<第1の実施の形態>
以下、本発明に係る第1の実施の形態を図1乃至図4に沿って説明する。
まず、本発明を適用し得る自動変速機2は、図1に示すように、エンジン(駆動源)100のクランク軸に連結される自動変速機の入力軸(ドライブ軸)2aを有しており、該入力軸2aの軸方向を中心として発進装置5と、変速機構(自動変速機構)6とを備えている。該発進装置5は、発進クラッチ(クラッチ)3とフルードカップリング4とを有しており、該発進クラッチ3は、詳しくは後述する係合圧PSLUが油圧サーボ3aに供給されることに基づき自動変速機2の入力軸2aと変速機構6の入力軸6aとを係脱して連結し得るように構成されている。また、フルードカップリング4は、入力軸2aに接続されたポンプインペラ4aと、循環油を介して該ポンプインペラ4aの回転が伝達されるタービンランナ4bとを有しており、該タービンランナ4bは、変速機構6の入力軸6aに接続され、つまり発進装置5は変速機構6に連結されている。なお、ポンプインペラ4aにはオイルポンプ7が連結されており、つまりオイルポンプ7はエンジン100に連動して駆動される。
また、上記発進装置5は、詳しくは後述する油圧制御装置1に接続されており、該油圧制御装置1は制御部(ECU)200に接続されて電子制御されている。該油圧制御装置1には、吐出量対応流量変更装置(詳しくは後述する第2サーキュレーションリレーバルブ23、オリフィス62を介在した油路g2,オリフィス63を介在した油路g3により構成される)と、発熱量対応流量変更装置(詳しくは後述する第1サーキュレーションリレーバルブ22により構成される)とが備えられている。また、制御部200には、吐出量対応流量変更装置に後述のリニアソレノイドバルブSLUを用いて指示を行う吐出量対応流量指示部201と、発熱量対応流量変更装置に後述のソレノイドバルブS1を用いて指示を行う発熱量対応流量指示部202とが備えられている。
上記のように構成された発進装置5は、例えば停車中にあって発進クラッチ3が解放され、フルードカップリング4により前進レンジ(Dレンジ)であってもエンジン100のアイドル回転が許容される。また、例えば発進時にはフルードカップリング4の流体伝動により動力伝達がなされ、詳しくは後述するように所定速度Va以上となると制御部200により発進クラッチ3の係合が判断されて、係合圧PSLUが上昇されて発進クラッチ3が係合され(図4参照)、つまりフルードカップリング4がロックアップされた状態となって、自動変速機2の入力軸2a(エンジンのクランク軸)と変速機構6の入力軸6aとが直結状態とされる。
なお、変速機構6は、例えば多段式の変速機構からなり、変速用クラッチC−1,C−2,C−3及び変速用ブレーキB−1,B−2(変速用摩擦係合要素)の係合状態により前進6速段及び後進段を達成し得る。具体的には、クラッチC−1及びブレーキB−2(或いはワンウェイクラッチF−1)の係合により前進1速段を、クラッチC−1及びブレーキB−1の係合により前進2速段を、クラッチC−1及びクラッチC−3の係合により前進3速段を、クラッチC−1及びクラッチC−2の係合により前進4速段を、クラッチC−2及びクラッチC−3の係合により前進5速段を、クラッチC−2及びブレーキB−1の係合により前進6速段を、クラッチC−3及びブレーキB−2の係合により後進段を、それぞれ達成し得る。
つづいて、第1の実施の形態に係る自動変速機の油圧制御装置11について図2及び図3に沿って説明する。なお、油圧制御装置11の油圧回路は、図2及び図3に分割して示しているが、各図の符号「A」〜「E」において連続するものである。また、本実施の形態においては、スプール位置を説明するため、図2及び図3中に示す右半分の位置を「右半位置」、左半分の位置を「左半位置」という。
図2に示すように、油圧制御装置11には、不図示のオイルパンに配設されたストレーナ8を介してオイルを吸入するオイルポンプ7が備えられており、該オイルポンプ7がエンジン100に連動して駆動されることにより発生された油圧が油路(共通油路)a1〜a9に出力されると共に、詳しくは後述するプライマリレギュレータバルブ(ライン圧調圧部)20によってライン圧PLに調圧される。そのうちの油路a2は、チェックバルブ52に接続されており、油路a1〜a9に出力されたオイルポンプ7の発生圧(ライン圧PL)が所定圧以上となった際に該チェックバルブ52が開放されて各部に過剰な圧が作用することを防止する。
一方、リニアソレノイドバルブ(ライン圧調圧部)SLTは、詳しくは後述するソレノイドモジュレータバルブ24から油路i1,i3を介してモジュレータ圧PMODを入力する入力ポートSLTaと、該モジュレータ圧PMODをスロットル開度(運転者の加速要求度)に応じて調圧してSLT圧PSLTとして出力する出力ポートSLTbを有しており、該出力ポートSLTbは油路s1を介してプライマリレギュレータバルブ20の油室20bに接続されている。即ち、スロットル開度の大きさに比例する形で出力ポートSLTbからSLT圧PSLTが出力され、プライマリレギュレータバルブ20が制御される。
プライマリレギュレータバルブ20は、スプール20pと、該スプール20pを図中上方に付勢するスプリング20sとを備えていると共に、該スプール20pの図中上方に油室20aと、該スプール20pの図中下方に油室20bと、油室20aの図中下方に油室20cとを有しており、さらに、調圧ポート20eと、排出ポート20dと、背圧出力ポート20fとを備えて構成されている。上記油室20bには上述のリニアソレノイドバルブSLTより油路s1を介してSLT圧PSLTが入力され、また、油室20aにはライン圧PLが油路a4を介してフィードバック圧として入力され、さらに、油室20cには図示を省略したマニュアルバルブから油路j1を介して前進レンジ圧PDが入力される。
該プライマリレギュレータバルブ20のスプール20pには、上記フィードバック圧に対向してスプリング20sの付勢力とSLT圧PSLTとが作用し、即ち、該スプール20pの位置は、主にSLT圧PSLTの大きさによって制御される。該スプール20pが図中の下方側の状態であると、調圧ポート20eと排出ポート20dとが連通し、また、スプール20pが図中の上方側の状態に移動制御されると、調圧ポート20eと排出ポート20dとの連通量(絞り量)が絞られて(遮断されて)いく。つまり上記油室20bに入力されるSLT圧PSLTの大きさによってスプール20pが上下方向に移動制御されると共に、排出ポート20dより排出される油圧量が調整されることでオイルポンプ7から吐出された油が入力される調圧ポート20eの油圧が調圧され、これによって油路a1〜a9の油圧がスロットル開度に応じたライン圧PLとして調圧される。
排出ポート20dより排出された油圧は、オイルポンプ7の吸入側に戻され、オイルポンプ7の元圧となるため、結果的にオイルポンプ7が必要な駆動力を下げることとになり、無駄なエネルギを消費することを防ぐことができ、油圧制御装置11を備える車輌の燃費向上に寄与することが可能となる。
また、背圧出力ポート20fから出力されたライン圧PLの背圧PL−LUBEは、詳しくは後述する循環油の流量を最大にした場合を除き、油路c、後述する第1サーキュレーションリレーバルブ22、油路f1〜f8を介して、オイルクーラ10及び潤滑油路(LUBE)11に供給される。なお、上記油室20cに前進レンジ圧PDが供給されると、スプール20pが図中下方側に押圧され、上記背圧出力ポート20fから出力されるライン圧PLの背圧PL−LUBEを増量し、つまり前進レンジにおける走行中にあっては、オイルクーラ10による冷却効果を増加させると共に、潤滑油路11から変速機構6に供給する潤滑油量を増加させる。
上記ライン圧PLは、油路a5を介して後述するモジュレータバルブ21と、油路a6,a7を介して後述するリニアソレノイドバルブSLUと、油路a6,a8、チェックバルブ53、油路a9を介してソレノイドモジュレータバルブ24とに供給される。
このうち、ソレノイドモジュレータバルブ24は、スプール24pと、該スプール24pを図中上方に付勢するスプリング24sとを有していると共に、入力ポート24aと、出力ポート24bと、油室24cとを有しており、該ライン圧PLが所定圧以下であれば、入力ポート24aに入力されるライン圧PLをそのままの油圧を出力ポート24bから上記モジュレータ圧PMODとして出力し、該ライン圧PLが所定圧以上となると、油路i1,i2,i4を介して油室24cに入力されるフィードバック圧に基づきスプリング24sの付勢に打ち勝ってスプール24pを図中下方側に移動させ、入力ポート24aに入力されるライン圧PLを略一定圧に調圧してモジュレータ圧PMODとして出力する。このモジュレータ圧PMODは、油路i3を介して上記リニアソレノイドバルブSLTに供給されると共に、油路i2(「C」において図3に連続する),i5,i6を介して、詳しくは後述するソレノイドバルブS1,S2の入力ポートS1a,S2aに元圧として供給される。
一方、マニュアルシフトバルブ(不図示)は、運転席(不図示)に設けられたシフトレバーに機械的(或いは電気的)に駆動されるスプールを有しており、該スプールの位置がシフトレバーにより選択されたシフトレンジ(例えばP,R,N,D)に応じて切換えられることにより、上記入力されたライン圧PLの出力状態や非出力状態(ドレーン)を設定する。
詳細には、シフトレバーの操作に基づきDレンジにされると、該スプールの位置に基づき上記ライン圧PLが入力される入力ポートと前進レンジ圧出力ポートとが連通し、該前進レンジ圧出力ポートよりライン圧PLが前進レンジ圧PDとして出力される。シフトレバーの操作に基づきR(リバース)レンジにされると、該スプールの位置に基づき上記入力ポートと後進レンジ圧出力ポートとが連通し、該後進レンジ圧出力ポートよりライン圧PLが後進レンジ圧PRとして出力される。また、シフトレバーの操作に基づきPレンジ及びNレンジにされた際は、上記入力ポートと前進レンジ圧出力ポート及び後進レンジ圧出力ポートとの間がスプールによって遮断されると共に、それら前進レンジ圧出力ポート及び後進レンジ圧出力ポートがドレーンポートに連通され、つまりDレンジ圧PD及びRレンジ圧PRがドレーンされた非出力状態となる。
一方、図3に示すように、リニアソレノイドバルブSLC1は、非通電時に非出力状態となるノーマルクローズタイプからなり、油路j2(変速機構供給油路)(「E」において図2に連続する),j4(変速機構供給油路)を介して上記前進レンジ圧PDを入力する入力ポートSLC1aと、該前進レンジ圧PDを調圧して油圧サーボ31に係合圧PC1として出力する出力ポートSLC1bと、ドレーンポートSLC1cとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC1は、非通電時に入力ポートSLC1aと出力ポートSLC1bとを遮断すると共に出力ポートSLC1bとドレーンポートSLC1cとを連通する非出力状態となり、制御部200(ECU)からの指令値に基づく通電時には、入力ポートSLC1aと出力ポートSLC1bとの連通する量(開口量)を該指令値に応じて大きくし、つまり指令値に応じた係合圧PC1を出力し得るように構成されている。そして、該リニアソレノイドバルブSLC1の出力ポートSLC1bは、油路k1(変速機構供給油路)を介して後述の第2クラッチアプライリレーバルブ26の入力ポート26bに接続されている。なお、ドレーンポートSLC1cはチェックバルブ55に接続されており、非出力状態にあって空気が混入することを防止している。
また同様に、リニアソレノイドバルブSLC2も、非通電時に非出力状態となるノーマルクローズタイプからなり、油路j2,j5(変速機構供給油路)を介して上記前進レンジ圧PDを入力する入力ポートSLC2aと、該前進レンジ圧PDを調圧して油圧サーボ32に係合圧PC2として出力する(或いは後述するC−2リレーバルブ27を介して油圧サーボ33に係合圧PB2として出力する)出力ポートSLC2bと、ドレーンポートSLC2cとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLC2は、非通電時に入力ポートSLC2aと出力ポートSLC2bとを遮断すると共に出力ポートSLC2bとドレーンポートSLC2cとを連通する非出力状態となり、不図示の制御部(ECU)からの指令値に基づく通電時には、入力ポートSLC2aと出力ポートSLC2bとの連通する量(開口量)を該指令値に応じて大きくし、つまり指令値に応じた係合圧PC2(係合圧PB2)を出力し得るように構成されている。そして、該リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bは、油路l1(変速機構供給油路)を介して後述の第2クラッチアプライリレーバルブ26の入力ポート26eに接続されている。なお、ドレーンポートSLC2cはチェックバルブ56に接続されており、非出力状態にあって空気が混入することを防止している。
なお、本油圧制御装置11には、図示を省略したクラッチC−3の油圧サーボに係合圧PC3を調圧出力するリニアソレノイドバルブSLC3、同じく図示を省略したブレーキB−1の油圧サーボに係合圧PB1を調圧出力するリニアソレノイドバルブSLB1が備えられており、特にリニアソレノイドバルブSLC3はライン圧PLを元圧とするノーマルオープンタイプからなって、後述するオールオフフェール時にクラッチC−3の油圧サーボに係合圧PC3を出力して該クラッチC−3を係合させるように構成されている。
ソレノイドバルブ(信号ソレノイドバルブ)S1は、非通電時に出力状態となるノーマルオープンタイプからなり、油路i1,i2,i5を介して上記ソレノイドモジュレータバルブ24(図2参照)からモジュレータ圧PMODを入力する入力ポートS1aと、非通電時(即ちOFF時)に該モジュレータ圧PMODを略々そのまま信号圧PS1として出力する出力ポートS1bとを有している。該出力ポートS1bは、油路q1(「A」において図2に連続する),q2,q3を介して後述する第1サーキュレーションリレーバルブ22の油室22aに接続されていると共に(図2参照)、油路q4、後述する第2サーキュレーションリレーバルブ23、油路q5(「D」において図2に連続する)を介して後述する第2クラッチアプライリレーバルブ26の油室26aに接続されており、さらに、油路q6、後述するB−2リレーバルブ28、油路q7を介して後述するC−2リレーバルブ27の油室27aに接続されている。
ソレノイドバルブS2は、非通電時に非出力状態となるノーマルクローズタイプからなり、油路i1,i2,i6を介して上記モジュレータ圧PMODを入力する入力ポートS2aと、通電時(即ちON時)に該モジュレータ圧PMODを略々そのまま信号圧PS2として出力する出力ポートS2bとを有している。該出力ポートS2bは、油路r1,r2(「B」において図2に連続する)を介して後述する第1サーキュレーションリレーバルブ22の油室22bに接続されていると共に(図2参照)、油路r3,r4を介して後述する第2クラッチアプライリレーバルブ26の油室26hに接続されており、さらに、油路r5を介して後述する第1クラッチアプライリレーバルブ25の油室25gに接続されていると共に、油路r6を介して後述するB−2リレーバルブ28の油室28aに接続されている。
第1クラッチアプライリレーバルブ(フェールセーフバルブ)25は、スプール25pと、該スプール25pを図中上方に付勢するスプリング25sとを有していると共に、該スプール25pの図中上方に油室25aと、スプール25pの図中下方に油室25gと、スプール25pのランド部の径の差違(受圧面積の差違)により形成された油室25b,25cとを有しており、さらに、入力ポート25eと、出力ポート25dと、出力ポート25fとを有して構成されている。
上記油室25aは、油路l4,l5を介してクラッチC−2の油圧サーボ32に接続されており、上記油室25gは、油路r1,r3,r5を介して上記ソレノイドバルブS2の出力ポートS2bに接続されている。上記入力ポート25eには、油路j2,j3を介して前進レンジ圧PDが入力されており、出力ポート25dは、油路nを介して第2クラッチアプライリレーバルブ26の入力ポート26dに接続されている。また、出力ポート25fは、油路m1,m3を介して油室25b,25cに接続されている。
該第1クラッチアプライリレーバルブ25は、例えば前進1速段〜前進3速段において(クラッチC−2が係合されていない状態において)、スプリング25sの付勢力及び油室25gに入力されるソレノイドバルブS2の信号圧PS2により、スプール25pが左半位置にされた際に、入力ポート25eと出力ポート25dとが連通され、該入力ポート25eに入力されている前進レンジ圧PDを出力ポート25dより出力するが、詳しくは後述するオールオフフェール時以外の正常時にあって、油路nに出力された前進レンジ圧PDは、第2クラッチアプライリレーバルブ26の入力ポート26dにて遮断される。
また、例えば前進4速段〜前進6速段にあってクラッチC−2が係合された状態において、油室25aに入力されるクラッチC−2の油圧サーボ32の係合圧PC2により、スプール25pが右半位置にされた際には、入力ポート25eと出力ポート25fとが連通され、該入力ポート25eに入力されている前進レンジ圧PDを出力ポート25fより出力し、油室25b,25cに前進レンジ圧PDが入力されて右半位置にロックされるが、同様に正常時にあって、油路m2に出力された前進レンジ圧PDは、第2クラッチアプライリレーバルブ26の入力ポート26fにて遮断される。
第2クラッチアプライリレーバルブ(フェールセーフバルブ)26は、スプール26pと、該スプール26pを図中上方に付勢するスプリング26sとを有していると共に、該スプール26pの図中上方に油室26aと、該スプール26pの図中下方に油室26hとを有しており、さらに、入力ポート26bと、出力ポート26cと、入力ポート26dと、入力ポート26eと、出力ポート26gと、入力ポート26fとを有して構成されている。
該第2クラッチアプライリレーバルブ26は、正常時にあって、スプリング26sの付勢力(及び油室26hに入力されるソレノイドバルブS2の信号圧PS2)により、スプール26pが左半位置にされる。すると、入力ポート26bと出力ポート26cとが連通され、かつ入力ポート26eと出力ポート26gとが連通されると共に、入力ポート26dと入力ポート26fとがそれぞれ遮断される。これにより、上記リニアソレノイドバルブSLC1の出力ポートSLC1bから出力された係合圧PC1は、油路k1から油路k2(変速機構供給油路)に連通され、クラッチC−1の油圧サーボ31に供給される。また、上記リニアソレノイドバルブSLC2の出力ポートSLC2bから出力された係合圧PC2は、油路l1から油路l2(変速機構供給油路)に連通され、後述するC−2リレーバルブ27を介して油路l3,l4(変速機構供給油路)に連通されてクラッチC−2の油圧サーボ32に、或いは後述するC−2リレーバルブ27、油路o1(変速機構供給油路)、後述するB−2リレーバルブ28、油路o2(変速機構供給油路)を介してブレーキB−2の油圧サーボ33に供給される。
なお、例えばショート、断線、ECUのダウン等により全てのソレノイドバルブに対して非通電となるソレノイド・オールオフフェール時には、ノーマルオープンであるソレノイドバルブS1の信号圧PS1が油路q1,q2,q4,q5を介して油室26aに入力され、スプール26pが右半位置にされる。すると、入力ポート26dと出力ポート26cとが連通され、かつ入力ポート26fと出力ポート26gとが連通される。この際、上記第1クラッチアプライリレーバルブ25のスプール25pが左半位置であると、油路nに出力された前進レンジ圧PDが入力ポート26dを介して出力ポート26cから油路k2に出力され、クラッチC−1の油圧サーボ31に供給される。また、上記第1クラッチアプライリレーバルブ25のスプール25pが右半位置であると、油路m2に出力された前進レンジ圧PDが入力ポート26fを介して出力ポート26gから油路l2に出力され、後述するC−2リレーバルブ27、油路l3,l4を介してクラッチC−2の油圧サーボ32に供給される。
また、このオールオフフェールが発生した際は、ノーマルオープンであるリニアソレノイドバルブSLC3(不図示)からクラッチC−3の油圧サーボにライン圧PLがそのまま係合圧PC3として供給されて該クラッチC−3が係合されるため、つまり上記第1クラッチアプライリレーバルブ25のスプール25pが左半位置であるとクラッチC−1及びクラッチC−3が係合されて前進3速段が確保され、スプール25pが右半位置であるとクラッチC−2及びクラッチC−3が係合されて前進5速段が確保される。これにより、オールオフフェールが発生したとしても、走行状態を確保することができる。
C−2リレーバルブ27は、スプール27pと、該スプール27pを図中上方に付勢するスプリング27sとを有していると共に、該スプール27pの図中上方に油室27aを有しており、さらに、入力ポート27bと、出力ポート27cと、出力ポート27dとを有して構成されている。
該C−2リレーバルブ27は、スプリング27sの付勢力によりスプール27pが左半位置にされた状態で、入力ポート27bと出力ポート27cとが連通され、つまり油路l2に供給されるリニアソレノイドバルブSLC2の係合圧PC2(オールオフフェール時は第1クラッチアプライリレーバルブ25からの前進レンジ圧PD)を、油路l3,l4を介してクラッチC−2の油圧サーボ32に供給して該クラッチC−2を係合させると共に、油路l5を介して第1クラッチアプライリレーバルブ25の油室25aに供給して該第1クラッチアプライリレーバルブ25を左半位置にする。
また、該C−2リレーバルブ27は、上記ソレノイドバルブS1及びソレノイドバルブS2から共に信号圧PS1,PS2が出力され、後述するB−2リレーバルブ28が右半位置となって、油路q1,q6,q7を介して油室27aに信号圧PS1が入力されることで右半位置にされた際には、入力ポート27bと出力ポート27dとが連通され、油路l2に供給されるリニアソレノイドバルブSLC2の係合圧PB2を、油路o1,後述するB−2リレーバルブ28、油路o2を介してブレーキB−2の油圧サーボ33に供給して該ブレーキB−2を係合させる。
B−2リレーバルブ28は、スプール28pと、該スプール28pを図中上方に付勢するスプリング28sとを有していると共に、該スプール28pの図中上方に油室28aを有しており、出力ポート28bと、入力ポート28cと、入力ポート28dと、入力ポート28eと、出力ポート28fとを有して構成されている。
該B−2リレーバルブ28は、スプリング28sの付勢力によりスプール28pが左半位置にされた際に、入力ポート28dと出力ポート28fとが連通され、かつ入力ポート28cと入力ポート28eが遮断され、例えば後進レンジ(Rレンジ)である際に不図示のマニュアルバルブから後進レンジ圧PRを、油路pを介して入力し、油路o2を介してブレーキB−2の油圧サーボ33に供給して該ブレーキB−2を係合させる。なお、この状態において、上記ソレノイドバルブS1から信号圧PS1が出力されても、入力ポート28cにおいて遮断し、上記C−2リレーバルブ27の油室27aに信号圧PS1が供給されることは阻止される。
また、上記ソレノイドバルブS2の信号圧PS2を油路r1,r3,r6を介して油室28aに入力し、スプール28pが右半位置にされた際には、入力ポート28cと出力ポート28bとが連通され、かつ入力ポート28eと出力ポート28fとが連通され、上記ソレノイドバルブS1から油路q6に出力された信号圧PS1を、油路q7を介して上記C−2リレーバルブ27の油室27aに供給すると共に、右半位置となった該C−2リレーバルブ27を介して油路o1に供給されるリニアソレノイドバルブSLC2からの係合圧PB2を油路o2に供給し、ブレーキB−2の油圧サーボ33に供給して該ブレーキB−2を係合させる。
続いて、本発明の要部となる発進装置5の発進クラッチ3に対する係合圧PSLUの供給経路、及び発進装置5のフルードカップリング4に対する循環油の給排経路について説明する。
図2に示すように、リニアソレノイドバルブ(第2調圧ソレノイドバルブ)SLUは、非通電時に非出力状態となるノーマルクローズタイプからなり、油路a7を介して上記ライン圧PLを入力する入力ポートSLUaと、該ライン圧PLを調圧して係合圧PSLUとして出力する出力ポートSLUbと、ドレーンポートSLUcとを有している。即ち、該リニアソレノイドバルブSLUは、非通電時に入力ポートSLUaと出力ポートSLUbとを遮断すると共に出力ポートSLUbとドレーンポートSLUcとを連通する非出力状態となり、制御部200(ECU)からの指令値に基づく通電時には、入力ポートSLUaと出力ポートSLUbとの連通する量(開口量)を該指令値に応じて大きくし、つまり指令値に応じた係合圧PSLUを出力し得るように構成されている。そして、該リニアソレノイドバルブSLUの出力ポートSLUbは、油路h1,h2を介して後述の第2サーキュレーションリレーバルブ23の油室23aに接続されていると共に、油路h1,h3、発進装置の入力経路5aを介して発進クラッチ3の油圧サーボ3aに接続されており、つまり係合圧PSLUを上昇することで該油圧サーボ3aに供給される係合圧PSLUと循環油との圧力の差圧によって制御されて、該発進クラッチ3を図中右方側に押圧して係合させる。なお、ドレーンポートSLUcはチェックバルブ54に接続されており、非出力状態にあって空気が混入することを防止している。また、上記油路h3には油路h4を介してアキュムレータ40が接続されており、発進クラッチ3の油圧サーボ3aへの油圧の脈動やサージ圧を吸収し得るように構成されている。
一方、モジュレータバルブ(循環圧一定装置)21は、スプール21pと、該スプール21pを一方向(図中上方)に付勢するスプリング21sとを有していると共に、ライン圧PLが入力される入力ポート21aと、ライン圧PLを調圧して出力する出力ポート21bと、出力された油圧がフィードバック圧として入力され前記フィードバック圧がスプリング21sの付勢力と対向する位置に形成された油室21cとを有しており、該ライン圧PLが所定圧未満であれば、入力ポート21aに入力されるライン圧PLをそのまま出力ポート21bから上記循環圧PCIRとして出力し、該ライン圧PLが所定圧以上となると、油路d1,d2を介して油室21cに入力されるフィードバック圧に基づきスプリング21sの付勢に打ち勝ってスプール21pを図中下方側に移動させ、入力ポート21aに入力されるライン圧PLを略一定圧に調圧して循環圧PCIRとして出力する。この循環圧PCIRは、油路d1、チェックバルブ50、油路d3を介して発進装置5の入力経路5bに供給され、つまりフルードカップリング4用の内圧として供給される。即ち、油路a5、モジュレータバルブ21、油路d1,d3により循環油の供給経路(循環油供給油路)が構成されている。
また、上記発進装置5の出力経路5cには、オリフィス60が介在された油路e(循環油排出油路)が接続されており、該油路eは、発熱量対応流量変更装置(図1参照)としての第1サーキュレーションリレーバルブ(発熱量対応流量変更バルブ)22の入力ポート22dに接続されている。該第1サーキュレーションリレーバルブ22は、スプール22pと、該スプール22pを図中上方に付勢するスプリング22sとを有していると共に、該スプール22pの図中上方に油室22aと、スプール22pの図中下方に油室22bとを有しており、さらに、出力ポート22cと、上記油路eに接続された入力ポート22dと、出力ポート22eと、入力ポート22fとを有して構成されている。
上記油室22aは、油路q1,q2,q3を介して上述したソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに接続されており、上記油室22bは、油路r1,r2を介して上記ソレノイドバルブS2の出力ポートS2bに接続されている。上記入力ポート22dには、上記油路eを介して発進装置5の出力経路5cが接続されており、上記入力ポート22fには、油路cを介して上記プライマリレギュレータバルブ20の背圧出力ポート20fが接続され、ライン圧PLの背圧が入力されている。また、出力ポート22cは、オリフィス61が介在された油路g1を介して吐出量対応流量変更装置(図1参照)としての第2サーキュレーションリレーバルブ(吐出量対応流量変更バルブ)23の入力ポート23bに接続されており、出力ポート22eは、オイルクーラ10が介在された油路f1〜f8に接続され、最終的には潤滑油路11に接続されている。
発熱量対応流量変更装置(図1参照)としての第1サーキュレーションリレーバルブ22は、スプリング22sの付勢力(及び油室22bに入力されるソレノイドバルブS2の信号圧PS2)により、スプール22pが左半位置にされた際に、入力ポート22dと出力ポート22cとが連通されると共に、入力ポート22fと出力ポート22eとが連通され、該入力ポート22dから流入される循環油を、出力ポート22cより油路g1を介して詳しくは後述する第2サーキュレーションリレーバルブ23(即ち、吐出量対応流量変更装置)に流出すると共に、入力ポート22fに入力されるライン圧PLの背圧を、オイルクーラ10が介在された油路f1〜f8(最終的には潤滑油路11)に出力する。
また、油室22aに入力されるソレノイドバルブS1の信号圧PS1により、スプール22pが右半位置にされた際には、入力ポート22dと出力ポート22eとが連通されると共に、入力ポート22fと出力ポート22cとが遮断され、該入力ポート22dから流入される循環油を、オイルクーラ10が介在された油路f1〜f8(最終的には潤滑油路11)に出力する。
なお、出力ポート22eに接続された油路f1は、油路f2を介してオイルクーラ10に接続され、さらに油路f4,f5,f6,f8を介して潤滑油路11に接続されている。また、油路f1からは油路f3を介してチェックバルブ51が接続されており、該チェックバルブ51が開放された際には、油路f3,f7を介して油路f8にバイパスされる。即ち、例えば油温が低く、オイルの粘性が高いことに起因してオイルクーラ10の抵抗が大きいと、その抵抗により生じた圧によりチェックバルブ51が開放され、つまり低油温時にはオイルクーラ10を通ることを不要として、潤滑油路11にオイルがバイパス供給されることになる。
吐出量対応流量変更装置(図1参照)としての第2サーキュレーションリレーバルブ23は、スプール23pと、該スプール23pを図中上方に付勢するスプリング23sとを有していると共に、該スプール23pの図中上方に油室23aを有しており、さらに、上記油路g1に接続された入力ポート23bと、出力ポート23cと、出力ポート23dと、入力ポート23eと、出力ポート23fとを有して構成されている。
上記油室23aは、油路h1,h2を介して上述したリニアソレノイドバルブSLUの出力ポートSLUbに接続されている。上記入力ポート23bには、上記油路g1が接続されており、出力ポート23cには、小径なオリフィス(流量規制部材)62が介在された油路g2(即ち、吐出量対応流量変更装置、小流量油路)が接続され、また、出力ポート23dには、上記オリフィス62よりも大径なオリフィス63が介在された油路g3(即ち、吐出量対応流量変更装置、大流量油路)が接続されている。これら油路g2,g3はそれぞれ不図示のオイルパンに対して開口している。また、上記入力ポート23eは、油路q1,q2,q4を介してソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに接続されており、上記出力ポート23fは、油路q5を介して上記第2クラッチアプライリレーバルブ26の油室26aに接続されている。なお、上記オリフィス61は、オリフィス62,63よりも更に大径となっており、つまりオリフィス61、オリフィス63、オリフィス62の順に径が小さく形成されている。このため、油路g1においてオリフィス61により流量を調量するものの、油路g2,g3よりも流量を絞って流れを阻害してしまうことはない。
該第2サーキュレーションリレーバルブ23は、スプリング23sの付勢力により、スプール23pが左半位置にされた際に、入力ポート23bと出力ポート23cとが連通され、該入力ポート23bから流入される循環油を、出力ポート23cより油路g2に流出する。また、左半位置にされた際は、入力ポート23eと出力ポート23fとが連通されており、ソレノイドバルブS1から信号圧PS1が出力された場合に、上記第2クラッチアプライリレーバルブ26の油室26aに該信号圧PS1を供給する。
また、油室23aに入力されるリニアソレノイドバルブSLUの係合圧PSLUが上昇され、スプリング23sの付勢力に打ち勝ってスプール23pが右半位置にされた際には、入力ポート23bと出力ポート23dとが連通され、該入力ポート23bから流入される循環油を、出力ポート23dより油路g3に流出する。また、右半位置にされた際は、入力ポート23eと出力ポート23fとが遮断され、ソレノイドバルブS1から信号圧PS1が出力されたとしても、上記第2クラッチアプライリレーバルブ26の油室26aに該信号圧PS1を供給することはない。
なお、以上説明した発進装置5への循環油供給油路としての油路d3、循環油排出油路としての油路e、係合圧PSLUを供給する油路h3は、具体的な断面図を省略しているが、実際には油圧制御装置11からミッションケース、オイルポンプユニット、入力軸6a等に穿設された油路を用いて油の給排が行われることになる。
ついで、以上のように構成された油圧制御装置11における循環油の排出路切換え制御について、図1乃至図3を参照しつつ図4のフローチャートに沿って説明する。
図4に示すように、例えばイグニッションONされると本発明に係る循環油の排出路切換え制御が制御部(ECU)200においてスタートされ(S1)、まず、図示を省略した出力軸回転数センサ(車速センサ)により車速を検知する(S2)。例えば車速Vが設定速度(所定車速)Va未満(ほぼ停車状態)である場合は(S3のYES)、シフトレバー(不図示)が何れのシフトレンジであるかを検出すると共に(S4)、D(ドライブ)レンジであるか否かを判定する(S5)。例えばDレンジではない場合は(S5のNO)、エンジンの回転数Nが設定エンジン回転数(回転速度)Na未満であるか否かを判定し(S6)、設定エンジン回転数Na未満である場合は(S6のYES)、例えば運転者が車庫入れ等を行って非走行レンジ(Nレンジ、Pレンジ)と走行レンジ(Rレンジ、Dレンジ)とを頻繁に切換える、いわゆるガレージシフトが行われている状態と考えられるので、後述するステップS10に進む。また、ステップS5において、Dレンジであることが判定されると(S5のYES)、アクセル開度センサ(不図示)によりアクセルがONされているか否かを判定し(S7)、例えばアクセルがONではない状態、つまりアクセルがOFFの状態では(S7のNO)、後述するステップS10に進む。
即ち、Dレンジ以外であってエンジン回転数Nが設定エンジン回転数Na未満である状態と、DレンジであってもアクセルOFFの状態では、いわゆるガレージシフトが行われることで頻繁にクラッチやブレーキの係合・解放制御が行われる可能性が大きいが、車速が設定速度Va以下であって特にエンジン回転数Nが設定エンジン回転数Na未満であるので、エンジン100に連動するオイルポンプ7の回転数が低く、該オイルポンプ7の吐出量が少ない状態である。そのため、この状態では、制御部200の吐出量対応流量指示部201(図1参照)によりリニアソレノイドバルブSLUから出力される係合圧PSLUが設定圧未満となるように指令し(S10)、さらに、ここでは発熱量対応流量指示部202(図1参照)によりソレノイドバルブS1から信号圧PS1が出力されないように(ソレノイドバルブS1をONするように)指令し(S11)、リターンする(S14)。
これにより、図2に示すように、発熱量対応流量変更装置(図1参照)としての第1サーキュレーションリレーバルブ22は左半位置となり、かつ吐出量対応流量変更装置(図1参照)としての第2サーキュレーションリレーバルブ23も左半位置となる。このため、発進装置5の出力経路5cから流出した循環油は、油路e、第1サーキュレーションリレーバルブ22、油路g1、第2サーキュレーションリレーバルブ23、油路g2を介して排出され、つまり最も小径なオリフィス62を介して排出されるために流体抵抗が高く、排出量が少量に絞られるため、発進装置5を循環する循環油の流量を少量にすることができる。従って、オイルポンプ7の吐出量が少なかったとしても、油が発進装置5側に多量に流れることはなく、つまり変速機構6のクラッチやブレーキの油圧制御用に充分な流量を確保することができ、変速機構6にあって変速に必要な油圧を得ることができて、変速時間が長くなってしまうことの防止を図ることができる。
一方、例えばステップ7においてDレンジの状態でアクセルを踏み込むと(アクセルON)(S7のYES)、制御部200の発熱量対応流量指示部202は、リニアソレノイドバルブSLUの係合圧(出力圧)PSLUを、設定圧以上でかつ発進クラッチ3が係合する係合圧未満となるように上昇させるように指示する(S12)。さらに制御部200の発熱量対応流量指示部202は、ソレノイドバルブS1をOFFするように指示し、つまり信号圧PS1を出力させ(S13)、リターンする(S14)。これにより、図2に示すように、第2サーキュレーションリレーバルブ23は、油室23aの係合圧PSLUがスプリング23sの付勢力を上回って右半位置に切換えられる。この際、係合圧PSLUは、上述のように発進クラッチ3を係合させるほど上昇されないので、つまり発進クラッチ3は解放されたままである。そして、発熱量対応流量変更装置(図1参照)としての第1サーキュレーションリレーバルブ22は、油室22aの係合圧PS1がスプリング22sの付勢力を上回って右半位置に切換えられる。
なお、第2サーキュレーションリレーバルブ23が右半位置に切換えられるので、ソレノイドバルブS1から油路q4を介して入力ポート23eに入力される信号圧PS1は該入力ポート23eで遮断され、これにより、油路q5を介して接続された第2クラッチアプライリレーバルブ26の油室26a(図3参照)に信号圧PS1が入力されることはなく、該第2クラッチアプライリレーバルブ26は正常位置である左半位置のまま維持される。
この状態では、車速Vが設定車速Va未満であるため、フルードカップリング4により動力伝達を行い、かつエンジン100の回転と変速機構6の入力軸6aの回転との回転数差を吸収している状態であり、発熱量が多い状態である。また、この状態では、アクセルが踏み込まれているため、ガレージシフトが行われる可能性が少なく、つまりクラッチやブレーキの係合・解放制御を行う可能性が小さい。このため、発進装置5の出力経路5cから流出した循環油は、油路e、第1サーキュレーションリレーバルブ22、油路f1〜f8及びオイルクーラ10を介して排出され、つまりオリフィス61,62,63が介在しない流体抵抗が最も低い経路で排出される。これにより、流体抵抗が低くなったことで排出量が最も多い量にすることができて、発進装置5の冷却効率を高めることができ、かつ発熱した発進装置5内を循環した循環油を直ぐにオイルクーラ10に送出して冷却することができる。従って、発進装置5の冷却不足を防止することができて、発進装置5の耐久性の向上を図ることができる。
一方、例えば車速Vが設定車速Va以上となって、つまり車輌が発進されて走行状態となった場合(S3のNO)、また、エンジン回転数Nが設定エンジン回転数Na以上となった場合は(S6のNO)、エンジン100が充分に回転されてオイルポンプ7の吐出量が充分な吐出量となった状態であり、かつクラッチやブレーキの係合・解放制御が頻繁に行われることがなく、変速機構6における流量が少量で足りる状態であるので、制御部200の吐出量対応流量指示部201(図1参照)によりリニアソレノイドバルブSLUの係合圧PSLUを設定圧以上に上昇するように指示する(S8)。なお、この際、車輌が定常走行状態となっていれば、係合圧PSLUを発進クラッチ3の係合圧以上に上昇し、該発進クラッチ3を係合しても構わない。また、この際は、制御部200の発熱量対応流量指示部202(図1参照)によりソレノイドバルブS1はONされて信号圧PS1を非出力状態に制御され(S9)、リターンする(S14)。これにより、図2に示すように、第1サーキュレーションリレーバルブ22は、スプリング22sの付勢力に基づき左半位置に切換えられ、第2サーキュレーションリレーバルブ23は、油室23aの係合圧PSLUがスプリング23sの付勢力を上回って右半位置に切換えられたままとなる。
この状態では、上述のようにエンジン100が充分に回転されてオイルポンプ7の吐出量が充分な吐出量となった状態であり、かつクラッチやブレーキの係合・解放制御が頻繁に行われることがない状態であるので、発進装置5の出力経路5cから流出した循環油は、油路e、第1サーキュレーションリレーバルブ22、油路g1、第2サーキュレーションリレーバルブ23、油路g3を介して排出され、大径なオリフィス63を介して排出されるために流体抵抗がある程度高いながらも、上記油路g2の排出の場合に比して流体抵抗は低くされ、排出量が中程度に絞られるため、つまり循環油の流量を通常通りにすることができる。
なお、この状態では、ライン圧PLの背圧が油路cから第1サーキュレーションリレーバルブ22を介して油路f1〜f8及びオイルクーラ10に出力され、潤滑油路11に対する潤滑流量が確保される。また、第1サーキュレーションリレーバルブ22を右半位置から左半位置に切換える際は、ソレノイドバルブS2をONして信号圧PS2を油室22bに入力させるようにすることで、該第1サーキュレーションリレーバルブ22を素早く切換えることができる。特に前進1速段にあっては、ブレーキB−2にリニアソレノイドバルブSLC2からの係合圧PB2を供給しても構わない状態であるため、B−2リレーバルブ28が右半位置に切換えられても構わない。
以上説明したように本発明に係る自動変速機の油圧制御装置11によると、オイルポンプ7から吐出された油の吐出量に応じて吐出量対応流量変更装置としての第2サーキュレーションリレーバルブ23、オリフィス62が介在された油路g2、オリフィス63が介在された油路g3が発進装置5に対する流量を変更するので、オイルポンプ7の吐出量が少ない状態で発進装置5に対する流量を少なくして、変速機構6に優先的に油を供給することができる。これにより、オイルポンプ7から油の吐出量が少ない状態で変速機構6にあって変速に必要な油圧を得ることができ、変速時間が長くなってしまうことの防止を図ることができる。
また、オイルポンプ7を大径化したり、エンジン回転数を上げたりせずに、変速時間が長くなってしまうことの防止を図ることができる。よって車輌の燃費に影響を与えることなく、変速時間が長くなってしまうことの防止を図ることができる。
また、発進クラッチ3の係合状態が該発進クラッチ3の油圧サーボ3aに供給される係合圧PSLUと循環油との圧力の差圧によって制御されるが、吐出量対応流量変更装置としての第2サーキュレーションリレーバルブ23、オリフィス62が介在された油路g2、オリフィス63が介在された油路g3が循環油の流量を段階的に変更するので、循環油の流量を連続的に変更する場合に比して、発進クラッチ3の制御を容易にすることができる。
さらに、プライマリレギュレータバルブ20及びリニアソレノイドバルブSLTにより調圧されたライン圧PLに基づき発進装置5の循環油を供給するが、オイルポンプ7の吐出量が少ない時に循環油の流量が小さくなるように吐出量対応流量変更装置としての第2サーキュレーションリレーバルブ23、オリフィス62が介在された油路g2、オリフィス63が介在された油路g3が流量を変更するので、変速機構6に優先的にライン圧PLに基づく油を供給することができ、オイルポンプ7から油の吐出量が少ない状態で変速機構6にあって変速に必要な油圧を得ることができ、変速時間が長くなってしまうことの防止を図ることができる。
また、吐出量対応流量変更装置としての第2サーキュレーションリレーバルブ23、オリフィス62が介在された油路g2、オリフィス63が介在された油路g3が循環油排出油路としての油路e,g1に配置されているので、例えば循環油供給油路としての油路d1,d3に吐出量対応流量変更装置を配置して流量を小さくした場合は発進装置5内が循環油で満たされなくなる虞があるが、発進装置5内から排出された循環油の流量を制御することになるため、流量の大小に拘らず、発進装置5内を確実に潤滑油で満たすことができる。
さらに、循環油供給油路としての油路a5,d1,d3に発進装置5に供給する循環油の循環圧を一定にするモジュレータバルブ21が配置されているので、発進装置5内の圧力を一定にしながら循環油の流量を変更することができ、発進クラッチ3の制御をさらに容易にすることができる。また、吐出量対応流量変更装置としての第2サーキュレーションリレーバルブ23、オリフィス62が介在された油路g2、オリフィス63が介在された油路g3が循環油排出油路としての油路e,g1に配置されているので、発進装置5内から排出された循環油の流量を制御することになるため、流量の大小に拘らず、発進装置5内を確実に潤滑油で満たすことができる。
また、第2サーキュレーションリレーバルブ23が、リニアソレノイドバルブSLUが調圧する係合圧PSLUに基づき、油路g1及び油路g2を連通する小流量位置(左半位置)と油路g1及び油路g3を連通する大流量位置(右半位置)とに切換えられるので、第2サーキュレーションリレーバルブ23を切換えるために新たなソレノイドバルブを設けることを不要とすることができ、油圧制御装置11の大型化を防止することができる。
さらに、第2サーキュレーションリレーバルブ23は、係合圧PSLUが発進クラッチ3を係合させる係合開始圧よりも低い設定圧となった際に小流量位置(左半位置)から大流量位置(右半位置)に切換えられるので、該第2サーキュレーションリレーバルブ23の切換えを発進クラッチの係合圧PSLUにより行うことができると共に、発進クラッチ3の係脱と独立して該第2サーキュレーションリレーバルブ23の切換えを制御することができる。なお、発進クラッチ3の係合開始圧とは、発進クラッチ3を介してエンジントルクの変速機構6側への伝達が開始される圧である。
一方、発熱量対応流量変更装置としての第1サーキュレーションリレーバルブ22が、油路e,g1における発進装置5と第2サーキュレーションリレーバルブ23との間に介在され、発進装置5の発熱量に応じて、発進装置5及びクーラ油路f1〜f8を連通するクーラ10の連通状態と、発進装置5及び第2サーキュレーションリレーバルブ23を連通するクーラ10の非連通状態とに切換えられるので、オイルポンプ7の吐出量に基づく循環油の流量の切換えだけでなく、発進装置5の発熱量に基づく循環油の流量の切換えも行うことができる。
また、第1サーキュレーションリレーバルブ22を、発熱量対応流量指示部202の指示によるソレノイドバルブS1の信号圧PS1に基づきクーラ10の連通状態(右半位置)とクーラ10の非連通状態(左半位置)とに切換ることができる。
さらに、第2サーキュレーションリレーバルブ23が、ソレノイドバルブS1と第2クラッチアプライリレーバルブ26との間に介在し、リニアソレノイドバルブSLUの係合圧PSLUに基づき大流量位置(右半位置)に切換えられた際に第2クラッチアプライリレーバルブ26に対する信号圧PS1を遮断するので、第2クラッチアプライリレーバルブ26を切換えるための信号圧PS1を、第1サーキュレーションリレーバルブ22を切換える信号圧PS1として用いることができ、つまり第1サーキュレーションリレーバルブ22を切換えるために新たなソレノイドバルブを設けることを不要とすることができるので、油圧制御装置の大型化を防止することができる。
<第2の実施の形態>
ついで、上記第1の実施の形態を一部変更した第2の実施の形態について、図5及び図6に沿って説明する。なお、本第2の実施の形態の説明においては、第1の実施の形態と同様な部分に同符号を付し、その説明を省略する。また、図5に示す油圧制御装置12は、図2及び図3に示す油圧制御装置11に対して異なる部分を主要部分として示したものであり、図5において省略した部分は、図2及び図3において示したように、実際には油圧制御装置12に備えられているものである。
本第2の実施の形態に係る油圧制御装置12においては、第1の実施の形態に係る油圧制御装置11ではリニアソレノイドバルブSLUの係合圧PSLUを直接的に発進クラッチ3の油圧サーボ3aに供給していたものを、コントロールバルブ129によりリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUに基づきライン圧PLを調圧して供給する形にしたものである。なお、本第2の実施の形態においては、リニアソレノイドバルブSLUが出力する油圧が直接的に発進クラッチ3を係合するための油圧ではなく、コントロールバルブ129を制御する油圧であるので、「係合圧PSLU」ではなく「制御圧PSLU」という。
また、本第2の実施の形態に係る油圧制御装置12においては、第1の実施の形態に係る油圧制御装置11ではリニアソレノイドバルブSLUの係合圧PSLUにより第2サーキュレーションリレーバルブ23を切換えていたものを、リニアソレノイドバルブSLT(第1調圧ソレノイドバルブ)の制御圧PSLTに基づき調圧されるライン圧PLによって第2サーキュレーションリレーバルブ(吐出量対応流量変更装置、吐出量対応流量変更バルブ)123を切換え得る形にしたものである。
更に、本第2の実施の形態に係る油圧制御装置12においては、第1の実施の形態に係る油圧制御装置11ではソレノイドバルブS1の信号圧PS1及びソレノイドバルブS2の信号圧PS2により第1サーキュレーションリレーバルブ22を切換えていたものを、ソレノイドバルブS1の信号圧PS1だけに基づき第1サーキュレーションリレーバルブ122を切換える形にしたものである。
続いて、本第2の実施の形態に係る油圧制御装置12を図5に沿って詳細に説明する。制御部200からの指令により制御されるリニアソレノイドバルブSLTのSLT圧PSLTに基づきプライマリレギュレータバルブ20によって調圧されるライン圧PLは、油路a1,a5,a10,a11(共通油路)に供給されており、そのうちの油路a5に供給されるライン圧PLは、モジュレータバルブ21の入力ポート21aに入力されている。
該モジュレータバルブ21は、スプール21pと、該スプール21pを一方向(図中上方)に付勢するスプリング21sとを有していると共に、ライン圧PLが入力される入力ポート21aと、ライン圧PLを調圧して出力する出力ポート21bと、出力された油圧がフィードバック圧として入力され該フィードバック圧がスプリング21sの圧力と対向する位置に形成された油室21cとを有しており、該ライン圧PLが所定圧未満であれば、入力ポート21aに入力されるライン圧PLをそのまま出力ポート21bから循環圧PCIRとして出力し、該ライン圧PLが所定圧以上となると、油路d1,d2を介して油室21cに入力されるフィードバック圧に基づきスプリング21sの付勢に打ち勝ってスプール21pを図中下方側に移動させ、入力ポート21aに入力されるライン圧PLを略一定圧に調圧して循環圧PCIRとして出力する。この循環圧PCIRは、油路d1、油路d3を介して発進装置5の入力経路5bに供給され、つまりフルードカップリング4用の内圧として供給されると共に、油路d4を介して詳しくは後述するコントロールバルブ129の油室129aに供給される。
該コントロールバルブ129は、スプール129pと、該スプール129pを一方向(図中下方)に付勢するスプリング129sとを有していると共に、上記循環圧PCIRが入力される油室129aと、ドレーンポートEXと、ライン圧PLを調圧して発進クラッチ3の係合圧PCONTとして出力する出力ポート129bと、油路a11を介してライン圧PLが入力される入力ポート129cと、油路k5を介して制御圧PSLUが入力される油室129dと、出力された係合圧PCONTがフィードバック圧として入力され該フィードバック圧がスプリング129sの付勢力と同方向に作用するように形成されたフィードバック油室129eとを有している。
該コントロールバルブ129において、制御部200からの指令に基づきリニアソレノイドバルブSLUの制御圧PSLUが大きくされると、油室129dに入力される該制御圧PSLUが大きくされ、スプリング129sの付勢力に抗してスプール129pが図中上方側に押圧駆動されて、入力ポート129cと出力ポート129bとの連通量が大きくされる。つまり該入力ポート129cから入力されたライン圧PLは、制御圧PSLUの大きさに基づき大きくなるように出力ポート129bから係合圧PCONTとして出力される。また、該出力ポート129bから出力された係合圧PCONTは、油路s1,s2を介してフィードバック油室129eに入力されてスプール129pを図中下方側に付勢し、係合圧PCONTが大きくなり過ぎた場合に該係合圧PCONTが小さくなるように作用して、つまり該係合圧PCONTのフィードバックが行われる。
このようにフィードバックされつつ出力される係合圧PCONTは、油路s3,s4、発進装置5の入力経路5aを介して発進クラッチ3の油圧サーボ3aに供給される。発進クラッチ3は、係合圧PCONTを上昇することで該油圧サーボ3aに供給される係合圧PCONTと発進装置5内の循環油PCIRとの圧力の差圧によって制御され、係合圧PCONTが循環油PCIRより大きくなると、該発進クラッチ3を図中右方側に押圧して係合させる。
また、コントロールバルブ129の油室129aには油路d4を介して循環油PCIRが入力されており、該循環油PCIRの変動がスプール129pの駆動位置に反映される。即ち、該循環油PCIRが大きくなるとスプール129pを図中上方側に押圧駆動し、係合圧PCONTが大きくなるように制御され、該循環油PCIRが小さくなるとスプリング129sの付勢力に基づきスプール129pを図中下方側に押圧駆動し、係合圧PCONTが小さくなるように制御されて、つまり循環油PCIRの変動によって、発進装置5内における係合圧PCONTと循環油PCIRとの圧力の差圧が変動しないようにフィードバック制御される。
一方、本第2の実施の形態におけるソレノイドバルブS1は、通電時に出力状態となるノーマルクローズタイプからなり、油路i5を介してソレノイドモジュレータバルブ24(図2参照)からモジュレータ圧PMODを入力する入力ポートS1aと、通電時(即ちON時)に該モジュレータ圧PMODを略々そのまま信号圧PS1として出力する出力ポートS1bとを有している。該出力ポートS1bは、油路q3を介して発熱量対応流量変更装置(図1参照)としての第1サーキュレーションリレーバルブ122の油室122aに接続されている。なお、勿論であるが、ソレノイドバルブS1は、第1の実施の形態と同様に、非通電時に出力状態となるノーマルオープンタイプで構成してもよい。
該第1サーキュレーションリレーバルブ122は、スプール122pと、該スプール122pを図中上方に付勢するスプリング122sとを有していると共に、該スプール122pの図中上方に油室122aと、スプール122pの図中下方に油室122bとを有しており、さらに、出力ポート122cと、油路eに接続された入力ポート122dと、出力ポート122eと、入力ポート122fと、入力ポート122gと、出力ポート122hとを有して構成されている。このうちの入力ポート122gと出力ポート122hとは、スプール122pの位置に拘わらず常時連通するように構成されており、上記コントロールバルブ129からの係合圧PCONTが発進クラッチ3の油圧サーボ3aに常時連通されている。
なお、発進クラッチ3をロックアップクラッチとして用いる場合にあって、該第1サーキュレーションリレーバルブ122によりロックアップのON/OFF制御を行う場合には、スプール122pの形状を変更し、該スプール122pが左半位置の際に入力ポート122gを遮断して、かつスプール122pが右半位置の際に入力ポート122gと出力ポート122hとが連通するように構成することになる。即ち、発進クラッチ3をロックアップクラッチとして用いる場合には、スプール122pの形状の変更だけで容易に対応することができる。
一方、上記油室122aは、油路q3を介して上述したソレノイドバルブS1の出力ポートS1bに接続されており、上記油室122bは、ドレーンポートEXにより開放されている。上記入力ポート122dには、油路eを介して発進装置5の出力経路5cが接続されており、上記入力ポート122fには、油路cを介して上記プライマリレギュレータバルブ20の背圧出力ポート20fが接続され(図2参照)、ライン圧PLの背圧PL−LUBEが入力されている。また、出力ポート122cは、オリフィス61が介在された油路g1を介して吐出量対応流量変更装置(図1参照)としての第2サーキュレーションリレーバルブ123の入力ポート123bに接続されており、出力ポート122eは、オイルクーラ10が介在された油路f1に接続され、最終的には潤滑油路11に接続されている(図2参照)。
吐出量対応流量変更装置(図1参照)としての第2サーキュレーションリレーバルブ123は、スプール123pと、該スプール123pを図中上方に付勢するスプリング123sとを有していると共に、該スプール123pの図中上方に油室123aを有しており、さらに、上記油路g1に接続された入力ポート123bと、出力ポート123cと、出力ポート123dと、油室123eとを有して構成されている。
上記油室123aは、油路a10を介してリニアソレノイドバルブSLTの制御圧PSLTに基づき制御されるライン圧PLが入力されている。上記入力ポート123bには、上記油路g1が接続されており、出力ポート123cには、小径なオリフィス62が介在された油路g2(即ち、小流量油路)が接続され、また、出力ポート123dには、上記オリフィス62よりも大径なオリフィス63が介在された油路g3(即ち、大流量油路)が接続されている。これら油路g2,g3はそれぞれ不図示のオイルパンに対して開口している。また、出力ポート123dは、油路g3,g4を介して上記油室123eが接続されている。なお、第1の実施の形態と同様に、上記オリフィス61は、オリフィス62,63よりも更に大径となっており、つまりオリフィス61、オリフィス63、オリフィス62の順に径が小さく形成されている。このため、油路g1においてオリフィス61により流量を調量するものの、油路g2,g3よりも流量を絞って流れを阻害してしまうことはない。
該第2サーキュレーションリレーバルブ123は、スプリング123sの付勢力により、スプール123pが左半位置にされた際に、入力ポート123bと出力ポート123cとが連通され、該入力ポート123bから流入される循環油を、出力ポート123cより油路g2に流出する。また、油室123aに入力されるライン圧PLが所定圧以上となると、スプリング123sの付勢力に打ち勝ってスプール123pが右半位置にされ、入力ポート123bと出力ポート123dとが連通され、該入力ポート123bから流入される循環油を、出力ポート123dより油路g3に流出する。
なお、出力ポート123dより油路g3に流出される油圧が大きくなると、つまり発進装置5の循環圧PCIRが低下することになってフルードカップリング4の動力伝達性能が低下する虞があるので、出力ポート123dより流出される油圧が油路g3,g4を介して油室123eに入力され、該油圧が大きくなった際にスプリング123sの付勢力と相俟って左半位置に切換えられるように構成されている。これにより、出力ポート123dより油路g3に流出される油圧が予め設定した設定圧以上に大きくなると、発進装置5の循環油の流出経路が油路g2(即ち、小流量油路)に切換り、発進装置5内の循環圧PCIRの低下を防止することができる。
ついで、以上のように構成された油圧制御装置12における循環油の排出路切換え制御について、図5を参照しつつ図6のフローチャートに沿って説明する。
図6に示すように、例えばイグニッションONされると本発明に係る循環油の排出路切換え制御が制御部(ECU)200においてスタートされ(S20)、まず、図示を省略した出力軸回転数センサ(車速センサ)により車速を検知する(S21)。例えば車速Vが設定速度(所定車速)Va未満(ほぼ停車状態)である場合は(S22のYES)、シフトレバー(不図示)が何れのシフトレンジであるかを検出すると共に(S26)、D(ドライブ)レンジ又はR(リバース)レンジであるか否かを判定する(S27)。例えばDレンジ又はRレンジではない場合は(S27のNO)、ステップS28に進む。また、ステップS27において、Dレンジ又はRレンジであることが判定され(S27のYES)、アクセル開度センサ(不図示)によりアクセルがONされているか否かを判定し(S30)、例えばアクセルがONではない状態、つまりアクセルがOFFの状態では(S30のNO)、同様にステップS28に進む。
即ち、DレンジやRレンジ以外である場合(つまりP(パーキング)レンジやN(ニュートラル)レンジである場合)と、DレンジやRレンジであってもアクセルOFFの場合とが入替わり得る状態では、いわゆるガレージシフトが行われることで頻繁にクラッチやブレーキの係合・解放制御が行われる可能性が大きいが、特にアクセルOFFであってエンジン回転数が低い状態であるので、エンジン100に連動するオイルポンプ7の回転数が低く、該オイルポンプ7の吐出量が少ない状態である。そのため、この状態では、制御部200の吐出量対応流量指示部201(図1参照)によりリニアソレノイドバルブSLTから出力される制御圧PSLTが0となるように指令し、ライン圧PLの調圧状態として最低状態とする(S28)。
なお、ここでは発熱量対応流量指示部202(図1参照)によりソレノイドバルブS1から信号圧PS1が出力されないように(ソレノイドバルブS1をOFFするように)指令しているので、発熱量対応流量変更装置(図1参照)としての第1サーキュレーションリレーバルブ122は左半位置となっている。
これにより、図5に示すように、第1サーキュレーションリレーバルブ122は左半位置となり、かつ吐出量対応流量変更装置(図1参照)としての第2サーキュレーションリレーバルブ123は、油室123aに入力される最低状態のライン圧PLにスプリング123sの付勢力が打ち勝って左半位置となる。このため、発進装置5の出力経路5cから流出した循環油は、油路e、第1サーキュレーションリレーバルブ122、油路g1、第2サーキュレーションリレーバルブ123、油路g2を介して排出され、つまり最も小径なオリフィス62を介して排出されるために流体抵抗が高く、排出量が少量に絞られるため、発進装置5を循環する循環油の流量を少量にすることができる。従って、オイルポンプ7の吐出量が少なかったとしても、油が発進装置5側に多量に流れることはなく、つまり変速機構6のクラッチやブレーキの油圧制御用に充分な流量を確保することができ、変速機構6にあって変速に必要な油圧を得ることができて、変速時間が長くなってしまうことの防止を図ることができる。
一方、例えばステップS30においてDレンジの状態でアクセルを踏み込み(アクセルON)(S30のYES)、さらに、図示を省略した出力軸回転数センサ(車速センサ)により検知される車速Vが0であると(S31のYES)、制御部200の発熱量対応流量指示部202は、ソレノイドバルブS1をONするように指示し、信号圧PS1を出力させる(S35)。これにより、図5に示すように、発熱量対応流量変更装置(図1参照)としての第1サーキュレーションリレーバルブ122は、油室122aの信号圧PS1がスプリング122sの付勢力を上回って右半位置(クーラ出力位置)に切換えられる(S36)。
この状態では、車速Vが0であるため、例えば登坂路等にあって、フルードカップリング4により動力伝達を行い、かつエンジン100の回転と変速機構6の入力軸6aの回転との回転数差を吸収している状態であり、発熱量が多い状態である。また、この状態では、アクセルが踏み込まれているため、ガレージシフトが行われる可能性が少なく、つまりクラッチやブレーキの係合・解放制御を行う可能性が小さい。このため、発進装置5の出力経路5cから流出した循環油は、油路e、第1サーキュレーションリレーバルブ122、油路f1及びオイルクーラ10を介して排出され、つまりオリフィス61,62,63が介在しない流体抵抗が最も低い経路で排出される。これにより、流体抵抗が低くなったことで排出量が最も多い量にすることができて、発進装置5の冷却効率を高めることができ、かつ発熱した発進装置5内を循環した循環油を直ぐにオイルクーラ10に送出して冷却することができる。従って、発進装置5の冷却不足を防止することができて、発進装置5の耐久性の向上を図ることができる。
その後、例えば車速Vが0以上となって、つまり車輌が発進されて走行状態となった場合は(S31のNO)、エンジン100が充分に回転されてオイルポンプ7の吐出量が充分な吐出量となった状態であり、かつクラッチやブレーキの係合・解放制御が頻繁に行われることがなく、変速機構6における流量が少量で足りる状態となるので、制御部200の吐出量対応流量指示部201(図1参照)によりリニアソレノイドバルブSLTの制御圧PSLTを所定圧以上に上昇するように指示し(S32)、つまりライン圧PLを所定圧以上に上昇する。また、この際は、制御部200の発熱量対応流量指示部202(図1参照)によりソレノイドバルブS1はOFFされて信号圧PS1が非出力状態に制御される。これにより、図5に示すように、第1サーキュレーションリレーバルブ122は、スプリング122sの付勢力に基づき左半位置に切換えられ、第2サーキュレーションリレーバルブ123は、油室123aの所定圧以上のライン圧PLがスプリング123sの付勢力を上回って右半位置に切換えられる(S33)。
この状態では、上述のようにエンジン100が充分に回転されてオイルポンプ7の吐出量が充分な吐出量となった状態であり、かつクラッチやブレーキの係合・解放制御が頻繁に行われることがない状態であるので、発進装置5の出力経路5cから流出した循環油は、油路e、第1サーキュレーションリレーバルブ122、油路g1、第2サーキュレーションリレーバルブ123、油路g3を介して排出され、大径なオリフィス63を介して排出されるために流体抵抗がある程度高いながらも、上記油路g2の排出の場合に比して流体抵抗は低くされ、排出量が中程度に絞られるため、つまり循環油の流量を通常通りにすることができる。
なお、この発進走行状態となった際に、制御圧PSLUを上昇して係合圧PCONTを上昇し、発進クラッチ3の係合圧以上にして、該発進クラッチ3を係合しても構わない。また、この状態では、ライン圧PLの背圧PL−LUBEが油路cから第1サーキュレーションリレーバルブ122を介して油路f1及びオイルクーラ10に出力され、最終的には潤滑油路11に対する潤滑流量が確保された状態となる(図2参照)。
そして、制御部200は、上記リニアソレノイドバルブSLTの制御圧PSLTを所定圧以上に維持したまま(つまりライン圧PLが所定圧以上の領域で)、例えばスロットル開度(エンジン出力)等に基づき、変速機構6におけるクラッチやブレーキに滑りが生じないための(必要なトルク容量を確保するための)必要ライン圧PLを演算し、該演算された必要ライン圧PLに応じて上記リニアソレノイドバルブSLTの制御圧PSLTをコントロールし、つまりライン圧PLを必要な油圧にコントロールする(S34)。
その後、例えば車速Vが設定車速Va以上となると(S22のNO)、つまり車輌が発進されて走行状態となるが、引き続き、制御部200が上記リニアソレノイドバルブSLTの制御圧PSLTを所定圧以上に維持したまま(S23)、第2サーキュレーションリレーバルブ123を右半位置の切換え状態に維持し(S24)、上記演算された必要ライン圧PLに応じて上記リニアソレノイドバルブSLTの制御圧PSLTをコントロールして、ライン圧PLを必要な油圧にコントロールする(S25)。
従って、この走行状態にあっても、上述のようにエンジン100が充分に回転されてオイルポンプ7の吐出量が充分な吐出量となった状態であり、かつクラッチやブレーキの係合・解放制御が頻繁に行われることがない状態であるので、発進装置5の出力経路5cから流出した循環油は、油路e、第1サーキュレーションリレーバルブ122、油路g1、第2サーキュレーションリレーバルブ123、油路g3を介して排出され、つまり大径なオリフィス63を介して中程度に絞りつつ排出されて、循環油の流量を通常通りに維持する。
以上説明したように本発明に係る自動変速機の油圧制御装置12によると、オイルポンプ7から吐出された油の吐出量に応じて吐出量対応流量変更装置としての第2サーキュレーションリレーバルブ123、オリフィス62が介在された油路g2、オリフィス63が介在された油路g3が発進装置5に対する流量を変更するので、オイルポンプ7の吐出量が少ない状態で発進装置5に対する流量を少なくして、変速機構6に優先的に油を供給することができる。これにより、オイルポンプ7から油の吐出量が少ない状態で変速機構6にあって変速に必要な油圧を得ることができ、変速時間が長くなってしまうことの防止を図ることができる。
また、オイルポンプ7を大径化したり、エンジン回転数を上げたりせずに、変速時間が長くなってしまうことの防止を図ることができる。よって車輌の燃費に影響を与えることなく、変速時間が長くなってしまうことの防止を図ることができる。
また、発進クラッチ3の係合状態が該発進クラッチ3の油圧サーボ3aに供給される係合圧PCONTと循環油との圧力の差圧によって制御されるが、吐出量対応流量変更装置としての第2サーキュレーションリレーバルブ123、オリフィス62が介在された油路g2、オリフィス63が介在された油路g3が循環油の流量を段階的に変更するので、循環油の流量を連続的に変更する場合に比して、発進クラッチ3の制御を容易にすることができる。
さらに、プライマリレギュレータバルブ20及びリニアソレノイドバルブSLTにより調圧されたライン圧PLに基づき発進装置5の循環油を供給するが、オイルポンプ7の吐出量が少ない時に循環油の流量が小さくなるように吐出量対応流量変更装置としての第2サーキュレーションリレーバルブ123、オリフィス62が介在された油路g2、オリフィス63が介在された油路g3が流量を変更するので、変速機構6に優先的にライン圧PLに基づく油を供給することができ、オイルポンプ7から油の吐出量が少ない状態で変速機構6にあって変速に必要な油圧を得ることができ、変速時間が長くなってしまうことの防止を図ることができる。
また、吐出量対応流量変更装置としての第2サーキュレーションリレーバルブ123、オリフィス62が介在された油路g2、オリフィス63が介在された油路g3が循環油排出油路としての油路e,g1に配置されているので、例えば循環油供給油路としての油路d1,d3に吐出量対応流量変更装置を配置して流量を小さくした場合は発進装置5内が循環油で満たされなくなる虞があるが、発進装置5内から排出された循環油の流量を制御することになるため、流量の大小に拘らず、発進装置5内を確実に潤滑油で満たすことができる。
さらに、循環油供給油路としての油路a5,d1,d3に発進装置5に供給する循環油の循環圧を一定にするモジュレータバルブ21が配置されているので、発進装置5内の圧力を一定にしながら循環油の流量を変更することができ、発進クラッチ3の制御をさらに容易にすることができる。また、吐出量対応流量変更装置としての第2サーキュレーションリレーバルブ123、オリフィス62が介在された油路g2、オリフィス63が介在された油路g3が循環油排出油路としての油路e,g1に配置されているので、発進装置5内から排出された循環油の流量を制御することになるため、流量の大小に拘らず、発進装置5内を確実に潤滑油で満たすことができる。
そして、吐出量対応流量変更装置としての第2サーキュレーションリレーバルブ123が、リニアソレノイドバルブSLTの制御圧PSLTにより制御されるライン圧PLに基づき、油路e,g1及び油路g2を連通する小流量位置と油路e,g1及び油路g3を連通する大流量位置とに切換えられるので、第2サーキュレーションリレーバルブ123を切換えるために新たなソレノイドバルブを設けることを不要とすることができ、油圧制御装置12の大型化を防止することができる。
ところで、第2サーキュレーションリレーバルブ(吐出量対応流量変更バルブ)123を第1の実施の形態のようにリニアソレノイドバルブSLUからの係合圧PSLUで切換えることも考えられる。しかし、近年燃費を向上させるために発進クラッチ3がスリップ状態で係合できるエンジン回転数の領域を広げるため、発進クラッチ3が係合を開始する係合圧PSLUの設定値が低くなる傾向にある。そのため、係合圧PSLUで第2サーキュレーションリレーバルブ123を切換える場合は、上記設定値よりさらに低圧で第2サーキュレーションリレーバルブ123が切換えられるようにスプリング123sの設定を変更する必要があるが、低圧でバルブが切換るようにスプリング123sの付勢力を弱く設定すると、スプリング123sによってスプール123pの位置を左半位置に切換える(押戻す)のに時間がかかってしまう。また、低圧で切換える為には、その分リニアソレノイドバルブSLUを精度良く制御する必要があり、リニアソレノイドバルブSLUの制御が複雑になる。
しかしながら、本第2の実施の形態のように、ライン圧PLで第2サーキュレーションリレーバルブ123を切換えることで、係合圧PSLUで第2サーキュレーションリレーバルブ123を切換える場合に比して、発進クラッチ3がスリップ状態で係合できるエンジン回転数の領域を広げながら、第2サーキュレーションリレーバルブ123を早く簡単に制御できる。
なお、以上説明した第1及び第2の実施の形態においては、本自動変速機の油圧制御装置11,12を前進6速段及び後進1速段を達成する自動変速機2に適用した場合を一例として説明したが、勿論これに限るものではなく、特にガレージシフト時にクラッチやブレーキの係合・解放制御を行う変速機構を備えた自動変速機であれば、どのような自動変速機にあっても本発明を適用することができる。
また、以上説明した第1及び第2の実施の形態においては、発進装置5として発進クラッチ3及びフルードカップリング4からなるものを一例に説明したが、これに限らず、例えば発進クラッチのみのものやトルクコンバータ等の流体伝動装置を備えたものであってもよく、特にロックアップクラッチ付のトルクコンバータにあっても、本発明を同様に適用することができる。
また、本実施の形態においては、「エンジン回転数」や「車速」を「オイルポンプ7から吐出された油の吐出量」に対応させたが、これは、エンジン回転数や車速等からオイルポンプの吐出量を実際に算出してもよく、また、エンジン回転数や車速などの車輌の状態に基づき、例えばマップ等を用いてオイルポンプの吐出量を予測するものであってもよい。
さらに、本第1及び第2の実施の形態においては、吐出量対応流量変更装置を循環油排出油路に配置したものを説明したが、図7に示すように、循環油供給油路(d3)に配置しても本発明を構成することができる。この場合、例えば図5のものを変更して図7に示す実施の形態を具体的に構成するためには、油路d3(循環油供給油路)の途中に第2サーキュレーションリレーバルブ123(吐出量対応流量変更装置)を配置すると共に、入力ポート123bと油路d3(循環油供給油路)の上流側とを連結し、オリフィス62が介在された油路g2(小流量油路)とオリフィス63が介在された油路g3(大流量油路)とを油路d3(循環油供給油路)の下流側に連結して配置し、一方で油路g1(循環油排出油路)をドレーンポートEXにより開放するように構成することが考えられる。
また、第1の実施の形態においては、オイルポンプ7の吐出量をエンジン回転数(図4のステップS6)により判断するものを説明し、第2の実施の形態においては、オイルポンプ7の吐出量をアクセルON/OFF(図6のステップS30)により判断するものを説明したが、これはエンジンとオイルポンプとが連動するものについてであり、例えばエンジンとオイルポンプとが連動しないものにあっては、直接的にオイルポンプの回転数を検出することでオイルポンプの吐出量を検出することも考えられ、さらに、例えばオイルパンにおける液面の上下方向の推移からオイルポンプの吐出量を検出することも考えられ、つまりオイルポンプの吐出量を検出することができれば、どのような検出手法であっても構わない。