JP2012005509A - シリンジ容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 シリンジ容器に充填された液剤を低温保管する場合に、液剤が非充填空間に入り込むという問題が生じることのないシリンジ容器を低コストで得ることができ、低コストで液剤を供給するためのシリンジ容器を得る。
【解決手段】 円筒状空間を有し、円筒状空間の一端が液剤取出孔であり、円筒状空間の他端が開口部である、バレルと、円筒状空間を、液剤取出孔側の液剤充填部と、開口部側の非充填空間とに二分するように円筒状空間内に配置され、最大外径が円筒状空間の内径と略同一である、プランジャと、バレルの開口部に装着され、圧力調整機構を有するバレルキャップとを含むシリンジ容器である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、薬剤、接着剤等の液剤を、冷却して保管するためのシリンジ容器に関する。
薬剤、接着剤等の液剤を、保管するためのシリンジ容器として、例えば、特許文献1には、先端に注射針接続部を形成し、後端開口の内側にスライドプラグを装填したシリンダ内に薬剤を充填し、上記注射針接続部にキャップを被せたプレフィルドシリンジにおいて、上記キャップからシリンダの外周面に亘ってシュリンクフィルムで被覆し、該シュリンクフィルムが、上記キャップを注射針接続部から外すとき、上記被覆したシュリンクフィルムがシリンダの先端部分で切り離されるようにしたことを特徴とするプレフィルドシリンジが開示されている。
また、容器内の圧力を調整するための機構として、例えば、特許文献2には、ネジを装着した硬質樹脂包装容器口頸部にネジをもって嵌合する金属又は硬質樹脂製キャップと、包装容器との間に、所定の弾性材料で構成された中蓋を装着することを特徴とする、容器へこみ防止用キャップが開示されている。中蓋は、逆止弁用中蓋である。
特開2005−312932号公報 実開昭48−24845号公報
図3に、従来のシリンジ容器10の模式図を示す。図3に示すシリンジ容器10は、バレル20と、プランジャ30と、バレルキャップ40とを有する。バレル20の内部の円筒状空間26の液剤充填部27に薬剤、接着剤等の液剤70が充填される。また、円筒状空間26の液剤70は、プランジャ30によって蓋をされるように充填される。そのため、プランジャ30は、バレル20の内部の円筒状空間26の液剤充填部27と、液剤70が存在しない空間(本明細書において「非充填空間28」という)との境界に位置することになる。液剤充填部27の液剤70を取り出す際には、バレルキャップ40及び液剤取出孔蓋60をはずし、プランジャ30対してプランジャロッド(図示せず)をお押し当てて又はガス圧力等の印加により押圧して、液剤取出孔22から液剤70を取り出すことができる。
シリンジ容器10に充填される薬剤等の液剤70は、品質の劣化を防ぐために、低温、例えば氷点下で保管することが必要とされる場合がある。液剤70の種類によっては保管温度が異なるが、例えば保管温度を−20〜−40℃とする場合がある。また、長距離移送のために長時間保管する場合には、保管温度を−60℃以下とする場合がある。
本願発明者らは、低温保管後、液剤70を室温に戻す際に、シリンジ容器10に充填された液剤70が、プランジャ30とバレル20の内壁との間の隙間を通り、非充填空間28に入り込むという問題が発生する場合があることを見出した。図7に、液剤70が非充填空間28に存在していない状態のシリンジ容器10の写真を示す。図8及び図9に、低温保管した後、室温に戻したシリンジ容器10の写真の例を示す。図8及び図9に示すように、低温保管後のシリンジ容器10では、液剤70が、プランジャ30とバレル20の内壁との間の隙間を通り、非充填空間28に入り込んだ状態になる場合がある。また、本願発明者らは、液剤70が非充填空間28に入り込むという上記問題は、液剤70の粘度が100mPa・s〜5000mPa・sの範囲内である場合に、特に発生頻度が高いことも見出した。
さらに、頻度は多くないながら、低温保管のために、シリンジ容器10に充填された液剤70を室温から低温に冷却する際にも、液剤70を室温に戻す際と同様に、液剤70が非充填空間28に入り込むという問題が発生する場合がある。
図8及び図9に示すように、非充填空間28に入り込んでしまった液剤70は、バレル20から取り出すことができないので使用することができない。一般に、液剤70は高価なので、未使用部分が生じることはコストの増加という問題を生じることとなる。また、プランジャ30とバレル20の内壁との間の隙間や非充填空間28等の、予期せぬ場所への液剤70の入り込みにより、光学的センサーを用いた液量センサーが誤動作する恐れがある。また、液剤70の使用の際には、非充填空間28へガス圧力を供給するためにバレルキャップ40の部分にシリンジアダプターが取り付けられる。非充填空間28等へ液剤70が入り込むと、シリンジアダプターからのガス圧力の供給の際に、液剤70が飛び散り、シリンジアダプターに付着してしまうので、使用後、シリンジアダプターを洗浄するという煩雑な作業が必要になることがある。
本願発明者らは、低温保管後、液剤70を室温に戻す際に、シリンジ容器10に充填された液剤70が、プランジャ30とバレル20の内壁との間の隙間を通り、非充填空間28に入り込むという問題は、低温保管や保管後の解凍に伴うシリンジ容器10内部の温度変化に起因するものであると推論した。すなわち、例えば、液剤70の温度が上昇する際にプランジャ30が動きにくい状態にあれば、温度上昇により膨張する液剤70が、プランジャ30とバレル20の内壁との間の隙間を通り、非充填空間28に入り込むことが考えられる。また、低温保管や保管後の解凍の際には、非充填空間28の気体の圧力は、大きく変化するので、低温保管庫からシリンジ容器10を取り出す際には、閉ざされた非充填空間28内の気体の圧力が高まり、プランジャ30を押圧することが考えられる。そのため、プランジャ30が動きにくい状態となり、膨張する液剤70がプランジャ30とバレル20の内壁との間の隙間に入り込むことも考えられる。また、さらに、プランジャ30が液剤充填部27の方向へ若干動いて液剤70に圧力を印加することも考えられる。以上述べたように、シリンジ容器10が温度変化する際には様々な要因が複合し、円筒状空間26と、プランジャ30との間の隙間を液剤70が通り、非充填空間28に入り込むと推論した。また、シリンジ容器10に充填された液剤70を室温から低温に冷却する際に、液剤70が非充填空間28に入り込むという問題についても、非充填空間28内の気体の圧力変化によるものと推論できる。
なお、液剤70が非充填空間28に入り込むという問題は、常に生じているわけではなく、ある程度の頻度で生じていることから、非充填空間28内の気体の圧力変化以外にも、バレル20の円筒状空間26の内径とプランジャ30の最大外径との寸法誤差や、バレルキャップ40とバレル20との間のわずかな隙間の存在等、様々な要因が複合したものと推論できる。
液剤70が非充填空間28に入り込むという問題を解決するために、バレル20の円筒状空間26の内径と、プランジャ30の最大外径との寸法誤差を小さくし、寸法精度を高めることにより、円筒状空間26と、プランジャ30との間の隙間をなくすことが考えられる。しかしながら、使い捨てのシリンジ容器10の寸法精度を高めることは、コストの上昇につながるため、現実的ではない。また、バレル20の円筒状空間26の内径と、プランジャ30の最大外径との寸法誤差が小さすぎると、プランジャ30が動き難くなるので、液剤70を吐出する際の吐出制御性が悪くなり、吐出量にバラツキが生じるなどの問題が発生する。
そこで、本発明は、シリンジ容器10に充填された液剤70を低温保管する場合に、液剤70が非充填空間28に入り込むという問題が生じることのない低コストのシリンジ容器10であって、低コストで液剤70を供給するためのシリンジ容器10を得ることを目的とする。
特に、上記問題の発生頻度が高い、シリンジ容器に充填された液剤の粘度が100mPa・s〜5000mPa・sの範囲内である場合に、低温保管の際に、液剤が非充填空間に入り込むという問題が生じることのない低コストのシリンジ容器であって、低コストで液剤を供給するためのシリンジ容器を得ることを目的とする。
本願発明者らは、鋭意努力の結果、上記問題の発生の原因を、上述したように、シリンジ容器10内部の温度変化に起因するものと推論した。さらに、本願発明者らは、温度変化による非充填空間28内の気体の圧力変化を防止することができれば、上記問題の発生を低減することができると推論した。そこで、本願発明者らは、上記推論に基づき、シリンジ容器において、バレルの非充填空間の圧力を調整する機構を付加することにより、シリンジ容器に充填された薬剤、接着剤等の液剤を低温保管する場合に、液剤が非充填空間に入り込むという問題が生じないことを見出し、本願発明に至った。
すなわち、本発明は、円筒状空間を有し、円筒状空間の一端が液剤取出孔であり、円筒状空間の他端が開口部であるバレルと、円筒状空間を液剤取出孔側の液剤充填部と、開口部側の非充填空間とに二分するように円筒状空間内に配置され、最大外径が円筒状空間の内径と略同一であるプランジャと、バレルの開口部に装着され、圧力調整機構を有するバレルキャップとを含むシリンジ容器である。バレルキャップが圧力調整機構を有することにより、シリンジ容器に充填された液剤を低温保管する場合に、液剤が非充填空間に入り込むことを防止することができる。
本発明のシリンジ容器の好ましい態様を以下に示す。本発明では、これらの態様を適宜組み合わせることができる。
(1)圧力調整機構が、貫通孔、シール、逆止弁及びダイヤフラムからなる群から選択される一種以上である。これらの圧力調整機構から選択したもの採用することにより、低コストで、外部からの不純物の混入を防止することができ、より確実な圧力調整機構をバレルキャップに付加することができる。
(2)上述のシリンジ容器が、液剤を低温保管するための容器である。本発明のシリンジ容器は、薬剤、接着剤等の液剤を低温保管するために好適に用いることができる。
本発明により、シリンジ容器に充填された液剤を低温保管する場合に、液剤が非充填空間に入り込むという問題が生じることのない低コストのシリンジ容器であって、低コストで液剤を供給するためのシリンジ容器を得ることができる。
特に、シリンジ容器に充填された液剤の粘度が100mPa・s〜5000mPa・sの範囲内である場合に、低温保管の際に、液剤が非充填空間に入り込むという問題が生じることのない低コストのシリンジ容器であって、低コストで液剤を供給するためのシリンジ容器を得ることができる。
本発明のシリンジ容器の一例を示す断面模式図である。 シリンジ容器のバレルの一例を示す断面模式図である。 従来のシリンジ容器を示す断面模式図である。 シールによる圧力調整機構を有するバレルキャップの一例を示す断面模式図である。 逆止弁による圧力調整機構を有するバレルキャップの一例を示す断面模式図である。 ダイヤフラムによる圧力調整機構を有するバレルキャップの一例を示す断面模式図である。 液剤が、非充填空間に存在していない状態のシリンジ容器を示す写真である。 液剤が、プランジャとバレルの内壁との間の隙間を通り、非充填空間に入り込んだ状態のシリンジ容器の一例の写真である。 液剤が、プランジャとバレルの内壁との間の隙間を通り、非充填空間に入り込んだ状態のシリンジ容器の別の一例の写真である。 液剤がシリンジ内壁とプランジャとの間に侵入した様子を示す模式図であって、液剤侵入部分の長さX及びシリンジ内壁にプランジャが接する部分の長さDを示す図である。
図1に、本発明のシリンジ容器10の一例の断面模式図を示す。本発明は、バレル20と、プランジャ30と、バレルキャップ40とを含むシリンジ容器10であって、バレルキャップ40が圧力調整機構50を有することに特徴がある。バレルキャップ40の圧力調整機構50により、シリンジ容器10のバレル20の非充填空間28の圧力を調整することができる。そのため、シリンジ容器10の温度が変化しても非充填空間28の気体の圧力変化を緩和することができるので、プランジャ30が液剤70に対して圧力を印加することを防止し、プランジャ30との間の隙間を通って非充填空間28に液剤70が入り込むことを防止することができる。以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のシリンジ容器10は、バレル20を有する。図2にバレル20の一例の模式図を示す。バレル20は、その内部に円筒状空間26を有するシリンダ状の形状である。円筒状空間26の一端に液剤取出孔22が配置される。注射針等を接続することができるように、液剤取出孔22は細い管状の突起形状である。円筒状空間26の、液剤取出孔22とは反対側の一端(他端)に開口部24が配置される。円筒状空間26の内径と略同一の最大外径であるプランジャ30を挿入するため、開口部24の径は、円筒状空間26の径と同一である。シリンジ容器10の材料としては、樹脂材料、特に透明又は半透明な樹脂材料から適宜選択して用いることができる。具体的には、シリンジ容器10の材料としては、ポリプロピレンを用いることができる。
シリンジ容器10は、液剤70を充填する容積に応じて様々なサイズのものがあり、一般的に1〜100cm程度の容積のものが用いられている。液剤70を充填する容積に対応して、バレル20の円筒状空間26の内径は、3〜30mm程度のものが一般的である。本発明のシリンジ容器10は、バレル20及びプランジャ30等の寸法を適宜選択することにより、一般的に用いられているどのようなサイズのシリンジ容器10に対しても適用することができる。
本発明のシリンジ容器10は、プランジャ30を有する。プランジャ30は、開口部24から挿入され、バレル20の円筒状空間26を二分するように円筒状空間26内に配置される。プランジャ30により二分される円筒状空間26の液剤取出孔22側の部分は、液剤70を充填するための液剤充填部27である。また、プランジャ30により二分される円筒状空間26の開口部24側の部分は、液剤70が存在しない空間(非充填空間28)である。円筒状空間26の液剤70は、プランジャ30によって蓋をされるように充填される。そのため、プランジャ30は、バレル20内部の円筒状空間26の液剤充填部27と、非充填空間28との境界に位置することになる。
プランジャ30の形状は円板状のものを用いることができるが、これに限られず、バレル20内部の円筒状空間26の液剤充填部27と、非充填空間28との境界に位置したときに気密かつ摺動可能になるような形状であればよい。プランジャ30の最大外径は、円筒状空間26の内径と略同一である。そのため、理想的には、液剤充填部27と、非充填空間28との間の物質の移動が基本的に起こらないように気密にする。また、プランジャ30は基本的に摺動可能であるので、液剤充填部27の液剤70を取り出す際には、バレルキャップ40及び液剤取出孔蓋60をはずし、プランジャ30に対してプランジャロッド(図示せず)を押し当てて又はガス圧力等の印加により押圧して、液剤取出孔22から液剤70を取り出すことができる。なお、プランジャ30の材料としては、硬質材料、樹脂材料及び柔軟性を有する材料(例えば弾性体等)を適宜選択して用いることができる。具体的には、プランジャ30の材料として、ポリエチレンを挙げられることができる。
本発明のシリンジ容器10は、バレルキャップ40を有する。図1にバレルキャップ40を有する本発明のシリンジ容器10の一例の模式図を示す。バレルキャップ40は、液剤70を入れた円筒状空間26を密閉するため、バレル20の開口部24に装着される。
本発明のシリンジ容器10のバレルキャップ40は、非充填空間28内の圧力を調整するための圧力調整機構50を有することに特徴がある。バレルキャップ40が圧力調整機構50を有することにより、液剤70を充填したシリンジ容器10を低温で保管した後、例えば−20〜−40℃、さらには−60℃以下で保管した後に、常温へと昇温する際に、密閉された非充填空間28内の気体の圧力が高まることを防止することができる。そのため、非充填空間28内の気体がプランジャ30を押圧することを防止することができ、液剤70が、円筒状空間26とプランジャ30との間の隙間を通り、非充填空間28に入り込むことを防ぐことができる。
本発明のシリンジ容器10のバレルキャップ40の圧力調整機構50として、貫通孔42、シール51、逆止弁52及びダイヤフラム56からなる群から選択される一種以上を用いることができる。例えば、シール51及び逆止弁52は、バレルキャップ40に設けられ、非充填空間28とシリンジ容器10の外部との間に気体流路を形成する貫通孔42と共に用いることができる。また、バレルキャップ40の圧力調整機構50として、単に貫通孔42のみを用いることができる。また、バレルキャップ40が、シール51、逆止弁52及びダイヤフラム56等から選択される複数を圧力調整機構50として有することもできる。さらに具体的には、貫通孔42のみ、貫通孔4とシール51又は逆止弁52との組み合わせ、及びダイヤフラム56の中から選択した圧力調整機構50を用いることができる。
図4に、シール51による圧力調整機構50を有するバレルキャップ40の一例の断面模式図を示す。シール51による圧力調整機構50は、バレルキャップ40に小径の貫通孔42を設け、貫通孔42の外側に粘着剤等によりシール51を貼り付ける構造を有する。シール51による圧力調整機構50により、非充填空間28内の気体の圧力が高まった場合には、粘着剤等で接着された部分の一部に空気が通過することのできる通路ができるので、非充填空間28内の気体の一部を外部に逃がすことができ、非充填空間28内の圧力の上昇を防止することができる。また、非充填空間28内の気体が減圧される際には、シール51による密閉がされるため、シリンジ容器10内への外気の流入を防止することができる。そのため、低温保管などの際の、液剤70の外気との接触による劣化を防止することができる。
図5に、逆止弁52による圧力調整機構50を有するバレルキャップ40の一例の断面模式図を示す。逆止弁52による圧力調整機構50は、バレルキャップ40に小径の貫通孔42を設け、貫通孔42に逆止弁52を配置する構造を有する。逆止弁52としては、例えば、小径の貫通孔42の外側開孔部に、一部のみが可動固定部53で可動に固定された蓋状のものを配置するという構造のものを用いることができる。逆止弁52は、図5に点線で示すように、可動固定部53を支点に動くことができる逆止弁52による圧力調整機構50を備える場合には、非充填空間28からシリンジ容器10外側への方向のみ気体が通過することができる。そのため、非充填空間28内の気体の圧力が高まった場合には、非充填空間28内の気体の一部を外部に逃がすことができ、非充填空間28内の圧力の上昇を防止することができる。また、非充填空間28内の気体が減圧される際には、逆止弁52により、シリンジ容器10内への外気の流入を防止することができる。そのため、低温保管などの際の、液剤70の外気との接触による劣化を防止することができる。
また、図4又は図5に示す例において、バレルキャップ40の圧力調整機構50として、単に貫通孔42を有することができる。この場合には、シール51及び逆止弁52は必ずしも必要ではない。貫通孔42により、非充填空間28と、シリンジ容器10外部との間に気体の通過が可能となるので、圧力調整機構50としての役割を担うことができる。ただし、貫通孔42を通しての不純物の混入や、外気との接触による液剤劣化を防止することを確実にするために、圧力調整機構50としては、貫通孔42に加えて、図4又は図5に示すようなシール51又は逆止弁52を用いることが好ましい。
図6に、ダイヤフラム56による圧力調整機構50を有するバレルキャップ40の一例の断面模式図を示す。ダイヤフラム56による圧力調整機構50は、バレルキャップ40の一部又は全体に貫通孔42を設け、貫通孔42の外側開孔部にダイヤフラム56を配置する構造を有する。ダイヤフラム56による圧力調整機構50を備える場合には、非充填空間28内の気体の圧力上昇又は圧力低下を、ダイヤフラム56の変形による体積増加(図6のダイヤフラム56a)又は体積減少(図6のダイヤフラム56b)により補償することができる。そのため、非充填空間28内の圧力変化を防止することができる。また、シリンジ容器10外側と非充填空間28とは、ダイヤフラム56により密封されているので、シリンジ容器10内に外気が入ることはない。そのため、低温保管などの際の、液剤70の外気との接触による劣化を防止することができる。
ダイヤフラム56を構成する材料としては、本発明のシリンジ容器10を保管するときの低温の保管温度において柔軟性を有する材料を用いることができる。具体的には、本発明のシリンジ容器10を保管するときの低温の保管温度に応じて、所定のガラス転移点を有する各種ゴムを用いることができる。例えば、低温での保管温度が、−20〜−40℃の場合には、−50℃以下のガラス転移点のゴムを用いることができる。具体的には、ダイヤフラム56を構成することのできる−50℃以下のガラス転移点を有する材料として、ニトリルゴム、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム及びポリスルフィドゴムから選択される一種以上を用いることができる。保管温度が−60℃以下の場合には、ダイヤフラム56を構成する材料として、ニトリルゴム(Tg=−85℃)、シリコーンゴム(Tg=−125〜−112℃)及びブタジエンゴム(Tg=−110〜−90℃)から選択される一種以上を用いることが好ましい。
本発明のシリンジ容器10は、薬剤、接着剤等の液剤70を低温保管するための容器として、好適に用いることができる。本発明のシリンジ容器10は、バレルキャップ40に圧力調整機構50を有するため、バレル20の円筒状空間26の内径及びプランジャ30の最大外径等の寸法精度に多少の誤差が生じた場合であっても、液剤70が、円筒状空間26とプランジャ30との間の隙間を通ることを防ぐことができる。したがって、本発明のシリンジ容器10を製造する際には、寸法精度を著しく高める必要はなく、製造コストを低減することができる。また、非充填空間28に入り込む無駄な液剤70が生じることを防止することができるため、低コストで液剤70を供給することができる。
液剤70が非充填空間28に入り込むという問題の発生頻度は、液剤70の粘度が100mPa・s〜5000mPa・sの範囲内である場合に特に高い。本発明のシリンジ容器10を用いるならば、液剤70の粘度が100mPa・s〜5000mPa・sの範囲内である場合であっても、上記問題の発生頻度を大きく低減することができる。
30cc用シリンジ(内径23mm、内長110mm)に液状エポキシ樹脂組成物としてナミックス製COF用アンダーフィル剤(比重1.1g/cm、25℃における粘度500mPa・s)を20g充填し、シリンジ内にプランジャを挿入した。次に、圧力調整機構として、直径5mmの貫通孔を設けたバレルキャップをシリンジ容器の開口部に装着し、実施例とした(実験番号A1〜A10)。また、比較例として、貫通孔を設けていないバレルキャップをシリンジ容器の開口部に装着したものを用いた(実験番号B1〜B10)。実施例及び比較例に用いたシリンジ容器及びバレルキャップの寸法は、貫通孔の有無を除き、すべて同じとした。次に、実施例及び比較例の各々10本を、−40℃の冷凍庫内で24時間冷凍し、その後に室温(25℃)に放置して解凍した。
実施例及び比較例の容器の解凍後に、液剤侵入部分の長さを測定した。ここで「液剤侵入部分の長さ」とは、シリンジ内壁にプランジャが接する部分のうち、液剤がシリンジ内壁とプランジャとの間に侵入した部分の長さであって、液剤充填部から液剤が進入した部分の先端までの距離をいう。具体的には、図10に示す長さXを「液剤侵入部分の長さ」という。また、「液剤進入割合」とは、「液剤侵入部分の長さ」(図10に示す長さX)を、シリンジ内壁にプランジャが接する部分の長さ(図10に示す長さD)で除した割合(X/D)をいう。実施例及び比較例で用いたプランジャは、外径が30cc用シリンジ(内径23mmの)に適合し、長さD=10mmのものを用いた。
表1に、実施例及び比較例の、液剤侵入部分の長さXの測定結果から求めた液剤進入割合(X/D)の値を示す。表1から明らかなように、冷凍前(A)と解凍後(C)とを比較した液剤進入割合(X/D)の変化(C−A)が10%以上増加している本数は、本発明の実施例(実験番号A1〜A10)では10本中0本だった。それに対し、比較例(実験番号B1〜B10)において、冷凍前(A)と解凍後(C)とを比較した液剤進入割合(X/D)の変化(C−A)が10%以上増加している本数は10本中6本だった。また、本発明の実施例である実験番号A1〜A10の液剤進入割合(X/D)の変化(C−A)は、すべて、比較例である実験番号B1〜B10の変化(C−A)より小さかった。また、冷凍前(A)と冷凍後(B)とを比較した場合も、液剤進入割合(X/D)の変化(B−A)は、本発明の実施例の実施例の方が、比較例と比べて概ね小さかった。以上のことから、本発明のシリンジ容器を用いるならば、液剤が非充填空間に入り込むという問題の発生頻度を大きく低減することができるといえる。
本実施例では、バレルキャップの圧力調整機構として貫通孔を有するものを用いた。圧力調整機構が、シール、逆止弁又はダイヤフラム等である場合であっても、シリンジ容器の圧力を調整することが可能なので、貫通孔の場合と同様に、液剤が非充填空間に入り込むという問題の発生頻度を大きく低減することができると推測される。
10 シリンジ容器
20 バレル
22 液剤取出孔
24 開口部
26 円筒状空間
27 液剤充填部
28 非充填空間
30 プランジャ
40 バレルキャップ
42 貫通孔
50 圧力調整機構
51 シール
52 逆止弁
53 可動固定部
56 ダイヤフラム
56a ダイヤフラム(非充填空間内の圧力上昇時)
56b ダイヤフラム(非充填空間内の圧力低下時)
60 液剤取出孔蓋
70 液剤

Claims (3)

  1. 円筒状空間を有し、円筒状空間の一端が液剤取出孔であり、円筒状空間の他端が開口部であるバレルと、
    円筒状空間を液剤取出孔側の液剤充填部と、開口部側の非充填空間とに二分するように円筒状空間内に配置され、最大外径が円筒状空間の内径と略同一であるプランジャと、
    バレルの開口部に装着され、圧力調整機構を有するバレルキャップと
    を含むシリンジ容器。
  2. 圧力調整機構が、貫通孔、シール、逆止弁及びダイヤフラムからなる群から選択される一種以上である、請求項1記載のシリンジ容器。
  3. シリンジ容器が、液剤を低温保管するための容器である、請求項1又は2に記載のシリンジ容器。
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