分野
[001]本発明は、リピドA二糖主鎖の糖残基の一方又は両方を芳香族基で置き換えることを特徴とするリピドA模倣体、その調製方法、及びその使用に関する。
背景
[002]ワクチン戦略は、多数の病弊に対して保護をもたらすことに有効であることが証明されている。それにもかかわらず、この戦略が有効でない多くの病原体及び感染症が存在する。現在、急性及び慢性の感染症及び疾患と闘うために、より有効なワクチンの必要性が増加している。従来のワクチン戦略は生の弱毒化した病原体を免疫原として用いているが、現代のワクチン開発では、通常は改善された安全性及びより正確な標的化を提供する、組換え又は合成のサブユニットワクチンを用いる。しかし、サブユニットワクチンは乏しい免疫原性を特徴とし、多くの場合、免疫応答を増強させるためにアジュバントと共に同時投与しなければならない。
[003]ワクチンアジュバントとは、ワクチン製剤に付随する抗原に対する免疫応答を増強させることができる物質である。数々の化合物クラスがワクチンアジュバントとして探索されているが、アルミニウム塩の混合物であるミョウバンが、依然としてヒトワクチン使用における最も人気のあるアジュバントである。実際、70年以上の間、ミョウバンがヒトワクチンの唯一の認可されたアジュバントであった。2009年後期になって初めて、FDAがGlaxoSmithKlineのAS04アジュバント(ミョウバンとモノホスホリルリピドA、MPL(商標)との専売混合物)(Garconら、Expert Rev.Vaccines、6:723〜739、2007)を認可し、これは、ヒトパピローマウイルス(HPV)に対して免疫化するためのセルバリックス(Cervarix)ワクチンに使用された。しかし、ワクチン療法のための新しいアジュバントを開発及び特徴づける大きな必要性が残っている。新規アジュバントの発見が、現代のワクチン製剤の開発における重要な第一線の取り組みとして浮上している。
[004]内毒素としても知られるリポ多糖(LPS)は、グラム陰性細菌の外膜構成成分である。LPSはずっと以前に抗体応答の強力な刺激物質として記載されており、大規模な研究により、LPSのアジュバント活性は、抗原と同時投与した場合にのみ作用するアルミニウム又は油に基づくアジュバントとは異なり、局所的ではなく全身性である(Johnson,A.G.、「Adjuvant action of bacterial endotoxins on the primary antibody response」、Landy,M.及びBraun,W.(編)、Bacterial Endotoxins、Rutgers University Press、コネチカット州New Brunswick、ページ252〜262、1964)という結論がもたらされている。LPSの免疫賦活活性のための活性構成成分は、リピドAとして知られる分子の親油性アンカーであるとのちに決定されている。LPS及びリピドAはどちらも、ヒトワクチンのアジュバントとして使用するには毒性が高すぎる。したがって、アジュバント活性を親LPS及びリピドA分子の発熱性及び毒性から分離するために、多くの研究が実施されている。長年の研究開発の結果、MPL(商標)が、GlaxoSmithKlineによって開発されたセルバリックスHPVワクチンにおけるヒトワクチン使用について、FDAによって認可された。MPL(商標)は培養細菌から精製した製品であり、構造的に改変されたリピドA分子の混合物を含有する。構造的改変により、リピドAの毒性が低下している一方で、これらの分子の免疫賦活活性は大部分が残っている。
[005]約20年前のトール様受容体(TLR)として知られるタンパク質群の発見のおかげで、LPS/リピドAの免疫賦活活性に関する分子標的及び作用機構が同定されている。TLRは、自然免疫及び適応免疫応答の発生において重要な役割を果たしている。LPS/リピドAは、TLRタンパク質ファミリーのメンバーであるトール様受容体4(TLR4)によって認識され、これは別のタンパク質MD−2と会合している。TLR4/MD−2受容体複合体の活性化は下流のシグナル伝達経路をもたらし、最終的にこれが、自然免疫並びに適応免疫応答の発生を調節する。結合したリガンドLPSを有するTLR4/MD−2の結晶構造が最近決定されており(Parkら、Nature、458:1191〜1196、2009)、これは、TLR4/MD−2によるLPS/リピドAの認識の分子基盤の直接の証拠を提供している。最近認可されたアジュバントMPL(商標)も、TLR4/MD−2の媒介によってその活性を発揮することが示されている。TLR4作用剤が免疫賦活性ワクチンアジュバントの重要なクラスであることは、現在では十分に認識されている。
[006]本開示では、本発明者らは新規リピドA模倣体の群を報告する。これらの化合物は、様々な疾患を治療するための免疫刺激剤及び/又はモジュレーターとして潜在的に有用である。
概要
[007]一態様では、以下の式の化合物であるリピドA模倣体又は薬学的に許容されるその塩を提供する:
A−L1−D−L2−E
[式中、
Aは、ヒドロキシル基の1つ又は複数が任意選択で置換されているか又は置換されていない環状単糖残基であるか、又は、Aは、置換又は非置換の芳香族基であり、
L1及びL2は、独立して存在又は非存在であり、存在する場合は、独立して、O、S、又はNの1つ又は複数を任意選択で含む、置換又は非置換、分岐状又は直鎖状、飽和又は不飽和の炭素鎖であり、
Dは、−O−、−S−、又は−NH−であり、
Eは、ヒドロキシル基の1つ又は複数が任意選択で置換されているか又は置換されていない環状単糖残基であるか、又は、Eは、置換又は非置換の芳香族基であり、
ここで、A又はEの少なくとも1つが、置換又は非置換の芳香族基であり、A、L1、L2、又はEの少なくとも1つが、1つ又は複数の脂質鎖置換基を含む]。
[008]式A−L1−D−L2−EのリピドA模倣体の一部の実施形態では、A又はEの少なくとも1つが、置換又は非置換のベンゼン環である。
[009]式A−L1−D−L2−EのリピドA模倣体の一実施形態では、A又はEの少なくとも1つが、
であり、式中、
Raは、ベンゼン環上の任意の位置に配置され、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6であり、
Rbは、ベンゼン環上の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−NH2、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意の置換若しくは非置換のC1〜6アルキルである。
[010]より詳細には、一部の実施形態では、A又はEの少なくとも1つが、
である。
[011]式A−L1−D−L2−EのリピドA模倣体の別の実施形態では、A又はEの少なくとも1つが、
であり、式中、
は、ベンゼン環上の任意の位置に配置され、
Raは、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6であり、
mは0〜6であり、
RLは脂質鎖置換基であり、
Rbは、ベンゼン環上の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意の置換若しくは非置換のC1〜6アルキルである。
[012]式A−L1−D−L2−EのリピドA模倣体の一部の実施形態では、Eは芳香族基であり、Aが、
であり、式中、
Zは−CH2G又は−CH2MQであり、ここで、Gは、−H、−ハロゲン、−OH、−NH2、−COOH、−OSO3H、−SO3H、−P(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)2であり、Mは、−O−、−S−、−NH−、−OC(=O)−、−SC(=O)−、−OC(=S)−、又は−NHC(=O)−であり、Qは、−Hであるか、又は置換若しくは非置換、分岐状若しくは直鎖状、飽和若しくは不飽和のC1〜20脂肪族炭化水素であり、
X1は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6であり、
Y1及びY2は、独立して、−H、−OH、−O−RL、−NH−RL、又は−S−RLであり、ここで、RLは脂質鎖置換基である。
[013]より詳細には、Aが直前に定義した通りである一部の実施形態では、X1は−OP(O)(OH)2であり、Y1は−NH−RLであり、Y2は−O−RLである。
[014]式A−L1−D−L2−EのリピドA模倣体の他の実施形態では、Aは芳香族基であり、Eは、
であり、式中、
X2は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6であり、
Y3、Y4、及びY5は、独立して、−H、−OH、−O−RL、−NH−RL、又は−S−RLであり、ここで、RLは脂質鎖置換基である。
[015]より詳細には、Eが直前に定義した通りである一部の実施形態では、X2は−OP(O)(OH)2であり、Y3は−NH−RLであり、Y4は−O−RLであり、Y4は−O−RLであり、Y5は−OHである。
[016]一部の実施形態では、L1は、以下のIIによって定義されるように存在し、以下:
[式中、mは0〜6であり、Yは−(CO)f−であり、ここで、fは0又は1であり、ここで、RLは脂質鎖置換基である]
のように式A−L1−D−L2−E内に組み込まれ得る。
[017]一部の実施形態では、L2は、以下のIによって定義されるように存在し、以下:
[式中、mは0〜6であり、RLは脂質鎖置換基である]
のように式A−L1−D−L2−E内に組み込まれ得る。
[018]一実施形態では、以下の式の化合物であるリピドA模倣体又は薬学的に許容されるその塩を提供する:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
mは0〜6であり、
R1は、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基であり、
R6は、−H、−P(O)(OH)2、又は−CH2COOHである]。
[019]別の実施形態では、以下の式の化合物であるリピドA模倣体又は薬学的に許容されるその塩を提供する:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
R1は、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、以下のものであり:
R7は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
mは0〜6であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基であり、
R6は、−H、−P(O)(OH)2、又は−CH2COOHである]。
[020]別の実施形態では、以下の式の化合物であるリピドA模倣体又は薬学的に許容されるその塩を提供する:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
mは0〜6であり、
Yは、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、−(O)g(CH2)h(CO)j−であり、ここで、gは0又は1であり、hは0〜6であり、jは0又は1であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
R1は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基であり、
R6は、−H、−P(O)(OH)2、又は−CH2COOHである]。
[021]別の実施形態では、以下の式の化合物であるリピドA模倣体又は薬学的に許容されるその塩を提供する:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
mは0〜6であり、
R6は、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
Yは−(CO)f−であり、ここで、fは0又は1であり、
R1は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基である]。
[022]一実施形態では、以下に示す構造を有する、JL−265と命名したリピドA模倣体又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
[023]一実施形態では、以下に示す構造を有する、JL−266と命名したリピドA模倣体又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
[024]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体は、リピドA又はリポ多糖(LPS)拮抗活性を有し得る。
[025]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体は、免疫賦活活性を有し得る。
[026]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体は、トール様受容体4(TLR4)と結合することができ得る。
[027]別の態様では、本明細書中に開示するリピドA模倣体は、リピドA模倣体又は薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物として配合し得る。
[028]別の態様では、本明細書中に開示するリピドA模倣体は、リピドA模倣体又は薬学的に許容されるその塩と抗原とを含むワクチン組成物として配合し得る。
[029]一実施形態では、ワクチン組成物は、リポソーム、疎水性物質の連続相を含む担体、及びヘルパーTエピトープをさらに含み得る。
[030]一実施形態では、ワクチン組成物は、デポヴァックス(DepoVax)(登録商標)中で配合する。
[031]一実施形態では、本明細書中に記載の医薬組成物又はワクチン組成物中に含まれるリピドA模倣体は、JL−265又はJL−266である。
[032]別の態様では、本明細書中に記載の医薬組成物は、対象に医薬組成物を投与することを含む、対象においてリポ多糖(LPS)/リピドA媒介性の疾患又は障害を治療又は予防する方法、上記方法において有用であり得る。
[033]別の態様では、本明細書中に記載のワクチン組成物は、対象にワクチン組成物を投与することを含む、対象において抗原に対する抗体及び/又は細胞性免疫応答を誘導又は強化する方法において有用であり得る。
[034]別の態様では、本明細書中に記載のワクチン組成物は、対象にワクチン組成物を投与することを含む、癌を治療又は予防する方法において有用であり得る。
[035]別の態様では、本明細書中に記載のワクチン組成物は、対象にワクチン組成物を投与することを含む、感染性疾患を治療又は予防する方法において有用であり得る。
[036]別の態様では、本明細書中に記載のワクチン組成物は、対象にワクチン組成物を投与することを含む、嗜癖疾患を治療又は予防する方法において有用であり得る。
[037]別の態様では、本明細書中に記載の医薬組成物は、対象におけるリポ多糖(LPS)/リピドA媒介性の疾患又は障害の治療又は予防において使用するためであり得る。
[038]別の態様では、本明細書中に記載のワクチン組成物は、対象において抗原に対する抗体及び/若しくは細胞性免疫応答を誘導若しくは強化すること、又は対象において癌、感染性疾患、又は嗜癖疾患を治療又は予防することにおいて使用するためであり得る。
[039]一実施形態では、本明細書中で言及する対象は哺乳動物である。より詳細な実施形態では、対象はヒトである。
[040]別の態様によれば、本明細書中に開示するリピドA模倣体を調製する方法を提供する。
[041]本発明の他の態様及び特長は、当業者が以下の説明を添付の図と併せて精査することで明らかとなろう。
[042]以下の図は、本発明の実施形態を例としてのみ例示する。
大腸菌(E.coli)リピドAの構造を例示する図である。
本発明の例示的なリピドA模倣体(JL−265)の構造を例示する図である。
本発明の例示的なリピドA模倣体(JL−266)の構造を例示する図である。
例示的なリピドA模倣体JL−265及びJL−266を含む本発明の水性リポソームワクチン組成物によって生じた、腫瘍体積の低下を例示する図である。0日目に、マウス(C57BL6)にC3腫瘍を皮下で移植した。5日目に、以下のようにマウスの群(n=7匹)にワクチン接種を行った。第1群のマウスには、アジュバントを含有しないリポソーム中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第2群のマウスには、JL−265(10マイクログラム)を含有するリポソーム中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第3群のマウスには、JL−266(10マイクログラム)を含有するリポソーム中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第4群のマウスは腫瘍成長の対照として役割を果たし、抗原もアジュバントも含有しない生理食塩水をワクチン接種した。腫瘍の大きさを週に1回ノギスで測定した。有意性は二元ANOVAによって計算し、ボンフェローニ事後検定を用いてそれぞれの群を第4群の対照と比較した:****、p<0.0001。
例示的なリピドA模倣体JL−265及びJL−266を含む本発明の油に基づくワクチン組成物によって生じた、腫瘍体積の低下を例示する図である。0日目に、マウス(C57BL6)にC3腫瘍を皮下で移植した。5日目に、以下のようにマウスの群(n=7匹)にワクチン接種を行った。第1群のマウスには、アジュバントを含有しない油中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第2群のマウスには、JL−265(10マイクログラム)を含有する油中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第3群のマウスには、JL−266(10マイクログラム)を含有する油中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第4群のマウスは腫瘍成長の対照として役割を果たし、抗原もアジュバントも含有しない生理食塩水をワクチン接種した。腫瘍の大きさを週に1回ノギスで測定した。有意性は二元ANOVAによって計算し、ボンフェローニ事後検定を用いてそれぞれの群を第4群の対照と比較した:****、p<0.0001。
例示的なリピドA模倣体JL−265及びJL−266を含む本発明のデポヴァックス(登録商標)(DPX)ワクチン組成物によって生じた、腫瘍体積の低下を例示する図である。0日目に、マウス(C57BL6)にC3腫瘍を皮下で移植した。5日目に、以下のようにマウスの群(n=8匹)にワクチン接種を行った。第1群のマウスには、アジュバントを含有しないDPX中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第2群のマウスには、JL−265(10マイクログラム)を含有するDPX中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第3群のマウスには、JL−266(10マイクログラム)を含有するDPX中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第4群のマウスは腫瘍成長の対照として役割を果たし、抗原もアジュバントも含有しない生理食塩水をワクチン接種した。腫瘍の大きさを週に1回ノギスで測定した。有意性は二元ANOVAによって計算し、ボンフェローニ事後検定を用いてそれぞれの群を第4群の対照と比較した:****、p<0.0001。
TLR4突然変異体マウスの樹状細胞と比較した、野生型マウスの樹状細胞における、例示的なリピドA模倣体JL−265及びJL−266によって誘導されたCD40及びCD86の発現の増加を例示する図である。樹状細胞を、ナイーブC3H/HeOuJ(野生型)又はC3H/HeJ(TLR4突然変異体)マウスの骨髄から単離した(n=3匹)。樹状細胞を、DMSOビヒクル対照、又は20マイクログラム/ミリリットルのポリI:C、LPS、JL−265、若しくはJL−266で終夜刺激した。翌日、細胞を、CD11c(樹状細胞マーカー)及びCD40又はCD86(樹状細胞活性化のマーカー)に特異的な蛍光色素とコンジュゲートした抗体で染色した。結果は、CD11cのCD40陽性の%(図A)又はCD11c陽性のCD86陽性の%(図B)として示す。統計値は二元AONVAによって計算した。
例示的なリピドA模倣体JL−265及びJL−266を含む本発明のデポヴァックス(登録商標)(DPX)ワクチン組成物によって生じた免疫原性を例示する図である。以下のようにマウスの群(C57BL6)にワクチン接種を行った。第1群のマウス(N=5匹)には、アジュバントを含有しないDPX中のR9F+F21Eペプチド(それぞれ5マイクログラム)をワクチン接種した。第2群のマウス(N=5匹)には、JL−265(5マイクログラム)を含有するDPX中のR9F+F21Eペプチド(それぞれ5マイクログラム)をワクチン接種した。第3群のマウス(N=5匹)には、JL−266(5マイクログラム)を含有するDPX中のR9F+F21Eペプチド(それぞれ5マイクログラム)をワクチン接種した。第4群のマウス(N=2匹)にはワクチン接種を行わなかった。
詳細な説明
[051]内毒素としても知られるリポ多糖(LPS)は、グラム陰性細菌の外膜構成成分である。LPSは強力な免疫賦活剤として記載されている。LPSの免疫賦活活性のための活性構成成分は、リピドAとして知られる分子の親油性アンカーであると決定されている。
[052]リピドAの核構造は細菌種にかかわらず保存されており、β−(1−6)グリコシド結合された、1−O−及び4’−O−位置でビスリン酸化されたジ−D−グルコサミン主鎖からなり、たとえば大腸菌(Escherichia coli)リピドA(図1)である。この二糖核は、エステル及びアミド結合の両方によって、鎖の数、長さ、及び組成が異なる7本までの脂質鎖でアシル化されている。
[053]細菌培養物から精製されたリピドA調製物は構造的に不均一である。したがって、これらには、組成及び性能がどちらも一貫性に欠けるという欠点がある。その不均一性が、組成及び活性の両方における大きなバッチ間のばらつきの原因となっており、これにより規制当局の認可が困難となっている。対照的に、合成リピドA類似体又は模倣体は構造的に定義された純粋な単独分子であり、これは、製品の製造及び性能に関して再現性及び一貫性を達成することにおいて、潜在的に有利であり得る。また、化学合成はアジュバント候補の活性/毒性プロフィールの微調整も可能にし得る。実際、新しいワクチンアジュバントを開発するために、かなりの努力が合成リピドA類似体又は模倣体に向けられている。
[054]現在、アジュバントとして臨床評価段階にある、リピドAに基づく構造がいくつか存在する(Foxら、Subcellular Biochemistry、53:303〜321、2010)。また、還元末端グルコサミン残基が非糖構造要素によって置き換えられている単糖リピドA類似体は、強力な免疫賦活活性を示すことが報告されている。特に、Johnsonらは、アミノアルキルグルコサミニルグリコシドリピドA類似体の群を報告している(Johnsonら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、9:2273〜2278、1999)。Jiangらは、ペンタエリスリトール(Jiangら、Tetrahedron、58:8833〜8842、2002)及びジエタノールアミン(Lewickyら、RSC Adv.、2:1917〜1926、2012、Lewickyら、Bioorg.Med.Chem.、21:2199〜2209、2013)に由来するリピドA類似体の群を報告している。さらに、二糖単位の全体が非環状主鎖で置き換えられているリピドA類似体が知られている(Hawkins、J.Pharmacol.Exp.Therap.、300:655〜61、2002)。
[055]本発明は、たとえば大腸菌リピドAを含めたリピドAの新規合成構造的模倣体、そのような模倣体を合成する方法、及びその使用に関する。本発明のリピドA模倣体は、天然リピドAの糖残基の一方又は両方を芳香族基で置き換える。本明細書中に開示するリピドA模倣体は、ネイティブ細菌リピドAの作用剤又は拮抗剤であり得る。
[056]定義
[057]用語「脂肪族炭化水素」又は「脂肪族基」(互換性があるように使用される)とは、直鎖状、分岐鎖状、又は非芳香環状に一緒に結合された炭素及び水素を含有する炭化水素化合物をいう。
[058]用語「アルキル」とは、それ自体で又は別の置換基の一部として、別段に記述しない限りは、たとえば1〜20個の炭素原子などの任意数の炭素を有しており、より詳細には命名された炭素原子の数(たとえばC1〜6とは1〜6個の炭素原子を意味する)を有する、直鎖又は分岐鎖、飽和又は不飽和、置換又は非置換の脂肪族基をいう。
[059]用語「アルコキシ」とは、酸素と単結合した脂肪族炭化水素をいう(R−O)。アルキルと結合したアルコキシ基(R−O−R)はエーテルを形成する。アルコキシが水素と結合した場合はアルコール(R−OH)を形成する。
[060]用語「アルケン」とは、少なくとも1つの炭素−炭素の二重結合を含有する不飽和脂肪族炭化水素をいう。官能基としては、これは本明細書中において「アルケニル」とも呼び得る。用語「ジアルケニル」は、本明細書中において少なくとも2つの炭素−炭素の二重結合を含有する不飽和脂肪族炭化水素基を表すために使用する。
[061]用語「アルキン」とは、少なくとも1つの炭素−炭素の三重結合を含有する不飽和脂肪族炭化水素をいう。官能基としては、これは本明細書中において「アルキニル」とも呼び得る。
[062]別段に具体的に記述した場合以外は、本明細書中に記載のアルキル、アルコキシ、アルケン、又はアルキン置換基のいずれかについて、炭素鎖中の炭素原子の1つ又は複数をヘテロ原子(たとえば、窒素、酸素、又は硫黄)で置き換えることが可能である。
[063]本明細書中で使用する用語「カルボニル」及び「オキソ」とは、(C=O)部分をいう。また、カルボニル基は−C(O)−としても表し得る。
[064]表現「1つ又は複数」は、本明細書中で表現「少なくとも1つ」と互換性があるように使用される。これらの表現は、「少なくとも1つ」或いは「1つ又は複数」の通常の意味に従って、本明細書中で別段に明確に記述した場合以外は、異なる実体の数(たとえば異なるリピドA模倣体の数、異なる抗原の数など)をいい、任意の特定の実体の量をいうわけではない。
[065]本明細書中で使用する表現「それを必要としている対象」とは、特定の疾患、障害、又は状態を有する対象だけでなく、疾患、障害、若しくは状態に潜在的にかかり得る対象、又は疾患、障害、若しくは状態を引き起こし得る物質に潜在的に曝露されている可能性のある対象も包含することを意味する。ワクチンを用いた治療は多くの場合予防的であるため(たとえば、場合によっては対象が感染する危険性にあるかどうかにかかわらず、潜在的な将来の感染症の効果を予防又は寛解させるために与える)、このことは本明細書中に開示したワクチン組成物に特に関連性がある。
[066]リピドA模倣体
[067]本発明のリピドA模倣体は、天然リピドAの糖残基の一方又は両方を芳香族基で置き換える。これらのリピドA模倣体は、存在するリン酸基の数の相違、脂質鎖の数、構造、及び場所の変化、糖残基(又はその芳香族置換基)の間隔及び連結の変化、並びに、一方又は両方のリン酸基の、そのバイオアイソスター又は他の置換基(たとえば、カルボキシル基、硫酸基、ヒドロキシル基、若しくは水素)での置き換えなどの、天然リピドAとのさらなる相違によって特徴づけられていてもよい。
[068]一実施形態では、本発明のリピドA模倣体は、一般に以下の式によって記載される化合物又は薬学的に許容されるその塩である:
A−L1−D−L2−E
[式中、
Aは、ヒドロキシル基の1つ又は複数が任意選択で置換されているか又は置換されていない環状単糖残基であるか、又は、Aは、置換又は非置換の芳香族基であり、
L1及びL2は、独立して存在又は非存在であり、存在する場合は、独立して、O、S、又はNの1つ又は複数を任意選択で含む、置換又は非置換、分岐状又は直鎖状、飽和又は不飽和の炭素鎖であり、
Dは、−O−、−S−、又は−NH−であり、
Eは、ヒドロキシル基の1つ又は複数が任意選択で置換されているか又は置換されていない環状単糖残基であるか、又は、Eは、置換又は非置換の芳香族基であり、
ここで、A又はEの少なくとも1つが、置換又は非置換の芳香族基である]。
[069]一般に、天然リピドAに対する構造的類似度を保存するために、以下のさらなる特長が本発明のリピドA模倣体において存在し得る:
(1)A又はEの少なくとも1つが、少なくとも1つのリン酸基又はリン酸基等価物を含み、
(2)A、L1、L2、又はEの少なくとも1つが、少なくとも1つの脂質鎖置換基を含む、より詳細には、A又はL1の少なくとも1つが1つ又は複数の脂質鎖置換基を含み、E又はL2の少なくとも1つが1つ又は複数の脂質鎖置換基を含む。
[070]上記より、本発明のリピドA模倣体は、少なくとも4つの主要な要素、すなわち、芳香族基、糖残基(環状単糖)、リン酸基又はリン酸基等価物、及び脂質鎖置換基を含み得ることを見ることができる。しかし、これらの主要な要素の1つ若しくは複数が存在しない、又は特定の主要な要素の複数が存在し得ることが可能である。主要な要素に加えて、リンカー又はスペーサー及び置換基などの他の要素も存在し得る。
[071]リンカー及びスペーサーには、たとえば、式A−L1−D−L2−E中でL1及びL2として同定された置換基が含まれる。また、置換基Dも、リンカー又はスペーサーと考えることができる。これらの特定のリンカー又はスペーサーに加えて、リピドA模倣体は、たとえば、それだけに限定されないが、脂質鎖置換基を連結するリンカー若しくはスペーサー及び/又はリン酸基若しくはリン酸基等価物を連結するリンカー若しくはスペーサーなどの、さらなるリンカー又はスペーサーも含み得る。
[072]リピドA模倣体の主要な要素のいずれかは、任意選択でその上で、特に糖残基(存在する場合)、芳香族基(複数可)、及び脂質鎖置換基で置換され得る。置換基の例示的な実施形態は本明細書中に記載されているが、それだけに限定されない。置換基は任意の有機基又は部分であり得る。本明細書中で使用する用語「有機基又は部分」とは、少なくとも1つの炭素原子及び典型的には少なくとも1つのC−H結合を有する置換基をいう。置換基は、任意数の酸素、窒素、硫黄、リン、ハロゲン、又は他の原子を含み得る。
[073]リピドA模倣体の芳香族基(複数可)
[074]天然リピドA分子の不変の構造的特徴は、そのβ−(1−6)結合したD−グルコサミン二糖主鎖である。本発明のリピドA模倣体は、グルコサミン糖残基の一方又は両方を芳香族基で置き換える。
[075]理論に束縛されずに、天然リピドAのグルコサミン残基の一方又は両方を置き換えるために芳香族基を用いることで、本発明のリピドA模倣体とその受容体TLR4/MD−2との間の結合を強化するために潜在的に重要であり得る、2つのユニークな構造的特徴がもたらされると考えられている。第一に、芳香族基は、結合のために有利な自由エネルギーを提供し得る、強固な系である。言い換えれば、柔軟がより低い分子は、すべての他のパラメータが同一である場合、より柔軟なその対応物よりも高い結合エネルギーを生じる潜在性を有する。第二に、芳香族基は平らな電子が豊富なπ系を含み、これは、π系が関与する一種の非共有相互作用であるπ効果又はπ相互作用をもたらし得る。π系が関与する非共有相互作用は、タンパク質−リガンド相互作用などの生物学的事象の要である。一般的なπ相互作用には、芳香族−芳香族の相互作用(πスタッキング)、C−H/π相互作用、及び陰イオン−π相互作用が含まれる。そのようなπ相互作用は、天然リピドA分子又は芳香族基を欠く他の合成類似体では存在しない。追加のさらなるπ相互作用が本発明のリピドA模倣体とその受容体TLR4/MD−2との間の結合親和性に潜在的に寄与し、したがって、これらの化合物の生物活性が潜在的に改善され得ると考えられている。
[076]本明細書中で使用する用語「芳香族基」とは、1つ又は複数の芳香環を含む置換基をいう。したがって、用語「芳香族基」及び「芳香環」は本明細書中で互換性があるように使用され得る。芳香族基が複数の芳香環を含む場合、環は、ペンダント様式で一緒に付着しているか、又は融合していてもよい。用語「芳香族基」には、炭素環式芳香族基(芳香環又は環中に炭素原子のみを含有する)及び芳香族複素環基(炭素と、芳香環の少なくとも1つ中に1つ又は複数の他の原子を含有する)が包含される。
[077]それぞれの炭素環式芳香族基は合計3〜26個の炭素環原子を有していてもよく、芳香族複素環基の場合は、合計3〜26個の環原子を有しており、1〜6個の環原子が窒素、酸素、硫黄、リン、又はセレン原子から選択され得る。
[078]一般に、本発明のリピドA模倣体の芳香族基の置換基は芳香族性の基準に従う:(i)基は環状でなければならない、(ii)環中の各原子は、両側のp軌道と重複した、占有されたp軌道を有していなければならない(完全共役)、(iii)基は平面的でなければならない、(iv)基は奇数のπ電子対を含有していなければならない(すなわちヒュッケル則を満たさなければならない:(4n+2)個のπ電子、ただし、nは0から開始される整数である)。
[079]本明細書中で使用する用語「炭素環式芳香族基」とは、1つ又は複数の炭素環を有する芳香族基を意味し、ここで、そのような環は、ペンダント様式で一緒に付着しているか、又は融合していてもよい。特定の実施形態では、炭素環式芳香族基は1、2、又は3つの環である。単環の実施形態は、環中に4〜10個の炭素原子、より詳細には4〜7個の炭素原子、さらにより詳細には6個の炭素原子を含有し得る。二環式の実施形態は、環中に8〜12個の炭素原子、より詳細には8〜10、さらにより詳細には10個の炭素原子を含有し得る。三環系の実施形態は、環中に12〜16個の炭素原子、より詳細には14個の炭素原子を含有し得る。炭素環式芳香族基の例には、それだけに限定されないが、ベンゼン、ナフタレン、及びアントラセンが含まれる。
[080]直前の構造に関して、炭素環原子の1つは、リピドA模倣体の残りの部分と結合することを理解されよう(すなわち、式A−L1−D−L2−E中でD又はL1若しくはL2の一方と結合する)。他の炭素原子は置換又は非置換であり得る。
[081]本明細書中で使用する用語「芳香族複素環基」とは、1つ又は複数の環を有する芳香族基を意味し、ここで、そのような環は、ペンダント様式で一緒に付着しているか、又は融合していてもよく、芳香族基は、たとえば、窒素、酸素、硫黄、リン、又はセレンなどの少なくとも1つのヘテロ原子を有する。単環の実施形態は、環中に4〜10員の原子、より詳細には4〜7員の原子、さらにより詳細には5又は6員の原子を含有し得る。二環式の実施形態は、環中に8〜12員の原子、より詳細には8〜10員の原子、さらにより詳細には9又は10員の原子を含有し得る。三環系の実施形態は、環中に12〜16員の原子、より詳細には14員の原子を含有し得る。芳香族複素環基の例には、それだけに限定されないが、以下のものが含まれる。
[082]直前の構造に関して、芳香族基は、環の炭素原子の1つとの結合、又は環のヘテロ原子の1つとの結合によって、リピドA模倣体の残りの部分と結合する(すなわち、式A−L1−D−L2−E中でD又はL1若しくはL2の一方と結合する)。他の炭素原子又はヘテロ原子は置換又は非置換であり得る。
[083]一実施形態では、リピドA模倣体の芳香族基は、1、2、又は3個の置換又は非置換の芳香環を含む炭素環式芳香族基である。一部の実施形態では、芳香族基は1個のみの置換又は非置換の芳香環を含み、より詳細な実施形態では、芳香族基は、置換又は非置換のベンゼン環である。ベンゼン環がリピドA模倣体の残りの部分と結合している場合(すなわち、式A−L1−D−L2−E中でD又はL1若しくはL2の一方と結合する)、フェニル基と同等に呼ぶことができることを理解されよう。フェニル基の環の炭素原子は、同じ又は異なる置換基の1つ又は複数で、任意選択で置換され得る。
[084]本発明のリピドA模倣体では、A又はEの少なくとも1つは芳香族基である。一実施形態では、本明細書中以下で定義するように、Aが芳香族基でありEが環状単糖残基である。第2の実施形態では、本明細書中以下で定義するように、Eが芳香族基であり、Aが環状単糖残基である。第3の実施形態では、A及びEがどちらも芳香族基であり、リピドA模倣体は環状単糖残基を含有しない。この第3の実施形態では、A及びEは同じ又は異なる芳香族基であってもよく、どちらの実施形態でも、それぞれの芳香族基は、独立して、同じ若しくは異なる置換基を有するか、又は置換基を全く有さなくてもよい。
[085]天然リピドAに対する構造的類似度を保存するために、本発明の実施形態では、リピドA模倣体が環状単糖残基を維持するように、A又はEの1つのみが芳香族基で置き換えられていてもよい。特定の実施形態では、芳香族基で置き換えられているのはEであり、その芳香族基はベンゼン環である。
[086]言及したように、芳香族基は、1つ又は複数の同一又は異なる基によって任意選択で置換されていてもよい。それだけに限定されないが、置換基は、たとえば、フッ素(−F)、塩素(−Cl)、臭素(−Br)、若しくはヨウ素(−I)などのハロゲン原子、−OH、−NH2、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分岐状のC1〜10アルキル基、置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分岐状のC1〜10アルコキシ基、置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分岐状のC2〜10アルケン基、又は置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分岐状のC2〜10アルキン基から選択され得る。アルキル、アルコキシ、アルケン、又はアルキン基置換基の任意のものについて、炭素鎖中の炭素原子の1つ又は複数を窒素、酸素、又は硫黄原子で置き換え得ることが可能である。芳香族基上での置換基の置換位置は、そこで置換できる限りは特に限定されない。
[087]上述の置換基に加えて、又はそれに代わって、芳香族基は、リン酸基若しくは本明細書中以下で定義するリン酸基等価物の任意の1つ若しくは複数、又は本明細書中以下で定義する脂質鎖置換基の任意の1つ若しくは複数で、任意選択で置換されていてもよい。ここでも、芳香族基上での置換基の置換位置は、そこで置換できる限りは特に限定されない。
[088]本発明のリピドA模倣体の例示的な一実施形態では、式A−L1−D−L2−E中のA又はEの少なくとも1つは、
であり、式中、
Raは、存在又は非存在であり、存在する場合は、ベンゼン環上の任意の位置に配置され、リン酸基又は本明細書中以下で定義するリン酸基等価物であり、
Rbは、存在又は非存在であり、存在する場合は、ベンゼン環上の任意の残りの位置に配置され、ハロゲン原子、−OH、−NH2、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分岐状のC1〜10アルキル基、置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分岐状のC1〜10アルコキシ基、置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分岐状のC2〜10アルケン基、又は置換若しくは非置換の直鎖状若しくは分岐状のC2〜10アルキン基である。
[089]上記構造のより詳細な実施形態では、Raは、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6である。一部の実施形態では、Raは、−H、−OH、又は−OP(O)(OH)2である。Rbでは、より詳細な実施形態には、−H、−OH、−NH2、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意の置換若しくは非置換のC1〜6アルキルが含まれる。一部の実施形態では、Rbは−Hである。
[090]上記構造は、Aが環状単糖残基(たとえばグルコサミン)であり、L1が非存在であり、DがOであり、L2が存在しており本明細書中に定義する脂質鎖置換基を含む場合に、本発明のリピドA模倣体の置換基Eについて特に興味深い場合がある。逆の立体配置では、Eが環状単糖残基(たとえばグルコサミン)であり、L2が非存在であり、DがOであり、L1が存在しており本明細書中に定義する脂質鎖置換基を含む場合に、リピドA模倣体の置換基Aについて上記構造が代わりに特に興味深い場合がある。これらの実施形態のそれぞれにおいて、A又はEは以下の構造の1つから選択され得る。
[091]本発明のリピドA模倣体の別の例示的な実施形態では、式A−L1−D−L2−E中のA又はEの少なくとも1つは、
であり、式中、
は、ベンゼン環上の任意の位置に配置され、
Raは、本明細書中で既に定義されているとおりであり、特定の実施形態では、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6であり、
Rbは、存在又は非存在であり、存在する場合は、ベンゼン環上の任意の残りの位置に配置され、本明細書中で既に定義されているとおりである、たとえば、−H、−OH、−NH2、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意の置換若しくは非置換のC1〜6アルキルなどであり、
mは0〜6であり、
RLは、本明細書中以下で定義する脂質鎖置換基である。
[092]上記構造は、Aが環状単糖残基(たとえばグルコサミン)であり、L1が非存在であり、DがOであり、L2が非存在である場合に、本発明のリピドA模倣体の置換基Eについて特に興味深い場合がある。逆の立体配置では、Eが環状単糖残基(たとえばグルコサミン)であり、L2が非存在であり、DがOであり、L1が非存在である場合に、リピドA模倣体の置換基Aについて上記構造が代わりに特に興味深い場合がある。
[093]天然リピドAの一方又は両方の糖残基を置き換えるために使用したものより多くの芳香族基がリピドA模倣体中に存在し得る可能性がある。そのような「追加の」芳香族基は、リン酸若しくはリン酸等価基、脂質鎖置換基、又は他の有用な化学部分の付着に有用であり得る。また、脂質鎖置換基上の置換基としても芳香族基が存在し得る。一般に、6個までの「追加の」芳香族基が存在することができる。一部の実施形態では、「追加の」芳香族基は1個しか存在しない。他の実施形態では、「追加の」芳香族基は存在しない。
[094]リピドA模倣体の糖残基
[095]天然リピドAは二糖である。本発明のリピドA模倣体は、天然リピドAの糖残基の一方又は両方を芳香族基で置き換える。残りの糖残基は、保持されている(場合によっては修飾された形態で)、同様に芳香族基で置き換えられている、又は本発明のリピドA模倣体から完全に省略されていてもよい。リピドA模倣体に糖残基が含まれる場合、天然リピドAと同じ糖残基、すなわちグルコサミンである必要はない。残りの糖残基は、存在する場合は、リピドAの天然糖残基、異なる糖残基、又はその修飾された形態であり得る。たとえば、一実施形態では、糖残基は、本明細書中で企図する環状単糖の誘導体又は修飾体を含めた、任意の環状単糖であることができる。
[096]本明細書中で使用する用語「環状単糖残基」とは、化学部分の主鎖構造が環状単糖若しくは誘導体又はその修飾体のものである、本発明のリピドA模倣体中の化学部分をいい、たとえば環状ヘミアセタール又はヘミケタールが含まれる。用語、環状単糖は、本明細書中で「糖残基」と互換性があるように使用され得る。環状単糖とは、部分が最小限で1個の架橋酸素原子によって閉じられた炭素原子の環を含んでおり、そのそれぞれの炭素原子がヒドロキシル基と結合していることを意味する。したがって、本明細書中で使用する用語「環状単糖残基」とは、糖残基の主鎖環に加えて、それぞれの炭素原子に付着したヒドロキシル基も指す。本発明のリピドA模倣体では、ヒドロキシル基の1つ又は複数は、任意選択で置換されていてもよいし、又は置換されていなくてもよい。
[097]3員環を有する環状単糖はオキシロースであり、4員環ではオキセトースであり、5員環ではフラノースであり、6員環ではピラノースであり、7員環ではセプタノースであり、8員環ではオクタノースであり、以下同様である。閉環の位置のロカントは変動し得る。より一般的な環状単糖では、環には1個の酸素原子が含まれ、残りの環原子は炭素である。本発明のリピドA模倣体の一実施形態では、残りの糖残基又はその修飾体(存在する場合)は、典型的にはそれぞれフラノース環又はピラノース環などの5員環又は6員環を含む。
[098]フラノース又はピラノース環は、直接又は間接的に、環の炭素原子の任意の1つで本発明のリピドA模倣体の芳香族基と連結していてもよく、環の残りの位置は、非置換であるか、又は任意の他の化学部分で置換されていてもよい。具体的な置換は本明細書中以下に記載されており、たとえば、脂質鎖、リン酸基又はリン酸基等価物、又は他の置換基の付加が含まれる。
[099]環状単糖又はその修飾体は、デオキシ糖(アルコール性ヒドロキシ基が水素によって置き換えられている)、アミノ糖(アルコール性ヒドロキシ基がアミノ基によって置き換えられている)、チオ糖(アルコール性ヒドロキシ基がチオールによって置き換えられている、若しくはC=OがC=Sによって置き換えられている、若しくは環状形態の環酸素が硫黄によって置き換えられている)、セレノ糖、テルロ糖、アザ糖(環炭素が窒素によって置き換えられている)、イミノ糖(環酸素が窒素によって置き換えられている)、ホスファノ糖(環酸素がリンで置き換えられている)、又はホスファ糖(環炭素がリンで置き換えられている)などであり得る。アミノ糖には、ヘミアセタールヒドロキシ基が置き換えられているグリコシルアミンが含まれる。
[0100]これらの構造の誘導体には、ヒドロキシ水素が他のものによって置き換えられているO置換の誘導体が含まれる。それだけに限定されないが、可能な置き換えには、アルキル、アシル、リン酸基又は本明細書中に定義するリン酸基等価物、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、本明細書中に定義する脂質鎖置換基、又は他の置換基が含まれる。同様に、アミノ糖の誘導体にはN置換の誘導体が含まれ、チオ糖の誘導体にはS置換の誘導体が含まれる。
[0101]天然リピドAに対する構造的類似度を保存するために、本発明の実施形態には、残りの糖残基の位置にあるピラノース環が含まれ得る。特定の実施形態では、残りの糖残基は以下の一般式によって表される:
[式中、Zは、−H、−OH、−CH2G、又は−CH2MQであり、ここで、Gは、−H、−ハロゲン、−OH、−NH2、−COOH、−OSO3H、−SO3H、−P(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)2であり、Mは、−O−、−S−、−NH−、−OC(=O)−、−SC(=O)−、−OC(=S)−、又は−NHC(=O)−であり、Qは、−Hであるか、又は置換若しくは非置換、分岐状若しくは直鎖状、飽和若しくは不飽和のC1〜20脂肪族炭化水素であり、
は、本発明のリピドA模倣体の芳香族基との結合の位置を表し、ピラノース環上の任意の残りの位置は、本明細書中に記載のように置換又は非置換であり得る]。
[0102]天然リピドAに対する構造的類似度をさらに保存するために、本発明の実施形態には、ピラノース糖残基が残りの糖残基として含まれ得る。本明細書中で使用する用語「ピラノース糖残基」とは、糖残基の主鎖環に加えて、それぞれの炭素原子に付着したヒドロキシル基も指す。ピラノース糖残基には、たとえば、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、又はタロースのピラノース体などの、六炭糖の任意の環状異性体が含まれる。置換も立体化学も含まないピラノース糖残基の一般構造を以下の式に示す。
[0103]本発明のリピドA模倣体では、ヒドロキシル基の1つ又は複数は、任意選択で置換されていてもよいし、又は置換されていなくてもよい。
[0104]特定の実施形態では、本発明のリピドA模倣体中のピラノース糖残基は、ヒドロキシル基の1つ又は複数が任意選択で置換されているか又は置換されていない、グルコピラノース環又はガラクトピラノース環を含む。グルコピラノース及びガラクトピラノースと言及される場合、これは、C−4位で付着した化学部分(すなわちヒドロキシル又は本明細書中に定義した任意の置換基)の代替配置(すなわちエピマー)を定義することを意味する。特定の実施形態では、ピラノース糖残基は、ヒドロキシル基の1つ又は複数が任意選択で置換されているか又は置換されていないグルコピラノース環を含む。糖残基とそれに付着している置換基との間のグリコシド結合はα又はβであることができる。
[0105]本発明のリピドA模倣体の式A−L1−D−L2−E中の置換基Aを具体的に参照すると、Aが芳香族基で置き換えられていない場合、この置換基は、それだけに限定されないが、以下の式によって表され得る:
[式中、
Zは−CH2G又は−CH2MQであり、ここで、Gは、−H、−ハロゲン、−OH、−NH2、−COOH、−OSO3H、−SO3H、−P(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)2であり、Mは、−O−、−S−、−NH−、−OC(=O)−、−SC(=O)−、−OC(=S)−、又は−NHC(=O)−であり、Qは、−Hであるか、又は置換若しくは非置換、分岐状若しくは直鎖状、飽和若しくは不飽和のC1〜20脂肪族炭化水素であり、
X1は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6であり、
Y1及びY2は、独立して、−H、−OH、−O−RL、−NH−RL、又は−S−RLであり、ここで、RLは本明細書中に定義する脂質鎖置換基である]。
[0106]天然リピドAに対する構造的類似度を保存するために、本発明のリピドA模倣体の特定の実施形態では、Zは−CH2OHであり、X1は−OP(O)(OH)2であり、Y1は−NH−RLであり、Y2は−O−RLであり、ここで、RLは本明細書中に定義する脂質鎖置換基である。また、それだけに限定されないが、A上の置換基の立体化学は以下の式:
[式中、X1、Y1、及びY2は本明細書中に定義したとおりである]
によって定義され得る。
[0107]本発明のリピドA模倣体の式A−L1−D−L2−E中の置換基Eを具体的に参照すると、Eが芳香族基で置き換えられていない場合、この置換基は、それだけに限定されないが、以下の式によって表され得る:
[式中、
X2は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6であり、
Y3、Y4、及びY5は、独立して、−H、−OH、−O−RL、−NH−RL、又は−S−RLであり、ここで、RLは脂質鎖置換基である]。
[0108]天然リピドAに対する構造的類似度を保存するために、本発明のリピドA模倣体の特定の実施形態では、X2は−OP(O)(OH)2であり、Y3は−NH−RLであり、Y4は−O−RLであり、Y5は−OHであり、ここで、RLは本明細書中に定義する脂質鎖置換基である。また、それだけに限定されないが、E上の置換基の立体化学は以下の式:
[式中、X2、Y3、Y4、及びY5は本明細書中に定義したとおりである]
によって定義され得る。
[0109]リピドA模倣体のリン酸基又はリン酸基等価物
[0110]天然リピドAには、それぞれが二糖主鎖の別々の糖残基に直接付着している、2つのリン酸基が含まれる。最近認可された、GlaxoSmithKlineによって開発されたモノホスホリルリピドA(MPL(商標))は、免疫賦活活性が大部分保たれている一方で、天然二リン酸化リピドAと比較して毒性が低下していることが判明している。本発明のリピドA模倣体の一部の実施形態では、天然リピドA中に見つかるリン酸基の1つ又は複数を省略し得る(すなわち水素で置き換える)、別の化学部分(たとえばヒドロキシル)で置き換え得る、又はリン酸基等価物で置き換え得る。
[0111]本明細書中で使用する用語「リン酸基等価物」とは、一般にリン酸基のバイオアイソスターをいう。「バイオアイソスター」とは、化学部分(すなわち原子又は原子群)を代替の概して同様の化学部分で置き換えたものを表す。バイオアイソスター置き換えの目的は、すべての側面(たとえば、免疫賦活活性、毒性、発熱性など)で親化合物と同様の生物学的特性を有する化合物、又は一部のみの側面が同様で他の側面が改変されている化合物を作製することである。本明細書中で使用する「リン酸基等価物」は、もやは糖残基(又は芳香族基の置き換え)と直接付着していない限り、リン酸基(すなわち−OP(O)(OH)2)を含有することができる。
[0112]リン酸基等価物の一部の例には、それだけに限定されないが、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−OB(OH)2、−OP(O)(OH)−O−P(O)(OH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)nSO3H、−(O)k(CH2)nP(O)(OH)2、−(O)k(CH2)qOCOOH、−(O)k(CH2)qOSO3H、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2が含まれ、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6である。これらは、リン酸基等価物の例を表し、リン酸基等価物が本質的には末端部分である。
[0113]リン酸基等価物の他の可能な例には、それだけに限定されないが、−OP(O)(OH)ORp、−P(O)(OH)ORp、−OC(=O)ORp、−C(=O)ORp、−S(=O)2ORp、−OS(=O)2ORp、−OB(OH)ORp、又は−OP(O)(OH)−O−P(O)(OH)ORpが含まれ、ここで、Rpは置換又は非置換の1〜4個の炭素のアルキル基である。Rpが置換されたアルキル基である場合、一部の実施形態では、置換は−OH又は−NH2から選択される。特に興味深いRp基は−CH2CH2NH2である。特定の実施形態では、リン酸基等価物は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であってもよく、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6である。これらは、Rpを含めるという観点からリン酸基等価物が末端部分でない可能性がある、リン酸基等価物の例を表す。
[0114]本発明のリピドA模倣体の一実施形態では、式A−L1−D−L2−E中のA及びEはどちらも、それに直接付着しているリン酸基を含む。「それに直接」とは、リン酸基が、介在する化学構造なしに糖残基又は芳香族基と直接結合していることを意味する。これらの実施形態では、A及びEの一方又は両方が1つ又は複数のリン酸基等価物をさらに含み得ることが可能である。
[0115]本発明のリピドA模倣体の別の実施形態では、式A−L1−D−L2−E中のA又はEの一方のみが、それに直接付着しているリン酸基を含む。一部の実施形態では、A又はEの他方では、リン酸基が−H、−OH、又はリン酸基等価物で置き換えられている。これらの実施形態では、A又はEの一方又は両方が、リン酸基の代わりであるか、又はリン酸基に加えてであるかにかかわらず、1つ又は複数のリン酸基等価物を含み得ることが可能である。
[0116]本発明のリピドA模倣体の別の実施形態では、A又はEはどちらも、それに直接付着しているリン酸基を含まない。一部の実施形態では、A及びEの両方のリン酸基が、−H、−OH、又はリン酸基等価物で置き換えられている。これらの実施形態では、A及びEは、リン酸基の代わりであるか、又は置き換えに加えてであるかにかかわらず、1つ又は複数のリン酸基等価物を含み得ることが可能である。
[0117]本発明のリピドA模倣体では、リン酸基又はリン酸基等価物は、位置A又はEに見つかる糖残基又は芳香族基に直接又は間接的に付着していてもよい。糖残基又は芳香族基に直接付着していない場合は、これらはスペーサー又はリンカーを介して付着していてもよい。それだけに限定されないが、スペーサー又はリンカーは、酸素、硫黄、又は窒素の1つ又は複数を任意選択で含む、置換又は非置換、分岐状又は直鎖状、飽和又は不飽和の炭素鎖であり得る。一例として、リン酸基又はリン酸基等価物は、以下の構造を介して糖残基と付着していてもよい:
[式中、
Raは、−H、−OH、リン酸基、又はリン酸基等価物であり、
mは0〜6であり、
RLは本明細書中に定義する脂質鎖置換基である]。
[0118]上記式の特定の実施形態では、Raは、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6である。
[0119]一部の実施形態では、本発明のリピドA模倣体は0、1、2、3、又は4個のリン酸又はリン酸等価基を有しており、複数を有する場合は、これらは同じ又は異なっていてもよい。したがって、本発明のリピドA模倣体は1つのリン酸基及び1つのリン酸基等価物を有することができる。或いは、本発明のリピドA模倣体は、1つのリン酸基を有しリン酸基等価物を有さない、又は1つのリン酸基等価物を有しリン酸基を有さないことができる。複数存在する場合、リン酸基又はリン酸基等価物は、A若しくはE(両方ではない)の同じ糖残基若しくは芳香族基と付着し得るか、又はA及びEの両方の糖残基若しくは芳香族基に付着し得る。
[0120]天然リピドAに対する構造的類似度を保存するために、式A−L1−D−L2−Eの位置Aにピラノース糖残基が残っている本発明のリピドA模倣体の一部の実施形態では、リン酸基又はリン酸基等価物はピラノース環のC−4炭素と付着していてもよい。位置Eにピラノース糖残基が残っている他の実施形態では、リン酸基又はリン酸基等価物はピラノース環のC−1炭素と付着していてもよい。
[0121]リピドA模倣体の脂質鎖置換基
[0122]脂質の多様性が、天然リピドA構造間の最も顕著なばらつきに寄与している。これらはすべて、エステル及びアミド結合によって糖残基のヒドロキシ及びアミノ基と連結しているが、ばらつきには、付着している脂質鎖の数、それぞれの脂質鎖の長さ、及び脂質鎖に含有される官能基が含まれる。
[0123]本明細書中で使用する用語「脂質鎖」とは、脂肪酸及びその誘導体、並びにこれらの化合物と生合成的に又は機能的に関連している物質という。一般に、それぞれの脂質鎖は、1本の主要炭素鎖及び任意選択で1つ又は複数の副炭素鎖を含む、疎水性又は両親媒性の分子である。それぞれの炭素鎖は、単結合、二重結合、又は三重結合によって順次連結された炭素原子からなる。一部の実施形態では、二重結合又は三重結合は、特定の炭素鎖の1つの結合を超えない。他の実施形態では、炭素鎖は完全に飽和している。それだけに限定されないが、炭素鎖は、その任意のものが、たとえば、ハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、アミノ、及びアルコキシから選択される置換基で、任意選択で置換されていてもよい、C1〜22の直鎖又は分岐鎖アルキル、アルケニル、アルキニル、又はジアルケニルであり得る。長さが少なくとも6個の炭素である炭素鎖は「主要」炭素鎖と考えられ、他のより短い炭素鎖は「副」炭素鎖と考えられる。
[0124]炭素鎖の炭素原子は、3、2、1、又は0個の水素と結合していてもよい。主要炭素鎖中、−CH<及び>C<の炭素は通常、別の炭素鎖の付着(リンカーを用いる又は用いない)の分岐点である。また、これらはアミノ又はヒドロキシルなどの側基で置換されていてもよい。任意の主要炭素鎖の炭素原子に、1つ又は複数のカルボニル又はチオカルボニル炭素、すなわち、−C(=O)−、又は−C(=S)−が含まれ得る。カルボニル又はチオカルボニル炭素が1つのみ存在する場合、これは通常(必ずしもではないが)、鎖がアシル鎖(飽和又は不飽和)であるように、鎖の最初に存在する。したがって、リンカーが−O−である場合は、カルボニルへの付着によりエステル(−C(=O)−O−)が形成される一方で、リンカーが−NH−である場合は、付着によりアミド(−C(=O)−NH−)が形成される。
[0125]本明細書中で使用する表現「脂質鎖置換基」とは、糖残基又は芳香族基上のそれぞれの個々の脂質置換基をいう。それぞれの脂質鎖置換基は、それ自体が1つ又は複数の脂質鎖を含有し得る。本発明のリピドA模倣体のそれぞれの脂質鎖置換基は少なくとも1本の主要炭素鎖を含む。また、脂質鎖置換基は1つ又は複数の副炭素鎖も含み得る。副炭素鎖は、たとえば、脂質鎖置換基を糖残基若しくは芳香族基と連結させる、又は主要炭素鎖を互いに連結させる種類のリンカーであり得る。
[0126]一部の実施形態では、脂質鎖置換基は単一の非分岐状脂質鎖、すなわち単一の主要炭素鎖を含み得る。他の実施形態では、脂質鎖置換基は、脂質鎖置換基が1、2、3、又は4本の主要炭素鎖を含むように、それぞれ1、2、3、又は4本の脂質鎖を含み得る。
[0127]脂質鎖置換基が複数の主要炭素鎖を含む場合、糖残基又は芳香族基に最も近くから始まる主要鎖が基の一次主要鎖であると考えられる。一次主要鎖に付着している任意の鎖は二次主要鎖であると考えられる。二次主要鎖に付着している任意の主要鎖は三次主要鎖と考えられ、以下同様である。
[0128]二次主要鎖は一次主要鎖の遠位末端(糖残基又は芳香族基と相対的に)に付着していてもよく、その場合、脂質鎖は直鎖状に保たれる(他の部分が存在しない限り)。或いは、二次主要鎖は一次主要鎖の内部炭素に付着していてもよく、その結果分岐状の脂質鎖が生じる。二次主要鎖は、単純な−O−、−S−、若しくは−NH−リンカーによって一次主要鎖に付着していてもよく、又は、リンカーなしで直接付着していてもよい(すなわちC−C)。また、複合リンカーによって付着していてもよい。二次主要鎖の一次主要鎖への付着について上述したものと同じ様式で、三次主要鎖が二次主要鎖に付着していてもよく、以下同様である。
[0129]一実施形態では、高次鎖の低次鎖への付着点(たとえば二次鎖の一次鎖への付着点)は、低次(たとえば一次)鎖のC−3炭素である。
[0130]一次主要鎖と同様、二次又はより高次の主要鎖は、二重結合若しくは三重結合した炭素原子、及び/又はカルボニル若しくはチオカルボニル炭素を含み得る。上述した様々な炭素鎖は、たとえばヒドロキシル又はアミノ基で置換され得る。一実施形態では、ヒドロキシル又はアミノ基が鎖のC−2又はC−3炭素上の置換基となる。
[0131]本発明のリピドA模倣体の脂質補体は、本明細書中に記載の脂質鎖置換基の1つ又は複数を含む。それぞれの脂質鎖置換基は1つ又は複数の主要炭素鎖を提供する。まとめると、リピドA模倣体上の脂質鎖置換基は1、2、3、4、5、6、7、8つ、又はそれより多くの主要炭素鎖を提供し、特定の実施形態は3〜6本の主要炭素鎖を提供する。それぞれの脂質鎖置換基は、独立して、1、2、3、4つ、又はそれより多くの主要炭素鎖を提供し得る。一部の実施形態では、これらの主要炭素鎖は、それぞれ10〜22個の炭素の長さ、より詳細には12〜16個の炭素の長さ、さらにより詳細には14個の炭素の長さである。
[0132]大腸菌リピドAでは、脂質基は82個の炭素原子を提供し、エス・ミネソタ(S.minnesota)リピドAでは、98個の炭素(7本のアシル鎖)を提供する一方で、内毒素拮抗剤であるアール・カプスラータ(R.capsulatus)リピドAでは、脂質基は60個の炭素原子を提供する。脂質基が42個の炭素原子を提供する単糖類似体リピドA作用剤が存在する。
[0133]したがって、脂質鎖置換基の主要炭素鎖は、集合的に少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、又は少なくとも80個の炭素原子を提供し得る。対応する実施形態では、脂質鎖置換基は、集合的に120個以下、110個以下、100個以下、又は90個以下の炭素原子を提供し得る。
[0134]一部の実施形態では、それぞれの脂質鎖置換基は、−O−、−S−、及び−NH−から選択される近位リンカーによって、リピドA模倣体の残りの部分(たとえば、糖残基、芳香族基、又はリンカーL1及び/若しくはL2)と接続している。糖残基との接続の場合、近位リンカーは、糖ヒドロキシルの酸素、チオ糖の硫黄、又はアミノ糖の窒素である。リピドA模倣体の芳香族基又は任意の他の構造(たとえばリンカーL1又はL2)との接続の場合、近位リンカーは、本明細書中に記載のそれぞれの構造の一部分である。
[0135]この近位リンカーは、主要炭素鎖と直接、又は脂質鎖置換基中の遠位リンカーと結合し得る。遠位リンカーは二価、三価、四価などであり得る。通常これは少なくとも三価であり、したがって、リピドA模倣体の残りの部分を脂質鎖置換基の少なくとも2本の異なる主要炭素鎖と接続させる役割を果たす。遠位リンカーは、C1〜5アルキル、−O−、−S−、−C(=O)−、−C(=S)−、−NH−、及び−N<からなる群から独立して選択される2つ以上の要素からなり、ただし、脂質鎖置換基の主要炭素鎖と直接接続している遠位リンカーの原子は炭素原子ではない。遠位リンカーは、脂質鎖置換基が糖残基と付着していない実施形態においてより頻繁に含まれるが、必ずしもそうではない。
[0136]本発明のリピドA模倣体に糖残基が含まれる(すなわち、式A−L1−D−L2−E中のA及びEがどちらも芳香族基によって置き換えられていない)場合、糖炭素骨格上の以下の部位の少なくとも1つは、脂質鎖置換基と連結していてもよい:
(A)アノマー環炭素(置換基Eが糖残基である場合のみ)、
(B)環ヘテロ原子(通常は酸素)に直接隣接している環炭素、
(C)上記(A)若しくは(B)のもの以外の環炭素、及び/又は
(D)環炭素以外の糖炭素(置換基Aが糖残基である場合のみ)。
[0137]そのような連結は、通常は本明細書中に定義した近位リンカーなどのリンカーを介したものであるが、リンカーなしの接続(すなわちC置換のアミノ酸)が完全に排除されるわけではないことを理解されたい。
[0138]糖がグルコースなどのピラノースである場合、以下の部位の少なくとも1つは、脂質鎖置換基と連結していてもよい:
(1)糖環のC−2炭素(すなわち、天然リピドAがN脂質付加されている部位)、
(2)糖環のC−3炭素(すなわち、天然リピドAがO脂質付加されている部位)、
(3)糖環のC−1(アノマー)炭素(置換基Eが糖残基である場合のみ。天然リピドA中では、この炭素はリン酸化されている)、
(4)糖のC−6非環炭素(置換基Aが糖残基である場合のみ。天然リピドAに基づくリピドA二糖では、これは−OHを保有しているが、これが通常、リピドA二糖とLPS分子の残りの部分との付着部位である)、及び/又は
(5)糖環のC−4炭素(天然リピドA中では、これは糖残基の1つでリン酸化されており、他の糖残基中で遊離ヒドロキシルを保有している)。
[0139]糖残基がリピドA模倣体中に留まっている場合、一部の実施形態では、脂質鎖置換基は糖環のC−2及びC−3炭素に付着している。−O−リンカーがC−3及びC−4炭素で、−NH−リンカーがC−2炭素で見つかり得る。これらの炭素上のNH2基が脂質付加されている場合、NH2はNHリンカーとなることが理解されよう。同様に、−OH基が脂質付加されている場合、−OHは−O−リンカーとなる。
[0140]糖のアノマー炭素又は非環炭素でのリンカーに関する特定の優先度はない。
[0141]一実施形態では、本発明のリピドA模倣体上の脂質鎖置換基の少なくとも1つは、強親油性基を含む。強親油性基の決定及び同定は、Jiangらによって米国特許第8,097,593号に記載されている。一般に、基の親油性は、非極性溶媒(たとえば、エタノール、ジオキサン、アセトン、ベンゼン、n−オクタノール)と水の間の分子HZ(式中、Zが問題の側鎖である)の分配係数をSTPで測定することによって決定し得る。親油性はこの分配係数の対数として定義し得る。これは非極性溶媒を好む分子について正となる。
[0142]分配係数(P)は、大部分が非混和性の溶媒からなる二相系中における、溶解した物質の平衡濃度の比として定義される。そのような1つの系はn−オクタノール:水であり、関連する分配係数(Pow)は、水で飽和させたオクタノール中の溶質のモル濃度対オクタノールで飽和させた水中のそのモル濃度の比である。この系は、Jiangら(米国特許第8,097,593号)及びSangster,J.、Octanol−Water Partition Coefficients:Fundamentals and Physical Chemistry(1997年4月)(ISBN0−471−9739)に記載されている。
[0143]log Powの実験的決定の必要性を回避するために、Jiangら(米国特許第8,097,593号)によって記載されているメイラン法によって予測された値を使用することができる。メイラン法では、予測されたlog Powは、それぞれの断片の加重係数(生の係数をその断片のコピー数で掛け算)を定数0.2290に加算することによって得られる。検討した断片には、脂肪族に付着した−CH3(0.5473)、−CH2−(0.4911)、−CH(0.3614)、−OH(−1.4086)、−NH2(−1.4148)、−C(=O)N(−0.5236)、−SH(−0.0001)、−NH−(−1.4962)、−N=C(−0.0010)、−O−(−1.2566)、−CHO(−0.9422)、−tert C、したがって3+C付着(−tert C so 3+C attached)(0.2676)、C Hなし tertではない(C no H not tert)(0.9723)、−C(=O)O−(−0.9505)、−C(=O)−(−1.5586)、=CH又はC<(0.3836)、#C(0.1334)、−C(=O)N(−0.5236)、−O−CO−C−N−CO(−0.5)、−SO−O(−9)、−O−P(−0.0162)、O=P(−2.4239)、リン酸基に付着した−OH(0.475)、芳香族C(0.2940)、芳香族N(5員環)(−0.5262)、及び芳香族に付着した−OH(−0.4802)が含まれる。メイランアルゴリズムはプログラムLog Pow(KowWin(登録商標))で実装することができる。
[0144]基は、メイランアルゴリズムによって予測されるそのlog Powがゼロよりも大きい場合に、親油性基であると予想される。Jiangら(米国特許第8,097,593号)に記載のように、且つ本開示の目的のために、強親油性基は、予測されたlog Powが少なくとも3である、少なくとも5個の水素以外の原子を含む基であると定義されている。さらなる実施形態では、メイランアルゴリズムによって予測された強親油性基のlog Powは少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10である。脂質鎖置換基が強親油性基を含むかどうかを決定する目的のために、近位リンカーは無視されるが、遠位リンカー(存在する場合)は基の一部であるとされる。
[0145]本発明のリピドA模倣体の一部の実施形態では、脂質鎖置換基の任意の数が強親油性基を含み得る。一実施形態では、リピドA模倣体上のすべての脂質鎖置換基が強親油性基を含む。リピドA模倣体上の強親油性基の予測されたlog Powの合計は、少なくとも3、少なくとも6、少なくとも9、少なくとも12、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、又は少なくとも50であり得る。典型的には、それだけに限定されないが、合計は60を超えない、50を超えない、40を超えない、又は30を超えない。
[0146]既に記載したように、強親油性基は少なくとも5個の水素以外の原子を含む。強親油性基(複数可)は、たとえば、記載した任意の置換を含めて、上記定義した主要及び副炭素鎖から構成されていてもよい。一部の実施形態では、強親油性基は、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも11個の水素以外の原子、より詳細な実施形態では少なくとも13個のそのような原子、さらにより詳細な実施形態では少なくとも21個のそのような原子を含む。一般に、強親油性基は、100個以下の水素以外の原子、80個以下のそのような原子、60個以下のそのような原子、又は40個以下のそのような原子を含む。
[0147]強親油性基は、典型的には炭素、ケイ素、水素、酸素、窒素、硫黄、及びリンの元素に限定された元素組成を有する。また、一部の実施形態では、酸素、窒素、硫黄、及びリンの存在は親油性を低下させる傾向にあるため、水素が関与しない基内の結合の大多数は炭素−炭素結合である。したがって、強親油性基の特定の実施形態では、非水素結合の50%より多く、60%より多く、又は75%より多くが炭素−炭素結合である。同じ理由で、典型的には、強親油性基中に炭素原子間の二重結合又は三重結合は2つ以上存在せず、一部の実施形態では、炭素原子間に二重結合又は三重結合は存在しない(たとえば炭素鎖は完全に飽和している)。
[0148]−O−C(=O)−XFの形の脂肪酸基(式中、XFは主にアルキルであるが、アルケニル、アルキニル、又はエーテル結合が含まれ得る)が、本発明のリピドA模倣体上の脂質鎖置換基として特に興味深い場合がある。一般に、脂肪酸は4〜22個の炭素原子を含有する炭化水素基の鎖からなり、末端カルボキシル基によって特徴づけられている。これらは「炭素原子の数:二重結合の数」、及び任意選択でシス/トランス異性の位置によって命名され得る。したがって、適切な脂肪酸には、たとえば、それだけに限定されないが、4:0、6:0、8:0、10:0、12:0、14:0、16:0、16:1(9c)、18:0、18:1(9c)、18:2(9c,12c)、18:3(9c,12c,15c)、18:4(6c,9c,12c,15c)、18:3(9c,11t,13t)、18:1(9c) 12−OH、20:1(9c)、20:1(11c)、20:4(8c,11c,14c,17c)、20:5(5c,8c,11c,14c,17c)、22:0、22:1(11c)、22:1(13c)、22:5(7c,10c,13c,16c,19c)及び22:6(4c,7c,10c,13c,16c,19c)の命名を有するものが含まれ、そのすべては天然に存在するグリコシド中に見つかる。
[0149]様々な種からの天然リピドA中に存在する脂質構造には、10:0、12:0、14:0、16:0、18:0、20:0脂肪酸が含まれる。二次アシル基は通常、3−O付着している。ヒドロキシル化は通常3−OH又は2−OHである。いくつかのリピドA分子(たとえば、ロドバクター・カプスラータ及びロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides))には、12:1又は14:1二次アシル基が含まれる。Alexanderら、Trends in Glycoscience and Glycotechnology、14:69〜86、2002を参照されたい。
[0150]本発明のリピドA模倣体上の脂質鎖置換基には、以下の構造が特に興味深い:
[式中、
Z1、Z2、及びZ3は、独立して、−C(=O)−又は−CH2−であり;
X3は−H又は−(CH2)p3CH3であり、
X4は、−NH−、−O−、又は−CH2−であり、
p、p1、p2、及びp3は、独立して0〜30であり、
r、s、及びtは、独立して0〜6である]。
[0151]より詳細には、以下の定義を有する上記構造が興味深い:
[式中、Z1は−C(=O)−又は−CH2−であり、pは2〜30である]、
[式中、Z1は−C(=O)−又は−CH2−であり、rは0〜6であり、p及びp1は独立して0〜30であり、ここで、p+p1+3rは2〜30である]、
[式中、Z1は−C(=O)−又は−CH2−であり、sは0〜6であり、pは0〜30であり、ここで、s+p+1は2〜30である]、
[式中、Z1は−C(=O)−又は−CH2−であり、sは0〜6であり、pは0〜30であり、ここで、s+p+1は2〜30である]、
[式中、Z1及びZ2は、独立して、−C(=O)−又は−CH2−であり、p、p1、及びp2は、独立して、0〜30、s及びrは独立して0〜6であり、ここで、p+p1+3rは3〜30であり、s+p2+1は2〜30である]、
[式中、Z1、Z2、及びZ3は、独立して、−C(=O)−又は−CH2−であり、X3は−Hであり、p1及びp2は独立して2〜30であり、sは0である]、
[式中、Z1は−C(=O)−、X4−NH−、又は−O−であり、p1及びp2は独立して2〜30である]、
[式中、Z1及びZ2は、独立して、−C(=O)−又は−CH2−であり、p1及びp2は独立して0〜30であり、s及びtは独立して0〜6であり、ここで、p+t+1は2〜30であり、p2+s+1は2〜30である]、
[式中、Z1、Z2、及びZ3は、独立して、−C(=O)−又は−CH2−であり、p1、p2、及びp3は独立して0〜30であり、s及びtは独立して0〜6であり、ここで、p2+t+1は2〜30であり、p2+t+1は2〜30である]。
[0152]包含される他の脂質鎖置換基は、Asaiらによって米国特許第6,235,724号に記載されている脂質置換基、及びJiangらによって米国特許第8,097,593号に記載されている脂質置換基である。これらの脂質鎖置換基は、依然として強親油性基として認定されるはずであることを理解されたい。
[0153]たとえば、それだけに限定されないが、本発明のリピドA模倣体には、以下から独立して選択される1つ又は複数の脂質鎖置換基が含まれ得る。
[0154]直前の構造はすべて強親油性基として認定されることに注目されたい。
[0155]一実施形態では、本発明のリピドA模倣体には1、2、3、4、5、6、7、又は8つの脂質鎖置換基が含まれ、そのそれぞれは、たとえば上述の具体的な構造から独立して選択され得る。一実施形態では、リピドA模倣体には、2、3、4、又は5つの脂質鎖置換基、さらなる実施形態では3又は4つの脂質鎖置換基が含まれる。脂質鎖置換基のそれぞれは、リピドA模倣体上の他の脂質鎖置換基と同じであっても異なっていてもよい。
[0156]天然リピドAに対する構造的類似度を保存するために、本発明のリピドA模倣体の一部の実施形態は、天然リピドA構造中に存在する脂質鎖置換基と同一である、少なくとも1つの脂質鎖置換基を含み得る。さらなる部分実施形態では、リピドA模倣体のすべての脂質鎖置換基が天然リピドA構造中に存在するものと同一であるが、それらが同じ天然リピドA分子中に存在するものである必要はない。
[0157]他の実施形態では、本発明のリピドA模倣体は、任意の天然リピドA構造中に見つからない少なくとも1つの脂質鎖置換基を含み得る。相違は、それだけに限定されないが、主要炭素鎖(複数可)の長さ、主要炭素鎖(複数可)の分岐の度合い、主要炭素鎖(複数可)中の不飽和結合の存在若しくは位置、又は−C(=O)−O−(エステル)、−O−(エーテル)、若しくは−NH−(アミノ)結合の存在若しくは位置の相違であり得る。そのような脂質鎖置換基の例には、たとえば、Jiangらによって米国特許第7,491,707号に開示されている合成脂質酸構造のいずれかが含まれ得る。
[0158]天然大腸菌リピドAの主要形では、二糖主鎖は2つのグルコサミンから構成される(図1)。脂質構成成分は、糖環のC−2及びC−3位置で炭素原子と連結している、6本の炭素鎖の形態をとる。糖残基の1つは、糖環のC−3位置で炭素原子とO連結している分岐状脂質、及び糖環のC−2位置で炭素原子とN連結している同様の分岐状脂質を有する。この脂質鎖置換基は以下の構造を有する。
[0159]見ることができるように、一次鎖(糖環炭素と連結しているもの)はアシル鎖である。二次アシル鎖は一次アシル鎖のC−3炭素のO連結している(カルボニル炭素がC−1である)。したがって、合計4本の主要炭素鎖が、天然大腸菌リピドAの主要形においてこの最初の糖残基と直接又は間接的に連結されている。
[0160]天然大腸菌リピドAの主要形における第2の糖残基では、非分岐状であるがヒドロキシル化されたアシル鎖が糖環のC−3位置で炭素原子とO連結しており、別のそのようなアシル鎖が糖環のC−2位置で炭素原子とN連結している。この脂質鎖置換基は以下の構造を有する。
[0161]したがって、合計2本の炭素主要鎖が、天然大腸菌リピドAの主要形においてこの第2の糖残基と連結されている。一方の糖に4本のアシル鎖が存在し、他方には2本存在するため、天然大腸菌リピドAは、不斉ヘキサアシル脂質補体、より詳細には4/2分布を有すると言われる。
[0162]一実施形態では、本発明のリピドA模倣体上の脂質鎖置換基も不斉ヘキサアシル脂質補体を提供し得る。それに加えて又はその代わりに、本発明のリピドA模倣体は、上記表示したように、天然大腸菌リピドAの主要形のものと同一の1つ又は複数の脂質鎖置換基を含む。リピドA模倣体上の脂質鎖置換基の配置は、天然大腸菌リピドAのそれと同じであっても異なっていてもよい。
[0163]スペーサー、リンカー、及びリピドA模倣体の接続性
[0164]リピドA模倣体には任意数のスペーサー又はリンカーが含まれ得る。リピドA模倣体中に存在し得るスペーサー又はリンカーの一部は既に言及されている。これらには、たとえば、脂質鎖置換基を糖残基若しくは芳香族基と接続するために存在し得る近位及び遠位リンカー、又はリン酸基若しくはリン酸基等価物を糖残基若しくは芳香族基と接続するために式A−L1−D−L2−Eの置換基A若しくはE中で使用し得るスペーサー若しくはリンカーが含まれる。
[0165]リピドA模倣体の他の具体的なスペーサー又はリンカーは、式A−L1−D−L2−E中の置換基L1及びL2である。これらのスペーサーは存在していても存在していなくてもよい。存在する場合、これらは、それだけに限定されないが、酸素、硫黄、又は窒素の1つ又は複数を任意選択で含む、任意の置換又は非置換、分岐状又は直鎖状、飽和又は不飽和の炭素鎖であり得る。一部の実施形態では、置換基L1及びL2の機能的側面は、A及びEに存在する置換基の間に距離をもたらすためであり得る(たとえばスペーサー機能)。一部の実施形態では、L1及びL2の別の機能的側面は、脂質鎖置換基の接続部位を提供することであり得る(たとえばリンカー機能)。同様に、リン酸基又はリン酸基等価物を糖残基又は芳香族基と接続するために使用し得るスペーサー又はリンカーは、これらの機能的側面の一方又は両方を提供し得る。
[0166]一例として、それだけに限定されないが、L1は以下のIIの構造を有し得る。
[式中、A及びDはA−L1−D−L2−E中のものであり、mは0〜6であり、Yは−(CO)f−であり、ここで、fは0又は1であり、ここで、RLは脂質鎖置換基である]
[0167]一例として、それだけに限定されないが、L2は以下のIの構造を有し得る。
[式中、D及びEはA−L1−D−L2−E中のものであり、mは0〜6であり、RLは脂質鎖置換基である]
[0168]上記のL1及びL2の例示的な構造は、脂質鎖置換基の接続部位を提供するという、記載した機能的側面を提供する。多くの他の構造もこの機能的特徴をもたらすことができ、本明細書中に包含される。また、L1及び/又はL2の構造は脂質鎖置換基の複数の付着部位も提供する場合があり、1、2、3、又は4つの脂質鎖置換基を含み得る。特定の実施形態では、L1及びL2は、脂質鎖置換基の1又は2つ、より詳細には1つの付着部位を個々に提供する。
[0169]リピドA模倣体の一実施形態では、A、L1、L2、又はEの少なくとも1つが1つ又は複数の脂質鎖置換基を含む。
[0170]リピドA模倣体の別の実施形態では、A又はL1の少なくとも1つが1つ又は複数の脂質鎖置換基を含む。
[0171]リピドA模倣体の別の実施形態では、L2又はEの少なくとも1つが1つ又は複数の脂質鎖置換基を含む。
[0172]天然リピドAに対する構造的類似度を保存するために、リピドA模倣体の一実施形態では、A又はL1の少なくとも1つ及びL2又はEの少なくとも1つは、1つ又は複数の脂質鎖置換基を含む。
[0173]上記より、リピドA模倣体の特定の実施形態では、(i)置換基Aが1つ若しくは複数の脂質鎖置換基を有する糖残基である、又は(ii)置換基Aが糖残基若しくは芳香族基であり、リン酸基若しくはリン酸基等価物を糖残基若しくは芳香族基と接続するスペーサー若しくはリンカーが存在し、このスペーサー若しくはリンカーが少なくとも1つの脂質鎖置換基を有する場合は、L1は非存在であることが理解されよう。それに加えて又はその代わりに、リピドA模倣体の特定の実施形態では、(i)置換基Eが1つ若しくは複数の脂質鎖置換基を有する糖残基である、又は(ii)置換基Eが糖残基若しくは芳香族基であり、リン酸基若しくはリン酸基等価物を糖残基若しくは芳香族基と接続するスペーサー若しくはリンカーが存在し、このスペーサー若しくはリンカーが少なくとも1つの脂質鎖置換基を有する場合に、L2は非存在である。
[0174]したがって、置換基Aが脂質鎖置換基を含まない場合、L1は典型的に存在し、脂質鎖置換基を含む。同様に、それに加えて又はその代わりに、置換基Eが脂質鎖置換基を含まない場合、L2は典型的に存在し、脂質鎖置換基を含む。
[0175]また、式A−L1−D−L2−E中の置換基Dもリンカー又はスペーサーと考えることができる。この位置は、天然リピドA中のO−グリコシド結合の位置に対応する。S−及びN−グリコシド結合を含めた他の種類のグリコシド結合も存在する。したがって、本発明のリピドA模倣体では、置換基Dは−O−、−S−、又は−NHであり得る。特定の実施形態では、天然リピドAに対する構造的類似度を保存するために、置換基Dは−O−である。他の二価基も置換基Dとして使用することが可能である。たとえば、−S(O)−、−S(O)2−、−OP(O)(OH)O−、又は−C(O)−を、2つの分子断片を連結させるために使用することができる。そのような場合、たとえばDが−C(O)−である場合、Dに直接隣接する置換基の定義を、それに応じて適応させなければならない場合があることを理解されたい(たとえばYの定義)。
[0176]リピドA模倣体の例示的な群
[0177]例示的な一実施形態では、本発明のリピドA模倣体は、以下の構造を有する化合物又は薬学的に許容されるその塩であり得る:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
mは0〜6であり、
R1は、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基であり、
R6は、−H、−P(O)(OH)2、又は−CH2COOHである]。
[0178]直前の構造のリピドA模倣体のより詳細な実施形態では、XはNHであり、mは1であり、R1は、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト位に配置されており、−OH又は−OP(O)(OH)2であり、R2は−Hであり、R3、R4、及びR5はそれぞれ独立して:
であり、R6は−P(O)(OH)2である。
[0179]したがって、具体的な実施形態では、本発明のリピドA模倣体は、以下に再現するJL−265(図2)又はJL−266(図3)の構造によって表される。
[0180]別の例示的な実施形態では、本発明のリピドA模倣体は、以下の構造を有する化合物又は薬学的に許容されるその塩であり得る:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
R1は、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、以下のものであり:
R7は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
mは0〜6であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基であり、
R6は、−H、−P(O)(OH)2、又は−CH2COOHである]。
[0181]別の例示的な実施形態では、本発明のリピドA模倣体は、以下の構造を有する化合物又は薬学的に許容されるその塩であり得る:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
mは0〜6であり、
Yは、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、−(O)g(CH2)h(CO)j−であり、ここで、gは0又は1であり、hは0〜6であり、jは0又は1であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
R1は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基であり、
R6は、−H、−P(O)(OH)2、又は−CH2COOHである]。
[0182]別の例示的な実施形態では、本発明のリピドA模倣体は、以下の構造を有する化合物又は薬学的に許容されるその塩であり得る:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
mは0〜6であり、
R6は、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
Yは−(CO)f−であり、ここで、fは0又は1であり、
R1は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基である]。
[0183]リピドA模倣体JL−265(2)及びJL−266(3)の合成の説明
[0184]リピドA模倣体JL−265(2)及びSL−266(3)の合成は、グリコシルアクセプター7の形成から始まった(以下のスキーム1)。したがって、3−アミノフェノール中のアミン部分を、炭酸水素ナトリウム水溶液の存在下、90℃で2−クロロエタノールと縮合させることにより、フェノール系の非環状足場4が58%の収率で得られた。N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中の塩化tert−ブチルジフェニルシリル(TBDPS−Cl)及びイミダゾールで処理することによる、4の一次ヒドロキシル基の保護により、5が84%の収率で得られた。これにより、最初に、CH2Cl2中、−20℃でN−メチルモルホリン(NMM)によって二脂質酸8(Kisoら、Carbohydr.Res.、162:247〜256、1987)をクロロギ酸イソブチル(IBCF)と縮合させて酸無水物を生成し、その後、これを5のアミン基とカップリングさせ5、最終的には6が80%の全収率で得られる、混合酸無水物方法による5のアミン部分の選択的アシル化が可能となった。最後に、CH2Cl2及び酢酸の混合物中でのフッ化テトラブチルアンモニウム処理による、6のシリルエーテル保護基の切断により、所望のグリコシルアクセプター7が81%の収率で得られた。
[0185]既知のイミデートドナー9を用いた、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホネート(TMSOTf)に触媒されるグリコシルアクセプター7のグリコシル化(Jiangら、Tetrahedron、58:8833〜8842、2002)により、グリコシド10が89%の収率で得られた(以下のスキーム2)。10の所望のβ−グリコシド結合は1H NMRスペクトルデータ(δ4.59、d、J8.5Hz、H−1)によって確認された。酢酸中の亜鉛末を用いた処理による10のN−Troc保護基の除去、次いで二脂質酸8を用いた、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)に促進されるカップリングにより、ヘキサアシル化誘導体11が68%の全収率で得られた。リピドA模倣体JL−265(2)は、化合物11を、テトラヒドロフラン(THF)中での触媒水素化による包括的な脱保護に供することによって、88%の収率で得られた。リピドA模倣体JL−266(3)を得るために、まず、最初にCH2Cl2中のジベンジルN,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト[(BnO)2PN(iPr)2]及び5−フェニルテトラゾールを用い、次いで亜リン酸中間体のm−クロロ過安息香酸(m−CPBA)による0℃での酸化を用いた2ステップ反応によって、化合物11を93%の全収率で二リン酸誘導体12へと変換した。したがって、THF中での触媒水素化による12の包括的な脱保護により、リピドA模倣体JL−266(3)が89%の収率で得られた。リピドA模倣体JL−265(2)及びJL−266(3)の構造は、1H NMR及び高解像度MALDI−MSデータによって確認されている。
[0186]薬学的に許容される塩
[0187]本発明のリピドA模倣体には、開示した化合物の薬学的に許容される塩も含まれる。
[0188]本明細書中で使用する用語「薬学的に許容される塩」とは、生物活性を保持しており、生物学的又は他の様式で望ましくないわけではない、リピドA模倣体の塩をいう。本明細書中に開示するリピドA模倣体の多くが、アミノ及び/若しくはカルボキシル基又はそれに類似の基が存在することで、酸及び/又は塩基塩を形成することができる。
[0189]薬学的に許容される塩基付加塩は、無機及び有機塩基から調製することができる。無機塩基に由来する塩には、例のみとして、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、及びマグネシウム塩が含まれる。有機塩基に由来する塩には、それだけに限定されないが、第一級、第二級、及び第三級アミンの塩が含まれる。
[0190]薬学的に許容される酸付加塩は、無機及び有機酸から調製し得る。無機酸に由来する塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。有機酸に由来する塩には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、サリチル酸などが含まれる。
[0191]組合せ
[0192]本明細書中に開示するリピドA模倣体のいずれかを、互いに組み合わせて、任意選択で1つ又は複数の他の製薬と一緒に使用し得る。リピドA模倣体を免疫学的薬剤として使用する場合、これは他の免疫学的薬剤と組み合わせて使用し得る。本明細書中で使用する用語「免疫学的薬剤」とは、免疫賦活性か免疫阻害性かにかかわらず、対象の免疫応答又は免疫系に対して効果を有することができる任意の薬剤(たとえば分子又は化合物)をいう。それだけに限定されないが、免疫学的薬剤には、本明細書中に記載されている又は当分野で知られている、抗原(免疫原及びハプテンがどちらも含まれる)、アジュバント、サイトカイン、又は任意の他の免疫調節分子が含まれる。
[0193]本発明のリピドA模倣体のいずれかを、互いに組み合わせて、他のリピドA模倣体若しくは類似体、天然リピドA分子、又は他の製薬(たとえば、アジュバント、担体、希釈剤、賦形剤など)と共に使用し得る。とりわけ、製薬は免疫学的薬剤であり得る。
[0194]組合せは、共有コンジュゲート、非共有コンジュゲート、単純な混合物、すべての要素が同じ若しくは重複する時点で対象内に存在するような使用、又は組合せのすべての要素が、それを投与した対象内で同時に活性であるような使用であり得る。同時活性は同時投与によって達成し得るが、必ずしも同時投与が必要ではない。化合物は、同時に投与しない場合でも、たとえば、長い半減期を有する化合物Xを、短い半減期を有する化合物Yの前に投与するが、Yを投与する際にXが依然として体内に有効なレベルで存在する場合に、同時に活性であり得る。したがって、同時に活性には、組合せのメンバーの連続投与が含まれる。
[0195]医薬組成物
[0196]本発明のリピドA模倣体は、医薬組成物中で、薬学的に許容される担体と任意選択で共に配合し得る。
[0197]一部の実施形態では、医薬組成物は、活性成分として、治療上有効な量の本明細書中に開示するリピドA模倣体を含有する。本実施形態において使用する「治療上有効な量」とは、障害若しくはウイルス産生自体を治療、予防、若しくは抑制すること、又はLPS/リピドA媒介性障害によって引き起こされた対象の免疫系の過剰活性化を抑制することを含めた、LPS/リピドA媒介性の疾患若しくは障害又はLPS媒介性ウイルス産生に関連する状態又は症状を治療、予防、又は抑制するために有効な量のリピドA模倣体をいう。これらの実施形態では、リピドA模倣体は典型的にはLPS/リピドA拮抗剤である。任意選択で、医薬組成物には薬学的に許容される担体が含まれる。
[0198]他の実施形態では、医薬組成物は、第1の構成成分としてリピドA模倣体以外の活性薬剤を含み、第2の構成成分として少なくとも1つの本発明のリピドA模倣体を含む。医薬組成物の本実施形態では、リピドA模倣体をたとえばアジュバントとして含め得る。本実施形態におけるリピドA模倣体の機能は多くの場合、補助的な免疫刺激化合物としてであるため、第1の構成成分、すなわち活性薬剤には、それだけに限定されないが、任意の治療剤又は複数の治療剤を含めることができる。一実施形態では、活性薬剤は本明細書中に記載の抗原である。抗原が活性薬剤として含まれる医薬組成物は、本明細書中以降に記載するように、本明細書中でワクチン組成物と呼ぶ。任意選択で、医薬組成物(又はワクチン組成物)には薬学的に許容される担体が含まれる。
[0199]本明細書中で使用する用語「薬学的に許容される担体」とは、組成物の他の成分と適合性があり、そのレシピエントに対して有害(たとえば毒性)でないという意味で「許容される」担体をいう。典型的には、薬学的に許容される担体は、活性成分及び/又はリピドA模倣体の免疫調節活性と干渉しない媒体である。
[0200]薬学的に許容される担体の一部の例には、決してそれだけに限定されないが、たとえば、水、リン酸緩衝生理食塩水、グリセロール、エタノール、リンゲル液、デキストロース溶液、血清含有溶液、ハンクス液、他の生理的にバランスのとれた水溶液、水中油乳濁液、油状物、油中水乳濁液、エステル、ポリ(エチレン−酢酸ビニル)、乳酸とグリコール酸のコポリマー、ポリ(乳酸)、ゼラチン、コラーゲンマトリックス、多糖、ポリ(D,Lラクチド)、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(カプロラクトン)、セルロース、アルブミン、デンプン、カゼイン、デキストラン、ポリエステル、メタクリレート(mathacrylate)、ポリウレタン、ポリエチレン、ビニルポリマー、グリコール、サイログロブリン、ヒト血清アルブミンなどのアルブミン、破傷風トキソイド、ポリL−リシン、ポリL−グルタミン酸などのポリアミノ酸、インフルエンザ、B型肝炎ウイルスコアタンパク質、その混合物等が含まれる。たとえばRemington:The Science and Practice of Pharmacy、2000、Gennaro,A R編、ペンシルベニア州Eaton:Mack Publishing Co.を参照されたい。
[0201]一部の実施形態では、本明細書中における医薬組成物又はワクチン組成物の担体は、本明細書中以降に記載する、疎水性物質の連続相を含む担体である。
[0202]医薬組成物は、それだけに限定されないが、塩、緩衝剤、湿潤剤又は乳化剤、及び保存料などの、当分野で知られているさらなる賦形剤、補助剤、又は希釈剤をさらに含み得る。たとえばPorterら編、The Merck Manual、第19版、Merck and Co.、ニュージャージ州Rahway、2011を参照されたい。医薬組成物中で使用する場合、塩は、典型的には本明細書中に記載の薬学的に許容される塩であるべきであるが、薬学的に許容されない塩を好都合に使用して薬学的に許容されるその塩を調製してもよく、本発明の範囲から排除されない。
[0203]本発明の医薬組成物には、本明細書中に開示するリピドA模倣体に加えて、対象において免疫応答をブースト又は増強させることができる、当業者に知られている任意のアジュバント又はアジュバント混合物が任意選択でさらに含まれる。他のアジュバントの例は当業者に周知であり、それだけに限定されないが、非イオン性ブロックポリマー、水酸化アルミニウム又はリン酸アルミニウムアジュバント、及びその混合物が含まれる。また、医薬組成物には、本明細書中に開示するリピドA模倣体に追加のアジュバントとして、他のリピドA模倣体又は類似体も含まれ得る。
[0204]それに加えて又はその代わりに、医薬組成物には、細胞性免疫応答若しくは液性免疫応答のどちらかを優先若しくは阻害するサイトカイン、又はそのようなサイトカインに対する阻害性抗体などの免疫調節物質が含まれ得る。免疫調節物質の他の例には、たとえば、国際公開第2014/153636号に記載のもの(たとえばシクロホスファミド)又は免疫チェックポイント経路阻害剤(たとえばPD−1経路阻害剤)などの、DNA複製に干渉する任意の薬剤が含まれる。これら及び免疫調節物質として機能する他の化合物又は薬剤が当分野で知られており、任意の1つ又は複数の免疫調節物質を、本明細書中に記載した組成物中、又はそれと共に使用し得る。免疫調節物質は、本明細書中に記載した組成物の構成成分であるか、又は別個に投与し得る。
[0205]医薬組成物の一部の実施形態では、構成成分(たとえば、リピドA模倣体、抗原など)を送達ビヒクル内に取り込ませ得る。そのような送達ビヒクルには、それだけに限定されないが、リポソーム、リポスフェア、ポリマー、及びミクロスフェア又はマイクロカプセルなどの徐放装置、並びにその組合せが含まれ得る。
[0206]一実施形態では、これらの送達ビヒクルを使用する場合(たとえばリポソーム)、担体は、本明細書中以降に記載する、疎水性物質の連続相を含む担体である。
[0207]組成物は抗原提示細胞を含んでいてもよく、そのような場合、より有効な提示のために、投与の前に抗原を細胞上にパルシングし得る。
[0208]一部の実施形態では、医薬組成物は、たとえば、それだけに限定されないが、代謝拮抗剤、ブレオマイシンペプチド抗生物質、ポドフィリンアルカロイド、ビンカアルカロイド、アルキル化剤(たとえばテモゾマイド)、抗生物質、シスプラチン、又はニトロソ尿素からなる群から選択されるものなどの、少なくとも1つの癌化学療法化合物をさらに含み得る。医薬組成物は、たとえば、それだけに限定されないが、ガンマグロブリン、アマンタジン、グアニジン、ヒドロキシベンズイミダゾール、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、チオセミカルバゾン(thiosemicarbarzone)、メチサゾン、リファンピン、リバビリン(ribvirin)、ピリミジン類似体、プリン類似体、ホスカルネット、ホスホノ酢酸、アシクロビル、ジデオキシヌクレオシド、又はガンシクロビルから選択されるものなどの、少なくとも1つのウイルス化学療法化合物をさらに含み得る。たとえばKatzung編、Basic and Clinical Pharmacology、第5版、Appleton and Lange、コネチカット州Norwalk(1992)を参照されたい。
[0209]上述したように、医薬組成物の特定の実施形態はワクチン組成物である。これらを以下、さらに詳細に記載する。実現可能な場合、医薬組成物について上述した実施形態及び特長が本発明のワクチン組成物に同等に適用されることを理解されたい。同様に、実現可能な場合、本明細書中に記載のワクチン組成物の実施形態及び特長は一般に医薬組成物に適用され得る。
[0210]ワクチン組成物
[0211]本明細書中で使用する用語「ワクチン」又は「ワクチン組成物」は互換性があるように使用され得る。
[0212]本発明のワクチン組成物は、リピドA模倣体と一緒に使用するためには、抗原を対象に送達するために適した任意の形態であり得る。本発明によるワクチン組成物は、リピドA模倣体と、1つ又は複数の抗原と、たとえばヒトへの投与に許容されるものなどの1つ又は複数の薬学的に許容される賦形剤又は担体との混合物によって等、既知の方法に従って配合することができる。そのような賦形剤、担体、及び配合方法の例は、たとえばRemington’s Pharmaceutical Sciences(Maack Publishing Co、ペンシルベニア州Easton)に見つけ得る。有効な投与に適した薬学的に許容されるワクチン組成物を配合するために、そのような組成物は、典型的には、治療上有効な量の抗原を、本明細書中に開示した1つ又は複数のリピドA模倣体と一緒に含有する。
[0213]本発明によるワクチン組成物は、治療上有効な量で対象に投与し得る。本明細書中で使用する「治療上有効な量」とは、疾患若しくは障害、又はその疾患若しくは障害に関連する状態若しくは症状を治療する、予防する、改善する、又は寛解させるため、治療する対象の生存を延ばすため、及び/或いは液性免疫応答又は細胞性免疫応答などの対象における免疫応答を刺激、誘導、又は増強するために有効な、ワクチン又は活性成分(たとえば抗原)の量を意味する。ワクチン又は活性成分の治療上有効な量の決定は、当業者の能力範囲内に十分ある。治療上有効な量は、対象の状態、重量、性別、及び年齢などの様々な要因に応じて変動し得る。
[0214]本発明のリピドA模倣体と一緒にワクチン組成物内に包含させるための、1つ又は複数の適切な抗原が選択された後、抗原は、当分野で知られている様々な適切な手段によって送達し得る。ワクチン組成物には、たとえば、それだけに限定されないが、リポペプチド類(たとえば、Vitiello,A.ら、J.Clin.Invest.、95:341、1995)、ポリ(DL−ラクチド−コ−グリコリド)(「PLG」)ミクロスフェアにカプセル封入されたペプチド組成物(たとえば、Eldridgeら、Molec.Immunol.、28:287〜294、1991、Alonsoら、Vaccine、12:299〜306、1994、Jonesら、Vaccine、13:675〜681、1995を参照)、免疫刺激複合体(ISCOMS)に含有させたペプチド組成物(たとえば、Takahashiら、Nature、344:873〜875、1990、Huら、Clin Exp Immunol.、113:235〜243、1998を参照)、多抗原ペプチド系(MAP)(たとえば、Tam,J.P.、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、85:5409〜5413、1988、Tam,J.P.、J.Immunol.Methods、196:17〜32、1996を参照)、多価ペプチドとして形成されたペプチド、弾道送達系で使用するためのペプチド、典型的に結晶化されたペプチド、ウイルス送達ベクター(Perkus,M.E.ら、Concepts in vaccine development、Kaufmann,S.H.E.編、ページ379、1996、Chakrabarti,S.ら、Nature、320:535、1986、Hu,S.L.ら、Nature、320:537、1986、Kieny,M.−P.ら、AIDS Bio/Technology、4:790、1986、Top,F.H.ら、J.Infect.Dis.、124:148、1971、Chanda,P.K.ら、Virology、175:535、1990)、ウイルス若しくは合成起源の粒子(たとえば、Kofler,N.ら、J.Immunol.Methods.、192:25、1996、Eldridge,J.H.ら、Sem.Hematol.、30:16、1993、Falo,L.D.,Jr.ら、Nature Med.、7:649、1995)、アジュバント(Warren,H.S.、Vogel,F.R.、及びChedid,L.A.、Annu.Rev.Immunol.、4:369,1986、Gupta,R.K.ら、Vaccine、11:293、1993)、リポソーム(Reddy,R.ら、J.Immunol.、148:1585、1992、Rock,K.L.、Immunol.Today、17:131、1996)、又は、裸の若しくは粒子吸収cDNA(Ulmer,J.B.ら、Science、259:1745、1993、Robinson,H.L.、Hunt,L.A.、及びWebster,R.G.、Vaccine、11:957、1993、Shiver,J.W.ら、Concepts in vaccine development、Kaufmann,S.H.E.編、ページ423、1996、Cease,K.B.及びBerzofsky,J.A.、Annu.Rev.Immunol.、12:923、1994、並びにEldridge,J.H.ら、Sem.Hematol.、30:16、1993)が含まれ得る。
[0215]また、本発明のワクチン組成物には、核酸に媒介される様式も包含される。たとえば、本明細書中に記載の抗原の1つ又は複数をコードしているDNA又はRNAを対象に投与し得る。そのような手法は、たとえば、Wolffら、Science、247:1465(1990)、並びに米国特許第5,580,859号、第5,589,466号、第5,804,566号、第5,739,118号、第5,736,524号、第5,679,647号、及び国際公開第98/04720号に記載されている。DNAに基づく送達技術の例には、「裸のDNA」、促進(ブピビカイン、ポリマー、ペプチド媒介性)送達、カチオン性脂質複合体、及び粒子媒介性(「遺伝子銃」)又は圧力媒介性送達(たとえば米国特許第5,922,687号を参照)が含まれる。
[0216]ワクチン組成物のさらなる実施形態では、抗原は、ウイルス又は細菌ベクターによって発現され得る。発現ベクターの例には、ワクシニア又は鶏痘などの弱毒化したウイルス宿主が含まれる。この手法は、たとえば本明細書中に記載の抗原をコードしているヌクレオチド配列を発現させるためのベクターとしての、ワクシニアウイルスの使用を含む。急性若しくは慢性的に感染させた宿主内、又は感染していない宿主内に導入した際、組換えワクシニアウイルスは抗原ペプチドを発現し、それによって宿主の免疫応答を誘発する。ワクシニアベクター及び免疫化プロトコルに有用な方法は、たとえば米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターはBCG(バシルカルメットゲラン)である。BCGベクターはStoverら、Nature、351:456〜460(1991)に記載されている。抗原の治療的投与又は免疫化に有用な多種多様の他のベクター、たとえば、アデノ及びアデノ関連ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、チフス菌ベクター、解毒した炭疽菌毒素ベクターなどは当業者に明らかであり、本明細書中に記載したワクチン組成物に包含される。
[0217]また、本発明によるワクチンは、抗原の1つ又は複数を含有する組成物も含有し、抗原は、個々に、又は同じ若しくは異なる抗原の複数コピーを含有する構築体として存在することができる。たとえば、抗原は、同じ又は異なる抗原の数個をコードしている単一の核酸分子(たとえばベクター)として存在することができる。或いは、他の実施形態では、同じ抗原を複数コピー含むホモポリマー、又は様々な異なる抗原のヘテロポリマーを使用し得る。そのようなポリマーは、抗原のコピーを複数含むために増加した免疫学的反応をもたらすという利点を有する場合があり、それにより生じる効果は、特定の抗原の1つ又は複数の抗原決定基を用いて免疫応答を誘導する能力の増強であり得る。組成物は、1つ若しくは複数の抗原の天然に存在する領域を含むことができるか、又は調製した抗原、たとえば組換え若しくは化学合成によるものを含むことができる。
[0218]また、本発明のワクチンには、1つ又は複数の抗原を免疫系に提示するためのビヒクルとして、樹状細胞(DC)などの抗原提示細胞(APC)も含めることができる。そのようなワクチン組成物は、樹状細胞の動員及び収集後にin vitroで作製することができ、樹状細胞のローディングはin vitroで起こる。たとえば、樹状細胞を1つ若しくは複数の抗原をコードしているDNA若しくはRNAで形質移入する、又はペプチド抗原を用いてパルシングする。その後、樹状細胞を対象に投与して、in vivoで免疫応答を誘発することができる。
[0219]本発明によるワクチンは、たとえば注射(たとえば筋肉内、皮内、皮下、静脈内、若しくは腹腔内)、エアロゾル、経口、経鼻、局所、膣内、経皮、経粘膜、又は任意の他の適切な経路などの任意の適切な手段によって投与し得る。ワクチンは、対象の身体内において全身性又は局所的に分布されるように配合し得る。全身性製剤には、注射によって投与するために設計されたもの、並びに経皮、経粘膜、又は経口投与のために設計したものが含まれる。
[0220]注射による投与などの一部の実施形態では、ワクチンは、油中水乳濁液又は油に基づく担体などの、本明細著中に記載の疎水性物質の連続相を含む担体中で配合し得る。それに加えて又はその代わりに、ワクチン組成物はリポソーム製剤であり得る。より詳細な実施形態では、リポソームは疎水性担体と一緒に使用し得る。また、ワクチンは、ハンクス液、リンゲル液、又は生理食塩水緩衝液中などのように、水溶液としても配合し得る。
[0221]上記から明らかとなるように、本発明のワクチン組成物は、投与した際に対象において特異的な細胞性免疫応答若しくは液性免疫応答などの免疫応答を刺激することができる組成物を含めた、抗原に関連する疾患又は障害の治療において有用な任意の組成物又は抗原/免疫原送達手段(たとえばウイルスベクター)を包含することを意図する。
[0222]本発明のワクチン組成物を得るために、リピドA模倣体及び抗原を、アジュバント、賦形剤、界面活性剤、免疫賦活性構成成分、及び/又は担体などの様々な材料と合わせることが適切であり得る。アジュバントは、特異的な免疫応答を増強させるためにワクチン組成物に含め得る。所望の投与経路又は対象における所望の分布、たとえば全身性若しくは局所的に応じて、様々な担体を使用し得る。
[0223]特定の実施形態では、ワクチン組成物は、少なくとも1つの抗原、少なくとも1つの本発明のリピドA模倣体、リポソーム、及び疎水性物質の連続相を含む担体を含み得る。さらなる実施形態では、組成物はヘルパーTエピトープをさらに含み得る。抗原はB細胞エピトープであり得るか、それを含み得る。抗原はCTLエピトープであるかそれを含んでいてもよく、ヘルパーTエピトープと融合していてもよい。
[0224]したがって、一実施形態では、ワクチン組成物は、1つ又は複数の抗原、リピドA模倣体、ヘルパーTエピトープ、リポソーム、及び疎水性物質の連続相を含む担体を含む。
[0225]一部の実施形態では、ワクチン組成物は、少なくとも1つのリピドA模倣体及び少なくとも1つの抗原を、それだけに限定されないがワクチマックス(VacciMax)(商標)及びデポヴァックス(登録商標)プラットフォーム技術を含めた、Immunovaccine,Incのリポソームに基づく及び/又は両親媒性化合物に基づくワクチンアジュバント化プラットフォームと一緒に含むものである(たとえば、米国特許第6,793,923号及び第7,824,686号、国際公開第2002/038175号、国際公開第2007/041832号、国際公開第2009/039628号、国際公開第2009/043165号、並びに国際公開第2009/146523号を参照)。デポヴァックス(登録商標)プラットフォームは、抗原+アジュバントの制御かつ延長された曝露を免疫系にもたらすワクチン送達製剤である。このプラットフォームは、強力、特異的、かつ持続した免疫応答をもたらすことができ、単一用量の有効性が可能である。
[0226]ワクチンは、たとえば乳化剤などの追加の構成成分を任意選択でさらに含み得る。ワクチンの例示的な実施形態より詳細な開示及びその構成成分を以下に記載する。
[0227]抗原
[0228]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体が含まれる本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、1つ又は複数の抗原も含み得る。必ずではないが、典型的には、本明細書中に開示する組成物に抗原が含まれる場合、それはワクチン組成物である。
[0229]本明細書中で使用する用語「抗原」とは、免疫系の構成成分と特異的に結合することができる任意の物質又は分子をいう。一部の実施形態では、本明細書中の組成物の適切な抗原は、対象において免疫応答を誘導又は強化することができるものである。免疫応答を誘導することができる抗原は免疫原性であると言われ、免疫原とも呼ばれ得る。したがって、本明細書中で使用する用語「抗原」には免疫原が含まれ、これらの用語は、別段に具体的に記述した場合以外は互換性があるように使用され得る。また、本明細書中で使用する用語抗原にはハプテンも含まれる。当分野で理解されるように、ハプテンとは、抗原性である(たとえば、免疫系の構成成分によって結合されることができる)が、免疫原性を供給する何かしらの担体分子と付着していたい限りは免疫原性でない、小分子である。
[0230]本発明の組成物において有用であり得る抗原には、たとえば、それだけに限定されないが、ポリペプチド、炭水化物、微生物又はその一部、たとえば、生きた、弱毒化した、不活性化した、若しくは死滅した細菌、ウイルス、若しくは原虫、又はその一部が含まれる。抗原は、たとえば、病原性生物剤、毒素、アレルゲン、ペプチド、適切なネイティブ、非ネイティブ、組換え、若しくは変性タンパク質若しくはポリペプチド、又はその断片、或いは対象において免疫応答を誘導又は強化することができるエピトープであり得る。一部の実施形態では、抗原は、たとえばヒト(ヒト抗原)などの動物(動物抗原)に由来するもの、又はそれに実質的に関連している抗原であり得る。
[0231]本明細書中で使用する用語「由来する」には、それだけに限定されないが、元の供給源(たとえば対象)から単離された若しくは直接得られた抗原、元の供給源からの抗原と同一である若しくはそれに実質的に関連する、合成若しくは組換えにより生成した抗原、又は元の供給源の抗原若しくはその断片から作製した抗原が包含される。本明細書中で使用する用語「実質的に関連する」とは、抗原は化学的、物理的、又は他の手段(たとえば配列修飾)によって改変されていてもよいが、生じる産物は依然として元の抗原又は元の抗原に関連する疾患若しくは障害に対して免疫応答を生じることができることを意味する。
[0232]また、本明細書中で使用する用語「抗原」には、抗原として機能するポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドも含まれる。核酸に基づくワクチン接種戦略が知られており、ここではポリヌクレオチドを含有するワクチン組成物を対象に投与する。ワクチン組成物自体がポリペプチドを含有していたかのように、抗原ポリペプチドが最終的に対象内に存在するように、ポリヌクレオチドによってコードされている抗原ポリペプチドが対象内で発現される。本開示の目的のために、内容が指定する場合、用語「抗原」には、抗原として機能するポリペプチドをコードしている、そのようなポリヌクレオチドが包含される。
[0233]一部の実施形態では、抗原は、以下に定義する少なくとも1つのB細胞エピトープ又はCTLエピトープを含んでおり、対象に適切に投与した場合に、疾患に対して保護的である液性及び/又は細胞性免疫応答を誘導又は強化する分子である。
[0234]一部の実施形態では、抗原は、癌、感染性疾患、又は嗜癖疾患に関連するものであり得る。
[0235]本明細書中の組成物において抗原として有用であり得るウイルス又はその一部には、たとえば、それだけに限定されないが、牛痘ウイルス、ワクシニアウイルス、偽牛痘ウイルス、ヘルペスウイルス、ヒトヘルペスウイルス1、ヒトヘルペスウイルス2、サイトメガロウイルス、ヒトアデノウイルスA〜F、ポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パルボウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、オルトレオウイルス、ロタウイルス、エボラウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルス(たとえば、H5N1インフルエンザウイルス、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、インフルエンザC型ウイルス)、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルス、ニューモウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、狂犬病ウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、ハンタンウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、コロナウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、ポリオウイルス、ノロウイルス、フラビウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱ウイルス、及び水痘が含まれる。
[0236]一実施形態では、本明細書中に開示する組成物は、それを必要としている対象においてインフルエンザウイルス感染症を治療及び/又は予防するために潜在的に有用であり得る抗原を含む。インフルエンザはオルトミクスウイルス科(Orthomyxoviridae)の一本鎖RNAウイルスであり、多くの場合、ウイルス粒子の外側の2つ大きな糖タンパク質、赤血球凝集素(HA)、及びノイラミニダーゼ(NA)に基づいて特徴づけられる。インフルエンザA型の数々のHA亜型が同定されている(Kawaokaら、Virology(1990)、179:759〜767、Websterら、「Antigenic variation among type A influenza viruses」、ページ127〜168、P.Palese及びD.W.Kingsbury(編)、Genetics of influenza viruses.、Springer−Verlag、New York)。一部の実施形態では、抗原はHA又はNA糖タンパク質に由来し得る。
[0237]別の実施形態では、本明細書中に開示する組成物は、それを必要としている対象においてエボラウイルス感染症を治療及び/又は予防するために潜在的に有用であり得る抗原を含む。
[0238]別の実施形態では、本明細書中に開示する組成物は、それを必要としている対象においてヒトパピローマウイルス(HPV)感染症を治療及び/又は予防するために潜在的に有用であり得る抗原を含む。より詳細な実施形態では、本明細書中に開示する組成物は、HPV関連子宮頸癌又はHPV関連頭頸部癌を治療及び/又は予防するために潜在的に有用であり得る抗原を含む。一部の実施形態では、抗原は配列RAHYNIVTFを含むペプチドである(HPV16E7(H−2Db)ペプチド49−67、R9F、配列番号1)。
[0239]別の実施形態では、本明細書中に開示する組成物は、それを必要としている対象において呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症を治療及び/又は予防するために潜在的に有用であり得る抗原を含む。より詳細な実施形態では、本明細書中に開示する組成物は、RSV感染症に関連する肺疾患を治療及び/又は予防するために潜在的に有用であり得る抗原を含む。
[0240]本明細書中の組成物において抗原として有用であり得る細菌又はその一部には、たとえば、それだけに限定されないが、炭疽菌(バチルス・アントラシス(Bacillus anthracis))、ブルセラ属(Brucella)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、カンジダ属(Candida)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、コレラ、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、ジフテリア、大腸菌O157:H7、腸管出血性大腸菌、腸内毒素原性大腸菌、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、レジオネラ属(Legionella)、レプトスピラ属(Leptospira)、リステリア属(Listeria)、髄膜炎菌、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、百日咳、肺炎、サルモネラ属(Salmonella)、シゲラ属(Shigella)、ブドウ球菌属(Staphylococcus)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、及びエンテロコリチカ菌(Yersinia enterocolitica)が含まれる。
[0241]一実施形態では、本明細書中に開示する組成物は、それを必要としている対象においてバチルス・アントラシス感染症(すなわち炭疽病)を治療及び/又は予防するために潜在的に有用であり得る抗原を含む。それだけに限定されないが、ワクチンに含有される抗原は、たとえば、炭疽菌組換え保護抗原(rPA)(List Biological Laboratories,Inc.、カリフォルニア州Campbell)又は炭疽菌突然変異体組換え保護抗原(mrPA)(Pfenex,Inc.、カリフォルニア州San Diego)であり得る。
[0242]本明細書中の組成物において抗原として有用であり得る原虫又はその一部には、たとえば、それだけに限定されないが、マラリアを引き起こすプラスモジウム属(Plasmodium)(熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale)、又は二日熱マラリア原虫(Plasmodium knowlesi))が含まれる。
[0243]一実施形態では、本明細書中に開示する組成物は、それを必要としている対象において四日熱マラリア原虫感染症(すなわちマラリア)を治療及び/又は予防するために潜在的に有用であり得る抗原を含む。
[0244]或いは、抗原は、天然に存在する又は合成の毒素又はアレルゲンであり得る。本明細書中で使用する「毒素」とは、疾患若しくは病気を引き起こすことができる、生細胞若しくは生物(たとえば、植物、動物、微生物など)によって産生された任意の物質、又は感染性物質、又は有害作用が可能な組換え若しくは合成分子をいう。毒素は、たとえば、小分子、ペプチド、又はタンパク質であり得る。毒素には、たとえばコカインなどの薬物が含まれる。毒素は抗体によって中和されることができ得る。そのような実施形態では、抗原は、(たとえば血液中で)循環中の毒素と結合してそれを捕捉する抗体の産生を誘発し、それによって、体内の別の領域(たとえば脳)へのその送達を潜在的に防止し得る。
[0245]本明細書中で使用する「アレルゲン」とは、アレルギーを引き起こすことができる任意の物質をいう。アレルゲンは、それだけに限定されないが、細胞、細胞抽出物、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、多糖、複合多糖、多糖及び他の分子のペプチド及び非ペプチド模倣体、小分子、脂質、糖脂質、並びに、植物、動物、真菌、昆虫、食品、薬物、粉塵、及びダニの炭水化物に由来し得る。アレルゲンには、それだけに限定されないが、環境的空中アレルゲン、植物花粉(たとえばブタクサ/枯草熱)、雑草花粉アレルゲン、草花粉アレルゲン、セイバンモロコシ、樹木花粉アレルゲン、ライグラス、クモ類アレルゲン(たとえばハウスダストダニアレルゲン)、貯蔵庫ダニアレルゲン、スギ花粉/枯草熱、カビ/真菌胞子アレルゲン、動物アレルゲン(たとえば、イヌ、モルモット、ハムスター、スナネズミ、ラット、マウスなどのアレルゲン)、食物アレルゲン(たとえば、甲殻類、ナッツ、柑橘果実、小麦粉、コーヒー)、昆虫アレルゲン(たとえば、ノミ、ゴキブリ)、毒液(ハチ目(Hymenoptera)、スズメバチ(yellow jacket)、ミツバチ、ワスプ(wasp)、ホーネット(hornet)、フシアリ(fire ant))、細菌アレルゲン(たとえば、連鎖球菌抗原、回虫族(Ascaris)抗原などの寄生生物アレルゲン)、ウイルス抗原、薬物アレルゲン(たとえばペニシリン)、ホルモン(たとえばインスリン)、酵素(たとえばストレプトキナーゼ)、並びに不完全抗原又はハプテンとして作用することができる薬物又は化学薬品(たとえば、酸無水物及びイソシアネート類)が含まれる。
[0246]ハプテンを本発明の組成物中で使用する場合、これをたとえばタンパク質などの担体と付着させて、ハプテン−担体付加物を形成させ得る。ハプテン−担体付加物は免疫応答を誘発することが可能である一方で、ハプテン自体は典型的には応答を誘発しない。ハプテンの非限定的な例は、アニリン、ウルシオール(ツタウルシの毒素)、ヒドララジン、フルオレセイン、ビオチン、ジゴキシゲニン、及びジニトロフェノールである。
[0247]別の実施形態では、たとえばアミロイドタンパク質などの循環中の抗原を捕捉することが望ましい場合(たとえばアルツハイマー病)、抗原は疾患に関連す抗原であり得る。したがって、一部の実施形態では、本発明の組成物は、神経変性疾患が抗原の発現に関連している場合、それを必要としている対象において神経変性疾患の治療及び/又は予防において潜在的に有用であり得る抗原を含む。
[0248]別の実施形態では、抗原は、たとえば国際公開第2007/041832号の頁17〜19の表1に開示されているペプチド抗原などの、国際公開第2007/041832号に開示されている抗原の任意の1つ又は複数であり得る。
[0249]たとえば、それだけに限定されないが、本明細書中の組成物において抗原として有用であり得るポリペプチド又はその断片には、コレラトキソイド、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、B型肝炎表面抗原、赤血球凝集素(たとえばH5N1組換え赤血球凝集素タンパク質)、炭疽菌組換え保護抗原(List Biological Laboratories,Inc.、カリフォルニア州Campbell)、炭疽菌突然変異体組換え保護抗原(Pfenex,Inc.、カリフォルニア州San Diego)、ノイラミニダーゼ、インフルエンザMタンパク質、PfHRP2、pLDH、アルドラーゼ、MSP1、MSP2、AMA1、Der−p−1、Der−f−1、アディポフィリン、AFP、AIM−2、ART−4、BAGE、α−フェトプロテイン、BCL−2、Bcr−Abl、BING−4、CEA、CPSF、CT、サイクリンD1Ep−CAM、EphA2、EphA3、ELF−2、FGF−5、G250、ゴナドトロピン放出ホルモン(GNRH)、HER−2、腸管カルボキシルエステラーゼ(iCE)、IL13Rα2、MAGE−1、MAGE−2、MAGE−3、MART−1、MART−2、M−CSF、MDM−2、MMP−2、MUC−1、NY−EOS−1、MUM−1、MUM−2、MUM−3、百日咳トキソイドタンパク質、p53、PBF、PRAME、PSA、PSMA、RAGE−1、RNF43、RU1、RU2AS、SART−1、SART−2、SART−3、SAGE−1、SCRN 1、SOX2、SOX10、STEAP1、サバイビン、テロメラーゼ、TGFβRII、TRAG−3、TRP−1、TRP−2、TERT、及びWT1に由来するものが含まれる。
[0250]用語「ポリペプチド」には、長さ(たとえば、少なくとも6、8、10、12、14、16、18、若しくは20個のアミノ酸)又は翻訳後修飾(たとえば、グリコシル化若しくはリン酸化)にかかわらず、任意のアミノ酸の鎖が包含され、たとえば、天然タンパク質、合成又は組換えのポリペプチド及びペプチド、エピトープ、ハイブリッド分子、変異体、相同体、類似体、ペプトイド、ペプチド模倣体などが含まれる。したがって、変異体又は誘導体には、切断及び断片を含めた欠失、挿入及び付加、たとえば保存的置換、部位特異的突然変異体及び対立遺伝子変異体、並びに、1つ又は複数の非アミノアシル基(たとえば、糖、脂質など)がペプチドと共有結合したペプトイド及び翻訳後修飾を含めた修飾体が含まれる。本明細書中で使用する用語「保存的アミノ酸置換」又は「保存的置換」とは、関連する機能の実質的な損失なしに置換を行うことができる、ペプチドの所定の位置における1つのアミノ酸による別のアミノ酸の置換をいう。そのような変化を行う場合、同様のアミノ酸残基の置換は、側鎖置換基の相対的類似度、たとえば、その大きさ、荷電、疎水性、親水性などに基づいて行うことができ、そのような置換は、ルーチン的な試験によってペプチドの機能に対するその効果についてアッセイし得る。保存的置換の具体的かつ非限定的な例には以下の例が含まれる。
[0251]抗原配列に対して実質的な同一性を有するポリペプチド又はペプチドを使用し得る。2つの配列は、最適にアラインメントした際に(ギャップを許容)、それらが少なくとも約50%の配列同一性を共有する場合、又は配列が定義された機能的モチーフを共有する場合に、実質的な同一性を有すると考えられる。代替実施形態では、最適にアラインメントした配列は、それらが指定した領域にわたって少なくとも60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の同一性を共有する場合に、実質的に同一である(すなわち実質的な同一性を有する)と考えられる。用語「同一性」とは、2つのポリペプチド分子間の配列類似度をいう。同一性は、アラインメントした配列中のそれぞれの位置を比較することによって決定することができる。アミノ酸配列間の同一性の度合は、たとえば指定した領域にわたって、配列によって共有される位置での同一又は一致するアミノ酸の数の関数である。同一性を比較するための配列の最適なアラインメントは、http://clustalw.genome.ad.jpで利用可能なClustalWプログラム、Smith及びWaterman、1981、Adv.Appl.Math、2:482の局所的相同性アルゴリズム、Needleman及びWunsch、1970、J.Mol.Biol.、48:443の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson及びLipman、1988、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、85:2444の類似度検索方法、並びにこれらのアルゴリズムのコンピュータ実施(Wisconsin Geneticsソフトウェアパッケージ、Genetics Computer Group、米国ウィスコンシン州MadisonのGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTAなど)を含めた、当分野で知られている様々なアルゴリズムを使用して実施し得る。また、配列同一性は、Altschulら、1990、J.Mol.Biol.、215:403〜10に記載のBLASTアルゴリズムを使用しても決定し得る(公開されている初期設定を使用)。たとえば、国立バイオテクノロジー情報センター(National Center for Biotechnology Information)から利用可能な「BLAST2配列」ツール(インターネットよりhttp://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/bl2seq/wblast2.cgi)を、「blastp」プログラムを以下の初期設定で選択して使用し得る:予想閾値10、ワードサイズ3、マトリックスBLOSUM62、ギャップコスト存在11、伸長1。別の実施形態では、当業者は、任意の所定の配列を容易かつ正しくアラインメントし、単なる目視検査で配列同一性及び/又は相同性を推定することができる。
[0252]本発明を実施するために使用するポリペプチド及びペプチドは、天然源から単離する、合成である、又は組換え生成したポリペプチドであることができる。ペプチド及びタンパク質は、in vitro又はin vivoで組換えによって発現させることができる。本発明を実施するために使用するペプチド及びポリペプチドは、当分野で知られている任意の方法を使用して作製及び単離することができる。また、本発明を実施するために使用するポリペプチド及びペプチドは、当分野で周知の化学方法を使用して全体的に又は部分的に合成することもできる。たとえば、Caruthers(1980)Nucleic Acids Res.Symp.Ser.、215〜223、Hom(1980)、Nucleic Acids Res.Symp.Ser.、225〜232、Banga,A.K、Therapeutic Peptides and Proteins,Formulation,Processing and Delivery Systems(1995)、Technomic Publishing Co.、ペンシルベニア州Lancasterを参照されたい。たとえば、ペプチド合成は様々な固相技法を使用して行うことができ(たとえばRoberge(1995)、Science、269:202、Merrifield(1997)、Methods Enzymol.、289:3〜13を参照)、自動合成は、たとえば、ABI431Aペプチド合成機(Perkin Elmer)を使用して、製造者によって提供される指示に従って達成し得る。
[0253]一部の実施形態では、抗原は、精製した抗原、たとえば、約25%〜50%純粋、約50%〜約75%純粋、約75%〜約85%純粋、約85%〜約90%純粋、約90%〜約95%純粋、約95%〜約98%純粋、約98%〜約99%純粋、又は99%より高く純粋であり得る。
[0254]上述のように、用語「抗原」には、抗原として機能するポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドも含まれる。本明細書中で使用する用語「ポリヌクレオチド」には、任意の長さ(たとえば、9、12、18、24、30、60、150、300、600、1500個、若しくはそれより多くのヌクレオチド)又は鎖の数(たとえば一本鎖若しくは二本鎖)のヌクレオチドの鎖が包含される。ポリヌクレオチドは、DNA(たとえば、ゲノムDNA若しくはcDNA)又はRNA(たとえばmRNA)或いはその組合せであり得る。これらは天然に存在する又は合成(たとえば化学合成)であり得る。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド鎖中の1つ若しくは複数の窒素塩基、五炭糖、又はリン酸基の修飾を含有し得ることが企図される。そのような修飾は当分野で周知であり、たとえば、ポリヌクレオチドの安定性を改善する目的のものであり得る。
[0255]ポリヌクレオチドは様々な形態で送達し得る。一部の実施形態では、裸のポリヌクレオチドを、直線形態で、又は発現プラスミドなどのプラスミド内に挿入して使用し得る。他の実施形態では、ウイルス又は細菌ベクターなどの生きたベクターを使用し得る。
[0256]DNAのRNAへの転写及び/又はRNAのポリペプチドへの翻訳を助ける1つ又は複数の調節配列が存在し得る。一部の例、たとえば、メッセンジャーRNA(mRNA)分子であるポリヌクレオチドの場合では、転写プロセスに関連する調節配列(たとえばプロモーター)は必要なく、タンパク質発現はプロモーターの非存在下で達成され得る。当業者は、状況の必要性に応じて適切な調節配列を含めることができる。
[0257]一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは発現カセット中に存在し、発現カセット中で、ポリヌクレオチドは、本発明の組成物を投与する対象内でポリヌクレオチドが発現されることを許可する調節配列と作動可能に連結している。発現カセットの選択は、組成物を投与する対象及び発現されたポリペプチドに望ましい特長に依存する。
[0258]典型的には、発現カセットには、対象内で機能的であり、構成的又は誘導性であることができるプロモーターと、リボソーム結合部位と、必要な場合は開始コドン(ATG)と、目的のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドと、ストップコドンと、任意選択で3’末端領域(翻訳及び/又は転写ターミネーター)とが含まれる。シグナルペプチドをコードしている領域などの付加配列が含まれ得る。目的のポリペプチドをコードしているポリヌクレオチドは、発現カセット中の他の調節配列のいずれかと相同的又は非相同的であり得る。シグナルペプチドをコードしている領域などの、目的のポリペプチドと一緒に発現させる配列は、典型的には発現させるタンパク質をコードしているポリヌクレオチドに隣接した位置にあり、正しい読み枠で配置されている。発現させるタンパク質単独、又は発現させる任意の他の配列(たとえばシグナルペプチド)を一緒にコードしているポリヌクレオチドによって構成されるオープンリーディングフレームは、転写及び翻訳が組成物を投与する対象において起こるように、プロモーターの制御下に置かれる。
[0259]本明細書中に記載の組成物を用いた単一治療において使用する抗原の量は、抗原の種類及び対象の特徴(たとえば、大きさ、重量、年齢、性別など)に応じて変動し得る。当業者は、必要以上の実験を行わずに、特定の応用において使用するための抗原の有効量を決定できるであろう。本明細書中で使用する用語「有効量」とは、必要な用量及び期間で所望の結果を達成するために有効な量を意味する。
[0260]癌関連抗原
[0261]一部の実施形態では、抗原は、癌若しくは腫瘍関連タンパク質又はその断片であり得る。多くの癌又は腫瘍関連タンパク質が当分野で知られている。それだけに限定されないが、抗原は膜表面結合癌関連タンパク質からのものであり得る。表面結合癌関連タンパク質(又はその抗原)は、抗体によって認識される能力を有し得る。
[0262]一部の実施形態では、癌はウイルスなどの病原体によって引き起こされ得る。癌の発生に関連づけられているウイルスは当業者に知られており、それだけに限定されないが、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ジョン・カニンガムウイルス(JCV)、ヒトヘルペスウイルス8、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス、C型肝炎ウイルス、及びヒトT細胞白血病ウイルス−1が含まれる。したがって、一実施形態では、本明細書中に開示する組成物は、癌の発生に関連づけられているウイルスに関連する抗原を含み得る。
[0263]特定の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体が含まれる本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、1つ又は複数のサバイビン抗原を含み得る。
[0264]アポトーシス反復含有5のバキュロウイルス阻害剤(BIRC5)とも呼ばれるサバイビンは、アポトーシスの負の調節に関与しているタンパク質である。これは、アポトーシスタンパク質阻害剤(IAP)のファミリーのメンバーとして分類されている。サバイビンは、単一のBIRモチーフとRINGフィンガーの代わりに高い荷電のカルボキシ末端コイル領域とを含有する、16.5kDaの細胞質タンパク質である。サバイビンをコードしている遺伝子は、エフェクター細胞プロテアーゼ受容体−1(EPR−1)の配列とほぼ同一であるが、反対方向に配向されている。サバイビンのコード配列(ヒト(homo sapiens))の長さは、ストップコドンを含めて429個のヌクレオチドである(配列番号2)。コードされているタンパク質サバイビン(ヒト)の長さは142個のアミノ酸である(配列番号3)。
[0265]サバイビンタンパク質はカスパーゼ活性化を阻害するように機能し、それによってアポトーシス又はプログラム細胞死の負の調節がもたらされることが想定されている。この機能と一貫して、サバイビンは、多くの種類の癌において決まって上方調節されているが、正常組織中ではされていないトップクラスの遺伝子の1つとして同定されている(たとえば、Altieriら、Lab Invest、79:1327〜1333、1999及び米国特許第6,245,523号を参照)。したがって、この事実により癌細胞が標的とされる一方で正常細胞は標的とされないため、サバイビンが癌治療の理想的な標的となる。実際、サバイビンはヒト癌の大部分を含めた多くの腫瘍の種類で高度に発現されており、予後的価値が報告されている。
[0266]一部の実施形態では、本発明のワクチンは1つ又は複数のサバイビン抗原を含み得る。本明細書中で使用する用語「サバイビン抗原」には、サバイビンタンパク質又はその断片に由来する任意のペプチド、ポリペプチド、又はその変異体(たとえばサバイビンペプチド変異体)が包含される。また、用語「サバイビン抗原」には、本明細書中に記載のサバイビンペプチド、サバイビンペプチド変異体、又はサバイビンペプチド機能的等価物をコードしているポリヌクレオチドも包含される。ポリヌクレオチドは、DNA(たとえば、ゲノムDNA若しくはcDNA)又はRNA(たとえばmRNA)或いはその組合せであり得る。これらは天然に存在する又は合成(たとえば化学合成)であり得る。ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド鎖中の1つ若しくは複数の窒素塩基、五炭糖、又はリン酸基の修飾を含有し得ることが企図される。そのような修飾は当分野で周知であり、たとえば、ポリヌクレオチドの安定性を改善する目的のものであり得る。
[0267]一実施形態では、サバイビン抗原は、完全長サバイビンポリペプチド又は完全長サバイビンポリペプチドをコードしている核酸を含み得る。或いは、サバイビン抗原は、サバイビンタンパク質の任意の長さの断片を含むサバイビンペプチドであり得る。例示的な実施形態には、少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸残基を含むサバイビンペプチドが含まれる。具体的な実施形態では、サバイビンペプチドは、サバイビンタンパク質(たとえば配列番号3)のそれぞれ7、8、9、10、11個の連続するアミノ酸残基からなる、ヘプタペプチド、オクタペプチド、ノナペプチド、デカペプチド、又はウンデカペプチドからなる。サバイビン抗原の特定の実施形態には、約9又は10個のアミノ酸のサバイビンペプチドが含まれる。
[0268]また、本発明のサバイビン抗原には、サバイビンペプチドの変異体及び機能的等価物も包含される。サバイビンペプチドの変異体又は機能的等価物には、1つ若しくは複数のアミノ酸の置換、欠失、若しくは付加、又はその任意の組合せなどの、サバイビンタンパク質の特定の配列と比較して相違を有するアミノ酸配列を示すペプチドが包含される。相違は、サバイビンタンパク質配列とサバイビンペプチド変異体又はサバイビンペプチド機能的等価物との間の同一性の低下として測定し得る。
[0269]アミノ酸配列間の同一性は当分野で周知のアルゴリズムを使用して計算し得る。サバイビンペプチド変異体又は機能的等価物は、その全長にわたって、サバイビンタンパク質のペプチド配列と少なくとも70%同一、たとえば、サバイビンタンパク質のペプチド配列と少なくとも75%同一、少なくとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、又は少なくとも95%同一(96%、97%、98%、又は99%同一が含まれる)である場合に、本発明の「サバイビン抗原」の意味の範囲内にあると考えられる。特定の実施形態では、サバイビンペプチド変異体は、配列番号3の連続するアミノ酸配列と少なくとも85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一である配列を有する。
[0270]サバイビン抗原が由来することができるサバイビンタンパク質は、タンパク質が発現される任意の動物種からのサバイビンタンパク質である。特定の実施形態はヒトからのサバイビンタンパク質である(配列番号3)。選択されたサバイビンタンパク質の配列に基づいて、サバイビン抗原は、サバイビンタンパク質又はコード核酸の任意の適切な化学処理又は酵素処理によって誘導し得る。或いは、サバイビン抗原は、当業者が精通している任意の慣用のペプチド又は核酸合成手順によって合成し得る。
[0271]サバイビン抗原(ペプチド又は核酸)は、サバイビンのネイティブ配列である配列を有し得る。或いは、サバイビン抗原は、たとえば本明細書中に記載のサバイビンペプチド変異体又は機能的等価物などのように、1つ又は複数の置換、欠失、又は付加によって改変されたペプチド又は核酸配列であり得る。ペプチドの免疫原性を増加させる、サバイビンペプチドの例示的な手順及び改変には、たとえば、HLAクラスI分子とのペプチド結合を増加させる、アンカー位置に導入されたアミノ酸置換を含む、国際公開第2004/067023号に記載のものが含まれる。
[0272]一実施形態では、サバイビン抗原は、MHCクラスI HLA分子と結合することができる、サバイビンタンパク質に由来する任意のペプチド又はその任意のサバイビンペプチド変異体である。これに沿って、サバイビン抗原は、対象において免疫応答を誘導又は強化することができる任意のサバイビンペプチド又はそのサバイビンペプチド変異体であり得る。
[0273]一実施形態では、サバイビン抗原は、対象において細胞毒性Tリンパ球(CTL)応答を誘発することができるサバイビンタンパク質(配列番号3)からのアミノ酸配列を含むペプチド抗原、又は上記ペプチドをコードしている核酸分子である。
[0274]一実施形態では、ワクチンは、配列番号3に記載のアミノ酸配列などのサバイビンタンパク質のアミノ酸配列に基づいて、1つ又は複数の合成サバイビンペプチド又はその変異体を含む。
[0275]サバイビンペプチド、サバイビンペプチド変異体、及びサバイビン機能的等価物、並びにその診断目的及び治療目的、特に癌における使用は、たとえば、国際公開第2004/067023号及び国際公開第2006/081826号に記載されている。これらの出版物中に開示されている新規ペプチドは、癌患者において細胞毒性Tリンパ球(CTL)応答を誘発できることが見いだされている。特に、国際公開第2004/067023号では、MHCクラスI HLA分子と結合することによって、広範囲の癌疾患を患っている患者においてex vivo及びin situのCTL免疫応答をどちらも誘発することができるMHCクラスI制限ペプチドは、サバイビンタンパク質に由来することができることが見いだされている。
[0276]一実施形態では、本発明のワクチン組成物には、国際公開第2004/067023号及び国際公開第2006/081826号中に開示されているサバイビンペプチド、サバイビンペプチド変異体、又はサバイビンペプチド機能的等価物の任意の1つ又は複数が含まれ得る。
[0277]別の実施形態では、本発明のワクチン組成物には、HLA−A、HLA−B、又はHLA−C分子から選択されるMHCクラスI分子のいずれかと結合することができる、サバイビンペプチド、サバイビンペプチド変異体、又はサバイビンペプチド機能的等価物の1つ又は複数が含まれ得る。
[0278]サバイビンペプチド、サバイビンペプチド変異体、又はサバイビンペプチド機能的等価物が結合し得る例示的なMHCクラスI HLA−A分子には、それだけに限定されないが、HLA−A1、HLA−A2、HLA−A3、HLA−A9、HLA−A10、HLA−A11、HLA−A19、HLA−A23、HLA−A24、HLA−A25、HLA−A26、HLA−A28、HLA−A29、HLA−A30、HLA−A31、HLA−A32、HLA−A33、HLA−A34、HLA−A36、HLA−A43、HLA−A66、HLA−A68、及びHLA−A69が含まれる。
[0279]サバイビンペプチド、サバイビンペプチド変異体、又はサバイビンペプチド機能的等価物が結合し得る例示的なMHCクラスI HLA−B分子には、それだけに限定されないが、HLA−B5、HLA−B7、HLA−B8、HLA−B12、HLA−B13、HLA−B14、HLA−B15、HLA−B16、HLA−B17、HLA−B18、HLA−B21、HLA−B22、HLA−B27、HLA−B35、HLA−B37、HLA−B38、HLA−B39、HLA−B40、HLA−B41、HLA−B42、HLA−B44、HLA−B45、HLA−B46及びHLA−B47が含まれる。
[0280]サバイビンペプチド、サバイビンペプチド変異体、又はサバイビンペプチド機能的等価物が結合し得る例示的なMHCクラスI HLA−C分子には、それだけに限定されないが、HLA−C1、HLA−C2、HLA−C3、HLA−C4、HLA−C5、HLA−C6、HLA−C7、及びHLA−C16が含まれる。
[0281]特定の実施形態では、本発明のワクチン組成物は、以下から選択されるサバイビンペプチド抗原の1つ又は複数を含み得る。
i) FEELTLGEF(配列番号4) [HLA−A1]
ii) FTELTLGEF(配列番号5) [HLA−A1]
iii) LTLGEFLKL(配列番号6) [HLA−A2]
iv) LMLGEFLKL(配列番号7) [HLA−A2]
v) RISTFKNWPF(配列番号8) [HLA−A3]
vi) RISTFKNWPK(配列番号9) [HLA−A3]
vii) STFKNWPFL(配列番号10) [HLA−A24]
viii) LPPAWQPFL(配列番号11) [HLA−B7]
[0282]上に列挙したサバイビンペプチドは、それだけに限定されないが、本発明によって包含される例示的なMHCクラスI制限ペプチドを表す。サバイビンペプチドのそれぞれが結合すると考えられている特定のMHCクラスI HLA分子を、右側の角括弧内に示す。本発明のワクチンは、これらのバイビンペプチドの1つ又は複数を任意の適切な組合せで含み得る。
[0283]さらなる実施形態では、本発明のワクチン組成物は、以下に列挙する5つのサバイビンペプチドの任意の1つ又は複数を任意の適切な組合せで含み得る。
i) FTELTLGEF(配列番号5) [HLA−A1]
ii) LMLGEFLKL(配列番号7) [HLA−A2]
iii) RISTFKNWPK(配列番号9) [HLA−A3]
iv) STFKNWPFL(配列番号10) [HLA−A24]
v) LPPAWQPFL(配列番号11) [HLA−B7]
[0284]特定の実施形態では、本発明の組成物は、上に列挙した5つすべてのサバイビンペプチド抗原を含む。
[0285]一部の実施形態では、少なくとも1つのサバイビン抗原に加えて、本発明のワクチン組成物は、1つ又は複数の追加の抗原、たとえば本明細書中に記載したものなどを含み得る。
[0286]CTLエピトープ及びB細胞エピトープ
[0287]上述したように、一部の実施形態では、抗原は、少なくとも1つのB細胞エピトープ又はCTLエピトープを含む分子である。
[0288]エピトープは、それだけに限定されないが、ペプチド、炭水化物、脂質、糖ペプチド、及び糖脂質を含めた、任意の化学性質のものであり得る。特定の実施形態では、エピトープは、本明細書中に記載の抗原のいずれかに由来するペプチドである。エピトープは、天然に存在するエピトープと同一であり得るか、天然に存在するエピトープの修飾体であり得る。
[0289]B細胞エピトープとは、B細胞及び抗体によって認識されるエピトープである。B細胞ペプチドエピトープの長さは、典型的には少なくとも5個のアミノ酸、より多くの場合は少なくとも6個のアミノ酸、さらにより多くの場合は少なくとも7又は8個のアミノ酸の長さであり、連続的(「直鎖状」)又は不連続(「コンホメーション」)であってよく、後者は、たとえば、タンパク質の折り畳みにより一次アミノ酸配列の非連続的な部分を物理的に近接させることによって形成される。また、B細胞エピトープは炭水化物エピトープであってもよい。
[0290]一実施形態では、本明細書中に記載した組成物の抗原は、液性免疫応答を誘導することができるB細胞エピトープであり得るか、それを含み得る。
[0291]一部の実施形態では、本明細書中に記載した組成物の抗原は、感染性疾患に関連するB細胞エピトープであり得るか、それを含み得る。たとえば、抗原は、ウイルス、たとえばインフルエンザウイルス又は呼吸器合胞体ウイルスなどに由来するB細胞エピトープであり得るか、それを含み得る。別の実施形態では、B細胞エピトープは、H5N1インフルエンザウイルスの赤血球凝集素糖タンパク質に由来するエピトープであり得る。
[0292]別の実施形態では、本明細書中に記載した組成物の抗原は、細菌、たとえば百日咳菌又はバチルス・アントラシスなどに由来するB細胞エピトープであり得るか、それを含み得る。特定の実施形態では、B細胞エピトープは、百日咳菌によって産生される百日咳トキソイドタンパク質のエピトープであり得る。別の特定の実施形態では、B細胞エピトープは、炭疽菌組換え保護抗原(rPA)又は炭疽菌突然変異体組換え保護抗原(mrPA)のエピトープであり得る。
[0293]別の実施形態では、本明細書中に記載した組成物の抗原は、プラスモジウム属のものなどの原虫に由来するB細胞エピトープであり得るか、それを含み得る。
[0294]さらなる実施形態では、組成物は、液性免疫応答を誘導するための抗原としてB細胞エピトープの混合物を含み得る。B細胞エピトープを連結させて単一のポリペプチドを形成し得る。
[0295]CTLエピトープとは、細胞毒性Tリンパ球によって認識される分子である。CTLエピトープは、典型的には、抗原提示細胞の表面上にMHC分子と複合体化して提示される。本明細書中で使用する用語「CTLエピトープ」とは、抗原(ハプテンが含まれる)の天然CTLエピトープと実質的に同じである分子(たとえばペプチド)をいう。CTLエピトープは、その天然の対応物と比較して、1個又は2個のアミノ酸などが改変されていてもよい。別段に記述しない限りは、本明細書中におけるCTLエピトープへの言及は、細胞によって取り込まれ、抗原提示細胞の表面上に提示されることができる、未結合の分子をさす。
[0296]CTLエピトープは、典型的には、細胞性免疫応答が起こることができるように、T細胞受容体による認識を受け入れやすいものであるべきである。ペプチドでは、CTLエピトープはクラスI又はクラスII MHC分子と相互作用し得る。MHCクラスI分子によって提示されるCTLエピトープは、典型的には8〜15個のアミノ酸の長さ、より多くの場合は9〜11個のアミノ酸の長さのペプチドである。MHCクラスII分子によって提示されるCTLエピトープは、典型的には5〜24個のアミノ酸の長さ、より多くの場合は13〜17個のアミノ酸の長さのペプチドである。抗原がこれらのサイズよりも大きい場合、それは免疫系によって、MHCクラスI又はII分子との相互作用により適したサイズの断片へと処理される。したがって、CTLエピトープは、上述したものよりも大きなペプチドの一部であってもよい。
[0297]多くのCTLエピトープが知られている。さらなるCTLエピトープを同定するためのいくつかの技法が当分野で認識されている。一般に、それらは、CTLエピトープを潜在的に提供する分子を調製し、その分子に対する免疫応答を特徴づけることを含む。
[0298]一実施形態では、本明細書中に記載した組成物の抗原は、CTL応答を誘導することができるCTLエピトープであり得るか、それを含み得る。たとえば、抗原は、HPVなどのウイルスに由来するCTLエピトープであり得る。
[0299]別の実施形態では、抗原は、HPVのE6又はE7タンパク質に由来するCTLエピトープであり得るか、それを含み得る。たとえば、それだけに限定されないが、HPVのE6タンパク質のCTLエピトープはペプチド配列TIHDIILECV(T10V)(配列番号12)を含んでいてもよく、HPVのE7タンパク質のCTLエピトープは、ペプチド配列RAHYNIVTF(R9F)(配列番号1)、YMLDLQPETT(Y10T)(配列番号13)、LLMGTLGIV(L9V)(配列番号14)、及びTLGIVCPI(T81)(配列番号15)を含んでいてもよい。
[0300]別の実施形態では、CTLエピトープは、たとえば本明細書中に記載したサバイビンペプチドの1つ若しくは複数又は黒色腫関連タンパク質などの腫瘍関連タンパク質のエピトープであり得る。一実施形態では、黒色腫関連タンパク質は、組換え技術又は化学合成を含めた様々な方法によって得ることができるチロシン関連タンパク質−2(TRP−2)又はp53であり得る。
[0301]たとえば、それだけに限定されないが、TRP−2由来のタンパク質のCTLエピトープは、ペプチド配列SVYDFFVWL(S9L、配列番号16)又はVYDFFVWL(V8L、配列番号17)を含み得る。p53由来のタンパク質のCTLエピトープは、たとえば、ペプチド配列KYMCNSSCM(K9M、野生型p53、配列番号18)、KYICNSSCM(mK9M、改変p53、配列番号19)、又はAKXVAAWTLKAAAKYICNSSCM(ヘルパーTエピトープとのmK9M融合体、配列番号20)を含み得る。
[0302]さらなる実施形態では、組成物は、CTL応答を誘導するための抗原としてCTLエピトープの混合物を含み得る。CTLエピトープを連結させて単一のポリペプチドを形成し得る。
[0303]一部の実施形態では、B細胞及びCTLエピトープは疾患関連及び/又は疾患特異的エピトープである。そのような疾患には、それだけに限定されないが、本明細書中に既に記載したもののいずれかが含まれる。たとえば、それだけに限定されないが、疾患は、癌(たとえば、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、膠芽細胞腫、若しくはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫など)、感染性疾患(たとえば、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)感染症、インフルエンザウイルス感染症、エボラウイルス感染症、バチルス・アントラシス感染症、若しくは四日熱マラリア原虫感染症によって引き起こされる若しくはそれに関連する疾患など)、又は嗜癖疾患(たとえばコカインに対する嗜癖など)であり得る。
[0304]ヘルパーTエピトープ
[0305]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体が含まれる本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、少なくとも1つのヘルパーTエピトープ又はヘルパーT抗原も含み得る。
[0306]ヘルパーTエピトープとは、ヘルパーT活性を有するアミノ酸(天然又は非天然のアミノ酸)の配列である。ヘルパーTエピトープはヘルパーTリンパ球によって認識され、これは、免疫系の能力を確立及び最大化することにおいて重要な役割を果たしており、また、たとえば細胞毒性Tリンパ球などの他の免疫細胞の活性化及び指示に関与している。
[0307]ヘルパーTエピトープは連続的又は不連続のエピトープからなることができる。それゆえ、ヘルパーTのすべてのアミノ酸が必ずしもエピトープの必要な部分ではない。したがって、ヘルパーTエピトープの類似体及びセグメントを含めたヘルパーTエピトープは、免疫応答を増強又は刺激することができる。免疫優性ヘルパーTエピトープは幅広く多岐にわたるMHC型を有しており、動物及びヒト集団において広範に反応性がある(Celisら(1988)、J.Immunol.、140:1808〜1815、Demotzら(1989)、J.Immunol.、142:394〜402、Chongら(1992)、Infect.Immun.、60:4640〜4647)。対象ペプチドのヘルパーTドメインは、約10〜約50個のアミノ酸、より詳細には約10〜約30個のアミノ酸を有し得る。複数のヘルパーTエピトープが存在する場合、それぞれのヘルパーTエピトープは独立して作用する。
[0308]一部の実施形態では、ヘルパーTエピトープは、本明細書中に記載の抗原の一部を形成し得る。特に、抗原が十分な大きさのものである場合、これはヘルパーTエピトープとして機能するエピトープを含有し得る。他の実施形態では、ヘルパーTエピトープは抗原とは別個の分子である。
[0309]別の実施形態では、ヘルパーTエピトープ類似体には、ヘルパーTエピトープ中に1個〜約10個のアミノ酸残基の置換、欠失、及び挿入が含まれ得る。ヘルパーTセグメントは、免疫応答を増強又は刺激するために十分な、ヘルパーTエピトープの連続的な部分である。ヘルパーTセグメントの一例は、単一のより長いペプチドに由来する一連の重複ペプチドである。
[0310]特定の実施形態では、本発明の組成物は、ヘルパーTエピトープ又は抗原として、安定性を増強するためにアラニン残基がそのアミノ末端に付加された改変破傷風毒素ペプチドA16L(830〜844、AQYIKANSKFIGITEL(配列番号21)を含み得る(Slingluffら、Clin Cancer Res.、7:3012〜3024、2001)。
[0311]本組成物において使用し得るヘルパーTエピトープの他の供給源には、たとえば、B型肝炎表面抗原ヘルパーT細胞エピトープ、百日咳毒素ヘルパーT細胞エピトープ、麻疹ウイルスFタンパク質ヘルパーT細胞エピトープ、クラミジア・トラコミチス(Chlamydia trachomitis)主要外膜タンパク質ヘルパーT細胞エピトープ、ジフテリア毒素ヘルパーT細胞エピトープ、熱帯熱マラリア原虫スポロゾイト周囲ヘルパーT細胞エピトープ、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)トリオースリン酸イソメラーゼヘルパーT細胞エピトープ、大腸菌TraTヘルパーT細胞エピトープ、並びにこれらのヘルパーTエピトープのいずれかの免疫増強性の類似体及びセグメントが含まれる。
[0312]一部の実施形態では、ヘルパーTエピトープは普遍的ヘルパーTエピトープであり得る。本明細書中で使用する普遍的ヘルパーTエピトープとは、クラスII(CD4+T細胞)制限様式でT細胞の機能を活性化する様式で多数のMHCクラスII分子と結合する、ペプチド若しくは他の免疫原性分子又はその断片をいう。普遍的ヘルパーTエピトープの一例は、ペプチド配列AKXVAAWTLKAAA(配列番号22)(式中、Xはシクロヘキシルアラニルであり得る)を含むPADRE(pan−DRエピトープ)である。PADREは特異的にCD4+ヘルパーTエピトープを有している、すなわち、これはPADREに特異的なCD4+ヘルパーT応答の誘導を刺激する。
[0313]既に言及した改変破傷風毒素ペプチドA16Lに加えて、破傷風トキソイドは、PADREと同様の様式で作用する他のヘルパーTエピトープを有する。破傷風及びジフテリア毒素はヒトCD4+細胞に対する普遍的エピトープを有する(Diethelm−Okita,B.M.ら、J.Infect.Diseases、181:1001〜1009、2000)。別の実施形態では、ヘルパーTエピトープは、ペプチド配列FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE(アミノ酸947〜967、配列番号23)を含むF21Eなどの破傷風トキソイドペプチドであり得る。
[0314]特定の実施形態では、ヘルパーTエピトープは、本発明のワクチン中の1つ又は複数の抗原の少なくとも1つと融合している(たとえば融合ペプチド)。
[0315]リポソーム及び脂質に基づく粒子又は小胞、及びその製剤
[0316]一部の実施形態では、本発明の医薬組成物又はワクチン組成物はリポソームを含む。特定の実施形態では、ワクチン組成物が、本明細書中に記載の疎水性物質の連続相を含む担体を含む場合に、リポソームが含まれる。リポソームは、天然細胞膜中にも見つかるバルク脂質分子を用いて配合することができるため、リポソームは、一般に安全に投与することができ、生分解性である。
[0317]リポソームは、閉じ込められた水性体積を含有する、完全に閉じた脂質二重層膜である。リポソームは、単層膜ベシクル(単一の二重層膜を保有する)であり得るか、又は、それぞれの二重層が水性層によって次の層と隔てられていてもいなくてもよい、多重膜の二重層を特徴とする多重膜小胞であり得る。リポソームの一般的な記述はGregoriadis G.、Immunol.Today、11:89〜97、1990及びFrezard,F.、Braz.J.Med.Bio.Res.、32:181〜189、1999中に見つけることができる。
[0318]リポソームは、事実上任意の種類の細胞に吸着し、その後、取り込まれている薬剤(たとえば抗原)を放出することができる。或いは、リポソームは標的細胞と融合することができ、そこでリポソームの内容物が標的細胞内に出される。或いは、リポソームは、食作用がある細胞によってエンドサイトーシスを受け得る。
[0319]また、脂質が連続的な油状媒体中で脂質に基づく粒子又は小胞を形成し得ることも想定される。したがって、一部の実施形態では、本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、たとえば、それだけに限定されないが単層脂質小胞を含み得る。これらの単層脂質小胞は、単独で、又は二重層リポソームと同じ組成物中に一緒に存在し得る。一部の実施形態では、脂質は、単層脂質小胞以外の他の脂質に基づく粒子を形成する。
[0320]本明細書及び特許請求の範囲内で使用する用語「リポソーム」には、それだけに限定されないが、「ニオソーム」、「トランスファーソーム」、及び「ビロソーム」として当分野で記載されているものを含めた、上述したすべてのそのような小胞構造が包含されることを意図する。使用し得る他の適切なリポソームには、多重膜小胞(MLV)、オリゴ層状小胞(OLV)、単層膜ベシクル(UV)、小型単層膜ベシクル(SUV)、中型単層膜ベシクル(MUV)、大型単層膜ベシクル(LUV)、巨大単層膜ベシクル(GUV)、多胞体小胞(MVV)、逆相蒸発方法によって作製された単横又はオリゴ層状小胞(REV)、逆相蒸発方法によって作製された多重膜小胞(MLV−REV)、安定多層小胞(SPLV)、凍結解凍MLV(FATMLV)、押し出し方法によって調製された小胞(VET)、フレンチプレスによって調製された小胞(FPV)、融合によって調製された小胞(FUV)、脱水−再水和小胞(DRV)、及びバブルソーム(BSV)が含まれる。当業者は、これらのリポソームを調製する技法は当分野で周知であることを理解されよう(たとえばKreuter,J.編、Colloidal Drug Delivery Systems、第66巻、Marcel Dekker,Inc.、1994を参照)。
[0321]古細菌脂質から作製したリポソームを含めた任意のリポソームを本発明において使用し得るが、リポソームの特定の実施形態は、リポソーム製剤中でリン脂質及び非エステル化コレステロールを使用する。コレステロールはリポソームを安定化するために使用し、リポソームを安定化する任意の他の化合物でコレステロールを置き換えてもよい。他のリポソーム安定化化合物は当業者に知られている。たとえば、飽和リン脂質は、安定性の増加を示す、より高い遷移温度を有するリポソームを生じる。
[0322]リポソームの調製に使用し得るリン脂質には、たとえば、それだけに限定されないが、ホスホグリセロール、ホスホエタノールアミン、ホスホセリン、ホスホコリン(たとえばDOPC、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)、及びホスホイノシトールからなる群から選択される少なくとも1つの頭部基を有するものが含まれる。一部の実施形態では、リポソームは、たとえば10:1w/wのDOPC:コレステロール比のDOPCとコレステロールの混合物を使用して調製する。したがって、非エステル化コレステロールもリポソーム製剤中で使用する場合、コレステロールは、リン脂質の重量の約10%に等しい量で使用し得る。リポソームを安定化するためにコレステロール以外の化合物を使用する場合、当業者は組成物中に必要な量を容易に決定することができるであろう。
[0323]リポソーム組成物は、たとえば、天然脂質、合成脂質、スフィンゴ脂質、エーテル脂質、ステロール、カルジオリピン、カチオン性脂質、並びにポリ(エチレングリコール)及び他のポリマーで修飾された脂質を使用することによって得られ得る。合成脂質には以下の脂肪酸構成要素が含まれ得る:ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、アラキドイル、オレオイル、リノレオイル、エルコイル、又はこれらの脂肪酸の組合せ。
[0324]本明細書中に開示するリピドA模倣体又は抗原などの製薬は、リポソームの内部に取り込ませるか、それに付着させることができる。いくつかの異なる薬剤を同じリポソームの内部に取り込ませるか、それに付着させてもよく、又は、異なる薬剤を異なるリポソームと会合させ、リポソームを別個に若しくは一緒に対象に投与してもよい。
[0325]一部の実施形態では、脂質部分は脂質二重層内に統合されることができるため、脂質含有分子(本明細書中に開示するリピドA模倣体の実施形態など)をリポソーム内に取り込ませることができる。したがって、本発明のリピドA模倣体は、リポソームの「表面」上に提示させてもよく、又は、それに加えて若しくはその代わりに、リポソーム内にカプセル封入すると同時に脂質二重層内に取り込ませてもよい。
[0326]一部の実施形態では、1つ又は複数の抗原(たとえばハプテン)を極性脂質に付着させてもよく、立ち代ってこれはリポソーム粒子の一部となる。この場合、リポソームの脂質部分が免疫原性担体として作用し得る。一部の実施形態では、抗原の脂質化は、リポソームへのその付着(又はそれ内への取り込み)を促進する場合があり、立ち代ってこれは抗原の免疫提示を改善し得る。
[0327]さらなる実施形態では、リポソームには、特定の標的細胞に対して特別な親和性を有する脂質が含まれ得る。たとえば、ラクトシルセラミドは、肝細胞に対して(及びおそらくは肝臓癌細胞に対しても)特異的な親和性を有する。
[0328]別の実施形態として、本明細書中に包含される医薬組成物又はワクチン組成物は、疎水性担体(たとえば連続的な油状媒体)中に懸濁させた両親媒性化合物を含む、水を実質的に含まない製剤であり得る。そのような組成物は、たとえば、本明細書中に参考として組み込まれている国際公開第2009/043165号に記載されている。
[0329]疎水性物質の連続相を含む担体
[0330]本発明の医薬組成物又はワクチン組成物は、本明細書中に記載の薬学的に許容される担体を含み得る。
[0331]一部の実施形態では、担体は、たとえば液体疎水性物質などの疎水性物質の連続相を含む担体である。連続相は、本質的に純粋な疎水性物質又は疎水性物質の混合物であり得る。さらに、担体は、疎水性物質が連続相を構成する限りは、疎水性物質中の水の乳濁液又は疎水性物質の混合物中の水の乳濁液であり得る。一部の実施形態では、これらの種類の担体がアジュバントとしてさらに機能し得ることが可能である。
[0332]本明細書中に記載した組成物において有用な疎水性物質は、薬学的及び/又は免疫学的に許容されるものである。担体は典型的には液体であるが、大気温で液体でない特定の疎水性物質を、たとえば温めることによって液化してもよく、これらも有用であり得る。
[0333]油又は油中水乳濁液は、本明細書中に開示する医薬組成物又はワクチン組成物における使用に特に適した担体である。油は薬学的及び/又は免疫学的に許容されるはずである。適切な油には、たとえば、鉱物油(特に、ドラケオール(Drakeol)(商標)6VRなどの軽い若しくは低粘度の鉱物油)、植物油(たとえばダイズ油)、堅果油(たとえばピーナッツ油)、又はその混合物が含まれる。したがって、一実施形態では、担体は、植物油、堅果油、又は鉱物油などの疎水性物質である。動物性脂肪及び人工疎水性ポリマー材料、特に大気温で液体であるもの又は比較的容易に液化できるものも使用し得る。
[0334]一部の実施形態では、疎水性担体は、鉱物油に基づくモデル疎水性担体である不完全フロイントアジュバント(IFA)であり得る。
[0335]別の実施形態では、疎水性担体は、モンタニド(Montanide)(商標)ISA51(SEPPIC、フランス)として市販されているものなどの、鉱物油溶液中のオレイン酸マンニドであり得る。
[0336]ワクチンの免疫原性を増強させるために、Immunovaccine Inc.は、ペプチド又はポリヌクレオチド抗原に対する強力かつ頑強な免疫応答を促進するために設計されたアジュバント化ワクチンプラットフォームを開発している。デポヴァックス(登録商標)(DPX)は、細胞性免疫応答(Karkadaら、J Immunother、33(3):250〜261、2010)及び/又は液性免疫応答を誘導又は強力にするために、任意の抗原又は抗原の混合物を用いて配合することができる油中リポソームの製剤である。DPXは免疫化の部位で強力なデポーを形成し、これにより免疫系に対する抗原の曝露が延長される。
[0337]DPX中におけるペプチド又はポリヌクレオチド抗原を用いた単一のワクチン接種は、第一世代の乳濁液に基づくワクチンプラットフォームであったワクチマックスと同様、モンタニドISA51 VG乳濁液などの他の慣用の製剤中における同じ抗原を用いた複数回のワクチン接種と同等又はそれよりも良好な免疫応答をもたらすことが示されている(Daftarianら、J Transl Med、5:26、2007、Mansourら、J Transl Med、5:20、2007)。DPX−0907と呼ばれる、デポヴァックス(登録商標)に基づくペプチド−ワクチンは乳房、卵巣、及び前立腺癌の患者において第I相臨床治験が完了しており、これらの進行性の患者において安全性及び免疫原性が実証されている(Berinsteinら、J Transl Med、10(1):156、2012)。
[0338]抗原及びアジュバントを含有する水滴を捕捉する油に依存する、油中水乳濁液に基づくワクチンとは異なり、デポヴァックス(登録商標)に基づく製剤は、乳化を必要とせずに、抗原及びアジュバントの油内への直接の取り込みを促進するためにリポソームに依存する。この手法の利点には、(1)そうでなければ通常は水性希釈剤中で最大の溶解度を有する親水性の抗原/アジュバントの、油状希釈剤中での溶解度が増強されること、及び(2)ワクチン投与の厄介な乳化手順が排除されることが含まれる。
[0339]一部の実施形態では、本明細書中に開示する医薬組成物又はワクチン組成物の疎水性担体は、Immunovaccine,Incのリポソームに基づくアジュバント系、デポヴァックス(登録商標)であり得る。
[0340]特定の実施形態では、組成物は水を実質的に含まない場合がある(たとえば「無水」)。これらの「無水」組成物の疎水性担体は、水が担体の非連続相中に存在する限りは、それでも少量の水を含有し得る可能性がある。たとえば、組成物の個々の構成成分は、凍結乾燥又は蒸発などの処理によって完全に除去され得ない結合水を有する場合があり、特定の疎水性担体はそれ中に溶解した少量の水を含有する場合がある。一般に、「無水」である本発明の組成物は、たとえば、重量/重量に基づいて、組成物の担体構成成分の全重量の約10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%未満の水を含有する。
[0341]追加のアジュバント
[0342]本明細書中に開示する組成物の一部の実施形態では、リピドA模倣体は活性成分として(たとえばLPS/リピドA拮抗剤として)存在する。本明細書中に開示する他の組成物では、リピドA模倣体は活性成分と共に含まれる追加の構成成分である。後者の実施形態では、リピドA模倣体はアジュバントとして作用し得る。これらの実施形態のいずれにおいても、組成物は1つ又は複数の(追加の)アジュバントを含有し得る。
[0343]多数のアジュバントが記載されており、当業者に知られている。たとえば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、米国ペンシルベニア州Easton、1985)及び米国薬局方:国民医薬品集(USP 24 NF19)、1999年出版を参照されたい。
[0344]例示的なアジュバントには、それだけに限定されないが、ミョウバン、アルミニウムの他の化合物、バチルスカルメット・ゲラン(BCG)、タイターマックス(TiterMax)(登録商標)、リビ(Ribi)(登録商標)、フロイント完全アジュバント(FCA)、CpG含有オリゴデオキシヌクレオチド(CpG ODN)、リポペプチド類、及びポリI:Cポリヌクレオチドが含まれる。例示的なCpG ODNは5’−TCCATGACGTTCCTGACGTT−3’(配列番号24)である。当業者は、標的の種及び有効性に基づいて他の適切なCpG ODNを容易に選択することができる。例示的なリポペプチドには、それだけに限定されないが、Pam3Cys−SKKK(EMC Microcollections、ドイツ)、又はその変異体、相同体、及び類似体が含まれる。Pam2リポペプチドファミリーは、Pam3リポペプチドファミリーの有効な代替物であることが示されている。
[0345]一部の実施形態では、医薬組成物又はワクチン組成物は、アジュバントとして、たとえばそれだけに限定されないが26量体のデオキシイノシン/シトシン合成ポリヌクレオチドなどのポリI:Cポリヌクレオチドを含み得る。
[0346]本明細書中で使用する「ポリI:C」又は「ポリI:Cポリヌクレオチド」とは、それぞれの鎖が少なくとも6個の連続的なイノシン酸若しくはシチジル酸残基、又は任意の順序でイノシン酸及びシチジル酸から選択される少なくとも6個の連続的な残基(たとえば、IICIIC、ICICIC、若しくはIIICCC)を含有しており、哺乳動物対象においてインターフェロンなどの少なくとも1つの炎症性サイトカインの産生を誘導又は増強することができる、二本鎖ポリヌクレオチド分子(RNA若しくはDNA又はDNA及びRNAの組合せ)である。ポリI:Cポリヌクレオチドは、典型的には、約8、10、12、14、16、18、20、22、24、25、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、150、200、250、300、500、1000個、又はそれより多くの残基の長さを有する。上限は重要でないと考えられている。ポリI:Cポリヌクレオチドは、多くの場合、最短で約6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、又は30個のヌクレオチドの長さ、及び最大で約1000、500、300、200、100、90、80、70、60、50、45、又は40個のヌクレオチドの長さを有する。
[0347]ポリI:Cポリヌクレオチドのそれぞれの鎖はイノシン酸若しくはシチジル酸残基のホモポリマーであり得るか、又は、それぞれの鎖はイノシン酸及びシチジル酸残基をどちらも含有するヘテロポリマーであり得る。どちらも場合でも、少なくとも1つの上述の6個のI、6個のC、又は6個のI/C残基の連続的な領域が存在する限りは、ポリマーは1つ又は複数の非イノシン酸又は非シチジル酸残基(たとえばウリジン)によって中断され得る。典型的には、ポリI:Cポリヌクレオチドのそれぞれの鎖は、6個のI/C残基あたり1個以下の非I/C残基、より詳細には8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、又は30個のI/C残基あたり1個以下の非I/C残基しか含有しない。
[0348]ポリI:Cポリヌクレオチド中のイノシン酸若しくはシチジル酸(又は他の)残基は、インターフェロンなどの炎症性サイトカインの産生を促進するポリI:Cポリヌクレオチドの能力が保持されている限り、当分野で知られているように誘導体化又は修飾し得る。誘導体又は修飾体の非限定的な例には、たとえば、アジド修飾、フルオロ修飾、又はin vivo安定性を増加させるための、天然のリン酸ジエステル結合の代わりにチオエステル(若しくは類似の)結合の使用が含まれる。また、ポリI:Cポリヌクレオチドは、たとえば、分子を正荷電ポリリシンとカルボキシメチルセルロース又は正荷電合成ペプチドと複合体化することによって、たとえばin vivo分解に対するその耐性を増強させるためにも修飾し得る。
[0349]存在する場合、ポリI:Cポリヌクレオチドは、典型的には、組成物中に、約0.001mg〜1mg/組成物単位用量の量で含められる。特定の実施形態では、ポリI:Cポリヌクレオチドの量は約0.04mg/1mLの組成物である。
[0350]本明細書中に開示する組成物の他の適切なアジュバントは、TLR2を活性化する又はその活性を増加させるものである。本明細書中で使用する、TLR2を「活性化する」又はその「活性を増加させる」アジュバントには任意のアジュバントが含まれ、一部の実施形態では、TLR2作用剤として作用する脂質に基づくアジュバントが含まれる。さらに、TLR2の活性化又はその活性の増加には、任意の単量体、ホモ二量体、又はヘテロ二量体の形態でのその活性化が包含され、TLR1又はTLR6とのヘテロ二量体としてのTLR2(すなわちTLR1/2又はTLR2/6)の活性化が特に含まれる。TLR2を活性化させる又はその活性を増加させるアジュバントの例示的な実施形態には、国際公開第2013/049941号に記載のものなどの脂質に基づくアジュバントが含まれる。
[0351]使用し得るアジュバントのさらなる例には、それだけに限定されないが、ケモカイン、コロニー刺激因子、サイトカイン、1018 ISS、アルミニウム塩、アンプリボックス(Amplivax)、AS04、AS15、ABM2、アジュマー(Adjumer)、アルガムリン(Algammulin)、AS01B、AS02(SBASA)、ASO2A、BCG、カルシトリオール、キトサン、コレラ毒素、CP−870,893、CpG、ポリI:C、CyaA、デトックス(DETOX)(Ribi Immunochemicals)、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA)、フタル酸ジブチル(DBP)、dSLIM、ガンマイヌリン、GM−CSF、GMDP、グリセロール、IC30、IC31、イミキモド、イムファクト(ImuFact)IMP321、ISパッチ(IS Patch)、イスコム(ISCOM)、イスコマトリックス(ISCOMATRIX)、ジュヴイミューン(JuvImmune)、リポバック(LipoVac)、LPS、脂質コアタンパク質、MF59、モノホスホリルリピドA及びその類似体又は模倣体、モンタニド(商標)IMS1312、モンタニド(商標)に基づくアジュバント(たとえば、モンタニドISA−51、−50、及び−70)、OK−432、OM−174、OM−197−MP−EC、オンタック(ONTAK)、ペプテル(PepTel)ベクター系、他のパルミトイルに基づく分子、PLG微粒子、レシキモド、スクアレン、SLR172、YF−17 DBCG、QS21、QuilA、P1005、ポロキサマー、サポニン、合成ポリヌクレオチド、ザイモサン、百日咳毒素が含まれる。
[0352]したがって、本明細書中の組成物は、1つ又は複数の(追加の)薬学的に許容されるアジュバントを含み得る。一部の実施形態では、抗原の少なくとも1つはアジュバントの少なくとも1つとカップリングされていてもよい。
[0353]使用するアジュバントの量は抗原の量及びアジュバントの種類に依存する。当業者は、特定の応用において必要なアジュバントの量を経験的な試験によって容易に決定できるであろう。
[0354]医薬組成物又はワクチン組成物を調製する方法
[0355]一般に、医薬組成物を調製する方法は当分野で周知であり、これらの方法のいずれかを、本明細書中に記載した組成物を調製するために用い得る。
[0356]一部の実施形態では、ワクチン組成物とは、少なくとも1つの抗原、リポソーム、少なくとも1つのリピドA模倣体、及び疎水性物質の連続相を含む担体を含むものである。これらの組成物を調製するための例示的な方法は、それだけに限定されないが、本明細書中にさらに記載されている。
[0357]リポソームを作製する方法は当分野で周知である。たとえば、どちらも既に引用されているGregoriadis(1990)及びFrezard(1999)を参照されたい。リポソームを作製する任意の適切な方法を本発明の実施において使用し得るか、又はリポソームを市販の供給源から入手し得る。リポソーム、典型的には、脂質二重層を形成するリポソーム構成成分(たとえばリン脂質及びコレステロール)を、純水又は水に溶かした1つ若しくは複数の構成成分の溶液、たとえば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、無リン酸生理食塩水、若しくは任意の他の生理的に適合性のある水溶液である、水溶液で水和することによって調製する。
[0358]一実施形態では、リン脂質(たとえばホスホリポン(Phospholipon)(商標)90G)又はDOPC及びコレステロールなどの、リポソーム構成成分又はリポソーム構成成分の混合物は、 クロロホルム及びメタノール又はtert−ブタノールの混合物などの有機溶媒に溶かし、次いで濾過(たとえばPTFE0.2μmフィルター)及び乾燥(たとえば回転蒸発による)を行って、溶媒を除去し得る。
[0359]生じた脂質混合物の水和は、たとえば、脂質混合物を水溶液内に注入するか、又は脂質混合物及び水溶液を超音波処理することによって達成し得る。リポソームの形成中、リポソーム構成成分は、リポソーム構成成分を水和する水溶液の体積を取り囲んで、単一の二重層(単層膜)又は複数の二重層(多重膜)を形成する。
[0360]一部の実施形態では、その後、リポソームを凍結乾燥又は凍結乾燥などによって脱水する。
[0361]リポソームを、連続的な疎水性相を含む担体などの適切な担体と合わせる。これは様々な方法で行うことができる。
[0362]担体が疎水性物質又は疎水性物質の混合物のみで構成されている場合(たとえば100%鉱物油の担体を使用)、リポソームを単純に疎水性物質と混合し得るか、又は複数の疎水性物質が存在する場合は、その任意の1つ若しくは組合せと混合し得る。
[0363]その代わりに疎水性物質の連続相を含む担体が不連続の水性相を含有する場合、担体は、典型的には、油中水乳濁液などの疎水性相中の水性相の乳濁液の形態をとる。そのような組成物は、乳濁液を安定化させ、リポソームの均一な分布を促進するために、乳化剤を含有し得る。この観点から、担体中でのリポソームの均一な分布を促進する目的で、乳化剤は無水担体を使用した場合でも有用であり得る。典型的な乳化剤には、オレイン酸マンニド(アルラセル(Arlacel)(登録商標)A)、レシチン(たとえばS100レシチン)、リン脂質、ツイーン(Tween)(登録商標)80、並びにスパン(Span)(登録商標)20、80、83、及び85が含まれる。典型的には、疎水性物質対乳化剤の体積比(v/v)は約5:1〜約15:1の範囲内にある。一実施形態では、疎水性物質対乳化剤の体積比(v/v)は約10:1である。
[0364]リポソームは、完成した乳濁液に加えてもよく、又は乳化の前に水性相若しくは疎水性相のどちらか中に存在していてもよい。
[0365]本明細著中に記載の抗原(複数可)は、配合プロセスの様々な異なる段階で導入し得る。複数の種類の抗原を組成物内に取り込ませ得る。本セクションで使用する用語「抗原」とは、任意の抗原を本発明のワクチン組成物中で配合し得ることを記載するために一般的に使用する。用語「抗原」には、単数形「抗原(antigen)」及び複数形「複数の抗原(antigens)」がどちらも包含される。すべての抗原がワクチン組成物内に同じ方法で導入されている必要はない。
[0366]一部の実施形態では、抗原は、リポソームの脂質二重層を形成するために使用する構成成分(たとえばリン脂質(複数可)及びコレステロール)を水和するために使用する水溶液中に存在する。この場合、抗原はリポソーム内にカプセル封入され、その水性内部に存在する。生じたリポソームを洗浄又は乾燥せず、疎水性物質の連続相を含む担体と最終的に混合される残留水溶液が存在する場合は、最終産物中のリポソームの外側に追加の抗原が存在し得る可能性がある。関連する技法では、抗原は、水溶液を用いた水和の前に、リポソームの脂質二重層を形成するために使用する構成成分と混合し得る。また、抗原は、事前に形成されたリポソームに加えてもよく、その場合、抗原はリポソーム内に能動的にローディングするかリポソームの表面に結合させてもよく、又は、抗原はリポソームの外部に留まっていてもよい。そのような実施形態では、抗原を加える前に、事前に形成されたリポソームは空のリポソーム(たとえば、カプセル封入された抗原若しくはリピドA模倣体を含有しない)であり得るか、又は、事前に形成されたリポソームは、リポソーム内に取り込まれた若しくはそれと会合させたリピドA模倣体を含有し得る。これらのステップは、疎水性物質の連続相を含む担体との混合の前に起こり得る。
[0367]代替手法では、その代わりに、抗原は、担体をリポソームと合わせる前、その間、又はその後に、疎水性物質の連続相を含む担体と混合し得る。担体が乳濁液である場合、抗原は、乳化の前に、水性相又は疎水性相の一方又は両方と混合し得る。或いは、抗原は乳化の後に担体と混合し得る。
[0368]抗原を担体と合わせる技法は、リポソーム内及び疎水性物質の連続相を含む担体中の両方に抗原が存在するように、上述のリポソーム内への抗原のカプセル封入と一緒に使用し得る。
[0369]抗原を組成物内に導入する上述の手順は、リピドA模倣体及び/又はヘルパーTエピトープ(ヘルパーTエピトープが含まれる場合)にも適用される。すなわち、リピドA模倣体及びヘルパーTエピトープ(存在する場合)は、たとえば、(1)リポソームの脂質二重層を形成するために使用する構成成分を水和するために使用する水溶液、(2)リポソームの脂質二重層を形成した後の水溶液、(3)リポソームの脂質二重層を形成するために使用する構成成分、又は(4)担体をリポソームと合わせる前、その間、若しくはその後の、疎水性物質の連続相を含む担体の1つ又は複数内に導入し得る。担体が乳濁液である場合、リピドA模倣体及びヘルパーTエピトープ(存在する場合)は、乳化の前、その間、又はその後に、水性相又は疎水性相の一方又は両方と混合し得る。
[0370]さらなる実施形態では、リポソームが形成される際にリピドA模倣体の脂質鎖が脂質二重層内に取り込まれ得る。
[0371]リピドA模倣体及びヘルパーTエピトープ(存在する場合)を担体と合わせる技法は、リピドA模倣体及びヘルパーTエピトープがリポソームの内部及び/又は疎水性物質の連続相を含む担体中のリポソームの外部に存在するように、これらの構成成分のリポソーム内へのカプセル封入、又はこれらの構成成分のリポソームへの追加と一緒に使用し得る。
[0372]リピドA模倣体及びヘルパーTエピトープ(存在する場合)は、抗原と一緒に同じ方法ステップで、又は別個に別の方法ステップで、組成物中に取り込ませることができる。たとえば、抗原、リピドA模倣体、及びヘルパーTエピトープはすべて、3つすべての構成成分がリポソーム内にカプセル封入されるように、脂質二重層を形成するリポソーム構成成分を水和するために使用する水溶液中に存在し得る。或いは、抗原及びヘルパーTエピトープをリポソーム内にカプセル封入させ、リピドA模倣体を疎水性物質の連続相を含む担体と混合し得る。さらなる実施形態では、ヘルパーTエピトープ及び/又はリピドA模倣体は、抗原のカプセル封入ステップ後に、リポソーム−抗原の調製物を手動のミニ押出し機に通し、その後、得られたリポソーム−抗原調製物を、たとえばリン酸緩衝液中のリピドA模倣体と混合することによって、組成物内に取り込ませ得る。また、ヘルパーTエピトープ及び/又はリピドA模倣体は、ヘルパーTエピトープ及びリピドA模倣体が会合している又はリポソームの外部に留まり得るように、単独で又は抗原と一緒に、リポソームが形成された後に、組成物内に取り込ませる得る。また、ヘルパーTエピトープ及び/又はリピドA模倣体は、抗原を加える前にリポソーム内に取り込ませる又はそれと会合させてもよく、抗原は、事前に形成されたリポソームの外側に留まっている、又はさらなる処理によってリポソーム内にローディング/それと会合される。そのような実施形態では、生じた調製物は凍結乾燥し、その後、疎水性物質の連続相を含む担体で再構成し得る。多くのそのような組合せが可能であることが理解されよう。
[0373]特定の実施形態では、本明細書中に記載したワクチン組成物は、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)及びコレステロールの10:1混合物をtert−ブタノールに溶かすことによって調製し得る。抗原及びリピドA模倣体は、それぞれ独立して、ジメチルスルホキシド又は水の別々の溶液に溶かす。その後、抗原をDOPC/コレステロール/tert−ブタノール混合物に加える。その後、リピドA模倣体もDOPC/コレステロール/tert−ブタノール混合物に加える。ワクチン構成要素の乾燥均質混合物は、溶媒及び水を凍結乾燥によって除去することによって調製する。その後、乾燥混合物を、たとえば、それだけに限定されないが不完全フロイントアジュバント(たとえば鉱物油に基づくモデル疎水性担体)などの疎水性担体に懸濁させる。
[0374]組成物が1つ又は複数の追加のアジュバントを含有する場合、そのような追加のアジュバントは、抗原について上述した様式と同様に、又は、追加のアジュバント(複数可)に適切であり得るようにそのような方法のいくつかを組み合わせることによって、組成物内に取り込ませることができる。
[0375]抗原、リピドA模倣体、リポソーム、又は連続的な疎水性担体の貯蔵寿命を延長するために、生物活性を維持する又は化学的安定性を改善する、糖、抗酸化剤、又は保存料などの安定化剤をそのような組成物に加え得る。
[0376]一部の実施形態では、抗原/リピドA模倣体の混合物を使用してもよく、その場合、抗原及びリピドA模倣体を同時に組成物内に取り込ませる。「抗原/リピドA模倣体の混合物」とは、抗原及びリピドA模倣体が、少なくとも組成物内への取り込みの前に同じ希釈剤中にある実施形態をいう。抗原/リピドA模倣体の混合物中の抗原及びリピドA模倣体は、共有結合などによって化学的に結合されていてもよいが、必ずしもそうである必要はない。
[0377]一部の実施形態では、疎水性物質の連続相を含む担体自体がアジュバント活性を有し得る。不完全フロイントアジュバント及びモンタニド(商標)ISA51VGはアジュバント効果を有する疎水性担体の例である。
[0378]分子シグナル伝達
[0379]LPS/リピドAの免疫調節活性に関する分子標的及び作用機構が同定されており、トール様受容体(TLR)として知られるタンパク質群が関与している。LPS/リピドAは、TLRファミリーのメンバーであるトール様受容体4(TLR4)によって認識され、これは別のタンパク質MD−2と会合している。TLR4は、偏性のアクセサリータンパク質MD−2との複合体として発現される(Akira,S.M.、Adv.Exp.Med.Biol.、667:59〜68、2010)。結合したリガンドLPSを有するTLR4/MD−2の結晶構造が決定されておりParkら、Nature、458:1191〜1196、2009)、これは、TLR4/MD−2によるLPS/リピドAの認識の分子基盤の直接の証拠を提供している。
[0380]TLR4は、自然免疫及び応免疫応答の発生において重要な役割を果たす。グラム陰性細菌LPSのTLR4の活性化は大規模に研究されており、活性化後の分子機構が詳細に説明されている(Akira,S.M.、Adv.Exp.Med.Biol.、667:59〜68、2010)。適応免疫応答の誘導を調節する能力により、ワクチンアジュバントの開発に関してTLR4が魅力的な標的となっている(Jiangら、Curr.Med.Chem.、10:1423〜1439、2003)。実際、TLR4作用剤が免疫賦活性ワクチンアジュバントの重要なクラスであることは、十分に認識されている。
[0381]一部の実施形態では、本発明のリピドA模倣体はTLR4を介してシグナル伝達し得る。実施例13に示すように、例示的なリピドA模倣体JL−265及びJL−266は、野生型マウス(C3H/HeOuJ)の樹状細胞においてCD40及びCD86のどちらの強力な発現の増加ももたらした(図7a及び7bを参照、白色のバー)。しかし、TLR4突然変異体マウス(C3H/HeJ)では、樹状細胞におけるCD40及びCD86の誘導は有意に低下していた(図7a及び7bを参照、濃色のバー)。この発見は、実施例13においてやはりTLR4を介してシグナル伝達することが示されているLPSで観察されるものと一致している。TLR4を介してシグナル伝達しないことが知られている対照ポリI:Cアジュバントは、野生型及びTLR突然変異体マウスのどちらの樹状細胞においても匹敵するCD40及びCD86の刺激をもたらした。したがって、実施例13のデータは、本明細書中に開示するリピドA模倣体の実施形態がTLR4を介してシグナル伝達できることを実証している。
[0382]さらに、図7に示すように、TLR突然変異体マウスでは、例示的なリピドA模倣体JL−265及びJL−266はLPSよりもわずかに低いCD40及びCD86の誘導をもたらす一方で、野生型マウスでは、どちらのリピドA模倣体もLPSと同じ性能を示す。このことは、LPSはTLR4より他の受容体を介してシグナル伝達することができる一方で、リピドA模倣体はTLR4を介してのみシグナル伝達し得ることを示している。このことの潜在的な利点は、LPSと比較して、本発明のリピドA模倣体は他の受容体のオフターゲット刺激によって引き起こされる副作用を誘導する可能性がより少ない場合があることである。
[0383]本明細書中に開示する化合物がリピドA模倣体であるということに鑑みて、さらに、TLR4を介してシグナル伝達するというその実証されている能力を考慮して、本発明のリピドA模倣体は、アジュバント又は他の免疫調節剤として有用であり得る。この文脈において使用する用語「免疫調節剤」とは、生物学的実体に対する免疫応答の活性を誘導する(たとえば誘発する)若しくは強力にすることができる、又は免疫応答を減少させることができる化合物をいう。
[0384]本明細書中で使用する免疫応答を「誘導又は強化する」ことには、たとえば、本発明の組成物を投与する前の任意の以前の免疫応答状態(又はその欠如)と比較して、宿主の利点となるように免疫応答が開始(たとえば誘発)、刺激、増強、上昇、改善、及び/又は強化される状況が包含される。本明細書中で使用する免疫応答を「減少させる」ことには、たとえば、本発明の組成物を投与する前の任意の免疫応答状態と比較して、宿主の利点となるように免疫応答が低下、減退、減弱、無効化及び/又は終結される状況が包含される。
[0385]i)潜在的な細菌内毒素拮抗剤としてのリピドA模倣体
[0386]一実施形態では、本明細書中に開示のリピドA模倣体は天然リピドA又はLPSの拮抗剤として作用してもよく、また、グラム陰性敗血症又は敗血症性ショックなどの、対象の免疫系の過剰活性化を特徴とするLPS/リピドA媒介性の疾患又は障害の治療又は予防において有用であり得る。これらの実施形態では、リピドA模倣体自体を本明細書中に記載した医薬組成物中の活性成分として使用し得る。
[0387]たとえば、一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体はLPS/リピドA拮抗活性を有し得る。「拮抗活性」とは、リピドA模倣体がLPS又はリピドAと同じ生物学的受容体(たとえばTLR4)と結合できる場合があり、したがって、天然LPS又はリピドAの活性を防止又は減退させることができ得ることを意味する。そのような実施形態では、リピドA模倣体は、LPS/リピドA媒介性の疾患又は障害の治療又は予防において有用であり得る。
[0388]ヒトにおかるグラム陰性細菌感染症の際、LPSなどの細菌内毒素が血中に放出される。LPS又はその有効成分リピドAに対する急性炎症反応は、単球及びマクロファージからの腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−1(IL−1)、IL−6、及びロイコトリエンを含めたサイトカイン及び他の細胞媒介因子の放出をもたらす。極限レベルでは、これらのサイトカイン及び細胞媒介因子は、発熱、ショック、低血圧、及び臓器不全を含めた多くの病態生理学的事象を始動させることが知られている(たとえばBone,R.C.、Clin.Microbiol.Rev.、6:57〜68、1993を参照)。これらの事象は一般に敗血症症候群と呼ばれる。敗血症は致命的であり、米国のみで毎年数万人がそれにより死亡している。
[0389]LPS媒介性障害を制御する1つの戦略は、LPS/リピドAの不活性な競合相手(拮抗剤)を用いて、LPS/リピドAが受容体と結合することを防止することである。本明細書中に開示するリピドA模倣体、特に天然リピドA分子に対するその構造的類似度を維持しているものは、免疫系による炎症性サイトカインの非制御放出を始動させずに、LPS/リピドA結合受容体であるTLR4と結合し得る。LPS/リピドA拮抗剤として、そのようなリピドA模倣体は、LPS/リピドAに誘導されるサイトカインの産生を阻害し、したがって、LPS/リピドA媒介性の疾患又はグラム陰性細菌感染症から生じる障害を治療又は予防することにおいて利点を潜在的に与え得る。そのような疾患及び障害には、それだけに限定されないが、発熱、全身性炎症、播種性血管内血液凝固、低血圧、急性腎不全、急性呼吸窮迫症候群、肝細胞破壊、及び心不全が含まれ得る。
[0390]一部の実施形態では、そのようなリピドA模倣体は、感染症によって引き起こされる宿主の負担を軽減するために、一般的な抗生物質と併せて投与し得る。
[0391]本明細書中に開示するリピドA模倣体の別の潜在的な応用は、LPS媒介性ウイルス産生を抑制することであり得る。LPSは、単球又はマクロファージ中に存在するウイルスの産生を強力に刺激する(Pomerantzら、J.Exp.Med.、172(1):253〜261、1990)。本明細書中に開示するリピドA模倣体がLPS拮抗剤として機能する一部の実施形態では、これらが、LPS媒介性のウイルス産生の増殖を阻害することもでき得ることが企図される。そのようなウイルスには、それだけに限定されないが、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、及びインフルエンザウイルスが含まれる。したがって、リピドA模倣体は、潜伏性又は活性のウイルス感染症のLPS媒介性増悪を治療又は予防するための有用な治療剤を提供し得る。
[0392]ii)潜在的な免疫賦活剤としてのリピドA模倣体
[0393]別の実施形態では、本明細書中に開示のリピドA模倣体は、対象の免疫系を活性化又は刺激することによって、たとえば、それだけに限定されないが感染症及び癌などの広範囲の疾患の治療又は予防における免疫治療剤として使用する潜在性を有し得る。これらの実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体は、主な治療剤として使用し得るか、又は治療的若しくは予防的ワクチン組成物中にたとえばアジュバントとして含め得る。
[0394]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体は免疫賦活剤として機能し得る。「免疫賦活剤」とは、リピドA模倣体が、抗原に対する免疫応答などの免疫応答を誘導する又は強力にする潜在性を有する(たとえばアジュバントとして作用する)ことを意味する。リピドA模倣体は、たとえば、抗体の産生を増強することなど液性免疫応答を増強することによって、サイトカインの産生を刺激することによって、及び/又は細胞毒性Tリンパ球応答を含めた細胞性免疫応答を刺激することなどによって、その効果を示し得る。また、そのような実施形態では、リピドA模倣体は、潜在的により良好な有効性を達成するために、組合せ療法において標的とした疾患を治療するための他の治療剤と共に、対象に有用に投与し得る。たとえば、それだけに限定されないが、リピドA模倣体は、抗生物質、抗ウイルス剤、抗炎症剤、及び化学療法剤と組み合わせて使用し得る。
[0395]細胞性免疫と対比して、液性免疫応答は、Bリンパ球系統の細胞(B細胞)中で産生される分泌抗体によって媒介される。そのような分泌抗体は、たとえば、外来物質、病原体(たとえば、ウイルス、細菌など)、及び/又は癌細胞の表面上にあるものなどの抗原と結合し、破壊のためにそれらに旗を立てる。
[0396]本明細書中で使用する「液性免疫応答」とは、抗体産生をいい、それに加えて又はその代わりに、たとえば、ヘルパーT2(Th2)又はヘルパーT17(Th17)細胞の産生及び/又は活性化、サイトカインの産生、アイソタイプスイッチ、親和性成熟、並びに記憶細胞の活性化などの、それに伴う付随プロセスも含まれ得る。また、「液性免疫応答」には、たとえば、毒素の中和、古典的補体活性化、並びに貪食の促進及び病原体の排除などの、抗体のエフェクター機能も含まれ得る。液性免疫応答は多くの場合CD4+Th2細胞によって助けられ、したがって、この細胞種の活性化又は産生も液性免疫応答の指標であり得る。用語「液性免疫応答」は本明細書中で「抗体応答」又は「抗体免疫応答」と互換性があるように使用される。
[0397]「抗体」とは、免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子の断片によって実質的に又は部分的にコードされている1つ又は複数のポリペプチドを含むタンパク質である。認識されている免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α、γ、δ、ε、及びμ定常領域遺伝子、並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖はκ又はλのどちらかに分類される。重鎖はγ、μ、α、δ、又はεとして分類され、立ち代ってこれは、免疫グロブリンクラスであるIgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEをそれぞれ定義する。典型的な免疫グロブリン(抗体)の構造単位は、4つのポリペプチドを含有するタンパク質を含む。それぞれの抗体の構造単位は、それぞれ1本の「軽」鎖及び1本の「重」鎖を有する、2つの同一のポリペプチド鎖対からなる。それぞれの鎖のN末端は、抗原認識を主に司っている可変領域を定義する。抗体の構造単位(たとえばIgA及びIgMクラスのもの)は、互い及び追加のポリペプチド鎖と共に、たとえばJ鎖ポリペプチドと会合したIgM五量体として、オリゴマー体へとアセンブルされ得る。
[0398]抗体は、Bリンパ球(B細胞)と呼ばれる白血球の部分群の、抗原特異的な糖タンパク質産物である。抗原とB細胞の表面上に発現された抗体との結合は、B細胞が活性化され、有糸分裂を受け、最終的には形質細胞へと分化するようにB細胞を刺激するこを含む抗体応答を誘導することができ、抗原特異的抗体の合成及び分泌に特殊化されている。
[0399]B細胞は免疫応答中の唯一の抗体産生者であり、したがって、有効な液性免疫への主要な要素である。大量の抗体の産生に加え、B細胞は抗原提示細胞としても作用し、抗原をヘルパーT CD4又は細胞毒性CD8+T細胞などのT細胞に提示することができ、したがって免疫応答を伝播させる。B細胞及びT細胞は適応免疫応答の一部である。たとえばワクチン接種又は天然感染症のいずれかによって誘導された活性免疫応答中、抗原特異的なB細胞が活性化され、クローンが拡大される。拡大中、B細胞はエピトープに対してより高い親和性を有するように進化する。B細胞の増殖は、活性化ヘルパーT細胞によって間接的に誘導することができ、TLRなどの受容体の刺激によって直接誘導することができる。
[0400]樹状細胞及びB細胞などの抗原提示細胞はワクチン接種部位へと引き寄せられ、ワクチン組成物に含有される抗原及びアジュバントと相互作用することができる。典型的には、アジュバントは、細胞が活性化されるようにそれを刺激し、抗原は標的の青写真を提供する。様々な種類のアジュバントが様々な刺激シグナルを細胞に提供し得る。たとえば、ポリI:C(TLR3作用剤)は樹状細胞を活性化することができるが、B細胞を活性化することはできない。Pam3Cys、Pam2Cys、及びFSL−1などのアジュバントは、B細胞の増殖を活性化及び開始することに特に熟達しており、これは抗体応答の生成を容易にすると予想されている(Moyleら、Curr Med Chem、2008、So.、J Immunol、2012)。
[0401]液性免疫応答は、有効な感染性疾患ワクチン(たとえばウイルス又は細菌侵入物に対して保護するため)の一般的な機構の1つである。しかし、液性免疫応答も癌と闘うために有用な場合がある。癌ワクチンは、癌細胞を認識して破壊することができる細胞性免疫応答を生じるように典型的に設計されている一方で、B細胞媒介性応答は、一部の例では最大の利点のために細胞毒性T細胞と協同し得る、他の機構を介して癌細胞を標的とし得る。B細胞媒介性(たとえば液性免疫応答媒介性)の抗腫瘍応答の例には、それだけに限定されないが、以下のものが含まれる。1)腫瘍細胞又は腫瘍化に影響を与える他の細胞上に見つかる表面抗原と結合するB細胞によって産生される抗体であって、たとえば、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)又は補体結合を介した標的細胞の死滅を誘導し、免疫系によって認識されることができる追加の抗原の放出を潜在的にもたらすことができる抗体、2)腫瘍細胞上の受容体と結合してその刺激を遮断し、その効果を事実上中和する抗体、3)腫瘍又は腫瘍関連細胞によって放出される又はそれに関連する因子と結合して、癌を支持するシグナル伝達又は細胞経路を調節する抗体、及び4)現在は未知である機構によって、細胞内標的と結合して抗腫瘍活性を媒介する抗体が含まれる。
[0402]抗体応答を評価する一方法は、特定の抗原と反応性のある抗体の力価を測定することである。これは、動物から得られた抗体含有物質の酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの、当分野で知られている様々な方法を使用して行い得る。たとえば、特定の抗原と結合する血清抗体の力価は、抗原への曝露の前及び後の両方で、対象において決定し得る。抗原への曝露後の、抗原特異的抗体の力価の統計的に有意な増加は、対象が抗原に対する抗体応答を開始したことを示すであろう。
[0403]それだけに限定されないが、抗原特異的抗体の存在を検出するために使用し得る他のアッセイには、免疫学的アッセイ(たとえばラジオイムノアッセイ(RIA))、免疫沈降アッセイ、及びタンパク質ブロット(たとえばウエスタンブロット)アッセイ、並びに中和アッセイ(たとえば、in vitro又はin vivoアッセイにおけるウイルス感染力の中和)が含まれる。
[0404]本明細書中で使用する用語「細胞性免疫応答」又は「細胞性免疫」(本明細書中で互換性があるように使用される)とは、マクロファージ及びナチュラルキラー細胞の活性化、抗原特異的細胞毒性Tリンパ球の産生、並びに/又は抗原に応答した様々なサイトカインの放出を特徴とする免疫応答をいう。細胞毒性Tリンパ球は、感染した体性又は腫瘍細胞の死滅を誘導することができるTリンパ球の部分群(白血球の一種)であり、これらは、ウイルス(若しくは他の病原体)に感染した細胞、又は他の様式で損傷若しくは機能不全となった細胞を死滅させる。
[0405]ほとんどの細胞毒性T細胞は、クラスI MHC分子と結合した特異的なペプチド抗原を認識することができるT細胞受容体を発現する。典型的には、細胞毒性T細胞はCD8(すなわちCD8+T細胞)も発現し、これはクラスI MHC分子の一部分に誘引される。この親和性により、抗原特異的活性化中に細胞毒性T細胞及び標的細胞が密に一緒に結合されて保たれる。
[0406]細胞性免疫は、たとえば、ウイルス感染細胞、細胞内細菌を有する細胞、及び腫瘍抗原を表示している癌細胞などの、その表面上に外来抗原のエピトープを表示している体細胞を溶解すること、マクロファージ及びナチュラルキラー細胞を活性化して、それらが細胞内病原体を破壊することを可能にすること、並びに、細胞を刺激して、適応免疫応答及び自然免疫応答に関与している他の細胞機能に影響を与える様々なサイトカインを分泌させることができる、抗原特異的細胞毒性Tリンパ球(たとえば抗原特異的CD8+T細胞)を活性化することによって、身体を保護する。
[0407]細胞性免疫は、適応免疫応答、続いて、樹状細胞、Bリンパ球、及びより低い程度でマクロファージなどの抗原提示細胞とのその相互作用を介した、細胞による抗原の認識の重要な構成成分であり、たとえば以下の様々な機構によって身体を保護する:
1.ウイルス感染細胞、細胞内細菌を有する細胞、及び腫瘍抗原を表示している癌細胞などの、その表面上に外来抗原のエピトープを表示する体細胞においてアポトーシスを誘導することができる抗原特異的細胞毒性Tリンパ球を活性化すること、
2.マクロファージ及びナチュラルキラー細胞を活性化して、それらが細胞内病原体を破壊することを可能にすること、並びに
3.適応免疫応答及び自然免疫応答に関与している他の細胞機能に影響を与える様々なサイトカインを分泌する細胞を刺激すること。
[0408]細胞性免疫は、ウイルス感染細胞を除去するために最も有効であるが、真菌、原虫、癌、及び細胞内細菌に対する防御にも関与している。これは移植片拒絶においても主要な役割を果たす。
[0409]細胞性免疫は様々な細胞種の関与を含み、様々な機構によって媒介されるため、ワクチン接種後の免疫の誘導を実証するために、いくつかの方法を使用することができる。これらは、i)特異的抗原提示細胞の検出、ii)特異的エフェクター細胞及びその機能の検出、並びにiii)サイトカインなどの可溶性媒介因子の放出の検出へと広く分類することができる。
[0410]i)抗原提示細胞:樹状細胞及びB細胞(及びより低い程度でマクロファージ)は、T細胞の増強された活性化を可能にする特殊な免疫賦活性受容体を備えており、プロフェッショナル抗原提示細胞(APC)と呼ばれる。これらの免疫賦活性分子(共刺激分子とも呼ばれる)は、感染症又はワクチン接種後、CD4及びCD8細胞毒性T細胞などのエフェクター細胞への抗原提示プロセス中に、これらの細胞上で上方調節される。そのような共刺激分子(CD40、CD80、CD86、MHCクラスI、又はMHCクラスIIなど)は、たとえば、これらの分子に向けられた、蛍光色素とコンジュゲートした抗体を、APCを特異的に同定する抗体(樹状細胞用のCD11cなど)と共に用いたフローサイトメトリーを使用して、検出することができる。
[0411]ii)細胞毒性T細胞:(Tc、キラーT細胞、又は細胞毒性Tリンパ球(CTL)としても知られる)は、ウイルス(及び他の病原体)に感染した細胞、又は腫瘍抗原を発現する細胞の死滅を誘導するT細胞の部分群である。これらのCTLは、特定の外来又は異常分子をその表面上に保有する他の細胞を直接攻撃する。そのような細胞毒性の能力は、in vitro細胞溶解性アッセイ(クロム放出アッセイ)を使用して検出することができる。したがって、適応細胞性免疫の誘導は、そのような細胞毒性T細胞の存在によって実証することができ、ここで、抗原がロードされた標的細胞は、ワクチン接種又は感染症後にin vivoで産生される特異的CTLによって溶解される。
[0412]ナイーブ細胞毒性T細胞は、そのT細胞受容体(TCR)が、ペプチド結合したMHCクラスI分子と強力に相互作用した際に活性化される。この親和性は、抗原/MHC複合体の種類及び配向に依存し、これにより、CTLと感染細胞が一緒に結合して保たれる。活性化された後、CTLはクローン増殖と呼ばれるプロセスを受け、ここでこれは機能性を獲得し、迅速に分裂して、「武装」エフェクター細胞の軍隊が生成される。その後、活性化されたCTLは、そのユニークなMHCクラスI+ペプチドを保有する細胞を探索して身体全体を移動する。このことは、ペプチド−MHCクラスI四量体をフローサイトメトリーアッセイにおいて使用することによって、そのようなCTLをin vitroで同定するために使用することができる。
[0413]これらの感染した又は機能不全の体細胞に曝露された際、エフェクターCTLは、標的細胞の形質膜に孔を形成し、イオン及び水を感染細胞内に流入させ、それが破裂又は溶解することを引き起こす細胞毒素である、パーフォリン及びグラニュリシンを放出する。CTLは、孔を介して細胞に入ってアポトーシス(細胞死)を誘導するセリンプロテアーゼである、グランザイムを放出する。CTLからのこれらの分子の放出は、ワクチン接種後の細胞性免疫応答の誘導の成功の測度として使用することができる。これは、CTLを定量的に測定することができる、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)又は酵素結合免疫スポットアッセイ(ELISPOT)によって行うことができる。CTLはIFN−γなどの重要なサイトカインを産生することもできるため、IFN−γ産生CD8細胞の定量的測定は、ELISPOTによって、及びこれらの細胞中の細胞内IFN−γのフローサイトメトリー測定によって達成することができる。
[0414]CD4+「ヘルパー」T細胞:CD4+リンパ球、又はヘルパーT細胞は、免疫応答媒介因子であり、適応免疫応答の能力を確立及び最大化することにおいて重要な役割を果たす。これらの細胞は細胞毒性又は食作用活性を有さず、感染細胞を死滅させたり病原体を除去したりすることはできないが、他の細胞がこれらの任務を行うように指示することによって、実質的に免疫応答を「管理する」。それぞれ異なる種類の病原体を排除するように設計されている、Th1及びTh2と命名されている2種類のエフェクターCD4+ヘルパーT細胞応答を、プロフェッショナルAPCによって誘導することができる。
[0415]ヘルパーT細胞は、クラスII MHC分子と結合した抗原を認識するT細胞受容体(TCR)を発現する。ナイーブヘルパーT細胞の活性化によりサイトカインの放出が引き起こされ、これは、それを活性化させたAPCを含めた多くの細胞種の活性に影響を与える。ヘルパーT細胞は、細胞毒性T細胞よりもはるかに穏やかな活性化刺激を必要とする。ヘルパーT細胞は、細胞毒性細胞の活性化を「助ける」追加のシグナルを提供することができる。それぞれ異なる種類の病原体を排除するように設計されている、Th1及びTh2と命名されている2種類のエフェクターCD4+ヘルパーT細胞応答を、プロフェッショナルAPCによって誘導することができる。2つのTh細胞集団は、産生されるエフェクタータンパク質(サイトカイン)のパターンが異なる。一般に、Th1細胞は、マクロファージ及び細胞毒性T細胞の活性化によって細胞性免疫応答を支援する一方で、Th2細胞は、形質細胞への変換のためのB細胞の刺激によって、及び抗体の形成によって、液性免疫応答を促進する。たとえば、Th1細胞によって調節された応答は、マウスではIgG2a及びIgG2b(ヒトではIgG1及びIgG3)を誘導し、抗原に対する細胞媒介性免疫応答を優先し得る。抗原に対するIgG応答がTh2型細胞によって調節される場合、これは圧倒的にマウスではIgG1(ヒトではIgG2)の産生を増強し得る。Th1又はTh2応答に関連するサイトカインの測定は、ワクチン接種の成功の測度を与えるであろう。これは、とりわけ、IFN−γ、IL−2、IL−12、TNF−αなどのTh1−サイトカイン、又はIL−4、IL−5、IL10などのTh2−サイトカインのために設計された特異的ELISAによって達成することができる。
[0416]iii)サイトカインの測定:所属リンパ節からの放出は、免疫化の成功の良好な指標を与える。抗原提示並びにAPCの成熟並びにCD4及びCD8T細胞などの免疫エフェクター細胞の結果、いくつかのサイトカインがリンパ節細胞によって放出される。これらのLNCをin vitroで抗原の存在下で培養することで、IFN−γ、IL−2、IL−12、TNF−α、及びGM−CSFなどの特定の重要なサイトカインの放出を測定することによって、抗原特異的免疫応答を検出することができる。これは、培養上清及び組換えサイトカインを標準として使用したELISAによって行うことができる。
[0417]免疫化の成功は、それだけに限定されないが、機能的抗体を検出するための血球凝集阻害(ΗAIJ)及び血清中和阻害アッセイ、ワクチン接種の有効性を決定するためにワクチン接種した対象を関連する病原体で攻撃する攻撃研究、及び、たとえば活性化された又は記憶リンパ球の同定において特異的細胞表面マーカーを発現する細胞集団を決定するための、蛍光活性化細胞分取(FACS)の使用を含めた、当業者に知られているいくつかの方法で決定し得る。また、当業者は、他の既知の方法を使用しても、本発明の組成物を用いた免疫化が抗体及び/又は細胞媒介性免疫応答を誘発したかどうかを決定し得る。たとえばCurrent Protocols in Immunology、Coliganら編(Wiley Interscience、2007)を参照されたい。
[0418]薬学的応用
[0419]本明細書中に開示するリピドA模倣体が含まれる本発明の医薬及び/又はワクチン組成物は、対象を疾患、障害、又は状態に対して保護することができ得る。本明細書中で使用する用語「保護すること」又は「〜の保護」には、疾患、障害、又は状態を「治療すること」又は「予防すること」が包含される。
[0420]本明細書中で使用する「治療すること」若しくは「〜の治療」、又は「予防すること」若しくは「〜の予防」とは、臨床結果を含めた有益又は所望の結果を得るための手法をいう。有益又は所望の結果には、それだけに限定されないが、1つ又は複数の症状又は状態の軽減又は寛解、疾患の程度の減退、疾患の状態の安定化、疾患の発生の予防、疾患の拡大の予防、疾患の進行の遅延又は減速(たとえば抑制)、疾患の発症の遅延又は減速、疾患原因因子に対する保護免疫の付与、及び症状の寛解又は緩和が含まれることができる。また、「治療すること」又は「予防すること」は、治療の非存在下において予測されるものを超えて患者の生存を延長させることも意味することができ、また、対象において感染症を予防することなどによって、疾患の進行を一時的に阻害すること又は疾患の発生を予防することも意味することができる。また、「治療すること」又は「予防すること」は、腫瘍塊の大きさの縮小、腫瘍の侵襲性の低下などにも言及し得る。
[0421]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体は、組成物の「有効性を改善する」ために、医薬組成物又はワクチン組成物中に含み得る。これは、たとえば、液性免疫応答又は細胞性免疫応答の一方又は両方の誘導において、組成物の有効性を改善することを含み得る。一部の実施形態では、これは、免疫応答の外見を加速すること、免疫応答の持続性若しくは強度を改善すること、ワクチン接種部位又は腫瘍部位での免疫細胞の数を増加させること、或いは、疾患、障害、若しくは状態の予防的及び/若しくは治療的処置を増強させること、及び/又は疾患症状の進行を軽減、遅延、若しくは阻害することなどによって、組成物によってもたらされる治療効果を改善することを含み得る。また、組成物の有効性を改善することは、生活の質の改善又は罹患率の減少に関連し得る。
[0422]また、組成物の「有効性を改善すること」とは、所望の結果を生じるために、より低用量の活性成分しか必要でないことも意味する。これには、用量自体が少ない実施形態及び組成物を投与する頻度がより少ない実施形態がどちらも包含される。
[0423]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体が含まれる本発明の組成物は、対象において、抗原に対する抗体及び/又は細胞性免疫応答の誘導又は強化における使用に適切であり得る。たとえば、組成物中への本明細書中に開示するリピドA模倣体の包含は、リピドA模倣体を含有しない組成物(たとえば対照組成物)と比較して、抗原に対する抗体及び/又は細胞に媒介される免疫応答を増強させ得る。
[0424]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体が含まれる本発明の組成物は、それを必要としている対象において、ウイルス感染症の治療及び/又は予防における使用に適切であり得る。対象はウイルスに感染している場合がある、又はウイルス感染症を発生する危険性にあり得る。本発明の組成物の使用又は投与によって治療及び/又は予防し得るウイルス感染症には、それだけに限定されないが、牛痘ウイルス、ワクシニアウイルス、偽牛痘ウイルス、ヒトヘルペスウイルス1、ヒトヘルペスウイルス2、サイトメガロウイルス、ヒトアデノウイルスA〜F、ポリオーマウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、パルボウイルス、A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、オルトレオウイルス、ロタウイルス、エボラウイルス、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザA型ウイルス、インフルエンザB型ウイルス、インフルエンザC型ウイルス、麻疹ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、風疹ウイルス、ニューモウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、狂犬病ウイルス、カリフォルニア脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、ハンタンウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、コロナウイルス、エンテロウイルス、ライノウイルス、ポリオウイルス、ノロウイルス、フラビウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱ウイルス、及び水痘が含まれる。特定の実施形態では、ウイルス感染症は、ヒトパピローマウイルス、エボラウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルス、又はインフルエンザウイルスである。
[0425]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体が含まれる本発明の組成物は、それを必要としている対象において、非ウイルス病原体(細菌又は原虫など)による感染症の治療及び/又は予防における使用に適切であり得る。対象は病原体に感染している場合がある、又は病原体による感染症を発生する危険性にあり得る。それだけに限定されないが、例示的な細菌病原体には、炭疽菌(バチルス・アントラシス)、ブルセラ属、百日咳菌、カンジダ属、肺炎クラミジア、オウム病クラミジア、コレラ、ボツリヌス菌、コクシジオイデス・イミチス、クリプトコッカス属、ジフテリア、大腸菌O157:H7、腸管出血性大腸菌、腸内毒素原性大腸菌、インフルエンザ菌、ピロリ菌、レジオネラ属、レプトスピラ属、リステリア属、髄膜炎菌、肺炎マイコプラズマ、マイコバクテリウム属、百日咳、肺炎、サルモネラ属、シゲラ属、ブドウ球菌属、肺炎連鎖球菌、及びエンテロコリチカ菌が含まれ得る。特定の実施形態では、細菌感染症は炭疽菌である。それだけに限定されないが、例示的な原虫病原体には、マラリアを引き起こすプラスモジウム属のもの(熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、又は二日熱マラリア原虫)が含まれ得る。
[0426]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体が含まれる本発明の組成物は、それを必要としている対象において、神経変性疾患の治療及び/又は予防における使用に適切であり得、ここで、神経変性疾患は抗原の発現に関連している。対象は神経変性疾患を有し得る、又は神経変性疾患を発生する危険性にあり得る。本発明の組成物の使用又は投与によって治療及び/又は予防し得る神経変性疾患には、それだけに限定されないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、及び筋萎縮性側索硬化症(ALS)が含まれる。
[0427]一実施形態では、本発明の組成物は、それを必要としている対象において、アルツハイマー病を治療及び/又は予防するために使用し得る。アルツハイマー病は、患者の脳内のβ−アミロイド溶菌斑及び/又はタウタンパク質とアルツハイマー病との関連性を特徴とする(たとえばGoedert及びSpillantini、Science、314:777〜781、2006を参照)。また、1型単純ヘルペスウイルスも、apoE遺伝子の感受性バージョンを保有する人において原因的な役割を果たすことが提案されている(Itzhaki及びWozniak、J Alzheimers Dis、13:393〜405、2008)。
[0428]一部の実施形態では、本明細書中に開示するリピドA模倣体が含まれる本発明の組成物は、それを必要としている対象において、癌の治療及び/又は予防における使用に適切であり得る。対象は癌を有し得る、又は癌を発生する危険性にあり得る。
[0429]本明細書中で使用する用語「癌」、「癌細胞」、「腫瘍」、及び「腫瘍細胞」(互換性があるように使用される)とは、細胞増殖の制御の有意な損失を特徴とする、異常な成長を示す細胞、又は不死化された細胞をいう。用語「癌」又は「腫瘍」には、転移性及び非転移性の癌又は腫瘍が含まれる。癌は、悪性腫瘍の存在を含めた、当分野において一般的に受け入れられている基準を使用して診断し得る。
[0430]それだけに限定されないが、本発明の組成物の使用又は投与によって治療及び/又は予防することができ得る癌には、癌腫、腺癌、リンパ腫、白血病、肉腫、芽細胞腫、骨髄腫、及び生殖細胞腫瘍が含まれる。それだけに限定されないが、特に適切な実施形態には、膠芽細胞腫、多発性骨髄腫、卵巣癌、乳癌、輸卵管癌、前立腺癌、又は腹膜癌が含まれ得る。一実施形態では、癌はウイルスなどの病原体によって引き起こされ得る。癌の発生に関連づけられているウイルスは当業者に知られており、それだけに限定されないが、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ジョン・カニンガムウイルス(JCV)、ヒトヘルペスウイルス8、エプスタイン・バーウイルス(EBV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス、C型肝炎ウイルス、及びヒトT細胞白血病ウイルス−1が含まれる。別の実施形態では、癌は1つ又は複数の癌特異的抗原(たとえばサバイビン)を発現するものであり得る。
[0431]本発明の組成物は、癌の治療若しくは予防、たとえば癌の重篤度の低下(たとえば、腫瘍の大きさ、侵襲性及び/若しくは侵襲性、悪性腫瘍など)、又は癌の再発の予防のどちらかにおいて有用であり得る。
[0432]リピドA模倣体JL−265又はJL−266を含む本発明のワクチン組成物は、リピドA模倣体が含まれない同様の組成物と比較して、マウスにおいて腫瘍体積を有意に縮小させる能力を有することが見いだされた(実施例10及び11、図4及び5)。本明細書中の実施例10に記載のデータを以下の表1に要約する。
[0433]上記表(表1)より、本発明の組成物(第2及び3群)は、リピドA模倣体を含有しない対照組成物をワクチン接種したマウス(第1群)で観察されたものよりも、それぞれ約2.8及び2.4倍小さい腫瘍体積をマウスにおいてもたらしたことを見ることができる。
[0434]とりわけ、ワクチン組成物をImmunovaccine,Incのリポソームに基づくワクチンアジュバント化プラットフォームデポヴァックス(登録商標)に懸濁させる(両親媒性化合物(リポソーム)、抗原、及びリピドA模倣体の乾燥混合物を鉱物油に基づく疎水性担体に懸濁させる)際に、結果がさらにより明白である。実施例12に記載のデータ(図6)を要約する以下の表2に示すように、本発明のデポヴァックス(登録商標)組成物(第2及び3群)は、リピドA模倣体を含有しない対照デポヴァックス(登録商標)組成物をワクチン接種したマウス(すなわち第1群)で観察されたものよりも、それぞれ約3.1倍(JL−265)及び6.3倍(JL−266)小さい腫瘍体積をマウスにおいてもたらした。
[0435]上述の例のコレクション及び本明細書中のさらなる説明から、リピドA模倣体JL−265又はJL−266を含む本発明のワクチン組成物の実施形態は、移植した腫瘍を有するマウスにおいて腫瘍原性を有意に低下させる(たとえば、成長速度及び全体的な腫瘍体積を縮小させる)能力を有することが明らかである。また、これらの例は、本発明の組成物を作製する方法は複数存在し、デポヴァックス(登録商標)を使用して配合した組成物が腫瘍の大きさのさらにより明白な縮小をもたらすことも示している。
[0436]同様に、本発明の組成物の実施形態は免疫原性であることが見いだされた。実施例14では、MHCクラスIエピトープ(R9F)及びMHCクラスIIエピトープ(F21E)の両方を、JL−265又はJL−266リピドA模倣体と一緒に含有し、デポヴァックス(登録商標)中で配合した本発明のワクチンの免疫原性を試験した。IFN−ガンマELISPOTアッセイは、様々なワクチン製剤の相対的な免疫原性に関する情報を提供することができるが、必ずしも、より関連性のある腫瘍攻撃アッセイにおける有効性の指標ではない。
[0437]実施例14では、JL−265リピドA模倣体を含有する組成物(第2群)はR9Fに対する抗原特異的IFN−ガンマ応答を増強させなかったが、それでもこれは免疫応答を生じることができた。より顕著なことに、JL−266を含有する組成物は免疫応答のほぼ2倍の増加をもたらした(図8)。これらの結果から、リピドA模倣体JL−265又はJL−266を含む本発明のワクチン組成物の実施形態は免疫原性であり、特定の実施形態では、抗原に対する免疫応答を有意に増強させる能力を有することが明らかである。
[0438]医薬品の投与
[0439]一般に、リピドA模倣体、医薬組成物、又はワクチン組成物は、当分野で知られている任意の手段によって投与し得る。
[0440]たとえば、それだけに限定されないが、本明細書中に記載の組成物は、経口、経鼻、直腸、又は非経口の投与に適した形態で配合してもよく、非経口の場合は、局所的又は全身性のどちらかである。非経口投与には、それだけに限定されないが、静脈内、腹腔内、皮内、皮下、筋肉内、鼻腔内、経皮、経上皮、肺内、くも膜下腔内、及び局所又は頬側の投与方法が含まれる。非経口投与は、ボーラス注射によるもの、又は時間をかけた緩やかな灌流であることができる。特定の実施形態では、投与経路は、たとえば本発明のデポヴァックス(登録商標)組成物を使用する場合に、デポー効果を達成するために筋肉内、皮下、又は皮内であり得る。
[0441]当業者は、任意の特定の応用のための適切な治療レジーム、投与経路、用量などを決定することができる。考慮し得る要因には、たとえば、抗原の性質、予防又は治療する病状、対象の年齢、物理的状態、体重、性別、及び食習慣、並びに他の臨床学的因子が含まれる。たとえば、「ワクチンハンドブック」、国立予防衛生研究所学友会編(1994)、「予防接種の手帖、第8版」、木村三生夫、平山宗宏、及び堺春美編、近代出版(2000)、「Minimum Requirements for Biological Products」、the Association of Biologicals Manufacturers of Japan編(1993)を参照されたい。
[0442]リピドA模倣体及び抗原の最適な量は、それだけに限定されないが、組成、疾患、対象を含めたいくつかの要因に依存する場合があり、たとえば、抗体価の観察、抗原特異的IFN−ガンマ応答、腫瘍体積又は他の特徴の測定、及び宿主における他の免疫原性応答を含めた標準の研究を使用して、当業者が容易に確認し得る。
[0443]本明細書中に記載の組成物は、単一施用で投与した場合に潜在的に有効であり得る。
[0444]一部の実施形態では、本明細書中に記載の組成物は、他の治療と組み合わせて、その前又は後に使用し得る。
[0445]本明細書中に記載のリピドA模倣体、医薬組成物、又はワクチン組成物で治療する対象は、任意の脊椎動物、より詳細には哺乳動物であり得る。一実施形態では、対象はヒトである。
[0446]キット及び試薬
[0447]本明細書中に開示するリピドA模倣体又は組成物は、使用者に任意選択でキットとして提供する。たとえば、本発明のキットは、本発明の組成物の1つ又は複数の構成成分を含有する。キットは、1つ又は複数の追加の試薬、梱包材料、キットの構成成分を保持する容器、及びキット構成成分を使用するための好ましい方法を詳述する指示一式又は使用者マニュアルをさらに含むことができる。
[0448]特定の実施形態では、本発明のワクチン組成物は、2つの容器を含有するキットとして供給する。たとえば、容器1は、凍結乾燥した両親媒性化合物(たとえばリポソーム)、抗原、及びリピドA模倣体を含み得る。たとえば、容器2は、疎水性担体(たとえば鉱物油に基づく担体)を単独で含有し得る。
[0449]発明の実施形態
[0450]本発明の特定の実施形態には、それだけに限定されないが、以下のものが含まれる。
[0451](1)以下の式の化合物又は薬学的に許容されるその塩:
A−L1−D−L2−E
[式中、
Aは、ヒドロキシル基の1つ又は複数が任意選択で置換されているか又は置換されていない環状単糖残基であるか、又は、Aは、置換又は非置換の芳香族基であり、
L1及びL2は、独立して存在又は非存在であり、存在する場合は、独立して、O、S、又はNの1つ又は複数を任意選択で含む、置換又は非置換、分岐状又は直鎖状、飽和又は不飽和の炭素鎖であり、
Dは、−O−、−S−、又は−NH−であり、
Eは、ヒドロキシル基の1つ又は複数が任意選択で置換されているか又は置換されていない環状単糖残基であるか、又は、Eは、置換又は非置換の芳香族基であり、
ここで、A又はEの少なくとも1つが、置換又は非置換の芳香族基であり、A、L1、L2、又はEの少なくとも1つが、1つ又は複数の脂質鎖置換基を含む]。
[0452](2)A又はEの少なくとも1つが、合計3〜26個の環原子を有する置換又は非置換の芳香族基である、段落(1)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0453](3)A又はEの少なくとも1つが、
から選択される芳香族基であり、芳香族基は、任意選択で置換又は非置換である、段落(1)若しくは(2)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0454](4)A又はEの少なくとも1つが、1、2、又は3個の置換又は非置換の芳香環を含む炭素環式芳香族基である、段落(1)〜(3)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0455](5)A又はEの少なくとも1つが、置換若しくは非置換の単環の炭素環式芳香族基、又は置換若しくは非置換の単環の芳香族複素環基である、段落(1)〜(3)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0456](6)A又はEの少なくとも1つが、置換又は非置換のベンゼン環である、段落(1)〜(5)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0457](7)A又はEの少なくとも1つが、
であり、式中、
Raは、ベンゼン環上の任意の位置に配置され、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6であり、
Rbは、ベンゼン環上の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−NH2、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意の置換若しくは非置換のC1〜6アルキルである、段落(1)〜(6)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0458](8)A又はEの少なくとも1つが、
であり、式中、
Raは、ベンゼン環上の任意の位置に配置され、−H、−OH、又は−OP(O)(OH)2であり、
Rbは−Hである、段落(1)〜(7)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0459](9)A又はEの少なくとも1つが、
である、段落(1)〜(8)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩
[0460](10)A又はEの少なくとも1つが、
である、段落(1)〜(8)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0461](11)A又はEの少なくとも1つが、
であり、式中、
は、ベンゼン環上の任意の位置に配置され、
Raは、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6であり、
mは0〜6であり、
RLは脂質鎖置換基であり、
Rbは、ベンゼン環上の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意の置換若しくは非置換のC1〜6アルキルである、段落(1)〜(6)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0462](12)A又はEの1つが、ヒドロキシル基の1つ又は複数が任意選択で置換されているか又は置換されていない環状単糖残基である、段落(1)〜(11)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0463](13)環状単糖残基が、ヒドロキシル基の1つ又は複数が任意選択で置換されているか又は置換されていないピラノース糖残基である、段落(12)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0464](14)ピラノース糖残基が、ヒドロキシル基の1つ又は複数が任意選択で置換されているか又は置換されていないグルコピラノース環又はガラクトピラノース環を含む、段落(13)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0465](15)Aが、
であり、式中、
Zは−CH2G又は−CH2MQであり、ここで、Gは、−H、−ハロゲン、−OH、−NH2、−COOH、−OSO3H、−SO3H、−P(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)2であり、Mは、−O−、−S−、−NH−、−OC(=O)−、−SC(=O)−、−OC(=S)−、又は−NHC(=O)−であり、Qは、−Hであるか、又は置換若しくは非置換、分岐状若しくは直鎖状、飽和若しくは不飽和のC1〜20脂肪族炭化水素であり、
X1は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6であり、
Y1及びY2は、独立して、−H、−OH、−O−RL、−NH−RL、又は−S−RLであり、ここで、RLは脂質鎖置換基である、段落(1)〜(14)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0466](16)Zが−CH2OHである、段落(15)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0467](17)A上の置換基の立体化学が以下の式:
によって定義される、段落(16)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0468](18)X1が−OP(O)(OH)2である、段落(15)〜(17)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0469](19)Y1が−NH−RLである、段落(15)〜(18)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0470](20)Y2が−O−RLである、段落(15)〜(19)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0471](21)L1が非存在である、段落(15)〜(20)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0472](22)L2がIであり、以下:
[式中、mは0〜6であり、RLは脂質鎖置換基である]
のように式A−L1−D−L2−E内に組み込まれている、段落(15)〜(21)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0473](23)L2が非存在である、段落(15)〜(21)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0474](24)Eが、
であり、式中、
X2は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−P(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−OSO3H、−CH(COOH)2、−(O)k(CH2)nCOOH、−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2、又は−OP(O)(OH)(OCH2CH2NH2)であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜6であり、qは1〜6であり、
Y3、Y4、及びY5は、独立して、−H、−OH、−O−RL、−NH−RL、又は−S−RLであり、ここで、RLは脂質鎖置換基である、段落(1)〜(14)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0475](25)E上の置換基の立体化学が以下の式:
によって定義される、段落(24)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0476](26)X2が−OP(O)(OH)2である、段落(24)若しくは(25)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0477](27)Y3が−NH−RLである、段落(24)〜(26)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0478](28)Y4が−O−RLである、段落(24)〜(27)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0479](29)Y5が−OHである、段落(24)〜(28)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0480](30)L2が非存在である、段落(24)〜(29)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0481](31)L1がIIであり、以下:
[式中、mは0〜6であり、Yは−(CO)f−であり、ここで、fは0又は1であり、ここで、RLは脂質鎖置換基である]
のように式A−L1−D−L2−E内に組み込まれている、段落(24)〜(30)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0482](32)L1が非存在である、段落(24)〜(30)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0483](33)Dが−O−である、段落(1)〜(32)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0484](34)1、2、3、4、又は5個の脂質鎖置換基を含む、段落(1)〜(33)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0485](35)A又はL1の少なくとも1つが1つ又は複数の脂質鎖置換基を含む、段落(1)〜(34)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0486](36)E又はL2の少なくとも1つが1つ又は複数の脂質鎖置換基を含む、段落(1)〜(35)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0487](37)以下のものである、段落(1)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
mは0〜6であり、
R1は、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基であり、
R6は、−H、−P(O)(OH)2、又は−CH2COOHである]。
[0488](38)以下のものである、段落(1)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
R1は、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、以下のものであり:
R7は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
mは0〜6であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基であり、
R6は、−H、−P(O)(OH)2、又は−CH2COOHである]。
[0489](39)以下のものである、段落(1)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
mは0〜6であり、
Yは、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、−(O)g(CH2)h(CO)j−であり、ここで、gは0又は1であり、hは0〜6であり、jは0又は1であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
R1は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基であり、
R6は、−H、−P(O)(OH)2、又は−CH2COOHである]。
[0490](40)以下のものである、段落(1)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩:
[式中、
グリコシド結合はα又はβであり、
XはO又はNHであり、
mは0〜6であり、
R6は、ベンゼン環上のN置換基に対してオルト、メタ、又はパラ位に配置されており、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−(O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R2は、ベンゼン環の任意の残りの位置に配置され、−H、−OH、−Cl、−Br、−F、−COOH、−CN、−SO3H、−OCH3、−NO2、又は任意選択で置換若しくは非置換のC1〜6アルキルであり、
Yは−(CO)f−であり、ここで、fは0又は1であり、
R1は、−H、−OH、−OP(O)(OH)2、−COOH、−SO3H、−(O)k(CH2)nCOOH、又は−O)k(CH2)qOP(O)(OH)2であり、ここで、kは0又は1であり、nは0〜4であり、qは2〜6であり、
R3、R4、及びR5は、それぞれ独立して脂質鎖置換基である]。
[0491](41)それぞれの脂質鎖置換基が、独立して、化合物中に存在する任意の他の脂質鎖置換基と同じ又は異なる強親油性基を含む、段落(1)〜(40)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0492](42)それぞれの脂質鎖置換基が、独立して、1、2、又は3本の主要炭素鎖を含む、段落(1)〜(41)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0493](43)化合物中に存在する脂質鎖置換基が、合わせて2、3、4、5、6、7、8、9、又は10本の主要炭素鎖を提供する、段落(1)〜(42)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0494](44)それぞれの主要炭素鎖が1〜22個の炭素である、段落(42)若しくは(43)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0495](45)それぞれの主要炭素鎖が4〜18個の炭素である、段落(44)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0496](46)それぞれの主要炭素鎖が14個の炭素である、段落(45)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0497](47)それぞれの脂質鎖置換基が、独立して、−O−、−S−、−NH−、−C=C−、−C≡C−、−C(=O)−、又は−C(=S)−から選択される少なくとも1つの要素を任意選択で含み、ハロゲン、−OH、又は−NH2で任意選択で置換されている、C1〜66直鎖又は分岐鎖アルキルである、段落(1)〜(46)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0498](48)それぞれの脂質鎖置換基が、独立して、−O−、−S−、−NH−、−C=C−、−C≡C−、−C(=O)−、又は−C(=S)−から選択される少なくとも1つの要素を任意選択で含み、ハロゲン、−OH、又は−NH2で任意選択で置換されている、C4〜42直鎖又は分岐鎖アルキルである、段落(47)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0499](49)それぞれの脂質鎖置換基が、独立して、−O−、−S−、−NH−、−C=C−、−C≡C−、−C(=O)−、又は−C(=S)−から選択される少なくとも1つの要素を任意選択で含み、ハロゲン、−OH、又は−NH2で任意選択で置換されている、C14〜28直鎖又は分岐鎖アルキルである、段落(48)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0500](50)それぞれの脂質鎖置換基が独立して、
であり、式中、
Z1、Z2、及びZ3は、独立して、−C(=O)−又は−CH2−であり、
X3は−H又は−(CH2)p3CH3であり、
X4は、−NH−、−O−、又は−CH2−であり、
p、p1、p2、及びp3は、独立して0〜30であり、
r、s、及びtは、独立して0〜6である、段落(1)〜(49)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0501](51)それぞれの脂質鎖置換基が独立して、
である、段落(1)〜(50)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0502](52)以下のものである、段落(1)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0503](53)以下のものである、段落(1)に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0504](54)リピドA又はリポ多糖(LPS)拮抗活性を有する、段落(1)〜(53)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0505](55)免疫賦活活性を有する、段落(1)〜(53)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0506](56)トール様受容体4(TLR4)と結合することができる、段落(1)〜(55)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
[0507](57)段落(1)〜(53)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩と、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む医薬組成物。
[0508](58)リポ多糖(LPS)/リピドA媒介性の疾患又は障害の治療又は予防において使用するための、段落(57)に記載の医薬組成物。
[0509](59)対象に段落(57)に記載の組成物を投与することを含む、対象においてリポ多糖(LPS)/リピドA媒介性の疾患又は障害を治療又は予防する方法。
[0510](60)段落(1)〜(53)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩と抗原とを含む、ワクチン組成物。
[0511](61)リポソームをさらに含む、段落(60)に記載のワクチン組成物。
[0512](62)疎水性物質の連続相を含む担体をさらに含む、段落(60)又は(61)に記載のワクチン組成物。
[0513](63)疎水性物質の連続相を含む担体が鉱物油に基づく担体である、段落(62)に記載のワクチン組成物。
[0514](64)ヘルパーTエピトープをさらに含む、段落(60)〜(63)のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
[0515](65)抗原が癌、感染性疾患、又は嗜癖疾患に関連するものである、段落(60)〜(64)のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
[0516](66)抗原が、たとえば、エボラウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV)、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、百日咳菌、バチルス・アントラシス、又は四日熱マラリア原虫などの、ウイルス、細菌、又は原虫に由来する、段落(65)に記載のワクチン組成物。
[0517](67)抗原が、たとえばサバイビン抗原などの膜表面結合癌抗原である、段落(65)に記載のワクチン組成物。
[0518](68)抗原が、たとえばコカインなどの毒素である、段落(65)に記載のワクチン組成物。
[0519](69)抗原が、少なくとも1つのB細胞エピトープ、少なくとも1つのCTLエピトープ、又はその組合せを含む、段落(60)〜(68)のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
[0520](70)対象における抗原に対する抗体応答及び/又は細胞性免疫応答の誘導において使用するための、段落(60)〜(69)のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
[0521](71)癌、感染性疾患、又は嗜癖疾患の治療又は予防において使用するための、段落(60)〜(69)のいずれか一項に記載のワクチン組成物。
[0522](72)対象に段落(60)〜(69)のいずれか一項に記載のワクチン組成物を投与することを含む、対象において抗原に対する抗体及び/又は細胞性免疫応答を誘導又は強化する方法。
[0523](73)抗体及び/又は細胞に媒介される免疫応答が、段落(1)〜(53)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩によって増強される、段落(72)に記載の方法。
[0524](74)対象に段落(60)〜(69)のいずれか一項に記載のワクチン組成物を投与することを含む、癌、感染性疾患、又は嗜癖疾患を治療又は予防する方法。
[0525](75)段落(1)〜(53)のいずれか一項に記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩が、上記化合物又は薬学的に許容されるその塩を含まない対照ワクチン組成物と比較して、癌、感染性疾患、又は嗜癖疾患の治療又は予防におけるワクチン組成物の有効性を改善する、段落(74)に記載の方法。
[0526](76)対象におけるリポ多糖(LPS)/リピドA媒介性の疾患又は障害の治療又は予防における、段落(57)に記載の医薬組成物の使用。
[0527](77)抗原に対する抗体及び/若しくは細胞性免疫応答を誘導若しくは強化するため、又は癌、感染性疾患、若しくは嗜癖疾患を治療若しくは予防するための、段落(60)〜(69)のいずれか一項に記載のワクチン組成物の使用。
[0528]本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに例示される。
[0529]実施例1:N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノフェノール(4)の調製
[0530]90℃まで加熱した水(7mL)中の3−アミノフェノール(5.00g、45.82mmol)及び炭酸水素ナトリウム(8.85g、105.39mmol)の溶液に、2−クロロエタノール(3.4mL、50.40mmol)を5分間かけて滴下し、混合物を終夜攪拌した。固形物を、セライトパッドを通して濾過して除去し、濾液を真空下で濃縮した。生じた残基をCH2Cl2:MeOH溶液(9:1、10mL)で3回洗浄し、合わせた洗浄液を濃縮した。反復フラッシュクロマトグラフィーによる精製(CH2Cl2/MeOH、95:5→90:10)により、4(4.10g、58%)が茶色固形物として得られた。Rf 0.31(CH2Cl2/MeOH,95:5);[α]D 22 −0.7(c 1.0,CHCl3);1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 3.15(t,2H,J 5.5Hz,NCH2)、3.68(t,2H,J 5.5Hz,OCH2)、4.58〜4.96(br s,3H,NH,OHx2)、6.15〜6.19(m,3H,Ar−H)、6.93(dd,1H,J 8.5,8.5Hz,Ar−H);13C NMR(125MHz,CDCl3):δ 45.88(NCH2)、60.30(OCH2)、100.04(CH−Ar)、104.58(CH−Ar)、105.42(CH−Ar)、129.81(CH−Ar)、149.96(C−Ar)、157.69(C−Ar);HRESI−MS(m/z) C8H11NO2[M+H]+の計算値:154.0868、実測値:154.0858。
[0531]実施例2:N−(2−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル)−3−アミノフェノール(5)の調製
[0532]DMF(5.0mL)中の4(864mg、5.62mmol)及びイミダゾール(573mg、8.43mmol)の冷却溶液(氷水浴)に、塩化tert−ブチルジフェニルシリル(1.60mL、6.18mmol)を2分間かけて滴下した。温度を2時間かけてゆっくりと室温まで上昇させ、混合物を終夜攪拌した。混合物を濃縮し、EtOAc(60mL)に溶かし、水(40mL)で洗浄した。水性層をEtOAc(2×60mL)でさらに抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー精製(ヘキサン/EtOAc、3:1)により、5(1.86g、84%)が茶色固形物として得られた。Rf 0.38(ヘキサン/EtOAc,3:1);[α]D 22 +3.4(c 1.0,CHCl3);1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 1.06(s,9H,C(CH3)3)、3.22(t,2H,J 5.5Hz,NCH2)、3.85(t,2H,J 5.5Hz,OCH2)、4.02〜4.18(br s,1H,NH)、4.60〜4.74(br s,2H,OHx2)、6.01(s,1H,Ar−H)、6.15〜6.18(m,2H,Ar−H)、6.99(dd,1H,J 8.0,8.0Hz,Ar−H)、7.37〜7.44(m,6H,Ar−H)、7.65〜7.67(m,4H,Ar−H);13C NMR(125MHz,CDCl3):δ 19.27(C(CH3)3)、26.92(C(CH3)3)、45.90(NCH2)、62.28(OCH2)、100.22(CH−Ar)、104.85(CH−Ar)、106.48(CH−Ar)、127.85(CH−Ar)、129.86(CH−Ar)、130.27(CH−Ar)、133.39(C−Ar)、135.64(CH−Ar)、149.76(C−Ar)、156.81(C−Ar);HRESI−MS(m/z) C24H29NO2Si[M+H]+の計算値:392.2047、実測値:392.2033。
[0533]実施例3:N−(3−ヒドロキシフェニル)−N−(2−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)エチル)−(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンアミド(6)の調製
[0534]−20℃まで冷却したCH2Cl2(4mL)中の二脂質酸8(926mg、2.04mmol)の溶液に、N−メチルモルホリン(336μL、3.06mmol)及びクロロギ酸イソブチル(278μL、2.14mmol)を逐次に加えた。その後、CH2Cl2(4mL)中の5(1.6g、4.08mmol)の溶液を3分間かけて滴下した。混合物を低温で2時間攪拌した後、室温まで温まらせた。MeOH(2mL)及び水(2mL)を加え、混合物を濃縮した。残渣をCH2Cl2(125mL)に溶かし、水(35mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製(ヘキサン/アセトン、7:1)により、6(1.35g、80%)が無色のシロップとして得られた。Rf 0.35(ヘキサン/アセトン;6:1);[α]D 22 +15.9(c 1.0,CHCl3);1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 0.88(t,6H,J 6.5Hz,CH3x2)、1.01(s,9H,C(CH3)3)、1.14〜1.36(br m,38H,CH2x19)、1.50〜1.62(br m,4H,H−4L,H−3L’)、2.20(t,2H,J 7.5Hz,H−2L’)、2.29(dd,1H,J 15.5,6.0Hz,H−2LB)、2.40(dd,1H,J 15.5,7.0Hz,H−2LA)、3.76〜3.85(m,4H,NCH2,OCH2)、5.16〜5.22(m,1H,H−3L)、6.38〜6.48(br s,1H,OH)、6.64(s,1H,Ar−H)、6.71(d,1H,J 8.0Hz,Ar−H)、6.83(d,1H,J 8.0Hz,Ar−H)、7.19(dd,1H,J 8.0,8.0Hz,Ar−H)、7.32〜7.41(m,6H,Ar−H)、7.58〜7.61(m,4H,Ar−H);13C NMR(125MHz,CDCl3):δ 14.16(CH3)、19.19(C(CH3)3)、22.72(CH2)、25.02(CH2)、25.26(CH2)、26.83(C(CH3)3)、29.17(CH2)、29.39(CH2)、29.40(CH2)、29.55(CH2)、29.57(CH2)、29.60(CH2)、29.67(CH2)、29.68(CH2)、29.69(CH2)、29.71(CH2)、29.73(CH2)、31.95(CH2)、34.26(CH2)、34.58(CH2)、39.08(C−2L)、51.37(NCH2)、61.07(OCH2)、71.36(C−3L)、115.29(CH−Ar)、115.49(CH−Ar)、120.11(CH−Ar)、127.70(CH−Ar)、129.68(CH−Ar)、130.41(CH−Ar)、133.51(C−Ar)、135.55(CH−Ar)、143.56(C−Ar)、157.17(C−Ar)、170.05(C=O)、173.55(C=O);HRESI−MS(m/z) C52H81NO5Si[M+H]+の計算値:828.5963、実測値:828.5926。
[0535]実施例4:N−(3−ヒドロキシフェニル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンアミド(7)の調製
[0536]CH2Cl2(10mL)中の6(993mg、1.20mmol)の溶液に、HOAc(0.85mL、14.49mmol)及びBu4NF(THF中に1M、7.24mL)を逐次に加えた。混合物を室温で終夜攪拌し、その後濃縮した。残渣をCH2Cl2(150mL)に溶かし、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(40mL)で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製(ヘキサン/EtOAc/MeOH、2:1:0.1)により、7(571mg、81%)が無色のシロップとして得られた。Rf 0.31(ヘキサン/EtOAc/MeOH,2:1:0.1);[α]D 22 +4.5(c 1.0,CHCl3);1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 0.88(t,6H,J 6.5Hz,CH3x2)、1.10〜1.32(br m,38H,CH2x19)、1.44〜1.57(br m,4H,H−4L,H−3L’)、2.27(t,2H,J 7.5Hz,H−2L’)、2.34〜2.45(m,2H,H−2L)、3.68〜3.93(m,6H,NCH2,OCH2,OHx2)、5.15〜5.24(m,1H,H−3L)、6.75(d,1H,J 8.0Hz,Ar−H)、6.85(s,1H,Ar−H)、6.89(d,J 8.0Hz,Ar−H)、7.27(dd,1H,J 8.0Hz,8.0Hz,Ar−H);13C NMR(125MHz,CDCl3):δ 14.16(CH3)、22.72(CH2)、24.99(CH2)、25.20(CH2)、29.17(CH2)、29.33(CH2)、29.40(CH2)、29.53(CH2)、29.55(CH2)、29.59(CH2)、29.68(CH2)、29.71(CH2)、29.74(CH2)、31.95(CH2)、34.41(CH2)、34.59(CH2)、39.36(C−2L)、52.33(NCH2)、60.54(OCH2)、71.45(C−3L)、115.48(CH−Ar)、115.97(CH−Ar)、119.01(CH−Ar)、130.86(CH−Ar)、143.00(C−Ar)、158.02(C−Ar)、172.18(C=O)、174.22(C=O);HRESI−MS(m/z) C36H63NO5[M+H]+の計算値:590.4785、実測値:590.4752。
[0537]実施例5:N−(3−ヒドロキシフェニル)−N−{2−[6−O−ベンジル−2−デオキシ−4−O−(ジ−O−ベンジルホスホノ)−3−O−((R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル)−2−(2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルアミノ)−β−D−グルコピラノシルオキシ]−エチル}−(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンアミド(10)の調製
[0538]CH2Cl2(8mL)中の7(565mg、0.96mmol)及びイミデート9(1.23g、0.96mmol)の溶液を、モレキュラーシーブ(4Å、4.0g)の存在下で、窒素下、室温で30分間攪拌した。TMSOTfの溶液(CH2Cl2中に0.02M、0.95mL)を約3分間で滴下した。混合物を室温で1時間攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(15mL)を加えて反応を停止させた。固形物を濾取し、濾液をCH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製(ヘキサン/EtOAC/MeOH、3:1:0.1)により、10(1.46g、89%)が無色のシロップとして得られた。Rf 0.36(ヘキサン/EtOAC/MeOH,3:1:0.1);[α]D 22 −10.6(c 1.0,CHCl3);1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 0.88(t,12H,J 6.5Hz,CH3x4)、1.15〜1.38(br m,76H,CH2x38)、1.42〜1.58(br m,8H,H−4L,H−3L’)、2.19〜2.52(m,8H,H−2L,H−2L’)、3.54〜3.62(m,4H,H−5,H−6B,NCH2)、3.66〜3.71(m,1H,H−2)、3.76〜3.81(m,1H,H−6A)、3.93〜4.06(m,2H,OCH2)、4.42〜4.53(m,3H,H−4,Ph−CH2)、4.59(d,1H,J 8.5Hz,H−1)、4.63(d,1H,J 12.0Hz,Troc−HB)、4.71(d,1H,J 12.0Hz,Troc−HA)、4.87〜4.94(m,4H,(PhCH2O)2P)、5.11〜5.22(m,2H,H−3L)、5.27(dd,1H,J 10.0,10.0Hz,H−3)、5.82(d,1H,J 8.0Hz,NH)、6.00(br s,1H,OH)、6.65(d,1H,J 7.5Hz,Ar−H)、6.83(d,1H,J 8.0Hz,Ar−H)、6.95(s,1H,Ar−H)、7.17〜7.35(m,16H,Ar−H);13C NMR(125MHz,CDCl3):δ 14.16(CH3)、22.72(CH2)、25.01(CH2)、25.05(CH2)、25.12(CH2)、25.19(CH2)、29.19(CH2)、29.36(CH2)、29.40(CH2)、29.57(CH2)、29.60(CH2)、29.62(CH2)、29.69(CH2)、29.71(CH2)、29.73(CH2)、31.95(CH2)、34.18(CH2)、34.35(CH2)、34.45(CH2)、34.61(CH2)、39.01(C−2L)、39.20(C−2L)、49.61(NCH2)、56.38(C−2)、66.58(OCH2)、68.28(C−6)、69.70〜69.86(m,(PhCH2O)2P)、69.90(C−3L)、71.33(C−3L)、72.80(C−3)、73.45(Ph−CH2)、73.88(d,J 5.5Hz,C−4)、73.93(C−5)、74.71(Troc−CH2)、95.22(Troc−CCl3)、100.01(C−1)、115.42(CH−Ar)、115.87(CH−Ar)、119.22(CH−Ar)、127.73(CH−Ar)、128.04(CH−Ar)、128.14(CH−Ar)、128.39(CH−Ar)、128.62(CH−Ar)、128.70(CH−Ar)、135.41(C−Ar)、135.44(C−Ar)、137.74(C−Ar)、143.52(C−Ar)、155.09(C=O,Troc)、157.67(C−Ar)、170.32(C=O)、170.38(C=O)、173.59(C=O);MALDI−MS(m/z) C94H146Cl3N2O17P[M+Na]+の計算値:1733.9325、実測値:1733.9720。
[0539]実施例6:N−(3−ヒドロキシフェニル)−N−{2−[6−O−ベンジル−2−デオキシ−4−O−(ジ−O−ベンジルホスホノ)−3−O−((R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル)−2−((R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンアミド)−β−D−グルコピラノシルオキシ]−エチル}−(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンアミド(11)の調製
[0540]氷酢酸(20mL)及びEtOAc(5mL)中の10(550mg、0.32mmol)の溶液に、亜鉛末(3.0g)を加え、混合物を室温で45分間攪拌した。その後、混合物を濾過し、固形物を酢酸/EtOAc溶液(9:1、40mL)で洗浄し、濾液を濃縮した。残渣をCH2Cl2(100mL)に溶かし、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(40mL)で洗浄し、水性層をCH2Cl2(2×40mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濃縮することにより、粗アミン(455mg)が無色のシロップとして得られた。
[0541]CH2Cl2(2mL)中の二脂質酸8(182mg、0.40mmol)の溶液に、DIC(125μL、0.80mmol)を加え、混合物を室温で10分間攪拌した。この混合物に、CH2Cl2中の粗アミン(450mg)の溶液を加え、生じた混合物を室温で終夜攪拌した。水(0.5mL)を加え、その後、混合物をNa2SO4で乾燥させた。固形物を濾過して除去し、濾液を濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して(ヘキサン/EtOAC/MeOH、3:1:0.1)、11(430mg、68%)が無色のシロップとして得られた。Rf 0.37(ヘキサン/EtOAC/MeOH,2:1:0.1);[α]D 22 −3.9(c 1.0,CHCl3);1H NMR(500MHz,CDCl3):):δ 0.88(t,18H,J 6.5Hz,CH3x6)、1.17〜1.40(br m,114H,CH2x57)、1.40〜1.63(br m,12H,H−4L,H−3L’)、2.18〜2.52(m,12H,H−2L,H−2L’)、3.55〜3.63(m,4H,H−5,H−6B,NCH2)、3.76〜3.80(m,3H,H−6A,OCH2)、4.20〜4.27(m,1H,H−2)、4.40(d,1H,J 8.0Hz,H−1)、4.43〜4.52(m,3H,H−4,Ph−CH2)、4.87〜4.96(m,5H,(PhCH2O)2P,H−3L)、5.09〜5.14(m,2H,H−3,H−3L)、5.22〜5.28(m,1H,H−3L)、6.50(d,1H,J 9.5Hz,NH)、6.61(d,1H,J 8.0Hz,Ar−H)、6.82(d,1H,J 8.0Hz,Ar−H)、7.01(s,1H,Ar−H)、7.16(dd,1H,J 8.0,8.0Hz,Ar−H)、7.23〜7.32(m,15H,Ar−H)、8.66(br s,1H,OH);13C NMR(125MHz,CDCl3):δ 14.15(CH3)、22.72(CH2)、24.96(CH2)、25.00(CH2)、25.09(CH2)、25.12(CH2)、25.24(CH2)、29.21(CH2)、29.25(CH2)、29.40(CH2)、29.47(CH2)、29.49(CH2)、29.57(CH2)、29.61(CH2)、29.65(CH2)、29.69(CH2)、29.71(CH2)、29.73(CH2)、29.75(CH2)、31.96(CH2)、34.13(CH2)、34.25(CH2)、34.40(CH2)、34.41(CH2)、34.50(CH2)、34.61(CH2)、38.87(C−2L)、38.97(C−2L)、41.84(C−2L)、50.69(NCH2)、53.78(C−2)、67.00(OCH2)、68.29(C−6)、69.68〜69.73(m,(PhCH2O)2P)、69.79(C−3L)、70.88(C−3L)、71.45(C−3L)、72.85(C−3)、73.53(Ph−CH2)、73.84(d,J 5.5Hz,C−4)、74.31(C−5)、100.88(C−1)、115.25(CH−Ar)、115.57(CH−Ar)、118.48(CH−Ar)、127.66(CH−Ar)、127.69(CH−Ar)、128.04(CH−Ar)、128.13(CH−Ar)、128.41(CH−Ar)、128.60(CH−Ar)、128.61(CH−Ar)、128.67(CH−Ar)、135.48(C−Ar)、135.53(C−Ar)、137.86(C−Ar)、144.12(C−Ar)、158.41(C−Ar)、170.04(C=O)、170.98(C=O)、171.92(C=O)、173.16(C=O)、173.43(C=O)、173.73(C=O);MALDI−MS(m/z) C119H197N2O18P[M+Na]+の計算値:1996.4199、実測値:1996.4117。
[0542]実施例7:N−(3−(ジ−O−ベンジルホスホノ)−フェニル)−N−{2−[6−O−ベンジル−2−デオキシ−4−O−(ジ−O−ベンジルホスホノ)−3−O−((R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル)−2−((R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンアミド)−β−D−グルコピラノシルオキシ]−エチル}−(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンアミド(12)の調製
[0543]CH2Cl2(3mL)中の11(122mg、0.062mmol)の溶液に、5−フェニルテトラゾール(27mg、0.18mmol)及びN,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト(42μL、0.124mmol)を加えた。混合物を室温で1時間攪拌し、その後、0℃まで冷却した後にm−クロロ過安息香酸(46mg、77%、0.186mmol)を加えた。混合物を低温で1時間攪拌した後、室温まで温まらせた。
[0544]NaHSO3水溶液(10%、15mL)を加え、混合物を室温で20分間攪拌した。その後、混合物をCH2Cl2(3×15mL)で抽出し、合わせた有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(15mL)で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製(ヘキサン/アセトン、4:1)により、12(129mg、93%)が無色のシロップとして得られた。Rf 0.28(ヘキサン/アセトン,4:1);[α]D 22 −2.6(c 1.0,CHCl3);1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 0.88(t,18H,J 6.5Hz,CH3x6)、1.15〜1.37(br m,114H,CH2x57)、1.41〜1.64(br m,12H,H−4L,H−3L’)、2.14〜2.48(m,12H,H−2L,H−2L’)、3.47〜3.53(m,1H,H−2)、3.56〜3.69(m,4H,H−5,H−6B,NCH2)、3.75〜3.77(m,1H,H−6A)、3.82〜3.91(m,2H,OCH2)、4.39〜4.49(m,3H,H−4,Ph−CH2)、4.85〜4.92(m,5H,H−1,(PhCH2O)2P)、5.11〜5.19(m,7H,(PhCH2O)2P,H−3Lx3)、5.49(dd,1H,J 10.0,10.0Hz,H−3)、6.70(d,1H,J 7.5Hz,NH)、7.02〜7.10(m,3H,Ar−H)、7.19〜7.34(m,26H,Ar−H);13C NMR(125MHz,CDCl3):δ 14.16(CH3)、22.72(CH2)、25.03(CH2)、25.05(CH2)、25.14(CH2)、25.28(CH2)、25.32(CH2)、29.23(CH2)、29.31(CH2)、29.40(CH2)、29.43(CH2)、29.48(CH2)、29.60(CH2)、29.62(CH2)、29.64(CH2)、29.72(CH2)、29.74(CH2)、29.76(CH2)、31.96(CH2)、31.98(CH2)、34.26(CH2)、34.34(CH2)、34.44(CH2)、34.54(CH2)、38.99(C−2L)、39.18(C−2L)、40.98(C−2L)、49.12(NCH2)、55.43(C−2)、66.10(OCH2)、68.55(C−6)、69.45〜69.64(m,(PhCH2O)2P)、69.90(C−3L)、70.20〜70.32(m,(PhCH2O)2P)、70.49(C−3L)、70.98(C−3L)、72.71(C−3)、73.30(Ph−CH2)、73.97(d,J 5.5Hz,H−4)、74.30(C−5)、99.35(C−1)、119.74(CH−Ar)、120.50(CH−Ar)、125.53(CH−Ar)、127.50(CH−Ar)、127.55(CH−Ar)、127.97(CH−Ar)、128.08(CH−Ar)、128.12(CH−Ar)、128.30(CH−Ar)、128.54(CH−Ar)、128.70(CH−Ar)、128.73(CH−Ar)、128.87(CH−Ar)、130.60(CH−Ar)、135.16(C−Ar)、135.21(C−Ar)、135.60(C−Ar)、135.65(C−Ar)、138.14(C−Ar)、143.82(C−Ar)、151.02(d,J 5.5Hz,C−Ar)、169.65(C=O)、170.06(C=O)、170.17(C=O)、173.15(C=O)、173.19(C=O)、173.35(C=O);MALDI−MS(m/z) C133H210N2O21P2[M+Na]+の計算値:2256.4801、実測値:2256.5198。
[0545]実施例8:N−(3−ヒドロキシフェニル)−N−{2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−((R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル)−2−((R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンアミド)−β−D−グルコピラノシルオキシ]−エチル}−(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンアミド(2)の調製
[0546]新鮮に蒸留したTHF(70mL)中の11(146mg、0.074mmol)の溶液に、木炭担持パラジウム(5%、45mg)を加え、混合物を室温、水素雰囲気で24時間攪拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して(CHCl3/MeOH、9:1→CHCl3/MeOH/H2O、4:1:0.1)、ジオキサン−CHCl3混合物(95:5)から凍結乾燥した後に、JL−265(2)(111mg、88%)が白色の綿毛状固形物として得られた。Rf 0.57(CHCl3/MeOH/H2O,4:1:0.1);[α]D 22 −0.6(c 0.5,CHCl3);1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 0.89(t,18H,J 6.5Hz,CH3x6)、1.12〜1.39(br m,114H,CH2x57)、1.43〜1.66(br m,12H,H−4L,H−3L’)、2.20〜2.47(m,10H,H−2Lx4,H−2L’)、2.55〜2.72(m,2H,H−2Lx2)、3.61〜3.74(m,4 H,H−5,H−6B,NCH2)、3.83〜3.94(m,3H,H−2,OCH2)、4.01〜4.03(m,1H,H−6A)、4.20〜4.25(m,1H,H−4)、4.48(d,1H,J 8.0Hz,H−1)、5.10〜5.26(m,4H,H−3,H−3L)、6.65(d.1H,J 8.0Hz,Ar−H)、6.81〜6.87(m,2H,Ar−H)、7.25(dd,1H,J 8.0,8.0Hz,Ar−H);MALDI−MS(m/z) C98H179N2O18P[M+Na]+の計算値:1726.2790、実測値:1726.2794。
[0547]実施例9:N−(3−ホスホノキシフェニル)−N−{2−デオキシ−4−O−ホスホノ−3−O−((R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカノイル)−2−((R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンアミド)−β−D−グルコピラノシルオキシ]−エチル}−(R)−3−テトラデカノイルオキシテトラデカンアミド(3)の調製
[0548]11の包括的な脱保護について記載したものと同様の様式で、新鮮に蒸留したTHF(75mL)中の12(203mg、0.091mmol)及び木炭担持パラジウム(5%、45mg)の溶液を、水素雰囲気下、室温で24時間攪拌した。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、生じた残基をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して(CHCl3/MeOH、9:1→CHCl3/MeOH/H2O、2:1:0.2)、ジオキサン−CHCl3混合物(95:5)から凍結乾燥した後に、JL−266(3)(145mg、89%)が白色の綿毛状固形物として得られた。Rf 0.51(CHCl3/MeOH/H2O/NH4OH,2:1:0.2:0.1);[α]D 22 −0.4(c 0.5,CHCl3);1H NMR(500MHz,CDCl3):δ 0.89(t,18H,J 6.5Hz,CH3x6)、1.18〜1.39(br m,114H,CH2x57)、1.49〜1.68(br m,12H,H−4L,H−3L’)、2.20〜2.47(m,10H,H−2Lx4,H−2L’)、2.55〜2.72(m,2H,H−2Lx2)、3.51〜3.80(br m,H−2,H−5,H−6B,NCH2)、3.85〜3.99(br m,3H,H−6A,OCH2)、4.21〜4.28(br m,1H,H−4)、4.56(d,1H,J 8.0Hz,H−1)、5.11〜5.27(m,4H,H−3,H−3L)、6.88(d,1H,J 8.0Hz,Ar−H)、7.20〜7.28(br m,2H,Ar−H)、7.35(dd,1H,J 8.0,8.0Hz,Ar−H);MALDI−MS(m/z) C98H180N2O21P2[M+Na]+の計算値:1806.2458、実測値:1806.2502。
[0549]実施例10
[0550]6〜8週齢の病原体を有さない雌のC57BL6マウスを、Charles River Laboratories(カナダ、ケベック州St.Constant)から購入し、施設の指針に従って、水及び食料を自由に与え、フィルターで制御された空気循環を用いて飼育した。
[0551]本研究で使用したC3腫瘍株化細胞は、前臨床子宮頸癌研究の十分に記載されているマウスモデルである。HPV16発現C3細胞は、それ自身のプロモーター下の完全HPV16ゲノム及び活性化ras癌遺伝子で形質転換させたB6マウス胚細胞に由来する。C3株化細胞は、皮下注射した際に腫瘍を発生し、C3腫瘍細胞移植の前又は後に投与したワクチンの有効性を調べるために、癌攻撃研究において使用されている。C3株化細胞を、10%の熱失活ウシ胎児血清(Hyclone)、2mMのl−グルタミン、50mMの2−メルカプトエタノール、ペニシリン、及びストレプトマイシンを添加したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM、Sigma、モンタナ州St.Louis)中で維持した。細胞を37℃/5%のCO2でインキュベートした。
[0552]CTLエピトープを含有するHPV16E7(H−2Db)ペプチド49−67、RAHYNIVTF(配列番号1)を、Polypeptide Group(米国カリフォルニア州San Diego)によって、CD4+ヘルパーTエピトープを含有するPADREと融合させた。このペプチドを本明細書中以降FPと呼ぶ。
[0553]本明細書中のワクチンを配合するために、160マイクログラムのFPを、tert−ブタノールに溶かしたDOPC/コレステロール混合物(10:1、w/w、Lipoid GmbH、ドイツ)と混合した。リピドA模倣体を含める場合は、160マイクログラムのJL−265又はJL−266をFP/DOPC/コレステロール混合物に加えた。混合物を凍結乾燥し、その後、700マイクロリットルの滅菌水で再溶解させて、リピドA模倣体を含む又は含まない、抗原を含有するリポソームを配合した。それぞれのワクチン用量は50マイクロリットルであり、10マイクログラムのリピドA模倣体(JL−265又はJL−266)を含んで又含まずに、10マイクログラムのFPペプチドを含有していた。
[0554]これらのリポソームに基づくワクチン製剤の有効性を試験するために、マウスの群(7匹のマウス/群)の左脇腹に、100マイクロリットルのHBSS培地に懸濁させた5×10E5個のC3細胞を皮下移植した。5日後、マウスの右脇腹に50マイクロリットルのワクチンを皮下でワクチン接種した。第1群のマウスには、リピドA模倣体を含有しないリポソーム中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第2群のマウスには、JL−265(10マイクログラム)を含有するリポソーム中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第3群のマウスには、JL−266(10マイクログラム)を含有するリポソーム中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第4群のマウスは腫瘍成長の対照として役割を果たし、抗原もリピドA模倣体も含有しない生理食塩水をワクチン接種した。
[0555]図4に示すように、JL−265又はJL−266リピドA模倣体のどちらかを含有するワクチンで免疫化した第2及び3群のマウスは、対照群のマウスと比較して、28日目に有意により小さな腫瘍体積を有していた。
[0556]実施例11
[0557]6〜8週齢の病原体を有さない雌のC57BL6マウスを、Charles River Laboratories(カナダ、ケベック州St.Constant)から購入し、施設の指針に従って、水及び食料を自由に与え、フィルターで制御された空気循環を用いて飼育した。
[0558]本研究で使用したC3腫瘍株化細胞は、前臨床子宮頸癌研究の十分に記載されているマウスモデルである。HPV16発現C3細胞は、それ自身のプロモーター下の完全HPV16ゲノム及び活性化ras癌遺伝子で形質転換させたB6マウス胚細胞に由来する。C3株化細胞は、皮下注射した際に腫瘍を発生し、C3腫瘍細胞移植の前又は後に投与したワクチンの有効性を調べるために、癌攻撃研究において使用されている。C3株化細胞を、10%の熱失活ウシ胎児血清(Hyclone)、2mMのl−グルタミン、50mMの2−メルカプトエタノール、ペニシリン、及びストレプトマイシンを添加したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM、Sigma、モンタナ州St.Louis)中で維持した。細胞を37℃/5%のCO2でインキュベートした。
[0559]CTLエピトープを含有するHPV16E7(H−2Db)ペプチド49−67、RAHYNIVTF(配列番号1)を、Polypeptide Group(米国カリフォルニア州San Diego)によって、CD4+ヘルパーTエピトープを含有するPADREと融合させた。このペプチドを本明細書中以降FPと呼ぶ。
[0560]本明細書中のワクチンを配合するために、FPペプチドをジメチルスルホキシドに溶かし、不完全フロイントアジュバント(IFA)と混合した。また、リピドA模倣体JL−265及びJL−266もジメチルスルホキシドに溶かし、示した場合はFP/IFA混合物に加えた。それぞれのワクチン用量は50マイクロリットルであり、10マイクログラムのFP抗原を含有していた。リピドA模倣体の用量は10マイクログラムであった。
[0561]これらの油に基づくワクチン製剤の有効性を試験するために、マウスの群(7匹のマウス/群)の左脇腹に、100マイクロリットルのHBSS培地に懸濁させた5×10E5個のC3細胞を皮下移植した。5日後、マウスの右脇腹に50マイクロリットルのワクチンを皮下でワクチン接種した。第1群のマウスには、リピドA模倣体を含有しない油中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第2群のマウスには、JL−265(10マイクログラム)を含有する油中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第3群のマウスには、JL−266(10マイクログラム)を含有する油中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第4群のマウスは腫瘍成長の対照として役割を果たし、抗原もリピドA模倣体も含有しない生理食塩水をワクチン接種した。
[0562]図5に示すように、JL−265又はJL−266リピドA模倣体のどちらかを含有するワクチンで免疫化した第2及び3群のマウスは、対照群のマウスと比較して、28日目に有意により小さな腫瘍体積を有していた。
[0563]実施例12
[0564]6〜8週齢の病原体を有さない雌のC57BL6マウスを、Charles River Laboratories(カナダ、ケベック州St.Constant)から購入し、施設の指針に従って、水及び食料を自由に与え、フィルターで制御された空気循環を用いて飼育した。
[0565]本研究で使用したC3腫瘍株化細胞は、前臨床子宮頸癌研究の十分に記載されているマウスモデルである。HPV16発現C3細胞は、それ自身のプロモーター下の完全HPV16ゲノム及び活性化ras癌遺伝子で形質転換させたB6マウス胚細胞に由来する。C3株化細胞は、皮下注射した際に腫瘍を発生し、C3腫瘍細胞移植の前又は後に投与したワクチンの有効性を調べるために、癌攻撃研究において使用されている。C3株化細胞を、10%の熱失活ウシ胎児血清(Hyclone)、2mMのl−グルタミン、50mMの2−メルカプトエタノール、ペニシリン、及びストレプトマイシンを添加したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM、Sigma、モンタナ州St.Louis)中で維持した。細胞を37℃/5%のCO2でインキュベートした。
[0566]CTLエピトープを含有するHPV16E7(H−2Db)ペプチド49−67、RAHYNIVTF(配列番号1)を、Polypeptide Group(米国カリフォルニア州San Diego)によって、CD4+ヘルパーTエピトープを含有するPADREと融合させた。このペプチドを本明細書中以降FPと呼ぶ。
[0567]本明細書中に記載のワクチンを配合するために、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)(120ミリグラム/mL)及びコレステロール(12ミリグラム/mL)の10:1混合物をtert−ブタノールに溶かした。FP抗原は最初にジメチルスルホキシドに溶かしたが、FPの水懸濁液も使用することができ、その後DOPC/コレステロール/tert−ブタノール混合物に加えた。リピドA模倣体JL−265及びJL−266は最初にジメチルスルホキシドに溶かした。示した場合は、JL−265又はJL−266もFP/DOPC/tert−ブタノール混合物に加えた。リピドA模倣体を含む又は含まない抗原の乾燥均質混合物は、製剤中に存在する溶媒及び水を凍結乾燥によって除去することによって調製した。その後、乾燥混合物を、鉱物油に基づくモデル疎水性担体である不完全フロイントアジュバントに懸濁させた。この製剤を本明細書中以降デポヴァックス(DPX)と呼ぶ。
[0568]これらの油に基づくワクチン製剤の有効性を試験するために、マウスの群(8匹のマウス/群)の左脇腹に、100マイクロリットルのHBSS培地に懸濁させた5×10E5個のC3細胞を皮下移植した。5日後、マウスの右脇腹に50マイクロリットルのワクチンを皮下でワクチン接種した。第1群のマウスには、リピドA模倣体を含有しないDPX中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第2群のマウスには、JL−265(10マイクログラム)を含有するDPX中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第3群のマウスには、JL−266(10マイクログラム)を含油するDPX中のFPペプチド(10マイクログラム)をワクチン接種した。第4群のマウスは腫瘍成長の対照として役割を果たし、抗原もリピドA模倣体も含有しない生理食塩水をワクチン接種した。
[0569]図6に示すように、JL−265又はJL−266リピドA模倣体のどちらかを含有するワクチンで免疫化した第2及び3群のマウスは、対照群のマウスと比較して、40日目に有意により小さな腫瘍体積を有していた。
[0570]実施例13
[0571]6〜8週齢の、病原体を有さない雌のC3H/HeOuJ(野生型)マウス及びC3H/HeJ(TLR4突然変異体)マウスをJackson Laboratory(米国メイン州Bar Harbor)から購入し、施設の指針に従って、水及び食料を自由に与え、フィルターで制御された空気循環を用いて飼育した。
[0572]樹状細胞を、以下のように野生型又はTLR4突然変異体マウスのどちらかの骨髄から調製した。大腿骨及び脛骨の骨をナイーブマウスから単離し、無菌的条件下にてリン酸緩衝生理食塩水でフラッシュした。塩化アンモニウムカリウム溶解溶液を使用して赤血球を溶解した。細胞を計数し、10%のウシ胎児血清(Hyclone、カナダ、オンタリオ州Nepean)、1%のペニシリン−ストレプトマイシン(Gibco、カナダ、オンタリオ州Burlington)、2ミリモーラーのL−グルタミン(Gibco)、1%のHEPES緩衝液(Gibco)、及び5.5ミリモーラーのベータ−メルカプトエタノール(Sigma−Aldrich、カナダ、オンタリオ州Oakville)を含有する完全RMPI1640培地に、1.2×10E6個の細胞/ミリリットルの濃度で再懸濁させた。細胞を、10ナノグラム/ミリリットルのGM−CSF(Peprotech、米国ニュージャージー州Rocky Hill)を添加した6ウェルプレート中で8日間培養し、さらなる培地を3日目及び6日目に加えた。7日目に、細胞を、DMSO中で調製したJL−265若しくはJL−266、又はDMSOビヒクル対照、又はポリI:C(Thermo−Fisher)、又はリポ多糖(LPS、Sigma−Aldrich)で刺激した。非接着細胞を8日目に収集し、CD11c(クローン)、CD40(クローン)、又はCD86(クローン)に特異的な、蛍光色素とコンジュゲートした抗体で染色した。細胞を、FACSCalibur(BD Bioscience、カナダ、オンタリオ州Mississauga)を使用したフローサイトメトリー及びWin List 3D 7.0ソフトウェア(Verity Software House、米国メイン州Topsham)によって分析した。
[0573]結果は、最初にCD11c陽性細胞(樹状細胞マーカー)に対してゲートし、その後、CD40又はCD86について二重陽性であったもののパーセントを決定することによって分析した。結果を図7に示す。野生型樹状細胞では、ポリI:C(TLR3作用剤)及びLPS(TLR4作用剤)は、終夜の刺激後に、樹状細胞上のCD40及びCD86の両方の発現の増加を刺激した。新規リピドA模倣体JL−265及びJL−266も、野生型樹状細胞においてCD40及びCD86の両方の発現の増加を誘導した。TLR4突然変異体の樹状細胞は、野生型樹状細胞と匹敵してポリI:C刺激に応答したが、LPS及び新規リピドA模倣体に対する応答は有意に低下していた。これらの結果は、本発明に記載の新規リピドA模倣体がTLR4を介してシグナル伝達することを示している。
[0574]実施例14
[0575]6〜8週齢の病原体を有さない雌のC57BL6マウスを、Charles River Laboratories(カナダ、ケベック州St.Constant)から購入し、施設の指針に従って、水及び食料を自由に与え、フィルターで制御された空気循環を用いて飼育した。
[0576]本実施例で使用したペプチドは、Polypeptide Group(米国カリフォルニア州San Diego)によって合成された。ワクチンは、MHCクラスIエピトープHPV16E7(H−2Db)49−67(RAHYNIVTF、R9F、配列番号1)及びMHCクラスIIエピトープ破傷風毒素830−843(FNNFTVSFWLRVPKVSASHLE、F21E、配列番号23)を含有していた。
[0577]本明細書中に記載のワクチンを配合するために、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)(120ミリグラム/mL)及びコレステロール(12ミリグラム/mL)の10:1混合物をtert−ブタノールに溶かした。R9F及びF21Eペプチド抗原は最初にジメチルスルホキシドに溶かし、その後、DOPC/コレステロール/tert−ブタノール混合物に加えた。リピドA模倣体JL−265及びJL−266は最初にジメチルスルホキシドに溶かした。示した場合は、JL−265又はJL−266もFP/DOPC/tert−ブタノール混合物に加えた。リピドA模倣体を含む又は含まない抗原の乾燥均質混合物は、製剤中に存在する溶媒及び水を凍結乾燥によって除去することによって調製した。その後、乾燥混合物を、鉱物油に基づくモデル疎水性担体である不完全フロイントアジュバントに懸濁させた。この製剤を本明細書中以降デポヴァックス(DPX)と呼ぶ。
[0578]ワクチンの免疫原性を試験するために、ナイーブマウス(n=5匹)を、リピドA模倣体なし(第1群)、5マイクログラムのJL−265(第2群)、又は5マイクログラムのJL−266(第3群)と共にR9F及びF21Eを含有する50マイクロリットルのDPXワクチンで皮下免疫した。第4群のマウス(n=2匹)は免疫化せず、ナイーブ対照として役割を果たした。ワクチン接種の8日後、すべての群のマウスを屠殺し、脾臓を採取した。脾細胞の単細胞懸濁液を5×10E6個の細胞/ミリリットルの濃度で調製し、100マイクロリットルを、抗IFN−ガンマで事前にコーティングされた96ウェルELISPOTプレート(BD Bioscience)のウェルに加えた。二つ組で、20マイクログラム/ミリリットルの無関係のペプチド抗原若しくはR9Fを含有する100マイクロリットルの培地、又はペプチドを含有しない培地をバックグラウンド対照として、脾臓細胞に加えた。プレートを終夜37℃インキュベートし、翌日、製造者の指示に従って、AEC色素原(Sigma−Aldrich)を使用して展開した。スポットはELISPOTプレートリーダー(C.T.L.、Shaker Heights)を使用して定量した。
[0579]図8に示すように、JL−265リピドA模倣体(第2群)はR9Fペプチドに対する抗原特異的IFN−ガンマ応答を増強させなかったが、JL−266(第3群)リピドA模倣体は増強させた。
[0580]本明細書中で引用されているすべての出版物及び特許出願は、それぞれの個々の出版物又は特許出願が具体的かつ個々に参考として組み込まれていると示されているかのように、本明細書中に参考として組み込まれている。任意の出版物の引用は、出願日前でのその開示のためであり、先行発明の理由に基づいて本発明がそのような出版物に先行する権利を有さないという承認として解釈されるべきでない。
[0581]前述の発明は、理解を明瞭にする目的のために例示及び実施例によってある程度詳細に記載されているが、本発明の教示に鑑みて、添付の特許請求の範囲から逸脱せずにそれに特定の変化及び改変を行い得ることは、当業者には容易に明らかである。
[0582]本明細書及び添付の特許請求の範囲中で使用する単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」には、内容により明らかにそうでないと指示される場合以外は、複数形の言及が含まれることに注意する必要がある。別段に定義しない限りは、本明細書中で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の技術者に一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
[0583]明細書及び特許請求の範囲中で使用する語句「及び/又は」は、そのように結合された要素の「一方又は両方」、すなわち、一部の場合に接続的に存在し、他の場合には非接続的に存在する要素を意味すると理解されるべきである。「及び/又は」を用いて列挙した複数の要素は、同じ様式で、すなわち、そのように結合された要素の「1つ又は複数」と解釈されるべきである。具体的に同定した要素に関連しているか関連していないかにかかわらず、「及び/又は」節によって具体的に同定した要素以外の他の要素も任意選択で存在し得る。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、「含む」などのオープンエンドの言葉と併せて使用した場合、一実施形態ではAのみ(任意選択でB以外の要素が含まれる)、別の実施形態ではBのみ(任意選択でA以外の要素が含まれる)、さらに別の実施形態ではA及びBの両方(任意選択で他の要素が含まれる)などを指す可能性がある。
[0584]明細書及び特許請求の範囲中で使用する「又は」には、上記定義した「及び/又は」と同じ意味が包含されると理解されるべきである。たとえば、リストの項目を分離する場合、「又は」又は「及び/又は」は、包括的であると解釈されるべきである、すなわち、数個の要素又は要素のリストの少なくとも1つが包含されるが、そのうちの複数、及び任意選択で追加の列挙していない項目も含まれる。
[0585]明細書又は添付の特許請求の範囲中にかかわらず、本明細書中で使用する移行用語「含む(comprising)」、「含まれる(including)」、「保有する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」などは、包括的又はオープンエンド(すなわち、含むがそれだけに限定されないことを意味する)であると理解され、これらは列挙していない要素、材料、又は方法ステップを排除しない。移行語句「からなる」及び「から本質的になる」のみが、特許請求の範囲及び本明細書中の例示的な実施形態の段落に関してそれぞれクローズド又は部分的にクローズドの移行語句である。移行語句「からなる」は、具体的に列挙していないすべての要素、ステップ、又は成分を排除する。移行語句「から本質的になる」は、範囲を指定した要素、材料、又はステップ、並びに本明細書中に開示及び/又は特許請求した本発明の基本特徴(複数可)に実質的な影響を与えないものに限定する。