JP2013253302A - 焼結拡散接合部品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】焼鈍工程を実施しなくても、耐摩耗性材料の表層を切削加工できるようにする。
【解決手段】硬度がHv600以上の炭素鋼からなる耐摩耗性材料とFeを主成分とするFe系金属からなる圧粉体とを焼結拡散接合により接合した焼結拡散接合部品の製造方法において、耐摩耗性材料と、フェライト化元素を含有する圧粉体とを組み付ける組み付け工程101と、耐摩耗性材料と圧粉体とを脱炭性雰囲気下で加熱することにより、耐摩耗性材料の表層に脱炭を生じさせてフェライト相を形成する脱炭工程102と、耐摩耗性材料と圧粉体とを加熱することにより、圧粉体を焼結させるとともに耐摩耗性材料と圧粉体とを拡散接合し、さらに、耐摩耗性材料の表層にフェライト化元素が拡散することによってフェライト相の形成範囲を拡張させる焼結工程103と、拡散接合後の耐摩耗性材料の表層を切削加工する切削工程104とを行う。
【選択図】図3

Description

本発明は、異なる材料を焼結拡散接合により接合した焼結拡散接合部品の製造方法に関するものである。
このような焼結拡散接合部品である可動鉄心が特許文献1〜3等に開示されている。この可動鉄心は、炭素鋼からなる耐摩耗性材料で構成された軸部材と、この軸部材の一端側に設けられ、内孔を有する形状であって、Fe系金属からなる外周部材とを備えるものである。この可動鉄心は、外周部材の形状とされた圧粉体と軸部材とを一体化させる一体化工程を行った後、圧粉体と軸部材とを加熱する焼結工程を行うことにより、圧粉体を焼結させて外周部材を形成するとともに、圧粉体と軸部材とを焼結拡散接合により接合することで製造される。
特許4702945号公報 特許4721457号公報 特開2009−102711号公報 特開2010−174353号公報
ところで、上述のように、炭素鋼からなる耐摩耗性材料とFe系金属からなる圧粉体を焼結拡散接合により接合した焼結拡散接合部品を製造する際では、焼結工程後に除冷を実施したとしても、耐摩耗性材料には焼きが入り、硬化してしまう。
このため、後工程で耐摩耗性材料の表層を切削加工する必要がある場合、切削加工前に焼鈍工程を実施することにより、耐摩耗性材料の硬度を落とさなければならず、焼鈍工程を実施しなくても切削加工ができることが望まれていた。
本発明は上記点に鑑みて、焼鈍工程を実施しなくても、耐摩耗性材料の表層を切削加工できるようにすることを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
耐摩耗性材料と、フェライト化元素を含有する圧粉体とを一体化させる一体化工程(101)と、
一体化工程後に、耐摩耗性材料と圧粉体とを脱炭性雰囲気下で加熱することにより、耐摩耗性材料の表層に脱炭を生じさせてフェライト相を形成する脱炭工程(102)と、
脱炭工程後に、耐摩耗性材料と圧粉体とを加熱することにより、圧粉体を焼結させるとともに耐摩耗性材料と圧粉体とを焼結拡散接合し、さらに、耐摩耗性材料の表層にフェライト化元素が拡散することによってフェライト相の形成範囲を拡張させて耐摩耗性材料の表面に軟化層(33)を形成する焼結工程(103)と、
焼結工程後に、耐摩耗性材料の表層を切削加工する切削工程(104)とを有することを特徴としている。
これによれば、焼結工程で、耐摩耗性材料の表面に軟化層が形成されるので、焼結工程後に焼鈍工程を実施しなくても、耐摩耗性材料の表層を切削加工することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
第1実施形態におけるアーマチャを備える電磁弁の断面構成を示す図である。 図1中のアーマチャの斜視図である。 図1中のアーマチャの製造工程を示す図である。 軸部材1の表層の硬度が低下するメカニズムを説明するための図である。 軸部材1の表層の硬度が低下するメカニズムを説明するための図である。 軸部材1の表層の硬度が低下するメカニズムを説明するための図である。 軸部材1の表層の硬度が低下するメカニズムを説明するための図である。 本発明の実施例における焼結拡散接合部品の断面を示す金属顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態では、車両用燃料噴射装置のソレノイド式インジェクタのアーマチャ(可動鉄心)の製造方法について説明する。
まず、アーマチャを備える電磁弁の構造について説明する。図1、2に示すように、アーマチャ3は、軸部材1とこの軸部材1の一端側に設けられた外周部材2とを有している。この軸部材1の他端側には図示しない弁座と離接する図示しない弁体が設けられている。外周部材2は軸部材1の長手方向に対して垂直な方向に延びた扁平形状である。
そして、図1に示す電磁弁10は、軸部材1の長手方向においてアーマチャ3と対向する位置に固定鉄心4が配置されており、この固定鉄心4にはソレノイドコイル5が巻回されている。この電磁弁10においては、固定鉄心4に巻回されたソレノイドコイル5に電流を供給することによって、アーマチャ3が固定鉄心4側に磁力吸引されて弁が開くとともに、固定鉄心4に巻回されたソレノイドコイル5に流れる電流を遮断することによって、図示しないばねの復帰力によりアーマチャ3が元の位置に復帰し、弁が閉じられる。
ここで、アーマチャ3は、異なる材料からなる軸部材1と外周部材2とが焼結拡散接合してなる拡散接合部品である。
軸部材1は、硬度がHv600以上の炭素鋼からなる耐摩耗性材料で構成されている。この耐摩耗性材料としては、例えばJIS規格のSKH51材、SKH2材等の高速度工具鋼や、例えばJIS規格のSUJ2材等の軸受鋼や、例えばJIS規格のSKD11材等の合金工具鋼が挙げられる。
外周部材2は、Feを主成分とするFe系金属からなる圧粉体を焼結させたものである。圧粉体は、原料粉末を圧粉成形したものである。この原料粉末としては、例えば、Fe−Si−P系や、Fe−Si系の組成を有する軟磁性粉末が挙げられる。SiおよびPは焼結拡散接合を形成するための元素であるが、これらの元素のうちSiは、耐摩耗性材料に拡散した場合に拡散した領域の組織をフェライト相化するフェライト化元素でもある。
次に、アーマチャ3の製造方法について説明する。
図3に示すように、軸部材1と外周部材2の形状とされた圧粉体とを組み付ける組み付け工程101を行う。この組み付け工程101が特許請求の範囲に記載の一体化工程に相当する。
具体的には、耐摩耗性材料からなる軸部材1を用意する。また、内孔を有する外側部材2の形状となるように、原料粉末を圧粉成形して得られた圧粉体を用意する。このとき、圧粉体には成形潤滑剤が含まれている。この成形潤滑剤は、熱処理によってCOとHOに分解される有機化合物からなるものである。この成形潤滑剤としては、ワックス系、ステアリン酸系等の一般的な金属粉末の圧粉成形用の潤滑剤を用いることができる。そして、得られた圧粉体の内孔に軸部材1を嵌合して一体化する。
その後、組み付け後の軸部材1と圧粉体とを加熱することにより、圧粉体中の成形潤滑剤を分解させる脱脂工程102を行う。加熱温度は、成形潤滑剤の分解温度、例えば、600℃である。このとき、一般的な脱脂工程では、成形潤滑剤の分解によって生成するガスを加熱雰囲気から排除するが、本実施形態では、成形潤滑剤の分解によって生成するCOとHOとを加熱雰囲気中に残した状態とすることで、COとHOとが存在する加熱雰囲気下で軸部材1と圧粉体とを加熱する。例えば、圧粉体中の成形潤滑剤の添加量を、圧粉体の成形に必要な添加量よりも増大させることで、COとHOとを加熱雰囲気中に残した状態とすることが可能となる。これは、成形潤滑剤の分解によって加熱雰囲気中に放出されるCOとHOとが増大すると、加熱雰囲気中のCOとHOとが全て排除されずに残された状態になりやすいからである。
その後、組み付け後の軸部材1と圧粉体とを加熱することにより、圧粉体を焼結させて外周部材2とするとともに軸部材1と外周部材2とを拡散接合する焼結工程103を行う。このときの加熱温度は、例えば、1100℃〜1300℃である。
その後、軸部材1の表層を切削加工する切削工程104を行う。このとき、焼結工程後の軸部材1の表層は、切削加工ができるほど硬度が低下しているので、焼鈍工程を実施しなくても、軸部材1の表層を切削加工することができる。このようにしてアーマチャ3が製造される。
次に、軸部材1の表層の硬度が低下するメカニズムについて、図4〜7を用いて説明する。図4〜7は図1中の破線で囲まれた領域A1に相当する。
組み付け工程後であって、脱脂工程102の前の段階では、図4に示すように、軸部材1は、全領域の組織がγ相となっている。また、外周部材2を形成するための圧粉体20には、Si、P元素や、成形潤滑剤21が含まれている。
そして、脱脂工程102では、図5に示すように、成形潤滑剤21から生成した脱炭性ガスであるCOとHOとを加熱雰囲気中に残した状態で、軸部材1と圧粉体20とを加熱するので、軸部材1の表面でC元素の抜け(脱炭)が生じる。これにより、軸部材1の表層の組織がγ相からα相(フェライト相)に変化する。このフェライト相の軸部材1の表面からの厚さは、例えば、50μmである。
その後、焼結工程103では、図6に示すように、軸部材1に含まれるCr、Mo等の元素が圧粉体20側に拡散し、圧粉体20に添加されているSi元素、P元素が軸部材1側に拡散する。これにより、図7に示すように、軸部材1と外周部材2との間に、両者を拡散接合する拡散層30が形成される。拡散層30は、外周部材2側の部分31と軸部材1側の部分32とからなる。このうち、軸部材1側の部分32は硬度がHv300以下のフェライト相となる。
この焼結工程103のとき、軸部材1の表層に形成されたフェライト相は元素の拡散係数が高い組織であるため、図6に示すように、圧粉体20に添加されているSiが、軸部材1の圧粉体20側の部分だけでなく軸部材1の表層にも拡散する。このSiはフェライト相化を促進するフェライト化元素のため、図7に示すように、さらに、フェライト相でない領域にSiが拡散することで、フェライト相化が促進される。これにより、フェライト相の形成範囲が拡張し、フェライト相の軸部材1の表面からの厚さが、例えば、50μmから200μmに広がる。
このように、軸部材1の表面での脱炭とSiの拡散との相乗効果により、軸部材1の表面にフェライト相からなる軟化層33が形成され、軸部材1の表層が軟化するものと考えられる。
(他の実施形態)
(1)第1実施形態では、軸部材1の表層に脱炭を生じさせる手段として、脱脂工程において、成形潤滑剤の分解により生成するCOとHOとを加熱雰囲気中に残した状態とする手段を採用したが、他の手段を採用しても良い。
例えば、第1実施形態の脱脂工程102を、一般的な脱脂工程と同様に、成形潤滑剤の分解によって生成するガスを加熱雰囲気から排除するように変更する。そして、この脱脂工程102と焼結工程103との間に、組み付け後の軸部材1と圧粉体とを、脱炭性雰囲気下で加熱することにより、軸部材1の表面から脱炭させる脱炭工程を追加すれば良い。このとき用いる脱炭性ガスは、COとHOの少なくとも一方のガスであれば良く、これら以外のガスであっても良い。CO、HO以外の脱炭性ガスとしては、H、O等が挙げられる。
(2)第1実施形態の組み付け工程101では、軸部材1と、外周部材2の形状に成形された圧粉体とを用意して、圧粉体の内孔に軸部材1を嵌合して一体化したが、この組み付け工程101の代わりに、特許文献4に記載のように、圧粉体の成形と同時に、軸部材1と圧粉体20とを一体化させる一体化工程を行っても良い。すなわち、金型内で軸部材1を保持した状態で、金型内の原料粉末を加圧することにより、軸部材1と圧粉体の一体化部品をインサート成形しても良い。
(3)第1実施形態では、本発明の焼結拡散接合部品の製造方法を、インジェクタのアーマチャの製造方法に適用した例を説明したが、複雑形状の焼結ギヤ部品等の他の焼結拡散接合部品の製造方法に適用することも可能である。この焼結ギヤ部品は、軸部とこの軸部の一端側に設けられたギヤ部とから構成され、軸部の形状とされた耐摩耗性材料とギヤ部の形状とされた圧粉体とを焼結拡散接合することにより得られるものである。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例1)
耐摩耗性材料からなる所望形状の試験片と、圧粉体を所望形状とした試験片とを焼結拡散接合により接合して焼結拡散接合部品を作製した。
具体的には、SKH51材からなる円柱状の耐摩耗性材料を用意した。また、組成がSi:2.0wt%、P:0.35wt%、Mn:0.2wt%、S:0.08wt%、残部がFeおよび不可避不純物の金属粉末を円柱状に加圧成形した圧粉体を用意した。この圧粉体は、ワックス系の潤滑剤が圧粉体全体に対して0.5wt%添加されたものである。
そして、耐摩耗性材料の一面と圧粉体の一面とを接触させて組み付けた後、脱脂工程と焼結工程とを順に行った。脱脂工程では0.5Torrの真空炉中で635℃にて1時間加熱した。焼結工程では0.5Torrの真空炉中で1215℃にて1時間加熱した。
また、脱脂工程では、真空炉の内部に設置された多孔質アルミナ板の表面上に、組み付け後の耐摩耗性材料と圧粉体とを置いて加熱した。この多孔質アルミナ板は、事前処理によってCOとHOのガスを吸着させたものである。これにより、脱脂工程において、圧粉体中の成形潤滑剤の分解によってCOとHOが放出されることに加えて、多孔質アルミナ板からCOとHOが放出されるようにした。なお、事前処理では、真空炉の内部に多孔質アルミナ板を設置し、この多孔質アルミナ板の表面上に、この事前処理用に用意した成形潤滑剤を含む圧粉体を置いて加熱した。これにより、圧粉体中の成形潤滑剤を分解させてCOとHOとを圧粉体から放出させ、放出されたCOとHOのガスを多孔質アルミナ板に吸着させた。このように、本実施例では、ガス吸着させた多孔質アルミナ板を用いることで、成形潤滑剤の添加量を増大させたときに成形潤滑剤の分解によって加熱雰囲気中に放出されるCOとHOとが増大する状況と同様の状況を作り出した。
その後、作製した焼結拡散接合部品の断面を金属顕微鏡で観察するとともに、耐摩耗性材料の表層の硬度をマイクロビッカース測定法により測定した。
その結果、図8に示すように、耐摩耗性材料1の表層の組織が他の領域と異なっていることが確認された。また、用意した耐摩耗性材料1は、接合前の表層の硬度がHv600であったが、接合後の表層の硬度がHv200であった。これらの結果より、耐摩耗性材料1の表面に軟化層33が形成されていることがわかる。この軟化層33はフェライト相であると推測される。
1 軸部材
2 外周部材
3 アーマチャ
10 電磁弁
20 圧粉体
21 成形潤滑剤

Claims (3)

  1. 硬度がHv600以上の炭素鋼からなり、所望形状とされた耐摩耗性材料(1)と、Feを主成分とするFe系金属からなり、所望形状とされた圧粉体(20)とを焼結拡散接合により接合した焼結拡散接合部品の製造方法において、
    前記耐摩耗性材料と、フェライト化元素を含有する前記圧粉体とを一体化させる一体化工程(101)と、
    前記一体化工程後に、前記耐摩耗性材料と前記圧粉体とを脱炭性雰囲気下で加熱することにより、前記耐摩耗性材料の表層に脱炭を生じさせてフェライト相を形成する脱炭工程(102)と、
    前記脱炭工程後に、前記耐摩耗性材料と前記圧粉体とを加熱することにより、前記圧粉体を焼結させるとともに前記耐摩耗性材料と前記圧粉体とを焼結拡散接合し、さらに、前記耐摩耗性材料の表層に前記フェライト化元素が拡散することによって前記フェライト相の形成範囲を拡張させて前記耐摩耗性材料の表面に軟化層(33)を形成する焼結工程(103)と、
    前記焼結工程後に、前記耐摩耗性材料の表層を切削加工する切削工程(104)とを有することを特徴とする焼結拡散接合部品の製造方法。
  2. 前記圧粉体(20)は成形潤滑剤(21)を含んでおり、
    前記一体化工程と前記焼結工程との間に、前記成形潤滑剤の分解温度にて加熱することにより、前記圧粉体中の前記成形潤滑剤を分解させる脱脂工程(102)を有し、
    前記脱炭工程は、前記脱脂工程において、前記成形潤滑剤の分解によって生成したCOとHOとを、加熱雰囲気中に残した状態とすることであることを特徴とする請求項1に記載の焼結拡散接合部品の製造方法。
  3. 前記焼結拡散接合部品は、軸部材(1)と、前記軸部材の一端側に位置する外周部材(2)とを有するインジェクタのアーマチャ(3)であり、
    前記軸部材の形状とされた前記耐摩耗性材料と、前記外周部材の形状とされた前記圧粉体とを一体化させることを特徴とする請求項1または2に記載の拡散接合部品の製造方法。
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