JP2016202012A - 冷凍焼成パンまたは冷凍半焼成パン及びそれらの製造方法 - Google Patents

冷凍焼成パンまたは冷凍半焼成パン及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】冷凍焼成パン又は冷凍半焼成パンの保存時における風味や食感の劣化を防止することを課題とする。【解決手段】パン生地を焼成又は半焼成し、その後冷凍することを含む冷凍焼成パン又は冷凍半焼成パンの製造方法において、焼成又は半焼成工程を過熱水蒸気による焼成又は半焼成工程のみとすることにより上記課題を解決する。【選択図】なし

Description

本発明は冷凍焼成パンまたは冷凍半焼成パン及びそれらの製造方法に関するものである。詳細には、焼成又は半焼成工程が過熱水蒸気による焼成又は半焼成工程のみからなることを特徴とする、冷凍焼成パンまたは冷凍半焼成パンの製造方法に関するものである。
焼き立てのパンの風味や食感は時間の経過と共に劣化し、家庭で食する際には焼き立てパンの香りや、柔らかなあるいはもっちりとした弾力感を味わうことは困難であった。これは、パンの保管中に芳香性化合物の蒸散、水分の飛散、澱粉の劣化(老化)などが起こるためである。
近年、流通の多様化から、冷蔵又は冷凍処理されたオーブン焼成パンを輸送して店舗又は家庭で加熱処理又は色付け焼成を行うこと、冷蔵又は冷凍されたオーブン半焼成パンを輸送して店舗又は家庭で仕上げ焼成を行うこと、冷凍パン生地を輸送して店舗で焼成することが可能となり、消費者はより手軽に焼き立てパンを食することができるようになってきた。しかしながら、焼成したパンは、その澱粉がその粒形を維持できず不定形な状態になり、又そのグルテン等のタンパク質が変性しているので、保水力が低い。そのため、焼成及び半焼成パンを冷凍すると水分飛散が起こりやすく、パンの食感は硬くてパサパサし、口溶けの悪いものなるという問題があった。特に、冷凍焼成パンを電子レンジで加熱すると、過度な水分蒸散に加え、澱粉とグルテンが過度に熱変性するため、引きが強くゴム状の硬い食感となってしまう。それに加え、半焼成パンでは、加熱が不十分であるためにパン内相の組織は軟弱であり、そのために冷凍半焼成パンを仕上げ焼成するとクラムの食感に劣るパンが得られる、また仕上げ焼成時にクラストが厚くなるなどの問題があった。
このような問題を解決する為、原料や添加剤の種別や配合比率等を工夫した冷凍焼成パンの製造方法が提案されている(特許文献1〜5)。しかしながら、これらの方法においても、冷凍保存時のパンからの水分飛散を十分に抑制することができず、さらなる改良が望まれている。
飽和水蒸気をさらに加熱したものを過熱水蒸気という。過熱水蒸気は食品加工分野において無酸素状態における熱処理や乾燥処理を行う際に利用される。過熱水蒸気は放射伝熱、対流伝熱、凝縮熱の複合効果により伝熱速度が速く、短時間の加熱や乾燥が可能であるという利点がある。
パンの焼成工程においては、通常のオーブン焼成のような有酸素条件下で焼成することによって糖化反応やカラメル化反応などの有酸素化学反応が起こり、芳香成分や味覚成分が生成してパンにとって好ましい焼成香等が生じる。焼成手段として、無酸素条件下となる過熱水蒸気のみを使用した場合、そのような好ましい焼成香等が得られず風味の点で劣るという不利益がある。
しかしながらパンの製造工程において、例えば表面を適度に乾燥させ歯ごたえの良さなどの食感を改良する為にパンの焼成の最終工程において過熱水蒸気処理を行う方法(特許文献6)、パンや菓子の中心部を速やかに加熱、昇温焼成する為に、生地の加熱、焼成工程の当初において過熱水蒸気処理を行う方法(特許文献7)、冷凍未焼成パンを短時間で解凍焼成する為に過熱水蒸気を用いる方法(特許文献8)が提案されている。しかしながら、パンの製造工程において過熱水蒸気処理を行った焼成また半焼成済のパンについて、冷凍保存耐性について検討した例はない。
特開平05−15298 特開平09−172943 特開平06−276919 特開平09−191819 特開平11−155468 特開2007−215454 特開昭55−156545 特開2002−119198
冷凍焼成パン又は冷凍半焼成パンの保存時における風味や食感の劣化を防止することを課題とする。
本発明者等は上記課題を解決する為鋭意研究を重ねた結果、過熱水蒸気で焼成することにより、過熱水蒸気の凝縮熱がパン表面を一気に均等に糊化することによって、パン表面からの水分移行を抑制又は阻止することが出来、オーブン焼成など従来の焼成方法で得た焼成パン及び半焼成パンの冷凍保存時に見られた風味や食感の劣化を防止することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は
[1]パン生地を焼成又は半焼成し、その後冷凍することを含む冷凍焼成パン又は冷凍半焼成パンの製造方法であって、前記焼成又は半焼成工程が、過熱水蒸気による焼成又は半焼成工程のみからなることを特徴とする、前記製造方法、
[2]過熱水蒸気の温度が130〜280℃である前記[1]に記載の製造方法、
[3]焼成時の過熱水蒸気量が65〜135kg/hである、前記[1]または前記[2]に記載の製造方法及び
[4]前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる冷凍焼成パンまたは冷凍半焼成パン、
である。
本発明の製造方法により、冷凍保存による風味や食感の劣化に耐性がある冷凍焼成パンまたは冷凍半焼成パンを提供することが出来る。詳細には冷凍焼成パンまたは冷凍半焼成パンにおいて冷凍保存による水分飛散を防止し、非常に滑らかで強いクラストとシットリ及びまたはモッチリとしたクラムの食感を保持することが出来る。また従来の冷凍焼成パンまたは冷凍半焼成パンについて、色付け焼成または仕上げ焼成を行った際にクラストが厚くなるという問題点、電子レンジ解凍をした際にクラムのヒキが強くゴム状の硬い食感となる問題を解決することが出来る。
本発明において、冷凍焼成パンとは焼成パンを冷凍したものである。冷凍焼成パンは自然解凍、電子レンジによる解凍もしくは加熱又はオーブンや過熱水蒸気で色付け焼成して食することができる。
本発明において、冷凍半焼成パンとは半焼成パンを冷凍したものである。半焼成パンは焼成パンと比較して火通りが約70〜90%になるように焼成したものである。冷凍半焼成パンは、冷凍下で保管後、過熱水蒸気又はオーブン等で仕上げ焼成して食することができる。
本発明において、過熱水蒸気でパンを焼成又は半焼成することができる。過熱水蒸気は好ましくは120℃以上であり、より好ましくは130〜280℃であり、さらに好ましくは140〜250℃である。過熱水蒸気の温度が120℃未満になると、焼成時間を長くする必要があり、その結果パン表面にしわが発生する傾向にある。また過熱水蒸気の温度が280℃を超えると焼成時間が短くなりすぎ、焼き色などの調製が難しいという点で作業性が低下する傾向にある。
本発明において、焼成時の過熱水蒸気量は好ましくは65kg/h以上であり、65〜135kg/hがより好ましく、80〜100kg/hであることがさらに好ましい。
過熱水蒸気量が65kg/h未満になると、焼成時間を長くする必要があり、その結果クラストが厚くなり、歯の入りが硬くなる傾向にある。
本発明において、過熱水蒸気による焼成時間は、焼成温度及び過熱水蒸気量に依存するが、好ましくは4分以上であり、より好ましくは5〜20分である。例えば、焼成温度140〜250℃、過熱水蒸気量80〜100kg/hの場合、焼成時間は5〜15分である。適正時間を越えるとパン表面に焦げが発生し易くなり、クラストが厚くなる傾向にある。パン表面に過度な焦げが発生しない時間を適宜設定する。
本明細書において、パンのクラストとはパンの外皮を指し、パリパリ感とした食感、薄くて強く表面の照りがあることが好まれる。またパンのクラムとはパンの外皮の内側にある柔らかい部分を差し、口溶けの良さ、モッチリ感、シットリ感といった食感が好まれる。
本発明は、焼成パン又は半焼成パンを冷凍する前の焼成工程を過熱水蒸気で行う以外は通常の冷凍焼成パン又は冷凍半焼成パンの製造方法を用いることができる。
生地の調製は、ストレート法(直捏法)、中種法、液種法などを採用することができる。
ストレート法(直捏法)は、全材料を最初から混ぜて生地を製造する方法である。例えば全材料を配合、混捏し、生地をつくり、該生地を発酵した後、適当な大きさに分割し、室温でベンチタイムをとり、成形、ホイロを行なった後、焼成する。
中種法は、材料を2段階に分けて混ぜ、生地を製造する方法である。例えば小麦粉の一部にイーストと水を加えて中種生地をつくり1次発酵を行ない、残りの材料と混捏し、生地をつくる。その後室温でフロアタイムをとり、適当な大きさに分割した後、室温でベンチタイムをとり、成形、ホイロを行なった後、焼成する。
液種法とは、水分の多い液状の発酵種を先に作り、発酵させて得た液種に残りの材料を混ぜて生地を製造する方法である。例えば、小麦粉、水及びインスタントドライイーストを20〜40:20〜50:0.1〜1の割合で混合し、25度程度で発酵させて液種を調製するポーリッシュ法、イースト、砂糖、水を混合した発酵液を先に作り、あとから小麦粉を加えて液種とするブリュー法、穀粉と水とに若干のモルトシロップ等を加えて穀粉に元々付着している酵母等を利用して発酵させて液種を作り、更に小麦粉と水及び若干のモルトシロップ等を加えて種を植え継いで液種を調製する天然酵母液種法等がある。発酵させて得た液種に残りの材料を加えて混捏し、生地をつくる。その後室温でフロアタイムをとり、適当な大きさに分割した後、室温でベンチタイムをとり、成形、ホイロを行なった後、焼成する。
得られたパン生地を分割、成形し、餡や果実など各種の具材を付着又は内包又は混合させることもできる。
成形した生地を過熱水蒸気で焼成又は半焼成させ焼成パン又は半焼成パンを得る。半焼成パンは焼成パンの約70〜90%の火通りになるように焼成時間を調製する。
得られた焼成パン又は半焼成パンを常法により冷凍する。冷凍は例えば粗熱を取った後に包装したものを−18℃以下で急速冷凍し、−5〜−30℃程度の温度帯で保管する。
本発明において、パンの原料としては、小麦粉、ライ麦粉、コーンフラワー、大麦粉、米粉などの穀粉類;イースト、イーストフード;タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉など及びこれらにα化、エーテル化、エステル化、アセチル化、架橋処理等を行った加工澱粉類;ブドウ糖、果糖、乳糖、砂糖、イソマルトースなどの糖類;卵黄、卵白、全卵その他の卵に由来する成分である卵成分;粉乳、脱脂粉乳、大豆粉乳等の乳成分;ショートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油等の油脂類;乳化剤;食塩等の無機塩類;保存料;ビタミン;カルシウム等の強化剤等の通常パン製造に用いる原料を使用することができる。
本発明の製造方法に適するパン類としては、特に制限はない。一般に、穀粉、酵母、塩、水などの基本的な原料で作る油分の少ないパンをリーンなパン、さらに卵成分、砂糖等の糖類、牛乳等の乳成分、バターなどの油脂を加えて作るパンをリッチなパンと分類することがある。明確な定義はないが、おおよそ生地全体に対し油脂を5質量%未満、砂糖を5%未満、卵成分を5質量%未満、乳成分を2%未満含むものをリーンなパンと分類する。例えばリーンなパンとしてはバゲット、パリジャン、バタール、ベーグル、イングリッシュマフィン、ピロシキ、フォカツチャ、プレッツェル、リッチなパンとしては食パン、イングリッシュマフィン、バターロール、クロワッサン、デニッシュ、ブリオッシュなどが挙げられる。本発明の製造方法においては、リーンなパン、リッチなパンのいずれにおいても本発明の効果が得られるが、パン生地中において卵成分、糖類、乳成分、油脂などパンの保水力を向上する成分が少ないリーンなパンでよりその効果が顕著である。
以下本発明を具体的に説明する為に実施例を示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
製造例1 冷凍焼成パン
1.小麦粉(日本製粉社製Fナポレオン)100質量部、食塩2質量部、モルトシロップ0.3質量部、ドライイースト0.3質量部および水69質量部を、24℃で低速5分、続いて中速3分ミキシングした。
2.27℃、湿度80%で90分間発酵し、パンチ(生地伸展を高めるために、発酵途中の生地を軽く折りたたむこと。)した後、90分間さらに発酵させた。
3.ベンチタイムを30分とった。
4.27℃、湿度80%で70分ホイロをとって得た生地を45gに分割、成形した。
5.成形した生地を連続式過熱蒸気調理機については表1に示す条件で、業務用電気オーブンについては表2に示す条件で焼成して焼成パンを得た。
6.室温で放冷して粗熱を取ってビニル袋に入れ、−35℃で急速冷凍し、14日間−20℃で保管して冷凍焼成パンを得た。
表1 過熱水蒸気による焼成条件(連続式過熱蒸気調理機)
Figure 2016202012
表2 業務用電気オーブンによる焼成条件
Figure 2016202012
官能評価1 色付け焼成
製造例1で得られた各冷凍焼成パンを室温で一時間放置して解凍した後、オーブントースターで色付け焼成した後、従来の焼成パン(オーブンで240℃、10分間焼成し、30分室温放置したもの)を対照(評価基準3点)とし、表3に示す評価基準により10名の熟練のパネラーで官能評価し平均点を求めた。得られた結果を下記の表4〜表6に示す。
表3
Figure 2016202012
表4 過熱水蒸気で製造した冷凍焼成パンの官能評価
Figure 2016202012
表5 電気オーブンで製造した冷凍焼成パンの官能評価
Figure 2016202012
過熱水蒸気で焼成したパンは、何れの焼成温度においても電気オーブンで焼成したパンよりも全ての評価項目で優れていた。特に実施例4では、クラストが最も薄くなり、色付け焼成するとパリッと軽い食感で歯の入りが極めて良かった。
低温度帯で過熱水蒸気焼成した実施例1〜3と高温度帯の実施例4〜7とでは食感の傾向が異なっていた。低温度帯の実施例1〜3は、クラストのパリッとした食感はやや弱いものの、クラムの口溶けが非常に良く、全体的に水分を含んだ非常にシットリとした食感であった。実施例4〜7では、クラストのパリッとした食感及びクラムのモチモチが非常に強く、異種の食感を同時に味わえる心地よい歯応えであった。これらの食感は、従来のオーブン焼成したパンでは得られないものであった。
過熱水蒸気、電気オーブンいずれにおいても焼成温度が280℃以上になると焼き色が濃くなる、さらには焦げが生じる傾向にあった。実施例7では、表面に焦げが生じたが、商品価値を大きく損なうものではなく、焼成時間を微調整することにより解消できる程度のものであった。比較例6及び7においても焦げが生じたが、パン内部まで十分に火を通すためには焼成時間を短縮することは出来ず、焦げを解消することは困難であった。
過熱水蒸気、電気オーブンいずれにおいても焼成温度が140℃以下となると焼き色が薄くなる傾向にあった。比較例1及び2においては低温で長時間焼成する為乾燥がすすみ商品価値を大きく損なうものであった。
官能評価2 自然解凍
実施例5及び比較例5の冷凍焼成パンをビニル袋から取り出し、室温で1時間静置して解凍したパンを各々実施例8及び比較例8とし、熟練のパネラー10名による官能評価に供した。評価基準及び点数は官能評価1と同様とし、結果を表6に示した。
表6 自然解凍した冷凍焼成パンの官能評価
Figure 2016202012
実施例8では、クラストのパリッとした食感は色つけ焼成した実施例5に比べてやや劣るが、クラムの食感は大差なく優れていた。更に、1時間を超えて室温静置すると、比較例8のパンは経時的に乾燥が進行して硬くなり、クラムの食感とクラストの食感が共に損なわれて食品としての価値が低下したのに対し、実施例8のパンは解凍直後と比較してもクラムの食感とクラストの食感は共に大きな変化はなく、食品としての価値が維持されていた。
官能評価3 電子レンジ解凍
実施例5及び比較例5の冷凍焼成パンを、電子レンジで500W、1分間加熱解凍して得たパンを各々実施例9及び比較例9とし、熟練のパネラー10名による官能評価に供した。評価基準及び点数は官能評価1と同様とし、結果を表7に示した。
表7 電子レンジ解凍した冷凍焼成パンの官能評価
Figure 2016202012
実施例9では、自然解凍した実施例8に比べクラストのパリッとした食感が幾分劣るものの、クラムの状態は良好でヒキは生じなかった。これは、パン内部に保持された水分が電子レンジ加熱されることにより生じた水蒸気の影響と考えられる。
また、比較例9においては、従来の冷凍焼成パンを電子レンジ解凍した際の欠点、つまりクラストが全体的に湿気たようになり、非常に噛み切り難くなり歯切れも悪くヒキが強く出た状態になった。
以上の官能評価1〜3から、過熱水蒸気焼成で得られた冷凍焼成パンは、従来のオーブン焼成で得られた冷凍焼成パンよりも、色付け焼成、自然解凍及び電子レンジ解凍の何れにおいても優れた食感を有していた。
製造例2 冷凍半焼成パン
1.製造例1と同様の方法で生地を調製、成形し、成形した生地を表8に示す条件で焼成して半焼成パンを得た。
2.室温で放冷して粗熱を取ってビニル袋に入れ、−35℃で急速冷凍し、14日間−20℃で保管して冷凍半焼成パンを得た。
表8 半焼成及び仕上げ焼成条件
Figure 2016202012
*過熱水蒸気量は何れも100kg/hである
官能評価4 冷凍半焼成パン
製造例2で得た冷凍半焼成パンを表9に示す条件で仕上げ焼成し、粗熱を取ってから熟練のパネラー10名による官能評価に供した。評価基準及び点数は官能評価1と同様とし、結果を表10に示した。
表9 仕上げ焼成条件
Figure 2016202012
*過熱水蒸気量は何れも100kg/hである
表10 異なる条件で製造及び仕上げ焼成した冷凍半焼成パンの官能評価
Figure 2016202012
実施例10〜11、比較例10〜11いずれのパンの焼き色も良好であった。各項目は、仕上げ焼成の方法によらず、過熱水蒸気で半焼成したパン(実施例10〜11)において優れていた。特に過熱水蒸気で半焼成し、さらに過熱水蒸気で仕上げ焼成した実施例10が最も優れていた。ただし、過熱水蒸気で完全焼成した実施例1〜7と比較すると劣る傾向にあった。これは、半焼成及び完全焼成による表面の状態の違いに依存すると考えられる。
半焼成パンのクラストは、過熱水蒸気及びオーブン焼成共に薄いので、これらを過熱水蒸気で仕上げ焼成するとオーブン仕上げ焼成よりも薄くパリッとした食感が得られた。
過熱水蒸気で半焼成したパン(実施例10〜11)においては、従来の冷凍半焼成パンを仕上げ焼成した際の欠点であるクラムの食感の低下は見られず、むしろ評価基準とした従来のオーブン焼成したパンよりも優れたクラムの食感を得ることができた。
さらに1時間静置後にクラムのヒキ(歯切れが悪く噛み切りにくくなった状態)を評価したところ、実施例10ではヒキが出ない、実施例11ではややヒキが出る、比較例10ではヒキが出る、比較例11では引きが強いという結果になり、オーブンで仕上げ焼成したパンは、過熱水蒸気で仕上げ焼成したパンよりも、ヒキが出やすく、またヒキが強い結果となった。
これらを総合的に評価すると、過熱水蒸気で半焼成した冷凍半焼成パンの方が風味、食感共に優れるものであった。また時間経過による食感の劣化に対する耐性も確認された。
製造例3 過熱水蒸気量の検討
製造例1と同様の方法で生地を調製、成形し、表11に示す加熱水蒸気量の条件で230℃5.5分焼成し、粗熱を取ってから熟練のパネラー10名による官能評価に供した。評価基準及び点数は官能評価1と同様とした。結果を表11に示す。
表11 異なる過熱水蒸気量で焼成したパンの官能評価
Figure 2016202012
何れの過熱蒸気量においてもオーブン焼成したパンよりも優れたパンが得られた。蒸気量が90〜130kg/hで特に良好なパンが得られ、100〜110kg/hで外観及び食感共に特に優れたパンが得られた。蒸気量が90kg/h未満では、ボリュームが幾分小さく、クラムの食感がややネチャつき、焼き色が薄くなる傾向にあるものの、オーブン焼成したパンよりも全ての項目で、評価基準であるオーブン焼成したパンを超える評価であった。蒸気量が110kg/hを超えると焼き色が濃くなる傾向にあったが、焦げは発生せず、商品価値を損なうものではなかった。

Claims (4)

  1. パン生地を焼成又は半焼成し、その後冷凍することを含む冷凍焼成パン又は冷凍半焼成パンの製造方法であって、前記焼成又は半焼成工程が、過熱水蒸気による焼成又は半焼成工程のみからなることを特徴とする、前記製造方法
  2. 過熱水蒸気の温度が130〜280℃である請求項1に記載の製造方法。
  3. 焼成時の過熱水蒸気量が65〜135kg/hである、請求項1または請求項2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる冷凍焼成パンまたは冷凍半焼成パン。
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