JP2009090449A - 剪断加工機および剪断加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工工程を増加させることなく、剪断端面における防錆性を向上させることが可能な剪断加工機および剪断加工方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る剪断加工機は、鋼板の剪断加工を行う剪断加工機において、剪断する鋼板と接する部分の一部に、鋼板の耐食性を向上させる物質を付与した剪断刃を備える。また、本発明に係る剪断加工方法は、前記剪断加工機を用いて、鋼板の剪断を行うものであり、耐食性を向上させる物質を、この耐食性を向上させる物質の融点T(℃)のT/4(℃)以上、T(℃)未満の温度に加熱して剪断を行うことが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、剪断端面における防錆性を向上させることが可能な剪断加工機および剪断加工方法に関する。
家電分野、自動車分野、あるいは建材分野においては、耐食性を向上させる為に、亜鉛やアルミを表面にめっきしためっき鋼板が幅広く用いられている。このようなめっき鋼板は、平板部での耐食性に関しては大幅に改善されている。しかしながら、剪断や打ち抜き加工において生じた鋼板の剪断端面には母材が露出しているため、その部分での耐食性が劣ることが知られている。
例えば、自動車分野において用いられる鋼板は、まず、自動車の所要の形状にプレス加工が実施された後、剪断加工を受ける。そのため、剪断された鋼板の端面には耐食性を確保するためのめっき層が無く、母材が露出している。剪断加工後に塗装をする場合においても、剪断端面には塗装がつきにくく、発錆しやすい部位となる。また、剪断端面は、形状から考えても、水分が溜まりやすく、腐食性の強い部位となる。
そのため、端面部にエポキシ系、塩ビゾル系などの防錆、防水シーラーを付与して端面における防錆性を高める方法が従来から行われている。しかし、施工工程が増えることによるコストの増加、施工者の技術差による耐食性不良等、問題を抱えているのが現状である。
このような背景の中、端面の耐食性を向上させる技術が数多く提案されている。例えば、特許文献1には、鋼板の両面に亜鉛系めっき皮膜を有し、その上にクロメート皮膜(付着量がCrに換算して10〜150mg/m2)を有し、さらにその上に、中塗装を施すことにより、端面での耐食性を向上させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、表面に質量%で、Mg:0.1〜10%、Al:0.2〜80%を含有し、残部がZnおよび不可避不純物からなるめっき層を有し、端面に0.001〜10g/m2の有機系腐食抑制剤を有することにより鋼板の端面防錆性を向上させる技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、表面処理鋼板の端面に、炭素数が5以上の疎水基を3個以上有するチタネート系カップリング剤を含む溶液を塗布する表面処理鋼板の端面防錆方法が開示されている。
特開平8−257496号公報 特開2003−3280号公報 特開2005−254106号公報
しかし、上記特許文献1に示される技術では、鋼板製造後のユーザによる加工過程での塗装皮膜の劣化や、打ち抜き加工による新規端面の生成部位では端面防錆性を向上させることができない。
また、上記特許文献2に示される技術では、端面の防錆性は端面に有する有機系腐食抑制剤に依存する部分が大きく、前述した技術と同様に、ユーザによる加工での新規端面生成部位は端面防錆性を向上させることができない。
また、上記特許文献3に示される技術は、剪断加工などによる端面の露出後に薬液等を塗布するものであり、例えば、自動車メーカーが現在実施している端面への防水シーラー加工と同様の施工工程が必要となる。そのため、施工工程が増えることによるコストの増加、施工者の技術差による耐食性不良等の問題を解決するものではない。
このように、従来技術においては、施工工程を増加させることなく端面の防錆性を向上させる技術は存在しなかった。そこで、本発明は、施工工程を増加させることなく、剪断端面における防錆性を向上させることが可能な剪断加工機および剪断加工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する方法について鋭意検討を行った。その結果、剪断加工機において、剪断する鋼板と接する剪断刃の一部に、鋼板の耐食性を向上させる物質を付与し、それにより鋼板の剪断を行う方法を考えるに至った。これにより、施工工程を増加させることなく、剪断端面に鋼板の耐食性を向上させる物質を付着させることができ、その結果として、剪断端面の耐食性を向上させることができることを見出した。
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、以下のような特徴を有する。
[1]鋼板の剪断加工を行う剪断加工機において、
剪断する鋼板と接する部分の一部に、鋼板の耐食性を向上させる物質を付与した剪断刃を備えることを特徴とする剪断加工機。
[2]上記[1]において、鋼板の耐食性を向上させる物質が、
Zn、Mg、Al、In、Snの1種または2種以上を混合させた金属またはそれらの合金であることを特徴とする剪断加工機。
[3]上記[1]において、鋼板の耐食性を向上させる物質が、
ポリエチレン類、エポキシ基含有樹脂類、ウレタン樹脂類、フェノール樹脂類の1種または2種以上を混合させた有機樹脂であることを特徴とする剪断加工機。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかにおいて、耐食性を向上させる物質を、該耐食性を向上させる物質の融点T(℃)のT/4(℃)以上、T(℃)未満の温度に加熱することが可能な加熱手段を備えたことを特徴とする剪断加工機。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかに記載の剪断加工機を用いて、鋼板の剪断を行うことを特徴とする剪断加工方法。
[6]上記[5]において、耐食性を向上させる物質を、該耐食性を向上させる物質の融点T(℃)のT/4(℃)以上、T(℃)未満の温度に加熱して剪断を行うことを特徴とする剪断加工方法。
本発明によれば、施工工程を増加させることなく、剪断端面における防錆性を向上させることが可能な剪断加工機および剪断加工方法が提供される。
以下、本発明を実施するための最良の形態の一例を説明する。
本発明に係る剪断加工機は、剪断する鋼板と接する部分の一部に、鋼板の耐食性を向上させる物質を付与した剪断刃を備えるものである。そして、この剪断加工機を用いて鋼板を剪断することで、剪断した鋼板は端面に耐食性を向上させる物質を付与された製品となり、その端面の耐食性が向上する。
ここで、本発明に係る剪断加工機が適用される鋼板は、その種類は特に限定されるものではないが、表面に耐食性のめっき等が施された表面処理鋼板に好適に用いられる。特に、Zn系、Al系のめっき鋼板に適用することが好ましい。冷延鋼板のような非めっき鋼板にも適用することは可能であるが、非めっき鋼板の場合、端面のみの防錆性を高めたとしても、端面以外の平板部位での耐食性が低く、そこで発生した錆等により端面も影響を受けるため、本発明の効果を有効に発揮することができない場合がある。
また、本発明に係る剪断加工機は、シャーやブランキングプレスに代表されるような剪断力を加えることによって鋼板を2つに挟み切る方法の剪断加工機に適用される。
図1は、本発明に係る剪断加工機が備える剪断刃の一例を示した図である。図1(a)は剪断刃の正面図、図1(b)は、断面図である。
図1に示す例は、剪断刃1における剪断する鋼板と接する部分の一部に、凹部を設け、その内部に鋼板の耐食性を向上させる物質11を埋め込み、落下しないように保持して、耐食性を向上させる物質11を付与したものである。図3に、図1(b)の耐食性を向上させる物質11を埋め込んだ部分Cの拡大図を示す。
耐食性を向上させる物質11を保持する方法については特に限定されないが、図3に示すように、耐食性を向上させる物質11を鋼板の剪断端面側への可変加圧力(F1)を負荷可能な機構を有し、F1に直交する可変加圧力(F2)を加えることにより保持することが望ましい。これは、剪断が繰り返されることにより耐食性を向上させる物質11が損耗した場合に、保持している部分が凹状となることで、端面に耐食性を向上させる物質が付着しにくくなることを防ぐ為である。すなわち、損耗した場合には可変加圧力(F2)を低下させ、可変加圧力(F1)を加えることにより、耐食性を向上させる物質11を剪断刃と同一面上に配した上で再び可変加圧力(F2)を加圧して耐食性を向上させる物質11を保持することにより、鋼板の端面と耐食性を向上させる物質11を効率的に接触させることが可能になるためである。
また、図2は、本発明に係る剪断加工機が備える剪断刃の他の一例を示した断面図である。図2に示す例は、鋼板の耐食性を向上させる物質11を、剪断刃1における剪断する鋼板と接する部分の一部に押し付けて、前記耐食性を向上させる物質11を剪断刃1の表面に付着させたものである。ここでは、剪断加工を行う前後、例えば、剪断刃の上型切刃と下型切刃(ブランキングにおけるポンチとダイス)が接触していないタイミングに、剪断刃1における剪断する鋼板と接する部分の一部に、前記耐食性を向上させる物質11を押し付けて、付着させる方法等があげられる。
ここで、上記耐食性を向上させる物質11を付与する部分を、剪断刃1における剪断する鋼板と接する部分の一部としたのは以下の理由による。つまり、剪断刃全体を、前記耐食性を向上させる物質11で構成した場合、鋼板との接触による剪断刃の損耗が激しく、剪断性能が劣化するだけではなく、刃の取り替えによるコストの増加の観点からも好ましくないからである。
また、前記耐食性を向上させる物質11を付与する、剪断刃1における剪断する鋼板と接する部分とは、鋼板を剪断した際に、鋼板と擦れ合う部分を指す。そして、前記耐食性を向上させる物質11は、前記剪断刃1における剪断する鋼板と接する部分の一部であって、剪断された後の端面の全面に接触する部分とすることが好ましい。
前記耐食性を向上させる物質11としては、Zn、Mg、Al、In、Snの1種または2種以上を混合させた金属またはそれらの合金を用いることができる。これらの金属または合金は、比較的軟質かつ低融点の金属である。さらに鋼板の端面に付着させることにより、端面の耐食性向上に効果が認められる金属または合金であるため、本発明に有効な物質である。
これらの金属または合金は、めっき鋼板の主体(母材)金属である鉄よりも卑な元素であるため犠牲防食作用を有しているもの(Zn、Mg、Al、Sn)と、剪断端面に形成される酸化物が安定であることによる保護作用を有しているもの(In)とに大別することができる。これらの効果により剪断端面の耐食性を向上させることができ、剪断端面における防錆性を向上させることが可能となる。
また、前記耐食性を向上させる物質11としては、ポリエチレン類、エポキシ基含有樹脂類、ウレタン樹脂類、フェノール樹脂類の1種または2種以上を混合させた有機樹脂を用いることができる。これらの有機樹脂は、鋼板の剪断端面が腐食環境にさらされた場合に、水分や酸素、塩化物等の拡散障壁となり、剪断端面の耐食性を向上させることができる。また、これらの有機樹脂の中に防錆顔料を添加することも耐食性を向上させるためには有効である。
なお、前記ポリエチレン類としては、熱可塑性樹脂である、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いることができる。
さらに、本発明においては、前記耐食性を向上させる物質11を加熱することが好ましい。加熱温度としては、耐食性を向上させる物質11の融点をT(℃)とした場合に、T/4(℃)以上、T(℃)未満の温度とする。これにより、耐食性を向上させる物質11の剪断端面への付着をより効率的に行うことが可能となる。
前記耐食性を向上させる物質11の加熱は、本発明に係る剪断加工機に加熱手段を設けるようにしてもよい。前記加熱手段としては、例えば、剪断刃1の内部に、耐食性を向上させる物質11を加熱するための誘導加熱装置等を配することにより構成できる。また、耐食性を向上させる物質11の加熱方法としては、前記耐食性を向上させる物質11の表面に高温の物質を接触させて加熱する方法、バーナ等で外部から熱を加えて所定の温度になるように加熱する方法を用いてもよい。
なお、剪断刃1における剪断する鋼板と接する部分の一部に前記耐食性を向上させる物質11を付与する方法は、上記の方法に限られない。剪断刃1における剪断する鋼板と接する部分の一部に前記耐食性を向上させる物質11を付着させておくことができる方法であれば、本発明の目的を達成することが可能となる。
また、本発明において、剪断刃1における剪断する鋼板と接する部分の一部に付与する物質は、耐食性を向上させる物質のみである必要はない。耐食性を向上させる物質に、剪断刃への保持性を向上させる物質、鋼板の剪断端面への付着性や被覆性を向上させる物質等を混合して、成型したものであってもよい。
以下、本発明に係る剪断加工機を用いて、各種鋼板を剪断した場合のその端面における耐食性の評価を行った結果を示す。表1に、使用した供試材を示す。
Figure 2009090449
上記表1に示す鋼板(幅40mm)に対して、下記の2種類の剪断刃(剪断刃A、B)を、剪断加工機に備えて剪断を行った。
[剪断刃A]
図1に示すように、剪断刃1における剪断する鋼板と接する部分の一部に、剪断刃1の幅方向80mm、縦方向5mm、深さ2mmの凹部を設け、その内部に鋼板の耐食性を向上させる物質11を埋め込み、落下しないように保持させた。
[剪断刃B]
図2に示すように、鋼板の耐食性を向上させる物質11を、剪断刃1における剪断した鋼板の製品となる部位の端面と接する部分の一部に押し付けて、前記耐食性を向上させる物質11を刃の表面に付着させた。前記押し付けは、耐食性を向上させる物質11を、接触面圧4.903MPa(50kgf/cm2)で押し付けることで行った。尚、耐食性を向上させる物質11としてPETを用いた場合のみ、接触面圧を0.196MPa(2kgf/cm2)とした。
上記2種類の剪断刃(剪断刃A、B)を用いて、下記方法により端面耐食性評価用サンプルを作成した。耐食性を向上させる物質として、Zn、Mg、AlおよびSnのいずれかを含む物質、PETを用いた場合を本発明例とした。
[端面耐食性評価用サンプルの作製方法]
上記表1に示す各鋼板を、まず、トルエンを用いて2分間の超音波脱脂を実施することにより表面の油分を除去した。その後、上記剪断刃Aを備えた剪断加工機および上記剪断刃Bを備えた剪断加工機を用いて剪断加工を実施し、鋼板の剪断端面に耐食性を向上させる物質11を付与させた。ここで、一部サンプルについては、剪断加工を実施していない間に、耐食性を向上させる物質11が所定の温度になるように外部から熱を加え、表面温度計を用いて温度を測定し、前記所定の温度に到達した後、速やかに剪断加工を実施した。
次に、以上のようにして作製したサンプルについて、剪断後の端面をEPMAで測定し、耐食性付与物質などが端面に付着していることを確認した。EPMAは日本電子社製の測定装置を用い、鉄及び耐食性を向上させる物質11として付与した元素のマッピングを行った。測定面積は0.5mm×0.5mmとした。尚、PETの場合は分析前に表面に金で真空蒸着を実施して測定した。その後、端面耐食性の評価を行った。また、一部のサンプルについては、本発明に係る剪断加工機に備える剪断刃への凹部の加工または鋼板の耐食性を向上させる物質の押し付けの影響により、剪断加工後のサンプル形状に影響を与えることが懸念されたため、連続加工性と、連続加工時における端面耐食性について評価を実施した。
評価の結果を、本発明例として、サンプル作成条件と共に表2に記載する。また、上記本発明例に加えて、剪断加工機に備える剪断刃に、耐食性を向上させる物質を付与せずに剪断を行った場合と、剪断加工機に備える剪断刃に付与する物質を耐食性の向上には寄与しないMnまたはNiを付与した場合とを比較例として、サンプル作成条件と共に表2に記載する。
なお、表2中の剪断条件において、上記剪断刃Aを備えた剪断加工機で鋼板の剪断加工を行った場合を「剪断条件1」、上記剪断刃Bを備えた剪断加工機で鋼板の剪断加工を行った場合を「剪断条件2」、耐食性を向上させる物質を付与しない従来技術に係る剪断刃を備えた剪断加工機で鋼板の剪断加工を行った場合を「剪断条件3」として記載した。
Figure 2009090449
上記表2において、端面耐食性の評価および連続加工性の評価は、下記の基準により行った。
[端面耐食性の評価]
幅40mmのサンプルを垂直に立て、海から500mの屋内に放置した。放置期間は6ヶ月とした。その後、端面を顕微鏡で観察して、端面耐食性評価を行った。顕微鏡観察による評価は以下の基準により行った。
「◎」:赤錆の発錆なし
「○」:点状の赤錆発生
「△」:薄い赤錆又は点状の赤錆が全面に発生
「×」:酷い赤錆が全面に発生
[連続加工性の評価]
剪断条件1および剪断条件2で連続100回剪断し、それらの剪断端面の形状と、比較剪断条件で剪断した端面の形状とを比較し、形状の差異を目視で確認した。連続加工性の評価に使用した処理条件は表2に記載のNo.3とNo.12を用い、比較剪断条件としてはNo.21とNo.23を用いた。
また、連続加工性を調査したサンプルを用いて、連続加工後の端面耐食性を評価した。
前記連続加工性の評価は、比較剪断条件としたNo.23の剪断1回目と比較して、連続100回剪断後における剪断加工形状を目視評価し、形状が同等の場合を「○」、形状が変化した場合を「×」と評価した。また、連続100回剪断後の端面耐食性評価は上述した端面耐食性の評価と同様の評価をした。
以上の結果から、連続加工性の総合評価を、下記の評価基準により行った。
「◎」 :連続加工後形状 同等、かつ、赤錆発生なし
「○」 :連続加工後形状 同等、かつ、点状の赤錆発生
「×」 :連続加工後形状 同等、かつ、薄い赤錆又は点状の赤錆が全面に発生、あるいは酷い赤錆が全面に発生
「××」:連続加工後形状 変化あり
上記表2に示す評価結果から、以下の事項が明らかとなった。
(1)サンプルNo.1〜6は、本発明に係る方法で、剪断条件1により、耐食性を向上させる物質(以下、「耐食性付与物質」と記す。)をZnとして剪断した本発明例である。サンプルNo.21〜26は比較例として、従来技術の方法で剪断した例である。本発明例のNo.2〜6のサンプルでは端面の耐食性が向上していることが分かる。なお、鋼板の表面にめっきが施されていないNo.1のサンプルでは、端面の耐食性は向上している(端面の耐食性のみ評価した場合は「○」)ものの、端面以外の平板部位で発生した錆により端面が影響を受け、鋼板としての耐食性は不十分「△」となった。
(2)サンプルNo.7〜11は、表1のNo.3の鋼板に対し剪断刃に付与する物質を変えて剪断条件1で剪断した例である。本発明に係る耐食性付与物質であるNo.7(Mg)、No.8(Al)、No.9(Sn)の本発明例の場合は、使用鋼板が同じである従来技術であるサンプルNo.23と比較して端面耐食性が向上していることが分かる。また、比較例であるサンプルNo.10(Mn)、No.11(Ni)は従来技術であるサンプルNo.23の場合と変わらず、端面耐食性が向上しないことが分かる。
(3)サンプルNo.12〜No.15は剪断条件2で剪断した例であるが、本発明に係る耐食性付与物質であるNo.12(Zn)、No.13(Al)、No.14(Sn)の本発明例の場合は、端面耐食性が向上していることが分かる。一方、比較例であるサンプルNo.15(Ni)の場合は、剪断条件を変更させた場合においても、端面耐食性が向上していないことが分かる。
(4)サンプルNo.5、16〜18は耐食性付与物質がZn、剪断条件1の場合で、耐食性付与物質の温度を変化させた場合である。サンプルNo.17及びNo.18は耐食性付与物質のZnの加熱温度を融点T(419.5℃)のT/4(104.9℃)以上、T未満とした例であり、端面耐食性がさらに向上していることが分かる。尚、融点以上の条件については検討していないが、これは、融点以上になると、耐食性付与物質が溶ける為、剪断刃に耐食性付与物質を固定しておくことができないためである。
(5)サンプルNo.19及びNo.20は、耐食性付与物質として有機樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)を使用した本発明例であるが、いずれの剪断条件(剪断条件1、2)においても端面耐食性が向上していることが分かる。
(6)サンプルNo.3、No.12、No.21及びNo.23は連続加工性を評価した例である。本発明例であるサンプルNo.3(剪断条件1)およびNo.12(剪断条件2)で剪断した場合は、連続100回剪断後も、加工後の形状は変化せず、端面耐食性も赤錆が発生せず良好であることが分かる。それに対し、比較例であるサンプルNo.21およびNo.23(ともに剪断条件3)で剪断した場合は、連続100回剪断後も加工後の形状は変化していないものの、剪断端面には全面に赤錆の発生が認められ、端面耐食性が劣る。
(7)サンプルNo.19及び27は耐食性付与物質がPET、剪断条件1の場合で、耐食性付与物質の温度を変化させた場合である。サンプルNo.27は耐食性付与物質のPETの加熱温度を融点T(240℃)のT/4(60℃)以上、T未満にした例であり、耐食性が良好であることが分かる。
本発明は、剪断端面における防錆性を向上させることが可能な剪断加工機および剪断加工方法に適用することができる。
本発明に係る剪断加工機が備える剪断刃の一例を示した図である。 本発明に係る剪断加工機が備える剪断刃の他の一例を示した断面図である。 剪断刃における耐食性を向上させる物質の保持方法を説明する図で、図1(b)の耐食性を向上させる物質を埋め込んだ部分Cの拡大図である。
符号の説明
1 剪断刃
11 耐食性を向上させる物質

Claims (6)

  1. 鋼板の剪断加工を行う剪断加工機において、
    剪断する鋼板と接する部分の一部に、鋼板の耐食性を向上させる物質を付与した剪断刃を備えることを特徴とする剪断加工機。
  2. 鋼板の耐食性を向上させる物質が、
    Zn、Mg、Al、In、Snの1種または2種以上を混合させた金属またはそれらの合金であることを特徴とする請求項1に記載の剪断加工機。
  3. 鋼板の耐食性を向上させる物質が、
    ポリエチレン類、エポキシ基含有樹脂類、ウレタン樹脂類、フェノール樹脂類の1種または2種以上を混合させた有機樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の剪断加工機。
  4. 耐食性を向上させる物質を、該耐食性を向上させる物質の融点T(℃)のT/4(℃)以上、T(℃)未満の温度に加熱することが可能な加熱手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の剪断加工機。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の剪断加工機を用いて、鋼板の剪断を行うことを特徴とする剪断加工方法。
  6. 耐食性を向上させる物質を、該耐食性を向上させる物質の融点T(℃)のT/4(℃)以上、T(℃)未満の温度に加熱して剪断を行うことを特徴とする請求項5に記載の剪断加工方法。
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