しかしながらダミー部品を混入してめっきを行うと、当然にダミー部品もめっきされるため、材料(金めっきなど)に無駄が生じる。ダミー部品のめっきを溶かして再利用することも可能ではあるが、電力、時間、労力、溶剤に著しい無駄を生じるという問題がある。またこれに伴い、少量のめっきでも単価があがってしまうという問題がある。また、ダミー部品を混入することで、めっき後、被めっき部品と選別しなくてはならないために、選別にかかる費用もめっき加工にかかる以上の金額となってしまう場合が多く、これも大きな問題である。
一方、超音波は被洗浄物の洗浄力を向上させる方法として一般的であり、洗浄槽内のカゴやガラス等の容器に入っている微小部品が超音波によって微振動することも知られているが、その振動により部品を大きく流動させることはできない。また、その振動は部品の大きさ、形状、部品を入れる容器の形状、材質の影響を大きく受け、部品の動きが安定せず、方向性も定まらないという問題があることから、超音波は部品の移動や流動を目的とする方法としては使用されていない。
本発明は、このような課題に鑑み、少量の微小な部品に対してダミーを使用せずにめっき処理を施すために、少量の微小な部品を撹拌する撹拌装置および撹拌方法を提供することを目的としている。当該撹拌装置は、電気めっき以外にも、少量の微小な部品に対して無電解めっき、洗浄、化学研磨、電解研磨の際に利用することができる。
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、微小な部品を撹拌する撹拌装置において、複数の部品を収容する容器と、容器に超音波振動を印加する超音波振動部と、容器の外壁に設置された複数の振動モータと、複数の振動モータの位相をずらして該振動モータを順次作動させる制御部とを備えることを特徴とする。なお、本発明にかかる撹拌装置は、電気めっきまたは無電解めっきに限らず、洗浄、化学研磨、電解研磨などにも適用可能である。
上記構成によれば、容器に超音波振動を印加し、被めっき部品を容器内で流動させることができる。このため、被めっき部品が少量であっても、電極に接触させながら撹拌させることができる。したがって、少量の微小な被めっき部品に対して、ダミーを使用せずに良好にめっきを行うことができる。また、この方式でめっきすると、回転するバレルのようにバレル内にめっき液流入させるために容器に多くの孔を開けなくてもよく、被めっき物が容器外にこぼれ出すことを防止するために容器に蓋をする必要もないため、どのような小さな微小部品、粉体、微粒子でもめっき可能になる。
上記の容器は、底面が曲面であって、外壁が斜めになるように設置されているとよい。底面の曲面の一例として、半球状が好適である。容器に印加された超音波振動によって被めっき部品は一方向に進行するが、半球状の底面を有する容器の外壁が斜めになっていることにより、外壁に沿って上に登った被めっき部品が崩れ落ちる。これにより被めっき部品が撹拌され、互いに凝集することがない。
上記課題を解決するために、本発明にかかる撹拌方法の代表的な構成は、微小な部品を撹拌する撹拌方法において、複数の部品を容器に収容し、容器に超音波振動を印加すると共に、容器の外壁に設置された複数の振動モータの位相をずらして振動を加えることにより、部品を容器内で流動させることを特徴とする。
上述しためっき装置における技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該方法にも適用可能である。
本発明によれば、少量の微小な部品を撹拌する撹拌装置および撹拌方法を提供することができる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本実施形態における撹拌装置を用いためっき装置の概略構成を示す図である。めっき装置100は、めっきを行うことで、微小な被めっき部品102の表面にめっき皮膜を形成する装置である。めっき装置100は、複数の被めっき部品102を収容する容器104を備える。容器104は、半球状の底面108を有する。容器104は、図示のように複数の被めっき部品102をめっき液110に浸漬させた状態で収容している。なお被めっき部品102の量は、容器104の底面108付近に沈積する程度の少量とされる。
めっき装置100はさらに、容器104の開口112を塞ぐキャップ114と、陰極116および陽極118と、両電極間に電圧を印加する電源120と、振動印加部122と、恒温槽124および超音波振動部126とを備える。陰極116および陽極118は、キャップ114を介して容器104内に挿入されている。陰極116は、容器104内に収容された被めっき部品102に通電させるために、被めっき部品102に接触するように配置されている。陽極118は、めっき液110に浸漬されていて、被めっき部品102に接触した陰極116と通電する。
図2は、図1のめっき装置100の容器104およびキャップ114を示す断面図である。図3は、図1のめっき装置100の振動印加部122の概略構成を示す図である。図3では、キャップ114で塞がれた容器104、および振動印加部122を上方から見た状態で示している。
キャップ114は、陰極116および陽極118が挿入される電極用挿入口128と、めっき液110が流入する流入口130と、めっき液110が吐出する吐出口132とを有し、図2に示すように、容器104の開口112を塞いでいる。キャップ114の流入口130および吐出口132は、図1に示すように、流路134、136を介してめっき液槽138にそれぞれ接続されている。
図1に戻って、流路134の途中にはポンプ140が配置されている。めっき液110は、ポンプ140を駆動することで容器104とめっき液槽138との間を、流路134、136を通って循環する。また、流入口130、吐出口132は、接続部142、144を介して流路134、136にそれぞれ接続されている。なお流入口130には、容器104内にめっき液110を供給する供給口146も接続されている。
振動印加部122は、容器104を保持する保持部148と、容器104の外壁150に設置された複数の振動モータ152a〜152dと、制御部154(図1参照)とを有する。保持部148は、図1に示すように容器104の外壁150を保持し、外壁150が斜めになるように容器104を設置する。容器104を斜めに設置していることにより、複数の振動モータ152a〜152dは斜めの平面上に配置されることになる。
制御部154は、振動モータ152a〜152dが容器104に振動を印加できるように所定の周波数で振動モータ152a〜152dを作動させる。さらに制御部154は、複数の振動モータ152a〜152dの位相をずらして、振動モータ152a〜152dを順次作動させる。なお図中では、容器104を挟んで対向するように4つの振動モータ152a〜152dを設置したが、設置位置や数は特に限定されない。
恒温槽124は、図1に示すように、容器104を恒温水156に浸漬し、容器104を保温する。まためっき液槽138は、他の恒温槽158により恒温水160に浸漬され保温されている。このようにしてめっき液110は、所定の温度に保たれている。超音波振動部126は、恒温槽124内の恒温水156に超音波振動を印加することで、容器104に間接的に超音波振動を印加する。
以下、本実施形態のめっき装置100を用いためっき方法について説明する。まず、複数の被めっき部品102をめっき液110に浸漬させた状態で容器104に収容し、開口112をキャップ114で塞ぐ。また、図1に示すように保持部148によって容器104の外壁150が斜めになるように容器104を設置し、容器104を恒温槽124の恒温水156に浸漬させる。さらに、容器104内に配置された陰極116に被めっき部品102を接触させる。
つぎに、陰極116と陽極118との間に電源120により電圧を印加し、被めっき部品102を通電させ、めっき処理を開始する。なお容器104とめっき液槽138との間をめっき液110が循環するように、ポンプ140を適宜駆動させる。めっき処理を開始すると、超音波振動部126により恒温水156に超音波振動を印加して、容器104内の被めっき部品102を振動させる。その上で、振動印加部122の振動モータ152a〜152dを作動させて容器104に振動を印加する。これにより、被めっき部品102を容器104内で流動させる。
具体的には、被めっき部品102は、超音波振動部126からの超音波振動によって流動的になるとともに、振動モータ152a〜152dからの振動によって一方向に進行する。この方向は、半球状の底面108に連続する外壁150の円周方向であり、複数の振動モータ152a〜152dが配置された平面と平行な平面内での回転運動である。一方、外壁150が斜めになるように容器104が設置されているため、外壁150の壁面に沿って上に登った被めっき部品102は崩れ落ちることになる。このような挙動が繰り返されることにより、被めっき部品102は撹拌され、互いに凝集することがない。
特に、制御部154が複数の振動モータ152a〜152dの位相をずらして順次に作動させることで、容器104内での被めっき部品102の流動方向や流動速度を制御することもできる。これにより、被めっき部品の流動を安定化させることができる。
このように、本実施形態のめっき装置100によれば、容器104に超音波振動を印加し、被めっき部品102を容器104内で流動させることで、被めっき部品102がたとえ少量であっても、陰極116に接触させながら撹拌させることができる。したがって、少量の微小な被めっき部品102に対して、ダミーを使用せずに良好にめっきを行うことができる。また、部品がその場で振動するのではなく、全体的に流動することから、部品間でめっき皮膜の厚みを均一にすることができる。
なお、上記実施形態においては、撹拌装置として、電気めっきを行うめっき装置を例に挙げて説明した。しかし本発明はこれに限定するものではなく、無電解めっき、洗浄、化学研磨、電解研磨する際の撹拌装置としても適用可能である。
また、上記実施形態では、容器104として底面108が半球状のものを使用したが、これに限らず、底面108の形状は曲面であってもよい。このようにすれば、容器104として各種のものも使用できるため、利便性を向上できる。
また、上記の実施形態ではキャップ114を用いるように説明したが、容器104内のめっき液の液量を確保できるのであれば、キャップを用いなくてもよい。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。