JP2012162192A - 電動パーキングブレーキ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】運転者のアクセルペダルの操作を速やかに認識し、スロットルバルブの開き始めにおいて、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックを低減する電動パーキングブレーキ装置を提供する。
【解決手段】アクセルペダル操作量信号APSを用いてスロットルバルブの開き始めのタイミングに電動パーキングブレーキを解除する代わりに、アクセルペダルが踏み込まれていない時刻t1のタイミングでのアクセルペダル操作量信号APSを取得して、基準アクセルペダル操作量信号APSとし、その後は、アクセルペダル操作量信号APSと基準アクセルペダル操作量信号APSとの比をアクセル操作係数KACとし、アクセル操作係数KACが閾値KAC以上になったタイミングで電動パーキングブレーキを解除する。
【選択図】図6

Description

本発明は、自動車等の車両に備えられる電動パーキングブレーキ装置に関し、特に、アクセルペダルの操作等に応じて、連動させて自動的に電動パーキングブレーキを解除する機能を有する電動パーキングブレーキ装置に関する。
電動パーキングブレーキ装置は、車両の駐車時等に制動を行うパーキングブレーキを、例えば、モータ等の電動アクチュエータを用いて駆動する方式の電動パーキングブレーキと、その動作を制御する制御装置を含むものである。このような電動パーキングブレーキ装置は、運転者が電気的なスイッチによって電動パーキングブレーキを操作できることから、一般的な手動レバーや足踏みペダルによるパーキングブレーキの操作に対して労力が低減される。
また、電動パーキングブレーキ装置は、車両の停止や、運転者による発進操作を検出し、自動的に電動パーキングブレーキの制動及び解除動作を行わせるオートモードを備えたものもある。
特許文献1には、イグニッション電源がオン状態であり、エンジンが停止している場合に、アクセルペダルの操作やセレクトレバーの操作があっても、電動パーキングブレーキの自動解除を防止し、制動状態を維持する電動パーキングブレーキ装置の技術が記載されている。これにより、イグニッション電源がオン状態でエンジン停止中に、アクセルペダルの操作やセレクトレバーの操作を検出して、電動パーキングブレーキの自動解除の動作を防止できるとしている。
ちなみに、特許文献1の電動パーキングブレーキは、パーキングブレーキケーブルをDC(Direct Current)モータで巻き上げたり、巻き戻して緩めたりして、左右の後輪のブレーキドラムにブレーキシューを押圧、又は押圧力解除をする構成のものである。
また、特許文献2には、左右後輪に設けられた液圧ブレーキ機構のキャリパにブレーキ液圧により駆動される第1のピストンの他にモータで駆動されるねじ機構により回転運動から直線運動に変換される第2のピストンを有し、この第2のピストンが第1のピストンの動作時と同様にロータディスクの両側からインナ側ブレーキパッドとアウタ側ブレーキパッドを押圧させて電動パーキングブレーキとして動作させる技術が記載されている。
そして、特許文献2に記載の技術では、例えば、信号待ち停車時のアイドリングストップによるエンジン自動停止中に電動パーキングブレーキが作動した後に、エンジンの自動再始動時に運転者によりアクセルペダルが踏み込まれたときに、電動パーキングブレーキの解除信号を出力したとしても、電動パーキングブレーキの解除動作が遅く、車輪制動力が完全に開放されるまでに時間がかかるため、車両の発進性能が低下する課題があり、その改善技術が記載されている。
そのために、特許文献2には、エンジンの自動再始動の前にサービスブレーキ(フットブレーキで使用する液圧ブレーキ)をブレーキペダルの操作力とは独立の加圧手段で加圧し、電動パーキングブレーキを早期に解除し、エンジンの自動再始動後に、ブレーキペダルの操作力に応じて車両が迅速に発進できるようにする技術が記載されている。
特許文献3には、液圧ブレーキ装置をサービスブレーキとして用いるとともに、電動パーキングブレーキとしても用いる技術が記載されている。
特開2007−296902号公報(図1、図3、段落[0023]〜[0031]参照) 特開2010−179872号公報(図1〜図3、図5、図6参照) 特開2006−256578号公報(図1〜図4参照)
ところで、特許文献1〜3に記載の電動パーキングブレーキ装置においては、アクセルペダルの踏み込みを検出して、電動パーキングブレーキの制動状態を解除する構成である。しかし、最近のエンジン制御装置におけるようにアクセルペダルの操作量をアクセルペダルポジションセンサで検出し、その検出されたアクセルペダルの操作量に応じて電子的にスロットルバルブの開度を制御する方式では、エンジン制御装置の側で、予めスロットルバルブの全閉状態のアクセルペダルの位置(アクセルペダルの操作量)を示すアクセルペダル操作量信号を学習して、アクセルペダル操作量信号が所定の閾値になったときにスロットルバルブが開き始めるようになっている。
しかしながら、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルペダルポジションセンサのアナログ−デジタル変換された電圧信号であるアクセルペダル操作量信号APSは、A/D(アナログ・デジタル)変換器並びにアクセルペダルポジションセンサの製造のばらつき、回路特性誤差、直線性誤差等を含むため、予め少し高めに前記アクセルペダル操作量信号APSの所定の閾値を学習するようにしている。
その結果、前記アクセルペダル操作量信号の所定の閾値に合わせて、電動パーキングブレーキを解除するように設定すると、実際にスロットルバルブが開き始めた後で、電動パーキングブレーキが解除され、電動パーキングブレーキが解除されないまま車両が発進する車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックを生じ、車両発進時における乗員の乗り心地を悪化させる可能性があった。
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、運転者のアクセルペダルの操作を速やかに認識し、スロットルバルブの開き始めにおいて、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックを低減する電動パーキングブレーキ装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明の電動パーキングブレーキ装置は、電動アクチュエータによってパーキングブレーキを作動状態又は解除状態に切り換える電動パーキングブレーキと、車両のアクセルペダルの操作量を検出するアクセルペダル操作量検出手段と、を備え、アクセルペダル操作量検出手段が検出したアクセルペダルの操作量に基づいて電動パーキングブレーキを作動状態から解除状態に切り換えるものであって、アクセルペダルの操作量に応じて開閉されるスロットルバルブの実開度を検出するスロットル開度検出手段と、スロットル開度検出手段によりスロットルバルブの実開度が全閉状態のときに、アクセルペダル操作量検出手段で検出したアクセルペダルの操作量を基準アクセルペダル操作量として取得して記憶更新する基準アクセル操作量取得手段と、アクセルペダル操作量検出手段が検出したアクセルペダルの操作量と基準アクセルペダル操作量に基づいて実アクセルペダル操作量の変化量を算出する実アクセルペダル操作量算出手段と、実アクセルペダル操作量算出手段で算出された実アクセルペダル操作量の変化量が、予め設定された所定の閾値を超えたときに電動パーキングブレーキを作動状態から解除状態に切り換えるパーキングブレーキ解除判定手段と、を備えることを特徴とする。
そして、実アクセルペダル操作量の変化量として、アクセルペダル操作量検出手段が検出したアクセルペダルの操作量と記憶更新された基準ペダル操作量との比の値(以下、「アクセル操作係数」と称する)を用いることが望ましい。
請求項1に記載の発明によれば、実アクセルペダル操作量算出手段で算出する実アクセルペダル操作量の変化量として、スロットルバルブが全閉状態から開き始めるタイミングでのアクセルペダル操作量検出手段が検出したアクセルペダルの操作量と記憶更新された基準アクセルペダル操作量との比の値(アクセル操作係数)とすることによって、アクセルペダル操作量検出手段が温度変化等の車両環境の変化によってアクセルペダルの操作量の信号に変化が生じても、同一車両環境におけるアクセル操作係数を用いることから、安定したアクセル操作係数を算出することができる。
そして、前記したアクセル操作係数の予め設定された所定の閾値を、スロットルバルブが全閉状態から開き始めるタイミングとして設定することにより、温度変化等の車両環境の変化に対して、安定してエンジンのトルクが発生したタイミングで電動パーキングブレーキを解除でき、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックが生じることを防止できる。
請求項2に係る発明の電動パーキングブレーキ装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、サービスブレーキの動作状態を取得するサービスブレーキ動作状態取得手段を、更に備え、基準アクセル操作量取得手段は、電動パーキングブレーキが作動状態で、且つ、サービスブレーキ動作状態取得手段によってサービスブレーキが踏み込まれていることを検出している状態で、基準アクセルペダル操作量を取得して記憶更新し、実アクセルペダル操作量算出手段は、記憶更新された基準アクセルペダル操作量を用いて実アクセルペダル操作量の変化量を算出することを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、基準アクセル操作量取得手段は、電動パーキングブレーキが作動状態で、且つ、サービスブレーキ動作状態取得手段によってサービスブレーキが踏み込まれていることを検出している状態で、基準アクセルペダル操作量を取得して記憶更新し、実アクセルペダル操作量算出手段が、記憶更新された基準アクセルペダル操作量を用いて実アクセルペダル操作量の変化量(アクセル操作係数)を算出する。従って、車両が停車して電動パーキングブレーキが作動状態から、運転者が車両を発進させるため、例えば、セレクタレバーをパーキング位置からドライブ位置またはリバース位置に移動させる前にサービスブレーキ(ブレーキペダル)を踏み込む操作により、サービスブレーキが踏み込まれている状態で、現在の車両環境、例えば、温度環境における基準アクセルペダル操作量を取得することができる。その結果、現在の車両環境、例えば、温度環境における基準アクセルペダル操作量に基づいて算出されたアクセル操作係数も精度の良いものとなる。
そして、スロットルバルブの開き始めに対応するアクセル操作係数の所定の閾値が一定値でも、スロットルバルブの開き始めのタイミングと電動パーキングブレーキの解除のタイミングとが安定して一致することになる。よって、安定してエンジンのトルクが発生したタイミングで電動パーキングブレーキを解除でき、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックが生じることを防止できる。
請求項3に係る発明の電動パーキングブレーキ装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明の構成に加え、実アクセルペダル操作量算出手段が、実アクセルペダル操作量の変化量として、アクセルペダル操作量検出手段が検出した前記アクセルペダルの操作量と前記記憶更新された基準アクセルペダル操作量との比の値(アクセル操作係数)を算出し、算出された比の値(アクセル操作係数)が1よりも小さいときは、予め設定された所定の閾値を低く補正して、パーキングブレーキ解除判定手段に出力する判定値補正手段を備えることを特徴とする。
なお、前記した所定の閾値を低く補正する量は、算出された比の値が1よりも小さい度合いに応じて補正することが望ましい。
請求項3に記載の発明によれば、基準アクセルペダル操作量が取得された後に、例えば、運転者がアクセルペダルを突き上げた状態に操作した場合に、アクセル操作係数は、1よりも小さい値になる。エンジン制御装置は、このような場合においてスロットルバルブを全閉状態から開き始めるタイミングのアクセルペダルの操作量を低い値に学習してしまう可能性がある。このようなアクセル操作係数が1よりも小さいときは、判定値補正手段が予め設定されたアクセル操作係数の所定の閾値を低く補正して、パーキングブレーキ解除判定手段に出力するので、スロットルバルブの開き始めのタイミングと電動パーキングブレーキの解除のタイミングとを一致させることができる。よって、安定してエンジンのトルクが発生したタイミングで電動パーキングブレーキを解除でき、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックが生じることを防止できる。
請求項4に係る発明の電動パーキングブレーキ装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明の構成に加え、電動アクチュエータの回転速度を制御する速度制御手段を、更に備え、実アクセルペダル操作量算出手段が、実アクセルペダル操作量の変化量として、アクセルペダル操作量検出手段が検出したアクセルペダルの操作量と記憶更新された基準アクセルペダル操作量との比の値(アクセル操作係数)を算出し、速度制御手段が、算出された比の値(アクセル操作係数)が1よりも大きいときは、パーキングブレーキ解除判定手段が電動パーキングブレーキを作動状態から解除状態に切り換えた際に、電動アクチュエータの解除の作動速度を、算出された比の値(アクセル操作係数)が1以下のときよりも大きくすることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、基準アクセルペダル操作量が取得された後に、例えば、運転者がアクセルペダルを少し突き下げた状態に操作した場合に、アクセル操作係数は、1よりも大きい値になる。エンジン制御装置は、このような場合においてスロットルバルブを全閉状態から開き始めるタイミングのアクセルペダルの操作量を高い値に学習してしまう可能性がある。このようにアクセル操作係数が1よりも大きいときは、電動アクチュエータの回転速度を制御する速度制御手段は、アクセル操作係数が1以下のときよりも電動アクチュエータの解除の作動速度を大きくする。従って、エンジン制御装置がスロットルバルブを全閉状態から開き始めるタイミングのアクセルペダルの操作量を高い値に学習しているため、運転者がスロットルを吹かすためにアクセルペダルを勢いよく踏み込む操作をしても、スロットルバルブの開き始めのタイミングと電動パーキングブレーキの解除のタイミングとを一致させることができる。よって、安定してエンジンのトルクが発生したタイミングで電動パーキングブレーキを解除でき、車両の引きずり現象やや発進直後の制動ショックが生じることを防止できる。
請求項5に係る発明の電動パーキングブレーキ装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明の構成に加え、車両が登坂状態であることを検出する登坂状態検出手段を更に備え、実アクセルペダル操作量算出手段が、実アクセルペダル操作量の変化量として、アクセルペダル操作量検出手段が検出したアクセルペダルの操作量と記憶更新された基準アクセルペダル操作量との比の値(アクセル操作係数)を算出し、登坂状態検出手段が、車両が登坂状態であることを検出した場合に、予め設定された所定の閾値を高く補正して、パーキングブレーキ解除判定手段に出力する判定値補正手段を備えることを特徴とする。
なお、予め設定された所定の閾値を高く補正する量は、登坂状態検出手段が検出した上り坂の度合いに応じて設定されることが好ましい。
請求項5に記載の発明によれば、登坂状態検出手段が、車両が登坂状態であることを検出した場合に、判定値補正手段は予め設定されたアクセル補正係数の所定の閾値を高く補正して、パーキングブレーキ解除判定手段に出力するので、スロットルバルブが開いても上り坂に必要な登坂力に対しエンジンの出力トルクが十分でなく、車両が少し後ずさりしてから前進を開始するような発進を抑制できる。
請求項6に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明の構成に加え、更に、前記車両の環境状態情報を検出する車両環境状態検出手段と、スロットル開度検出手段により検出されるスロットルバルブの実開度が、全閉状態から開き始めるタイミングのときに、前記アクセルペダル操作量検出手段で検出したアクセルペダルの操作量を、閾値アクセルペダル操作量として、車両環境状態検出手段が取得した車両の環境状態情報とともに取得して蓄積記憶する閾値アクセル操作量取得手段と、蓄積記憶された閾値アクセルペダル操作量と、車両環境状態検出手段が取得した車両の環境状態情報と、に基づいて予め設定された所定の閾値を設定する判定値設定手段と、を備えることを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、アクセルペダル操作量検出手段の出力信号にバイアス変化や線形特性等に変化があっても、車両環境状態検出手段が、車両の環境状態情報、例えば、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルペダル操作量検出手段の近傍の環境温度を検出し、閾値アクセル操作量取得手段が、スロットル開度検出手段により検出されるスロットルバルブの実開度が、全閉状態から開き始めるタイミングのときに、アクセルペダル操作量検出手段で検出したアクセルペダルの操作量を、閾値アクセルペダル操作量として、前記した車両の環境状態情報とともに取得して蓄積記憶する。そして、判定値設定手段が、蓄積記憶された閾値アクセルペダル操作量と車両の環境状態情報を参照し、車両の環境状態情報に基づいて前記したアクセル操作係数に対する予め設定された所定の閾値を設定することができるので、エンジン制御装置において学習するスロットルバルブの開き始めに対するアクセルペダルの操作量に対して、例えば、温度変化によるアクセルペダル操作量検出手段のバイアスや線形特性の変化による影響を考慮して、精度良く対応したアクセル操作係数の所定の閾値を設定できる。
その結果、安定してエンジンのトルクが発生したタイミングで電動パーキングブレーキを解除でき、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックが生じることを防止できる。
本発明によれば、運転者のアクセルペダルの操作を速やかに認識し、スロットルバルブの開き始めにおいて、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックを低減する電動パーキングブレーキ装置を提供することができる。
第1の実施形態に係る電動パーキングブレーキ装置のブロック構成図である。 図1における電動パーキングブレーキ制御ユニットのブロック構成図である。 電動パーキングブレーキ制御ユニットにおける電動パーキングブレーキを自動解除する制御の流れを示すフローチャートである。 図3の続きを示す図である。 図4の続きを示す図である。 電動パーキングブレーキを自動解除する制御のタイムチャートであり、(a)は、電動パーキングブレーキの制動状態(作動状態)から解除への切り換わりのタイムチャート、(b)は、パーキングブレーキSWの状態信号のONからOFFへの切り換わりのタイムチャート、(c)は、セレクトレバーポジション情報信号の切り換わりのタイムチャート、(d)は、サービスブレーキのブレーキ操作SW信号のON,OFFの変化を示すタイムチャート、(e)は、アクセルペダル操作量信号APS(単位:電圧V)の変化を示す説明図、(f)は、スロットル開度信号THSの変化を示す説明図、(g)は、アクセル操作係数KACの変化を示す説明図である。 第2の実施形態に係る電動パーキングブレーキ装置における電動パーキングブレーキ制御ユニットのブロック構成図である。 図7におけるアクセル操作係数閾値学習部のスロットル開度の開き始めにおけるアクセル操作係数の学習の制御の流れを示すフローチャートである。 学習記憶されたアクセル操作係数閾値のテーブルの説明図である。 第2の実施形態における電動パーキングブレーキ制御ユニットの電動パーキングブレーキを自動解除する制御の流れの第1の実施形態からの変更点を示すフローチャートである。
以下に、本発明の実施形態に係る電動パーキングブレーキ装置について図を参照しながら詳細に説明する。
《第1の実施形態》
図1、図2を参照して第1の実施形態に係る電動パーキングブレーキ装置1Aについて説明する。図1は、第1の実施形態に係る電動パーキングブレーキ装置のブロック構成図である。
図1に示す電動パーキングブレーキ装置1Aでは、電動アクチュエータ5として、パーキングブレーキケーブルをDCモータ21で巻き上げたり、巻き戻して緩めたりして、左右の後輪のブレーキドラムにブレーキシューを押圧、又は押圧力解除をする構成のものを例に示してある。そして、パーキングブレーキケーブルの巻き上げ完了、巻き戻し完了を検出するためのストロークセンサ22が設けられている。この場合、ストロークセンサ22は、パーキングブレーキケーブルの移動量を直接検出するものではなく、例えば、DCモータ21の回転数を検出するものでも良い。動作機構7は、パーキングブレーキケーブルの巻き上げ、巻き戻しをするケーブルドラムに対応する。
電動パーキングブレーキ装置1Aは、電動アクチュエータ5を制御する電動パーキングブレーキ制御ユニット4Aを備え、車載LAN(Local Area Network)25を介して、図示しないエンジンと自動変速機を制御するFI/AT制御ユニット11やその他制御ユニット12と通信可能に接続されている。
ちなみに、「FI/AT」の「FI」は、エンジンの燃料噴射(Fuel Injection)を制御する意味でありエンジンに対する制御機能の全体を代表的に表示し、「AT」は自動変速機(Automatic Transmission)を制御する意味で自動変速機に対する制御機能を代表的に表示している。
(FI/AT制御ユニット11)
先ず、FI/AT制御ユニット11について説明する。
FI/AT制御ユニット11は、CPU,RAM,ROM、書き込み可能な不揮発メモリ及びそれらを接続するバス、並びに入出力インタフェース回路を含むFI/AT−ECU(Electrical Control Unit)11aの他に、図示省略してあるが、例えば、燃料ポンプ駆動用電源等を含んでいるが、本発明には直接関係しないので詳細な説明は省略する。
FI/AT−ECU11aには、車室内の運転席に設けられているアクセルペダル(図示せず)の踏み込み位置(以下、「アクセルペダル操作量」と称する)を検出するアクセルペダルポジションセンサ(アクセルペダル操作量検出手段)13からのアクセルペダル操作量信号APS、アクセルセレクトレバー(図示せず)の選択位置を検出するセレクトレバーポジション・スイッチ14(以下、「セレクトレバーポジションSW14」と称する)からのセレクトレバーポジション情報信号SPS、スロットル(図示せず)の開度を検出するスロットルポジションセンサ(スロットル開度検出手段)16からのスロットル開度信号THS、自動変速機の変速段の設定状態を検出するAT変速段センサ18からの信号、エンジンのクランク角を検出するクランクパルスセンサ19からのクランクパルス信号、クランク角が気筒のTDC(Top Dead Center)に位置したことを検出するTDCセンサ(図示せず)からの信号等が入力される。
イグニッション・スイッチ20(以下、「IG−SW20」と称する)は、図示しないバッテリからの電力をFI/AT−ECU11aに供給する図示しないメインスイッチをオン/オフし、FI/AT制御ユニット11にバッテリからの電源を供給又は供給停止するとともに、エンジンの始動/停止信号をFI/AT−ECU11aに入力する。
そして、FI/AT制御ユニット11は、FI/AT制御ユニット11以外の他の制御ユニット、例えば、電動パーキングブレーキ制御ユニット4A、その他制御ユニット12等にバッテリからの電源を供給するためのFI/AT−ECU11aにオン/オフ制御される電源スイッチ(図示せず)をも含んでいる。
FI/AT−ECU11aは、少なくとも運転者のアクセルペダル操作量信号APSに応じてスロットルバルブ(図示せず)の開度を制御するスロットルバルブアクチュエータ15を制御したり、エンジンの回転速度やAT変速段センサ18からの信号が示す現在の変速段情報やアクセルペダル操作量信号APS等に応じてATアクチュエータ17を制御したりする。
ちなみに、FI/AT−ECU11aは、IG−SW20がオン操作された直後にアクセルペダルポジションセンサ13からのアクセルペダル操作量信号APSを電圧(単位:電圧V)信号で取得して、スロットルバルブ全閉状態のアクセルペダル操作量信号APSの初期位置とし、スロットルバルブを開き始めるタイミングまでのアクセルペダル操作量信号APSの増分δAPSを加えたスロットルバルブ開閾値操作量APSthを学習設定する。つまり、スロットルバルブ開閾値操作量APSthを書き込み可能な不揮発メモリに記憶させる。
そして、FI/AT−ECU11aは、アクセルペダル操作量信号APSがスロットルバルブ開閾値操作量APSthを超えたとき、スロットルバルブアクチュエータ15に少なくともΔAPS(=APS−APSth)に基づいた開度目標値を出力する。
ちなみに、増分δAPSは、アクセルペダル操作量信号APSをデジタル信号に変換するA/D(アナログ・デジタル)変換器並びにアクセルペダルポジションセンサ13の製造のばらつき、A/D(アナログ・デジタル)変換器並びにアクセルペダルポジションセンサ13の回路特性誤差、直線性誤差等を考慮して、予め少し高めの値に設定してROMに格納されており、その増分δAPSに基づいてスロットルバルブ開閾値操作量APSthを学習するようにしている。
なお、スロットルバルブ開閾操作量APSthの学習は、バッテリ接続後に初回に行い、その後、車両の運転状態に応じて学習値の補正を行っているが、実際にスロットルバルブアクチュエータ15の制御に用いるのは、最寄りの所定回数のIG−SW20がオン操作の学習値の移動平均値<APSth>を用いて、ΔAPS(=APS−<APSth>)に基づいた開度目標値を出力するようにしても良い。そしてこのような、ΔAPSを用いる方が、アクセルペダルの踏み込み開始後のアクセルペダル操作量信号APSの変化に対し、スロットルバルブアクチュエータ15によるスロットルバルブの開き始めのタイミングが安定したものとなる。
また、FI/AT−ECU11aが、燃料ポンプや各気筒への燃料供給量をも制御するが、詳細は省略する。
そして、FI/AT制御ユニット11は、アクセルペダル操作量信号APS、スロットル開度信号THS、セレクトレバーポジション情報信号SPS,エンジン回転速度信号NeSを車載LAN25により、電動パーキングブレーキ制御ユニット4Aや、その他制御ユニット12に送信している。
(その他制御ユニット12)
先ず、その他制御ユニット12について説明する。その他制御ユニット12としては、具体的には、例えば、運転者によるブレーキペダルの操作に応じて各車輪に設けられたブレーキ装置を制御するブレーキ制御ユニット、運転者によるステアリングホイールの操作に応じて操舵力を補助したり操舵反力を制御したりする電動パワーステアリング制御ユニット、車両の旋回運動時の安定性を向上させたりする車両挙動安定化制御ユニット、所定以上の車両の急減速を検出したときにシートベルトを巻き上げるとともに張力を高めるシートベルト制御ユニット等を総称したものである。そして、それらの各制御ユニット間は、車載LAN25で通信可能に接続されており、各制御ユニットにおいて必要なパラメータの信号を、車載LAN25を介して受信するとともに、他の制御ユニットにおいて必要なパラメータの信号を、車載LAN25を介して送信している。
例えば、車両挙動安定化制御ユニットは、各車輪の車輪速を検出する車輪速センサ8から車輪速を示すパルス信号、ヨーレートセンサ(図示せず)からの実ヨーレートを示す信号、横加速度を検出する横加速度センサ(図示せず)からの信号、前後加速度を検出する前後加速度センサ10からの信号が入力されている。ちなみに、図1では、代表的に1個の車輪速センサ8のみを表示しているが、実際には各車輪に1個ずつ設けられている。そして、例えば、車両挙動安定化制御ユニットにおいて、各車輪の車輪速センサ8から車輪速を示すパルス信号に基づいて車速を演算し、車載LAN25を介して他の制御ユニットに車速を示す信号を出力している。また、実ヨーレートを示す信号(図示せず)、横加速度を示す信号(図示せず)、前後加速度を示す前後加速度αFSを送信している。
前記したシートベルト制御ユニットには、少なくとも運転者席のシートベルトが装着されたことを検出するシートベルトバックルスイッチ2(以下、「バックルSW2」と称する)からの運転者がシートベルトを装着しているか否かを示すバックル情報信号SBBSが入力される。
そして、シートベルト制御ユニットは、バックルSW2の検出したオン状態、オフ状態を示すバックル情報信号SBBSを、車載LAN25を介して他の制御ユニットに送信する。ちなみに、バックルSW2がオン状態を検出した場合は、シートベルトの装着を検出した状態を意味し、バックルSW2がオフ状態を検出した場合は、シートベルトの非装着状態を意味する。
また、例えば、ブレーキ制御ユニットは、運転者によるブレーキペダル(図示せず)の踏み込みをブレーキペダル操作検出スイッチ(サービスブレーキ動作状態取得手段)9(以下、「ブレーキペダル操作SW9」と称する)からの信号で、検出してブレーキランプのオン/オフ制御をするとともに、例えば、マスターシリンダの油圧圧力を検出して、運転者のブレーキペダル操作に応じた液圧を、各車輪のブレーキ装置に伝達したり、各車輪の車輪速を監視して、車輪のロック状態を防止するアンチ・ロック・ブレーキ制御を行ったり、前記した車両走行安定制御ユニットからの例えば、左右の前輪への制動力配分指令を受けて、車両の旋回運動の安定性のための制御や旋回運動を積極的にスムーズに行わせる制御を行ったりする。
そして、ブレーキ制御ユニットは、ブレーキペダル操作SW9の検出したオン状態、オフ状態を示すブレーキ操作SW信号BSWSを、車載LAN25を介して他の制御ユニットに送信する。
(電動パーキングブレーキ制御ユニット4A)
電動パーキングブレーキ制御ユニット4Aは、電動パーキングブレーキ制御ECU30A(以下、「EPB−ECU30A」と称する)と駆動スイッチング回路(速度制御手段)40を含んで構成されている。
EPB−ECU30Aは、CPU,RAM,ROM、書き込み可能な不揮発メモリ及びそれらを接続するバス、並びに入出力インタフェース回路を含んで構成されている。
EPB−ECU30Aには、例えば、車室内の運転席と助手席との間に配置されたセンターコンソールの上面側に設けられたパーキングブレーキスイッチ3(以下、「パーキングブレーキSW3」と称する)からのオン/オフ状態を示す信号が入力される。また、EPB−ECU30Aは、パーキングブレーキSW3のオン/オフ状態を切り換える制御をするとともに、パーキングブレーキSW3に内蔵された、例えば、赤色LED(Light Emitting Diode)等で構成された表示手段3aや、運転席の前方側に設けられたメータパネル内の、例えば、赤色LED等で構成された表示手段3aにパーキングブレーキSW3のオン、オフ状態を示す表示の制御をする。
ここでは、パーキングブレーキSW3は、例えば、短いカンチレバー式のスイッチ機構であり、レバーの先端側を運転者の指先で引っ掛けられて上側に引き上げ操作をされるとパーキングブレーキのオン状態となり、運転者がブレーキペダルを踏み込んだ状態でレバーの先端側を運転者の指先で押されて下側に下げられるとパーキングブレーキのオフ状態となる。運転者がブレーキペダルを踏み込んだ状態でない場合は、パーキングブレーキSW3のオフ操作を検出しても、EPB−ECU30Aはその操作を無視し、電動パーキングブレーキの解除動作を開始しない。
なお、パーキングブレーキSW3は、操作が完了すると内蔵されたスプリング等の付勢力で元の位置に戻る。
ちなみに、前記したオン状態は、パーキングブレーキを解除状態から制動状態に移行させる動作の途中及び制動状態への移行動作完了状態の両方の意味を含んでいる。同様に、このオフ状態は、パーキングブレーキを解除動作の途中及び解除動作完了状態の両方に意味を含んでいる。パーキングブレーキSW3に内蔵された表示手段3a及びメータパネル内の表示手段3aが点灯している状態は、電動パーキングブレーキが動作状態(制動状態)を示し、表示手段3a,3aが消灯している場合は、電動パーキングブレーキが解除状態を示しているとする。
ちなみに、IG−SW20がオン状態の場合は、電動パーキングブレーキが動作状態(制動状態)のとき、表示手段3a,3aは、連続して点灯しているが、IG−SW20がオフ状態の場合は、表示手段3a,3aは原則的に消灯している。ただし、IG−SW20がオフ状態の場合でも、パーキングブレーキSW3を操作してパーキングブレーキを解除状態から作動状態(制動状態)にする、つまり、SW3をオン操作すると、電動パーキングブレーキ制御ユニット4Aが起動して完全に制動状態になると、しばらくの間、表示手段3aが赤色に点灯し、その後消灯する。
EPB−ECU30Aは、FI/AT−ECU11aにオン/オフ制御される前記した電源スイッチを介して電力を供給されているとともに、直接バッテリからも常時電力を供給され、FI/AT−ECU11aにオン/オフ制御される前記した電源スイッチからの電源がオン状態のとき、IG−SW20のオン状態を検出し、IGオン信号を後記する基準アクセル操作量取得部(基準アクセル操作量取得手段)32(図2参照)へ入力する。
そして、EPB−ECU30Aは、前記したようにブレーキペダルの踏み込み状態でのパーキングブレーキSW3のオン操作で電動パーキングブレーキを動作状態にし、パーキングブレーキSW3のオフ操作で電動パーキングブレーキを解除状態にする。更に、後記するように電動パーキングブレーキの動作状態において、パーキングブレーキSW3の操作を必要とせずに所定の制御により、電動パーキングブレーキを自動解除し、パーキングブレーキSW3をオフ状態に設定する。
駆動スイッチング回路40は、スイッチング素子を含んだモータ駆動制御回路である。そして、駆動スイッチング回路40は、EPB−ECU30Aからの解除状態から制動状態への移行指令を受けたとき、DCモータ21に給電し電動アクチュエータ5のDCモータ21を所定の回転速度で回転させ、動作機構7に対してパーキングブレーキケーブルの巻き上げ操作をさせ、所定の巻き上げ量をストロークセンサ22で検出したときにEPB−ECU30Aからの停止指令を受けて動作機構7が巻き上げ操作を停止する。
また、駆動スイッチング回路40は、EPB−ECU30Aからの作動状態(制動状態)から解除状態への移行指令を受けたとき、電動アクチュエータ5のDCモータ21に給電し所定の回転速度で逆回転させ、動作機構7に対してパーキングブレーキケーブルを緩める操作をさせ、所定の緩め量をストロークセンサ22で検出したときにEPB−ECU30Aからの停止指令を受けてDCモータ21への給電を停止し、動作機構7が緩め操作を停止する。
(EPB−ECU30A)
次に、図2を参照しながら電動パーキングブレーキ制御ユニット4AのEPB−ECU30Aの機能構成を詳細に説明する。図2は、図1における電動パーキングブレーキ制御ユニットのブロック構成図である。
EPB−ECU30Aは、CPUにおいてROMに格納されたプログラムを実行することにより実現する機能部として、車載LAN通信部31、基準アクセル操作量取得部32、アクセル操作係数算出部(実アクセルペダル操作量算出手段)33、アクセル操作係数閾値設定部34A、閾値補正部(判定値補正手段)35、自動解除判定部(パーキングブレーキ解除判定手段)36、駆動制御部(速度制御手段)37を含んで構成されている。
閾値補正部35は、解除速度設定部35aと車両前後傾斜角検出部(登坂状態検出手段)35bを有している。また、駆動制御部37は、駆動速度設定部(速度制御手段)37a、表示制御部37bを有している。
車載LAN通信部31は、車載LAN25を介して、エンジン回転速度信号NeS、アクセルペダル操作量信号APS、スロットル開度信号THS、ブレーキ操作SW信号BSWS、セレクトレバーポジション情報信号SPS、前後加速度信号αFS、バックル情報信号SBBSを受信し、基準アクセル操作量取得部32へ、アクセルペダル操作量信号APS、スロットル開度信号THS、ブレーキ操作SW信号BSWS、セレクトレバーポジション情報信号SPSを入力する。また、車載LAN通信部31は、受信した前後加速度信号αFSを閾値補正部35の車両前後傾斜角検出部35bに入力するとともに、受信したバックル情報信号SBBSを自動解除判定部36に入力する。
ちなみに、IG−SW20のオン信号(以下、「IGオン信号」と称する)は、前記したようにFI/AT−ECU11aにオン/オフ制御される前記した電源スイッチからの電源がオン状態のとき、EPB−ECU30Aで発生させ、基準アクセル操作量取得部32へ入力する。
なお、アクセルペダル操作量信号APSは、車載LAN通信部31からアクセル操作係数算出部33にも入力される。
また、車載LAN通信部31は、ブレーキ操作SW信号BSWS、バックル情報信号SBBS、エンジン回転速度信号NeSを駆動制御部37に入力する。
基準アクセル操作量取得部32は、入力されたIGオン信号、エンジン回転速度信号NeS、アクセルペダル操作量信号APS、スロットル開度信号THS、ブレーキ操作SW信号BSWS、セレクトレバーポジション情報信号SPSに基づき、IG−SW20がオン状態(IGオン)でエンジンが回転中であると判定した場合に、更に、パーキングブレーキSW3がオン状態で、且つ、セレクトレバーポジションがP(パーキング),N(ニュートラル)以外の位置を示し、ブレーキペダル操作SW9がオンの状態のとき、運転者によるアクセルペダル操作無しの状態での電圧信号(単位:電圧V)であるアクセルペダル操作量信号APS(単位:電圧V)を取得して、基準アクセルペダル操作量信号APS(単位:電圧V)を取得する。そして、取得した基準アクセルペダル操作量信号APSをアクセル操作係数算出部33に入力する。
アクセル操作係数算出部33は、入力されたアクセルペダル操作量信号APSと基準アクセルペダル操作量信号APSとの比をアクセル操作係数KACとして算出する{KAC=(APS)/(APS)}。算出されたアクセル操作係数KACは、閾値補正部35及び自動解除判定部36に入力される。
ここで、「アクセル操作係数KAC」が特許請求の範囲に記載の「実アクセルペダル操作量の変化量」に対応する。
アクセル操作係数閾値設定部34Aは、予めROMに格納されているアクセル操作係数判定値KACth0を読み出して、閾値補正部35に入力する。このアクセル操作係数判定値KACth0の値は、前記した増分δAPSに対応した値として予め設定されている。
ちなみに、前記したように増分δAPSは、アクセルペダル操作量信号APSをデジタル信号に変換するA/D(アナログ・デジタル)変換器並びにアクセルペダルポジションセンサ13の製造のばらつき、A/D(アナログ・デジタル)変換器並びにアクセルペダルポジションセンサ13の回路特性誤差、直線性誤差等を考慮して、予め少し高めの値に設定している。従って、アクセル操作係数判定値KACth0の値を、増分δAPSに対応した値として設定する際に、増分δAPSよりも幾分小さめの値に、例えば、前記した誤差等を考慮した分を幾分か小さめの値にするように設定して、FI/AT−ECU11aがスロットルバルブを全閉状態から開動作を始めるよりも少し早めに電動パーキングブレーキの自動解除を開始させるようにアクセル操作係数判定値KACth0を設定しても良い。このようにすることにより、電動アクチュエータ5の動作の開始が早まり、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックを生じさせないようにすることができる。
閾値補正部35は、アクセル操作係数算出部33から入力されたアクセル操作係数KACが、1.0よりも有意に小さいか、有意に大きいかを判定するとともに、車両前後傾斜角検出部35bにおいて入力された前後加速度信号αFSに基づいて車両が所定以上の角度の登坂路か否かを判定する。
なお、登坂路の角度の推定は、例えば、予め前後加速度信号αFSと登坂路の角度との相関関係を実験的に求めた関数、又はデータテーブルをROMに格納しておき、車両前後傾斜角検出部35bにおいて、その関数、又はデータテーブルを用いて前後加速度信号αFSから登坂路の角度を求めることによって、容易にできる。
アクセル操作係数KACが、1.0よりも有意に小さい場合、閾値補正部35は、アクセル操作係数判定値KACをアクセル操作係数判定値KACth0よりも所定値ΔKAC1だけ低い値(KAC=KACth0−ΔKAC1)として補正設定する。また、解除速度設定部35aに、電動パーキングブレーキ解除速度を標準速度に設定する旨の解除速度指令C1を駆動制御部37に入力させる。
アクセル操作係数KACが、1.0よりも有意に大きい場合、閾値補正部35は、アクセル操作係数判定値KACth0をアクセル操作係数判定値KACとしてそのまま設定する。また、解除速度設定部35aは、電動パーキングブレーキ解除速度を高速度に設定する旨の解除速度指令C1を駆動制御部37に入力する。
更に、車両前後傾斜角検出部35bにおいて登坂路の角度が所定値以上と推定された場合は、その登坂路の角度に応じた補正量ΔKAC2を算出し、アクセル操作係数KACに応じて設定されたアクセル操作係数判定値KACに、更に補正量ΔKAC2を加算してアクセル操作係数判定値KACを補正し(KAC=KAC+ΔKAC2)、自動解除判定部36に補正されたアクセル操作係数判定値KACを入力する。
自動解除判定部36は、アクセル操作係数算出部33から入力されたアクセル操作係数KACが閾値補正部35から入力されたアクセル操作係数判定値KAC以上(KAC≧KAC)のとき、駆動制御部37に解除指令C2を出力する。
駆動制御部37は、パーキングブレーキSW3からの信号に対して、電動パーキングブレーキの作動(制動)動作、解除動作を判定して、駆動スイッチング回路40に標準の速度での作動又は解除のための駆動信号を出力する。そして、ストロークセンサ22から目標位置に達したことを検出したとき、駆動スイッチング回路40への駆動信号を停止する。
駆動制御部37は、パーキングブレーキSW3の操作による手動操作での電動パーキングブレーキの作動に従って、標準駆動速度で駆動スイッチング回路40に正転の駆動指令を出力して、DCモータ21を駆動させ、ストロークセンサ22から制動目標位置に達したことを検出したとき、駆動スイッチング回路40への駆動信号を停止する。また、駆動制御部37は、パーキングブレーキSW3の操作による手動操作での電動パーキングブレーキの作動に従って、ブレーキ操作SW信号BSWSがオンの状態を確認した上で、つまり、運転者がブレーキペダルを踏み込んでいることを確認できたときに、標準駆動速度で駆動スイッチング回路40に逆転の駆動指令を出力して、DCモータ21を駆動させ、ストロークセンサ22から解除目標位置に達したことを検出したとき、駆動スイッチング回路40への駆動信号を停止する。
駆動制御部37は、表示制御部37bにおいて電動パーキングブレーキが作動状態(制動状態)か解除状態かを監視させて、その状態信号を書き込み可能な不揮発メモリに書き込む機能を有しており、EPB−ECU30Aが起動している状態では、その状態を書き込み可能な不揮発メモリから読み出し、FI/AT制御ユニットが起動している場合は、その状態を表示手段3a,3aに表示させる。また、EPB−ECU30Aが起動している場合は、電動パーキングブレーキが作動状態(制動状態)か解除状態かを示す電動パーキング状態情報信号を基準アクセル操作量取得部32に入力する。
駆動制御部37は、電動パーキングブレーキを作動状態にした後の自動解除の場合は、解除速度設定部35aから入力された解除速度指令C1に従ったDCモータ21の駆動速度を駆動速度設定部37aに設定させ、その駆動速度に応じた解除動作の駆動信号を駆動スイッチング回路40に出力する。そして、ストロークセンサ22から目標位置に達したことを検出したとき、駆動スイッチング回路40への駆動信号を停止する。
なお、駆動制御部37の表示制御部37bは、前記した表示手段3a,3aの点灯、消灯を制御する。
駆動スイッチング回路40は、駆動制御部37の駆動信号によって制御され、例えば、正転で電動パーキングブレーキを作動状態(制動状態)とするようにDCモータ21に給電し、逆転で電動パーキングブレーキを解除状態とするようにDCモータ21に給電する。そして、自動解除の場合は、駆動速度設定部37aにおいて標準駆動速度又は高速駆動速度に設定されて駆動制御部37から入力された駆動信号に従い、標準駆動速度又は高速駆動速度で電動パーキングブレーキを解除する。
次に、図3から図6を参照しながら、適宜、図2を参照して、EPB−ECU30Aにおける電動パーキングブレーキの自動解除の制御の流れについて説明する。図3から図5は、電動パーキングブレーキ制御ユニットにおける電動パーキングブレーキを自動解除する制御の流れを示すフローチャートである。
ステップS01では、EPB−ECU30Aは、IG−SW20がオン(「IGオン」)か否かをチェックする。IGオンの場合(Yes)は、ステップS02へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS01を繰り返す。
ステップS02では、車載LAN通信部31は、エンジン回転速度信号NeS、アクセルペダル操作量信号APS、スロットル開度信号THS、ブレーキ操作SW信号BSWS、セレクトレバーポジション情報信号SPS、前後加速度信号αFS、バックル情報信号SBBSの受信を開始する。
そして、基準アクセル操作量取得部32へは、アクセルペダル操作量信号APS、スロットル開度信号THS、ブレーキ操作SW信号BSWS、セレクトレバーポジション情報信号SPSを入力し、アクセル操作係数算出部33へは、アクセルペダル操作量信号APSを入力し、駆動制御部37へは、ブレーキ操作SW信号BSWS、バックル情報信号SBBS、エンジン回転速度信号NeSを入力する。
ステップS03では、基準アクセル操作量取得部32は、駆動制御部37から入力された電動パーキング状態情報信号に基づき、パーキングブレーキが制動状態か否かをチェックする。パーキングブレーキが制動状態の場合(Yes)は、ステップS04へ進み、そうでない場合は、終了する。
ステップS04では、基準アクセル操作量取得部32は、ステップ02に入力されたセレクトレバーポジション情報信号SPSに基づきセレクトバーポジションが、P(パーキング)、N(ニュートラル)以外の位置を示しているか否かをチェックする。P、N以外の位置場合(Yes)は、ステップS05へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS04を繰り返す。ステップS05では、基準アクセル操作量取得部32は、ステップS02で取得されたブレーキ操作SW信号BSWSに基づきブレーキペダル操作SW9がオンか否かを、つまり、現在運転者がブレーキペダルを踏み込んでいるかをチェックする。現在運転者がブレーキペダルを踏み込んでいる場合(Yes)は、ステップS06へ進み、ブレーキペダルを踏み込んでいない場合(No)は、ステップS04へ戻る。
ステップS06では、アクセル操作係数閾値設定部34Aは、予めROMに格納されている標準のアクセル操作係数判定値読み出し、閾値補正部35に入力し、閾値補正部35においてアクセル操作係数判定値KAC=KACth0と設定させる。
ステップS07では、基準アクセル操作量取得部32は、カウンタnをリセットして、カウンタnをスタートさせる(n=1)。ステップS08では、基準アクセル操作量取得部32は、アクセルペダル操作無しの状態でのアクセルペダル操作量信号APSを取得し、一時記憶する。
ステップS09では、基準アクセル操作量取得部32は、ブレーキペダル操作SW9がオフになったか否かをチェックする。ブレーキペダル操作SW9がオフになった場合(Yes)は、結合子(A)に従って図4のステップS12へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS10へ進む。
ステップS10では、基準アクセル操作量取得部32は、カウンタnがN以上(n≧N)か否かをチェックする。カウンタnがN以上の場合(Yes)は、結合子(A)に従って図4のステップS12へ進み、そうでない場合(No)はステップS11へ進む。ステップS11では、カウンタnを1だけインクレメントして(n=n+1)、ステップS08へ戻る。
ステップS09又はステップS10からステップS12へ進むと、基準アクセル操作量取得部32は、ステップS08で取得して一時記憶したn個のアクセルペダル操作無しの状態でのアクセルペダル操作量信号APSの平均値を基準アクセルペダル操作量信号APSとする。
Figure 2012162192
次いで、基準アクセル操作量取得部32は、算出した基準アクセルペダル操作量信号APSをアクセル操作係数算出部33へ入力する。ステップS13では、アクセル操作係数算出部33では、アクセル操作係数KAC{=(APS)/(APS)}の算出を開始する、そして最初に算出したアクセル操作係数KACを初期アクセル操作係数KACとして閾値補正部35に入力するとともに、所定の周期で連続して算出したアクセル操作係数KACを、次々と自動解除判定部36に入力する。
ステップS14では、閾値補正部35は、初期アクセル操作係数KACから1.0を差し引いた差分を算出し、負の値の閾値−ε1以下か否かをチェックする。初期アクセル操作係数KACから1.0を差し引いた差分(=KAC−1.0)が負の値の閾値−ε1以下の場合(Yes)は、ステップS15へ進み、そうでない場合は(No)、ステップS17へ進む。
ここで、閾値ε1の値は、FI/AT−ECU11aがIG−SW20がオンになった直後に、アクセルペダルが踏み込まれていない状態で取得した初期のアクセルペダル操作量信号APSと、基準アクセルペダル操作量信号APSとの間に有意な差異が生じていない場合に、算出された初期アクセル操作係数KACの値に基づいて、後記するアクセル操作係数判定値KACを過剰に補正することを避けるために設定する所定の小さな正値である。
ステップS15では、閾値補正部35は、電動パーキングブレーキ解除のアクセル操作係数判定値KACを標準値KACth0より小さく補正設定する(KAC=KACth0−ΔKAC1)。そして、ステップS16では、解除速度設定部35aにおいて電動パーキングブレーキ解除速度を標準速度に設定させる。その後、結合子(B)に従って、図5のステップS20へ進む。
なお、正の値であるアクセル操作係数判定値KACの補正値ΔKAC1の値は、固定値とせず、例えば、|KAC−1.0+ε1|の値に応じて、予めROMに格納された関数又はテーブルを用いて設定するとことが好ましい。つまり、|KAC−1.0+ε1|の値が大きければ大きいほど補正値ΔKAC1の値は正値で大きく設定する。
ちなみに、差分(=KAC−1.0)が負の値になるのは、運転者が意図せずアクセルペダルを足先で引っ掛けて、アクセルペダルの位置が上がり、アクセルペダル操作量信号ASP(単位:電圧V)が基準アクセルペダル操作量信号APSの値よりも小さくなった様な場合に生じる可能性がある。
このような場合、FI/AT−ECU11aの学習するスロットルバルブ開閾値操作量APSthがより、低い電圧Vの値になってしまう可能性があり、それに基づいてスロットルバルブの開動作が始まるタイミングが早まる可能性が生じるのに対し、電動パーキングブレーキを解除するアクセル操作係数判定値KACをそのまま標準のKAC=KACth0の値のままとすると、駆動輪に駆動力が伝わっているのにも拘わらず、電動パーキングブレーキの解除のタイミングが遅れて、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックを乗員に感じさせる可能性があり、それを抑制するためアクセル操作係数判定値KACを低く補正するものである。
ステップS14からステップS17へ進むと、閾値補正部35は、初期アクセル操作係数KACから1.0を差し引いた差分(=KAC−1.0)を算出し、正の値の閾値ε1以上か否かをチェックする。初期アクセル操作係数KACから1.0を差し引いた
差分が正の値の閾値ε1以上の場合(Yes)は、ステップS18へ進み、そうでない場合は(No)、ステップS19へ進む。
ちなみに、差分(=KAC−1.0)が正の値になるのは、運転者が意図せずアクセルペダルを足先で触れて、アクセルペダルの位置が下がり、アクセルペダル操作量信号ASP(単位:電圧V)が基準アクセルペダル操作量信号APSの値よりも大きくなった様な場合に生じる可能性がある。
このような場合、FI/AT−ECU11aの学習するスロットルバルブ開閾値操作量APSthがより高い電圧Vの値になってしまう可能性があり、それに基づいてスロットルバルブの開動作が始まるタイミングが遅くなる可能性があるのに対し、運転者はアクセルペダルの踏込みに対するエンジンの応答が遅いのでより深く勢い良く踏み込み動作をする可能性を生じる。電動パーキングブレーキを解除するDCモータ21の駆動速度を標準の駆動速度のままとすると、駆動輪に駆動力が伝わりはじめたにも拘わらず、電動パーキングブレーキの解除のタイミングが遅れて、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックを乗員に感じさせる可能性があり、それを抑制するため解除速度を速めるようにDCモータ21の駆動速度を標準速度より高く設定するものである。
ステップS18では、閾値補正部35は、解除速度設定部35aに電動パーキングブレーキ解除の駆動速度を高速度に設定させる。そして、ステップS19では、閾値補正部35は、アクセル操作係数判定値KACを標準値KACth0とする(KAC=KACth0)。その後、ステップS16では、解除速度設定部35aにおいて電動パーキングブレーキ解除速度を標準速度に設定させる。その後、結合子(B)に従って、図5のステップS20へ進む。
ステップS20では、閾値補正部35は、前後加速度信号αFSが、所定値以上の登坂路の角度を示しているか否かをチェックする(αFS≧ε2)。前後加速度信号αFSが、所定値以上の登坂路の角度を示している場合(Yes)は、ステップS21へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS22へ進む。
ステップS21では、閾値補正部35は、電動パーキングブレーキ解除のアクセル操作係数判定値KACを大きく補正する(KAC=KAC+ΔKAC2)。
なお、正の値であるアクセル操作係数判定値KACの補正値ΔKAC2の値は、固定値とせず、例えば、αFS−ε2の値に応じて予めROMに格納された関数又はテーブルを用いて設定するとことが好ましい。つまり、αFS−ε2の値が大きければ大きいほど補正値ΔKAC2の値は正値で大きく設定する。
ちなみに、補正値ΔKAC2の値は、補正値ΔKAC1の値より大きな正の値であることが望ましい。こうすることにより、ステップS15で標準のアクセル操作係数判定値KACth0よりも小さい値にアクセル操作係数判定値KACが設定されても、その後のステップS21において標準のアクセル操作係数判定値KACth0よりも大きい値にアクセル操作係数判定値KACが設定され、登坂路で車両が発進時に後ずさりすることを抑制できる。
こうすることによりエンジンからの駆動トルクが、登坂路での車両の重量によるずり下がりに打ち勝って前進するタイミングで電動パーキングブレーキが自動解除できるようになり、車両の後ずさりを防止でき、登坂路でのスムーズな発進が可能になる。
ステップS22では、自動解除判定部36は、運転者席のシートベルトが装着されていることを示すバックル情報信号SBBSをチェックする(「バックル情報OK?」)。
バックル情報がOKの場合(Yes)は、ステップS23へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS22を繰り返す。その後、自動解除判定部36は、アクセル操作係数KACがアクセル操作係数判定値KAC以上(KAC≧KAC)になったか否かをチェックする。KAC≧KACの場合(Yes)は、ステップS25へ進む。そうでない場合は、ステップS24へ進み、新たなアクセル操作係数KACを算出してステップS23へ戻る。
ステップS25では、自動解除判定部36は、解除指令C2及び解除速度指令C1を駆動制御部37に出力する。
ステップS26では、駆動制御部37は、駆動スイッチング回路40に対して電動アクチュエータ5に閾値補正部35からの解除速度指令C1に応じた所定の速度での解除を指令する。ステップS27では、駆動制御部37は、所定ストロークに達したか否かをチェックする。所定ストロークに達した場合(Yes)は、ステップS28において駆動制御部37は駆動スイッチング回路40に対して電動アクチュエータ5を停止させる(「電動アクチュエータ停止」)。所定ストロークに達していない場合(No)は、ステップS26へ戻る。
ステップS29では、駆動制御部37は、パーキングブレーキSW3をオフ状態に設定して、表示手段3a,3aを消灯させる。
以上で、一連の電動パーキングブレーキのアクセルペダルの踏み込み操作による自動解除の制御を終了する。
図6は、電動パーキングブレーキを自動解除する制御のタイムチャートであり、(a)は、電動パーキングブレーキの制動状態(作動状態)から解除への切り換わりのタイムチャート、(b)は、パーキングブレーキSWの状態信号のONからOFFへの切り換わりのタイムチャート、(c)は、セレクトレバーポジション情報信号の切り換わりのタイムチャート、(d)は、サービスブレーキのブレーキ操作SW信号のON,OFFの変化を示すタイムチャート、(e)は、アクセルペダル操作量信号APS(単位:単位V)の変化を示す説明図、(f)は、スロットル開度信号THSの変化を示す説明図、(g)は、アクセル操作係数KACの変化を示す説明図である。
本実施形態によれば、例えば、信号の一時停車や、路肩での一時停車で、図6に示すように電動パーキングブレーキが制動状態(作動状態)で、EPB−ECU30Aが、パーキングブレーキSW3の状態信号としてONの状態として検出(認識)している初期状態で、運転者が、ブレーキペダルを踏み込みながらセレクとレバーをP位置(パーキング位置)からD位置(ドライブ位置)にシフトさせると、アクセルペダル操作量信号APSを取得して、所定の時間後(時刻t1)に基準アクセルペダル操作量信号APSを取得する。本実施形態では、基準アクセルペダル操作量信号APSを複数個のアクセルペダル操作量信号APSの平均値を用いて算出しているので、安定した雑音による影響の少ない基準アクセルペダル操作量信号APSを得ることができる。
そして、基準アクセルペダル操作量信号APSを取得した後、連続的に一定の周期でアクセル操作係数KAC{=(APS)/(APS)}を算出する。ところで、アクセルペダルポジションセンサ13が出力するアクセルペダル操作量信号APSは、例えば、環境温度により線形性に変化を生じるので、ΔAPSにもとづいてスロットルバルブの開き始めを学習設定しているFI/AT−ECU11aにおけるスロットルバルブの開の制御に対して、EPB−ECU3Aが同様にアクセルペダル操作量信号APSに基づいて、アクセルペダルの操作無しの状態のアクセルペダル操作量信号APSにΔAPSを加算したタイミングで自動的に電動パーキングブレーキの解除を行うと、前記したようにFI/AT−ECU11aが学習したスロットルバルブの開き始めのアクセルペダル操作量信号APSthと、EPB−ECU3Aにおけるアクセルペダルの操作無しの状態のアクセルペダル操作量信号APSにΔAPSを加算した値に誤差が生じる。特に、運転者が意図せずにアクセルペダルを引っ掛けて突き上げたり、FI/AT−ECU11aが学習した時点の環境温度とEPB−ECU3Aが基準アクセルペダル操作量信号APSを取得したときの環境温度に差異があったりした場合にそのような誤差が生じる。
そこで、本実施形態におけるEPB−ECU3Aでは、エンジンのトルクが発生するタイミングを設定するのにアクセルペダル操作係数KACを用いることにしている。このようにすることで、アクセルペダルポジションセンサ13が出力するアクセルペダル操作量信号APSに環境温度による線形性の誤差が生じていても、比の形にすることでその影響が打ち消される。そして、アクセルペダルを踏み込まない状態のアクセルペダル操作量信号APSからスロットルバルブの開き始めまでの変化量ΔAPSに対応させて、前記した電動パーキングブレーキ解除のアクセル操作係数判定値KACを設定しておくことによって、図6の(f)の曲線Y0に示すようにエンジンのトルクの発生に対して、図6の(g)の曲線Z0に示すようにアクセル操作係数判定値KAC(KAC=KACth0)で時刻t3Aのタイミングで遅れることなく電動パーキングブレーキを解除でき、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックを乗員に感じさせるような不快感を抑制できる。
また、図6の(e)の曲線X1に示すように時刻t1で基準アクセルペダル操作量信号APSを取得した後に運転者が意図せずアクセルペダルを引っ掛けたための突き上げ等によってアクセルペダル操作量信号APSアクセルペダル操作係数KACの値が1.0より小さいときには、図6の(g)の曲線Z1に示すように標準のアクセル操作係数判定値KACth0よりも小さい値にアクセル操作係数判定値KAC1(KAC=KACth0−ΔKAC1)を設定する。その結果、FI/AT−ECU11a側が、エンジンのトルクを早いタイミングで出力する可能性に対して柔軟に対処できて、エンジンのトルクの発生に対して遅れることなく、時刻t3Aのタイミングで電動パーキングブレーキを解除できる。従って、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックを乗員に感じさせるような不快感を抑制できる。
また、逆に、図6の(e)の曲線X2に示すように時刻t1で基準アクセルペダル操作量信号APSを取得した後に、運転者が意図せずにアクセルペダルを足先で触れて突き下げが生じる等して、アクセルペダル操作量信号APSアクセルペダル操作係数KACの値が1.0より大きいときには、図6の(f)のようにスロットルバルブは時刻t3Cのタイミングで開き始める。このようなときには本実施形態では標準の電動アクチュエータ5の駆動速度よりも速い駆動速度を設定する。その結果、FI/AT−ECU11a側がエンジンのトルクがアクセルペダルの深い踏み込み位置でより急激に立ち上がる可能性に対して柔軟に対処できて、エンジンのトルクの発生に対して遅れることなく電動パーキングブレーキを高速度で解除できる。従って、車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックを乗員に感じさせるような不快感を抑制できる。
また、登坂路においては、FI/AT−ECU11a側がエンジンのトルクが発生していても登坂路による車体の重量に打ち勝てず、後ずさりすることが無いように図6の(g)の曲線Z2に示すように標準のアクセル操作係数判定値KACth0よりも大きい値にアクセル操作係数判定値KAC2を設定することによりスロットルバルブは時刻t3Aで開き始める。そして、時刻t3Bまで電動パーキングブレーキは解除されないので、車両の後ずさりを防止できる。
なお、最近のアイドリングストップ機能付きの車両においては、図6の時刻t1のタイミングではエンジンはアイドリングストップ状態であるが、アクセルペダル操作量信号APSが増加したタイミングでエンジンが始動されるので、そのようなアイドリングストップ機能付きの車両においても本実施形態は適用できる。
《第2の実施形態》
次に図1、図7から図10を参照しながら本発明の第2の実施形態に係る電動パーキングブレーキ装置1Bについて説明する。図7は、第2の実施形態に係る電動パーキングブレーキ装置における電動パーキングブレーキ制御ユニットのブロック構成図である。
本実施形態では、図1において、第1の実施形態に係る電動パーキングブレーキ装置1Aと異なる点は、電動パーキングブレーキ制御ユニット4Aが、電動パーキングブレーキ制御ユニット4Bに、EPB−ECU30AがEPB−ECU30Bに変わり、FI/AT−ECU11aに入力されるセンサ信号として、アクセルペダルポジションセンサ13の環境温度(車両の環境状態情報)を検出する温度センサ(車両環境状態検出手段)26(図1参照)が加わった点である。
そして、図7において、第1の実施形態に係る電動パーキングブレーキ装置1Aと異なる点は、第1の実施形態におけるEPB−ECU30Aのアクセル操作係数閾値設定部34Aがアクセル操作係数閾値設定部34Bに代わっている点である。
第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明を省略する。
アクセル操作係数閾値設定部34Bは、アクセル操作係数閾値学習部(閾値アクセル操作量取得手段)34aと、例えば、環境状態情報としてアクセルペダルポジションセンサ13の温度センサ26により検出された環境温度に基づいて、標準のアクセル操作係数閾値KACth0を設定する標準のアクセル操作係数閾値設定部34bを有している。
図7に示すように、アクセル操作係数閾値設定部34Bには、車載LAN25経由で車載LAN通信部31が受信した環境温度信号TEMPAPS、スロットル開度信号THS、アクセル操作係数算出部33で算出されたアクセル操作係数KACが入力される。
そして、図8を参照しながらアクセル操作係数閾値学習部34aにおける、アクセル操作係数閾値の学習制御の流れについて説明する。図8は、図7におけるアクセル操作係数閾値学習部のスロットル開度の開き始めにおけるアクセル操作係数の学習の制御の流れを示すフローチャートである。
ステップS31では、アクセル操作係数閾値設定部34Bは、アクセル操作係数KACをアクセル操作係数算出部33から受信開始したかをチェックする。受信開始した場合(Yes)は、ステップS32へ進み、そうでない場合(No)はステップS31を繰り返す。ステップS32では、アクセル操作係数閾値設定部34Bは、アクセル操作係数KAC、スロットル開度信号THS、環境温度信号TEMPAPSを読み込む。
ステップS33では、アクセル操作係数閾値設定部34Bは、スロットルバルブ(スロットル)の開き始めを検出したか否かをチェックする。ロットルの開き始めを検出した場合(Yes)は、ステップS34へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS32に戻る。
ステップS34では、アクセル操作係数閾値設定部34Bは、アクセル操作係数閾値学習部34aにおいて、アクセル操作係数KAC、環境温度信号TEMPAP(図9参照)をアクセル操作係数閾値テーブルに記録更新する。このアクセル操作係数閾値テーブルは、書き込み可能な不揮発メモリに格納されている。
図9は、学習記憶されたアクセル操作係数閾値のテーブルの説明図である。図10は、第2の実施形態における電動パーキングブレーキ制御ユニットの電動パーキングブレーキを自動解除する制御の流れの第1の実施形態からの変更点を示すフローチャートである。
図9に示すようにアクセル操作係数閾値テーブルは、環境温度TEMPAPを所定の温度帯、例えば、TX〜TX,TX〜TX,・・・,TX〜TXN+1に分け、取得されたスロットルの開き始めのアクセル操作係数KACを、それを取得したときの環境温度TEMPAPが対応する所定の温度帯に蓄積記憶していく。そして、各温度帯に対して最寄りの最大L個のデータ、例えば、TX〜TXの温度帯に対してKAC〜KACを蓄積記憶する。そして、図10に示すように図3におけるステップS06の代わりにステップS06Aのように、環境温度信号TEMPAPSの示す環境温度TEMPAPを用いて、アクセル操作係数閾値テーブルを参照して、アクセル操作係数閾値KACth0を設定する。例えば、平均値をもってアクセル操作係数閾値KACth0とし、閾値補正部35に出力する。
本実施形態によれば、スロットルの開き始めのアクセル操作係数閾値KACth0をより精度良く取得することができるので、第1の実施形態よりも電動パーキングブレーキの解除の遅れによる車両の引きずり現象や発進直後の制動ショックを乗員に感じさせないスムーズな発進ができる。
第1及び第2の実施形態では、電動パーキングブレーキとしてパーキングブレーキケーブルをドラムに巻き込んでパーキングブレーキを動作させる構成としたがそれに限定されるものではなく、特許文献2,3に記載された他の形式の電動パーキングブレーキにも適用できる。
1A,1B 電動パーキングブレーキ装置
2 シートベルトバックルSW
3 パーキングブレーキSW
4A,4B 電動パーキングブレーキ制御ユニット
5 電動アクチュエータ
7 動作機構
8 車輪速センサ
9 ブレーキペダル操作SW(サービスブレーキ動作状態取得手段)
10 前後加速度センサ
11 FI/AT制御ユニット
11a FI/AT−ECU
12 その他制御ユニット
13 アクセルペダルポジションセンサ(アクセルペダル操作量検出手段)
14 セレクトレバーポジションSW
15 スロットルバルブアクチュエータ
16 スロットルポジションセンサ(スロットル開度検出手段)
17 ATアクチュエータ
18 AT変速段センサ
19 クランクパルスセンサ
20 IG−SW
21 DCモータ
22 ストロークセンサ
25 車載LAN
26 温度センサ(車両環境状態検出手段)
30A,30B EPB−ECU
31 車載LAN通信部
32 基準アクセル操作量取得部(基準アクセル操作量取得手段)
33 アクセル操作係数算出部(実アクセルペダル操作量算出手段)
34A アクセル操作係数閾値設定部
34B アクセル操作係数閾値設定部
34a アクセル操作係数閾値学習部(閾値アクセル操作量取得手段)
34b 標準のアクセル操作係数判定値設定部
35 閾値補正部(判定値補正手段)
35a 解除速度設定部
35b 車両前後傾斜角検出部(登坂状態検出手段)
36 自動解除判定部(パーキングブレーキ解除判定手段)
37 駆動制御部(速度制御手段)
37a 駆動速度設定部(速度制御手段)
40 駆動スイッチング回路(速度制御手段)

Claims (6)

  1. 電動アクチュエータによってパーキングブレーキを作動状態又は解除状態に切り換える電動パーキングブレーキと、車両のアクセルペダルの操作量を検出するアクセルペダル操作量検出手段と、を備え、前記アクセルペダル操作量検出手段が検出した前記アクセルペダルの操作量に基づいて前記電動パーキングブレーキを作動状態から解除状態に切り換える電動パーキングブレーキ装置において、
    前記アクセルペダルの操作量に応じて開閉されるスロットルバルブの実開度を検出するスロットル開度検出手段と、
    前記スロットル開度検出手段により前記スロットルバルブの実開度が全閉状態のときに、前記アクセルペダル操作量検出手段で検出した前記アクセルペダルの操作量を基準アクセルペダル操作量として取得して記憶更新する基準アクセル操作量取得手段と、
    前記アクセルペダル操作量検出手段が検出した前記アクセルペダルの操作量と前記基準アクセルペダル操作量に基づいて実アクセルペダル操作量の変化量を算出する実アクセルペダル操作量算出手段と、
    前記実アクセルペダル操作量算出手段で算出された前記実アクセルペダル操作量の変化量が、予め設定された所定の閾値を超えたときに前記電動パーキングブレーキを作動状態から解除状態に切り換えるパーキングブレーキ解除判定手段と、を備えることを特徴とする電動パーキングブレーキ装置。
  2. サービスブレーキの動作状態を取得するサービスブレーキ動作状態取得手段を、更に備え、
    前記基準アクセル操作量取得手段は、前記電動パーキングブレーキが作動状態で、且つ、前記サービスブレーキ動作状態取得手段によって前記サービスブレーキが踏み込まれていることを検出している状態で、前記基準アクセルペダル操作量を取得して記憶更新し、
    前記実アクセルペダル操作量算出手段が、前記記憶更新された前記基準アクセルペダル操作量を用いて前記実アクセルペダル操作量の変化量を算出することを特徴とする請求項1に記載の電動パーキングブレーキ装置。
  3. 前記実アクセルペダル操作量算出手段が、前記実アクセルペダル操作量の変化量として、前記アクセルペダル操作量検出手段が検出した前記アクセルペダルの操作量と前記記憶更新された基準アクセルペダル操作量との比の値を算出し、
    前記算出された比の値が1よりも小さいときは、前記予め設定された所定の閾値を低く補正して、前記パーキングブレーキ解除判定手段に出力する判定値補正手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ装置。
  4. 前記電動アクチュエータの回転速度を制御する速度制御手段を、更に備え、
    前記実アクセルペダル操作量算出手段が、前記実アクセルペダル操作量の変化量として、前記アクセルペダル操作量検出手段が検出した前記アクセルペダルの操作量と前記記憶更新された基準アクセルペダル操作量との比の値を算出し、
    前記速度制御手段が、前記算出された比の値が1よりも大きいときは、前記パーキングブレーキ解除判定手段が前記電動パーキングブレーキを作動状態から解除状態に切り換えた際に、前記電動アクチュエータの解除の作動速度を、前記算出された比の値が1以下のときよりも大きくすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ装置。
  5. 車両が登坂状態であることを検出する登坂状態検出手段を更に備え、
    前記実アクセルペダル操作量算出手段が、前記実アクセルペダル操作量の変化量として、前記アクセルペダル操作量検出手段が検出した前記アクセルペダルの操作量と前記記憶更新された基準アクセルペダル操作量との比の値を算出し、
    前記登坂状態検出手段が、車両が登坂状態であることを検出した場合に、前記予め設定された所定の閾値を高く補正して、前記パーキングブレーキ解除判定手段に出力する判定値補正手段を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ装置。
  6. 更に、前記車両の環境状態情報を検出する車両環境状態検出手段と、
    前記スロットル開度検出手段により検出される前記スロットルバルブの実開度が、全閉状態から開き始めるタイミングのときに、前記アクセルペダル操作量検出手段で検出した前記アクセルペダルの操作量を、閾値アクセルペダル操作量として、前記車両環境状態検出手段が取得した前記車両の環境状態情報とともに取得して蓄積記憶する閾値アクセル操作量取得手段と、
    前記蓄積記憶された前記閾値アクセルペダル操作量と、前記車両環境状態検出手段が取得した車両の環境状態情報と、に基づいて前記予め設定された所定の閾値を設定する判定値設定手段と、を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パーキングブレーキ装置。
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