JP2015105704A - 吸振体 - Google Patents

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章 松浦
Akira Matsuura
章 松浦
辰也 橋本
Tatsuya Hashimoto
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Abstract

【課題】上部架台に非常に大きな水平方向の力が加わった場合でも、水平方向の揺れをより効果的に吸収して、設備機器の転倒や損壊を効果的に防止できる吸振体を提供する。
【解決手段】係止筒部14eの上部には、水平方向の荷重を吸収し、その上面に係合孔20cが形成された水平荷重吸収部材20,20’が取り付けられており、上部ケース16の天井面には、係合突起16cが垂設されており、上下方向の押圧力によって吸振体10,10’が撓まされた状態において、少なくとも係合突起16cの先端が水平荷重吸収部材20,20’の係合孔20cに遊嵌されることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、防振架台などの防振装置に取り付けられる吸振体の改良に関する。
室外機といった設備機器から生じる振動が設置面に伝達されるのを防止するために、設備機器と設置面との間に防振架台などの防振装置を介装することが一般的に行われている。
防振架台1は、図9に示すように、設置面Gに据え付けられる矩形枠状の下部架台2と、設備機器Xが載置される矩形枠状の上部架台3と、上部架台3と下部架台2との間に設けられた吸振体4とを備えている。下部架台2の各隅部には、下部架台2から立設され、上部架台3に穿設された通孔(図示せず)に遊嵌され、且つ、上限規制ナット5aが上部架台3の隅部上方に螺着されたストッパー5が設けられており、これにより、下部架台2に対する上部架台3の垂直方向ならびに水平方向の移動が所定の範囲内に規制される。
吸振体4の一例としては、例えば、特開2006−200734号(特許文献1)に開示されている吸振体4が挙げられる。ここで、従来の吸振体4の構造について簡単に説明すると、吸振体4は、図10に示すように、荷重担持用の圧縮コイルばね6と、圧縮コイルばね6の下部に設けられ、一対の垂下片7aを介して下部架台2の所定位置に装着される下部ケース7と、圧縮コイルばね6を覆うように下部ケース7に取り付けられ、その上面に上部架台3が載置される上部ケース8とで構成されている。
圧縮コイルばね6の内側には、粘軟質材料からなるサージング防止部材9が配設されており、サージング防止部材9の粘弾性片9aが圧縮コイルばね6と接触している。
設備機器Xから生じた振動(揺れ)は、上部架台3から吸振体4に伝達され、圧縮コイルばね6の撓みによって遮断される。設備機器Xから生じたこの振動は、場合によっては圧縮コイルばね6にサージングを生じさせる場合があるが、このサージングは、圧縮コイルばね6に接触して設置されている粘弾性片9aの内部減衰によって効果的に吸収され、圧縮コイルばね6を正常に作動させる。これによって、当該振動が設置面Gへと伝わるのを確実に遮断することができる。
特開2006−200734号公報(図1、図3)
設備機器Xが搭載されている防振架台1は、吸振体4によって弾性支持されている為、地震による水平方向の揺れが防振架台1に加わると、下部架台2が上部架台3に対して、ストッパー5による規制量の範囲内で水平方向に移動し、吸振体4内部の圧縮コイルばね6の水平方向の撓みによってその振動が抑えられる。
処が、巨大地震に見舞われた場合、下部架台2が上部架台3に対して水平方向に大きく往復移動し、その結果、ローリングを伴って上部架台3が設備機器Xと共に大きく揺れる。揺れがストッパー5による規制量を超えた場合、圧縮コイルばね6の水平方向の撓みだけでは上部架台3の水平方向の揺れを抑えることが出来ず、ストッパー5が上部架台3の通孔に往復で激突し、ストッパー5に大きな力が加わる。この衝撃力がストッパー5の機械的強度を越えた時、ストッパー5の曲がりや、甚だしい場合は、折損等が生じて設備機器の転倒や損壊が発生するという問題が生じることとなる。
本発明は、かかる従来の問題に鑑みてなされたものであり、圧縮コイルばねの撓み許容限界を超えるような非常に大きな水平方向の力が加わった場合でも、水平方向の揺れをより効果的に吸収できる吸振体を提供することを目的とする。
請求項1に記載した発明は、「荷重担持用の圧縮コイルばね12と、圧縮コイルばね12の下部に設けられ、下部架台2上に取り付けられる下部ケース14と、圧縮コイルばね12の上面に設けられ、上部架台3を支持する上部ケース16と、圧縮コイルばね12の内側にて下部ケース14に立設された係止筒部14eとで構成された吸振体10,10’において、
係止筒部14eの上部には、水平方向の荷重を吸収し、その上面に係合孔20cが形成された水平荷重吸収部材20,20’が取り付けられており、
上部ケース16の天井面には、係合突起16cが垂設されており、
上下方向の押圧力によって吸振体10,10’が撓まされた状態において、少なくとも係合突起16cの先端が水平荷重吸収部材20,20’の係合孔20cに遊嵌される」ことを特徴とする吸振体10,10’である。
請求項2に記載した発明は、水平荷重吸収部材20,20’を限定したもので「水平荷重吸収部材20,20’は、ゴムブロック、又は、複数の硬質板22と、粘弾性体からなる複数の軟質板24とを交互に積層することによって形成された積層体である」ことを特徴とする。
請求項3に記載した発明は、吸振体10’の第2実施例で、「係止筒部14eには、支持棒挿通孔14hが形成されており、水平荷重吸収部材20’の下面には、棒状の支持棒26が前記支持棒挿通孔14hを貫通するように垂設されており、防振架台1の上部架台3と下部架台2との間に吸振体10’が介装された時に、支持棒26の下端が下部架台2と当接するよう支持棒26の長さが設定されている」ことを特徴とする。
請求項4に記載した発明は、圧縮コイルばね12の内周面に接触するサージング防止部材18が前記係止筒部14eに取り付けられていることを特徴とする。
請求項5に記載した発明は、圧縮コイルばね12の外周面に接触するサージング防止部材18’が設けられていることを特徴とする。
請求項1〜3に記載の吸振体10,10’によれば、設備機器Xの載荷による上下方向の押圧力によって吸振体10,10’が撓まされることにより、上部ケース16の天井面から垂設されている係合突起16cの少なくともその先端が水平荷重吸収部材20,20’の係合孔20cに遊嵌状態で嵌り込む。
この状態で、防振架台1に対して、地震のような非常に大きな水平方向の力(横揺れ)が下部架台2に加わると、圧縮コイルばね12が水平方向に撓むと同時に係合突起16cが係合孔20cの内側面に圧接し、水平荷重吸収部材20,20’を水平方向に歪ませる。この歪みによって、圧縮コイルばね12の水平方向の撓みを越えるような水平方向の力(横揺れ)、即ち、水平方向の運動エネルギーが水平荷重吸収部材20,20’によって吸収される。換言すれば、地震による下部架台2の水平方向の揺れに起因する上部架台3の水平方向の揺れが、圧縮コイルばね12が水平方向に撓み限界を超えるような場合であっても、該限界以下に効果的に抑止され、その結果、設備機器Xの転倒や損壊を効果的に防止できる。
特に、請求項3に記載の吸振体10’によれば、地震の縦揺れにより吸振体10’に上下方向の過剰な力が加わった場合であっても、圧縮コイルばね12が縮み切る前に当該力を支持棒26が受けることが出来るので、対垂直方向の耐荷重力を大幅に向上させることができ、このような場合でも圧縮コイルばね12に大きなダメージを与えることがない。
なお、圧縮コイルばね12の内又は外周面に接触するサージング防止部材18,18’を設けていることにより、設備機器X又は設置面Gから受ける振動の種類によっては発生するサージングを解消して圧縮コイルばね12のバネ性能を正常に保つことが出来る。
本発明の第1実施例の吸振体を示す斜視図である。 (A)は図1におけるI-I断面図、(B)は図1におけるII-II断面図である。 本発明の水平荷重吸収部材を上方から見た斜視図である。 本発明の水平荷重吸収部材を下方から見た斜視図である。 (A)は本発明の第1実施例の吸振体の使用状態を示す図、(B)はその変形例の部分断面図である。 本発明の第2実施例の吸振体を示す断面図である。 本発明の第2実施例の水平荷重吸収部材を上方から見た斜視図である。 本発明の第2実施例の水平荷重吸収部材を下方から見た斜視図である。 従来の吸振体が装着された防振架台の状態使用状態を示す図である。 従来の吸振体を示す図である。
以下、本発明の第1実施例である吸振体10を図面に従って詳述する。吸振体10は、図9に示すような防振架台1において、設置面Gに据え付けられる下部架台2と設備機器Xが載置される上部架台3との間に配設され、設備機器Xの荷重を受けると共に、設備機器Xから伝えられた振動を吸収するものである。
本実施例の吸振体10は、図1〜図2に示すように、圧縮コイルばね12、下部ケース14、上部ケース16、必要に応じて設けられるサージング防止部材18および水平荷重吸収部材20によって大略構成されている。本実施例ではサージング防止部材18を設けた例を示すが、省略可能である。
圧縮コイルばね12は、バネ用のステンレス鋼或いはばね鋼といったばね性を有する金属からなる線材を螺旋状に巻回することによって形成されたもので、一般的な吸振体に用いられる圧縮コイルばねと同様、防振架台1に載置される設備機器Xの荷重や設備機器Xから生じる振動等の条件に応じて、(線材の)線径、(線材をコイル状に巻回するときの)コイル径、コイルピッチ、自由高さ或いは許容荷重時高さ等が最適に設定されている。
下部ケース14は、圧縮コイルばね12の下端に取り付けられると共に、下部架台2の上部に装着される部材であり、矩形ブロック状の本体14aと、本体14aの両側から垂設され、下部架台2の上面に嵌め込まれる左右一対の垂下片14bと、本体14aの上面中央に設けられ、圧縮コイルばね12の外周と等しい或いは圧縮コイルばね12の外周よりも大きな内径を有する円形のリング壁14kと、リング壁14kの内側にて圧縮コイルばね12の下端部が収納されるリング溝14cを介してリング溝14cの内周側に立設された係止筒部14eとで構成され、係止筒部14eには、上下に貫通する支持棒挿通孔14hが穿設されている。そして、リング壁14kの外周面には、後述する上部ケース16の嵌合フック部16dが嵌め込まれる周方向溝14dが全周に亘って凹設されている。本体14aの下面には、支持棒挿通孔14hの周囲に底蓋取付リング溝14mが凹設されている。
係止筒部14eの中心に設けられている前述の支持棒挿通孔14hは、後述する第2実施例の水平荷重吸収部材20’の支持棒26が挿通される「孔」として機能するものである(この点については後述する)。
そして、この支持棒挿通孔14hの上端部内側面には、内鍔14fがその全周に亘って突設されており、内鍔14fで囲まれた嵌合孔14gに、後述する水平荷重吸収部材20の装着部20bが嵌め込まれている。
本実施例において、下部ケース14を構成している本体14a、垂下片14b、係止筒部14e、内鍔14fならびにリング壁14kは一体的に形成されており、その材質としては、耐候性と耐衝撃性とを有する塩ビ系やポリプロピレン系などの樹脂が用いられている。
本実施例における上部ケース16は、圧縮コイルばね12を覆い、粉塵等から圧縮コイルばね12を保護するためのもので、圧縮コイルばね12の上部に被せられるキャップ部16aと、キャップ部16aの周縁から下方へ延ばされた蛇腹円筒状の外囲部16bとで一体的に構成されている。上部ケース16の材質として、本実施例では、弾性と耐候性とを備える熱可塑性エラストマが用いられている。なお、圧縮コイルばね12を覆う必要がなければ外囲部16bは必ずしも必要とはされない。本実施例では外囲部16bを設けたものを例として説明する。
キャップ部16aは、下面開口の円形キャップ状のもので、その厚手の天井下面中央部分には、円錐台状の係合突起16cが、その小径側が下向きとなるように垂設されており、キャップ部16aの外周下縁から蛇腹状円筒体の外囲部16bが一体的に垂設され、外囲部16bの下端部には、嵌合フック部16dが内周面全周に亘って突設されている。そして、キャップ部16aの天井下面には、金属リング板製の上補強プレート16eが配設されている。前記の上補強プレート16eの中央通孔に係合突起16cが挿入されて垂設されている。
無負荷の状態では、圧縮コイルばね12の上端部分が自然長の状態において、キャップ部16aの下面開口の収納空所16fに嵌め込まれ、該収納空所16fに配設されている上補強プレート16eに当接している。そして、負荷状態となると、前記係合突起16cが後述する水平荷重吸収部材20の係合孔20cに遊嵌状態にて嵌り込むように係合孔20cの直上の位置に位置する。勿論、無負荷状態で前記係合突起16cが係合孔20cに遊嵌状態にて嵌り込むようになっていてもよい。
サージング防止部材18は、円筒状の筒部18aと、筒部18aの下端部から径方向に延設された係合鍔部18bと、筒部18aの外周面に放射状に突設された複数の粘弾性片18cとで構成されている。図2(B)では、粘弾性片18cが圧縮コイルばね12の内周に接するため、L形に屈曲している。図5(B)は、他のサージング防止部材18’で、圧縮コイルばね12の外周に接触させて配設した例である。
本実施例では、サージング防止部材18の全体が衝撃振動吸収性、内部減衰に優れ、外力を受けてもほとんど反発せず、エネルギーを吸収する性質を持つ低反発ゴムのような粘弾性部材で形成されているが、勿論これに限られず、筒部18aのみ又は筒部18aと係合鍔部18bを鉄や真鍮のような金属部材とし、筒部18aに粘弾性部材で構成された粘弾性片18cを突設するようにしてもよい。係合鍔部18bを粘弾性部材で構成すれば、下部ケース14と圧縮コイルばね12とを絶縁することも可能であり、より好ましい。
水平荷重吸収部材20の第1実施例は、図3〜図4に示すように、円筒状の水平荷重吸収部材本体20aと、水平荷重吸収部材本体20aの下端部に設けられた装着部20bとで大略構成されている。水平荷重吸収部材本体20aの中心に設けられているストレートの孔が、上部ケース16の係合突起16cが嵌り込む係合孔20cである。
水平荷重吸収部材本体20aの一例は、例えば円盤状に形成された複数(本実施例では4枚)の硬質板22と、硬質板22と同様、例えば円盤状に形成された複数(本実施例では4枚)の軟質板24とを交互に積層することによって円筒状の積層体として構成されている。この場合、最上部が軟質板24である。(なお、水平荷重吸収部材本体20aの形状は前述のように円盤状部材の積層体に限られず、多角形でもよいし、構造は上記積層体に限らず、積層体に替えてゴムブロック単体でもよい。)
硬質板22の材質としては、硬質材料、より具体的には、鉄鋼やステンレス鋼といった圧延鋼材(SS400)が用いられている。
一方、軟質板24は、粘弾性を有する合成樹脂(粘弾性体)によって形成されており、より具体的には、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)が用いられている。
軟質板24の厚みは、硬質板22よりも分厚く設定されており、本実施例では、硬質板22の厚みに対して約1.5倍の厚となるように設定されている。
水平荷重吸収部材本体20aの下面には、装着部20bが取り付けられている。装着部20bは、その外径が係止筒部14eの上端部内側面に形成された嵌合孔14gと大略等しく設定されており、この嵌合孔14gに装着部20bが嵌り込むことによって、下部ケース14の上端部に取り付けられた水平荷重吸収部材20の水平方向への移動が規制される。
吸振体10を使用する際には、図9に示す従来の防振架台1と同様、下部架台2の上面の所定箇所(少なくとも四隅)のそれぞれに吸振体10を装着し、吸振体10の上に上部架台3を載置し、更にその上に設備機器Xを載架する。
すると、図5(A)に示すように、吸振体10の圧縮コイルばね12が上部架台3や設備機器Xの重量によって撓み、上部ケース16の係合突起16cが水平荷重吸収部材20の係合孔20cに遊嵌状態で嵌り込む。
このとき、係合突起16cは下向きの円錐台状に形成されているため、係合突起16cの外側面と係合孔20cの内側面との間には、僅かな隙間が存在するが、この隙間の大きさは、圧縮コイルばね12の撓み量(係合突起16cの係合孔20cへの嵌合度合い)によって変化する。(なお、係合突起16cは上記と異なり、図示していないが、円柱状でもよく、その場合には圧縮コイルばね12の撓み量によってこの隙間の大きさは変化しない。)
以上のように、本実施例の吸振体10が組み込まれた防振架台1の使用時において、通常時には、設備機器Xで発生した振動が上部架台3を介して吸振体10に伝えられる。すると、この振動は、圧縮コイルばね12の小さな伸縮の繰り返しによって設置面Gへの伝達が遮断される。また、設備機器Xで発生した振動の種類によっては、圧縮コイルばね12にサージングが生じるが、圧縮コイルばね12のサージングは、サージング防止部材18を構成する粘弾性片18cの内部減衰によって吸収される。
一方、巨大地震が発生し、下部架台2が上部架台3に対して激しい相対的水平往復移動を生じると、その結果、上部架台3に載置された設備機器が水平方向に過剰に振動し、且つローリングを生じる。例えば、上部架台3が下部架台2に対して図5(A)における右方向に移動した場合を一例として取り上げると、上部ケース16が下部ケース14に対して水平方向(図5(A)の右方向)に移動すると、吸振体10の下部ケース14は下部架台2に取り付けられており、上部ケース16は上部架台3に取り付けられているので、圧縮コイルばね12は水平方向に大きく撓む。同時に、上部ケース16の係合突起16cが水平荷重吸収部材20の係合孔20cの内側面に押圧され、水平荷重吸収部材20の複数の軟質板24を水平方向に僅かずつ撓ませ、全体として上部ケース16の移動量だけ撓む。その結果、上部架台3の水平方向の運動エネルギーが上部ケース16の係合突起16cを介して水平荷重吸収部材20に伝えられる。
即ち、水平荷重吸収部材20は、その下端部に設けられている装着部20bが嵌合孔14gに嵌り込んでおり、下部ケース14に対してその左右方向の移動が規制されている。従って、水平荷重吸収部材20に水平方向の力が加わると、水平荷重吸収部材20の下端側に対して上端側が水平方向(図5(A)で言えば右方向)に移動しようとして軟質板24が変形し(撓み)、これにより、水平荷重吸収部材20に加わる水平方向の運動エネルギーが吸収される。
圧縮コイルばね12に加わる水平方向の運動エネルギーは、水平荷重吸収部材20により吸収された水平方向の運動エネルギー分減殺されることとなるので、水平方向の振動をより効果的に抑止することが可能となる。しかも、水平荷重吸収部材20は、通常、遊嵌状態で保持され、圧縮コイルばね12と直接接触していないため、圧縮コイルばね12のバネ特性が損なわれることはない。
図6は、吸振体10’の他の実施例である。吸振体10’は、水平荷重吸収部材20’の下面に支持棒26が設けられている以外は、上述実施例の水平荷重吸収部材20と同様であるので、以下には、相違点部分だけ説明することとする。
第2実施例の吸振体10’は、圧縮コイルばね12、下部ケース14、上部ケース16、サージング防止部材18および水平荷重吸収部材20’によって大略構成されている。
水平荷重吸収部材20’は、図7〜図8に示すように、円筒状の水平荷重吸収部材本体20aと、水平荷重吸収部材本体20aの下面に設けられた装着部20bと、装着部20bの下面に取り付けられた支持棒26とで大略構成されている。(水平荷重吸収部材本体20aは前述のようにゴムブロック単体で構成してもよい。)
支持棒26は、鋼などの硬質部材からなる棒状あるいは管状のもので、係止筒部14eの中心に設けられている支持棒挿通孔14hに挿通されている。
支持棒26の長さは、水平荷重吸収部材20’をサージング防止部材18に取り付けたときに、支持棒26の下端が下部架台2の上面と当接するよう、適宜設定されている。
この実施例の吸振体10’においても、地震の水平方向の揺れに対しては、上述実施例の吸振体10と同様の作用効果を得ることが出来る。また、水平荷重吸収部材20’の下面側に支持棒26が設けられているので、吸振体10’に対して上下方向の過剰な力が加わった場合であっても、当該力を支持棒26が受けることが出来、対垂直方向の耐荷重力を大幅に向上させることができる。
即ち、上部ケース16に大きな圧下力(又は、下部ケース14に下から突き上げる力)が加わった時、下向き円錐台状の係合突起16cの傾斜した外周面が水平荷重吸収部材20a’の係合孔20cに圧入され、軟質板24の係合孔20cを押し広げようとすると同時に、積層された軟質板24を圧縮しようとする。これにより、軟質板24の圧縮限界まで圧縮されるとそれ以上は変形せず、圧縮コイルばね12は過剰に圧縮されず、ダメージから守られる。この時、軟質板24の圧縮によって上下方向の力は軟質板24に吸収される。
[実施例]
バネ定数が異なる6種類の圧縮コイルばねを用意し、これを吸振体10の圧縮コイルばねとして組み込んだものを実施例1〜6とした。そして、実施例1〜6に荷重を加えていき、10mm撓ませるのに必要な荷重をモニタリングした。その後、10mm撓ませた状態から撓み量が0mmとなるまで荷重を除荷していき、その時の荷重をモニタリングした。その結果をグラフ1〜6に示す。
[比較例A]
実施例1〜6で用いたのと同じバネ定数の圧縮コイルばねをそれぞれ用意し、これを水平荷重吸収部材20が設けられていない吸振体に組み込んだものを比較例A1〜A6とした。そして、実施例1〜6と同様、比較例A1〜A6に荷重を加えていき、圧縮コイルばねを10mm撓ませるのに必要な荷重をモニタリングした。その後、10mm撓ませた状態から撓み量が0mmとなるまで荷重を除荷していき、その時の荷重をモニタリングした。その結果をグラフ1に示す。
[比較例B]
実施例1〜6で用いたのと同じバネ定数の圧縮コイルばねをそれぞれ用意し、これを比較例B1〜B6とした。そして、実施例1〜6や比較例A1〜A6と同様、圧縮コイルばねを10mm撓ませるのに必要な荷重をモニタリングした。その後、10mm撓ませた状態から撓み量が0mmとなるまで荷重を除荷していき、その時の荷重をモニタリングした。その結果をグラフ1〜6に示す。
[グラフ1]
[グラフ2]
[グラフ3]
[グラフ4]
[グラフ5]
[グラフ6]
グラフ1〜6を見て分かるように、何れの場合も、水平荷重吸収部材20を設けることによって吸振体10の耐荷重が大幅に向上していることが分かった。これにより、水平荷重吸収部材20を設けることの有用性が実験的にも証明された。
1:防振架台、2:下部架台、3:上部架台、4:吸振体、5:ストッパー、5a:上限規制ナット、6:圧縮コイルばね、7:下部ケース、7a:垂下片、8:上部ケース、9:サージング防止部材、9a:粘弾性片、10,10’:吸振体、12:圧縮コイルばね、14:下部ケース、14a:本体、14b:垂下片、14c:リング溝、14d:周方向溝、14e:係止筒部、14f:内鍔、14g:嵌合孔、14h:支持棒挿通孔、14j:下補強プレート、14k:リング壁、14m:底蓋取付リング溝、16:上部ケース、16a:キャップ部、16b:外囲部、16c:係合突起、16d:嵌合フック部、16e:上補強プレート、16f:収納空所、18,18’:サージング防止部材、18a:筒部、18b:係合鍔部、18c:粘弾性片、20,20’:水平荷重吸収部材、20a:水平荷重吸収部材本体、20b:装着部、20c:係合孔、22:硬質板、24:軟質板、26:支持棒、G:設置面、X:設備機器


Claims (5)

  1. 荷重担持用の圧縮コイルばねと、前記圧縮コイルばねの下部に設けられ、下部架台上に取り付けられる下部ケースと、前記圧縮コイルばねの上面に設けられ、上部架台を支持する上部ケースと、前記圧縮コイルばねの内側にて前記下部ケースに立設された係止筒部とで構成された吸振体において、
    前記係止筒部の上部には、水平方向の荷重を吸収し、その上面に係合孔が形成された水平荷重吸収部材が取り付けられており、
    前記上部ケースの天井面には、係合突起が垂設されており、
    上下方向の押圧力によって吸振体が撓まされた状態において、少なくとも前記係合突起の先端が前記水平荷重吸収部材の係合孔に遊嵌されることを特徴とする吸振体。
  2. 前記水平荷重吸収部材は、ゴムブロック、又は、複数の硬質板と、粘弾性体からなる複数の軟質板とを交互に積層することによって形成された積層体であることを特徴とする請求項1に記載の吸振体。
  3. 前記係止筒部には、支持棒挿通孔が形成されており、前記水平荷重吸収部材の下面には、棒状の支持棒が前記支持棒挿通孔を貫通するように垂設されており、防振架台の上部架台と下部架台との間に吸振体が介装された時に、前記支持棒の下端が下部架台と当接するよう前記支持棒の長さが設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸振体。
  4. 前記圧縮コイルばねの内周面に接触するサージング防止部材が前記係止筒部に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸振体。
  5. 前記圧縮コイルばねの外周面に接触するサージング防止部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の吸振体。


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