以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態に係るドアシステムXは、例えば室内空間と室外空間とに連通する開口部Sを回転しながら開閉し得るドアD(回転扉)に適用可能なシステムである。本実施形態では、図1に示すように、開口部Sの周囲にドア枠Wを設けており、このドア枠Wが開口部S内の空間を他の空間と仕切り得る本発明の開口縁部に相当する。
ドアDは、図2及び図3に示すように、一方の側縁部を吊元側として、開口部Sに嵌って当該開口部Sを閉成し得る閉成位置(C)と、開口部Sを開放した開成位置(O)との間で回転しながら移動するものである。本実施形態では、開口部Sに対するドアDの開き角度が略180度となる位置を開成位置(O)に設定している。
そして、本実施形態に係るドアシステムXは、図1乃至3に示すように、ドアDを閉成位置(C)に保持するラッチ機構100と、ドアDを開成位置(O)に保持するドアキャッチャ200と、ドアDの閉成動作を補助するドアダンパ300と、ドアDを回転動作可能に支持し、且つ開成位置(O)と閉成位置(C)との間の中途位置にあるドアDを開口部Sに対する所定の開き角度を境に開成方向又は閉成方向の何れかに付勢する蝶番400とを備えている。
ラッチ機構100は、図2及び図3に示すように、反吊元側の側縁部の所定の高さ位置においてドアDの幅方向に突没動作可能なラッチ爪101と、開口部Sのうち反吊元側の側縁部(ドア枠Wの側縁部W1)に形成したラッチ孔103とを備え、ラッチ爪101を、ドアDの側縁部よりもドアDの幅方向に突出させた突出状態と、ドアDの側縁部よりもドアDの幅方向中央側に退避させた退避状態との間で変化させ、突出状態にあるラッチ爪101がラッチ孔103に係合することによってドアDを閉成位置(C)に保持するものである(図2参照)。本実施形態では、バネ等の適宜の付勢手段(図示省略)によりラッチ爪101が常時突出状態となるように設定している(図1乃至図3参照)。
このラッチ機構100は、閉成位置(C)にないドアDが閉成方向に移動した場合に、閉成位置(C)に到達する直前で、それまで突出状態にあるラッチ爪101がドア枠Wの反吊元側の側縁部に当たることで一時的にドアDの幅方向に没入して退避状態となり、ドアDが閉成位置(C)に到達した時点でドア枠Wの側縁部W1との干渉が解消されたラッチ爪101が突出状態となってラッチ孔103に係合することによって、ドアDを閉成位置(C)に保持することができる。また、ラッチ爪101の突出状態と退避状態との切替は、ドアDに設けたノブNに対する操作で行うことができ、閉成位置(C)にあるドアDを開成方向に移動させる場合には、ノブNを所定方向に回転させたり、或いはノブNに設けたボタンを押すことによってラッチ爪101が突出状態から退避状態に切り替わり、ラッチ孔103との係合状態が解除され、ドアDを閉成方向に移動させることができる。
ドアキャッチャ200は、図1乃至3に示すように、床面に固定されるドアキャッチャ本体201と、ドアDに固定されるロックピン203とを備えたものである。ドアキャッチャ本体201は、図4及び図5に示すように、回動可能なリング状回動体205と、リング状回動体205を回動させる機構(図示省略)を収納する枠体207と、枠体207を上方から被覆し得るカバー体209とを有する。
枠体207は、略円形状をなし、一端を前方に開放した帯状の切欠部211を中央部に形成したものである。切欠部211には、前面にピン本体229が当接し得るピン当接用段部213と、ピン当接用段部213よりも前方に設けられて切欠部211の開口側縁に沿ってスライド自在に嵌合するスライド体215とを一体に有するバンパ部材217を配置している。枠体207は床面の所定箇所に固定した後、枠体207の切欠部211と略同じ形状の切欠部219を有するカバー体209によって上方から被覆される。カバー体209の切欠部219と、枠体の切欠部211のうち平面視においてカバー体209の切欠部219に連通する部分とによってピン本体229を収容し得るピン用開口部221を形成している。
リング状回動体205は、枠体207に対して回動自在に遊嵌し、周縁部に起立壁部223と開口部225とを繰り返して設けたものである。本実施形態では起立壁部223と開口部225がそれぞれ45度の間隔で周方向に並ぶように設定している。リング状回動体205の裏面には表面にある起立壁部223と開口部225の合計数と同じ個数の鋸刃状の係合溝を所定のピッチ(本実施形態では45度間隔)で形成している(図示省略)。これら複数の係合溝に、枠体207に設けた単一のラチェット片(図示省略)が、バンパ部材217の進退動作に伴って順次係合し得るように設定してある。
ロックピン203は、ドアDに固定したピン保持部227と、ピン保持部227に保持され且つピン保持部227の下縁部よりも下方に突出した状態でバネ付勢に抗して没入自在なピン本体229とを備えたものである。
次に、ドアキャッチャ200の動作及び作用を図4及び図5を参照して説明する。ピン本体229をドアキャッチャ本体201で拘束していないフリー状態では、ピン用開口部221にリング状回動体205の開口部225が臨む(図4参照)。この状態でドアDが開成方向に向かって移動してピン本体229がピン用開口部221に入ると、ピン当接用段部213の前面にピン本体229が当たり、この押圧力によってピン当接用段部213を含むバンパ部材217全体がバネ付勢に抗して後方に押され(図示省略)、それに伴ってリング状回動体205も枠体207内に収容した図示しない適宜の回動機構によって回転する。すると、図示しないラチェット片がそれまで係合していたリング状回動体205の係合溝との係合状態を解除し、リング状回動体205の周方向に並ぶ次の係合溝に新たに係合する。この状態で、ピン用開口部221にはリング状回動体205の起立壁部223が臨み、ピン本体229はピン用開口部221と起立壁部223とによって形成される閉空間内に閉じ込められる(図5参照)。その結果、ドアDは開成位置(O)で保持される。
一方、ドアキャッチャ200によるドアDのロック状態を解除するには、ドアDを更に開成方向に押す操作力を付与するだけでよい。つまり、ドアDを更に開成方向に押すとピン本体229の押圧力によりバンパ部材217全体がバネ付勢に抗して後方に押され、それに伴ってリング状回動体205も回転する。すると、ラチェット片がそれまで係合していたリング状回動体205の係合溝との係合状態を解除し、リング状回動体205の周方向に並ぶ次の係合溝に新たに係合する。この際、ピン用開口部221にはリング状回動体205の開口部225が臨み、ピン本体229はドアキャッチャ本体201から離間する方向に移動可能となり、ドアDを閉成方向に移動させることができる(図4)。
このように、本実施形態で適用するドアキャッチャ200は、開成方向にドアDが移動する際に生じる押圧力を利用して、リング状回動体205を停止させた状態から同じ方向に所定角度ずつ順次回転させることによって、ピン用開口部221を開いた状態と閉じた状態との間で切り替えることができる。
ドアダンパ300は、図2及び図3に示すように、ドアDに取り付けられて閉成位置(C)に到達する前の所定時点から閉成位置(C)に到達する時点までダンパ機能を発揮するダンパ本体301と、ドア枠Wに取り付けられる受座303とを備えたものである。
本実施形態では、ダンパ本体301を、油圧式ダンパを内蔵した本体部305と、本体部305に対して所定の抵抗力を受けた状態で回動可能な引込アーム307とを備えたものを適用している。引込アーム307には、受座303の軸状突起部309にガイドされるガイド溝311を形成している。
そして、ドアDを開成位置(O)から閉成位置(C)に向かって移動させてドアDの開口部Sに対する開き角度が所定値(本実施形態では10度)となった時点で、ガイド溝305内に受座303の軸状突起部309が入り込み、さらにドアDの閉成方向への移動に伴って、引込アーム307全体が、ガイド溝305に対する軸突起部309の進入度合いを大きくしながら、ダンパ本体301の本体部305に対して所定の抵抗力を受けた状態で回転する。
これにより、ドアダンパ300は、ドアDの閉成動作時に適切なダンパ機能を発揮し、閉成方向に向かうドアDを減速させて閉成位置(C)に到達する際のドアDの衝撃(衝撃音)を抑制することができるとともに、ガイド溝305に軸状突起部309をガイドさせることによってドアD全体を閉成位置(C)に向かって適切に引き込むことができる。
蝶番400は、図1に示すように、ドアDに取り付けられる第1蝶番要素401と、ドアDによって開閉可能な開口部Sを有するドア枠Wに取り付けられる第2蝶番要素403とを備えたものである。本実施形態では、第1蝶番要素401を第2蝶番要素403よりも相対的に上側に配置する上側蝶番要素とするとともに、第2蝶番要素403を相対的に下側に配置する下側蝶番要素としている。
第1蝶番要素401は、図6乃至図8(図7、図8はそれぞれ第1蝶番要素401の平面図、正面図である)に示すように、第1羽根板405と、第1羽根板405の一方の側縁部に形成した第1軸筒407とを備え、第1羽根板405の所定箇所(図示例では4隅近傍箇所)に形成したビス取付用孔409に挿入したビスをドアDに形成したネジ孔に螺合させることによって、ドアDに固定可能なものである。第1軸筒407の上端部には上側キャップ411を装脱可能に取り付けている。
第2蝶番要素403は、図6、図9及び図10(図9、図10はそれぞれ第2蝶番要素403の平面図、正面図である)に示すように、第2羽根板413と、第2羽根板413の一方の側縁部に形成した第2軸筒415とを備え、第2羽根板413の所定箇所(図示例では4隅近傍箇所と中央部)に形成したビス取付用孔417に挿入したビスをドア枠Wに形成したネジ孔に螺合させることによってドア枠Wに固定可能なものである。第2軸筒415の下端部には下側キャップ419を装脱可能に取り付けている。
本実施形態に係る蝶番400は、これら蝶番要素(第1蝶番要素401、第2蝶番要素403)に加えて、上端部側領域を第1軸筒407内に回転不能に挿入するとともに下端部側領域を第2軸筒415内に回転可能に挿入して、これら軸筒(第1軸筒407、第2軸筒415)同士を同軸上に配置するシャフト421と、第2軸筒415内に回転不能な状態で軸方向Aに昇降移動可能に収容した筒状カム部材423と、第2軸筒415内に収容される圧縮バネ425とを備えている。
シャフト421は、図6に示すように、第2軸筒415内に挿入する概略円柱状の下端部側領域にカムピン427を一体又は一体的に設けている。カムピン427の数や形成箇所は、後述するカム溝429の数や形成箇所に対応させている。本実施形態では、一対のカムピン427をシャフト421のうち、周方向に所定角度(図示例では略180度)位相を異ならせた箇所に設け、これらカムピン427をシャフト421の軸方向A(高さ方向)に段違いに設けている。また、図11及び図12(図11はシャフト421の正面図であり、図12は図11のY方向矢視図である)に示すように、シャフト421の高さ方向中央部近傍には、後述するボールベアリング431を回転可能に保持するボールベアリング保持部433を設けている。シャフト421のうち上端部側領域の外周面の一部には軸方向Aに沿って延びる平坦部435を形成している。なお、図13に示すように、シャフト421として、上端部の端面に開口するネジ孔と、ネジ孔の先端部に連通し且つシャフト421の外周面に開口するボール保持用孔とを有するものを適用することができる。この場合、ボール保持用孔にボールを収容した状態でネジ孔に対する六角穴付き止めねじ(ホーローセット)の螺合程度(進入距離)を変更することによって、シャフト421の外周面に対するボールの出っ張り具合を調整することができる。本実施形態では、このようなシャフト421の上端部側領域を、第1軸筒407内に回転不能に設けた軸受437に挿入している。シャフト121の上端部側領域を軸受137に挿入する際には、シャフト121の外周面に対するボール126の突出量をゼロまたはほぼゼロ以下に設定しておき、シャフト121の上端部側領域を軸受137に挿入した後で、例えば六角レンチ等の工具を用いてネジ孔122に対する六角穴付き止めねじ128(ホーローセット)の螺合程度(進入距離)を調整し、シャフト121の外周面に対するボール126の突出量を増やしてボール126を軸受137の内周面に押し付ける(図示省略)。その結果、このシャフト121を介して第1軸筒107と第2軸筒115を同軸上に強固に連結することができる。また、ボール126を第1軸筒107の内周面に直接又は間接的に(本実施形態では軸受137の内周面を介して間接的に)に接触させておくことにより、ドアDの開閉に伴う第1軸筒107と第2軸筒115との相対回転時に、バネ125やカム機構(カムピン127、カム溝129)の作動に起因して軸筒107,115内で響き得る音の発生を防止・抑制することができる。
軸受437は、図6、図14及び図15(図14は軸受437の正面図であり、図15は図14のY方向矢視図である)に示すように、概略円筒状をなし、外周面の一部に、第1軸筒407の内周面に形成した軸方向Aに延伸するスライド溝439に係合可能な係合突条部441を形成し、内周面の一部に、シャフト421の上端部側領域の断面形状に対応させた平坦部443を形成したものである。そして、係合突条部441を第1軸筒407のスライド溝439に係合させることによって、軸受437は第1軸筒407に対して回転不能となる。また、シャフト421の平坦部435が軸受437の平坦部443と対面し得るようにシャフト421の上端部側領域を軸受437内に挿入することによって、軸受437はシャフト421を回転不能に保持することができる。
なお、シャフト421の上端部側領域を軸受437内に挿入する前の時点で、シャフト421とは別体であるボールベアリング保持体445(図6参照)と、シャフト421のボールベアリング保持部433との間に多数のボールベアリング431を回転可能な状態で保持させおく。そして、第2軸筒415内の上端開口部にワッシャ446を固定した状態で、下側キャップ419が装着されていない第2軸筒415の下端開口部からシャフト421を挿入し、その上端部側領域をワッシャ446の内孔に通すことにより、シャフト421は、下端部側領域を第2軸筒415内に収容し、上端部側領域を第2軸筒415外に露出した状態となる。この状態で、各軸筒(第1軸筒407、第2軸筒415)と外法径が同一のリング状ブッシュ447をシャフト421の上端から下方に落として込んで第2軸筒415の上端開口部またはワッシャ446に当接または近接する位置に配置しておく。そして、この状態でシャフト421の上端部側領域を軸受437内に挿入すると、図16に示すように、リング状ブッシュ447が第1軸筒407の下端開口部または軸受437の下端開口部に接触または近接する。このワッシャ446により、シャフト421を中心とした第1蝶番要素401と第2蝶番要素403との相対回転運動の際に生じる摩擦抵抗の軽減化を図ることができる。なお、図16は、第1蝶番要素401の第1羽根板405と第2蝶番要素403の第2羽根板413とが平面視においてほぼ重なり合う状態を一部断面にして模式的に示す図である。
筒状カム部材423は、図6に示すように、概略円筒状をなし、外周面に、第2軸筒415の内周面に形成した軸方向Aに延伸するスライド溝447に係合可能な係合突条部449を有するものである。また、筒状カム部材423は、所定形状のカム溝429を有する。カム溝429は、筒状カム部材423の展開した状態を一部簡略して示す図17に示すように、カム溝429のうち第1軸筒407側に最も寄った位置(本実施形態ではカム溝429のうち最も高い位置)に形成した傾斜切替領域451と、傾斜切替領域451から筒状カム部材423の周方向に沿った一方向(順方向)に延伸し、第1軸筒407から漸次離反する方向(本実施形態では下方向)に傾斜させた第1傾斜領域453と、傾斜切替領域451から筒状カム部材423の周方向に沿った他方向(逆方向)に延伸し、第1軸筒407から漸次離反する方向に傾斜させた第2傾斜領域455とを有する略下向きV字状のものである。なお、本実施形態では、傾斜切替領域451として、第1傾斜領域453又は第2傾斜領域455の一方から傾斜切替領域451へ到達したカムピン427が直ちに他方の傾斜領域へ移動し得るような形状に設定したものを適用している。したがって、傾斜切替領域451は、カム溝429において、カムピン427が自動的に第1傾斜領域453を通過するか、カムピン427が自動的に第2傾斜領域455を通過するかを決定する思案点(分岐点)として機能する。
また、本実施形態では、カム溝429として、第1傾斜領域453のうち最も第1軸筒407から離反した位置から第1傾斜領域453よりもさらに急勾配で第1軸筒407から離反する方向に傾斜させた第1急勾配領域457を形成するとともに、第2傾斜領域455のうち最も第1軸筒407から離反した位置から第2傾斜領域455よりもさらに急勾配で第2軸筒415から離反する方向に傾斜させた第2急勾配領域459を形成したものを適用している。本実施形態に係る蝶番400は、このようなカム溝429を筒状カム部材423のうち、周方向に所定角度(図示例では略180度)位相を異ならせた箇所に形成している。特に、本実施形態では、一対のカム溝429を軸方向Aに沿って段違いに形成している。なお、筒状カム部材423の外周面において高さ方向に延伸する係合突条部449はカム溝429によって一部切断されている(図6参照)。また、本実施形態では、一対の係合突条部449を、筒状カム部材423の外周面において180度位相を異ならせた位置に形成し、各係合突条部449におけるカム溝429による切断箇所は1箇所となるようにカム溝429の形成箇所を設定している。
このようなカム溝429にカムピン427を係合させて筒状カム部材423とシャフト421とを相互に組み付ける態様としては、筒状カム部材423に形成したカムピン取付用ネジ孔461にカムピン427を螺合する前の状態でシャフト421の下端部側領域を筒状カム部材423内に挿入し、カム溝429とカムピン取付用ネジ孔461とが連通する位置でカムピン取付用ネジ孔461にカムピン427を螺合して取り付けたり、或いはシャフト421の一端部側領域を筒状カム部材423に挿入した後、筒状カム部材423の所定箇所にカムピン427を溶接等により固定するものを挙げることができる。
圧縮バネ425は、図6及び図16に示すように、下端部側領域を第2軸筒415内に挿入したシャフト421を下端から押圧し得るように第2軸筒415内に収容されるものである。そして、第2軸筒415の下端開口部近傍領域に螺合した圧縮量調整用ネジ463の螺合程度(進入距離)を変更することによって、第2軸筒415内に収容している圧縮バネ425全体の圧縮量を調整できる。なお、本実施形態では、圧縮バネ425と圧縮量調整用ネジ463との間にワッシャ465を介在させている。
次に、このような構成をなす蝶番400の動作及び作用について説明する。
本実施形態では、ドアDが閉成位置(C)にある場合にシャフト421のカムピン427がカム溝429の第1急勾配領域457に位置付けられるとともに、ドアDが開成位置(O)にある場合にシャフト421のカムピン427がカム溝429の第2急勾配領域459に位置付けられるように設定している(図16及び図17参照、なお、図17ではカムピン427自体及びその移動軌跡を二点鎖線で示す)。
先ず、閉成位置(C)にあるドアDを開成方向へ回転させる操作力を付与した場合、ドアDに固定した第1蝶番要素401が、ドア枠Wに固定した第2蝶番要素403に対して回転し、この回転動作に伴って、第1軸筒407と一体回転するシャフト421が第2軸筒415に対して回転する。ここで、シャフト421は、第1軸筒407内に回転不能に設けた軸受437に上端部側部分を回転不能に保持されているため、第1軸筒407と一体に第2軸筒415に対して回転する。第1軸筒407と共にシャフト421が第2軸筒415に対して回転すると、シャフト421の下端部側領域に設けたカムピン427がカム溝429のうち第1急勾配領域457及び第1傾斜領域453を順に辿りながら傾斜切替領域451に向かって移動する。シャフト421自体は第2軸筒415内においてリング状ブッシュ447により上昇移動(第1軸筒407側への移動)が規制されているため、シャフト421のカムピン427が傾斜切替領域451に向かって第1傾斜領域453を移動することにより、筒状カム部材423が圧縮バネ425のバネ力に抗して下降する。したがって、圧縮バネ425は、傾斜切替領域451に向かって第1傾斜領域453を移動するカムピン427が傾斜切替領域451に近付くにつれて圧縮量が大きくなる。そして、図18に示すように、カムピン427が第1傾斜領域453から傾斜切替領域451に到達した時点で圧縮バネ425の圧縮量は最大となる。次いで、カムピン427が傾斜切替領域451を通過した(越えた)時点で、カムピン427が第2傾斜領域455を辿りながら傾斜切替領域451から離反する方向に移動する。この際、圧縮バネ425の弾性復帰力(復元力)により筒状カム部材423は押し上げられるため、ユーザがドアDを開成方向へ回転させる操作力を停止したり、あるいは弱めてもカムピン427は第2傾斜領域455をスムーズ且つ自動的に移動する。そして、カムピン427が、圧縮バネ425の復元力及びドアDの自重により第2傾斜領域455を第2急勾配領域459に向かって移動し、第2急勾配領域459に到達すると、ドアDは自動的に開成位置(O)となる(図19及び図20参照)。なお、図19は、カムピン427が第2急勾配領域459に到達した時点を図18に対応して示す図であり、図20は、同時点を反対側(図19の紙面奥方側)から見た図である。
一方、開成位置(O)にあるドアDを閉成方向へ回転させる操作力を付与した場合、第1蝶番要素401が第2蝶番要素403に対して回転し、この回転に伴ってシャフト421が第2軸筒415に対して回転する。この際、シャフト421のカムピン427が第2急勾配部459及び第2傾斜領域455を順に辿りながら傾斜切替領域451に向かって移動する。第2軸筒415内において上昇移動(第1軸筒407側への移動)が規制されているシャフト421のカムピン427が傾斜切替領域451に向かって第2傾斜領域455を移動することにより、筒状カム部材423が圧縮バネ425のバネ力に抗して下降する。そして、カムピン427が第2傾斜領域455から傾斜切替領域451に到達した時点で圧縮バネ425の圧縮量は最大となり(図18参照)、カムピン427が傾斜切替領域451を通過した(越えた)時点で、カムピン427が第1傾斜領域453を辿りながら傾斜切替領域451から離反する方向に移動する。この際、圧縮バネ425の弾性復帰力(復元力)により筒状カム部材423は押し上げられるため、ユーザがドアDを閉成方向へ回転させる操作力を停止したり、あるいは弱めてもカムピン427は第1傾斜領域453をスムーズ且つ自動的に移動する。そして、カムピン427が、圧縮バネ425の復元力及びドアDの自重により第1傾斜領域453を第1急勾配領域457に向かって移動し、第1急勾配領域457に到達すると、ドアDは自動的に閉成位置(C)となる(図16参照)。
なお、本実施形態の蝶番400は、ドアDを略180度回転できるように、カム溝429の形状を設定している。具体的には、以下の条件、すなわち、図17に示すように、閉成位置(C)にあるドアDが開成方向に15度回転するとカムピン427が第1急勾配領域457から第1傾斜領域453に到達するという条件、閉成位置(C)にあるドアDが開成方向に120度回転するとカムピン427が傾斜切替領域451に到達するという条件、閉成位置(C)にあるドアDが開成方向に180度回転すると第2急勾配領域459に到達するという条件、また、開成位置(O)にあるドアDが閉成方向に15度回転するとカムピン427が第2急勾配領域459から第2傾斜領域455に到達するという条件、開成位置(O)にあるドアDが閉成方向に75度回転させるとカムピン427が傾斜切替領域451に到達するという条件、開成位置(O)にあるドアDが閉成方向に180度回転すると第1急勾配領域457に到達するという条件、これらの条件を満たすようにカム溝429の形状を設定している。さらに、本実施形態では、自動閉成動作及び自動開成動作を行う際に適宜のダンパ機能を奏するように各傾斜領域(第1傾斜領域453、第2傾斜領域455)の傾斜角度を適宜の値に設定している。
以上に述べた各部品や機構(ラッチ機構100、ドアキャッチャ200、ドアダンパ300、蝶番400)をドアDに付帯させた本実施形態のドアシステムXは、ユーザがドアDを閉成位置(C)と開成位置(O)との間の中途位置の状態で、ドアDを閉成方向又は開成方向の何れかへ移動させる操作力を停止したり、あるいは操作力を弱めた場合、ドアDには、ドア枠Wの開口部Sに対するドアDの開き角度に応じて、蝶番400の機能により閉成方向又は開成方向の何れか一方へ移動する力が付与される。具体的には、図3に示すように、ドアDを閉成方向又は開成方向の何れかへ移動させる操作力を停止したり、あるいは操作力を弱めた時点で、開口部Sに対するドアDの開き角度θが120度未満であれば、すなわち、蝶番400のカムピン427が第1傾斜領域453をトレース中であれば、圧縮バネ425の復元力によりカムピン427は第1傾斜領域453から第1急勾配領域457に向かって移動して、ドアDは自動的に閉成位置(C)となる。この際、ドアダンパ300によってドアDの閉成動作を補助することができる。本実施形態では、ドアDの開口部Sに対する開き角度θが所定角度(例えば10度)になった時点で、ドアダンパ300が作用し始める。具体的には、ドアDの開口部Sに対する開き角度θが所定角度(例えば10度)になった時点で、引込アーム307のガイド溝305が受座303の軸状突起部309に当たり(図3の想像線で示す)、そのままドアDの閉成方向への移動に伴って軸状突起部309をガイド溝305の奥方(引込アーム307の回転中心側)に誘導させて引込アーム307全体が本体部305に内蔵した油圧式ダンパ機構による所定の抵抗力を受けながら本体部305に対して回転する。これにより、本実施形態に係るドアシステムXは、ドアダンパ300のダンパ機能によってドアDを閉成位置(C)に近付いた所定の時点からゆっくり回転させて衝撃音の発生を防止・抑制することができるとともに、ドアDを閉成位置(C)にまで確実に引き込むことができる。そして、ドアDが閉成位置(C)に到達すると、上述したラッチ機構100のラッチ爪101とラッチ孔103とが係合することによって、ドアDを閉成位置(C)に自動的に保持することができる(図2参照)。
一方、ドアDを閉成方向又は開成方向の何れかへ移動させる操作力を停止したり、あるいは操作力を弱めた時点で、開口部Sに対するドアDの開き角度θが120度を越えた値であれば、すなわち、蝶番400のカムピン427が第2傾斜領域455をトレース中であれば、圧縮バネ425の復元力によりカムピン427は第2傾斜領域455から第2急勾配領域459に向かって移動して、ドアDは自動的に開成位置(O)となる。そして、ドアDが開成位置(O)に到達すると、上述したドアキャッチャ200のピン本体229とドアキャッチャ本体201とが係合することによって、ドアDを閉成位置(C)に自動的に保持することができる(図3参照)。
このように、本実施形態に係るドアシステムXは、閉成位置(C)でも開成位置(O)でもない中途位置にあるドアDを蝶番400の作用によって閉成方向又は開成方向の何れか一方へ付勢することができ、しかも、閉成位置(C)に到達したドアDはラッチ機構100によってその位置を保持することができるとともに、閉成位置(C)に到達したドアDはドアキャッチャ200によってその位置を保持することができる。したがって、本実施形態に係るドアシステムXによれば、ドアDが中途位置に放置された状態で、ドアDで仕切られるべき2つの空間に風によって気圧差が生じた場合に生じ得る不具合、つまり、ドアDが不意に閉成方向又は開成方向に回転して大きな衝撃音が発生したり、ドアD付近の人に危害が及ぶという不具合を防止・抑制することができる。特に、本実施形態に係るドアシステムXは、ドアダンパ300を備えているため、自動閉成動作を適切且つスムーズに行うものになる。
また、本実施形態のドアシステムXに適用した蝶番400は、カム溝429として、傾斜切替領域451を頂点とした略逆V字形状(山折り型)のものを適用し、カムピン427がカム溝429の第1傾斜領域453を傾斜切替領域451に向かって移動する場合、及びカムピン427がカム溝429の第2傾斜領域455を傾斜切替領域451に向かって移動する場合に、第2軸筒415内において第1軸筒407から離反する方向に移動する筒状カム部材423によって圧縮バネ425を圧縮方向に押圧するように構成している。したがって、第1傾斜領域453を傾斜切替領域451に向かって通過中のカムピン427が傾斜切替領域451を越える前の時点や、カムピン427が第2傾斜領域455から傾斜切替領域451を越えて第1傾斜領域453を通過している時点で、ユーザによる操作力が停止または低下した場合には、圧縮バネ425の復元力を利用して自動閉成動作を実現することができる。同様の原理で、第2傾斜領域455を傾斜切替領域451に向かって通過中のカムピン427が傾斜切替領域451を越える前の時点や、カムピン427が第1傾斜領域453から傾斜切替領域451を越えて第2傾斜領域455を通過している時点で、ユーザによる操作力が停止または低下した場合には、圧縮バネ425の復元力を利用して自動閉成動作を実現することができる。
また、本実施形態に係る蝶番400は、各傾斜領域(第1傾斜領域453、第2傾斜領域455)の傾斜角度や、傾斜領域(第1傾斜領域453、第2傾斜領域455)をトレースする際に生じるカム溝429とカムピン427との摩擦力を適宜の値となるように調整することにより、自動開成動作及び自動閉成動作を行う際に良好なダンパ機能を奏し、蝶番400の適宜箇所にカセット式ダンパを取り付ける態様と比較して、構造の複雑化及び高コスト化を回避することができ、実用性に優れる。
特に、本実施形態では、筒状カム部材423に同一形状のカム溝429を複数(図示例では2つ)形成し、各カム溝429にカムピン427をガイドさせるようにしているため、各カムピン427に作用する負荷を分散することができ、開成動作中または閉成動作中に過大な負荷が作用しているカムピン427がカム溝429に不用意に噛み込んでしまう事態を防止・抑制することができる。さらに、複数のカム溝429を筒状カム部材423の周方向に位相を異ならせた位置に形成しているため、同一位相に複数のカム溝429を形成した場合と比較して、筒状カム部材423がカム溝429から受ける荷重を効果的に分散することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した本実施形態では、開口部Sに対するドアDの開き角度が略180度となる位置を開成位置(O)に設定しているが、建物の構造やユーザの要望等に応じて、開口部Sに対するドアDの開き角度が例えば90度(ドアDに設けたノブNが壁に当たることを回避するために90度よりも低い値、例えば85度等)となる位置を開成位置(O)に設定することも可能である。
この場合、図21に示すように、ドアキャッチャ本体201の取付箇所を開成位置(O)に対応する適宜箇所に変更すれば、上述した実施形態で述べた各機構や部品をそのまま用いることも可能である。ここで、上述した蝶番400による自動閉成動作と自動開成動作との切替点(思案点)は、開口部Sに対するドアDの開き角度が120度となる点であるため、ドアDを手動で開成位置(O)に到達する位置まで押した場合にのみドアキャッチャ200によってドアDを開成位置(O)に保持することができる一方、閉成位置(C)と開成位置(O)との間の中途位置でユーザによる操作力が停止または低下した場合、ドアDは蝶番400及びドアダンパ300の作用によって閉成位置(C)に向かって付勢され、閉成位置(C)に到達したドアDをラッチ機構100によりその位置に保持することができる。したがって、ドアDが中途位置でそのまま放置され続けるという事態は回避することができ、ドアDが不意に閉まったり、開くという不具合を防止することができる。
また、各傾斜領域の距離を相互に異ならせることによって蝶番の思案点を適宜変更することができることを利用して、開口部に対するドアの任意の開き角度(図3におけるθに相当する角度)で自動閉成動作と自動開成動作とが切り替わるように構成することも可能である。
上述の実施形態では、壁に設けたドア枠が開口縁部である態様を例示したが、壁にドア枠を設けず、壁のうち開口部との境界部分が開口部の縁部である態様であってもよい。
さらに、上述した実施形態では、第1蝶番要素をドアに取り付けるとともに、第2蝶番要素を開口縁部(ドア枠)に取り付けた態様を例示したが、第1蝶番要素を開口縁部に取り付けるとともに、第2蝶番要素を開口縁部に取り付けて使用することもできる。さらに、第1蝶番要素を第2蝶番要素よりも下側に配置した下側蝶番要素として機能させるとともに、第2蝶番要素を第1蝶番要素よりも上側に配置した上側蝶番要素として機能させることも可能である。
また、カム溝は、少なくとも傾斜切替領域、第1傾斜領域及び第2傾斜領域を有するものであればよく、各傾斜領域の角度や距離は適宜変更してもよい。さらに、カム溝の数や形成箇所は、カムピンの数や形成箇所に対応させて変更することができる。
ドアによって開閉可能な開口部は室内空間と室外空間とに連通するものに限らず、共通の室内における居住空間同士に連通する開口部や、居住空間と非居住空間(押入やトイレ等)とに連通する開口部であっても構わない。
また、ラッチ機構やドアキャッチャとして、上述した構成以外の既知のものを適用してもよく、手動操作によってドアを閉成位置や開成位置に保持可能なものであっても構わない。さらに、ドアダンパも、上述した構成以外の既知のものを適用することが可能である。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。