JP2017199542A - 電線被覆材用組成物および絶縁電線 - Google Patents

電線被覆材用組成物および絶縁電線 Download PDF

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豊貴 古川
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Abstract

【課題】耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性に優れる電線被覆材用組成物およびこれを用いた絶縁電線を提供すること。
【解決手段】ポリ塩化ビニルを含有する電線被覆材用組成物において、ポリ塩化ビニル100質量部に対し、可塑剤を10〜30質量部、エチレン−ビニルエステル共重合体およびエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体から選択される1種または2種以上のエチレン系共重合体を0.1〜10質量部、充填剤を2〜25質量部含有する電線被覆材用組成物とする。この電線被覆材用組成物を電線被覆材に用い、導体12の外周を絶縁被覆層14で被覆した絶縁電線10とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電線被覆材用組成物および絶縁電線に関し、さらに詳しくは、自動車等の車両に配索される電線の被覆材料として好適な電線被覆材用組成物およびこれを用いた絶縁電線に関するものである。
ポリ塩化ビニルを主成分とした樹脂組成物は、絶縁電線の絶縁材料として用いられている。例えば特許文献1では、ポリ塩化ビニル100質量部に対し、可塑剤24〜28質量部、非鉛系熱安定剤4〜10質量部、平均分子量2600〜3200の酸化型変性ポリエチレンワックスからなる非鉛系滑剤0.2〜0.5質量部を含有する絶縁材料が提案されている。また、特許文献2では、ポリ塩化ビニル100質量部に対し、フタル酸系可塑剤の混合アルコールエステル25質量部、鉛系安定剤のケイ酸鉛5質量部、ポリエステルエラストマー5質量部、MBS樹脂5質量部を含有する絶縁材料が提案されている。
特開2015−143299号公報 特許第3208896号公報
自動車などでは、限られたスペースを有効に利用する必要上、絶縁電線の絶縁被覆の薄肉化、絶縁電線の細径化の要望がさらに高まっている。絶縁被覆の薄肉化、絶縁電線の細径化を行った場合には、必要な耐摩耗性や耐外傷性を得ることが難しく、自動車などの過酷な条件で使用される絶縁電線の被覆材料では特に難しい。特許文献1の構成では、耐外傷性、耐引き裂き性を満足できず、耐引き裂き性に劣る故、電線被覆に外的に微細な傷が生じた後に曲げなどの負荷が加わることで、電線被覆に割れが発生するおそれがある。特許文献2の構成でも、耐外傷性、耐引き裂き性を満足できない。
本発明が解決しようとする課題は、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性に優れる電線被覆材用組成物およびこれを用いた絶縁電線を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明に係る電線被覆材用組成物は、ポリ塩化ビニルを含有する電線被覆材用組成物において、前記ポリ塩化ビニル100質量部に対し、可塑剤を10〜30質量部、エチレン−ビニルエステル共重合体およびエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体から選択される1種または2種以上のエチレン系共重合体を0.1〜10質量部、充填剤を2〜25質量部含有することを要旨とするものである。
前記充填剤は、炭酸カルシウムであることが好ましい。前記充填剤の平均粒径は、0.05〜1.5μmの範囲内であることが好ましい。前記エチレン系共重合体はエチレン−ビニルエステル共重合体を含み、該エチレン−ビニルエステル共重合体がその主鎖中にケトン骨格を有することが好ましい。前記エチレン−ビニルエステル共重合体のビニルエステル含有量は、30質量%以上であることが好ましい。前記エチレン系共重合体はエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体を含み、該エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体のα,β−不飽和カルボン酸エステル含有量が15質量%以上であることが好ましい。
本発明に係る絶縁電線は、上記のいずれかの電線被覆材用組成物を電線被覆材に用いたことを要旨とするものである。
本発明に係る電線被覆材用組成物によれば、ポリ塩化ビニルを含有する電線被覆材用組成物において、ポリ塩化ビニル100質量部に対し、可塑剤を10〜30質量部、エチレン−ビニルエステル共重合体およびエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体から選択される1種または2種以上のエチレン系共重合体を0.1〜10質量部、充填剤を2〜25質量部含有することから、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性に優れる。また、これを電線被覆材に用いた絶縁電線は、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性に優れる。
充填剤が炭酸カルシウムであると、耐摩耗性が向上する。充填剤の平均粒径が0.05〜1.5μmの範囲内であると、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性が向上する。エチレン系共重合体がエチレン−ビニルエステル共重合体を含み、該エチレン−ビニルエステル共重合体がその主鎖中にケトン骨格を有すると、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性が向上する。エチレン−ビニルエステル共重合体のビニルエステル含有量が30質量%以上であると、耐引き裂き性が向上する。エチレン系共重合体がエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体を含み、該エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体のα,β−不飽和カルボン酸エステル含有量が15質量%以上であると、耐引き裂き性が向上する。
本発明の一実施形態に係る絶縁電線であり、斜視図(a)および周方向断面図(b)である。 耐外傷性の評価方法を説明する模式図である。 耐外傷性の評価方法を説明する模式図である。
次に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明に係る電線被覆材用組成物は、ポリ塩化ビニルを含有する電線被覆材用組成物であって、ポリ塩化ビニルに加えて、可塑剤、特定のエチレン系共重合体、充填剤を含有する。
ベース樹脂となるポリ塩化ビニルとしては、特に限定されるものではないが、優れた耐外傷性や耐摩耗性を得るなどの観点から、重合度が800以上であることが好ましい。また、優れた耐引き裂き性を得るなどの観点から、重合度が2800以下であることが好ましい。より好ましくは、重合度が1300〜2500の範囲内である。
可塑剤は、ポリ塩化ビニル100質量部に対し10〜30質量部含有する。可塑剤の含有量が10質量部を下回ると、耐引き裂き性を満足しないため、10質量部以上としている。可塑剤の含有量が30質量部を超えると、耐外傷性、耐摩耗性を満足しないため、30質量部以下としている。可塑剤の含有量としては、より好ましくは20〜30質量部の範囲内である。
可塑剤としては、特に限定されるものではないが、優れた耐引き裂き性を得るなどの観点から、フタル酸エステル、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル、脂肪酸エステルが好ましい。これらは、可塑剤として1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フタル酸エステルを構成するアルコールとしては、炭素数8〜13の飽和脂肪族アルコールなどが挙げられる。より具体的には、例えば、2−エチルヘキシル、n−オクチル、イソノニル、ジノニル、イソデシル、トリデシルなどを挙げることができる。これらのアルコールは、1種または2種以上用いることができる。フタル酸エステルとしては、より具体的には、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシルなどが挙げられる。
トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステルを構成するアルコールとしては、炭素数8〜13の飽和脂肪族アルコールなどが挙げられる。より具体的には、例えば、2−エチルヘキシル、n−オクチル、イソノニル、ジノニル、イソデシル、トリデシルなどを挙げることができる。これらのアルコールは、1種または2種以上用いることができる。
脂肪酸エステルを構成するアルコールとしては、炭素数3〜13の飽和脂肪族アルコールなどが挙げられる。これらのアルコールは、1種または2種以上用いることができる。脂肪酸エステルとしては、アジピン酸エステル、セバシン酸エステル、アゼライン酸エステルなどが挙げられる。脂肪酸エステルとしては、より具体的には、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸イソノニル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチルなどが挙げられる。
特定のエチレン系共重合体は、ポリ塩化ビニル100質量部に対し0.1〜10質量部含有する。特定のエチレン系共重合体の含有量が0.1質量部を下回ると、耐引き裂き性が満足しないため、0.1質量部以上としている。特定のエチレン系共重合体の含有量が10質量部を超えると、耐外傷性や耐摩耗性を満足しないため、10質量部以下としている。特定のエチレン系共重合体の含有量としては、より好ましくは1.0〜5質量部の範囲内、さらに好ましくは3〜4質量部の範囲内である。
特定のエチレン系共重合体は、エチレン−ビニルエステル共重合体およびエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体から選択される1種または2種以上である。特定のエチレン系共重合体は、エチレン−ビニルエステル共重合体の1種または2種以上からなるものであってもよいし、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体の1種または2種以上からなるものであってもよい。特定のエチレン系共重合体は、より好ましくはエチレン−ビニルエステル共重合体の1種または2種以上からなるものである。
エチレン−ビニルエステル共重合体としては、エチレン−酢酸ビニルの二元共重合体、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素の三元共重合体、エチレン−プロピオン酸ビニルの二元共重合体、エチレン−ステアリン酸ビニルの二元共重合体、エチレン−トリフルオロ酢酸ビニルの二元共重合体などが挙げられる。エチレン−ビニルエステル共重合体は、これらのうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。エチレン−ビニルエステル共重合体は、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性が向上するなどの観点から、主鎖中にケトン骨格を有することが好ましい。主鎖中にケトン骨格を有するものとしては、エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素の三元共重合体などが挙げられる。また、エチレン−ビニルエステル共重合体は、耐引き裂き性が向上するなどの観点から、ビニルエステル含有量が30質量%以上であることが好ましい。より好ましくは35質量%以上である。なお、エチレン−ビニルエステル共重合体は、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性などの観点からはビニルエステル含有量の上限は特に限定されるものではないが、入手しやすい、コストに優れるなどの観点から、50質量%以下であるとよい。
エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体としては、エチレン−アクリル酸メチルの二元共重合体、エチレン−アクリル酸エチルの二元共重合体、エチレン−アクリル酸ブチルの二元共重合体、エチレン−メタクリル酸メチルの二元共重合体、エチレン−メタクリル酸エチルの二元共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチルの二元共重合体などが挙げられる。エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、これらのうちの1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、耐引き裂き性が向上するなどの観点から、α,β−不飽和カルボン酸エステル含有量が15質量%以上であることが好ましい。より好ましくは18質量%以上である。なお、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性などの観点からはα,β−不飽和カルボン酸エステル含有量の上限は特に限定されるものではないが、入手しやすい、コストに優れるなどの観点から、30質量%以下であるとよい。
また、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、低温屈曲性がより向上するなどの観点から、190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレイト(MFR)が5g/10分以下であることが好ましい。より好ましくは3g/10分以下である。エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体のメルトフローレイトは、JIS K 7210に準拠して測定される。なお、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体は、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性などの観点からはメルトフローレイトの下限は特に限定されるものではないが、溶融粘度が低くなり、電線外径のばらつきを抑えやすくして、製造を安定化するなどの観点から、0.1g/10分以上であるとよい。
充填剤は、ポリ塩化ビニル100質量部に対し2〜25質量部含有する。充填剤の含有量が2質量部を下回ると、耐摩耗性を満足しないため、2質量部以上としている。充填剤の含有量が25質量部を超えると、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性を満足しないため、25質量部以下としている。充填剤の含有量としては、より好ましくは5〜20質量部の範囲内、さらに好ましくは7.5〜15質量部の範囲内である。
一般に、充填剤を多量に含有すると、コスト低減効果が大きいが、絶縁電線の製造時(押出被覆時など)に絶縁被覆の外観が荒れるなどして、様々な電線特性、特に耐摩耗性が低下することが多い。これに対し、本発明では、充填剤と特定のエチレン系共重合体を併用することで、充填剤の配合に起因する電線特性の低下を抑えるだけでなく、耐摩耗性を向上することができる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、タルクなどが挙げられる。これらは、充填剤として1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうちでは、特定のエチレン系共重合体と併用することで耐摩耗性の向上効果が特に優れるなどの観点から、炭酸カルシウムが好ましい。炭酸カルシウムとしては、合成炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウムなどが挙げられる。充填剤は、表面処理剤で表面処理されていてもよい。充填剤は、平均粒径が0.05〜1.5μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.5〜1.3μmの範囲内である。平均粒径が0.05〜1.5μmの範囲内であると、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性が向上する。充填剤の平均粒径は、レーザー光散乱法により測定することができる。
本発明に係る電線被覆材用組成物においては、本発明の目的を損なわない範囲内で、ポリ塩化ビニル、可塑剤、特定のエチレン系重合体、充填剤以外の他の成分を含有していても良い。他の成分としては、安定剤、加工助剤、低温改質剤、増量剤などの通常、電線被覆材に用いられる添加剤を挙げることができる。
加工助剤としては、塩素化ポリエチレンが挙げられる。低温改質剤としては、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)などが挙げられる。低温改質剤の含有量は、特に限定されるものではないが、優れた耐外傷性を得るなどの観点から、ポリ塩化ビニル100質量部に対して6質量部以下であることが好ましい。より好ましくは4質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。また、優れた低温屈曲性を得るなどの観点から、ポリ塩化ビニル100質量部に対して1質量部以上であることが好ましい。
本発明に係る電線被覆材用組成物は、例えば、ベース樹脂となるポリ塩化ビニルに、可塑剤、特定のエチレン系重合体、充填剤、および、必要に応じて添加される各種添加成分を配合し、加熱混練することにより調製できる。この際、バンバリミキサー、加圧ニーダー、混練押出機、二軸押出機、ロールなどの通常の混練機を用いることができる。加熱混練する前に、タンブラーなどで予めドライブレンドすることもできる。加熱混練後は、混練機から取り出して組成物を得る。その際、ペレタイザーなどで当該組成物をペレット状に成形しても良い。
次に、本発明に係る絶縁電線について説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る絶縁電線の斜視図(a)および断面図(周方向断面図)(b)を示している。図1に示すように、絶縁電線10は、導体12と、導体12の外周を被覆する絶縁被覆層(電線被覆材)14とを備えている。絶縁被覆層14は、本発明に係る電線被覆材用組成物を用いて形成されている。絶縁電線10は、本発明に係る電線被覆材用組成物を導体12の外周に押出被覆することにより得られる。
導体12は、銅を用いることが一般的であるが、銅以外にも、アルミニウム、マグネシウムなどの金属材料を用いることもできる。これらの金属材料は、合金であってもよい。合金とするための他の金属材料としては、鉄、ニッケル、マグネシウム、シリコン、これらの組み合わせなどが挙げられる。導体12は、単線から構成されていてもよいし、複数本の素線を撚り合わせてなる撚線から構成されていてもよい。
以上の構成の電線被覆材用組成物および絶縁電線によれば、ポリ塩化ビニル100質量部に対し、可塑剤を10〜30質量部、特定のエチレン系重合体を0.1〜10質量部、充填剤を2〜25質量部含有することから、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性に優れる。そして、特定のエチレン系重合体を所定量含有させたことで、可塑剤を増量させることなく耐引き裂き性を満足するものとなる。
本発明に係る絶縁電線は、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性に優れることから、薄肉電線、細径電線として好適である。薄肉電線、細径電線は、電線外径が直径φ1.1mm未満に形成されているものなどが挙げられる。この場合、絶縁被覆層の厚さは、標準厚さが0.25mm以下である。絶縁被覆層の厚さが0.25mmを超えると、絶縁被覆層の薄肉化が不十分である。また絶縁被覆層の厚さが0.25mmを超えると、電線外径が直径1.1mm未満であるため、相対的に導体が細くなりすぎて導電性が不十分となる。また絶縁被覆層の厚さは0.1mm以上であるのが好ましい。絶縁被覆層の厚さが0.1mm未満になると、絶縁被覆層の被膜を均一に形成するのが困難になり、絶縁性能を十分発揮できない虞がある。
本発明に係る絶縁電線は、例えば、導体が絶縁被覆層に被覆され、電線外径が直径φ1.1mm未満であり、絶縁被覆層の厚さが0.25mm以下であり、絶縁被覆層の材料に本発明に係る電線被覆材用組成物を用いたものなどを示すことができる。
そして、本発明に係る絶縁電線は、自動車用、機器用、情報通信用、電力用、船舶用、航空機用など各種電線に利用することができる。特に自動車用電線として好適に利用できる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば絶縁電線は、図1に示す単線以外に、フラット線、シールド線などの形態に形成してもよい。また、絶縁層は2層以上で構成されていてもよい。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
(実施例1−15)
(電線被覆材用組成物の調製)
表1、2に示す配合組成(質量部)で、ポリ塩化ビニル、可塑剤、特定のエチレン系共重合体、充填剤、非鉛系熱安定剤を、二軸押出機を用いて180℃で混合し、ペレタイザーにてペレット状に成形して、ポリ塩化ビニルを含有する電線被覆材用組成物を調製した。
(絶縁電線の作製)
調製した電線被覆材用組成物を、断面積0.35mmの撚線導体の周囲に被覆厚0.2mmで押出成形することにより絶縁電線(電線外径1.1mm)を作製した。
(比較例1−11)
表3に示す配合組成(質量部)で各成分を混合した以外は実施例と同様にして、電線被覆材用組成物の調製と絶縁電線の作製を行った。
(使用材料)
・ポリ塩化ビニル
(重合度1300):「新第一塩ビ(株)、ZEST1300Z」
(重合度2500):「新第一塩ビ(株)、ZEST2500Z」
・可塑剤
フタル酸エステル:「(株)ジェイ・プラス、DUP」
トリメリット酸エステル:「DIC(株)、W−750」
・エチレン−ビニルエステル共重合体
EVA<1>:エチレン−酢酸ビニル−一酸化炭素の三元共重合体、三井・デュポンポリケミカル「エルバロイ742」
EVA<2>:エチレン−酢酸ビニルの二元共重合体、酢酸ビニル含有量40質量%、三井・デュポンポリケミカル「エバフレックスEV40LX」
EVA<3>:エチレン−酢酸ビニルの二元共重合体、酢酸ビニル含有量25質量%、三井・デュポンポリケミカル「エバフレックスEV360」
・エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体
EMA:エチレン−アクリル酸メチルの二元共重合体、アクリル酸メチル含有量18質量%、三井・デュポンポリケミカル「エルバロイAC1218」
EEA:エチレン−アクリル酸エチルの二元共重合体、アクリル酸エチル含有量12質量%、三井・デュポンポリケミカル「エルバロイAC2112」
・充填剤
炭酸カルシウム<1>:平均粒径1.3μm(カタログ値)、「丸尾カルシウム、スーパー♯1700」
炭酸カルシウム<2>:平均粒径2.7μm(カタログ値)、「丸尾カルシウム、スーパーS」
クレー:平均粒径1.5μm(カタログ値)、「竹原化学、グロマックスLL」
タルク:平均粒径1.6μm(カタログ値)、「竹原化学、ハイミクロンHE5」
・熱安定剤
非亜鉛系熱安定剤:「ADEKA、RUP−110」
・その他のゴム成分
塩素化ポリエチレン:「昭和電工、エラスレン401A」
MBS:「三菱レーヨン、メタブレンC−223A」
(評価)
作製した絶縁電線について、下記評価方法に基づいて、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性を評価した。電線被覆材料の配合割合および評価結果を表1〜表3に示した。なお、表1〜表3に示す値は、質量部で表したものである。
(評価方法)
<耐外傷性評価>
作製した絶縁電線を300mmの長さに切り出して試験片とした。図2(a)(平面図)、図2(b)(側面図)に示すように、試験片1をプラスチック板2a,2b上に設置した。プラスチック板2aとプラスチック板2bの間隔は5mmとした。試験片1の左端をプラスチック板2bに固定し、試験片1の右端に30Nの張力をかけて、試験片1をまっすぐにした。次いで、試験片1において、プラスチック板2aとプラスチック板2bの間に配置された部分の下部から10mm、試験片1の径方向中央から外周側に0.8mm程度離した位置に、厚みが0.5mmの金属片3を配置した。
次いで、図3(a)〜図3(c)に示すように、金属片3を50mm/minの速度で試験片1の被覆材4に接触させながら上方に移動させて、試験片1の金属片3にかかる荷重を測定した。このとき、試験片1の導体5が露出していない場合には、0.01mm単位で金属片3を試験片1の中央方向に近づけ、導体5が露出するまで測定を続けた。導体5が露出しない上限荷重をその試験片1の耐外傷性能力とし、10N以上の荷重でも導体5が露出しない場合に、耐外傷性を合格「○」とし、さらに、13N以上の荷重でも導体5が露出しない場合に、耐外傷性により優れる「◎」とした。一方、10N未満の荷重で導体5が露出した場合に、耐外傷性を不合格「×」とした。
<耐引裂き性評価>
調製した電線被覆材用組成物から作製した1mm厚シートから、JIS K 6252記載のアングル型試験片を作製し、引張試験機を用いて、耐引裂き性を評価した。掴み具間距離を20mm、引張速度を50mm/min.にて実施し、ストロークが10mm(みかけひずみ50%)以上で試験片が破断した場合に、耐引裂き性を合格「○」とし、さらに、20mm(みかけひずみ75%)以上で試験片が破断した場合に、耐引裂き性により優れる「◎」とした。一方、10mm未満で試験片が破断した場合に、耐引裂き性を不合格「×」とした。
<耐摩耗性評価>
ISO6722に準拠し、ブレード往復法で行った。ブレードにかかる荷重を7Nとし、試験回数4回の最小値が500回以上を合格「○」、そのうち1000回以上を特に良好「◎」、500回未満を不合格「×」とした。
Figure 2017199542
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比較例1は、特定のエチレン系共重合体および充填剤を含有していないため、耐外傷性、耐摩耗性を満足しない。比較例2は、特定のエチレン系共重合体を含有しているものの充填剤を含有していないため、耐摩耗性を満足しない。比較例3は、充填剤を含有しているものの特定のエチレン系共重合体を含有していないため、耐摩耗性を満足しない。また、耐外傷性、耐引き裂き性を満足しない。比較例4は、可塑剤が少ないため、耐引き裂き性を満足しない。比較例5は、可塑剤が多いため、耐外傷性、耐摩耗性を満足しない。比較例6は、充填剤を含有しているものの特定のエチレン系共重合体が少ないため、耐摩耗性を満足しない。また、耐外傷性、耐引き裂き性を満足しない。比較例7は、充填剤を含有しているものの特定のエチレン系共重合体が多いため、耐摩耗性を満足しない。また、耐外傷性を満足しない。比較例8は、特定のエチレン系共重合体を適量含有しているものの充填剤が少ないため、耐摩耗性を満足しない。比較例9は、特定のエチレン系共重合体を適量含有しているものの充填剤が多いため、耐摩耗性を満足しない。また、耐外傷性、耐引き裂き性を満足しない。比較例10、11は、特定のエチレン系共重合体ではなく他のゴム成分を充填剤と併用しているため、耐摩耗性を満足しない。
これらに対し、本発明の構成を満足する実施例によれば、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性を満足することがわかる。実施例と比較例1,2から、充填剤を含有していないと耐摩耗性を満足しないことがわかる。また、実施例と比較例3,10,11から、単に充填剤を含有するだけでは耐摩耗性を満足せず、充填剤を特定のエチレン系共重合体と併用することで耐摩耗性を満足できることがわかる。
そして、実施例間の比較で示されるように、充填剤が炭酸カルシウムであると、耐摩耗性が向上することがわかる(実施例1,14,15)。充填剤の平均粒径が0.05〜1.5μmの範囲内であると、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性が向上することがわかる(実施例1,13)。エチレン系共重合体がエチレン−ビニルエステル共重合体を含み、該エチレン−ビニルエステル共重合体がその主鎖中にケトン骨格を有すると、耐外傷性、耐引き裂き性、耐摩耗性が向上することがわかる(実施例1,9,10)。エチレン−ビニルエステル共重合体のビニルエステル含有量が30質量%以上であると、耐引き裂き性が向上することがわかる(実施例9,10)。エチレン系共重合体がエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体を含み、該エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体のα,β−不飽和カルボン酸エステル含有量が15質量%以上であると、耐引き裂き性が向上することがわかる(実施例11,12)。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
10 絶縁電線
12 導体
14 絶縁被覆層

Claims (7)

  1. ポリ塩化ビニルを含有する電線被覆材用組成物において、前記ポリ塩化ビニル100質量部に対し、可塑剤を10〜30質量部、エチレン−ビニルエステル共重合体およびエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体から選択される1種または2種以上のエチレン系共重合体を0.1〜10質量部、充填剤を2〜25質量部含有することを特徴とする電線被覆材用組成物。
  2. 前記充填剤が、炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の電線被覆材用組成物。
  3. 前記充填剤の平均粒径が、0.05〜1.5μmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の電線被覆材用組成物。
  4. 前記エチレン系共重合体がエチレン−ビニルエステル共重合体を含み、該エチレン−ビニルエステル共重合体がその主鎖中にケトン骨格を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の電線被覆材用組成物。
  5. 前記エチレン−ビニルエステル共重合体のビニルエステル含有量が、30質量%以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電線被覆材用組成物。
  6. 前記エチレン系共重合体がエチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体を含み、該エチレン−α,β−不飽和カルボン酸エステル共重合体のα,β−不飽和カルボン酸エステル含有量が15質量%以上であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の電線被覆材用組成物。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の電線被覆材用組成物を電線被覆材に用いたことを特徴とする絶縁電線。
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