JP2010248202A - ペプチドトランスポーターの輸送活性を阻害する抗体 - Google Patents

ペプチドトランスポーターの輸送活性を阻害する抗体 Download PDF

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Abstract

【課題】PepT1およびPepT2の癌細胞増殖への関与は不明であり、PepT1およびPepT2の機能を阻害することにより癌細胞の増殖に影響を与え、ペプチドトランスポーターの輸送活性を阻害する抗体、及び該抗体を有効成分とする細胞増殖抑制剤を提供する。
【解決手段】PepTに結合する抗体がペプチドトランスポーターの輸送活性阻害能を有することが見出された。これらの抗体は、細胞増殖抑制剤として、例えば癌の治療や予防への利用が可能である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ペプチドトランスポーターの輸送活性を阻害する抗体、及び該抗体を有効成分とする細胞増殖抑制剤に関する。
哺乳動物は、生体外から栄養源を取り込む必要性があり、細胞には多くの輸送タンパク質が存在することが知られている。ペプチドの輸送を行っているのはペプチドトランスポーター(ペプチド輸送タンパク質)であり、現在までに多数のペプチドトランスポーターが見出されている(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、特許文献1、特許文献2、特許文献3など)。ペプチドトランスポーターはペプチドの細胞内への流入を行うタンパク質と細胞外への流出を行うタンパク質に分けられる。又、輸送の際に利用するエネルギー源の違いによっても分類することができ、細胞内外のプロトンの濃度差を利用して輸送を行うプロトン駆動型ペプチドトランスポーターは、PTRファミリーに属する(非特許文献3)。一方、生体内のATPを使用して輸送を行うペプチドトランスポーターはABCファミリーに属する(非特許文献4)。
ペプチドトランスポーターはジペプチド、トリペプチドなどの小分子ペプチドだけでなく、β-ラクタム抗生物質、ACE阻害剤などの薬剤の輸送にも関与していることが報告されている(非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9、非特許文献10)。
PepT1およびPepT2は小分子ペプチドを細胞内に取り込むことによりタンパク質の吸収やペプチド性窒素源の維持に寄与しているプロトン駆動型ペプチドトランスポーターであり、PepT1、PepT2はそれぞれアミノ酸708個、729個からなる12回膜貫通型タンパク質である(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献11)。
PepT1およびPepT2もβ-ラクタム抗生物質やベスタチンなどの薬物を輸送することが報告されている(非特許文献12、非特許文献13、非特許文献14)。
PepT1は主に小腸で発現し、腎臓、膵臓での発現も確認されている。PepT2は腎臓、脳、肺、脾臓での発現が確認されている。PepT1、PepT2は小腸や腎尿細管上皮細胞の刷子縁膜に局在していることが報告されている(非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17、非特許文献11)。
また、ヒト膵管癌株でPepT1が細胞膜に過剰発現していること(非特許文献18)、およびPepT2のmRNAがヒト膵管癌株で発現していること(非特許文献19)が報告されている。しかしながら、PepT1およびPepT2の癌細胞増殖への関与は不明であり、PepT1およびPepT2の機能を阻害することにより癌細胞の増殖に影響を与えるか否かの議論は行われていなかった。
特開平6-261761 特開平11-172 US5849525
J.Biol.Chem.,270(12);6456-6463,(1995) Biochim.Biophys.Acta., 1235;461-466,(1995) Mol. Microbiol., Vol.16, p825, (1995) Annu. Rev. Cell. Biol., Vol8, p67, (1992) Ganapathy, Leibach., Curr. Biol. 3, 695-701, (1991) Nakashima et al., Biochem. Pharm. 33, 3345-3352, (1984) Friedman, Amidon., Pharm. Res., 6, 1043-1047, (1989) Okano et al., J. Biol. Chem, 261, 14130-14134, (1986) Muranushi et al., Pharm. Res., 6, 308-312, (1989) Friedman, Amidon., J. Control. Rel., 13, 141-146, (1990) Terada, Inui, Tanpakusitsu Kakusan Kouso., Vol.46, No5, (2001) Saito, H. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 275, 1631-1637, (1995) Saito, H. et al., Biochim. Biopys. Acta, 1280, 173-177, (1996) Terada, T. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 281, 1415-1421 (1997) Ogihara, H. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 220, 848-852, (1996) Takahashi, K. et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 286, 1037-1042 (1998) Hong, S. et al., Am. J. Physiol. Renal. Physiol., 276, F658-F665 (1999) Cancer Res., 58, 519-525, (1998) Millennium World Congress of Pharmaceutical Sciences, (2000)
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、ペプチドトランスポーターの輸送活性を阻害する抗体、及び該抗体を有効成分とする細胞増殖抑制剤、特に膵臓癌などの癌細胞増殖抑制剤を提供することにある。
本発明者らは、ペプチドトランスポーターの輸送活性を阻害する物質が細胞増殖を抑制することを見出した。さらに、ペプチドトランスポーターの輸送活性を阻害する抗体を見出した。これらの知見は、抗体を用いてペプチドトランスポーターの活性を阻害させ、細胞増殖を抑制しうることを示すものである。癌細胞などの増殖抑制剤の開発において、ペプチドトランスポーターの活性の抑制は重要な指標となると考えられる。
本発明は、より詳しくは、
(1)ペプチドトランスポーターの輸送活性阻害能を有する抗体
(2)ペプチドトランスポーターがPepT1又はPepT2である、(1)に記載の抗体
(3)ペプチドトランスポーターがPepT1である、(2)に記載の抗体
(4)モノクローナル抗体である、(1) 〜(3)のいずれかに記載の抗体
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の抗体を有効成分とする細胞増殖抑制剤
(6)(1)〜(4)のいずれかに記載の抗体を有効成分とする抗癌剤
(7)膵臓癌である、(6)に記載の抗癌剤
(8)ペプチドトランスポーターに結合する抗体を、ペプチドトランスポーターを発現する細胞に接触させることを含む、ペプチドトランスポーターの輸送活性を阻害する方法
(9)ペプチドトランスポーターがPepT1またはPepT2である、(8)に記載の方法
(10)ペプチドトランスポーターがPepT1である、(9)に記載の方法
(11)ペプチドトランスポーターに結合する抗体を、ペプチドトランスポーターを発現する細胞に接触させ、該ペプチドトランスポーターの輸送活性を阻害することを含む、細胞の増殖を抑制する方法
(12)ペプチドトランスポーターがPepT1またはPepT2である、(11)に記載の方法
(13)ペプチドトランスポーターがPepT1である、(12)に記載の方法
(14)細胞が癌細胞である、(11)〜(13)のいずれかに記載の方法
(15)癌細胞が膵臓癌細胞である、(14)に記載の方法
を、提供するものである。
本発明は、ペプチドトランスポーターの輸送活性阻害能を有する抗体を提供する。本発明のペプチドトランスポーターは特に限定されないが、好ましいのはプロトン駆動によりペプチドを細胞内に取り込むペプチドトランスポーターであり、さらに好ましいのはPepT1またはPepT2であり、特に好ましいのはPepT1である。
PepT1およびPepT2の塩基配列、アミノ酸配列は既に知られている(ヒトPepT1:GenBank XM_007063、J.Biol.Chem.,270(12);6456-6463,(1995)、ヒトPepT2:GenBank XM_002922、Biochim.Biophys.Acta.,1235;461-466,(1995))。
本発明のペプチドトランスポーターの輸送活性阻害能を有する抗体は、ペプチドトランスポーターを介した輸送(例えば、ペプチドトランスポーターによる細胞内へのペプチドの取り込み)を阻害することが可能な抗体であれば特に限定されない。ペプチドトランスポーターを介した輸送を阻害するとは、ペプチドの輸送を完全に遮断する必要はなく、輸送されるペプチドの量を減少させることができればよい。
本発明の抗体は、ペプチドトランスポーターと結合し、ペプチドトランスポーターの輸送活性を阻害することができれば特に限定されず、マウス抗体、ラット抗体、ウサギ抗体、ヒツジ抗体、ラクダ抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体等を適宜用いることができる。抗体は、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であってもよいが、均質な抗体を安定に生産できる点でモノクローナル抗体が好ましい。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体は当業者に周知の方法により作製することができる。
モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、基本的には公知技術を使用し、以下のようにして作製できる。すなわち、所望の抗原や所望の抗原を発現する細胞を感作抗原として使用して、これを通常の免疫方法にしたがって免疫し、得られる免疫細胞を通常の細胞融合法によって公知の親細胞と融合させ、通常のスクリーニング法により、モノクローナルな抗体産生細胞(ハイブリドーマ)をスクリーニングすることによって作製できる。免疫される動物としては、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、サル、などの哺乳動物を用いることができる。抗原の調製は公知の方法、例えばバキュロウイルスを用いた方法(WO98/46777など)等に準じて行うことができる。免疫原として、バキュロウイルス膜上に発現したペプチドトランスポーターを用いる場合には、免疫動物としてgp64トランスジェニックマウスを用いることができる(国際特許出願公開番号 WO 03/104453)。
ハイブリドーマの作製は、たとえば、ミルステインらの方法(Kohler. G. and Milstein, C., Methods Enzymol. (1981) 73: 3-46 )等に準じて行うことができる。抗原の免疫原性が低い場合には、アルブミン等の免疫原性を有する巨大分子と結合させ、免疫を行えばよい。
また、抗体遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、適当なベクターに組み込んで、これを宿主に導入し、遺伝子組換え技術を用いて産生させた遺伝子組換え型抗体を用いることができる(例えば、Carl, A. K. Borrebaeck, James, W. Larrick, THERAPEUTIC MONOCLONAL ANTIBODIES, Published in the United Kingdom by MACMILLAN PUBLISHERS LTD, 1990参照)。具体的には、ハイブリドーマのmRNAから逆転写酵素を用いて抗体の可変領域(V領域)のcDNAを合成する。目的とする抗体のV領域をコードするDNAが得られれば、これを所望の抗体定常領域(C領域)をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターへ組み込む。または、抗体のV領域をコードするDNAを、抗体C領域のDNAを含む発現ベクターへ組み込んでもよい。発現制御領域、例えば、エンハンサー、プロモーターの制御のもとで発現するよう発現ベクターに組み込む。次に、この発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、抗体を発現させることができる。
本発明では、ヒトに対する異種抗原性を低下させること等を目的として人為的に改変した遺伝子組換え型抗体、例えば、キメラ(Chimeric)抗体、ヒト化(Humanized )抗体などを使用できる。これらの改変抗体は、既知の方法を用いて製造することができる。キメラ抗体は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、マウス抗体の重鎖、軽鎖の可変領域とヒト抗体の重鎖、軽鎖の定常領域からなる抗体であり、マウス抗体の可変領域をコードするDNAをヒト抗体の定常領域をコードするDNAと連結し、これを発現ベクターに組み込んで宿主に導入し産生させることにより得ることができる。
ヒト化抗体は、再構成(reshaped)ヒト抗体とも称され、ヒト以外の哺乳動物、たとえばマウス抗体の相補性決定領域(CDR; complementarity determining region)をヒト抗体の相補性決定領域へ移植したものであり、その一般的な遺伝子組換え手法も知られている。具体的には、マウス抗体のCDRとヒト抗体のフレームワーク領域(framework region;FR)を連結するように設計したDNA配列を、末端部にオーバーラップする部分を有するように作製した数個のオリゴヌクレオチドからPCR法により合成する。得られたDNAをヒト抗体定常領域をコードするDNAと連結し、次いで発現ベクターに組み込んで、これを宿主に導入し産生させることにより得られる(欧州特許出願公開番号EP 239400 、国際特許出願公開番号WO 96/02576参照)。CDRを介して連結されるヒト抗体のFRは、相補性決定領域が良好な抗原結合部位を形成するものが選択される。必要に応じ、再構成ヒト抗体の相補性決定領域が適切な抗原結合部位を形成するように抗体の可変領域のフレームワーク領域のアミノ酸を置換してもよい(Sato, K.et al., Cancer Res. (1993) 53, 851-856)。
なお、当業者であれば公知技術に基づきCDRを決定することができ、例えば、Kabatらにより作成された抗体のアミノ酸配列のデータベース(「Sequence of Proteins of Immunological Interest」 US Dept. Health and Human Services, 1983)を用いて、相同性を調べることにより決定することができる。
また、ヒト抗体の取得方法も知られている。例えば、ヒトリンパ球をin vitroで所望の抗原または所望の抗原を発現する細胞で感作し、感作リンパ球をヒトミエローマ細胞、例えばU266と融合させ、抗原への結合活性を有する所望のヒト抗体を得ることもできる(特公平1-59878参照)。また、ヒト抗体遺伝子の全てのレパートリーを有するトランスジェニック動物を所望の抗原で免疫することで所望のヒト抗体を取得することができる(国際特許出願公開番号WO 93/12227, WO 92/03918,WO 94/02602, WO 94/25585,WO 96/34096, WO 96/33735参照)。さらに、ヒト抗体ライブラリーを用いて、パンニングによりヒト抗体を取得する技術も知られている。例えば、ヒト抗体の可変領域を一本鎖抗体(scFv)としてファージディスプレイ法によりファージの表面に発現させ、抗原に結合するファージを選択することができる。選択されたファージの遺伝子を解析すれば、抗原に結合するヒト抗体の可変領域をコードするDNA配列を決定することができる。抗原に結合するscFvのDNA配列が明らかになれば、当該配列を挿入した適当な発現ベクターを作製し、ヒト抗体を取得することができる。これらの方法は周知であり、WO 92/01047, WO 92/20791, WO 93/06213, WO 93/11236, WO 93/19172, WO 95/01438, WO 95/15388を参考にすることができる。
抗体遺伝子を一旦単離し、適当な宿主に導入して抗体を作製する場合には、適当な宿主と発現ベクターの組み合わせを使用することができる。真核細胞を宿主として使用する場合、動物細胞、植物細胞、真菌細胞を用いることができる。動物細胞としては、(1) 哺乳類細胞、例えば、CHO, COS,ミエローマ、BHK (baby hamster kidney),HeLa,Vero,(2) 両生類細胞、例えば、アフリカツメガエル卵母細胞、あるいは(3) 昆虫細胞、例えば、sf9, sf21, Tn5などが知られている。植物細胞としては、ニコティアナ(Nicotiana)属、例えばニコティアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)由来の細胞が知られており、これをカルス培養すればよい。真菌細胞としては、酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces serevisiae)、糸状菌、例えば、アスペルギルス(Aspergillus)属、例えばアスペスギルス・ニガー(Aspergillus niger)などが知られている。原核細胞を使用する場合、細菌細胞を用いる産生系がある。細菌細胞としては、大腸菌(E. coli)、枯草菌が知られている。これらの細胞に、目的とする抗体遺伝子を形質転換により導入し、形質転換された細胞をin vitroで培養することにより抗体が得られる。
また、抗体はPepTに結合し、PepTの機能を阻害するかぎり、抗体の断片又はその修飾物であってもよい。例えば、抗体の断片としては、Fab、F(ab’)2、Fv、またはH鎖若しくはL鎖のFvを適当なリンカーで連結させたシングルチェインFv(scFv)、Diabodyが挙げられる。具体的には、抗体を酵素、例えばパパイン、ペプシンなどで処理し、これを発現ベクターに導入した後、適当な宿主細胞で発現させる(例えば、Co, M. S. et al., J. Immunol. (1994) 152, 2968-2976、 Better, M. & Horwitz, A. H. Methods in Enzymology (1989) 178, 476-496, Academic Press, Inc.、 Plueckthun, A. & Skerra, A. Methods in Enzymology (1989) 178, 476-496, Academic Press, Inc.、 Lamoyi, E., Methods in Enzymology (1989) 121, 663-669、 Bird, R. E. et al., TIBTECH (1991) 9, 132-137参照)。scFvは、抗体のH鎖V領域とL鎖V領域とを連結することにより得られる。このscFvにおいて、H鎖V領域とL鎖V領域は、リンカー、好ましくはペプチドリンカーを介して連結される(Huston, J. S. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A (1988) 85, 5879-5883)。scFvにおけるH鎖V領域およびL鎖V領域は、本明細書に抗体として記載されたもののいずれの由来であってもよい。V領域を連結するペプチドリンカーとしては、例えば12-19残基からなる任意の一本鎖ペプチドが用いられる。scFvをコードするDNAは、前記抗体のH鎖またはH鎖V領域をコードするDNA、およびL鎖またはL鎖V領域をコードするDNAのうち、それらの配列のうちの全部又は所望のアミノ酸配列をコードするDNA部分を鋳型とし、その両端を規定するプライマー対を用いてPCR法により増幅し、次いで、さらにペプチドリンカー部分をコードするDNA、およびその両端が各々H鎖、L鎖と連結されるように規定するプライマー対を組み合わせて増幅することにより得られる。また、一旦scFvをコードするDNAが作製されると、それらを含有する発現ベクター、および該発現ベクターにより形質転換された宿主を常法に従って得ることができ、また、その宿主を用いることにより、常法に従ってscFvを得ることができる。これらの抗体断片は、前記と同様にして遺伝子を取得し発現させ、宿主により産生させることができる。Diabodyは、可変領域と可変領域をリンカー等で結合したフラグメント(例えば、scFv等)(以下、Diabodyを構成するフラグメント)を2つ結合させて二量体化させたものであり、通常、2つのVLと2つのVHを含む(P.Holliger et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 90, 6444-6448 (1993)、 EP404097号、WO93/11161号、Johnson et al., Method in Enzymology, 203, 88-98, (1991)、Holliger et al., Protein Engineering, 9, 299-305, (1996)、Perisic et al., Structure, 2, 1217-1226, (1994)、John et al., Protein Engineering, 12(7), 597-604, (1999)、Holliger et al,. Proc.Natl.Acad.Sci.USA., 90, 6444-6448, (1993)、Atwell et al., Mol.Immunol. 33, 1301-1312, (1996))。
抗体の修飾物として、ポリエチレングリコール(PEG)等の各種分子と結合した抗体を使用することもできる。又、抗体に放射性同位元素、化学療法剤、細菌由来トキシン等の細胞傷害性物質などを結合することも可能である。このような抗体修飾物は、得られた抗体に化学的な修飾を施すことによって得ることができる。なお、抗体の修飾方法はこの分野において、すでに確立されている。
本発明で使用される抗体は二重特異性抗体(bispecific antibody)であってもよい。二重特異性抗体はペプチドトランスポーター分子上の異なるエピトープを認識する抗原結合部位を有する二重特性抗体であってもよいし、一方の抗原結合部位がペプチドトランスポーターを認識し、他方の抗原結合部位が放射性物質、化学療法剤、細胞由来トキシン等の細胞障害性物質を認識してもよい。二重特異性抗体は2種類の抗体のHL対を結合させて作製することもできるし、異なるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを融合させて、二重特異性抗体産生融合細胞を作製し、得ることもできる。さらに、遺伝子工学的手法により二重特異性抗体を作製することも可能である。
又、本発明においては、糖鎖を改変した抗体などを用いることも可能である。抗体の糖鎖改変技術は既に知られている(例えば、WO 00/61739、WO 02/31140など)。本発明における「抗体」にはこれらの抗体も包含される。
前記のように発現、産生された抗体は、通常のタンパク質の精製で使用されている公知の方法により精製することができる。例えば、プロテインAカラムなどのアフィニティーカラム、クロマトグラフィーカラム、フィルター、限外濾過、塩析、透析等を適宜選択、組み合わせることにより、抗体を分離、精製することができる(Antibodies A Laboratory Manual. Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)。
抗体の抗原結合活性(Antibodies A Laboratory Manual. Ed Harlow, David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory, 1988)の測定には公知の手段を使用することができる。例えば、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)あるいは蛍光免疫法などを用いることができる。
特定の分子がペプチドトランスポーターに結合するか否かは、公知の方法により測定することができる。公知の方法としては、例えば、免疫沈降法、ウエストウエスタンブロッティング法、ELISA(酵素結合免疫吸着検定法)、EIA(酵素免疫測定法)、RIA(放射免疫測定法)、蛍光免疫法、表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーを用いた方法、などが挙げられる。
抗体がペプチドトランスポーターの輸送機能を阻害するか否かの検出は公知の方法、例えば、放射性物質(14Cなど)、蛍光物質などでペプチドなどの基質を標識し、該基質がペプチドトランスポーター発現細胞に取り込まれた量を測定すること等により判断することができる(国際特許出願公開番号 WO 03/083116、続医薬品の開発4−薬物の生体膜輸送と組織標的化I,II(編集、寺田弘、辻彰)など)。
本発明の細胞増殖抑制剤の標的となる細胞としては特に限定はされないが、好ましいのは膵臓癌、肝臓癌、肺癌、食道癌、乳癌、大腸癌などの癌細胞であり、特に好ましいのは膵臓癌細胞である。本発明の細胞増殖抑制剤は、細胞増殖に起因する疾患、特に膵臓癌などの癌の治療、予防を目的として使用される。
本発明の抗体はペプチドトランスポーターの輸送阻害剤として利用しうるが、参考例において示したように細胞増殖抑制作用を有するため細胞増殖抑制剤としても利用しうる。細胞増殖抑制剤は、経口、非経口投与のいずれでも可能であるが、好ましくは非経口投与であり、具体的には、注射剤型、経鼻投与剤型、経肺投与剤型、経皮投与型などが挙げられる。注射剤型の例としては、例えば、静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射などにより全身または局部的に投与することができる。また、患者の年齢、症状により適宜投与方法を選択することができる。投与量としては、例えば、一回につき体重1kgあたり0.0001mgから1000mgの範囲で選ぶことが可能である。あるいは、例えば、患者あたり0.001〜100000mg/bodyの範囲で投与量を選ぶことができる。しかしながら、本発明の治療薬はこれらの投与量に制限されるものではない。また、発明の治療薬は、常法に従って製剤化することができ(例えば、Remington's Pharmaceutical Science, latest edition, Mark Publishing Company, Easton, U.S.A)、医薬的に許容される担体や添加物を供に含むものであってもよい。
図1は、抗ヒトPepT1モノクローナル抗体の、PepT1発現ウイルスにおけるPepT1活性の阻害を検出した結果を示すグラフである。ウイルス膜上のPepT1活性は、ウイルスの[14C]グリシルザルコシンの取り込み量として測定した。データは平均±SD(n=3-4)で表示している。 図2は、BaF3細胞におけるAT-264のPepT1阻害能を示すグラフである。 図3は、AT-264のヒト膵臓癌株AsPC-1に対する細胞増殖抑制効果を示すグラフである。データは平均±S.D.(n=3-4)で表示した。 図4は、BaF3/PepT2におけるAT-264のPepT2阻害能を示すグラフである。データは平均±S.D.(n=3-4)で表示した。 図5は、AT-264のヒト膵臓癌株BxPC-3に対する細胞増殖抑制効果を示すグラフである。データは平均±S.D.(n=6)で表示した。 図6は、構築したgp64遺伝子の塩基配列を表す図である。 図7は、図6の続きを示す図である。 図8は、構築したpCAG-gp64ベクターの構造を表す図である。
以下、本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1]gp64TgMによる抗pepT1抗体作製
PBSに懸濁した1mgのタンパク量に相当するPepT1-BVと200ngの百日咳毒素をgp64トランスジェニックマウス(国際特許出願公開番号 WO 03/104453)に皮下注射する事により初回免疫を行った。以後の免疫は同様に調製した500μgタンパク量相当のPepT1-BV(ただし百日咳毒素は含まない)を皮下注射することにより行った。最終免疫は250μgタンパク量相当のPepT1-BVを尾静注する事により行った。このマウスから脾臓細胞を調製し、通常のポリエチレングリコールを使用する方法によってマウスP3U1細胞との細胞融合を行った。スクリーニングはBaF/3-PepT1細胞を用いたFACSで行った。更にBaF/3-PepT2細胞を用いたFACSによりPepT1特異的に結合するモノクローナル抗体(クローン113、クローン119、クローン253)を樹立した。
[実施例2]PepT1輸送活性阻害能の測定
[14C]グリシルザルコシンを終濃度50μMになるようにHBSS(pH6.0)で希釈し、基質溶液とした。また、ヒトPepT1の細胞外領域を認識するマウス型モノクローナル抗体(クローン119、クローン253、クローン113)を終濃度200μg/mLになるようにPBSで希釈し、抗体溶液とした。N末端にHis-tagを付加したPepT1発現出芽バキュロウイルス溶液20μL(50μg蛋白)と抗体溶液20μLを混合し、37℃で1時間プレインキュベートした。予め、37℃で加温していた基質溶液160μLをウイルス溶液に添加し、反応を開始させた。1分後、氷冷していたHBSS(pH7.4)(以下、「反応停止液」と略す)を1mL添加し、反応を停止させた。直ちにウイルスを含む反応液を混合セルロース膜フィルターを用いて吸引濾過し、5mLの反応停止液で2回洗浄した。膜フィルターを液体シンチレーションバイアルに移し、クリアゾルIを5mL添加してフィルターを溶解させた。溶解後、液体シンチレーションカウンターでフィルター上の放射能を計測した。基質溶液を添加する前に反応停止液を添加して同様の操作を行い、フィルターへの非特異的吸着を計測し、各実験の数値から差し引いた。
抗ヒトPepT1モノクローナル抗体によるPepT1活性阻害を図1に示した。抗体非存在下でのPepT1活性を対照として100で表した。3種類の抗ヒトPepT1モノクローナル抗体の中で、対照に比べてクローン119で約20%、クローン253で約10%のPepT1活性を阻害した。このPepT1活性阻害は統計的(Studentのt検定)に有意であった。以上より、抗PepT1抗体はPepT1の輸送活性阻害能を有し得ることが判明した。
なお、クローン119の重鎖可変領域のアミノ酸配列を配列番号:1に示した。
[参考例1]AT-264のPepT1活性阻害作用
AT-264は下記構造式で示される構造を有している。本化合物がペプチドトランスポーター(PepT)の阻害剤であることを以下の実験により確認した。
Figure 2010248202
マウス骨髄由来細胞株BaF3にヒトPepT1を強制発現させた細胞(以下、BaF3/PepT1と略す)を用いて、AT-264のPepT1阻害能力を検討した。その結果、放射性基質[14C]グリシルザルコシンの細胞への取り込みは濃度依存的に阻害された(図2)。以上より、AT-264はPepT1の機能を阻害することが明らかとなった。
[参考例2]AT-264のヒト膵臓癌株AsPC-1に対する細胞増殖抑制作用
AT-264をRPMI1640-10mM Hepes(以下、培地と略す)、0.5% エタノール、0.5% DMSOで溶解し、2.5mM AT-264溶液を調製した。また、この溶液を培地で希釈して0.625ならびに0.0625mM AT-264溶液を調製した。
ヒト膵臓癌株AsPC-1を50%FBSを含む培地で5×104細胞/mLに調製した。この懸濁液を40μL/well(2×103細胞)でCollagen type Iコート済みの96wellプレートに蒔き、160μLのAT-264溶液を添加した。CO2インキュベーターで6日間培養し(培養2日後に100units/mLペニシリン、0.1mg/mLストレプトマイシンを添加)、培養6日後に、生細胞数をMTS assayで定量化した。
図3に細胞増殖試験結果を示した。2mM AT-264存在下で約30%、0.5mMでも若干ではあるが細胞増殖抑制が認められた。顕微鏡下での観察において、AsPC-1の形態変化はAT-264存在下でも見られなかった。また、RT-PCRの結果から、AsPC-1ではPepT1の発現がPepT2に比べて優勢であった。以上より、AT-264による細胞増殖抑制は、非特異的細胞毒性ではなくPepT1の機能阻害によると考えられた。
[参考例3] AT-264のPepT2活性阻害作用
マウス骨髄由来細胞株BaF3にヒトPepT2を強制発現させた細胞(以下、BaF3/PepT2と略す)を用いて、AT-264のPepT2阻害能力を検討した。その結果、放射性基質[3H]グリシルザルコシンの細胞内への取り込みは濃度依存的に阻害された(図4)。以上より、AT-264はPepT1のみならず、PepT2の機能を阻害することが明らかとなった。
[参考例4]AT-264のヒト膵臓癌株BxPC-3に対する細胞増殖抑制作用
AT-264をRPMI1640-10mM Hepes,100units/mLペニシリン,0.1mg/mLストレプトマイシン(以下、培地と略す)、0.5% エタノール、0.5% DMSOで溶解し、2.5mM AT-264溶液を調製した。また、この溶液を培地で希釈して0.625ならびに0.0625mM AT-264溶液を調製した。
BxPC-3を50%FBSを含む培地で5×104細胞/mLに調製した。この懸濁液を40μL/well(2×103細胞)でCollagen typeIコート済みの96wellプレートに蒔き、160μLのAT-264溶液を添加した。CO2インキュベーターで6日間培養し、培養6日後に生細胞数をMTS assayで定量化した。
図5に細胞増殖試験結果を示した。2mM AT-264存在下で約75%、0.5mMでも約20%の細胞増殖抑制が認められた。顕微鏡下での観察において、BxPC-3の形態変化はAT-264存在下でも見られなかった。また、RT-PCRの結果から、BxPC-3ではPepT2の発現がPepT1に比べて優勢であった。以上より、AT-264による細胞増殖抑制は、細胞毒性ではなくPepT2の機能阻害によると考えられた。従って、PepT1またはPepT2の輸送活性を阻害する物資は細胞増殖抑制剤となることが判明した。
[参考例5]gp64トランスジェニックマウスの作製
gp64トランスジェニックマウスは国際特許出願公開番号 WO 03/104453に記載の方法に従って作製した。即ち、
1)gp64トランスジェニックベクターの構築
gp64の遺伝子配列(GenBank Acc No.9627742)を鋳型としEcoRI認識配列とKOZAK配列を5'末端に有する5'primer 64F1とEcoRI認識配列を5'末端に有する3'primer 64R1(図6、図7)を用い、以下の条件でPCRを行った。
PCR反応溶液の組成は、x10 ExTaq buffer 5μL, ExTaq付属dNTP 4μL, 10μmole/L 64F1 1μL, 10μmole/L 64R1 1μL, 500 pg/μL pBac-N-blue 1μL, 5 unit/μL ExTaq 0.5μL, diw 37.5μLとした。反応シーケンスは次のとおりである。
94℃ 5min →
(94℃ 15sec, 57℃ 30sec, 72℃ 30sec) x 25 cycles →
72℃ 7min →
4℃ forever
増幅されたバンドをpGEM-Teasyにサブクローニング後、E.coli DH5αをトランスフォームした。T7およびSP6プライマーを用いてcolony PCRを行い、インサートが確認されたクローンを用いてABI Prism377 DNA sequencerとBigDye Cycle Sequence kitとT7プライマーあるいはSP6プライマーにより塩基配列を解析し目的の遺伝子を含むクローンを確認した。このクローンから塩基配列に変異が入っていないことを確認したgp64を含む断片をEcoRIにより切り出し、同じくEcoRIカットしたpCAGGS1に挿入し、E.coli DH5αをトランスフォームした。設計通りのクローンを250mLのLB培地を用い37℃で一晩培養し、Endofree MAXI kitを用いて精製し581.6μgのプラスミドを得た。
2)遺伝子の導入
インジェクション用DNAフラグメントは、次のようにして調製した。まずgp64遺伝子を挿入したpCAGGSベクター(pCAG-gp64;図8)を、SalIおよびPstIで処理した後、gp64遺伝子を含む断片(約3.8kb)を切り出した。この断片(約3.8kb)を、Gel Extraction Kit (QIAGEN)により回収し、3ng/μlになるようにPBS-で希釈してインジェクション用DNAフラグメントとした。
DNAフラグメントを注入するマウス前核期卵は、次のようにして回収した。すなわち、まずBalb/c系雌マウス(日本クレア)に5 i.uのPMSGを腹腔内投与、さらに48時間後5 i.uのhCGを腹腔内投与することによって、過排卵処理した。この雌マウスを同系統の雄マウスと交配させた。交配の翌朝、プラグを確認したマウスの卵管を潅流してマウス前核期卵を回収した。
インジェクション用DNAフラグメントは、マイクロマニピュレーターを用いて前核期卵へ注入した(ジーンターゲティングの最新技術(羊土社)、190-207 2000)。DNAフラグメントを373個のBALB/c胚へ注入し、翌日、2細胞期に発生していた胚216個を、偽妊娠1日目の受容雌の卵管に片側当たり10個前後(1匹あたり20個前後)を移植した。
[参考例6]PepT1発現出芽バキュロウイルス(PepT1-BV)の調製
免疫原として用いる、PepT1発現出芽バキュロウイルスを次のようにして調製した。PepT1は、膜蛋白質であるトランスポーターである。PepT1の構造は公知である(GenBank XM_007063、J.Biol.Chem. 270(12): 6456-6463 (1995))。
ヒト腎臓ライブラリーからPCRを用いて完全長のPepT1遺伝子を単離した。完全長のヒトPepT1遺伝子をpBlueBacHis2A (Invitrogen) に挿入することでトランスファーベクターpBlueBacHis-PepT1を作製した後、Bac-N-Blue transfection kit (Invitrogen) を用いてBac-N-Blue DNAと共にトランスファーベクターをSf9細胞に導入することでヒトPepT1発現用組換えウイルスを調製した。即ち、4μgのpBlueBacHis-PepT1をBac-N-Blue DNAに加え、さらに1mLのGrace's培地(GIBCO)20μLのCell FECTIN試薬を加え、混和し、室温で15分間静置した後、Grace's培地で1回洗浄した2×106個のSf9細胞に滴下した。室温で4時間静置した後、さらに2mLの完全培地(10%ウシ胎児血清(Sigma社製)、100units/mLのペニシリン、及び100μg/mLストレプトマイシン(GIBCO-BRL社製)を含むGrace's培地)を加え、27℃で培養した。相同組換えにより作製されたヒトPepT1発現用組換えウイルスはキット添付の指示書に従い二度の純化を行った後、組換えウイルスのウイルスストックを得た。
ヒトPepT1を発現する出芽型ウイルスの調製は以下のようにして行った。すなわち、上記により調製した組換えウイルスをMOI=5となるように500mLのSf9細胞(2×106/mL)に感染させた。27℃で3日間培養した後、培養液を800×gで15分間遠心分離し、細胞ならびに細胞破砕物を除去した。遠心分離により回収した上清は45,000×gで30分間遠心した後、沈殿物をPBSに懸濁し、さらに800×gで15分遠心することで細胞成分を除去した。上清は再度45,000×gで30分間遠心した後、沈澱物をPBSに再懸濁したものを出芽型ウイルス画分とした。
本発明者らによって、PepTに結合する抗体がペプチドトランスポーターの輸送活性阻害能を有することが見出された。これらの抗体は、細胞増殖抑制剤として、例えば癌の治療や予防への利用が可能である。

Claims (4)

  1. ペプチドトランスポーターの輸送活性阻害能を有する抗体。
  2. ペプチドトランスポーターがPepT1又はPepT2である、請求項1に記載の抗体。
  3. ペプチドトランスポーターがPepT1である、請求項2に記載の抗体。
  4. モノクローナル抗体である、請求項1〜3のいずれかに記載の抗体。
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