割合で含む。
尚、本発明において「抗菌」とは、微生物の発生・生育・増殖を抑制することをいい、特に製品表面の細菌の増殖を抑制することを言う。また「防カビ」とは、カビの発生・育成・増殖を抑制することをいい、特に製品表面のカビの増殖を抑制することを言う。
以上の「抗菌」及び「防カビ」の定義については、文献「抗菌・防カビ技術」(株式会社東レリサーチセンター調査研究部門、2004年、p.22)を参考とした。
前記重合開始剤としては、通常用いられるラジカル重合開始剤が使用でき、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、サクシニルパーオキサイド、グルタルパーオキサイド、サクシニルパーオキシグルタノエート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2−アゾビスイソブチレート、1−((1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ)ホルムアミド、2,2−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミヂン)ジハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)ジハイドレート、4,4−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2−アゾビス(2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル)等のアゾ化合物が挙げられ、使用に際しては単独若しくは混合物として用いることができる。
抗菌防カビ剤(2)としては、例えば、ヘキサメチレンビグアニド(以下PHMBと略す)、そのポリマー、ならびにその塩基化合物の水溶性塩が挙げられる。
PHMBのポリマーとしては、通常、分子量約2000であり、上限として100000のものが挙げられる。このようなビグアニド化合物としては、例えば、アーチケミカルズインコーポレイテッド製の商品名Cosmosil CQ、Proxel IB等の市販品を用いることができる。
他の抗菌防カビ剤としては、例えば、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブロモニトロ−1,3−プロパンジオール、N−(2−ヒドロキシプロピル)−アミノメタノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、オルトフェニルフェノール、オルトフェニルフェノールナトリウム、モノクロロ−2−フェニルフェノール、4−クロロ−3,5−ジメチルフェノール、メチルフェノール、パラクロロフェノール、トリブロムフェノール、4−クロロ−2−(フェニルメチルフェノール)、安息香酸、安息香酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、パラヒドロキシ安息香酸アルキルエステル(メチルパラベン)、1−((ジヨードメチル)スルホニル)−4−メチルベンゼン、2,3,5,6−テトラクロル−4−(メチルスルホニル)ピリジン、(2−ピリジルチオ−1−オキシド)ナトリウム、ビス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、3,4,4'−トリクロロカルバニリド、アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンゼトニウム)、セチルピリジニウムクロライド(塩化セチルピリジニウム)、その他イソチアン酸アリル、ヒノキチオールのような天然抽出エキス等が挙げられる。
前記コーティング被膜は、例えば、前記本発明の組成物を溶剤に溶解し、該組成物濃度が0.5〜5重量%の抗菌防カビ用塗工液を準備する工程(a)と、該抗菌防カビ用塗工液を、防菌面に塗布又はスプレー噴霧し、塗工液被膜を形成する工程(b)と、該塗工液被膜を乾燥させる工程(c)とを含む本発明におけるコーティング被膜の製造方法により得ることができるが、その製造方法はこれに限定されない。
工程(a)において、前記溶剤を含む抗菌防カビ用塗工液中における本発明の組成物の濃度は、溶液粘度や製造コストの観点から上記範囲にすることが望ましい。
更に、抗菌防カビ剤により形成される菌の発育阻止ゾーン(ハロー)の拡散の抑制が強く望まれる、病院用の空調ダクト、クーリングタワーにおける所望箇所の表面や、醸造工場、製パン工場、生麺工場、水産加工場等の食品関連工場における空調ダクトにおける所望箇所の表面、幼稚園、小学校、福祉施設等の公共施設、列車、自動車等における空調ダクトにおける所望箇所の表面が挙げられる。
前記抗菌防カビ用塗工液の塗布又はスプレー噴霧を実施するにあたっては、その前工程として、防菌面を公知の方法等によりクリーンニングしておくことが望ましい。
本発明の製造方法により得られるコーティング被膜の膜厚は、防菌面に対する上記塗布量を調整することにより制御できる。通常は、膜厚0.1〜100μmm程度の範囲に制御することができる。
コーティング被膜の形成は、本発明の組成物を、上述の本発明の製造方法に準じて、空調ダクトの防菌面に塗布又はスプレー噴霧し、乾燥させる方法等により行うことができる。
合成例
2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)23.5g、ブチルメタクリレート(BMA)26.5gをエタノール75gに溶解し4つ口フラスコに入れ、30分間窒素を吹き込んだ後に、60℃でアゾビスイソブチロニトリル0.1gを加えて8時間重合反応させた。重合液を3Lのジエチルエーテル中に撹拌しながら滴下し、析出した沈殿を濾過し、48時間室温で真空乾燥を行って、粉末35.1gを得た。得られた粉末の重合体は、ポリ(MPC0.3−BMA0.7)(PMB1と略す)であった。
また、上述の合成例又は公知の方法等に従って、表1に示す各重合体を製造した。これら重合体の重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分析した。
得られた重合体中のホスホリルコリン基含有単量体の単位割合(式(1)に示される構造におけるm)及び重量平均分子量を表1に示す。
尚、表1中のMPCは2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、BMAはn−ブチルメタクリレート、LMAはラウリルメタクリレート、SMAはステアリルメタクリレート、QMAはN,N,N−トリメチル−N−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロル)アンモニウムクロライドをそれぞれ示す。また、表1中のポリビニルアルコール(PVA)としては、キシダ化学株式会社製の商品名「ポリビニルアルコール2,000」(けん化度:98.5−99.4mol%)を用いた。
更に、PMB1、PMB2及びPMLが式(1)で示される上述の重合体(1)を充足するものであり、他の重合体は、重合体(1)を充足しないものである。
表2に示す組成となるように、重合体と抗菌防カビ剤とを準備し、次いで、重合体を溶剤としての水、エタノール又はプロパノールに溶解した後、抗菌防カビ剤を添加混合して、重合体及び抗菌防カビ剤の合計濃度が2重量%である抗菌防カビ性樹脂含有溶液を調製した。尚、比較例9は、抗菌防カビ剤を用いていない樹脂含有溶液である。得られた溶液を用いて、以下の各試験を行った。結果を表3に示す。
調製した抗菌防カビ性樹脂含有溶液を、直径5cmのポリスチレンシャーレの底面に1g塗布して1晩乾燥させて、コーティング被膜を調製した。得られたコーティング被膜上に、即ち、乾燥後のシャーレに、純水10gを入れて30分おきに振とうし、4時間後に上澄み液を採取した。これを10〜100倍に希釈して各種抗菌防カビ剤をUV吸収にて測定し、各コーティング被膜からの抗菌防カビ剤の溶出率を以下の式に従って算出した。
溶出率(%)=(上澄み液中に溶出した抗菌防カビ剤重量)/(コーティング被膜中の抗菌防カビ剤重量)×100
調製した抗菌防カビ性樹脂含有溶液約1gを、直径約3cmのろ紙に塗布・含浸させ、常温で乾燥させて試験片を作製した。また、抗菌防カビ性樹脂含有溶液を塗布しないろ紙をブランクとした。
試験管に生理食塩水5mlを加え、検査対象菌としてAlternaria sp.(アルタナリア属)、Aspergillus sp.(アスペルギルス属)、Cladosporium sp.(クラドスポリウム属)の3菌種混合菌を5白金耳加え、よく攪拌したものを等量ずつ採取し、試験菌液を調製した。次いで、直径約10cmのシャーレ中のPDA(Potato.Dextrose.Agar.)培地に、調製した試験菌液を0.1ml塗布した後、シャーレ中心部に上記で作製した試験片を上方から添付し、培養器により2週間培養した。
次に、培養後のシャーレに基づきハロー試験を行った。即ち、シャーレ内の試験片からPDA寒天培地中に溶出する抗菌防カビ剤により形成される発育阻止ゾーン(ハロー)の有無により抗菌性を以下の判定基準で定性した。また、同様に試験片表面へのカビ生育状況についても以下の判定基準により評価した。尚、説明のために図1にシャーレ内の概略図を示す。図1において、10は試験片、11は試験片から溶出した抗菌防カビ剤により菌の発育が阻止されたゾーン(ハロー)、12は培地の栄養分により菌が増殖する部分を示す。
+++:ハローが見られない。++−:ハローが一部見られる。+−−:ハローが全試験片で少し見られる。−−−:ハローが強く見られる。
カビの生育状況評価基準
+++:試験片上にカビが見られない。++−:試験片のふちにカビが盛り上がっている。+−−:試験片上に一部カビが見られる。−−−:試験片上にカビが広く見られる。
図2に示すように、アルミ板20上にシリコンゴム21を載置し、その表面の下半分に、図示するように、上記で調製した抗菌防カビ性樹脂含有溶液を10g/m2となるよう刷毛で塗布し自然乾燥させて、該溶液によるコーティング被膜22を備える試験片を作製した。
該試験片を、ビル空調機のダクト吹き出し口に取り付け、20日間放置した後に、カビの付着を目視で観察した。コーティング被膜にカビの付着が見られない(付着面積率10%以下)ものを○、カビの付着が見られる(付着面積率10%以上)ものを×とした。
実施例1〜5におけるハロー試験では、ハローがほとんど見られず、試験片上にカビも認められなかった。一方、比較例の試験片ではハローが見られか、若しくは防カビ性が得られない結果であった。
実施例1〜5のフィールド試験では、比較例4〜10に比較して優れた抗菌防カビ性能を発現することが確認された。
11:試験片から溶出した抗菌防カビ剤により菌の発育が阻止されたゾーン(ハロー)
12:培地の栄養分により菌が増殖する部分
20:アルミ板
21:シリコンゴム
22コーティング被膜
Claims (4)
- 式(1)で示される重量平均分子量100000〜2000000のホスホリルコリン基含有重合体と、式(2)で示されるビグアニド系抗菌防カビ剤とを含み、かつ前記ホスホリルコリン基含有重合体とビグアニド系抗菌防カビ剤との配合割合が、重量比で1:1〜30である、ビグアニド系抗菌防カビ剤溶出抑制型の抗菌防カビ性樹脂組成物。
(式(1)中、n及びmはモル分率を示し、それぞれn=0.5〜0.8の数、m=0.2〜0.5の数を示す。但し、n+m=1である。pは1〜12の整数を示す。また、式(2)中、xは1〜500の数を示す。) - 請求項1記載の抗菌防カビ性樹脂組成物を含む抗菌防カビ性のコーティング被膜。
- 請求項1記載の抗菌防カビ性樹脂組成物を溶剤に溶解し、該組成物濃度が0.5〜5重量%の抗菌防カビ用塗工液を準備する工程(a)と、
該抗菌防カビ用塗工液を、防菌面に塗布又はスプレー噴霧し、塗工液被膜を形成する工程(b)と、
該塗工液被膜を乾燥させる工程(c)とを含むことを特徴とする抗菌防カビ性のコーティング被膜の製造方法。 - 空調ダクトの防菌面に、請求項2に記載の抗菌防カビ性のコーティング被膜を備えたことを特徴とする空調ダクト。
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