JP2013155459A - カーテン - Google Patents

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良 松生
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Abstract

【課題】安定した難燃性と撥水性を兼ね備え、かつ、環境にも配慮したカーテンを提供する。
【解決手段】本発明の難燃および撥水性に優れたカーテンは、非ハロゲン系難燃剤を含有するポリエステル繊維を50重量%以上使用して構成された生地にワックス系撥水剤が付与されているとともに、該ワックス系撥水剤の固形分付着量が生地重量に対して0.2重量%以上1.2重量%以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、地球環境や安全性に配慮した製造方法並びに素材を使用しつつ、難燃性、撥水性がともに優れたポリエステル製カーテンに関するものである。
従来より、ホテル、病院、映画館等の公共施設で使用されるカーテンやカーペット等のインテリア製品については、消防法で規定された難燃性能を付与することが義務付けられている。また、こうした用途においては、難燃性が優れているだけでは満足されず、撥水性、防汚性、制菌性等の機能性も兼ね備えた製品が強く望まれ、例えば、ホテルの浴室で使用されるシャワーカーテンでは特に撥水性への要求が強い。
これまで難燃機能と撥水機能を兼ね備えた繊維製品は数多く実用化されているが、ほとんどの撥水剤は難燃性を著しく低下させる性質を持つため、難燃性を保たせるにはヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCD)に代表される強力なハロゲン系難燃剤を使用する必要があり、これに風合いを損ねることなく、強力で安定した撥水性を比較的低コストで付与できるフッ素系撥水剤を合わせて加工した難燃・撥水製品が市場を独占している。
しかし、近年、地球環境に対する意識が世界的に高まる中、機能性に対する要求に加えて、同時に地球環境や生物に対する安全性も満たすことを要求されるようになってきた。
前記ハロゲン系難燃剤は燃焼ガスに難分解性を示す有害物質が含まれることが知られており、近年、使用を規制する動きが出ている。ハロゲン系難燃剤に代わって、より安全性の高いリン系化合物による難燃性付与が主流になりつつあるが、リン系難燃剤にはハロゲン系難燃剤に比べて難燃性能が大きく劣る欠点を有する。従って、難燃性を阻害する性質を持つフッ素系撥水剤の付着量を必然的に少なく設定する必要があり、その結果、充分な撥水性を付与できなくなるという問題を引き起こしている。また、フッ素系撥水剤は難燃性を阻害させる問題だけではなく、毒性が強く、生物への影響が指摘されているパーフルオロオクタン酸(以下、PFOA)やパーフルオロオクタンスルホン酸(以下、PFOS)を含有するという問題を持つ。加えて、焼却処分する際の燃焼ガスの中にも有害なフッ素化合物を含むといった環境負荷を持つため、近年、フッ素系撥水剤を使用しない撥水製品が急速に望まれるようになってきている。
生地に難燃性を付与する手段としては、難燃性を有する繊維を用いる方法と、布帛を形成した後に難燃剤を後加工する方法に大別できる。しかし、後加工で難燃成分を付着させる方法では、難燃成分の付着ムラによって難燃性能にバラツキを生じさせる問題や、使用済みの加工液を処分する際に、有害なHBCDや難分解性を示すリン系化合物が少なからず環境中に排出されてしまう危険性を有している。
特許文献1にはリン系難燃糸を用いた生地に規定量のフッ素系撥水剤を加工することで難燃性と撥水性を両立させる技術が紹介されているが、フッ素系撥水剤による難燃性阻害のため、充分な難燃性が付与されているとはいえない。また、フッ素系撥水剤に含まれるPFOAやPFOSや、焼却処分時に発生する有害なフッ素化合物が環境中に排出される環境負荷を伴うものである。
特許文献2には、環境への配慮からPFOAやPFOS等の対策を講じたフッ素系撥水剤を使用する技術が紹介されているが、微量でもPFOAやPFOS等の有害物質を含有するため、抜本的な対策にはなっておらず、また、焼却時に発生する有害なフッ素化合物に対する対策は取られていない。
特許第2944835号公報 特開2007−247092号公報
本発明の課題はこうした現状に対し、環境負荷の小さいワックス系撥水剤を使用することで安定した難燃性と撥水性を同時に満たすカーテンを提供するものである。さらに、難燃剤を使用せずに非ハロゲン系の難燃ポリエステル糸を用いることで、有害かつ難分解性である難燃成分が排出される心配もなく、環境に配慮したカーテンを提供するものである。
本発明は前記課題を解決するために、以下の構成を有する。すなわち、本発明の難燃および撥水性に優れたカーテンは、非ハロゲン系難燃剤を含有するポリエステル繊維を50重量%以上使用して構成された生地にワックス系撥水剤が付着されているとともに、該ワックス系撥水剤の固形分が生地重量に対して0.2重量%以上1.2重量%以下の範囲で付着されていることを特徴とする。
本発明によって、製品のみならず製造工程においても地球環境や生物に配慮しつつ、難燃および撥水性が共に優れたカーテンを提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の難燃および撥水性に優れたカーテンに用いられるポリエステル難燃糸に含まれる難燃成分としては、燃焼時に有害ガスが発生するハロゲン系加工物を使用しないことが重要であり、非ハロゲン系難燃剤を使用する必要がある。非ハロゲン系難燃剤として、リン系、窒素系、金属塩系、シリコン系、無機系等、公知の難燃剤が挙げられ、製糸性との相性等を考慮して、適宜選択すれば良い。難燃性化合物のポリエステルへの混入形態としては特に限定はなく、ポリエステルポリマ中に単純に添加する方法や、ポリエステルと分子レベルで共重合させる方法で混入すれば良い。例えば、リン系難燃剤を使用する場合、その添加量はポリエステル成分の重量に対して、リン原子量換算で0.05〜5.0重量%添加するのが好ましく、0.1〜3.0重量%添加するのがより好ましい。リン原糸の添加量が0.05重量%未満では、安定した難燃性能が得られず、5.0%より多いと、繊維の機械的性能が損なわれる傾向にある。
ポリエステル繊維としては、芳香族成分を含むポリエステル繊維や脂肪族成分を含むポリエステルが挙げられる。芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートであり、これらにイソフタル酸やイソフタル酸スルホネートなどの第三成分を共重合して高収縮化したり、カチオン染料に可染化したものでも良い。脂肪酸ポリエステル繊維としては、ポリ乳酸繊維が挙げられる。また2種類の異なるポリマが芯成分と鞘成分を構成する芯鞘複合糸の形態でも良く、その場合、難燃成分はいずれか一方のポリマに含まれていても、両方のポリマに含まれていても良い。
また、本発明に使用されるポリエステル繊維には製糸工程やその後の加工工程での生産性を安定化させたり、機能性を付与することを目的として、艶消し剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色用顔料等の添加剤を含有させても良い。
繊維の形態としては、マルチフィラメントや紡績糸で使用されるのが一般的であるが、安定した難燃性を付与するためには生地の表面状態をできるだけ平滑かつ均質にする必要があるため、マルチフィラメントを使用するのが好ましい。また、生地表面の平滑性を大きく失わない程度に、適度な膨らみ感を与えて高級感を出すために仮撚加工糸を用いることも好ましい。
なお、マルチフィラメント、紡績糸のいずれにおいても繊維の太さ(繊度、番手)、構成する単糸本数、単糸断面形状についての制約はなく、所望とする風合いを達成するために、適宜決定すれば良い。
本発明の難燃および撥水性に優れたカーテンとしては、織物、レース編みも含めた編物が挙げられるが、安定した難燃性を発揮させるためには難燃糸の混率はできるだけ多い方が好ましく、最低でも50重量%含有している必要があり、80重量%以上含有していることが好ましい。
非難燃糸を併用する場合、難燃性を阻害しない程度に非難燃ポリエステル、ナイロン、レーヨン、アクリルなどの合成繊維を用いたり、綿、羊毛、麻、絹などの天然繊維を使用することができる。
本発明の難燃および撥水性に優れたカーテンには環境負荷の原因物質を含むフッ素系撥水剤を使用しないことが重要である。フッ素系以外の撥水剤としては、ワックス系撥水剤(パラフィン系撥水剤など)、シリコン系撥水剤、アルキルエチレン尿素系撥水剤等が挙げられる。いずれの撥水剤もフッ素系撥水剤と同様に難燃性を阻害する性質を持つが、非ハロゲン系難燃糸による難燃性を保持するためにはワックス系撥水剤を使用する必要がある。
従来より、ワックス系撥水剤は撥水性を付与するという目的よりも、むしろ生地の硬仕上げを目的に使用されているため、適度な張りや形態保持性が要求される椅子張りやカーシート等の用途に主として使用されてきた。従って、柔軟でしなやかなドレープ感が要求されるカーテン用途にはフッ素系撥水剤が活用されている背景もあって、ワックス系撥水剤が使用されることはなかった。本発明ではワックス系撥水剤中の付着量に適正範囲を設けることによって、撥水性、難燃性、風合いの全てを満足することが可能になった。すなわち、安定した難燃性を保持しつつも生地の柔軟性を損なわないためには、ワックス系撥水剤中の固形分の付着量は通常より大幅に低く設定する必要があり、1.2重量%以下に設定する必要がある。1.2重量%以下にすることで爪で引っ掻いたりした時にできるチョークマーク発生の問題もない。逆に、撥水剤中の固形分付着量が少ない場合は、充分な撥水性が得られなくなったり、撥水剤の付着ムラに伴い生地の場所によって撥水性能ムラが生じる等の問題が出てくるため、ワックス系撥水剤中の固形成分の付着量は0.2重量%以上に設定する必要がある。
ワックス系撥水剤の種類は、脂肪族炭化水素系撥水剤とジルコニウム系撥水剤に大別できる。脂肪族炭化水素系ワックスとしては、流動パラフィン系、セレシン系、ワセリン系、石油系、合成パラフィン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系等が挙げられ、洗濯耐久性の面から合成パラフィン系が好ましい。ジルコニウム系撥水剤は、前記ワックス系化合物をジルコニウム系化合物、具体的には、酢酸ジルコニウム、塩酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、水酸化カリウムなどによる塩基性ジルコニウム等を反応させたものの少なくとも一種を言う。
ワックス系撥水剤の生地への処理方法は、高温加工液に浸漬した状態で処理する浴中吸尽処理法や、パッド・ドライ・キュア法、パッド・ドライ法、パッド・ドライ・スチーム法、グラビアコーティング法、スプレー法等の方法で処理液を繊維に処理できるが、パッド・ドライ・キュア法が好ましく用いられる。パッド・ドライ・キュア法の場合、撥水処理液を生地に付着させた後、60℃〜120℃で乾燥した後、120℃〜180℃にて10秒〜60秒熱処理すると、撥水の均一性および耐久性の面で好ましい。
被膜効果による撥水性の洗濯耐久性向上を目的として、ウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂をワックス系撥水剤と同時に処理しても良いが、ウレタン系樹脂やポリエステル系樹脂の付着量が多くなると難燃性が損われてしまうため、樹脂付着量は生地重量に対して3.0重量%以下にすることが好ましく、また、安定した耐久性を保たせるには0.5重量%以上付着させることが好ましい。また、同じく撥水性の洗濯耐久性向上を狙って、バインダー剤を介してワックス系撥水剤を生地に付着させても良い。
本発明の難燃および撥水性に優れたカーテンは、一般家庭から病因や宿泊施設で使用される室内カーテンやロールスクリーン、浴室で使用されるシャワーカーテンに使用され、特にシャワーカーテンに好適である。
以下、本発明を実施例で詳細に説明する。なお、実施例中の各物性値の測定方法は以下のとおりである。
A.難燃性
JIS L 1091 A−1法(ミクロバーナ法)の残炎時間(5箇所)とJIS L 1091 D法(コイル法)の接炎回数(3箇所)で評価した。残炎時間は3.0秒未満を合格とし、接炎回数は3回以上を合格とする。
B.撥水性
JIS L1092「繊維製品の防水性試験方法」に規定される方法で、スプレー法により評価した。3級以上を合格とする。
C.撥水耐久性
JIS L 1042に準じて水洗濯を5回繰り返して実施し、その後、撥水性を評価した。
D.ワックス系撥水剤固形分の付着率
撥水剤の使用濃度(%owf)をD、 固形分の付着率(%)をA、マングルの絞り率をPとすると、固形分付着率S(重量%)は次式で表される。
S=D×(A/100)×(P/100)
実施例1
東レ(株)製の非ハロゲン系難燃ポリエステル長繊維「アンフラ」を常法で仮撚加工し、167デシテックス、48フィラメントのマルチフィラメントの仮撚加工糸を得た。この加工糸を経糸に単糸で用い、緯糸には2本合わせた双糸で用い、経密度99本/2.54cm、緯密度42本/2.54cmの平組織の生機を作成した。この生機を常法により90℃で精練して乾燥させた後、180℃で熱セットした織物(経密度103本/2.54cm、緯密度45本/2.54cm)を準備した。
続いて、大京化学(株)製の脂肪族炭化水素系のワックス系撥水剤「レポールNo.50」(パラフィン固形分:38%)を3%ows含む加工液をパッド槽に張り、生地に加工液を含浸させた後、絞り率が70%になるようにマングルで絞り、連続して、130℃で3分間乾燥し、160℃で1分間の熱セットを実施した。得られた生地の物性は表1に示すとおり、難燃性、撥水性ともに合格し、生地の風合いも柔らかいものであった。
実施例2
実施例1において、ワックス系撥水剤を施すための加工液中にウレタン系樹脂(大京化学(株)製UR−4)を濃度が1.5%owsになるように加え、実施例1と同じ工程条件でパッド・ドライ・キュア加工を実施した。得られた生地の物性は表1に示すとおり、実施例1に比べて、撥水性が向上する結果となった。
比較例1
織物の経糸に難燃性能を有さない通常のポリエステル仮撚加工糸(167デシテックス、48フィラメントのマルチフィラメントの双糸)に変更した以外は実施例1と同じ織物を作成し、実施例1と同じ条件でワックス系撥水剤を加工した。得られた生地において、撥水性は合格したが、難燃性が不合格となった。
比較例2
実施例1において、ワックス系撥水剤の使用濃度を5%owfに変更し、実施例1と同じ工程条件でパッド・ドライ・キュア加工を実施した。得られた生地においては表1に示すとおり、難燃性が不合格になったのに加え、風合いもごわついたものになり、チョークマークの発生が確認された。
比較例3
実施例1において、ワックス系撥水剤の使用濃度を0.5%owfに変更し、実施例1と同じ工程条件でパッド・ドライ・キュア加工を実施した。得られた生地においては、表1に示すとおり、洗濯処理5回後の撥水性が不合格となった。
比較例4
実施例1において、ワックス系撥水剤の代わりにフッ素系撥水剤(明成化学工業(株)製「AG E−082」)を1.0%owfの濃度でパッド槽に準備した。この加工液に実施例1で使用した織物を含浸させた後、絞り率が60%になるようにマングルで絞り、続いて130℃で3分間乾燥し、最後に170℃で1分間熱セットを実施した。得られた生地においては表1に示すとおり、撥水性は良好であったが、難燃性が不合格となった。
実施例3
実施例1において、撥水剤を高松油脂(株)製のジルコニウム系のワックス系撥水剤撥水剤「ネオラックスSALK」(パラフィン固形分:10%)に変更し、これを8%ows含む加工液をパッド槽に張り、生地に加工液を含浸させた後、絞り率が70%になるようにマングルで絞り、連続して、130℃で3分間乾燥し、170℃で1分間の熱セットを実施した。得られた生地の物性は表1に示すとおり、難燃性、撥水性ともに合格した。
比較例5
実施例3において、ワックス系撥水剤の使用濃度を20%owfに変更し、実施例3と同じ工程条件でパッド・ドライ・キュア加工を実施した。得られた生地においては表1に示すとおり、難燃性が不合格となり、かつ風合いも硬く、チョークマークも発生した。
比較例6
実施例3において、ワックス系撥水剤の使用濃度を2%owfに変更し、実施例3と同じ工程条件でパッド・ドライ・キュア加工を実施した。得られた生地の物性は表1に示すとおり、撥水性が不合格となった。
Figure 2013155459
本発明では、有害成分を含むフッ素系撥水剤や難燃剤を使用しないため、安定した難燃性と撥水性を有しつつも環境や人体に配慮したカーテンを提供できる。

Claims (3)

  1. 非ハロゲン系難燃剤を含有するポリエステル繊維を50重量%以上使用して構成された生地にワックス系撥水剤が付着されているとともに、該ワックス系撥水剤の固形分付着量が生地重量に対して0.2重量%以上1.2重量%以下であることを特徴とするカーテン。
  2. ポリエステル系樹脂またはウレタン系樹脂が生地重量に対して、0.5重量%以上3.0重量%以下、含有されていることを特徴とする請求項1に記載のカーテン。
  3. 該ポリエステル繊維が仮撚加工糸であることを特徴とする請求項1または2に記載のカーテン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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