JP2014209097A - クロマトグラフ方法及びクロマトグラフキット - Google Patents
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Abstract
Description
a.被検物質と、被検物質に結合する第一の結合物質で修飾された標識物質と、の複合体を不溶性担体上に展開する工程、
b.被検物質に結合する第二の結合物質、または第一の結合物質への結合性を有する物質を含む不溶性担体上の反応部位において、複合体を捕捉する工程、
c.工程bの後に、ヨウ化カリウム、尿素及びグアニジンの少なくとも一種を含む洗浄液を用いて不溶性担体を洗浄する工程、
d.不溶性担体に残存する洗浄液を、不溶性担体から洗い流す工程、及び
e.反応部位に捕捉された複合体の標識物質を増幅する工程、
とを含むクロマトグラフ方法
が提供される。
好ましくは、工程cにおいて、ヨウ化カリウム、尿素及びグアニジンの少なくとも一種が、0.8〜300μg/mm2の量で不溶性担体に適用される。
好ましくは、第一の増幅液を、被検物質の展開方向に対し45〜135度の角度となるように流す。
好ましくは、金属コロイドの金属は、金、銀、白金、あるいはパラジウムである。
好ましくは、銀イオンを還元し得る還元剤はFe2+である。
好ましくは、工程cの洗浄液は、ヨウ化カリウム、尿素又はグアニジンの少なくとも一種のみを含み、pH5〜8である。
A.被検物質に結合する第一の結合物質で修飾された標識物質と、
B.被検物質に結合する第二の結合物質、または第一の結合物質への結合性を有する物質を含む反応部位を備えた不溶性担体、
C.ヨウ化カリウム、尿素及びグアニジンの何れか1種以上を含む洗浄液、
D.銀イオンを還元し得る還元剤を含む第一の増幅液、及び
E.銀イオンを含む化合物を含む第二の増幅液、
とを含むクロマトグラフキットが提供される。
好ましくは、標識物質は、金属コロイドである。
好ましくは、金属コロイドの金属は、金、銀、白金、あるいはパラジウムである。
好ましくは、銀イオンを還元し得る還元剤はFe2+である。
好ましくは、Cの洗浄液は、ヨウ化カリウム、尿素又はグアニジンのみを含み、pH5〜8である。
本発明は、a.被検物質と、被検物質に結合する第一の結合物質で修飾した標識物質との複合体を形成させた状態で不溶性担体上に展開する工程、b.被検物質に結合する第二の結合物質、または被検物質に結合する第一の結合物質への結合性を有する物質を含む不溶性担体上の反応部位において、被検物質と標識物質との複合体を捕捉する工程、c.工程bの後に、ヨウ化カリウム、尿素及びグアニジンの少なくとも一種を含む洗浄液を用いて不溶性担体を洗浄する工程、d.不溶性担体に残存する工程cの洗浄液を、不溶性担体から洗い流す工程、及びe.反応部位に捕捉された標識物質を増幅する工程、とを含むクロマトグラフ方法である。
本発明で用いる洗浄液は、ヨウ化カリウム、尿素及びグアニジンの少なくとも一種を含む液である。尿素は、尿素の塩酸塩の形で使用することもできる。また、グアニジンは、グアニジン塩酸塩、グアニジン硝酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジンリン酸塩などの塩の形態で使用することが好ましく、グアニジン塩酸塩を使用することが特に好ましい。
本発明においては、不溶性担体に残存する洗浄液を、不溶性担体から洗い流す工程を行った後に、標識物質の増幅を行う。
不溶性担体に残存する洗浄液を、不溶性担体から洗い流す際に使用する液は、本発明の効果を達成できる限り、特に限定されない。好ましくは、銀イオンを還元し得る還元剤を含有する第一の増幅液(詳細は本明細書中以下に説明する)を用いて、不溶性担体に残存する洗浄液を、不溶性担体から洗い流すことができる。
標識物質の増幅は、増幅試薬を含有する増幅液を用いて行うことができる。増幅試薬は、標識物質や被検物質の作用により、触媒的に反応することで、着色した化合物や発光などを生じ、シグナルの増幅を起こすことができる試薬であり、試薬を含有する溶液の状態、即ち増幅液として使用することができる。例えば、金属標識上で、物理現像により金属銀の析出を起こす銀イオン溶液や、ペルオキシダーゼ標識と過酸化水素の作用により色素となる、フェニレンジアミン化合物とナフトール化合物の溶液などが挙げられる。
第一の増幅液は、銀イオンを還元し得る還元剤を含有する。銀イオンを還元し得る還元剤は、銀イオンを銀に還元することができれば、無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元性金属塩、還元性金属錯塩を好ましく挙げることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe2+を還元剤として用いる系では、クエン酸やエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。本発明ではこのような無機還元剤を用いることが好ましく、本発明のより好ましい態様としては、Fe2+の金属塩を還元剤として用いることが好ましい。
第二の増幅液は、銀イオンを含む化合物を含有する液である。銀イオンを含む化合物としては、例えば、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。好ましくは、水などの溶媒に対して溶解度の高い銀イオン含有化合物であり、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酪酸銀、チオ硫酸銀などが挙げられる。特に好ましくは硝酸銀である。銀錯体としては、水酸基やスルホン基など水溶性基を有する配位子に配位された銀錯体が好ましく、ヒドロキシチオエーテル銀等が挙げられる。
増幅液のその他の助剤としては、緩衝剤、防腐剤、例えば酸化防止剤または有機安定剤、速度調節剤を含む場合がある。緩衝剤としては、例えば、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウムまたはこれらのどれかの塩、又はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いた緩衝剤、その他一般的化学実験に用いられる緩衝剤を用いることができる。これら緩衝剤を適宜用いて、その増幅溶液に最適なpHに調整することができる。また、カブリ防止剤としてアルキルアミンを助剤として用いることができ、特に好ましくはドデシルアミンである。またこれら助剤の溶解性向上のため、界面活性剤を用いることができ、特に好ましくはC9H19-C6H4-O-(CH2CH2O)50Hである。
第二の増幅液をクロマトグラフキットに点着する方法としては、還元剤溶液を送液するためのパッドに、第一の増幅液を反応部位に提供した後に、第二の増幅液としての銀イオン溶液を反応部位を含む領域に上から点着して、銀イオン溶液を不溶性担体の厚み方向に浸潤させる方法が好ましい。
第一及び第二の増幅液をクロマトグラフキットに内蔵する方法としては、各増幅試薬を含む溶液を含むポットを、各増幅試薬を点着する部位の上部に配置する方法が挙げられる。還元剤溶液(第一の増幅液)を、還元剤溶液を送液するためのパッドの上部に置き、銀イオン溶液(第二の増幅液)を含むポットを銀イオン溶液充填孔のすぐ上部に設置することが好ましい。このように配置することにより、それぞれのポットを押すことで液が流れ、所定の部位に点着することができる。
本発明は、検出シグナルを増幅させるクロマトグラフ方法である。一般には、クロマトグラフ方法とは以下のような手法で被検物質を簡便・迅速・特異的に判定・測定する手法である。すなわち、被検物質と結合可能な結合物質(被検物質に結合する第二の結合物質、又は下記の第一の結合物質への結合性を有する物質に相当する;具体的には抗体、抗原等)を有する反応部位の少なくとも1つを有することが可能なクロマトグラフ担体(不溶性担体の一部)を固定相として用いる。このクロマトグラフ担体上で、被検物質に結合する第一の結合物質によって修飾された標識物質を含む液を移動層として移動させると共に、被検物質と標識物質とが特異的に結合しながら、反応部位を有する領域まで到達する。この反応部位において、被検物質と標識物質の複合体が固定化された第二の結合物質に結合することにより、又は第一の結合物質への結合性を有する物質に特異的に結合することにより、被検試料中に被検物質が存在する場合にのみ、第二の結合物質又は第一の結合物質への結合性を有する物質に標識物質が濃縮されることを利用し、それらを目視または適当な機器を用いて被検試料中に被検物質が存在することを定性及び定量的に分析する手法である。
本発明のクロマトグラフ方法及びクロマトグラフキットを用いて分析することのできる被検試料としては、被検物質を含む可能性のある試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、又は喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる擦過検体(スワブ)、うがい液、又は動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を挙げることができる。被検物質としては、例えば、天然物、毒素、ホルモン、農薬等の生理活性物質、環境汚染物質、ウイルス、抗原、抗体などが挙げられる。
本発明のクロマトグラフ方法では、被検試料をそのままで、あるいは、被検試料を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、更には、抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは抽出液を適当な方法で濃縮した形で、用いることができる。本発明で用いられる抽出用溶媒としては、通常の免疫学的分析法で用いられる溶媒(例えば、水、生理食塩液、又は緩衝液等)、あるいは、かかる溶媒で希釈することにより直接抗原抗体反応を実施することができる水混和性有機溶媒を用いることもできる。
本発明のクロマトグラフ方法を行うためのクロマトグラフ用キットにおいては、クロマトグラフ用ストリップを組み込み使用することができる。使用することのできるクロマトグラフ用ストリップとしては、通常のクロマトグラフ法に用いることができるクロマトグラフ用ストリップである限り、特に限定されるものではない。
本発明において使用することができるクロマトグラフ用ストリップとしては、被検物質を含む被検試料の展開方向の上流方向から下流方向に向かって、標識物質保持領域、反応部位を有している。例えば、試料添加パッド、標識物質保持領域を有する標識物質保持パッド(例えば金コロイド抗体保持パッド)、不溶性担体である結合物質固定化メンブレン(例えば、反応部位を有するクロマトグラフ担体)、及び吸水パッドをこの順に、粘着シート上に配置する態様が好ましく用いられる。不溶性担体である結合物質を固定化したクロマトグラフ担体としては、被検物質と特異的に結合する抗体又は抗原を固定化した反応部位(テストライン)を少なくとも1つを有する領域を有し、所望により、コントロール用抗体又は抗原を固定化したコントロールラインを少なくとも1つを有する領域を更に有していてもよい。
本発明で用いる標識物質としては、金属を含む標識物質を用いることが好ましい。本発明で用いることができる金属の種類としては、好ましくは、金、銀、白金、パラジウムの貴金属や、鉄、鉛、銅、カドミウム、ビスマス、アンチモン、錫、又は水銀を用いることができ、更に好ましくは金、銀、白金、パラジウムの貴金属を用いることができる。本発明において使用できる金属を含む標識物質の好ましい形態としては、金属コロイド標識又は金属硫化物標識を用いることができる。本発明においては、金属コロイド標識としては、好ましくは、白金コロイド、金コロイド、銀コロイド、パラジウムコロイド、鉄コロイド、又は水酸化アルミニウムコロイドなどを用いることができ、金属硫化物標識としては、好ましくは、鉄、銀、鉛、銅、カドミウム、ビスマス、アンチモン、錫、又は水銀の各硫化物を用いることができる。本発明においては更に好ましくは、白金コロイド、金コロイド、銀コロイド、パラジウムコロイド、最も好ましくは金コロイドを用いることができる。金属コロイド標識として金コロイド粒子を用いる場合には、市販のものを用いてもよい。あるいは、常法、例えば塩化金酸をクエン酸ナトリウムで還元する方法(Nature Physical Science,241(1973)20等)により金コロイドを調製することができる。
本発明では、標識物質は、被検物質に結合する第一の結合物質で修飾されている。第一の結合物質とは、例えば抗原からなる被検物質に特異的に結合する抗体、抗体からなる被検物質に特異的に結合する抗原、たんぱく質、低分子化合物等からなる被検物質に結合するアプタマーなど、被検物質に対して親和性を持つ化合物であれば特に制限はない。
本発明で用いることができる不溶性担体としては、多孔性担体が好ましい。特に、ニトロセルロース膜、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等が好ましい。
本発明においては、標識物質保持領域を有する標識物質保持パッドとしては、好ましくは金コロイド保持パッドを不溶性担体(クロマトグラフ用不溶性担体)に組み込んで使用する態様が好ましい。標識物質保持パッドの素材としては、例えば、セルロース濾紙、グラスファイバー、及び不織布等を好ましく使用することができ、前述のように調製した標識物質を一定量含浸し、乾燥させて標識物質保持領域とすることができる。
本発明に用いられる不溶性担体(クロマトグラフ用不溶性担体)は更に、試料添加パッドを組み込み使用することが好ましい。試料添加パッドは、添加された被検物質を含む試料を受入れるだけでなく、試料中の不溶物粒子等を濾過する機能をも兼ねる態様が好ましい。試料添加パッドの材質としては、セルロース濾紙、ガラス繊維、ポリウレタン、ポリアセテート、酢酸セルロース、ナイロン、及び綿布等の均一な特性を有するものが挙げられる。また、分析の際、試料中の被検物質が試料添加パッドの材質に非特異的に吸着し、分析の精度を低下させることを防止するため、試料添加部を構成する材質は、予め非特異的吸着防止処理を行って用いることもできる。本発明においては、試料添加パッドは、11−4に記載した標識物質保持領域を有する標識物質保持パットを兼ねていてもよい。
本発明においては、吸水パッドを不溶性担体(クロマトグラフ用ストリップ)に好ましく組み込んで用いることができる。吸水パッドは、添加された試料がクロマト移動により物理的に吸収されると共に、クロマトグラフ担体の検出部に不溶化されない未反応標識物質等を吸収除去する部位であり、セルロ−ス濾紙、不織布、布、セルロースアセテート等吸水性材料が用いられる。添加された試料のクロマト先端部が吸水パッドに届いてからのクロマトの速度は、吸水パッドの材質、大きさなどにより異なるので、その選定により被検物質の測定に合った速度を設定することができる。
以下、本発明のクロマトグラフ方法について、その具体的な実施態様であるサンドイッチ法について説明する。
サンドイッチ法では、特に限定されるものではないが、例えば、以下の手順により被検物質の分析を実施することができる。まず、被検物質(例えば抗原)に対して特異性を有する第一の結合物質(例えば、第1抗体)及び第二の結合物質(例えば、第2抗体)を、先に述べた方法により予め調製しておく。また、第一の結合物質で、予め標識物質を修飾しておく。第二の結合物質を、適当なクロマトグラフ担体(不溶性担体)(例えば、ニトロセルロ−ス膜、ガラス繊維膜、ナイロン膜、又はセルロ−ス膜等)上に固定して反応部位とし、被検物質を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)と接触させると、その被検試料中に被検物質が存在する場合には、第二の結合物質との結合(例えば、第二抗体との抗原抗体反応)が起こる。被検物質と第二の結合物質との結合と同時又は結合後に、更に第一の結合物質で修飾した標識物質を過剰量接触させると、被検試料中に被検物質が存在する場合には、固定化された第二の結合物質と被検物質と第一の結合物質で修飾した標識物質とからなる複合体が形成される。
本発明のクロマトグラフ方法は、被検物質に結合する第一の結合物質で修飾した標識物質と、被検物質に結合する第二の結合物質、又は被検物質に結合する第一の結合物質への結合性を有する物質を含んだ不溶性担体とを備えたクロマトグラフキットを用いて実施することができる。その場合、クロマトグラフキットは、被検物質に結合する第一の結合物質で修飾した標識物質を予め不溶性担体上に備えているものでもよい。あるいは、クロマトグラフキットは、被検物質に結合する第一の結合物質で修飾した標識物質を不溶性担体とは別に備えているものでもよい。この場合、不溶性担体とは別に備えられた標識物質を被検試料と混合した後に不溶性担体上を展開するなどの方法で測定を行うことができる。本発明のクロマトグラフ用キットは、洗浄液、および増幅液を備えるものであり、好ましくは、銀を含む化合物及び銀イオンを還元し得る還元剤を含む増幅液を備えることができる。クロマトグラフ用キットを構成する各素材の例、および好ましい範囲は、クロマトグラフ方法等で記載した例、範囲を好ましく用いることができる。
A.被検物質に結合する第一の結合物質で修飾した標識物質と、
B.被検物質に結合する第二の結合物質、または被検物質に結合する第一の結合物質への結合性を有する物質を含む反応部位を備えた不溶性担体、
C.ヨウ化カリウム、尿素及びグアニジンの少なくとも一種を含む洗浄液、
D.銀イオンを還元し得る還元剤を含む第一の増幅液、及び
E.銀イオンを含む化合物を含む第二の増幅液、
とを含むクロマトグラフキットが提供される。
被検物質に結合する第一の結合物質で修飾した標識物質は、不溶性担体上に配置されていてもよいし、不溶性担体とは別に備えていてもよい。
(1−1)抗インフルエンザA型抗体修飾金コロイドの作製
(1−1−1)F(ab’)2断片化抗インフルエンザA型ウイルス抗体の作製
抗インフルエンザA型ウイルス抗体(品番7307、メディックスバイオケミカ社製)を使用し、ImmunoPureIgG1 Fab and F(ab’)2 Preparation Kit(品番 44880、ピアース社製)を用いて、F(ab’)2断片化抗インフルエンザA型ウイルス抗体を作製した。
直径50nm金コロイド溶液(EM.GC50、BBI社製)9mLに50mmol/L KH2
PO4バッファー(pH7.5)1mLを加えることでpHを調整した金コロイド溶液に、160μg/mLの(1−1−1)で作製したF(ab’)2断片化抗インフルエンザA型ウイルス抗体溶液1mLを加え攪拌した。10分間静置した後、1質量%ポリエチレングリコール(PEG 分子量20000、品番168−11285、和光純薬社製)水溶液を550μL加え攪拌し、続いて10質量%牛血清アルブミン(BSA FractionV、品番A−7906、SIGMA社)水溶液を1.1mL加え攪拌した。この溶液を遠心分離機(HimacCF16RX、日立(株)社製)を用いて8000×g、4℃の条件で、30分間遠心分離した後、1mL程度を残して上澄み液を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散した。再分散後の金コロイドを、20mLの金コロイド保存液(20mmol/L Tris-HClバッファー(pH8.2), 0.05質量%PEG(分子量20000), 150mmol/L NaCl、1質量%BSA)に添加して分散し、再び8000×g、4℃、30分間遠心した後、1mL程度を残して上清を取り除き、超音波洗浄機により金コロイドを再分散し、抗インフルエンザA型断片化抗体修飾金コロイド(直径50nm)溶液を得た。
(1−1−2)で作成した抗インフルエンザA型断片化抗体修飾金コロイドを、金コロイド塗布液(20mmol/L Tris-HClバッファー(pH8.2), 0.05質量%PEG(分子量20000), 5質量% スクロース)及び水で希釈し、520nmのAbsorbanceが0.04となるように希釈した。この溶液を、8mm×150mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社製)1枚あたり0.8mLずつ均一に塗布し、12時間減圧乾燥した後、8mm×5mmに裁断することで金コロイド抗体保持パッド(標識物質保持パッド)を得た。金コロイド抗体を保持する部分が、標識物質保持領域に相当する。
25mm×200mmに切断したニトロセルロースメンブレン(プラスチックの裏打ちあり、HiFlow Plus HF180、ミリポア社製)に関し以下のような方法により抗体を固定し抗体固定化メンブレンを作成した。メンブレンの長辺を下にし、下から7mmの位置に、1.5mg/mLとなるように調製した固定化用抗インフルエンザA型モノクローナル抗体(Anti−Influenza A SPTN−5 7307、Medix Biochemica社製)溶液(スクロース、BSA含有)をインクジェット方式の塗布機(BioDot社製)を用いて幅0.7mm程度のライン状に塗布し、反応部位とした。このラインをテストラインと呼ぶ。同様に、下から13mmの位置に、0.5mg/mLとなるように調製したコントロール用抗マウスIgG抗体(抗マウスIgG(H+L)、ウサギF(ab’)2、品番566−70621、和光純薬社製)溶液をライン状に塗布した。このラインをコントロールラインと呼ぶ。塗布したメンブレンは、室温で12時間乾燥した後、乾燥剤と同梱して50℃で2日間乾燥した。
バック粘着シート(ARcare9020、ニップンテクノクラスタ社製)に、(1−3)で作成した抗体固定化メンブレンを貼り付けた。その際メンブレン長辺側のうち、テストライン側を下側とする。抗体固定化メンブレンの下側に約2mm重なるように、(1−2)で作成した複数の金コロイド抗体保持パッドをそれぞれ並列に貼り付け、約4mm重なるようにして金コロイド抗体保持パッド下側に試料添加パッド(18mm×250mmに切ったグラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社製))を重ねて貼り付けた。さらに、抗体固定化メンブレンの上側には約5mm重なるように吸水パッド(80mm×250mmに切ったセルロース・グラス膜(CF6、ワットマン社製))を重ねて貼り付けた。得られたクロマトグラフストリップのシートを、幅7mmずつに裁断して、クロマトグラフストリップを得た。
超純水にKI(和光純薬社製)を溶解し、KI液200mmol/Lの溶液(NaOHでpH7に調整)を準備し、洗浄液1とした。
(1−6−1)還元剤溶液(第一の増幅液)の作製
水290gに、硝酸鉄(III)九水和物(095−00995、和光純薬社製)を水に溶解して作製した1mol/Lの硝酸鉄水溶液23.6mL、クエン酸(038−06925、和光純薬社製)13.1gを溶解させた。全て溶解したら、スターラーで攪拌しながら硝酸(10重量%)を36ml加え、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物(091−00855、和光純薬社)を60.8g加えこれを還元剤溶液とした。
水66gに、硝酸銀溶液8mL(10gの硝酸銀を含む)と1mol/Lの硝酸鉄水溶液24mLを加えた。さらに、この溶液と、硝酸(10重量%)5.9mL、ドデシルアミン(123−00246、和光純薬社製)0.1g、界面活性剤C12H25-C6H4-O-(CH2CH2O)50H 0.1gをあらかじめ47.6gの水に溶解した溶液を混合し、これを銀イオン溶液とした。
A型模擬陽性検体(BD FluエグザマンコントロールA+B−(ベクトン・ディッキンソン社製))を、トリスバッファ(5質量% Tween含有)で希釈した液を抗原を含む被検試料とした。また、トリスバッファ(5質量%Tween含有)のみを用いて、抗原を含まない被検試料とした。
図1に示す第1のデバイス部品(射出成形によるポリプロピレン製)1に、図1で示すようにクロマトグラフストリップを装填した。次に、図2に示すように第2の不溶性担体3および第3の不溶性担体4として、グラスファイバーパッド(Glass Fiber Conjugate Pad、ミリポア社製)を装填した第2のデバイス部品(射出成形によるポリプロピレン製)2を載せた。この時点ではクロマトグラフストリップと2〜4の部材は接触していない。
(2−1−1)被検試料の点着・展開
A型模擬陽性検体(BD FluエグザマンコントロールA+B−(ベクトン・ディッキンソン社))を、トリスバッファ(5質量% Tween含有)で希釈した液、あるいはトリスバッファ(5質量%Tween含有)のみを、(1−4)で作成した試験用クロマトグラフキットの試料添加パットに140μL点着し、11分間静置した。
被検試料を11分間展開した後、第2のデバイス部品2を50ニュートンの力で押し、不溶性担体3及び4をクロマトグラフストリップに接触させた。その後すぐに第2のデバイス部品2の洗浄液点着孔5に(1−5)で作製した洗浄液1(KI溶液、200mmol/L、pH7)120μLを添加した。こうして洗浄液をクロマトグラフストリップの長軸方向に対して90度方向から80秒間送液した。この工程によりクロマトグラフストリップ上の反応部位以外の部位と非特異的に吸着した標識が洗浄された。
(2−1−2)の洗浄を行った後、第2のデバイス部品2を取替えた。新しい第2のデバイス部品2を50ニュートンの力で押し、不溶性担体3及び4をクロマトグラフストリップに接触させた。その後すぐに第2のデバイス部品2の洗浄液点着孔5 に(1−6−1)で作製した還元剤液120μLを添加した。こうして還元剤液をクロマトグラフストリップの長軸方向に対して90度方向から80秒間送液した。この工程によりクロマトグラフストリップ上に残存している洗浄液成分を洗い流すと共に、銀増幅のための還元剤液が供給された。
第2のデバイス部品2に設けられた銀イオン溶液点着孔6から(1−6−2)で作製した銀イオン溶液を滴下し、銀増幅反応を1分間行った。増幅後、クロマトグラフストリップを取り出し、3分間水洗した。
水洗したクロマトグラフストリップを画像解析装置(LAS4000、GEヘルスケア社製))で撮影し、テストラインΔOD (テストラインと、クロマトグラフストリップの非抗体固定化部位の光学濃度(OD)差)を算出した。抗原を含む場合のテストラインのΔODをシグナル(S)、抗原を含まない場合のテストラインのΔODを偽陽性(N)と定義した。
KIを尿素(和光純薬社製)に変更した以外は洗浄液1の作製と同様にして、尿素溶液(200mmol/L、pH7)を作製し、実施例1と同様にしてテストライン濃度値を算出した。
KIをグアニジン塩酸塩(和光純薬社製)に変更しNaOHでpH調整した以外は洗浄液1の作製と同様にして、グアニジン溶液(200mmol/L、 pH7)を作製し、実施例1と同様にしてテストライン濃度値を算出した。
抗原を含む被検試料を11分間展開した後、試料添加パット及び標識物質保持パッド(金コロイド抗体保持パット)を除去し、試料添加パットの位置に新たにグラスファイバーパッドを貼り付け、KI溶液(200mmol/L、pH7) 120μLを添加した。こうして洗浄液をクロマトグラフストリップの長軸方向に対して0度方向から300秒間送液した。この工程によりクロマトグラフストリップ上の反応部位以外の部位に非特異的に吸着した標識が洗浄された。その後の操作は実施例1と同様に行った。
洗浄液を使用せずに評価を行った。すなわち、(2−1−2)の工程を行わず、その他は実施例1と同様に行った。
洗浄液を超純水(pH7)に変更した以外は実施例1と同様に行った。
洗浄液をNaCl溶液(200mmol/L、pH7)に変更した以外は実施例1と同様に行った。
実施例1と同様に、KI溶液(200mmol/L、pH7)120μLでクロマトグラフストリップの長軸方向に対して90度の方向から洗浄を行った。その後、クロマトグラフストリップを、還元剤液と銀イオン溶液を4:1(容量比)で混合した液に浸し、1分間増幅した。即ち、還元剤液による洗浄液成分の洗い流し工程を行わない例である。
実施例1から4及び比較例1から4の結果を表1に示す。表1より、銀増幅反応の前に洗浄液で不溶性担体を洗浄して、クロマトグラフストリップの反応部位以外の部位に非特異的に吸着した金コロイドを洗い流すことにより、バックグラウンド濃度が低下しているのがわかる。しかしながら、超純水で洗浄すると、不溶性担体に固定化していた抗体が洗い流されるため、シグナル(S)が高くならなかった。一方、洗浄液にNaClを添加すると、抗体の洗い流しが抑制されるためにシグナル(S)は高くなるが、偽陽性(N)も高かった。洗浄液にKI、尿素又はグアニジンを添加すると、シグナルを高くすると共に偽陽性が抑制され、15以上の高いS/N比が達成できた。
(実施例5)
洗浄液をKI溶液(50mmol/L, pH7)に変更した以外は実施例1と同様に行った。
洗浄液をKI溶液(800mmol/L, pH7)に変更した以外は実施例1と同様に行った。
洗浄液を尿素溶液(50mmol/L, pH7) に変更した以外は実施例1と同様に行った。
洗浄液を尿素溶液(800mmol/L, pH7) に変更した以外は実施例1と同様に行った。
実施例1、2及び5〜8の結果を表2に示す。表2より、洗浄液中の成分濃度が50〜800mmol/Lで、15以上の高いS/N比が達成されていることがわかった。
2 第2のデバイス部品
3 第2の不溶性担体
4 第3の不溶性担体
5 洗浄液あるいは還元剤液供給孔
6 銀イオン溶液点着孔
7 クロマトグラフ用ストリップ
8 標識物質保持パッド
9 試料添加パッド
10 吸水パッド
11a 反応部位(テストライン)
11b コントロールライン
Claims (16)
- a. 被検物質と、該被検物質に結合する第一の結合物質で修飾された標識物質と、の複合体を不溶性担体上に展開する工程、
b. 前記被検物質に結合する第二の結合物質、または前記第一の結合物質への結合性を有する物質を含む不溶性担体上の反応部位において、前記複合体を捕捉する工程、
c. 前記工程bの後に、ヨウ化カリウム、尿素及びグアニジンの少なくとも一種を含む洗浄液を用いて前記不溶性担体を洗浄する工程、
d. 前記不溶性担体に残存する前記洗浄液を、前記不溶性担体から洗い流す工程、及び
e. 前記反応部位に捕捉された前記複合体の標識物質を増幅する工程、
とを含むクロマトグラフ方法。 - 前記工程dにおいて、銀イオンを還元し得る還元剤を含む第一の増幅液を用いて、前記洗浄液を、前記不溶性担体から洗い流し、工程eにおいて、銀イオンを含む化合物を含む第二の増幅液を用いて前記複合体の標識物質を増幅する、請求項1に記載のクロマトグラフ方法。
- 前記工程cの洗浄液に含まれるヨウ化カリウム、尿素及びグアニジンの少なくとも一種の濃度が25mmol/L〜1000mmol/Lである、請求項1又は2に記載のクロマトグラフ方法。
- 前記工程cにおいて、ヨウ化カリウム、尿素及びグアニジンの少なくとも一種が、0.8〜300μg/mm2の量で前記不溶性担体に適用される、請求項1から3の何れか1項に記載のクロマトグラフ方法。
- 前記工程cの洗浄液を、前記被検物質の展開方向に対し45〜135度の角度となるように流す、請求項1から4の何れか1項に記載のクロマトグラフ方法。
- 前記第一の増幅液を、前記被検物質の展開方向に対し45〜135度の角度となるように流す、請求項2に記載のクロマトグラフ方法。
- 前記標識物質が、金属コロイドである、請求項1から6の何れか1項に記載のクロマトグラフ方法。
- 前記金属コロイドの金属が、金、銀、白金、あるいはパラジウムである、請求項7に記載のクロマトグラフ方法。
- 前記銀イオンを還元し得る還元剤がFe2+である、請求項2から8の何れか1項に記載のクロマトグラフ方法。
- 前記工程cの洗浄液が、ヨウ化カリウム、尿素又はグアニジンの少なくとも一種のみを含み、pH5〜8である、請求項1から9の何れか1項に記載のクロマトグラフ方法。
- A.被検物質に結合する第一の結合物質で修飾された標識物質と、
B.被検物質に結合する第二の結合物質、または前記第一の結合物質への結合性を有する物質を含む反応部位を備えた不溶性担体、
C.ヨウ化カリウム、尿素及びグアニジンの少なくとも一種を含む洗浄液、
D.銀イオンを還元し得る還元剤を含む第一の増幅液、及び
E.銀イオンを含む化合物を含む第二の増幅液、
とを含むクロマトグラフキット。 - 前記Cの洗浄液に含まれるヨウ化カリウム、尿素及びグアニジンの少なくとも一種の濃度が25mmol/L〜1000mmol/Lである、請求項11に記載のクロマトグラフキット。
- 前記標識物質が、金属コロイドである、請求項11又は12に記載のクロマトグラフキット。
- 前記金属コロイドの金属が、金、銀、白金、あるいはパラジウムである、請求項13に記載のクロマトグラフキット。
- 前記銀イオンを還元し得る還元剤がFe2+である、請求項11から14の何れか1項に記載のクロマトグラフキット。
- 前記Cの洗浄液が、ヨウ化カリウム、尿素又はグアニジンのみを含み、pH5〜8である、請求項11から15の何れか1項に記載のクロマトグラフキット。
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