JP2012163065A - エンジンならびにシリンダヘッド - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダブロックのウォータージャケットに対する冷却液流通量とシリンダヘッドの上下2段のウォータージャケットに対する冷却液流通量とを制御可能な構成のエンジンにおいて、比較的簡易な構成でありながら、エンジンを均一な温度分布で温度調整できるようにする。
【解決手段】上段ウォータージャケット14の上壁21と上下2段のウォータージャケット14,15を仕切る隔壁22とには、動弁機構配置空間19と上段ウォータージャケット14とを連通しかつ上下2段のウォータージャケット14,15を連通する抜け孔25,26がそれぞれ設けられている。上壁21の抜け孔25にはそれを閉塞するための閉塞部材30が取り付けられ、この閉塞部材30は上段ウォータージャケット14の内部に突出するような取り付け状態にされている。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリンダブロックのウォータージャケットに対する冷却液流通量とシリンダヘッドのウォータージャケットに対する冷却液流通量とを制御可能な構成でかつ前記シリンダヘッドのウォータージャケットが上下2段に仕切られている構成のエンジンに関する。
また、本発明は、上下2段に仕切られるウォータージャケットを備えるシリンダヘッドに関する。
従来から、シリンダブロックのウォータージャケットとシリンダヘッドのウォータージャケットとに冷却液を並列に供給できるようにしたものがある。
その場合、例えばエンジンをコールドスタートするときに、シリンダブロックのウォータージャケットに対する冷却液の供給を停止させて、シリンダヘッドのウォータージャケットに対して冷却液を供給させることにより、シリンダヘッドとシリンダブロックとの両方を速やかに昇温させることが可能になる。
ところで、シリンダヘッドのウォータージャケットについて、上下2段に仕切るようにした構造が考えられている(例えば特許文献1参照。)。
このような構造のシリンダヘッドでは、上段ウォータージャケットと下段ウォータージャケットとを仕切る隔壁に、巾木によるコアホール(抜け孔)が出来てしまうので、このコアホールにボルトを螺合装着することによりコアホールを閉塞するようにしている。
なお、前記巾木によるコアホールは、シリンダヘッドを鋳造するときに不可避的に出来てしまう。つまり、シリンダヘッド鋳造時には、上段ウォータージャケットを得るための砂中子と下段ウォータージャケットを得るための砂中子とを上下に離隔して配置するようにして支えるために、巾木を用いる。この巾木は、シリンダヘッドの気筒配列方向の数箇所に配置される。その関係より、巾木によるコアホールは、シリンダヘッドの鋳造後においてシリンダヘッドの気筒配列方向の数箇所に出来てしまうのである。
特開2009−68432号公報
上記特許文献1に係る従来例では、シリンダヘッドの上段ウォータージャケット内の冷却液流通量と、シリンダヘッドの下段ウォータージャケット内の冷却液流通量とが略同じになっている場合、シリンダヘッドにおいて燃焼室の近傍が冷却不足になって昇温しやすくなる一方、シリンダヘッドにおいて動弁機構の近傍が過冷却されて昇温しにくくなるおそれがある。
このようなことから、例えばエンジンのコールドスタート時において、シリンダヘッドの温度分布が不均一になりやすいことが懸念される。その結果、暖機運転が長引くなど、燃費の悪化が懸念される。ここに改良の余地がある。
このような事情に鑑み、本発明は、シリンダブロックのウォータージャケットに対する冷却液流通量とシリンダヘッドのウォータージャケットに対する冷却液流通量とを制御可能な構成でかつ前記シリンダヘッドのウォータージャケットが上下2段に仕切られている構成のエンジンにおいて、比較的簡易な構成でありながら、エンジンを均一な温度分布で温度調整できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、上下2段に仕切られるウォータージャケットを備えるシリンダヘッドにおいて、比較的簡易な構成でありながら、シリンダヘッドを均一な温度分布で温度調整できるようにすることを目的としている。
本発明は、シリンダブロックのウォータージャケットに対する冷却液流通量とシリンダヘッドのウォータージャケットに対する冷却液流通量とを制御可能な構成でかつ前記シリンダヘッドのウォータージャケットが上下2段に仕切られている構成のエンジンであって、前記上段ウォータージャケットの上壁と上下2段のウォータージャケットを仕切る隔壁とには、動弁機構配置空間と上段ウォータージャケットとを連通しかつ上下2段のウォータージャケットを連通する抜け孔がそれぞれ設けられており、前記上壁の抜け孔にはそれを閉塞するための閉塞部材が取り付けられており、この閉塞部材は前記上段ウォータージャケットの内部に突出するような取り付け状態にされている、ことを特徴としている。
この構成では、上段ウォータージャケット内への閉塞部材の突出量が大きいほど、上段ウォータージャケット内を流れる冷却液の流通抵抗が大きくなって、冷却液の流通量が制限されることになる。
つまり、この閉塞部材の突出量を調整することによって、上下2段のウォータージャケットに対する冷却液流通量を制御することが可能になる。そのため、シリンダヘッド全体の温度分布を均一とするように、上段ウォータージャケットに対する冷却液流通量つまり冷却効率と下段ウォータージャケットに対する冷却液流通量つまり冷却効率とを適宜に制御することが可能になる。
このように、閉塞部材の突出量を管理するだけの比較的簡易な構成で、シリンダヘッドを均一な温度分布となるように温度調整することが可能になる。
また、この構成では、例えばエンジンのコールドスタート時に、シリンダブロックのウォータージャケットに対する冷却液流通量をゼロ(または微小)にしてシリンダヘッドのウォータージャケットに対する冷却液流通量を最大(または略最大)にするように制御すると、シリンダブロックとシリンダヘッドとを可及的に温度差が生じないようにしたうえで速やかに昇温させることが可能になる。この制御と、前述したように閉塞部材によってシリンダヘッド全体の温度分布を均一にさせるための構造との相乗作用でもって、特にエンジンのコールドスタート時に、エンジン全体の温度分布を均一にさせるように昇温させることが可能になる。
好ましくは、前記閉塞部材は、前記隔壁の抜け孔をも閉塞するような状態で取り付けることが可能である。
ここでは、単一の閉塞部材で上壁の抜け孔と隔壁の抜け孔の両方を閉塞するようになっている。これにより、前記両方の抜け孔に別々の閉塞部材を取り付ける場合に比べると、部品点数ならびに取り付け作業を少なくすることが可能になるので、設備コストを低減するうえで有利になる。
好ましくは、前記各抜け孔は、シリンダヘッドの鋳造時に前記上下2段のウォータージャケットを得るための上下の砂中子を離隔して配置するように支えるための巾木によりそれぞれ転写形成されて残存されるものからなる。
好ましくは、前記エンジンは、前記シリンダブロックのウォータージャケットおよびシリンダヘッドのウォータージャケットの各下流側と各上流側とを接続する外部通路と、この外部通路において前記シリンダブロックのウォータージャケットおよびシリンダヘッドのウォータージャケットの各上流側寄りに配置されるウォーターポンプと、前記シリンダブロックのウォータージャケットの下流側に配置される弁とをさらに備える、構成にすることができる。
ここでは、エンジンの各ウォータージャケットに冷却液を循環させるための構成を特定しているとともに、シリンダブロックのウォータージャケットとシリンダヘッドのウォータージャケットとに対する各冷却液流通量を制御する構成を特定している。これにより、シリンダブロックのウォータージャケットとシリンダヘッドのウォータージャケットとに対する各冷却液流通量を制御する構成が比較的簡易になっていることが明らかになる。
また、本発明は、上下2段に仕切られるウォータージャケットを備えるシリンダヘッドであって、前記上段ウォータージャケットの上壁と上下2段のウォータージャケットを仕切る隔壁とには、動弁機構配置空間と上段ウォータージャケットとを連通しかつ上下2段のウォータージャケットを連通する抜け孔がそれぞれ設けられており、前記上壁の抜け孔にはそれを閉塞するための閉塞部材が取り付けられており、この閉塞部材は前記上段ウォータージャケットの内部に突出するような取り付け状態にされている、ことを特徴としている。
この構成では、上段ウォータージャケット内への閉塞部材の突出量が大きいほど、上段ウォータージャケット内を流れる冷却液の流通抵抗が大きくなって、冷却液の流通量が制限されることになる。
つまり、この閉塞部材の突出量を調整することによって、上下2段のウォータージャケットに対する冷却液流通量を制御することが可能になる。そのため、シリンダヘッド全体の温度分布を均一とするように、上段ウォータージャケットに対する冷却液流通量つまり冷却効率と下段ウォータージャケットに対する冷却液流通量つまり冷却効率とを適宜に制御することが可能になる。
このように、閉塞部材の突出量を管理するだけの比較的簡易な構成で、シリンダヘッド全体の温度分布を均一にすることが可能になる。
好ましくは、前記閉塞部材は、前記隔壁の抜け孔をも閉塞するような状態で取り付けることが可能である。
ここでは、単一の閉塞部材で上壁の抜け孔と隔壁の抜け孔の両方を閉塞するようになっている。これにより、前記両方の抜け孔に別々の閉塞部材を取り付ける場合に比べると、部品点数ならびに取り付け作業を少なくすることが可能になるので、設備コストを低減するうえで有利になる。
好ましくは、前記各抜け孔は、シリンダヘッドの鋳造時に前記上下2段のウォータージャケットを得るための上下の砂中子を離隔して配置するように支えるための巾木によりそれぞれ転写形成されて残存されるものからなる。
本発明は、シリンダブロックのウォータージャケットに対する冷却液流通量とシリンダヘッドのウォータージャケットに対する冷却液流通量とを制御可能な構成でかつ前記シリンダヘッドのウォータージャケットが上下2段に仕切られている構成のエンジンにおいて、比較的簡易な構成でありながら、エンジンを均一な温度分布で温度調整することが可能になる。
また、本発明は、上下2段に仕切られるウォータージャケットを備えるシリンダヘッドにおいて、比較的簡易な構成でありながら、シリンダヘッドを均一な温度分布で温度調整することが可能になる。
本発明に係るエンジンの一実施形態で、その冷却系の構成を模式的に示す図である。 図1のシリンダヘッドの断面図である。 図2において閉塞部材を取り付ける前の状態を示す断面図である。 図2および図3の閉塞部材の斜視図である。 図2および図3のシリンダヘッドを鋳造するときの様子を示す図であり、各部の形状については簡略化して示している。 本発明に係るエンジンの他実施形態で、シリンダヘッドの断面図である。 図6において閉塞部材を取り付ける前の状態を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1から図5に、本発明の一実施形態を示している。この実施形態では直列多気筒型のエンジンを例に挙げて説明する。図1に示すエンジン1は、シリンダブロック11とシリンダヘッド12とを少なくとも備えている。
シリンダブロック11内にはウォータージャケット13が設けられている。また、シリンダヘッド12内には、図1および図2に示すように、上下2段に仕切られたウォータージャケット14,15が設けられている。これらブロック側ウォータージャケット13およびヘッド側ウォータージャケット14,15が冷却液(ロングライフクーラントLLCと呼ばれる不凍液など)の内部通路となる。
なお、この実施形態でのシリンダブロック11はクローズドデッキタイプと呼ばれるものであって、ブロック側ウォータージャケット13とヘッド側ウォータージャケット14,15とを連通させていない。
ブロック側ウォータージャケット13の冷却液流通方向の上流側は、シリンダブロック11において気筒配列方向の一端(例えば前端)面の下方に、冷却液導入口16として設けられている。また、ブロック側ウォータージャケット13の冷却液流通方向の下流側は、シリンダヘッド12において気筒配列方向の他端(例えば後端)面に、第1冷却液排出口17として設けられている。
ヘッド側上段ウォータージャケット14およびヘッド側下段ウォータージャケット15の冷却液流通方向の上流側は、合流された状態でブロック側ウォータージャケット13の冷却液導入口16寄りに連通連結されている。
ヘッド側上段ウォータージャケット14およびヘッド側下段ウォータージャケット15の冷却液流通方向の下流側は、合流された状態でシリンダヘッド12において気筒配列方向の他端(例えば後端)面に第2冷却液排出口18として設けられている。
シリンダヘッド12の第2冷却液排出口18とシリンダブロック11の冷却液導入口16とには、ラジエータ通路2が接続されている。
このラジエータ通路2において第2冷却液排出口18寄りには、第1冷却液排出口17が中継路3を経て連通連結されている。これにより、上下2段のヘッド側ウォータージャケット14,15の下流側合流部分にブロック側ウォータージャケット13の下流側が連通連結されるようになっている。
このラジエータ通路2にはウォーターポンプ4およびラジエータ5が設けられている。ウォーターポンプ4はラジエータ通路2において冷却液導入口16寄りに設けられている。ラジエータ5は冷却液の熱を発散させるための熱交換器であり、ラジエータ通路2においてウォーターポンプ4よりも冷却液流通方向の上流側に設けられている。
また、ラジエータ通路2においてラジエータ5の上流側と下流側とには、ラジエータ5をバイパスするためのバイパス通路6が接続されている。このバイパス通路6においてラジエータ通路2との上流側接続部分寄りにはヒータコア7が設けられている。このヒータコア7は車両室内を暖房するための熱交換器である。
このようにエンジン1の内部通路(ウォータージャケット13〜15)と外部通路(ラジエータ通路2、バイパス通路6、中継路3)とによって閉ループの冷却液循環路が作られるようになっている。
そして、中継路3および、ラジエータ通路2とバイパス通路6との下流側合流部分には、それぞれサーモスタット8,9が設けられている。なお、以下では中継路3のサーモスタット8を上流側サーモスタットと言い、ラジエータ通路2とバイパス通路6との下流側合流部分のサーモスタット9を下流側サーモスタットと言うことにする。
上流側サーモスタット8については、その近傍での冷却液温度が暖機完了温度未満である場合に弁体(図示省略)が自動的に閉弁することにより中継路3を閉塞する一方、前記冷却液温度が暖機完了温度以上である場合に弁体(図示省略)が自動的に開弁することにより中継路3を開放する。
下流側サーモスタット9については、その近傍の冷却液の温度が暖機完了温度未満である場合に、弁体(図示省略)が自動的に閉弁することによりラジエータ通路2を閉塞する一方、前記冷却液温度が暖機完了温度以上である場合に弁体(図示省略)が自動的に開弁することによりラジエータ通路2を開放するが、この弁体の開閉状態に関係無くバイパス通路6は常に開放したままになる。
このような2つのサーモスタット8,9は、詳細に図示していないが、例えば中継路3やラジエータ通路2内の冷却液温度の高低変化に反応してサーモワックスが溶融膨張または凝固収縮することによって可動部材が作動し、当該可動部材に固定された弁体でもって中継路3やラジエータ通路2を開閉するようになっている。なお、サーモスタットとは、自動車関連業界において温度感知型自動作動弁のことを意味している。
具体的に、例えばエンジン1をコールドスタートさせた場合、つまり、2つのサーモスタット8,9近傍の冷却液の温度が暖機完了温度未満である状態でエンジン1を始動させた場合には、2つのサーモスタット8,9が共に閉弁しているので、図1の実線で示すように、ウォーターポンプ4の作動に伴いヘッド側ウォータージャケット14,15内の冷却液がシリンダヘッド12の第2冷却液排出口18からラジエータ通路2に排出されることになり、この冷却液がラジエータ5を通過せずにバイパス通路6を経てシリンダブロック11の冷却液導入口16に戻される。
この場合、ヘッド側ウォータージャケット14,15とバイパス通路6とによって形成される閉ループを冷却液が循環するようになる。これにより、ヘッド側ウォータージャケット14,15を冷却液が繰り返し流通する際に冷却液がシリンダヘッド12の特に燃焼室近傍の熱を吸収して昇温が促進されるようになる。
そして、2つのサーモスタット8,9近傍の冷却液の温度が暖機完了温度以上になることによって当該2つのサーモスタット8,9が開弁すると、図1の二点鎖線で示すように、ブロック側ウォータージャケット13およびヘッド側ウォータージャケット14,15内の冷却液がシリンダヘッド12の第1、第2冷却液排出口17,18からラジエータ通路2に排出されることになって、この冷却液がラジエータ5を通過することによって冷却されてからシリンダブロック11の冷却液導入口16に戻される。その一方で、シリンダヘッド12の第1、第2冷却液排出口17,18からラジエータ通路2に排出される冷却液はさらにバイパス通路6を経てシリンダブロック11の冷却液導入口16に戻されるようにもなる。
この場合、ブロック側ウォータージャケット13およびヘッド側ウォータージャケット14,15と、ラジエータ通路2と、バイパス通路6と、中継路3とによって形成される閉ループを冷却液が循環するようになる。これにより、シリンダヘッド11およびシリンダブロック12の熱を冷却液で回収してラジエータ5で大気に発散させるようになるから、冷却液およびエンジン1の温度が一定範囲内に調整されることになる。
このように、エンジン1のコールドスタート時において、ブロック側ウォータージャケット13に対する冷却液流通量をゼロにしてヘッド側ウォータージャケット14,15に対する冷却液流通量を最大にすると、シリンダブロック11とシリンダヘッド12とを可及的に温度差が生じないようにしたうえで速やかに昇温させることが可能になる。
次に、図2から図5を参照して、シリンダヘッド12およびヘッド側ウォータージャケット14,15についてさらに詳しく説明する。
そもそも、ヘッド側ウォータージャケット14,15を上下2段にしている理由は、1段の場合だとシリンダヘッド12の下側領域(燃焼室寄りの領域)の形状が複雑になる関係より冷却液が流通しにくくなってシリンダヘッド12の下側領域が上側領域よりも高温になりやすい。このことから上下2段にすると上下両方のウォータージャケット14,15に冷却液を個別に流通させることが可能になる。しかしながら、その場合も、下段ウォータージャケット15のほうが燃焼室周りの形状によって冷却液が流通しにくくなることに変わりない。そこで、上下のウォータージャケット14,15に対する冷却液の供給量を制御することが考えられるが、それは難しい。この点を考慮して、上下2段のウォータージャケット14,15での冷却液の流通量を簡易に制御可能とするように工夫しているので、説明する。
シリンダヘッド12には、上段ウォータージャケット14の上壁21と、上下2段のウォータージャケット14,15を仕切る隔壁22とが設けられている。この上壁21および隔壁22には、シリンダヘッド12の鋳造時に用いる巾木71,72により転写形成される抜け孔25,26がそれぞれ残存するようになっている。
この巾木71,72の抜け孔25,26が出来る理由について説明する。シリンダヘッド12の鋳造時に、例えば図5に示すように、下金型51と上金型52とで作るキャビィティ53内に、上下2段のウォータージャケット14,15を得るための砂中子61,62と、シリンダヘッド12の動弁機構配置空間19(図2、図3参照)を得るための砂中子63とをそれぞれ浮かせた状態で離隔配置する必要がある。
そのようにするために、上中下と3つの砂中子61,62,63の間にそれらを離隔配置させるための巾木71,72を配置している。なお、上下の巾木71,72を一直線上に配置しているので、抜け孔25,26が同軸上に配置されるようになっている。また、抜け孔25,26は円形とされている。さらに、この実施形態では、下段ウォータージャケット15についてその両側に枝分かれ部15a,15bを設ける形態にしているので、下段ウォータージャケット15を得るための砂中子62については前記枝分かれ部15a,15bに対応する部分62a,62bが一体に形成されている。このような形状の砂中子62を下金型51上に浮かせた状態で離隔配置させるために、この砂中子62と下金型51との間に巾木73,74を配置している。
このような形態でシリンダヘッド12を鋳造する関係より、その鋳造後において巾木71,72,73,74の抜け孔25,26,27,28が不可避的に出来るのである。
図5に示すように、巾木71の抜け孔25は上段ウォータージャケット14の上壁21に設けられる。巾木72の抜け孔26は上下2段のウォータージャケット14,15を仕切る隔壁22に設けられる。巾木73,74の抜け孔27,28は下段ウォータージャケット15の下壁23にシリンダヘッド12の下側デッキ面に向けて開口される。
ところで、巾木73,74の抜け孔27,28はシリンダヘッド12をシリンダブロック11に取り付けるとシリンダブロック11の上側デッキ面によって閉じられるようになる。しかしながら、シリンダヘッド12をシリンダブロック11に取り付けても、巾木71の抜け孔25は動弁機構配置空間19と上段ウォータージャケット14とを連通するように開いたままになり、また、巾木72の抜け孔26は上段ウォータージャケット14と下段ウォータージャケット15とを連通するように開いたままになる。
そこで、巾木71,72の抜け孔25,26については、閉塞部材30を取り付けることにより閉塞するようにしている。
この閉塞部材30は、上壁21の抜け孔25に、上段ウォータージャケット14の内部に突出するような状態で取り付けられている。但し、この実施形態では、閉塞部材30を隔壁22の抜け孔24をも閉塞するような状態で取り付けるようにしている。
つまり、この実施形態では単一の閉塞部材30で上壁21の抜け孔25と隔壁22の抜け孔26の両方を閉塞するようにしている。このようにすれば、両方の抜け孔25,26に例えば別々の閉塞部材を取り付ける場合に比べると、部品点数ならびに取り付け作業を少なくすることが可能になるので、設備コストを低減するうえで有利になる。
具体的に、閉塞部材30は、例えば耐蝕性金属あるいは合成樹脂などにより有底円筒形に形成されている。また、上壁21の抜け孔25は外向きに膨出する円筒形張り出し部25aが設けられており、さらに、隔壁22の抜け孔26は上向きに膨出する円筒形張り出し部26aが設けられている。
このような閉塞部材30の円筒外周部が、上壁21の抜け孔25および円筒形張り出し部25a内に例えば圧入などにより取り付けられていて、この閉塞部材30の底部が隔壁22の抜け孔26および円筒形張り出し部26aの上方開口を閉塞するように圧接されている。この閉塞部材30の底部の直径寸法は隔壁22の抜け孔26および円筒形張り出し部26aの内径寸法よりも大きく設定されている。
但し、前記圧入による嵌め合い面や圧接による突合せ面は、冷却液の漏れを完全に防止するような密閉状態にする必要はなく、わずかな漏れを許容するような状態とすることが可能である。これにより、前記各面を作る際の加工精度は比較的低くてよいので、製造コストを抑制するうえで有利になる。
そして、この実施形態の場合には、閉塞部材30が上段ウォータージャケット14内において上壁21から隔壁22にまで延びる柱のような存在になっている。そのため、上段ウォータージャケット14内に存在している閉塞部材30の外形形状などを大きくするほど、上段ウォータージャケット14内を流れる冷却液の流通抵抗が大きくなって、冷却液の流通量が制限されることになる。
つまり、冷却液の流通方向から閉塞部材30を見たときの正面面積を調整することによって、上下2段のウォータージャケット14,15に対する冷却液流通量を制御することが可能になる。
そこで、シリンダヘッド12全体の温度分布を均一とするように、上段ウォータージャケット14に対する冷却液流通量つまり冷却効率と下段ウォータージャケット15に対する冷却液流通量つまり冷却効率とを適宜に制御することが可能になる。
このように、上段ウォータージャケット14に対する閉塞部材30の突出量と外形寸法を管理するだけの比較的簡易な構成でもって、上段ウォータージャケット14内での冷却液の流通抵抗を制御することによりシリンダヘッド12全体の温度分布を均一にさせるようにしている。
以上説明したように本発明を適用した実施形態では、シリンダヘッド12を均一な温度分布として温度調整できるようにした構造と、シリンダブロック11のウォータージャケット13に対して冷却液を流通させないようにしてシリンダヘッド12の上下2段のウォータージャケット14,15のみに冷却液を流通させることによりシリンダブロック11とシリンダヘッド12とに温度差を生じさせずに昇温させるようにした制御とを含んだ構成になっている。
このような構成つまり前記構造と制御とを組み合わせることの相乗作用でもって、エンジン1全体を均一な温度分布となるように温度調整することが可能になる。これにより、例えばエンジン1のコールドスタート時に、エンジン1全体を均一な温度分布となるように速やかに昇温させることが可能になるので、暖機運転を速やかに完了することが可能になって、燃費を改善することが可能になる。
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均等の範囲内で適宜に変更することが可能である。
(1)図6および図7に本発明の他の実施形態を示している。この実施形態では、閉塞部材30の形状やシリンダヘッド12の上壁21の抜け孔25に対する閉塞部材30の取り付けの形態が上記実施形態で説明したものと異なる。その他の構成は上記実施形態と基本的に同じになっている。
この実施形態の閉塞部材30は、シリンダヘッド12の上壁21の抜け孔25に螺子の噛み合いによって取り付けられるようになっている。具体的には、この閉塞部材30は中実に形成されていて、その円筒形外周部に雄ねじが設けられている。また、シリンダヘッド12の上壁21の抜け孔25の内周面には雌ねじが設けられている。
さらに閉塞部材30の上端面には、当該閉塞部材30を上壁21の抜け孔25にねじ込み操作するときの工具を係合するための工具装着部31が設けられている。この工具装着部31は工具の種類に応じて六角孔、直線溝状、十字溝状などとされる。この実施形態の場合も上記実施形態と同様の作用、効果が得られる。
この他、シリンダヘッド12の隔壁22の抜け孔26の上側に、円筒形張り出し部26aを設けないようにした構造にすることも可能である。その場合、隔壁22の抜け孔26の内径寸法を閉塞部材30の底部の直径寸法よりも小さく設定していれば、閉塞部材30の底部で隔壁22の抜け孔26を閉塞させることができる。この実施形態の場合も上記実施形態と同様の作用、効果が得られる。
(2)上記実施形態では、ブロック側ウォータージャケット13と上下2段のヘッド側ウォータージャケット14,15とに冷却液を並列に供給するような構成に本発明を適用した例を挙げている。しかしながら、図示していないが、ブロック側ウォータージャケット13からヘッド側ウォータージャケット14,15に直列に冷却液を流通させるような構成であっても本発明を適用することが可能である。
本発明は、例えばシリンダブロックのウォータージャケットに対する冷却液流通量とシリンダヘッドのウォータージャケットに対する冷却液流通量とを制御可能な構成でかつ前記シリンダヘッドのウォータージャケットが上下2段に仕切られている構成のエンジンに適用することが可能である。また、本発明は、上下2段に仕切られるウォータージャケットを備えるシリンダヘッドに適用することが可能である。
1 エンジン
11 シリンダブロック
12 シリンダヘッド
13 ブロック側ウォータージャケット
14 ヘッド側上段ウォータージャケット
15 ヘッド側下段ウォータージャケット
16 シリンダブロックの冷却液導入口
17 シリンダヘッドの第1冷却液排出口
18 シリンダヘッドの第2冷却液排出口
2 ラジエータ通路
3 中継路
4 ウォーターポンプ
5 ラジエータ
6 バイパス通路
8 上流側サーモスタット
9 下流側サーモスタット
21 上壁
22 隔壁
25 上壁の抜け孔
26 隔壁の抜け孔
30 閉塞部材
51 下金型
52 上金型
61〜63 砂中子
71〜74 巾木

Claims (7)

  1. シリンダブロックのウォータージャケットに対する冷却液流通量とシリンダヘッドのウォータージャケットに対する冷却液流通量とを制御可能な構成でかつ前記シリンダヘッドのウォータージャケットが上下2段に仕切られている構成のエンジンであって、
    前記上段ウォータージャケットの上壁と上下2段のウォータージャケットを仕切る隔壁とには、動弁機構配置空間と上段ウォータージャケットとを連通しかつ上下2段のウォータージャケットを連通する抜け孔がそれぞれ設けられており、
    前記上壁の抜け孔にはそれを閉塞するための閉塞部材が取り付けられており、この閉塞部材は前記上段ウォータージャケットの内部に突出するような取り付け状態にされている、ことを特徴とするエンジン。
  2. 請求項1に記載のエンジンにおいて、
    前記閉塞部材は、前記隔壁の抜け孔をも閉塞するような状態で取り付けられている、ことを特徴とするエンジン。
  3. 請求項1または2に記載のエンジンにおいて、
    前記各抜け孔は、シリンダヘッドの鋳造時に前記上下2段のウォータージャケットを得るための上下の砂中子を離隔して配置するように支えるための巾木によりそれぞれ転写形成されて残存されるものからなる、ことを特徴とするエンジン。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載のエンジンにおいて、
    前記シリンダブロックのウォータージャケットおよびシリンダヘッドのウォータージャケットの各下流側と各上流側とを接続する外部通路と、
    この外部通路において前記シリンダブロックのウォータージャケットおよびシリンダヘッドのウォータージャケットの各上流側寄りに配置されるウォーターポンプと、
    前記シリンダブロックのウォータージャケットの下流側に配置される弁とをさらに備えている、ことを特徴とするエンジン。
  5. 上下2段に仕切られるウォータージャケットを備えるシリンダヘッドであって、
    前記上段ウォータージャケットの上壁と上下2段のウォータージャケットを仕切る隔壁とには、動弁機構配置空間と上段ウォータージャケットとを連通しかつ上下2段のウォータージャケットを連通する抜け孔がそれぞれ設けられており、
    前記上壁の抜け孔にはそれを閉塞するための閉塞部材が取り付けられており、この閉塞部材は前記上段ウォータージャケットの内部に突出するような取り付け状態にされている、ことを特徴とするシリンダヘッド。
  6. 請求項5に記載のシリンダヘッドにおいて、
    前記閉塞部材は、前記隔壁の抜け孔をも閉塞するような状態で取り付けられている、ことを特徴とするシリンダヘッド。
  7. 請求項5または6に記載のシリンダヘッドにおいて、
    前記各抜け孔は、シリンダヘッドの鋳造時に前記上下2段のウォータージャケットを得るための上下の砂中子を離隔して配置するように支えるための巾木によりそれぞれ転写形成されて残存されるものからなる、ことを特徴とするシリンダヘッド。
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