JP2014199328A - 染色レンズおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アクリル系硬化被膜の染色性を向上することにより、アクリル系硬化被膜を有する染色レンズを簡便かつ安価に製造することができる、染色レンズの製造方法を提供すること。【解決手段】レンズ基材上に、多官能アクリレート化合物およびアクリルシラン化合物を含む硬化性組成物を塗布し該組成物に硬化処理を施すことにより硬化被膜を形成し、レンズ基材上に硬化被膜を有する積層体を得ること、ならびに、形成した硬化被膜を分散型カチオン染料と接触させて染色処理を施すこと、を含む染色レンズの製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、染色レンズの製造方法に関するものであり、詳しくは、染色されたアクリル系硬化被膜を有する染色レンズを提供可能な染色レンズの製造方法に関するものである。
更に本発明は、上記製造方法により得られた染色レンズにも関する。
近年、市場に流通する眼鏡レンズの多くは、ファッション性、遮光性付与等を目的として染色されている染色レンズである。
染色レンズは、主にレンズ基材に染色を施すことにより製造される。レンズ基材を染色する方法としては、特許文献1に記載されているような基材を染色液に浸漬する浸漬法が広く用いられている。
一方、特許文献2では、レンズ基材上に設けたハードコート膜を染色することにより、染色レンズを製造する方法が提案されている。
特許第3448616号公報 特開昭64−78202号公報
しかし、特許文献1に記載されているようにレンズ基材を染色することにより染色レンズを得る方法では、基材の製造ロット間でバラツキが生じ、染色時に色調が合わない場合がある。また、レンズ基材の上に形成した機能性膜に何らかの不良があった場合には、アルカリ水溶液により機能性膜を剥離し新たな機能性膜を形成することが行われるが、このアルカリ処理により色落ちが生じ、レンズ基材に色ムラが生じることもある。
このように、レンズ基材を染色することにより染色レンズを製造する方法では、レンズ間に色調のバラつきが生じやすいという課題がある。
そこで特許文献2に記載されているように、レンズ基材上に形成した被膜を染色することにより染色レンズを得る方法を採用することが考えられる。
ところで、レンズ基材上に形成される被膜としては、多官能アクリレート化合物に硬化処理を施して形成されるアクリル系硬化被膜が、硬度が高くハードコート層として好適であることが知られている。しかし、アクリル系硬化被膜は、プラスチックレンズの染色に一般に用いられる染料では染色されにくい傾向がある。そのためアクリル系硬化被膜を有するレンズについて、レンズ基材ではなく被膜を染色することによって染色レンズを得るためには、従来、アクリル系硬化被膜以外に染色されやすい被膜を別途形成する必要があった。このように染色用に別途被膜を形成することは、コスト面および作業性の観点から不利であるため、改善することが望ましい。
そこで本発明の目的は、アクリル系硬化被膜の染色性を向上することにより、アクリル系硬化被膜を有する染色レンズを簡便かつ安価に製造することができる、染色レンズの製造方法を提供することにある。
本発明者は上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、アクリル系硬化被膜を形成するための硬化性組成物に、アクリルシラン化合物を添加することにより、形成される硬化被膜の分散型カチオン染料による染色性を高めることができることを、新たに見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
[1]レンズ基材上に、多官能アクリレート化合物およびアクリルシラン化合物を含む硬化性組成物を塗布し該組成物に硬化処理を施すことにより硬化被膜を形成し、レンズ基材上に硬化被膜を有する積層体を得ること、ならびに、
形成した硬化被膜を分散型カチオン染料と接触させて染色処理を施すこと、
を含む染色レンズの製造方法。
[2]前記染色処理を、前記積層体全体を前記分散型カチオン染料を含む染色浴に浸漬することにより行う、[1]に記載の染色レンズの製造方法。
[3]前記レンズ基材は、プラスチックレンズ基材である、請求項1または2に記載の染色レンズの製造方法。
[4][1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法により得られた染色レンズ。
本発明によれば、アクリル系硬化被膜が高濃度に染色された染色プラスチックレンズを提供することができる。
本発明は、レンズ基材上に、多官能アクリレート化合物およびアクリルシラン化合物を含む硬化性組成物を塗布し該組成物に硬化処理を施すことにより硬化被膜を形成し、レンズ基材上に硬化被膜を有する積層体を得ること、ならびに、形成した硬化被膜を分散型カチオン染料と接触させて染色処理を施すこと、を含む染色レンズの製造方法に関する。
更に本発明によれば、上記製造方法により得られた染色レンズも提供される。
以下、本発明の染色レンズおよびその製造方法について、更に詳細に説明する。
レンズ基材
レンズ基材としては、特に限定されるものではなく、眼鏡レンズのレンズ基材に通常使用される材料、具体的にはプラスチック、無機ガラス、等からなるものを用いることができる。プラスチックレンズ基材を構成するプラスチック材料は特に限定されるものではなく、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エピチオ基を有する化合物を材料とする重合体、スルフィド結合を有するモノマーの単独重合体、スルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリジスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体等などが挙げられる。前述の通り、染色レンズにおいてレンズ基材が染色されると、レンズ間に色調のバラつきが生じやすい傾向がある。この点からは、硬化被膜が選択的に染色され、レンズ基材の染色が少ないことが好ましい。本発明で用いる分散型カチオン染料は、プラスチックレンズ基材を染色しにくい点からも、好ましい染料である。染色されにくさの点から好ましいプラスチックレンズ基材としては、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート系プラスチックレンズ基材、ポリチオウレタン系プラスチックレンズ基材、およびポリスルフィド系プラスチックレンズ基材を挙げることができる。なお本発明において「系」とは、「含む」の意味で用いることとする。
レンズ基材の厚さおよび直径は、特に限定されるものではないが、通常、厚さは1〜30mm程度、直径は50mm〜100mm程度である。
硬化被膜
本発明の製造方法により製造される染色レンズは、レンズ基材上に硬化被膜を有する。硬化被膜は、レンズ基材上に直接形成してもよく、プライマー層等の他の機能性膜を介して形成してもよい。プライマー層は通常、接着層として機能し得るポリウレタン等の公知の樹脂から形成され、一般に厚さは0.5〜10μm程度である。プライマー層は、レンズ基材上に直接形成されていることが通常であるが、他の機能性層を介してレンズ基材上に形成されていてもよい。
上記硬化被膜は、通常、ハードコート層として機能し得る。耐久性向上の観点から、ハードコート層の厚さは、通常0.5〜10μm程度であるが、特に限定されるものではない。
本発明の製造方法において、硬化被膜は、レンズ基材上に、多官能アクリレート化合物およびアクリルシラン化合物を含む硬化性組成物を塗布し該組成物に硬化処理を施すことにより形成される。上記硬化被膜は、多官能アクリレートから形成されるアクリル系硬化被膜であるが、前述の通り、アクリル系硬化被膜は一般に染色されにくい。これに対し、本発明で用いられる分散型カチオン染料(詳細は後述する)は、アクリル系被膜の染色性には乏しいが、アクリルシラン化合物を含む硬化性組成物から形成された硬化被膜の染色性が良好である。この点は、本発明者によって新たに見出された知見である。そこで本発明では、アクリル系硬化被膜の染色を促進するために、多官能アクリレートとともにアクリルシラン化合物を、被膜形成のための硬化性組成物に添加する。これにより、アクリル系被膜が高濃度に染色された染色レンズを得ることが可能となる。
アクリルシラン化合物とは、メタクリル基、アクリル基、メタクリロイルオキシ基、およびアクリロイルオキシ基からなる群から選ばれるアクリル系硬化性官能基として含むシラン化合物である。シラン化合物とは、一般にシランカップリング剤とも呼ばれ、下記一般式(I)で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物であることができる。そしてアクリルシラン化合物とは、R1で表される官能基に、アクリル系硬化性官能基を含むものである。アクリル系硬化性官能基は、ケイ素原子に直接結合していてもよく、アルキレン基等の連結基を介して間接的に結合していてもよい。
(R1a(R3bSi(OR24-(a+b) ・・・(I)
一般式(I)中、aは1を表し、bは0または1を示す。
2は、アルキル基、アシル基、またはアリール基であることができる。
2で表されるアルキル基は、例えば直鎖または分岐の炭素数1〜4のアルキル基であって、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。
2で表されるアシル基は、例えば、炭素数1〜4のアシル基であって、具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、オレイル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
2で表されるアリール基は、例えば炭素数6〜10のアリール基であって、具体例としては、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
3は、アルキル基またはアリール基であることができる。
3で表されるアルキル基は、例えば直鎖または分岐の炭素数1〜6のアルキル基であって、具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。
3で表されるアリール基としては、例えば炭素数6〜10のアリール基であって、具体例としては、フェニル基、キシリル基、トリル基等が挙げられる。
以上説明したアクリルシラン化合物の具体例としては、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらアクリルシラン化合物としては、シランカップリング剤として市販されているものを用いることができる。または、公知の方法で合成することもできる。
硬化性組成物中のアクリルシラン化合物の含有量は、多官能アクリレート化合物100質量部あたり1〜50質量部程度とすることが、硬化被膜の染色性を向上する観点から、好ましい。
硬化被膜形成のために使用される多官能アクリレート化合物とは、分子中に少なくとも2個のアクリル系硬化性官能基を有する化合物であり、好ましくは分子中に少なくとも2個のアクリル系硬化性官能基を有する化合物である。具体的には、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、トリス(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ホスファゼン化合物のホスファゼン環にアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が導入されたホスファゼン系アクリレート化合物またはホスファゼン系メタクリレート化合物、分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートと少なくとも1個のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基および水酸基を有するポリオール化合物との反応により得られるウレタンアクリレート化合物やウレタンメタクリレート化合物、分子中に少なくとも2個のカルボン酸ハロゲン化物と少なくとも1個のアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基および水酸基を有するポリオール化合物との反応により得られるポリエステルアクリレート化合物、ポリエステルメタクリレート化合物、ならびに上記各化合物の2量体、3量体などのようなオリゴマーなどが挙げられる。
これらの化合物はそれぞれ単独または2種以上を混合して用いることができる。なお、上記の多官能アクリレートの他に、硬化性組成物の硬化時の固形分に対して、好ましくは10.0質量%以下の、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の中から選択される少なくとも1種の単官能(メタ)アクリレートを配合してもよい。
また、硬化性組成物には、硬度を調整する目的で重合性オリゴマーを添加することができる。このようなオリゴマーとしては、末端(メタ)アクリレートポリメチルメタクリレート、末端スチリルポリ(メタ)アクリレート、末端(メタ)アクリレートポリスチレン、末端(メタ)アクリレートポリエチレングリコール、末端(メタ)アクリレートアクリロニトリル−スチレン共重合体、末端(メタ)アクリレートスチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体などのマクロモノマーを挙げることができる。その含有量は、硬化性組成物の硬化時の固形分に対して、好ましくは5.0〜50.0質量%である。
上記重合性成分は、溶剤と混合した状態の溶液として用いてもよい。また、重合性成分として市販されているものを用いることも可能である。また、硬化性組成物は、公知の光重合開始剤を含むこともできる。光重合開始剤の種類および使用量は、特に限定されるものではなく適宜設定することができる。その他の成分として、耐擦傷性を向上させる目的で無機酸化物粒子を添加することもできる。無機酸化物粒子は溶剤中で分散させた状態で、例えばコロイド溶液として、他の成分と混合することが均一な被膜を形成するために好ましい。無機酸化物としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ、チタニア、アルミナ−マグネシウムや酸化スズ−ジルコニア等を組み合わせた複合酸化物等が挙げられる。その添加量は、通常硬化性組成物の固形分当たり5〜80質量%程度である。
上記硬化性組成物をレンズ基材上に塗布し、必要に応じて乾燥させた後に硬化性基に応じた硬化処理(熱硬化、光硬化等)を施すことにより、アクリル系硬化被膜を形成することができる。硬化性組成物の塗布手段としては、ディッピング法、スピンコーティング法、スプレー法等の通常行われる方法を適用することができる。塗布条件は、所望の膜厚の硬化被膜を形成できるように適宜設定すればよい。アクリル系硬化被膜は、通常、光照射により硬化処理が行われる。照射する光は、例えば電子線または紫外線であり、照射する光の種類および照射条件は、使用する成分の種類に応じて適宜選択される。一般に照射光量500〜2000mJ/cm2程度で紫外線を照射することで、レンズの耐傷性向上に寄与する高強度の硬化被膜を形成することができる。
上記硬化被膜をレンズ基材上に形成した後に、染色処理が行われる。染色処理前または染色処理後に、上記硬化被膜上に一層以上の公知の機能性膜を形成することも可能である。
染色処理
多官能アクリレート化合物およびアクリルシラン化合物を含む硬化性組成物から形成した硬化被膜は、次いで染色処理に付される。染色処理は、形成した硬化被膜を分散型カチオン染料と接触することにより行われる。ここで本発明では、分散型カチオン染料を使用する。分散性カチオン染料がアクリルシラン化合物への染色性に優れることが、本発明においてアクリル系硬化被膜を高濃度に染色することができる理由と考えられる。
分散型カチオン染料とは、通常のカチオン染料が水可溶性であるところ、水難溶性(または不溶性)および溶媒への分散性(溶媒中に微粒子状に分散する性質)が付与されているカチオン染料をいう。例えば、カチオン染料にアニオン性分散剤を結合させ、さらに過剰のアニオン性分散剤によって分散することにより、分散型カチオン染料が調製される。また塩基性基を封鎖することにより水分散型にした分散型カチオン染料として、Kayacryl ED(日本化薬(株)製)、KIWA CDP(紀和化学工業(株)製)、NichilonCDPN(日成化成(株)製)、Aizen Cathilon DP(保土谷化学(株)製)等が市販されている。本発明における染色処理には、市販品または公知の方法で調製した分散型カチオン染料を用いることができる。
眼鏡レンズの染色処理は、通常、染料を含む染色浴にレンズ全体を浸漬することにより行われる。本発明でも、通常の染色処理と同様に、上記硬化被膜およびレンズ基材全体を、染色浴に浸漬することにより染色処理を行うことができる。染色浴は、例えば、市販の分散型カチオン染料を、水、アルコール、またはこれらの混合溶媒、好ましくは水により希釈して用いることができる。染色浴における染料濃度は、例えば0.01〜10g/L、染色浴の温度は、例えば0〜100℃の範囲である。また、染色浴には必要に応じて、界面活性剤等の公知の添加剤を添加することもできる。染色浴への浸漬時間は、特に限定されるものではないが、例えば1分〜1時間程度である。
上記染色後、染料を定着させるために加熱処理を行ってもよい。この加熱処理における加熱温度は、例えば30℃〜120℃、加熱処理時間は例えば15分〜2時間であるが、特に制限はない。また、染色後に必要に応じて洗浄、機能性膜の形成等の後処理を行うことにより、アクリル系硬化被膜が高濃度に染色された染色レンズを得ることができる。こうして得られる染色レンズは、染色によりファッション性、遮光性等が付与されているため眼鏡レンズとして好適である。
以下、本発明を実施例により更に説明するが、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1]
(1)硬化性組成物の調製
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬製KAYARAD DPHA)1000質量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製KBM−503)250質量部、酢酸エチル2500質量部、光重合開始剤(チバジャパン製Irgacure819)30質量部を混合し、ハードコーティング液(硬化性組成物)を調整した。
(2)積層体(ハードコート付レンズ)の作製
プラスチック眼鏡レンズ基材として、メニスカス形状のポリチオウレタン系レンズ(HOYA(株)製 商品名EYAS、中心肉厚2.0mm厚、直径75mmの平面レンズ)を使用し、洗浄後、上記(1)で調製したハードコーティング液を、レンズ基材の一方の表面上にスピンコート法によりコーティングした。その後、紫外線照射装置によりUV照射光量1200mJ/cm2で硬化し、厚さ6μmのハードコート層(硬化被膜)を形成した。
(3)染色処理
上記(2)で得られた積層体(ハードコート付レンズ)全体を染色浴に表1に示す時間浸漬し染色処理を行った。
染色浴としては、表1に示す分散型カチオン染料(日本化薬社製Kayacryl EDシリーズ)を染料濃度0.5/Lとなるように温水により希釈し調製した染料分散液を用いた。染色時の染色浴の温度は、80℃とした。
以上の工程により、染色プラスチック眼鏡レンズを得た。
[比較例1]
硬化性組成物から3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製KBM−503)を除いた点以外は実施例1と同様の工程を実施し、染色プラスチック眼鏡レンズを得た。
染色プラスチック眼鏡レンズの評価
1.プラスチックレンズ基材の染色有無の確認
ハードコート層の形成および染色処理を施す前の実施例1で用いたレンズ基材の発色濃度を下記方法で測定したところ、11%であった。
また、実施例1で得た染色プラスチック眼鏡レンズを5質量%の水酸化ナトリウム水溶液(液温50℃)に10分間浸漬することによりハードコート層を剥離した。ハードコート層剥離後のプラスチックレンズ基材の発色濃度を下記方法で測定したところ12%程度と目視で透明と確認される状態であった。
以上の結果から、表層のハードコート層が選択的に染色されていることが確認された。
2.染色度の評価
実施例1、比較例1で得た各レンズについて、朝日分光社製濃度計Color Density Meter DMX-280-1により黄色染料を用いたレンズについては測定波長435nm、青色染料を用いたレンズについては585nm、赤色染料を用いたレンズについては525nmで発色濃度を測定した。数値が大きいほど色濃度が濃く染色されていることを意味する。染色濃度が未染色のレンズ基材に対して+10%超のものをA、+5%超10%以下のものをB、+5%以下のものをCと評価した。結果を表1に示す。
表1に示す結果から、アクリルシラン化合物を用いてアクリル系硬化被膜を形成した実施例1では、硬化被膜の染色性はアクリルシラン化合物なしでアクリル系硬化被膜を形成した比較例1に比べてはるかに高いことが確認できる。
また、前述の通り、実施例1ではプラスチックレンズ基材は染色処理後も透明性が維持されていた。
以上の結果から、分散型カチオン染料とアクリルシラン化合物との併用により、プラスチックレンズ基材上のアクリル系硬化被膜を選択的に、かつ高濃度に染色できることが確認された。
[実施例2]
プラスチック眼鏡レンズ基材として、ポリチオウレタン系レンズ(HOYA(株)製EYAS)の代わりに、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート系レンズ(HOYA(株)製HL)、ポリスルフィド系プラスチックレンズ基材(HOYA(株)製EYRY)を用いた点以外は実施例1と同様の工程を実施したところ、実施例1と同様に、硬化被膜が選択的に高濃度に染色された染色プラスチック眼鏡レンズを得ることができた。
本発明は、眼鏡レンズの製造分野に有用である。

Claims (4)

  1. レンズ基材上に、多官能アクリレート化合物およびアクリルシラン化合物を含む硬化性組成物を塗布し該組成物に硬化処理を施すことにより硬化被膜を形成し、レンズ基材上に硬化被膜を有する積層体を得ること、ならびに、
    形成した硬化被膜を分散型カチオン染料と接触させて染色処理を施すこと、
    を含む染色レンズの製造方法。
  2. 前記染色処理を、前記積層体全体を前記分散型カチオン染料を含む染色浴に浸漬することにより行う、請求項1に記載の染色レンズの製造方法。
  3. 前記レンズ基材は、プラスチックレンズ基材である、請求項1または2に記載の染色レンズの製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法により得られた染色レンズ。
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