JP2009005363A - 適応性時間制御を用いるフィードバックリミッタ - Google Patents

適応性時間制御を用いるフィードバックリミッタ Download PDF

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Abstract

【課題】ダイナミックレンジを減少させるために信号を制御増幅するための改良された方法を提供すること。
【解決手段】制御されたゲインを用いて入力信号を増幅する方法であって、該方法は、初期ゲインによって増幅された入力信号を表す出力信号を提供するステップと、入力信号の信号レベルまたは出力信号の信号レベルを決定するステップと、信号レベルを閾値レベルと比較するステップと、信号レベルが、閾値レベルを下回る場合には、適応性制御特性を使用して初期ゲイン値をアップデートするステップと、信号レベルが、閾値レベルを上回る場合には、信号レベルに依存して、固定の制御特性または適応性制御特性それぞれを使用して初期ゲイン値をアップデートするステップとを包含し、適応性制御特性は、信号レベルに依存しており、固定の制御特性は、信号レベルとは関係がない、方法。
【選択図】図11

Description

本発明は、オーディオ信号のダイナミックレンジを減少させるための回路に関する。
オーディオシステムにおいて一般的に遭遇する問題は、システムコンポーネントの最大入力レベルが、オーディオ信号によってオーバードライブさせられ、望ましくないひずみをもたらし、一定の状況においては、システムの損傷さえももたらすということである。しかしながら、例えば、聴取者の聴力の低下を防止するために、送信システムにおける信号レベルを制限することが望ましくなり得る。騒がしい環境においては、周囲のノイズレベルを超えて、より静かなパッセージを増幅することも望ましくなり得、それにより、より静かな通過帯域が、聴取者によって知覚され得る。
(例えば、所謂リミッタを使用して)低いレベルが増加されるか、または高いレベルが制限されるかのいずれかに関わらず、両方の場合において、結果は、オーディオ信号のダイナミックレンジの減少、すなわち、オーディオ信号の最小レベルと最大レベルとの間の差の減少である。所謂「動的圧縮」が、車両においては、特に有益であり、該車両においては、一方では、周囲のノイズレベルが非常に高く、このことは、低い信号レベルを増加させることによって改善され得、もう一方では、オーディオシステムのパワーは、車両においては、電力供給のレベルが比較的に低いために制限され、このことが、高い信号レベルにおいてひずみをもたし得る。
音響工学において、圧縮器またはリミッタは、制御増幅器のグループにおける回路または対応してプログラムされたデジタル信号プロセッサを指し、該制御増幅器の群における回路または該対応してプログラムされたデジタル信号プロセッサは、信号のダイナミックレンジを制限するために使用される。それによりオーディオ信号(例えば、音楽)の元々の特性を維持しながら、オーディオ信号のダイナミックレンジが減少される。
互いに関係がない異なる周波数範囲において、同時に、異なる動的変化が入力信号において生じると、圧縮器およびリミッタは、限界に到達し、このことは、オーディオ信号、例えば、音楽に対しては、一般的な事例である。圧縮器の理想的ではない作用による一般的な望まれない効果は、所謂「ボリュームポンピング」、高調波ひずみ、および同様なアーティファクトである。
様々な圧縮器の概念が、公知であり、それぞれが、音量ポンピング効果または高調波ひずみのいずれかに関する一定の欠点を有する。ダイナミックレンジを減少させるために信号を制御増幅するための改良された方法を提供する一般的な必要性が存在する。
制御されたゲインを用いて入力信号を増幅する方法であって、該方法は、
初期ゲインによって増幅された該入力信号を表す出力信号を提供するステップと、入力信号の信号レベルまたは出力信号の信号レベルを決定するステップと、信号レベルを閾値レベルと比較するステップと、信号レベルが、閾値レベルを下回る場合(リリースモード)には、適応性制御特性を使用して初期ゲイン値をアップデートするステップと、信号レベルが、閾値レベルを上回る場合(アタックモード)には、信号レベルに依存して、固定の制御特性または適応性制御特性それぞれを使用して初期ゲイン値をアップデートするステップとを包含し、適応性制御特性は、信号レベルに依存しており、固定の制御特性は、信号レベルとは関係がない、方法。
信号レベルが、所与の超過値よりも多く閾値レベルを超過する場合には、初期ゲイン値は、固定の制御特性に従ってアップデートされ得、信号レベルが、所与の超過値よりも少なく閾値レベルを超過する場合には、初期ゲイン値は、適応性制御特性に従ってアップデートされ得る。
圧縮器は、入力信号を受信する入力端末と、出力信号を提供する出力端末と、制御増幅器のゲインを制御する制御端末とを有する制御増幅器を備えている。圧縮器は、制御増幅器の制御端末に接続されたフィードバックネットワークをさらに備えており、フィードバックネットワークは、制御増幅器の該ゲインを制御するために、動作の第1のモード(アタックモード)と動作の第2のモード(リリースモード)とを有し、フィードバックネットワークは、入力信号の信号レベルまたは出力信号の入力レベルに依存して、該動作の第1のモードにおいては、適応性制御特性または固定の制御特性をそれぞれ使用し、動作の第2のモードにおいては、適応性制御特性を使用してゲインを制御するように適応されており、適応性制御特性は、信号レベルに依存しており、固定の制御特性は、信号レベルとは関係がない。
本発明はさらに以下の手段を提供する。
(項目1)
制御されたゲインを用いて入力信号を増幅する方法であって、該方法は、
初期ゲインによって増幅された該入力信号を表す出力信号を提供するステップと、
該入力信号の信号レベルまたは該出力信号の信号レベルを決定するステップと、
該信号レベルを閾値レベルと比較するステップと、
該信号レベルが、該閾値レベルを下回る場合には、適応性制御特性を使用して該初期ゲイン値をアップデートするステップと、
該信号レベルが、該閾値レベルを上回る場合には、該信号レベルに依存して、固定の制御特性または適応性制御特性それぞれを使用して該初期ゲイン値をアップデートするステップと
を包含し、
該適応性制御特性は、該信号レベルに依存しており、該固定の制御特性は、該信号レベルとは関係がない、方法。
(項目2)
上記信号レベルが、所与の超過値よりも多く上記閾値レベルを超過する場合には、上記初期ゲイン値は、上記固定の制御特性に従ってアップデートされ、
該信号レベルが、該所与の超過値よりも少なく上記閾値レベルを超過する場合には、上記初期ゲイン値は、上記適応性制御特性に従ってアップデートされる、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記信号レベルが、上記閾値レベルを上回る場合には、上記制御特性は、アタック時間パラメータに依存する、項目1または項目2に記載の方法。
(項目4)
上記信号レベルが、上記閾値レベルを下回る場合には、上記制御特性は、リリース時間パラメータに依存する、項目1に記載の方法。
(項目5)
以下のステップ:
上記信号レベルが、上記閾値レベルを下回る場合には、該信号レベルが、さらなる閾値レベルを超過するか否かを決定するステップと、
該信号レベルが、該さらなる閾値レベルを超過する場合には、ホールドカウンタをリセットするステップと
を包含し、
変化せずに残っている上記ゲインと、該閾値とは、該さらなる閾値よりも大きい、項目4に記載の方法。
(項目6)
以下のステップ:
上記信号レベルが、上記さらなる閾値を超過しない場合と、上記ホールドカウンタが、終了しない場合とには、該ホールドカウンタを修正するステップ
を包含する、項目5に記載の方法。
(項目7)
以下のステップ:
上記信号レベルが、上記さらなる閾値レベルを下回る場合と、上記ホールドカウンタが、終了した場合とには、該信号レベルに依存して上記リリース時間パラメータを設定するステップ
を包含する、項目6に記載の方法。
(項目8)
第1のステップとして:
上記入力信号を提供するために、オーディオ信号を帯域通過フィルタリングすること
を包含する、項目1〜項目7のうちの1項に記載の方法。
(項目9)
圧縮器であって、
制御増幅器であって、入力信号を受信する入力端末と、出力信号を提供する出力端末と、該制御増幅器のゲインを制御する制御端末とを有する、制御増幅器と、
該制御増幅器の該制御端末に接続されたフィードバックネットワークであって、該フィードバックネットワークは、該制御増幅器の該ゲインを制御するために、動作の第1のモードと動作の第2のモードとを有する、フィードバックネットワークと
を備えており、
該フィードバックネットワークは、該入力信号の信号レベルまたは該出力信号の信号レベルに依存して、該動作の第1のモードにおいては、適応性制御特性または固定の制御特性を使用し、該動作の第2のモードにおいては、適応性制御特性を使用して該ゲインを制御するように適応されており、
該適応性制御特性は、該信号レベルに依存しており、該固定の制御特性は、該信号レベルとは関係がない、圧縮器。
(項目10)
オーディオ信号を受信し、かつ、上記入力信号を上記制御増幅器に提供する帯域通過をさらに備えている、項目9に記載の圧縮器。
(項目11)
上記制御特性は、上記動作の第2のモードにおいては、リリース時間パラメータに依存する、項目9に記載の圧縮器。
(項目12)
上記フィードバック回路は、上記信号レベルに依存して、上記リリース時間パラメータを設定するように適応されている、項目11に記載の圧縮器。
(項目13)
上記制御特性は、上記動作の第1モードにおいては、アタック時間パラメータに依存する、項目9に記載の圧縮器。
(項目14)
上記フィードバック回路は、
上記信号レベルを超える上記閾値レベルの超過を決定することと、
該超過値が、特定の値を上回る場合には、固定された値に上記アタック時間パラメータを設定することと、
該超過値が、特定の値を下回る場合には、該超過値に依存した値に該アタック時間パラメータを設定することと
を行うように適応されている、項目13に記載の圧縮器。
(項目15)
上記ゲイン値からひずみを取り除くために、上記制御増幅器と上記フィードバックネットワークとの間に接続された平滑フィルタを備えている、項目9に記載の圧縮器。
(項目16)
上記平滑フィルタは、ゲイン値のシーケンスをアップサンプリングするための補間フィルタとして動作する、項目15に記載の圧縮器。
(摘要)
本発明は、制御されたゲインを用いて入力信号を増幅する増幅器および方法であって、該増幅器および該方法は、初期ゲインによって増幅された入力信号を表す出力信号を提供するステップと、入力信号の信号レベルまたは出力信号の信号レベルを決定するステップと、信号レベルを閾値レベルと比較するステップと、信号レベルが、閾値レベルを下回る場合には、適応性制御特性を使用して初期ゲイン値をアップデートするステップと、信号レベルが、閾値レベルを上回る場合には、信号レベルに依存して、固定の制御特性または適応性制御特性それぞれを使用して初期ゲイン値をアップデートするステップとを包含し、適応性制御特性は、信号レベルに依存しており、固定の制御特性は、信号レベルとは関係がない、増幅器および方法に関する。
本発明は、以下の図面と記述とを参照してより良好に理解され得る。図面内のコンポーネントは必ずしもサイズを合わせられておらず、その代わりに、本発明の原理を例示することに重きを置いている。さらに、図面においては、同様な参照番号は、対応する部分を示す。
(詳細な説明)
音響工学において、圧縮器またはリミッタは、制御された増幅器のグループ間の回路、または信号のダイナミックレンジを制限するために使用される対応してプログラムされたデジタル信号プロセッサを指す。それによって、オーディオ信号のダイナミックレンジは低減され、一方、その元の(例えば音楽の)特性は保持される。制御された増幅器のゲインを制御するために使用される制御信号は、例えば包絡線トレーサを使用して、オーディオ信号(必ずしもではないが、普通は処理される信号)のレベルから導かれる。オーディオ信号のレベルが高すぎる場合、すなわちそのレベルが、特定の(しばしば所定の)閾値レベルを超える場合、増幅器は、そのゲインを減らすことによって、処理される信号のレベルを調節する。逆に、オーディオ信号のレベルが再び閾値レベル未満に下がる場合、制御される増幅器のゲインが増加する。従って、処理された信号のダイナミックレンジは低減される。
静的な転送特性が、図1の図式に示される。横座標の値は、デシベルで入力信号レベルを示し、縦座標の値はデシベルで出力信号レベルを示す。閾値レベルT(この例においては−35dB)までの入力レベルに対しては、圧縮器のゲインは、1またはゼロデシベルである(すなわち、出力信号は入力信号に対応する)。閾値レベルより上の入力レベルに対しては、ゲインは、図1に示される場合においては4:1である圧縮比に対応して低減される。圧縮比は形式的に、
X>TおよびY>Tに対して、比率=(X−T)/(Y−T) (1)
として定義され、ここで、閾値T、出力信号Y、および入力信号Xはデシベルで測定される。これは、閾値レベルTを超えた入力レベルの超過(X−T)と閾値レベルTを越えた出力レベルの超過(Y−T)との間の比率を表す。例えば、2:1の比率は、閾値レベルより上の入力信号レベルの、係数2の減衰を意味する。従って、圧縮器の合計静的なゲインGAINSTATは、
X>Tに対して、GAINSTAT=(T−X)(1−1/比率) (2)
によって与えられ、ここで、ゲインGAINSTATも、デシベルで測定される。閾値レベルT未満の入力信号レベルに対しては、静的なゲインGAINSTATは、既に述べられたように、ゼロデシベルである。圧縮器は、1.3:1と3:1との間の圧縮比を有し得る。8:1より大きい比率を有する圧縮器はしばしば、リミッタと称されるが、正確な定義は存在しない。
係数(1−1/比率)は、線形曲線からのゲインの偏差を表し、「傾斜」Sとも呼ばれる。従って、静的なゲインGAINSTATは、傾斜Sの観点から、
X>Tに対して、GAINSTAT=(T−X)S (3)
として表現され得る。
従って、リミッタは一般的に、約0.9と1.0との間の傾斜Sを有し、一方、圧縮器は、約0.1と0.5との間の傾斜を有する。
任意の制御された増幅器のゲインは、無限に短い時間間隔で調節され得ないことは明らかである。ゲインの調節は普通、フィードフォーワードまたはフィードバック回路のダイナミックスによって決定され、フィードフォーワードまたはフィードバック回路のダイナミックスは、(とりわけ)直接的にまたは間接的に構成可能なパラメータ「アタック時間」tおよび「リリース時間」tによって記述され得る。
従って、圧縮器/リミッタの通常の設計パラメータは、
閾値 T
比率
アタック時間 t
リリース時間 t
であり得る。
閾値レベルTおよび比率は、上で既に定義された。アタック時間tは、閾値レベルTが、最大圧縮の時間まで超過されたときからのタイムラグを定義する。好都合なアタック時間は、処理される信号に大きく依存する。それはしばしば、非常に短く(1〜50ミリ秒)なるように選択される。リリース時間tは、一旦レベルが閾値未満に下がったときいかに速く信号の圧縮が解除されるか、すなわち閾値レベルTが、信号の圧縮のない時間までアンダーシュートされたときからの時間のずれを定義する。例が、図2を参照して下に与えられる。
様々なダイナミック変化が、互いに独立して、様々な周波数範囲内で同時に入力信号において生じるとき、問題が起こり得、これは通常、オーディオ信号、例えば音楽の場合である。通常の圧縮器/リミッタは、最も高いエネルギーを有するオーディオ信号(しばしばバスまたはスネアドラム)の成分に適合し、「ボリュームポンピング」の望ましくない効果につながる。従って、例えばオーディオ信号のバス範囲におけるレベルの上昇は、望ましくない全体的な信号レベルの低減につながる。
すべての公知のリミッタに共通することは、それらが、周波数およびレベル範囲全体にわたるアタック時間tおよびリリース時間tパラメータに対して、固定されたゲイン制御特性と整合してか(フィードバックまたはフィードフォーワード信号経路において)、または適応性制御特性と整合してか、いずれかで作用し、それらの対応する方法に固有な不利益を示すことである。例えば、アタック時間パラメータに対して固定された特性は、ボリュームポンピングに対して大部分影響されないことがあり得るが、比較的低い周波数を有するオーディオ信号に対して、望ましくない信号ひずみを引き起こし得る。圧縮器の他の設計は、制御特性であって、該制御特性に対して、アタックおよびリリース時間パラメータ(または圧縮比さえも)は、閾値レベルを超過する量に依存する制御特性(適応性特性)を含む。
図2は、出力信号y、および長方形の包絡線をその入力信号xとするサインバーストを有するリミッタの圧縮(ダイナミックゲインgaindyn<1)の例示的な特性を示す。アタック時間tは、閾値レベルTより上の指定された値まで急に上がる入力信号xのレベルを低減するために、圧縮器/リミッタの制御された増幅器によって必要とされる時間に対応する。この指定された値は、例にあるように、例えば、6、4、または1dBのような、圧縮器の閾値Tより上の指定されたレベル値として定義される。
アタック時間tは、圧縮器/リミッタの性能に対するキーパラメータを表す。一方では、非常に短いアタック時間tが、圧縮器の速い応答に対して必要とされるが、他方では、自然な過渡応答が、短いアタック時間tに対して、オーディオ信号において抑制される。これは特に、オーディオ信号の低い周波数の成分に当てはまり、従ってオーディオ信号の低い周波数の成分の音響特性は、望ましくない方法で変化する。さらに、高調波ひずみは、低周波数の場合に増加する。
リリース時間tは、その前のレベルの低下の後、すなわち入力信号が指定された閾値レベル未満に下がり、さらなる圧縮が必要とされなくなった後、圧縮器の制御された増幅器が、入力信号に関して指定された値までに出力信号レベルを戻すために必要とする時間を表す。指定された値は、与えられた例にあるように、例えば、−6、−4、または−1dBのような入力信号のレベル未満の特定のレベルとして定義される(図2を参照)。
同様に、リリース時間tも、圧縮器/リミッタの性能に対するキーパラメータである。実質的に望ましくないアーティファクトは、上述の「ボリュームポンピング」であり、「ボリュームポンピング」は、比較的長いリリース時間に対して生じ、「ボリュームポンピング」は、オーディオ信号の静かな進行の間に特に苛立たしい。入力信号が、短い間だけ閾値レベルTを超過したとしても、ゲインはそのとき、比較的長い期間にわたって低減され、これはオーディオ信号、例えば音楽を聴いているときには、集中を乱すものとして知覚される。対照的に、短いリリース時間tは、望ましくないひずみの増加を結果として生じ、特定の楽器、例えばシンバルに関連するエコーが不自然に増幅される。
さらに、典型的な望ましくない効果が、フィードバック構造で実装された圧縮器/リミッタに対して図2において見られ得る。効果は、「オーバーシュート」として公知であり、短時間内に、入力信号において、レベルの急な上昇の開始に生じる。リミッタをデジタル信号プロセッサ(DSP)で実装するときは、電流出力サンプルは最初、入力信号のデジタル化された入力サンプルから計算されなくてはならないので、リミッタの閾値を超過するレベルの変化は、次の演算サイクルまで考慮されることができず、オーバーシュートは常に、アタック時間tの長さに関わりなく生じる。持続時間は、構成されたアタック時間tに依存する。
さらなるパラメータは、アタック時間tの後に直接続く時間の間隔を定義する「ホールド時間」tである。ホールド時間tは、例えば音楽の信号における管楽器に対して遭遇されるような、一定のレベルの長い継続的なトーンが、「ぐらつく」質で表現されることを防ぐためである。
以下に論じられる圧縮器およびリミッタは、対応する特性およびパラメータの容易な変動を可能にするために、かつ望ましくないアーティファクト、例えばボリュームポンピングおよびひずみの程度の相対的および絶対的な自覚を可能にするために、デジタル信号プロセッサ(DSP)における適切なアルゴリズムによって実装された。固定された特性と適応性特性の両方の組み合わせ、またはアタックおよびリリース時間パラメータに対する制御曲線が、リミッタ/圧縮器の新規な設計において適用される。実験的な設計のために使用されたDSPは、Analog Devices Inc.からのSharc 21065Lプロセッサであった。入力信号は、48kHzのサンプリング速度を使用して、すべての場合においてサンプリングされた。
既に述べられたように、圧縮器およびリミッタは、入力および/または出力信号からパラメータを導き出し、制御可能なゲイン増幅器を使用してオーディオ信号を制御する。図3は、簡単なブロック図である。制御アルゴリズムは、フィードバック/フィードフォワードネットワークとして記述され得る。なぜならば、可変ゲインは、入力信号xおよび出力信号yならびに一部の制御パラメータ(例えばアタック時間t、リリース時間t、その他)から生じるからである。制御された増幅器に対して主に使用される3つの基本的な構造は、下に概要が述べられる。それらの個々の成分は、様々な方法についての後の詳細な論議においてより密着して説明される。
図4に示されるような圧縮器/リミッタに対するフィードバック構造は、実装するために最も容易な基本的な構造を表し、DSPによるほんのわずかな演算しか必要としない。フィードバック構造の主な欠点は、オーバーシューティングが必然的に生じ、その適用は、オーバーシューティングが、オーディオ信号の質全体に悪い影響を及ぼさない場合にのみ有用であることである。
図5に示されるようなフィードフォーワード構造は、比率が制限的に設定される場合に、すなわち圧縮器または拡大器に対して特に使用される。さらに、オーバーシュートは、直接的な信号経路における遅延を導入することによって、完全に除外され得る。なぜならば、制御システムは、「前方を見る」ことによって作用し、短時間にレベルが大きく増加することに対して対策を講じ得るからである。
図6は、フィードフォーワードおよび二次的なフィードバック構造を備えた基本的な構造の回路、すなわちフィードフォーワード構造において基礎をなすフィードバックループを示す。ここでの目的は、フィードバック構造およびフォワード構造の利益を組み合わせ、望ましくないアーティファクト、例えばひずみ、オーバーシューティングおよびボリュームポンピングに対処することである。
アルゴリズムおよび信号構造が下に記述、かつ例示され、それらがどのようにして、DSPにおける実装のためのリミッタおよび圧縮器の3つの記述された基本的な構造(図4〜図6を参照)に対して実現されたかを示している。
図7に示されるように、下に記述されるアルゴリズムは、フィードバックリミッタのアナログ構造のデジタル実装に対応する。閾値T、アタック時間t、およびリリース時間tは、パラメータとして特定され得る。出力信号のレベルが、特定された閾値Tを超過する場合、アルゴリズムは、状態「アタック」に変化し、新しいゲインが、「アタック係数」による乗算によって、入力信号xのデジタル信号サンプリングの次のサイクルに対して演算される。従って、出力信号yのレベルは、必要に応じて減衰される。この作用は、各さらなるデジタル信号サンプルに対して特定されたパラメータ(閾値T、アタック時間t)を使用して、出力のレベルが、定義された閾値T未満に下がるまで繰り返される。この場合、アルゴリズムは、状態「リリース」に変化する。
アルゴリズムが、リリース状態である場合、リリース増分は、ゲインに加えられる。加算を実行することによって、ゲインは、信号サンプリングの各ステップで絶えず増加し、一方、アタック状態間の乗算は、ゲインの指数低減を引き起こす。アタック係数AFは、レベルが閾値Tを超過する間、10dBレベルオーバーシュートに対して標準化されたdB/s(1秒当たりのデシベル数)における時定数で、アタック係数AFが、ゲインを低減させるように大きさが決められる。リリース増分RIも、レベルが閾値T未満にある期間、1秒当たりの増分における10dBレベルアンダーシュートに対して標準化された絶対時定数で、リミッタがゲインを上げるように選択される。従って、結果として生じるリリース時間tは、結果として生じるアタック時間tと同じように、閾値に対する値および10dBレベルに依存する(適応性ゲイン制御特性)。
図6に示される構造に従って、電流出力サンプルは最初に、デジタル化された入力サンプルおよびゲイン係数から演算される。従って、リミッタの閾値Tを超過するように生じるレベルの変化は、演算の次のサイクルまで考慮されない。従って、オーバーシューティングは、構成されたアタック時間tに関わりなく生じる。オーバーシューティングの継続時間は、アタック時間tで変化する。オーディオ信号を処理するためのアタックおよびリリース時間は、オーディオ信号を処理するための時間に対して、例えば、アタック時間tに対しては50μs〜10ms、およびリリース時間tに対しては50ms〜3sであり得る。
実験的な測定は、予期されたように、すなわち入力信号のレベルの突然の上昇(サインバースト)に対する応答として、「アタック」状態において強いオーバーシューティングを示した。既に述べられたように、この種類のリミッタ設計においては、オーバーシューティングは除外され得ない。リリース状態における出力信号の制御は、認識可能に制御に関連するアーティファクトなしで生じる。図4に示されるように、圧縮器も、フィードフォーワード構造を使用して、比較的簡単に実装され得る。それらの基本的な構造において同様に作用するが、「リリース」および「アタック」に対しては異なるフィルタ構造を使用する2つのアルゴリズムが下に提示される。
図8は、別のリミッタ/圧縮器のブロック図である。この型のリミッタ/圧縮器において、ゲイン制御信号は、いわゆる「サイドチェイン」によって決定される。ここで、入力信号の低減に対して必要とされる制御係数は、ピークレベルメータ、転送特性曲線(静的なゲインを表す)、およびログ/デログモジュールの使用によって計算される。
特性曲線は、デバイスがリミッタまたは圧縮器として作用するかどうかを決定し、さらに組み合わされた圧縮器/リミッタ特性が可能である。組み合わされたリミッタおよび圧縮器は各々、閾値Tおよび比率に対するそれら自体のパラメータを有するが、リリース時間tおよびアタック時間tに対する同一の時間は、この設計における各場合におけるリミッタおよび圧縮器に対して選択される。デジタルロガリスミック作用から生じるリップルは、いわゆる平滑フィルタを使用してフィルタにかけられて除去される。オーバーシュートは、直接的な信号経路において遅延要素を使用することによって妨げられ得、適切な信号遅延を生み出す(図8を参照)。遅延の継続時間は、ピークレベルメータおよび平滑フィルタに生じる信号遅延に主に依存する。これらの遅延は、信号処理の直接的な信号経路における遅延を定義するときに考慮されなければならない。
図8に示されるピークレベルメータを実現するために、再帰1次ローパスフィルタが、平均的な信号値の指数決定に対して使用される。アタック時間tに対する「アタック係数」AF、およびリリース時間tに対する「リリース係数」RFという係数は、ピークレベルメータの挙動を定義し、従って制御された増幅器全体の挙動を定義する。「アタック時間」および「リリース時間」に対する時定数は、閾値レベルTが、入力信号によって、「アタック時間」の場合において10dBだけオーバーシュートされるか、または「リリース時間」の場合において10dBだけアンダーシュートされるかする場合、制御システムが、この時定数内で閾値レベルTより1dB上または下の指定されたレベルを引き起こすように定義される。
図8におけるロガリスミック/デロガリスミックモジュールの実装は、DSPの演算性能の大部分を必要とする。DSPの開発環境によって提供されるライブラリ機能が、この場合に参照される。これらの機能は、ここに必要とされる適用に対する正確さの点で十二分であることが証明され、この文脈ではさらに詳細には取り扱われない。そのような場合におけるDSPは、単一のロガリスミックまたはデロガリスミック処理に対して、約70クロックサイクルを必要とする。
ロガリスミック/デロガリスミック処理によって、ゲイン値は、特性曲線から計算される。そのようにするために、既に詳述されたように、次の演算を簡略化するために、傾斜は最初に比率から計算される。
次のステップにおける平滑フィルタの使用は、下に概要が述べられる要件に依存する。ロガリスミックおよびデロガリスミック処理の非線形的性質が原因で、望ましくないスペクトル成分が、結果として生じる信号に生じる。これらは、1次ローパスフィルタとして実装される平滑フィルタによる簡単な方法で充分に減衰される。さらに、ロガリスミック処理のデジタル実装が原因で、リップルが、結果として生じる信号に起きる。適切なフィルタが使用されない場合、リップルは、オーディオ信号に転送される。
同様に、アタック時間に対する非常に低い値が原因で生じる信号ひずみは、平滑フィルタに対して適切に選択されたスムージング時間によって補正される。アタック時間の約半分が、スムージング時間に対する適切な値として選択される。
図8に示されるように、オーバーシューティングは、例えば100サンプルの遅延を導入することによってほとんど完全に抑制され得る。「アドバンス」信号分析のこの方法は、別の方法では出力信号においてオーバーシューティングを引き起こすレベルピークが検出されることができるようにし、かつ遅延した入力信号に対する適切な制御作用が行われることができるようにする。ここで、ゲインは、定義された期間にわたって、適切に選択された時定数で低減される。所望の効果を達成するために、各構成された遅延時間は、定義されたアタック時間に応じて選択されなくてはならないことは明らかである。
リリース状態において、ゲインに対する曲線は、指数関数的に上昇し、この上昇は、図7のリミッタの線形制御信号とは異なり、入力信号のレベルが閾値レベル未満に下がるときはいつでも、1(または0dB)のゲインを有する通常の増幅に極めてより速やかに変化する。ゲインのこの指数関数的な挙動は、1のゲインを有する通常の増幅が、図7のリミッタと比較して、半分の時間で達成されるという効果を有する。継続時間それ自体は、入力信号のレベルが、閾値レベル未満に下がる程度に依存する(適応性制御特性)。
いわゆるRMS圧縮器(図9を参照)のプロトタイプの実装および測定結果が、下に記述されている。図8に示されるリミッタ/圧縮器とは異なり、入力信号の実行値(すなわち二乗平均平方根値)は、圧縮の基準として使用される。この方法は、上に記述されたピークレベル測定よりも、オーディオ信号の知覚されたラウドネスに対してより良い基準を提供する。さらに、ボリュームポンピングの効果は、ピークレベル測定に対する方法と比較して低減される。なぜならば、入力信号レベルの短い過渡変化に対する制御された増幅器の調節は、それほど敏感には応答しないからである。再帰1次ローパスフィルタは、入力信号xのRMS値を決定するために使用される。約50msの値を有する時定数は、平均実効値を決定するために信頼性がある。
アタックおよびリリース時間の次の実装は、再帰1次システム(アタック/リリースフィルタ)によって実現される。ここで、実際の(動的な)ゲイン値gaindyn[n]は、実際の重み付き入力(静的な)ゲイン値gainstat[n]と先立つサンプル(n−1)の実際のゲイン値gaindyn[n−1]の和から、次の等式を使用して、アタック状態とリリース状態の両方に対して計算される。
gaindyn[n]=(1−係数)gaindyn[n−1]+
係数gainstat[n] (4)
ここで、係数は、アタック係数AF、またはリリース係数RFを定義し、これらは次の式を使用して計算される(SRは、1秒当たりのサンプル数でのサンプル速度である)。
AF=1−exp(−2.2/(SR t)) (5)
RF=1−exp(−2.2/(SR t)) (6)
リリースまたはアタック状態で動作するための、決定を下す過程における追加的なヒステリシス曲線は、閾値をわずかに超えるまたは下回るエリアにおける信号変動の場合、望ましくない速やかな切り替えが、アタック制御状態とリリース制御状態との間で生じないようにし得、従って、ゲインgaindynにおける変化を平滑にするために使用される。
図8を参照して上に記述されたリミッタとは異なり、圧縮機は、リリース状態において指数関数的に薄れるゲインを有する。これは、デロガリスミック処理のすぐ後での、アタックおよびリリースステージに対するゲイン信号の生成が原因である。馴染みのあるオーバーシューティングの発生は、明確に識別可能である。しかしながら、大抵の場合、圧縮機は、オーバーシューティングを防ぐために、対応する遅延で構成されるリミッタ(既に記述されたように)と組み合わせて使用されるだけである。
リミッタ/コンプレッサに対して下に記述されたフィードフォワードアルゴリズムは、図9を参照して既に記述された設計と同様に挙動する。ここでの相違は、より高い次数のフィルタが、アタックおよびリリース段階において使用され、ゲイン制御特性を実装する。さらに、図9のモデルにおいて、リリースおよびアタック段階を処理するための成分が、可能性としての相互の影響を防ぐために、互いに別々に示される。リミッタおよび圧縮器は、閾値および比率に対するそれらの値においてのみここに適用されたアルゴリズムにおいて異なる。リリース段階において、ゲインの指数関数的に増加する挙動は、図8のリミッタの挙動に似ている。
既に記述されたように、フィードフォーワード構造および二次的なフィードバック構造を有するリミッタ/圧縮器のより複雑な設計は、両方法の利点を組み合わせる。極めて過渡的なインパルスの場合、プリカバレージの音響心理学的な効果が利用され、プリカバレージの音響心理学的な効果は、強いインパルスのすぐ前の応答制御により、非線形アーティファクトを人の耳に知覚されないようにする。次のホールド時間は、すぐ後に続き、例えばボリュームポンピングを引き起こすパッセージにおいて、レベル変動が生じないようにする。
本明細書に記述されたオーディオ信号の限定および圧縮のすべての方法は、結果として生じるゲインが非線形的挙動を示し、それにより信号ひずみをシステム固有的に引き起こすという点が共通している。この理由で、追加的な分析が、すべての例示的なアルゴリズムに対して実行された。アルゴリズムには、さらなる合成信号形状、例えばビート信号、および様々な音楽的スタイルを有する実際の音楽のパッセージのシーケンスが供給された。分析は、信号形状の変化の測定、およびアルゴリズムによって処理された実際の音楽のシーケンスの全体の質のアセスメントに対する聴取者試験によって実行された。これらの結果は、表示された測定によって既に記録されたリミッタの強さおよび弱さを主に確認するので、結果の詳細な例示および論議は、複雑でない構造を保存するために、ここでは与えられない。
リミッタと関連して生じる2つの主な望ましくないアーティファクトは、ボリュームポンピングおよび信号ひずみである。しかしながら、検査された方法のうちのどれもが、オーディオ信号に対する適用範囲全体に対するボリュームポンピングおよび信号ひずみの主なアーティファクトに関して、十分な信号の質を提供しない。さらに、良い信号の質は、特定の周波数範囲における特定の方法に対して、または定義されたパラメータ値、例えばリリース時間(これは、オーディオ信号のためのそれらの使用をさらに制限する)での構成に対してのみ獲得される。一旦パラメータが適切に選択されると、一部の方法は、リリース動作状態において極めてわずかなアーティファクトで良いゲイン挙動を示すが、これは、パラメータが変えられないままである場合、アタック段階に対して当てはまらないことは、これまでの頁で詳細に説明され、検査されたリミッタ/圧縮器のゲイン制御挙動からも明らかである。
図11を参照した装置および方法は、デジタル信号プロセッサ(DSP)を使用して実装された1つ以上のリミッタ/圧縮器のアタック時間tのパラメータおよびリリース時間tのパラメータに対する固定の特性曲線と適応性特性曲線との両方の適切な組み合わせによって、これらの欠点を克服し、考察される回路の対応する利点を利用する。図11に示された回路は、制御可能な増幅器10を備え、該制御可能な増幅器10は、入力信号xを受信し、出力信号yを提供する。フィードバックネットワーク11は、動作の2つのモードを含む。実際のモードは、入力信号xのレベルに依存する。図11の場合、動作のモードは、出力信号yのレベルを閾値レベルTと比較することによって決定される。信号レベルが、閾値レベルTを下回る場合には、フィードバック回路は、リリース状態になり、そうでなければ、アタック状態になる。
リリース状態において、リリースパラメータ(リリース時間t、リリース係数RF、リリース増分RI)は、常に、閾値レベル、および信号レベル、または閾値の「アンダーシュート」の値に適応するように依存して計算される。このようにして、適応性ゲイン制御特性1が達成される。
アタック状態において、アタックパラメータ(アタック時間t、アタック係数AFなど)は、閾値レベルおよび信号レベルに適応するように依存して計算され得るか(ブロック2)、または固定の制御特性が使用される(ブロック3)かのいずれかである。例えば、閾値レベルTが、(出力)信号レベルによって超過される程度に従って、または入力信号の周波数スペクトルに基づいて(これらの2つの基準に限定されるものではないが)、アタック状態における固定のゲイン制御または適応性ゲイン制御を使用する決定が行われる。入力信号もまた、これらの決定のために評価され得る。
適応性ゲイン制御特性は、閾値レベルTを超える入力信号のわずかな超過値に対して適している。固定ゲイン制御特性は、閾値レベルTを超える入力信号の高い超過値に対して適している。固定特性は、ボリュームポンピングには反応しないが、適応性特性は、入力信号が閾値レベルに近づいたときには、よりゆっくりとボリュームを調節する。これが、フィードバックネットワークがアタックモードとリリースモードとの間であまりにも頻繁に切り替わることを防止し、あまりにも頻繁な切り替わりは、聴取者を苛々させ、かつ、システム全体を不安定にするものである。
アーティファクトの減少に関する他の利点は、例えば、アタック時間に対して異なるパラメータを用いて同一のリミッタ/圧縮器をカスケードすることによって、または対応するように選択されたパラメータを用いて、異なるリミッタ/圧縮器または同一および異なるリミッタ/圧縮器の組み合わせをカスケードすることによって獲得され得る。図11に示された、適応性リリース、固定のアタックおよび適応性アタックに対応するブロック1、2および3がまた、カスケードされたリミッタ/圧縮器の形式で設計され得る。
アーティファクトの除去に関するさらなる利点が、所謂帯域分割、すなわち、異なるパラメータを有する同一のリミッタ/圧縮器によるか、または適切に選択されたパラメータを有する同一および異なるリミッタ/圧縮器の組み合わせによるオーディオ信号の異なる周波数範囲の別々の処理を使用して達成される。例えば、2帯域分割および3帯域分割が、この局面において使用され得る。図11に示された対応する信号処理ブロック(適応性リリース、固定のアタック、および適応性リリース)が、同様に、帯域分割を使用して実行され得る。
デジタル信号プロセッサ(DSP)におけるアルゴリズムとして、図11に例示された回路の実装が、適切なパラメータに関する考察された組み合わせおよび選択を実現するために必要な順応性を提供する。
上に記述された方法は、デジタル信号プロセッサに容易に実装され得る。圧縮器(または圧縮率に依存してリミッタとも呼ばれる)は、入力端末と、出力端末と、制御増幅器のゲインを制御する制御端末とを有する制御増幅器と、ゲイン制御特性を決定するために、制御増幅器の出力端末と制御端末とに接続するフィードバックネットワークを備えており、フィードバックネットワークは、制御増幅器の出力端末と制御端末とを接続し、フィードバックネットワークは、制御増幅器のゲインを制御するために、動作の第1のモード(アタック)と動作の第2のモード(リリース)とを有し、フィードバックネットワークは、動作の第1のモードにおいては、適応性制御特性使用してゲインを制御するように適応され、動作の第2のモードにおいては、出力端末によって提供された出力信号のレベルに依存して固定制御特性または適応された制御特性を使用して、ゲインを制御するように適応されており、適応性制御特性は、入力端末によって受信された入力信号のレベルに依存している。
図11のリミッタと同じ概念を組み込む別の例示的なリミッタが、図12に示されている。リミッタは、アタック時間t、リリース時間t、アタック係数AFおよびリリース係数RFのそれぞれのパラメータに関する固定の特性曲線と適応性特性曲線との両方の適切な組み合わせを使用する。図10の例とは対照的に、図11のリミッタは、図4のフィードバック構造を使用しないが、図6に描かれたような基礎をなすフィードバックループを有するフィードフォーワード構造を使用する。
入力信号xが遅延線13によって遅延させられ、次に、遅延入力信号が、可変ゲインgaindynを用いて増幅器10によって増幅される。増幅器の出力信号は、リミッタの出力信号yである。増幅器10のゲインgaindynは、フィードバックループ11によって計算される静的ゲインgainstatから導き出される。
(遅延されていない)入力信号xは、フィードフォーワード構造12に供給され、フィードフォーワード構造12の出力は、フィードバックループ11に入力として供給される。フィードフォーワード構造12は、入力信号xの絶対値を静的ゲインgainstatで増幅することによって出力信号を計算するように適応され、それにより入力レベルの信号レベル全体Lに関する基準を決定する。信号レベルLは、図11のリミッタの場合のように、出力信号yから導き出されるか、または入力信号から導き出される他の信号から導き出されるということに留意されたい。
フィードバックループ11において、計算された入力信号レベルLが、リミッタが解放モードまたはアタックモードにおいて動作されたか否かを決定するために使用される。入力信号レベルLがリミッタの閾値Tを上回る場合には、リミッタのフィードバックループは、アタックモードにおいて動作し、そうでなければリリースモードにおいて動作する。
アタックモードにおいて、適応性アタック係数AFADは、閾値レベルTを超える入力信号レベルLの超過値に依存して計算される。
AFAD=1−(L−T) (7)
次に、適応性アタック係数AFADが、固定アタック係数AFFIXと比較される。適応性アタック係数AFADが固定アタック係数AFFIXよりも大きい場合には、静的ゲインgainstatが、適応性特性(AFAD)を使用して計算され、そうでなければ静的ゲインgainstatが、固定特性(AFFIX)を使用して計算される。両方の場合において、「新たな」ゲイン値gainstat[k]が、以下の方程式:
gainstat[k]=gainstat[k−1]・AF (8)
に従って先の値gainstat[k−1]から計算され、式中、アタック係数AFは、適応性アタック係数AFAD、または固定のアタック係数AFFIXのそれぞれである。しかしながら、閾値レベルTを超える入力信号レベルのわずかな超過値に対しては、リミッタは、適応性制御特性を使用する。なぜならば、適応性アタック係数AFADが、固定のアタック係数AFFIXを上回るからである。これが、アタック係数AFを固定のアタック係数ADFIXの最小値に限定する。ポンピングに関するリミッタの性質は、このようにして改善される。本例においては、gainstatに対する「新たな」値を計算するために、固定の制御特性を使用するか、または適応性制御特性を使用するかを決定するために、適応性アタック係数AFADが、固定のアタック係数AFFIXと比較される。閾値レベルTを超える信号レベルLの超過値が、所与の値よりも大きい場合には、比較は等しい。超過値が充分に高い場合には、固定の制御特性が使用され(AF=AFFIX)、わずかな超過値における場合には、適応性制御特性が使用される(AF=AFAD)。
リリースモードにおいて、入力信号レベルLは、さらなる閾値レベルと比較され得、該さらなる閾値レベルは、「ホールド閾値レベル」Hとも呼ばれ、一般的には、閾値レベルT未満では1dBである。入力信号Lがこのホールド閾値レベルHよりも高い場合には、実際の静的ゲインgainstatは、変化しないままであり、ホールドカウンタは、所与の値(例えば、0を上回る整数)にリセットされる。
入力信号レベルLが、このホールド閾値レベルH未満になる場合には、ホールドカウンタの閾値が調べられる。ホールドカウンタがまだ終了していない場合(すなわち、ホールドカウンタが0を上回る場合)には、実際の静的ゲインgainstatは、変化しないままであり、ホールドカウンタは、特定の減分(例えば、1)で減少させられる。ホールドカウンタが終了した場合(すなわちホールドカウンタが0に等しい)場合には、ゲインは、以下の方程式:
gainstat[k]=1−((1−gainstat[k−1])・RF+
(1−gainstat[k−1])・(1−RF)・(L/H)) (9)
に従って調節される。
ここでもやはり、上記の方程式は、適応性ゲイン制御特性を表す。なぜならば、上記の方程式は、入力信号レベルLを考慮するからである。ホールド閾値Hと、例えば、方程式(6)に従って計算された一定のリリース係数RFとがまた考慮される。方程式(8)において、ホールド閾値Hは、(アタック)閾値レベルTと入れ替えられ得る。
静的ゲインgainstatは、フィードバックループ11の出力と考えられ得る。可変ゲイン増幅器は、フィードバックループ11において計算されたようには、静的ゲインgainstatを直接的に使用しないが、静的ゲインgainstatの「平滑化」バージョンを使用する。静的ゲインgainstat[k]のシーケンスは、静的ゲイン値からひずみを取り除くために、平滑フィルタ14に供給される。
デジタル信号プロセッサにおけるリミッタのデジタル実装において、フィードバックループは、ダウンサンプリングされたサンプリング速度で動作し得、すなわち、フィードバックループにおける計算が、例えば、リミッタの残りのものよりも8倍遅いクロック速度で行われる。この場合、平滑フィルタがまた、フィードバックループ11によって計算された静的ゲイン値をアップサンプリングするための補間フィルタとして作用し得る。
本発明の様々な例示的な実施形態が開示されてきたが、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本発明の利点の一部を達成する様々な変更および改変が行われ得るということが、当業者には明白である。同じ機能を行う他のコンポーネントに適切に置換され得るということが、当業者には明白である。さらに、本発明の方法は、同じ結果を達成するために、適切なプロセッサの命令を使用する全てのソフトウェア実装においてか、またはハードウェアの論理とソフトウェアの論理との組み合わせを利用するハイブリッド実装においてかのいずれかで達成され得る。本発明の概念に対するかかる改変は、添付の特許請求の範囲に含まれることを意図している。
図1は、圧縮器(またはリミッタ)の静的転送特性を示す。 図2は、長方形の包絡線を有するサインバーストによるアタック時間およびリリース時間を示す。 図3は、例示的な制御増幅器の概略構造を示す。 図4は、基本的なフィードバック構造のブロック図である。 図5は、基本的なフィードフォーワード構造のブロック図である。 図6は、フィードフォーワード経路における基礎をなすフィードバックループを有するフィードフォーワード構造のブロック図である。 図7は、例示的なフィードバックリミッタのブロック図である。 図8は、フィードフォーワード構造と直接的な信号経路における遅延とが、信号レベルを決定するためにピークレベルメータを使用するリミッタを示す。 図9は、図8の圧縮器と似ているが、信号レベルを決定するためにRMSメータを有する圧縮器を示す。 図10は、フィードフォーワード構造を有する別のリミッタを示す。 図11は、本圧縮器/リミッタの概念の例を示す。 図12は、本圧縮器/リミッタの概念のさらに詳細な例を示す。
符号の説明
ブロック1
ブロック2
ブロック3
制御可能な増幅器10
フィードバックネットワーク11

Claims (16)

  1. 制御されたゲインを用いて入力信号を増幅する方法であって、該方法は、
    初期ゲインによって増幅された該入力信号を表す出力信号を提供するステップと、
    該入力信号の信号レベルまたは該出力信号の信号レベルを決定するステップと、
    該信号レベルを閾値レベルと比較するステップと、
    該信号レベルが、該閾値レベルを下回る場合には、適応性制御特性を使用して該初期ゲイン値をアップデートするステップと、
    該信号レベルが、該閾値レベルを上回る場合には、該信号レベルに依存して、固定の制御特性または適応性制御特性それぞれを使用して該初期ゲイン値をアップデートするステップと
    を包含し、
    該適応性制御特性は、該信号レベルに依存しており、該固定の制御特性は、該信号レベルとは関係がない、方法。
  2. 前記信号レベルが、所与の超過値よりも多く前記閾値レベルを超過する場合には、前記初期ゲイン値は、前記固定の制御特性に従ってアップデートされ、
    該信号レベルが、該所与の超過値よりも少なく前記閾値レベルを超過する場合には、前記初期ゲイン値は、前記適応性制御特性に従ってアップデートされる、請求項1に記載の方法。
  3. 前記信号レベルが、前記閾値レベルを上回る場合には、前記制御特性は、アタック時間パラメータに依存する、請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記信号レベルが、前記閾値レベルを下回る場合には、前記制御特性は、リリース時間パラメータに依存する、請求項1に記載の方法。
  5. 以下のステップ:
    前記信号レベルが、前記閾値レベルを下回る場合には、該信号レベルが、さらなる閾値レベルを超過するか否かを決定するステップと、
    該信号レベルが、該さらなる閾値レベルを超過する場合には、ホールドカウンタをリセットするステップと
    を包含し、
    変化せずに残っている前記ゲインと、該閾値とは、該さらなる閾値よりも大きい、請求項4に記載の方法。
  6. 以下のステップ:
    前記信号レベルが、前記さらなる閾値を超過しない場合と、前記ホールドカウンタが、終了しない場合とには、該ホールドカウンタを修正するステップ
    を包含する、請求項5に記載の方法。
  7. 以下のステップ:
    前記信号レベルが、前記さらなる閾値レベルを下回る場合と、前記ホールドカウンタが、終了した場合とには、該信号レベルに依存して前記リリース時間パラメータを設定するステップ
    を包含する、請求項6に記載の方法。
  8. 第1のステップとして:
    前記入力信号を提供するために、オーディオ信号を帯域通過フィルタリングすること
    を包含する、請求項1〜請求項7のうちの1項に記載の方法。
  9. 圧縮器であって、
    制御増幅器であって、入力信号を受信する入力端末と、出力信号を提供する出力端末と、該制御増幅器のゲインを制御する制御端末とを有する、制御増幅器と、
    該制御増幅器の該制御端末に接続されたフィードバックネットワークであって、該フィードバックネットワークは、該制御増幅器の該ゲインを制御するために、動作の第1のモードと動作の第2のモードとを有する、フィードバックネットワークと
    を備えており、
    該フィードバックネットワークは、該入力信号の信号レベルまたは該出力信号の信号レベルに依存して、該動作の第1のモードにおいては、適応性制御特性または固定の制御特性を使用し、該動作の第2のモードにおいては、適応性制御特性を使用して該ゲインを制御するように適応されており、
    該適応性制御特性は、該信号レベルに依存しており、該固定の制御特性は、該信号レベルとは関係がない、圧縮器。
  10. オーディオ信号を受信し、かつ、前記入力信号を前記制御増幅器に提供する帯域通過をさらに備えている、請求項9に記載の圧縮器。
  11. 前記制御特性は、前記動作の第2のモードにおいては、リリース時間パラメータに依存する、請求項9に記載の圧縮器。
  12. 前記フィードバック回路は、前記信号レベルに依存して、前記リリース時間パラメータを設定するように適応されている、請求項11に記載の圧縮器。
  13. 前記制御特性は、前記動作の第1モードにおいては、アタック時間パラメータに依存する、請求項9に記載の圧縮器。
  14. 前記フィードバック回路は、
    前記信号レベルを超える前記閾値レベルの超過を決定することと、
    該超過値が、特定の値を上回る場合には、固定された値に前記アタック時間パラメータを設定することと、
    該超過値が、特定の値を下回る場合には、該超過値に依存した値に該アタック時間パラメータを設定することと
    を行うように適応されている、請求項13に記載の圧縮器。
  15. 前記ゲイン値からひずみを取り除くために、前記制御増幅器と前記フィードバックネットワークとの間に接続された平滑フィルタを備えている、請求項9に記載の圧縮器。
  16. 前記平滑フィルタは、ゲイン値のシーケンスをアップサンプリングするための補間フィルタとして動作する、請求項15に記載の圧縮器。
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