JP2016124939A - 医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記要件(1)を満たす、医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シート。
要件(1):前記医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シートから2.0gの試験片を切り出し、該試験片を容量22mLの容器に入れ密封し、140℃で5分間加熱し、加熱により生じた気体600μLをGC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)で測定した時に、空気のピーク面積を100とした場合の前記試験片からの全発生ガス成分のピーク面積の合計割合が、15ppc以下である
【選択図】なし
Description
現在の市場で使用されている医薬品包装用PVCシートもその多くが、ジオクチルスズ等のスズ系安定剤を含むシートである。
本発明の構成例は以下のとおりである。
要件(1):前記医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シートから2.0gの試験片を切り出し、該試験片を容量22mLの容器に入れ密封し、140℃で5分間加熱し、加熱により生じた気体600μLをGC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)で測定した時に、空気のピーク面積を100とした場合の前記試験片からの全発生ガス成分のピーク面積の合計割合が、15ppc以下である
本発明の医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シート(以下単に「PVCシート」ともいう。)は、下記要件(1)を満たす。
要件(1):前記医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シートから2.0gの試験片を切り出し、該試験片を容量22mLの容器に入れ密封し、140℃で5分間加熱し、加熱により生じた気体600μLをGC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)で測定した時に、空気のピーク面積を100とした場合の前記試験片からの全発生ガス成分のピーク面積の合計割合が、15ppc以下である
前記医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シートからの全発生ガス成分のピーク面積の合計割合は、より好ましくは10ppc以下である。
本発明のPVCシートの厚みも特に制限されないが、ブリスターパックへの成形性等の点から、好ましくは30〜500μmであり、より好ましくは50〜300μmである。
化合物(A)を用いることで、低臭気のPVCシートが得られ、さらには、従来の安定剤が有していた、塩化ビニル系樹脂の熱による劣化等に対する優れた安定性と同程度あるいはそれ以上の安定性を有しながらも、紫外線カット能、可視光透過性および透明性にも優れるPVCシートが得られる。
近年毒性が発見されたスズ系安定剤の代わりに化合物(A)を用い、スズ系安定剤を用いた場合と同程度あるいはそれ以上の優れた安定性を有しながらも、安全性、低臭気、紫外線カット能および透明性に優れるこのようなPVCシートは、産業上、特に医薬品包装分野において有用である。つまり、本発明では、化合物(A)を用いる場合、スズ系安定剤を用いないことが好ましい。
このような化合物(A)を用いることで、従来から使用されていたスズ系安定剤を用いなくても、従来と同程度あるいはそれ以上の熱安定性等の安定性を維持したまま、低毒性の材料からなり、特に、臭気が少なく、紫外線カット能に優れる医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シートを得ることができる。
さらに、このような化合物(A)を用いることで、低温でブリスターパックを形成できるPVCシートを得ることができる。
化合物(A)の含有量が前記範囲にあると、より、高熱安定性、低臭気、高紫外線カット能および高透明性にバランス良く優れるPVCシートを得ることができ、特に、ブリスターパック用として好適なPVCシートを得ることができる。
本発明のPVCシートに含まれる塩化ビニル系樹脂(B)としては、特に制限されず、従来公知の、医薬品包装用のシートに使用されてきた塩化ビニル系樹脂であればよい。
なお、本発明のPVCシートに含まれる樹脂(B)は、1種単独であってもよく、2種以上であってもよい。
これらのうち、塩化ビニルの単独重合体が好ましい。
本発明のPVCシートは、必要に応じて、化合物(A)および樹脂(B)以外の他の成分(C)を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
これらの他の成分(C)は、それぞれ、1種単独で本発明のPVCシートに使用してもよく、2種以上を本発明のPVCシートに使用してもよい。
前記柔軟剤としては、PVCシートに従来用いられてきた柔軟剤を使用することができ、特に制限されないが、得られるPVCシートの耐衝撃性を向上させる等の点から、ブチルアクリレート−メチル(メタ)アクリレート共重合体、ブチルアクリレート−スチレン−メチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、エポキシ変性エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン共重合体等の耐衝撃性改良樹脂が好ましい。
前記可塑剤としては、PVCシートに従来用いられてきた可塑剤を使用することができ、特に制限されないが、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジイソデシルフタレート(DIDP)等のフタル酸エステル系可塑剤;ジ−2−エチルヘキシルアジペート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIBA)、ジブチルアジペート(DBA)等の脂肪酸エステル系可塑剤;エポキシ化アマニ油、エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化サフラワー油、エポシキ化アマニ油脂肪酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等のエポキシ化エステル系可塑剤;トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート(TOTM)、トリイソノニルトリメリテート(TINTM)等のトリメリット酸エステル系可塑剤;トリメチルホスフェート(TMP)、トリエチルホスフェート(TEP)等のリン酸エステル系可塑剤などが挙げられる。これらの中でも、PVCシートの成形性、加工性等の点から、エポキシ化エステル系可塑剤が好ましい。
前記滑剤としては、PVCシートに従来用いられてきた滑剤を使用することができ、特に制限されないが、ジメチルポリシロキサン、脂肪酸アルコールエステル、低分子ポリエチレンなどが挙げられ、PVCシートの加工性等の点から、脂肪酸アルコールエステルが好ましい。
前記脂肪酸アルコールエステルとしては、グリセリンと脂肪酸の1〜3価のエステル系化合物であることが好ましく、例えば、ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、ステアリン酸トリグリセライド等のステアリン酸グリセライド滑剤、オレイン酸グリセライド滑剤、パルチミン酸グリセライド滑剤が挙げられる。
前記加工助剤としては、PVCシートに従来用いられてきた加工助剤を使用することができ、特に制限されないが、メチルメタクリレート・エチルアクリレート共重合体、高分子量のポリメチルメタクリレート等のアクリル系加工助剤が好ましい。
前記安定剤としては、PVCシートに従来用いられてきた安定剤を使用することができ、特に制限されないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、バリウム、亜鉛等の金属化合物、有機亜リン酸エステル、多価アルコール、フェノール系化合物、エポキシ系化合物、有機ホスファイト化合物が挙げられ、安全性および安定性に優れるPVCシートが得られる等の点から、カルシウム、バリウム、亜鉛等の金属化合物が好ましい。
本発明のPVCシートは、例えば、化合物(A)、樹脂(B)および必要に応じて他の成分(C)を含む樹脂組成物を、溶融成形法など公知の手法によってシート状に成形することで製造することができる。
本発明のPVCシートは、該シート単層で用いてもよいが、必要に応じて、本発明のPVCシートの片面または両面に、酸素バリア層などのガスバリア層、ガス吸収層、防湿層、遮光層、ブリードアウト防止層などの層が積層された多層型シートとして用いてもよい。
本発明のPVCシートは、熱等を加えても、臭気が発生し難く、ポケット内の臭気残りが生じ難いため、衛生面や作業環境面で優れた環境下でブリスターパックを製造することができる。また、本発明のPVCシートが化合物(A)を含む場合、熱安定性等の安定性に優れ、低温での成形性に優れるため、製造コストが安く、透明性に優れる等のブリスターパックを容易に得ることができる。さらに、本発明のPVCシートが化合物(A)を含む場合、ブリスターパックを低温で成形できるため、高温成形の際に生じやすい臭気の発生やフィルム性能の低下を抑制することができる。
・加熱圧空成形法:本発明のPVCシートや前記多層型シートを高温、高圧のエアーが供給される孔を有する下型と、ポケット形状の凹部を有する上型との間に挟み、加熱軟化させながらエアーを供給してポケットを形成する方法
・プレヒーター平板式圧空成形法:本発明のPVCシートや前記多層型シートを加熱し軟化させた後、高圧のエアーが供給される孔を有する下型と、ポケット形状の凹部を有する上型との間に挟み、エアーを供給してポケットを形成する方法
・ドラム式真空成形法:本発明のPVCシートや前記多層型シートをポケット形状の凹部を有する加熱ドラムで部分的に加熱し軟化させた後、前記凹部を真空引きしてポケットを成形する方法
・ピン成形法:本発明のPVCシートや前記多層型シートを加熱し軟化させた後、ポケット形状の凹凸金型で圧着する方法
・プレヒータープラグアシスト圧空成形法:本発明のPVCシートや前記多層型シートを加熱し軟化させた後、高圧のエアーが供給される孔を有する下型と、ポケット形状の凹部を有する上型との間に挟み、エアーを供給してポケットを形成する方法であって、成形の際に、凸形状のプラグを上昇および降下させて成形を補助する方法。
ポリ塩化ビニル85.6質量%、耐衝撃性改良樹脂8質量%、可塑剤4質量%、滑剤1質量%、加工助剤0.6質量%、安定剤0.5質量%およびジベンゾイルメタン0.3質量%を混合することで樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を用い、カレンダー成形により、厚みが約250μmの樹脂シートを作成した。
実施例1において、カレンダー成形の条件を、得られる樹脂シートの厚みが約200μmになるように変更した以外は、実施例1と同様にして樹脂シートを作成した。
実施例1において、ジベンゾイルメタン0.3質量%の代わりに、ジオクチルスズ0.3質量%を用いた以外は、実施例1と同様にして、厚みが約250μmの樹脂シートを作成した。
比較例1において、カレンダー成形の条件を、得られる樹脂シートの厚みが約200μmになるように変更した以外は、比較例1と同様にして樹脂シートを作成した。
前記実施例2および比較例2の樹脂シートの臭気を以下の方法で測定した。
前記実施例2および比較例2の樹脂シートから、それぞれ2.0gの試験片を切り出し、該試験片をそれぞれ容量22mLの大きさのパーキンエルマー社製ガスクロマトグラフィー専用バイアルに入れて密封し、ヘッドスペースサンプラー(HSS)で140℃で5分間加熱し、加熱により生じた気体600μLをGC/MSに自動注入して、各試験片からの発生ガスを分析した。なお、GC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)の分析条件は下記表1に示すとおりである。
比較例2の樹脂シートからは、臭気強度の強い物質として2-Ethyl-hexanoic acidおよび2-Propyl-1-pentanolが検出されたが、実施例2の樹脂シートからは2-Ethyl-hexanoic acidが検出されず、また、2-Propyl-1-pentanolの発生量も1/3以下に減少し、ガスの全発生量についても10ppc以下に減少していた。
以上の分析結果から、実施例の樹脂シートは、従来の樹脂シート(比較例の樹脂シート)と比べ、臭気の発生が少ないことが分かる。
実施例1の樹脂シートの安全性を、食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の第3のDの2、合成樹脂製の器具又は容器包装(区分:使用温度、100℃以下)に基づいて測定した。
実施例の樹脂シートは、表3に示す分析結果となり、安全性に優れることが分かる。また、実施例の樹脂シートは、浸出用液として、ヘプタン、20%エタノール、水または4%酢酸のいずれの浸出用液を用いた場合でも、蒸発残留物試験による蒸発残留物量が、10μg/ml以下となり、ブリードアウト量が極端に少ないことが分かる。
前記実施例1および比較例1の樹脂シートの熱安定性を以下の方法で測定した。結果を表4に示す。
ホットプレス機を用い、加熱温度220〜260℃、プレス圧力100kgfの条件にて、実施例1および比較例1の樹脂シートを3分間、加熱プレスし、プレス後のシートの状態を目視により確認し、熱プレス前後で変形や変色がない場合を「○」と評価し、変色が生じた場合を「×」と評価した。
その後、熱プレス後のシートのYI値を分光測色計(コニカミノルタ(株)製、CM−2600d)を用いて測定した。
前記実施例1および比較例1の樹脂シートの全光線透過性を、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製V−560)を用いて測定した。具体的には、前記実施例1および比較例1の樹脂シートから、それぞれ10×40mmの大きさの試験片を切り出し、該試験片を用い、前記紫外可視分光光度計で220〜780nmの光の透過率を測定した。結果を図1に示す。
前記実施例1および比較例1の樹脂シートのヘイズを、紫外可視分光光度計(日本分光(株)製V−560)を用いて測定した。具体的には、前記実施例1および比較例1の樹脂シートから、それぞれ10×40mmの大きさの試験片を切り出し、該試験片を用い、前記紫外可視分光光度計で全光線透過率および拡散光線透過率を測定し、これらの値からヘイズを算出した。
以上の結果から、実施例の樹脂シートは、従来の樹脂シート(比較例の樹脂シート)と比べ、ヘイズ値が小さく、透明性についても優れることが分かる。
前記実施例1および比較例1で得られた樹脂シートのブリスターパック成形性を以下の方法で評価した。結果を表5に示す。
ブリスターパックの成形性は、PTP成形機(シー・ケー・ディー(株)製、FBP−M2)において、実施例1および比較例1の樹脂シートをピンポイント加熱板を用いて下記表5の温度で加熱した後、φ11.0×H4.0用錠剤型(直径11mmφ、深さ4.0mm)およびプラグアシスト機構を用いて成形し、各温度における得られた樹脂シートの成形型(錠剤型)への型追従性を評価した。なお、型追従性は、目視により、ポケット天部、コーナー部および側面部の外観ムラを評価した。
また、ダイス目の現れ方、アルミ箔の破れもなく、従来の樹脂シート(比較例の樹脂シート)と同程度のアルミシール性を有することが分かる。
Claims (4)
- 下記要件(1)を満たす、医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シート。
要件(1):前記医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シートから2.0gの試験片を切り出し、該試験片を容量22mLの容器に入れ密封し、140℃で5分間加熱し、加熱により生じた気体600μLをGC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)で測定した時に、空気のピーク面積を100とした場合の前記試験片からの全発生ガス成分のピーク面積の合計割合が、15ppc以下である - 下記式(I)で表される化合物(I)またはその互変異性体を含む、請求項1に記載の医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シート。
(式(I)中、R1およびR3はそれぞれ独立に、炭素数6〜18のアリール基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数7〜18のアラルキル基、アルキル基の少なくとも1部がハロゲン原子または酸素原子で置換された基(但し、該基の炭素数は1〜18である。)、ヒドロキシ基、または、アリール基の少なくとも1部がアルコキシ基で置換された基(但し、該基の炭素数は7〜18である。)であり、R2は、単結合、炭素数1〜18のアルキレン基または炭素数7〜18のアラルキレン基であり、R1〜R3は互いに結合していてもよく、R2において2量体を形成してもよい。) - 塩化ビニル系樹脂100質量部に対する前記化合物(I)またはその互変異性体の含有量が0.01〜2.0質量部である、請求項2に記載の医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シート。
- 医薬品を包装するためのブリスターパック用シートである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬品包装用ポリ塩化ビニル系シート。
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