JP2012201825A - ポリスチレン系樹脂粒子、その製造方法及びポリスチレン系発泡樹脂粒子 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂粒子、その製造方法及びポリスチレン系発泡樹脂粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】特徴的な気泡形態の発泡粒子を与えるポリスチレン系樹脂粒子を提供することを課題とする。
【解決手段】(メタ)アクリル酸の炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールエステルに由来する架橋成分で架橋されたポリスチレン系樹脂粒子であり、前記架橋成分が、前記ポリスチレン系樹脂粒子を形成するに使用されるスチレン系単量体100重量部に対し、0.5〜10重量部使用され、かつ形成された前記ポリスチレン系樹脂粒子の中心部より表層部に多く存在することを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子により上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂粒子、その製造方法及びポリスチレン系発泡樹脂粒子に関する。本発明によれば、特徴的な気泡形態の発泡樹脂粒子を与えるポリスチレン系樹脂粒子及びその製造方法、特徴的な気泡形態を有するポリスチレン系発泡樹脂粒子に関する。
汎用されている発泡樹脂粒子として発泡ポリスチレン粒子が知られている。発泡ポリスチレン系樹脂は、クッションの詰め物(国際公開第WO2003/32783号)や、発泡成形体の原料として使用されている。
発泡樹脂粒子は、複数の気泡から構成されており、気泡は若干の大小の変動はあるものの、実質的に同じ大きさである。
国際公開第WO2003/32783号
今日、発泡樹脂粒子の用途の多様化に伴い、用途に応じて、気泡の分散形態が異なる発泡樹脂粒子を提供することが望まれている。
本発明の発明者は、鋭意検討の結果、例えば、図1の断面写真に示す如き、特徴的な気泡形態の発泡樹脂粒子、及びその発泡樹脂粒子を与えるポリスチレン系樹脂粒子を意外にも見出すことで本発明に至った。
かくして本発明によれば、(メタ)アクリル酸の炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールエステルに由来する架橋成分で架橋されたポリスチレン系樹脂粒子であり、
前記架橋成分が、前記ポリスチレン系樹脂粒子を形成するに使用されるスチレン系単量体100重量部に対し、0.5〜10重量部使用され、かつ形成された前記ポリスチレン系樹脂粒子の中心部より表層部に多く存在することを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子が提供される。
また、本発明によれば、上記ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であって、
水性媒体中で、種粒子に、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸の炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールエステルを含む単量体混合物を吸収させる工程と、
吸収させた後又は吸収させつつ前記単量体混合物の重合を行うことでポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを含み、
前記ポリスチレン系樹脂粒子は、その中心部より表層部に前記架橋成分が多く存在するように、その製造時にスチレン系単量体自体の重合転化率が10〜50%の間に、前記エステルの添加を行って形成されることを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、(メタ)アクリル酸の炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールエステルに由来する架橋成分で架橋されたポリスチレン系発泡樹脂粒子であり、
前記架橋成分が、前記ポリスチレン系発泡樹脂粒子を形成するに使用されるスチレン系単量体100重量部に対し、0.5〜10重量部使用され、かつ形成された前記ポリスチレン系発泡樹脂粒子の中心部より表層部に多く存在し、
前記ポリスチレン系発泡樹脂粒子が、1気室からなる球冠状の中空部分と、複数の気泡からなる球冠状の発泡部分とを備えることを特徴とするポリスチレン系発泡樹脂粒子が提供される。
本発明によれば、特徴的な気泡形態の発泡樹脂粒子を与えるポリスチレン系樹脂粒子を提供できる。
実施例1のポリスチレン系発泡樹脂粒子の断面写真である。 実施例1のポリスチレン系樹脂粒子のマッピングイメージである。 実施例1のポリスチレン系樹脂粒子の中心からの距離と、吸光度比との関係を示すグラフである。
(1)ポリスチレン系樹脂粒子
本発明のポリスチレン系樹脂粒子は、(メタ)アクリル酸の炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールエステルに由来する架橋成分が、中心部より表層部に多く存在(偏在)している粒子である。このポリスチレン系樹脂粒子を発泡させると、図1の断面写真に示す如き特徴的な気泡形態の発泡樹脂粒子を得ることができる。
((メタ)アクリル酸の炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールエステルに由来する架橋成分)
炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールは、2以上の(メタ)アクリル酸とエステル結合できさえすれば特に限定されない。多価アルコールとしては、例えば、エタンジオール(エチレングリコール)、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の2価アルコール、グリセロール等の3価以上のアルコールが挙げられる。
上記多価アルコールの内、エステル化後のポリスチレンへの吸収性の観点から、複数の水酸基間の脂肪族基が、炭素数2〜10の炭化水素基である脂肪族アルコールが好ましい。このような脂肪族アルコールとしては、例えば、エタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。また、ポリエーテルグリコール(例えば、ポリテトラメチレングリコール)も好適である。
更に、好ましいエステルとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
上記架橋成分の含有量は、スチレン系単量体100重量部に対して、0.5〜10重量部である。0.5重量部未満では気泡形態を変化させることができないことがあり、10重量部より多い場合では発泡性が低下することがある。好ましい含有量は1〜8重量部であり、より好ましい含有量は2〜5重量部である。
なお、ポリスチレン系樹脂粒子を構成する各成分の含有量は、ポリスチレン系樹脂粒子の製造に使用される各成分に対応する各単量体の使用量とほぼ一致している。
(スチレン系単量体)
ポリスチレン系樹脂粒子は、上記架橋成分及びスチレン系単量体に由来する成分を含む樹脂から構成される。
スチレン系単量体としては、特に限定されず、公知のスチレン又はスチレン誘導体をいずれも使用できる。スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらスチレン系単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
スチレン系単量体に由来する成分は、スチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体に由来する成分を含んでいてもよい。ビニル系単量体としては、例えば、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら他の単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
他の単量体を使用する場合、他の単量体に由来する成分の含有量は、スチレン系単量体が、他の単量体との合計に対して、主成分となる量(例えば、50重量%以上)であることが好ましい。
(吸光度比)
ポリスチレン系樹脂粒子は、中心部の吸光度比Yより大きい表層部の吸光度比Xを有することが好ましい。この球光度比XとYとの関係は、表層部に中心部より多く架橋成分を含むことを表している。
吸光度比X及びYは、赤外分光分析による赤外吸収スペクトル中、1600cm-1での吸光度に対する1730cm-1での吸光度の比D1730/D1600を意味している。
上記関係を有するポリスチレン系樹脂粒子を発泡させることで、1気室からなる球冠状の中空部分と、複数の気泡からなる球冠状の発泡部分とを備える発泡ポリスチレン系樹脂粒子を提供できる。なお、表層部は、粒子表面から深さ数μm(例えば、6μm)までの領域を含む。一方、中心部は、粒子の中心を含む断面において、中心から半径30%以内の領域を意味する。
吸光度比Xは、吸光度比Yより、0.1以上大きいことが好ましく、0.3以上大きいことがより好ましく、0.5以上大きいことが更に好ましい。上限(X−Y)は、2.4以下であることが好ましい。
また、吸光度比Xは、0.2〜2.5の範囲であることが好ましい。吸光度比Xが0.2未満の場合は気泡形態を変化させることができないことがある。一方、2.5より大きい場合発泡性の低下が発生することがある。吸光度比Xは、0.3〜2.2の範囲であることがより好ましく、0.5〜2.0の範囲であることが更に好ましい。
更に、吸光度比Yは、0〜0.2の範囲であることが好ましい。吸光度比Yが0.2より大きい場合、発泡粒子形状を変化させられないことがある。吸光度比Yは、0〜0.1の範囲であることがより好ましい。
ここで、本発明における赤外分光分析とは、全反射吸収(Attenuated Total Reflectance)を利用する一回反射型ATR法により赤外吸収スペクトルを測定する分析方法である。この分析方法は、高い屈折率を持つATRプリズムを試料に密着させ、ATRプリズムを通して赤外線を試料に照射し、ATRプリズムからの出射光を分光分析する方法である。
ATR法赤外分光分析は、試料とATRプリズムとを密着させるだけでスペクトルを測定できるという簡便さ、深さ数μmまでの表面分析が可能である等の理由で高分子材料等の有機物をはじめ、種々の物質の表面分析に広く利用されている。
なお、赤外吸収スペクトルから得られる1730cm-1での吸光度D1730は、上記架橋成分に含まれるエステル基のC=O間の伸縮振動に由来する1730cm-1付近に現われるピークの高さをいう。また、赤外吸収スペクトルから得られる1600cm-1での吸光度D1600は、ポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来する1600cm-1付近に現われるピークの高さをいう。
吸光度比から上記架橋成分とスチレン系単量体由来の成分との組成割合を求めることが可能である。例えば、吸光度比が0.35の場合には、上記架橋成分が約1.2〜1.7重量%、スチレン系単量体由来の成分が約98.3〜98.8重量%、吸光度比が2.00の場合には上記架橋成分が約8.0〜12.0重量%であると算出できる。
(他の成分)
ポリスチレン系樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、結合防止剤、気泡調整剤、充填剤、滑剤、着色剤等の添加剤を添加してもよい。
(ポリスチレン系樹脂粒子の形状)
ポリスチレン系樹脂粒子の形状は、特に限定されないが、例えば、球状、円柱状、立方体状、不定形状等が挙げられる。また、粒子径は、0.3〜1.5mmが好ましく、0.6〜1.2mmがより好ましい。
(2)ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法
ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は、中心部より表層部に架橋成分を多く存在させることができさえすれば、特に限定されない。例えば、水性懸濁液中で、種粒子(例えば、ポリスチレン系樹脂粒子)に、単量体混合物を吸収させる工程と、吸収させた後又は吸収させつつ単量体混合物の重合を行う工程とを含む、いわゆるシード重合法により製造することが簡便である。単量体混合物とは、上記(メタ)アクリル酸の炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールエステル、スチレン系単量体及び任意に他の単量体からなる混合物である。
なお、種粒子にポリスチレン系樹脂粒子を使用する場合、スチレン系単量体に由来する成分の含有量には、種粒子の量も含まれる。
(種粒子)
種粒子製造用のスチレン系単量体としては、特に限定されず、公知のスチレン又はスチレン誘導体をいずれも使用できる。スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらスチレン系単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
スチレン系単量体と共重合可能なビニル系単量体を併用してもよい。ビニル系単量体としては、例えば、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリル、メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら他の単量体は、単独で用いられても、併用されてもよい。
他の単量体を使用する場合、他の単量体の使用量は、スチレン系単量体が、他の単量体との合計に対して、主成分となる量(例えば、50重量%以上)であることが好ましい。
また、種粒子は一部又は全部にポリスチレン系樹脂回収品を用いることができる。
種粒子の平均粒子径は、作製するポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径等に応じて適宜調整できる。例えば、種粒子の平均粒子径は、ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径の40〜80%とすることができる。具体的には、平均粒子径が1.0mmのポリスチレン系樹脂粒子を作製する場合には、平均粒子径が0.4〜0.8mm程度の種粒子を用いることが好ましい。
種粒子の重量平均分子量は、特に限定されないが、15万〜70万が好ましく、更に好ましくは20万〜50万である。
種粒子は、特に限定されず、公知の方法により製造できる。例えば、懸濁重合法や、押出機で原料樹脂を溶融混練後、ストランド状に押し出し、所望の粒子径でカットする方法が挙げられる。
種粒子は、懸濁重合法やカットする方法で得られた粒子に、水性媒体中で、スチレン系単量体を含浸・重合させることにより得られる粒子であってもよい。水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。この方法で用いられるスチレン系単量体の量は、粒子100重量部に対して、7.0〜100.0重量部の範囲とできる。7.0重量部未満の場合は成形時の耐熱性が低下することがあり、100.0重量部を超えると発泡性が低下することがある。
スチレン系単量体としては、スチレン、又はスチレン誘導体が挙げられる。スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i−プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらの中でもスチレンが好ましい。
スチレン系単量体の重合は、例えば、60〜150℃で、2〜20時間加熱することにより行うことができる。
スチレン系単量体は、通常重合開始剤の存在下で重合する。重合開始剤は、通常スチレン系単量体と同時に懸濁重合法やカットする方法で得られた粒子に含浸させる。重合開始剤としては、従来からスチレン系単量体の重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられ、得られるポリスチレン系樹脂のZ平均分子量Mzや重量平均分子量Mwを調整して残存単量体を低減させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にある異なった二種以上の重合開始剤を併用することが好ましい。なお、重合開始剤は単独で用いても二種以上併用してもよい。重合開始剤の使用量は、スチレン系単量体100重量部に対して、例えば0.01〜2.00重量部の範囲である。
更に、スチレン系単量体の小滴及び種粒子を水性媒体中に分散させるために、懸濁安定剤を用いてもよい。懸濁安定剤としては、従来からスチレン系単量体の懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム等の難溶性無機化合物等が挙げられる。懸濁安定剤の使用量は、種粒子100重量部に対して、例えば0.1〜5.0重量部の範囲である。
懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましい。このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩等のスルフォン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。界面活性剤の使用量は、懸濁安定剤100重量部に対して、例えば0.2〜20.0重量部の範囲である。
(単量体混合物の吸収・重合工程)
水性媒体中で、種粒子に単量体混合物を吸収させる。また、単量体混合物の重合は、単量体混合物を吸収させた後に行ってもよく、吸収させつつ行ってもよい。重合によりポリスチレン系樹脂粒子が得られる。
ここで、エステルは、スチレン系単量体自体の重合転化率が10〜50%の間に吸収されることが好ましい。この期間にエステルを吸収させることで、以下で説明する、特異な形状のポリスチレン系発泡樹脂粒子を容易に得ることができる。エステルは、スチレン系単量体自体の重合転化率が15〜45%の間に吸収されることがより好ましく、20〜40%の間に吸収されることが更に好ましい。
ここで、重合転化率とは、スチレン系単量体の全量を100として、測定時点で既に重合したスチレン系単量体の割合を意味する。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、低級アルコール)との混合媒体が挙げられる。また、重合開始剤、懸濁安定剤及び界面活性剤を、上記項目(1)と同様、使用してもよい。また、単量体混合物の重合も、上記項目(1)と同様の条件で行うことができる。
吸収は、重合させつつ行わない場合、5〜80℃で、1〜30時間かけて行うことができる。
重合は、使用する単量体種、重合開始剤種、重合雰囲気種等により異なるが、例えば、60〜150℃の加熱を、1〜10時間維持することにより行うことができる。
(3)ポリスチレン系発泡樹脂粒子
(ポリスチレン系発泡樹脂粒子の構成)
ポリスチレン系発泡樹脂粒子(以下、発泡粒子)は、(メタ)アクリル酸の炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールエステルに由来する架橋成分及びスチレン系単量体に由来する成分を含んでいる。これら成分は、上記ポリスチレン系樹脂粒子の欄で説明した成分と同一である。
次に、発泡粒子は、架橋成分を、スチレン系単量体100重量部に対して、0.5〜10重量部含んでいる。含有範囲の理由、好ましい含有範囲及びより好ましい含有範囲は、上記ポリスチレン系樹脂粒子の欄で説明したものと同一である。
また、発泡粒子は、中心部より表層部に架橋成分が多く存在する。この架橋成分の存在具合が、以下で説明する特異な発泡粒子の形状に関連していると発明者等は考えている。
更に、発泡粒子は、1気室からなる球冠状の中空部分と、複数の気泡からなる球冠状の発泡部分とを備えている。ここで、球冠とは、球を一平面で切ったときの形状を意味する。球の一平面での切断面(以下、底面と称する)は、厳密な平坦面でなくてもよく、底面と球の外周が交わる部位周辺で中空部分側及び/又は発泡部分側に湾曲していてもよい。この形状は、例えば、図1に代表される断面を有している。図1では、上部が1気室からなる球冠状の中空部分であり、下部が複数の気泡からなる球冠状の発泡部分である。このような形状の発泡粒子は、従来報告されていないと発明者等は考えている。
中空部分は、特に限定されないが、球冠の底面と略直交し、かつ発泡粒子の中心部を略通る平面で切断した、図1に示すような断面において、10〜80%の割合を占めることが好ましい。中空部分は、20〜70%を占めることがより好ましい。
発泡粒子の形状は、球状又は略球状であることが好ましい。また、平均粒子径は、0.8〜4.0mmであることが好ましい。更に、発泡粒子の嵩倍数は、5〜40倍であることが好ましい。
(ポリスチレン系発泡樹脂粒子の製造方法)
ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させることで、発泡性粒子を得、発泡性粒子を発泡させることで嵩倍数5〜40の発泡粒子を製造できる。
発泡剤の含浸は、重合させた後に行ってもよく、重合させつつ行ってもよい。
含浸は、それ自体公知の方法により行うことができる。例えば、重合中での含浸は、重合反応を密閉容器中で行い、容器中に発泡剤を圧入することにより行うことができる。重合終了後の含浸は、密閉容器中で、発泡剤を圧入することにより行われる。
発泡剤は、従来からポリスチレン系樹脂の発泡に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、プロパン、イソブタン、n−ブタン、イソペンタン、ネオペンタン、n−ペンタン等の炭素数5以下の脂肪族炭化水素等の発泡剤(物理型発泡剤)が挙げられる。この内、イソブタン、n−ブタン等のブタン系発泡剤が好ましい。
発泡剤の発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における含有量は、少ないと、所望の密度の発泡成形体を得られないことがあると共に、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が小さくなるため、発泡成形体の外観性が低下することがある。また、多いと、発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなるため、生産性が低下することがある。これらの観点から、含有量は2.5〜7.0重量%の範囲が好ましく、2.7〜6.0重量%の範囲がより好ましい。
なお、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子中における発泡剤の含有量は、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を150℃の熱分解炉に入れ、この熱分解炉で発生した炭化水素量をクロマトグラフにて測定することで入手できる。
なお、発泡助剤を発泡剤と併用してもよい。
ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤及び任意に発泡助剤を含浸させる際の温度は、低いと、ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤及び発泡助剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがあり、又、高いと、ポリスチレン系樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。よって、60〜120℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。
発泡性粒子は、公知の方法で発泡させることで発泡粒子とすることができる。発泡用の加熱媒体は水蒸気が好適に使用できる。
(ポリスチレン系発泡樹脂粒子の用途)
本発明のポリスチレン系発泡樹脂粒子は、その特徴的な気泡形態から、クッションの充填物だけではなく、玩具において液体中に分散させることで視覚上(光学上)の効果を狙った粒子等に使用できる。
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。なお、以下において、特記しない限り、「部」及び「%」は重量基準である。
以下の実施例及び比較例における各種測定値は、次の測定方法により測定した。
<平均粒子径>
試料約50gをロータップ型篩振とう機(飯田製作所社製)を用いて、篩目開き3.35mm、2.80mm、2.36mm、2.00mm、1.70mm、1.40mm、1.18mm、1.00mm、0.85mm、0.71mm、0.60mm、0.50mm、0.425mm、0.355mm、0.300mm、0.250mm、0.212mm、0.180mmのJIS標準篩で5分間分級する。篩網上の試料重量を測定し、その結果から得られた累積重量分布曲線を元にして累積重量が50%となる粒子径(メディアン径)を平均粒子径として求める。
<吸光度比>
(1)粒子表層部の吸光度比X(D1730/D1600)は下記の要領で測定される。
即ち、無作為に選択した10個の各粒子の表面について、ATR法赤外分光分析により粒子表層分析を行って赤外吸収スペクトルを得る。この分析では、粒子表面から数μmまでの深さの範囲の赤外吸収スペクトルが得られる。
各赤外吸収スペクトルから吸光度比(D1730/D1600)をそれぞれ算出し、表面について算出した吸光度比の相加平均を吸光度比Xとする。
吸光度D1730及びD1600は、Nicolet社から商品名「フーリエ変換赤外分光分析計 MAGNA560」で販売されている測定装置を用いて測定する。
なお、赤外吸収スペクトルから得られる1600cm-1での吸光度D1600は、ポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来する1600cm-1付近に現れるピークの高さをいう。
また、赤外吸収スペクトルから得られる1730cm-1での吸光度D1730は、架橋成分に含まれるエステル基のC=O間の伸縮振動に由来する1730cm-1付近に現れるピークの高さをいう。
(2)粒子中心部の吸光度比Y(D1730/D1600)は下記の要領で測定される。
即ち、無作為に選択した10個の各粒子の中心を通って切断した粒子スライスサンプルについて、顕微IRイメージングによる断面マッピング測定により粒子スライスサンプル全体の赤外吸収スペクトルの吸光度比イメージを得る。
各赤外吸収スペクトルから中心部の吸光度D1730及びD1600をそれぞれ抽出し、吸光度比(D1730/D1600)を算出する。算出した吸光度比の相加平均を吸光度比Yとする。中心部は、粒子の中心を含む粒子スライスサンプルにおいて、中心から半径30%以内の領域を意味する。
吸光度D1730及びD1600は、Perkin Elmer社から商品名「高速IRイメージングシステム Spectrum Spotlight 300」で販売されている装置を用いて粒子断面のイメージング図を得、このイメージング図中の粒子の中心部にて観察された赤外吸収スペクトルから得られる。
<球冠状の中空部分が占める割合>
発泡粒の中心を通るように切断した断面を撮影し、その長さが最大となるように中空部分の外周上の2点を結んだ直線の長さをaとし、発泡粒の半径をrとし、aと円周の交点と中心を結んだ角度をθとする。球冠状の中空部分が占める割合をSとし、Sは以下の式により算出される。
S={π×r2×(θ/360)−a×r×cos(θ/2)/2}/(π×r2)×100
<嵩倍数>
発泡粒子の嵩倍数は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定する。具体的は、まず、発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させる。メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。Wg及びVcm3を下記式に代入することで、発泡粒子の嵩密度を算出する。
発泡粒子の嵩密度(g/cm3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
嵩倍数は嵩密度の逆数である。
<総合評価>
発泡倍数が5倍を超え、且つ中空占有率が10〜80%の範囲にあるものを○とし、どちらか一方でも満たさない場合は×として評価した。
実施例1
(種粒子の製造)
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000g、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム2.0gを供給し攪拌しながらスチレン40000g並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96.0g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0gを添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してポリスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
(重合工程)
前記ポリスチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mmのポリスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
次に、内容量5リットルの攪拌機付き重合容器内に、水2000g、前記ポリスチレン系樹脂粒子(b)500g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0g及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.3gを供給して攪拌しながら72℃に昇温した。
次に、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド4.5g及びt−ブチルパーオキシベンゾエート1.1gをスチレン210gに溶解させたものを前記5リットルの重合容器に供給してから、72℃で60分保持して反応液を得た(第1重合工程)。
60分経過後に反応液を110℃まで150分で昇温しつつ、かつスチレン1230gとネオペンチルグリコールジアクリレート60gの混合モノマーを150分で重合容器内にポンプで一定量づつ供給した(第2重合工程)。次いで、120℃に昇温して2時間経過後に冷却し、ポリスチレン系樹脂粒子(c)を得た。
得られた樹脂粒子のマッピングイメージを図2に、粒子中心からの距離と吸光度比との関係を図3に示す。
図2及び図3から、樹脂粒子は表層部に架橋成分がリッチに存在していることが分かる。図2では、表層部から中心部へ向かって吸光度比が低下していることが色分けされて示されている。
(発泡剤含浸)
続いて、別の内容量5リットルの攪拌機付き重合容器に、水2200g、ポリスチレン系樹脂粒子(c)1800g、懸濁安定剤としてピロリン酸マグネシウム6.0g及びドデシルベンゼンスルフォン酸カルシウム0.4gを供給して攪拌しながら70℃に昇温した。次に、発泡助剤としてシクロヘキサン9.0gを重合容器内に入れて密閉し100℃に昇温した。次に、揮発性発泡剤としてn−ブタン144gをポリスチレン系樹脂粒子(c)が入った重合容器内に圧入して3時間保持することで発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。保持後、30℃以下まで冷却した上で、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を重合容器内から取り出し、乾燥させた上で13℃の恒温室内に5日間放置した。
(発泡)
続いて、ジンクステアレート及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドからなる表面処理剤で、発泡性粒子の表面を被覆処理した。処理後、発泡粒子を発泡装置にて15倍の嵩密度に発泡させた後、20℃で24時間熟成することで、発泡粒子を得た。
得られた発泡粒子の断面顕微鏡写真を図1に示す。図1には、発泡粒子が、1気室からなる球冠状の中空部分と、複数の気泡からなる球冠状の発泡部分とを有することが示されている。
実施例2
第2重合工程に使用するスチレンモノマーを1130g、ネオペンチルグリコールジアクリレートを160gに変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子、予備発泡粒子を得た。発泡粒子は1気室からなる球冠状の中空部分と、複数の気泡からなる球冠状の発泡部分とを有していた。
実施例3
第2重合工程に使用するスチレンモノマーを1270g、ネオペンチルグリコールジアクリレートを20gに変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子、予備発泡粒子を得た。発泡粒子は1気室からなる球冠状の中空部分と、複数の気泡からなる球冠状の発泡部分とを有していた。
実施例4
ネオペンチルグリコールジアクリレートをエチレングリコールジアクリレート(EGDMA)に変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子、予備発泡粒子を得た。発泡粒子は1気室からなる球冠状の中空部分と、複数の気泡からなる球冠状の発泡部分とを有していた。
比較例1
第2重合工程に使用するスチレンモノマーを1285g、ネオペンチルグリコールジアクリレートを5gに変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子、予備発泡粒子を得た。得られた発泡粒子は内部に均一に気泡が形成され、中空状の発泡粒とならなかった。
比較例2
第2重合工程に使用するスチレンモノマーを990g、ネオペンチルグリコールジアクリレートを300gに変更したこと以外は実施例1と同様にして樹脂粒子を得た。この樹脂粒子を使用して予備発泡粒子を得ようとしたが、十分発泡できなかった。これは架橋が進行しすぎたためであると考えられる。
実施例及び比較例の結果を表1にまとめて示す。

Claims (8)

  1. (メタ)アクリル酸の炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールエステルに由来する架橋成分で架橋されたポリスチレン系樹脂粒子であり、
    前記架橋成分が、前記ポリスチレン系樹脂粒子を形成するに使用されるスチレン系単量体100重量部に対し、0.5〜10重量部使用され、かつ形成された前記ポリスチレン系樹脂粒子の中心部より表層部に多く存在することを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子。
  2. 前記ポリスチレン系樹脂粒子は、赤外分光分析すると、
    表層部の吸光度比Xが、中心部の吸光度比Yより大きい(吸光度比X及びYは、赤外吸収スペクトル中、1600cm-1での吸光度に対する1730cm-1での吸光度の比D1730/D1600を意味する)請求項1に記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  3. 前記ポリスチレン系樹脂粒子は、その中心部より表層部に前記架橋成分が多く存在するように、その製造時にスチレン系単量体自体の重合転化率が10〜50%の間に、前記エステルの添加を行って形成されている請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  4. 前記架橋成分が、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ネオペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール及びポリテトラメチレングリコールから選択される2価アルコールと、2つの(メタ)アクリル酸とのエステルに由来する成分である請求項1〜3のいずれか1つに記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  5. 前記架橋成分が、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート及びポリテトラメチレングリコールジアクリレートから選択される脂肪族多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルに由来する請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  6. 前記吸光度比Xが、0.2〜2.5の範囲であり、前記吸光度比Yが、0〜0.2の範囲である請求項2〜5のいずれか1つに記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載のポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であって、
    水性媒体中で、種粒子に、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸の炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールエステルを含む単量体混合物を吸収させる工程と、
    吸収させた後又は吸収させつつ前記単量体混合物の重合を行うことでポリスチレン系樹脂粒子を得る工程とを含み、
    前記ポリスチレン系樹脂粒子は、その中心部より表層部に前記架橋成分が多く存在するように、その製造時にスチレン系単量体自体の重合転化率が10〜50%の間に、前記エステルの添加を行って形成されることを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  8. (メタ)アクリル酸の炭素数2〜12の脂肪族多価アルコールエステルに由来する架橋成分で架橋されたポリスチレン系発泡樹脂粒子であり、
    前記架橋成分が、前記ポリスチレン系発泡樹脂粒子を形成するに使用されるスチレン系単量体100重量部に対し、0.5〜10重量部使用され、かつ形成された前記ポリスチレン系発泡樹脂粒子の中心部より表層部に多く存在し、
    前記ポリスチレン系発泡樹脂粒子が、1気室からなる球冠状の中空部分と、複数の気泡からなる球冠状の発泡部分とを備えることを特徴とするポリスチレン系発泡樹脂粒子。
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