JP2019142965A - 脱毛症の治療における歯肉線維芽細胞の使用 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、抜け毛を減少し、毛髪の成長を促進する、歯肉線維芽細胞由来物の使用に関する。【解決手段】具体的には、本発明は、脱毛症の治療又は予防、及び自然の毛髪の成長の促進、及び/又は自然の抜け毛の調整において使用される、歯肉線維芽細胞由来物に関する。【選択図】図1
Description
本発明は、毛髪/体毛の抜け毛を制限し、及び/又はそれらの成長を促進する、歯肉線維芽細胞の使用に関する。より具体的には、本発明は、脱毛症の治療又は予防、及び自然の毛髪の成長の促進、及び/又は自然の抜け毛の対抗において使用される、歯肉線維芽細胞由来物に関する。
毛髪の成長及び更新は、主に毛包の活性により規定される。人類において、毛包は、マウスや他の毛皮を持つ動物と同様に、成長期(anagen)、退行期(catagen)及び休止期(telogen)の3つの相を含む更新サイクルを有する。成長相又は増殖相は、長期間続行し、毛髪の成長に寄与する。続いて退行相又は移行相が約3週間続き、そして最後に休止期又は休息相に続き、古い毛髪が脱落し、成長相で新しい毛包によって置き換えられる(Cotsarelis and al., Trends in Molecular Medicine, Vol. 7 No. 7, 2001)。従って、毛髪は定常的に更新しており、頭の表面で最大で100000〜150000本の頭髪が増殖相にある(即ち85%が成長相、2%が退行相、10%超が脱落相にある)。人類は通常1日に約50〜150本の毛髪が脱落し、この「通常の」脱落は、一般に、夏の終わり頃と春に支配的である(1日約175本に達する)。1日100〜150本の毛髪の脱落は、それが2ヶ月以上の長い期間持続する場合は病的であると見做される。
脱毛症は、部分的又は全体的な抜け毛を意味する。遺伝的因子、年齢、性別、疾患、ストレス、ホルモン的問題、医薬の副作用、瘢痕等の多くの要素が脱毛症に関係する。脱毛症は幾つかの形式に区分され得る。
−遺伝性アンドロゲン性脱毛症
最もありふれたものである。遺伝的素因を有する対象において早期に抜け毛が起こり、殆どの男性が罹患する。毛量の減少、あるいは禿を呈し、50歳を超えた男性の50%が罹患する(Yazdan P. Semin Cutan Med Surg 2012; 31:258−266)
−閉経後脱毛症
女性の禿の最もありふれた原因である。女性において、抜け毛は、男性の場合よりもより広範及び拡張的である。女性のびまん性脱毛症は、しばしば閉経に伴って起こり、70歳以上の女性の約40%が罹患している(Yazdan P. Semin Cutan Med Surg 2012; 31:258−266)。「びまん」は、男性の場合と比べて抜け毛が頭皮全体で一様に起こることを意味する。
−急性脱毛症
化学治療、ストレス、顕著な栄養欠乏、鉄欠乏、ホルモン不全に連結している可能性がある。
−瘢痕性脱毛症
皮膚の問題(腫瘍、火傷、円形脱毛症)、急性被爆、エリテマトーデス又は寄生虫(白癬又は苔癬)によって引き起こされる場合がある。
−円形脱毛症
自己免疫が関与し、様々な大きさ及び場所に禿スポットが生じることを特徴とする。
−先天性脱毛症
稀な脱毛症で、毛根の欠如又は毛髪の異常(突然変異)に対応する。
−遺伝性アンドロゲン性脱毛症
最もありふれたものである。遺伝的素因を有する対象において早期に抜け毛が起こり、殆どの男性が罹患する。毛量の減少、あるいは禿を呈し、50歳を超えた男性の50%が罹患する(Yazdan P. Semin Cutan Med Surg 2012; 31:258−266)
−閉経後脱毛症
女性の禿の最もありふれた原因である。女性において、抜け毛は、男性の場合よりもより広範及び拡張的である。女性のびまん性脱毛症は、しばしば閉経に伴って起こり、70歳以上の女性の約40%が罹患している(Yazdan P. Semin Cutan Med Surg 2012; 31:258−266)。「びまん」は、男性の場合と比べて抜け毛が頭皮全体で一様に起こることを意味する。
−急性脱毛症
化学治療、ストレス、顕著な栄養欠乏、鉄欠乏、ホルモン不全に連結している可能性がある。
−瘢痕性脱毛症
皮膚の問題(腫瘍、火傷、円形脱毛症)、急性被爆、エリテマトーデス又は寄生虫(白癬又は苔癬)によって引き起こされる場合がある。
−円形脱毛症
自己免疫が関与し、様々な大きさ及び場所に禿スポットが生じることを特徴とする。
−先天性脱毛症
稀な脱毛症で、毛根の欠如又は毛髪の異常(突然変異)に対応する。
脱毛症は、本質的に毛髪更新の撹乱に連結している。毛髪更新の撹乱は、まず、毛髪の質、続いて毛髪の量を犠牲にした、サイクルの頻度の増大をもたらす。最もありふれた現象は、細胞増殖の停止による増殖サイクル(増殖相)の減少である。これは、退行相の成熟前の誘導をもたらし、より多くの休止相の毛包を生じ、最終的に抜け毛が増大する。抜け毛に対抗するため、増殖相を活性化する等して、毛髪サイクルを復活させることが必要である。
美容及び製薬産業は、純粋に審美的な理由で、特に脱毛症に罹っていないがより頭髪を厚く及び/又は長くしたいと望む個体において、脱毛症、特にアンドロゲン性脱毛症を停止又は緩和出来る、また自然の毛髪の成長を刺激できる、及び/又は毛髪の脱落を遅延できる組成物を、長年探索している。
脱毛症の治療及び自然の毛髪の成長の促進は、多くの研究の対象であり、幾つかの生産物又は技術が利用可能である。
本明細書において、脱毛症を治療又は予防する、及び毛髪及び体毛の成長を維持又は促進することを意図した多くの化合物を報告する。例えば、フィナステライド(Propecia(登録商標))は、毛髪の脱落を安定化でき、幾つかの場合、多少の顕著な再成長を可能とする。しかしながら、この化合物は、性欲低下又は鬱等の多くの望ましくない副作用を有する。ミノキシジル(Rogaine(登録商標))は、禿治療用に販売されているもう一つの化合物である。しかしながら、当該生産物による毛髪の成長は、当該生産物の適用を停止すると、低下する。
細い毛髪にボリュームを与えることを意図する美容剤も販売されており、特にシャンプーなどになっている。しかしながら、それらは毛髪の成長を刺激せず、それらの効果はそれらの使用の中断を引き起こす。
微小移植法も開発されている。この技術は、クラウン上に(又は永久毛髪中に)毛髪グラフトを置き、それらを頭頂部に移植することを含む。しかしながら、幾つかのグラフトは移植後2〜4週間で脱落し得て、この技術は、有効なものとなるためには数回の介入を要する。
幹細胞が組織及び器官を再生する能力のため、幹細胞は最近特に注目を受けている。従って、分化可能な幹細胞を毛包内に導入してヒト皮膚上での毛髪増殖を促進する代替的方法が考えられている(US2008254006)。
従って、この問題に関する多くの開発にも拘らず、脱毛症の、又は毛髪及び/又は体毛の自然の脱落の枠内で、毛髪及び/又は体毛の成長を加速する/脱落を遅延することが出来る、及び毛包の密度を増大させられる、新しい治療の需要が依然として存在する。
発明の概要
本発明は、歯肉線維芽細胞の投与が、頭髪又は他の毛髪の成長を顕著に刺激するという、発明者らによる予期しない発見に端を発する。
本発明は、歯肉線維芽細胞の投与が、頭髪又は他の毛髪の成長を顕著に刺激するという、発明者らによる予期しない発見に端を発する。
従って、本発明は、脱毛症の治療又は予防に使用される、歯肉線維芽細胞由来物に関する。
より具体的には、本発明は、遺伝性アンドロゲン性脱毛症、閉経後脱毛症、急性脱毛症又は円形脱毛症の治療又は予防に使用される、歯肉線維芽細胞由来物に関する。
本発明は、皮下又は局所投与される、脱毛症の治療又は予防に使用される、歯肉線維芽細胞由来物に関する。
他の側面において、本発明は、毛髪/体毛の脱落を制限する、毛髪/体毛の成長を促進する及び/又は毛包の密度を増大させる、歯肉線維芽細胞由来物の美容的使用に関する。より具体的には、この使用は、毛髪の増殖を促進し、毛包の密度を増大させる。好ましくは、この美容的使用は、自然の毛髪/体毛の脱落の対抗及び/又はそれらの自然の成長及び/又は自然の密度の刺激を目的とする。
好ましい側面において、本発明は、脱毛症の転帰を示す個体における、毛髪/体毛の脱落を制限する、毛髪/体毛の成長を促進する及び/又は毛包の密度を増大させる歯肉線維芽細胞由来物の美容的使用に関する。
他の側面において、本発明は、個体に対して歯肉線維芽細胞由来物を投与する工程を含む、毛髪/体毛の脱落を制限する、毛髪/体毛の成長を促進する及び/又は毛包の密度を増大させる方法に関する。
より具体的には、この治療方法は、以下の工程:
・個体から歯肉線維芽細胞を取り出す、
・当該歯肉線維芽細胞を最終的に培養する、
・歯肉線維芽細胞由来物を取得する、
・当該歯肉線維芽細胞由来物を個体に移植する、
を含む。
・個体から歯肉線維芽細胞を取り出す、
・当該歯肉線維芽細胞を最終的に培養する、
・歯肉線維芽細胞由来物を取得する、
・当該歯肉線維芽細胞由来物を個体に移植する、
を含む。
本発明において、前記歯肉線維芽細胞由来物は、i)歯肉線維芽細胞、例えば歯肉組織から直接回収したもの、ii)培養歯肉線維芽細胞、iii)歯肉線維芽細胞抽出物、及びiv)歯肉線維芽細胞馴化培地、から選択される。
本発明は、脱毛症の公知の治療と併用して、フィナステライド又はミノキシジル等の毛髪/体毛増殖を促進する、又はそれらの脱落を制限すること、又は毛髪移植を受けた、又は受けようとしている個体に役立つことが知られている分子と共に、使用されてもよい。
本発明は、歯肉線維芽細胞由来物の、毛髪/体毛の脱落を制限し、及び/又はそれらを成長させるための使用に関する。本発明は、脱毛症を治療又は予防するための、並びに脱毛症に罹患していない個体において、毛髪の自然の増殖を促進し、及び/又は正常な抜け毛を遅延させるための、歯肉線維芽細胞由来物の使用にも関する。
本明細書中「毛髪/体毛」は、頭髪、体毛、睫毛、眉毛及び/又は被毛に関する。「毛髪/対応」は好ましくは頭髪を意味する。
本発明の枠内で、「対象」又は「個体」は、好ましくは哺乳類、より好ましくはヒトである。個体は好ましくはペット、例えば猫、犬、フェレット及びウサギであってもよい。
本明細書中「脱毛症」は、毛髪/体毛の全体的又は部分的脱落に関し、例えば毛髪成長の低下、及び/又は毛髪/体毛の脱落の加速に関する。この用語は、限定されないが、遺伝性アンドロゲン性脱毛症、閉経後脱毛症、急性脱毛症、円形脱毛症及び先天性脱毛症を含む。脱毛症の転帰は、一時的又は永続的な、及び部分的又は全体的な、毛髪の喪失である。
本明細書中「治療」又は「脱毛症の治療」は、脱毛症を停止、脱毛症を低下及び/又は脱毛症を緩和することに関する。従って、「脱毛症の治療」は、毛髪の脱落を制限し、毛髪の成長を促進し、毛包の密度を増大し、及び/又は毛包サイクルの相を制御することを含む。言い換えると、そのような治療は、脱毛症に罹患した個体に向けられる。
本明細書中「予防」又は「脱毛症の予防」は、脱毛症の発症のリスクを減少し、又は脱毛症を発症しそうな哺乳類の脱毛症の進行を遅延することに関する。言い換えると、予防は、脱毛症に罹患した個体に向けられる。
本明細書中「自然の毛髪/体毛の脱落」又は「正常な毛髪/体毛の脱落」は、生理的に正常な毛髪サイクルを有する(即ち健康な)対象に通常見られる毛髪/体毛の脱落に関する。好ましくは、当該脱落は、1日に最大で100本である。より好ましくは、当該対象は、脱毛症に罹患していない。
本明細書中「自然の毛髪/体毛の成長」又は「正常な毛髪/体毛の成長」は、生理的に正常な毛髪サイクルを有する(即ち健康な)対象に通常見られる毛髪/体毛の成長に関する。好ましくは、当該対象は、脱毛症に罹患していない。
本明細書中「自然の毛包の密度」は、生理的に正常な毛髪サイクルを有する対象で通常見られる毛包の密度に関する。従って、毛髪サイクル及び成長期/休止期の毛髪に依存して、当該密度は、考慮される領域に依存して様々であり、頭皮では200〜300毛髪/cm2、顔面では50毛髪/cm2、及び他の部分では10毛髪/cm2である。好ましくは当該対象は、脱毛症に罹患していない。
本明細書中、「限定」又は「遅延」は、遅延し、減少し、及び/又は停止することを意味する。従って、「毛髪/体毛の脱落を限定又は遅延する」は、毛髪/体毛の脱落を遅延、減少又は停止することを意図する。
本明細書中「促進」、「刺激」又は「増大」は、発展、促進及び/又は加速することを意味する。従って、「毛髪/体毛の成長を促進又は刺激する」は、毛髪/体毛の成長を発展、促進及び/又は加速することを意図する。
本発明において、「歯肉線維芽細胞」は、歯茎の軟結合組織中に存在する間質細胞に関し、当該細胞は、合成、移動、接着及び増殖能力によって、歯茎を再構築及び修復する。歯肉線維芽細胞は、Gogly et al., (1997) Clin. Oral Invest. 1:147−152; Gogly et al. (1998) Biochem. Pharmacol. 56:1447−1454;及びEjeil et al. (2003) J. Periodontol. 74:188−195に詳細に記載されている。
本明細書中、「歯肉線維芽細胞由来物」は、歯肉線維芽細胞から取得し得る何らかの物に関し、細胞それ自体、又は歯肉線維芽細胞分泌物を含有する。従って、好ましくは、本発明の歯肉線維芽細胞由来物は、i)歯肉組織から直接回収された歯肉線維芽細胞、ii)培養歯肉線維芽細胞、iii)歯肉線維芽細胞抽出物、及びiv)歯肉線維芽細胞馴化培地から成る群から選択される。
本発明の実施に利用できる歯肉線維芽細胞培養物は、当業者に知られている公知技術によって取得され得る(Barlovatz−Meimon and al., Culture of Animal Cells, p. 898 ill. Paris. INSERM 2003)。
本発明の歯肉線維芽細胞抽出物は、本技術分野で公知の任意の細胞断片化方法によって取得できる。具体的には、本発明の歯肉線維芽細胞抽出物は、膜抽出物、細胞質抽出物又は核抽出物であってもよい。
本発明の歯肉線維芽細胞馴化培地は、歯肉線維芽細胞と接触させられた任意の培地に関する。当該培地は、例えば「Dulbecco’s Modified Eagle Medium」等の液体細胞培養培地であってもよく、又は好ましくは、EP1972685、US7951593及びCN102747033に記載の培地等の無血清培養培地であってもよい。好ましくは、当該培地は、歯肉線維芽細胞が培地中に分泌されるのに十分な時間歯肉線維芽細胞と接触させられてもよい。例えば、当該培地は、1〜7日、好ましくは1日、より好ましくは1日、無血清培地中で、歯肉線維芽細胞と接触させられてもよい。本発明の馴化培地は、好ましくは、細胞外マトリックス、成長因子及びサイトカイン等からなる細胞が分泌した分子を含有する。好ましくは、当該馴化培地は、細胞の破片を含有しない。
好ましい態様において、本発明の歯肉線維芽細胞由来物は、持続的な作用が可能な生きた細胞を含有する。この態様は、脱毛症の予防又は治療の枠内において特に好ましい。しかしながら、生きた細胞の存在は、美容分野では望ましくない。従って、本発明の他の好ましい態様において、本発明の歯肉線維芽細胞由来物は、自然の毛髪/体毛の脱落の対抗及び/又はそれらの成長の自然な促進、及び/又は毛包の自然な密度の増大の枠内で、より有利には、生きた細胞を含有しない。
前記歯肉線維芽細胞由来物が歯肉線維芽細胞、例えば歯肉組織から直接回収した線維芽細胞(i)である場合、それらは、個体から採取後直接、又は上記培養工程後、生理的に許容される培地中に歯肉線維芽細胞を懸濁して取得されてもよい。
実施例に記載のように、本発明は、脱毛症の治療における歯肉線維芽細胞の、より具体的には骨髄間葉系ストローマ細胞(MSC)と歯肉線維芽細胞の有効性についての発明者らにより実施された実験に依存する。より具体的には、本発明は、歯肉線維芽細胞及び歯肉線維芽細胞由来物が、間葉系ストローマ細胞と比較して優れた効率で毛髪/体毛の成長を促進し、毛包の密度を増大させ、そして毛包サイクル相を制御するという、予想外の発見に依存する。
実際に、インビボの試験で、発明者らは、ヒト歯肉線維芽細胞の懸濁物の放射線照射した皮膚への、最近の又は定着した損傷への投与が、数週間以内で高密度かつ均一な毛髪の成長をもたらしたことを示している。より具体的には、ヒト歯肉線維芽細胞とMSCの有効性の比較によって、毛髪の長さが、歯肉線維芽細胞由来物がMSCと比較して顕著に改善したことを示した。
斯かる再成長の促進に関与するメカニズムの研究により、MSCと、歯肉線維芽細胞又は歯肉線維芽細胞由来物との、マトリックスリモデリング及び炎症分子マーカーに対する効果が同等であったことが示された。対照的に、歯肉線維芽細胞又は歯肉線維芽細胞由来物は、上皮の分化及びその厚さのコントロールにおいて、MSCと比較して改善された効果を有する。これは、毛包の刺激を誘導し、迅速な毛髪/体毛の生産を可能とする。
本発明の歯肉線維芽細胞由来物の用途は、特に脱毛症に罹患した対象における、又は生理的に正常な毛髪サイクルを有する対象における、毛髪/体毛の脱落の制限、及び/又はそれらの成長の促進、及び/又は毛包の密度の増大を目的とする。
従って、本発明は、第一の側面において、脱毛症の治療又は予防に使用される歯肉線維芽細胞由来物に関する。より具体的には、本発明は、脱毛症を治療又は予防するための医薬としての、歯肉線維芽細胞由来物に関する。
他の側面において、本発明は、上記歯肉線維芽細胞由来物と、脱毛症の予防又は治療において、同時、個別、又は連続で使用される、1つ以上の抗抜け毛剤との組み合わせに関する。好ましくは、本発明の抗抜け毛剤は、フィナステライド及びミノキシジルである。
他の側面において、本発明は、脱毛症の治療又は予防に使用される、歯肉線維芽細胞由来物を含有する組成物に関する。好ましくは、当該組成物は、上記1つ以上の抗抜け毛剤を更に含有する。また、本発明は、脱毛症の治療又は予防のための組成物を製造するための、歯肉線維芽細胞由来物の使用にも関する。
上記のように、本発明は、毛髪/体毛の脱落の制限、及び/又はそれらの成長の促進、及び/又は毛包の密度の増大を目的とする。本発明の歯肉線維芽細胞由来物は、特に、純粋に美容的な目的で使用されてもよい。
従って、本発明の他の態様は、毛髪/体毛の脱落の制限、及び/又はそれらの成長の促進、及び/又は毛包の密度の増大のための歯肉線維芽細胞由来物の美容的使用に関する。好ましくは、前記毛髪の脱落及び/又は毛髪の成長及び/又は毛髪/体毛の密度は、上記定義に従い自然である。尚も好ましくは、対象は脱毛症に罹患していない。
本発明は、毛髪/体毛の脱落の制限、及び/又はそれらの成長の促進、及び/又は毛包の密度の増大のための組成物を生産するための、歯肉線維芽細胞由来物の美容的使用に関する。好ましくは、当該毛髪の脱落及び/又は成長及び/又は毛髪/体毛の密度は、上記定義に従って、自然である。尚も好ましくは、当該対象は、脱毛症に罹患していない。
好ましくは、本発明は、毛髪/体毛の成長の促進、及び/又は毛包の密度の増大のための組成物を生産するための、歯肉線維芽細胞由来物の美容的使用に関する。好ましくは、当該毛髪/体毛の成長及び/又は密度は、上記定義に従って、自然である。尚も好ましくは、当該対象は、脱毛症に罹患していない。
歯肉線維芽細胞由来物の美容的使用の枠内で、当該由来物は、好ましくは、iv)歯肉線維芽細胞馴化培地である。好ましくは、この使用において、当該歯肉線維芽細胞馴化培地は、生きた細胞を含有しない。
あるいは、好ましい態様において、本発明は、毛髪/体毛の部分的又は全体的な喪失を呈する個体における歯肉線維芽細胞由来物の美容的使用に関する。この毛髪/体毛の部分的又は全体的な喪失は、脱毛症の結果に対応してもよい。当該毛髪/体毛の部分的又は全体的な喪失は、外科出術の結果に対応してもよい。
本発明は、毛髪/体毛の脱落を制限し、及び/又はそれらの成長を促進し、及び/又は毛包の密度を増大する方法にも関し、当該方法は、個体に対して歯肉線維芽細胞由来物を投与する工程を含む。本発明の文脈において、前記個体は、好ましくは脱毛症に罹患した対象であってもよく、又はその毛髪サイクルが生理的に正常である対象である。
好ましくは、本発明は、毛髪の成長を促進する方法にも関し、当該方法は、個体に対して歯肉線維芽細胞由来物を投与する工程を含む。
より好ましくは、本発明の方法は、以下の工程:
−個体から歯肉線維芽細胞を採取する工程、
−当該歯肉線維芽細胞を培養する工程、
−歯肉線維芽細胞由来物を取得する工程、及び
−歯肉線維芽細胞由来物を投与する工程、
を含み、又はそれらからなる。
−個体から歯肉線維芽細胞を採取する工程、
−当該歯肉線維芽細胞を培養する工程、
−歯肉線維芽細胞由来物を取得する工程、及び
−歯肉線維芽細胞由来物を投与する工程、
を含み、又はそれらからなる。
特に好ましい側面において、本発明は、脱毛症を治療する方法に関し、当該方法は、個体に歯肉線維芽細胞由来物を投与する工程を含む。好ましい態様は上記に規定している。
他の好ましい態様において、本発明は、自然の毛髪/体毛の成長を促進し、及び/又は体毛/毛髪の脱落を制限し、及び/又は毛包の自然の密度を増大する方法に関し、当該方法は、個体に歯肉線維芽細胞由来物を投与する工程を含む。好ましい態様は、上記に規定している。
本発明の組成物は、所望の効果を得るのに十分な量で歯肉線維芽細胞由来物(細胞、抽出物及び/又は馴化培地)を含有する。本発明の想定される効果は、毛髪/体毛の脱落を制限し、及び/又はそれらの成長を促進し、及び/又は毛包の密度を増大し、及び/又は毛包サイクルの相を制御することである。
歯肉線維芽細胞由来物が細胞を含有する場合、後者は0.25〜5 x 106細胞/mL、より好ましくは1.5〜2.5 x 106細胞/mLの濃度で存在する。
本発明の驚異的な側面の一つは、歯肉線維芽細胞由来物が、間葉系細胞、特に骨髄MSCを含む他の産物よりも、毛包の刺激において各段に効果的であるという事実である。骨髄MSCは、約10%の前駆細胞を含む(Umbilical Cord Blood, ISBN: 978−981−283−329−7; Chap. 9 M Prat−Lepesant et al.)のに対して、本発明の歯肉線維芽細胞中の前駆細胞は、最大でも3%である(Fournier BP et al., (2010) Tissue Eng Part A. 16(9):2891−9)。従って、この効果は、本発明の産物中に前駆細胞が多く存在することによるものではない。
特定の態様において、前記歯肉線維芽細胞由来物は、更に、好ましくは、20%、10%又は5%未満の前駆細胞を含有してもよい。
特定の態様において、前記歯肉線維芽細胞は、例えば、Fournier BP and al., (2010) Tissue Eng Part A. 16(9):2891−9に記載されたものであってもよい。
投与方法は、由来物及び処置される場所に依存する。
本発明の一つの側面において、歯肉線維芽細胞由来物は、頭皮及び皮膚への皮下又は局所投与に適し、生理的に許容される媒体を含有する組成物中に存在する。
「局所投与に適した」組成物は、特に、水相中に油相を分散して、又はその逆により得られた液体又は半液体エマルジョン、又はマイクロエマルジョン、微小カプセル、又は微小粒子の水溶液の形態で存在し得る。本発明の組成物のpHは、1つ以上の水相を有する場合、好ましくは4〜9、好ましくは4〜7、有利には5〜6である。
「生理的に許容される媒体」は、本発明において、皮膚、粘膜、ヒトの毛髪及び/又は哺乳類の毛皮に適合する、美容的又は医薬的に許容される媒体である。
好ましくは、本発明における個体は哺乳類、より好ましくはヒトである。当該個体は、猫、犬、フェレット又はウサギ等のペットであってもよい。
歯肉線維芽細胞を採取し、増殖し、保存する方法は当業者に周知であり、また特にNaveau et al. (2006) J. Periodontol. 77:238−47及びGogly et al. (2007) Arterioscler. Thomb. Vase. Biol. 27:1984−1990に記載されている。
歯肉線維芽細胞は、異種、即ち異なる種の異なる個体から得られたものであってもよい。好ましくは、本発明において使用される歯肉線維芽細胞は、同種、即ち同一の種の異なる個体から得られたものであってもよい。尚もより好ましくは、本発明の歯肉線維芽細胞は、自己、即ち歯肉線維芽細胞由来物が投与される個体から採取したものである。有利には、歯肉線維芽細胞は、自己線維芽細胞の殆ど無制限の供給源を提供する。
有利には、歯肉線維芽細胞は容易に採取及び培養される。更に、歯肉線維芽細胞は、高い増殖速度を有する。
有利には、歯肉線維芽細胞は、他の線維芽細胞又は間葉系細胞、特に骨髄MSCよりも、より効果的に毛髪/体毛の増殖を刺激する。
本発明の歯肉線維芽細胞由来物の使用は、好ましくは、以上な毛髪の脱落又は毛髪の欠如を呈する頭皮の領域に対して実施される。これらの領域の同定は、本発明の歯肉線維芽細胞由来物の使用又は投与前に容易に実施される。
本発明の歯肉線維芽細胞由来物の上記で規定した個体への投与は、好ましくは、治療される身体の部位に、又はその付近にされ、本技術分野で周知の任意の方法により実施され得る。例えばマイクロニードルを使用して頭皮に注入される。
本発明の組成物は、皮下又は局所投与用の組成物である。有利には、前記歯肉線維芽細胞由来物は、生理的に許容される媒体を含有する皮下適用に適した組成物中に存在する。
好ましくは、前記歯肉線維芽細胞由来物又は当該由来物を含有する組成物は、皮下又は筋肉内注射により投与される。
加えて、前記歯肉線維芽細胞由来物は、単独(溶液又は懸濁物)で、又は支持物(例えば微小カプセル封入)と併せて投与されてもよい。
本発明において、前記歯肉線維芽細胞由来物はそれ自体で有効であるが、公知の脱毛症治療と、又は毛髪/体毛の成長を促進し、又はそれらの脱落を制限することが知られる分子と、併用されてもよい。例えば、前記歯肉線維芽細胞由来物は、フィナステライド又はミノキシジルと併用され得る。
好ましくは、本発明において、前記歯肉線維芽細胞由来物は、微小移植前、中、後に使用されてもよい。微小移植法は本分野で周知であり(MJ Kristine Bunagan et al 2013 Dermatologic Clinics, 31:1 p141−153)、毛髪/体毛の成長及び毛包の密度に対する歯肉線維芽細胞由来物の効果から有利に利益を得られる。実際に、本発明の歯肉線維芽細胞由来物の投与は、その毛髪/体毛の成長及び毛包の密度に対する効果を通じて、微小移植の効果をより高めることが出来る。
本発明の歯肉線維芽細胞由来物は、例えば、毛髪移植の1ヶ月前から1ヶ月後、好ましくは毛髪移植の15日前から15日後に使用され得る。
細胞培養
健康なドナーから歯肉線維芽細胞を取得した。歯肉生検を酵素分解し(コラゲナーゼ、ディスパーゼ)、血小板溶解物存在下、無血清培地中で歯肉線維芽細胞を培養した(Doucet and al, J Cell Physiol 2005; 205 (2):228−36)。
健康なドナーから歯肉線維芽細胞を取得した。歯肉生検を酵素分解し(コラゲナーゼ、ディスパーゼ)、血小板溶解物存在下、無血清培地中で歯肉線維芽細胞を培養した(Doucet and al, J Cell Physiol 2005; 205 (2):228−36)。
健康なドナーの骨髄から、MSCを回収した。MSCは、血小板溶解物存在下、無血清培地中で培養した(Doucet and al, J Cell Physiol 2005; 205 (2):228−36)。
増幅後、歯肉線維芽細胞及び/又はMSCは、培養支持体から剥離され、生理食塩水中に懸濁され、その後、病変部位に、皮下及び筋肉内注射された。
マウスモデル
NOD/SCID免疫応答性マウス(ヒト細胞移植可能)の後足に、放射線照射した(25〜30Gy)(BENSIDHOUM and al, J Soc Biol 2005; 199 (4):337−41)。
NOD/SCID免疫応答性マウス(ヒト細胞移植可能)の後足に、放射線照射した(25〜30Gy)(BENSIDHOUM and al, J Soc Biol 2005; 199 (4):337−41)。
移植
当該実験において、前記処理は、急性病変(放射線照射後1日)又は確立した病変(放射線照射後21日)に対して実施された。各実験は、一般に、病変のタイプあたり5頭の動物からなる。
当該実験において、前記処理は、急性病変(放射線照射後1日)又は確立した病変(放射線照射後21日)に対して実施された。各実験は、一般に、病変のタイプあたり5頭の動物からなる。
細胞を、病変部位の幾つかのポイント(15〜20か所)に、皮下及び筋肉内移植した。懸濁物の体積は、200μLとした(生理食塩水)。歯肉線維芽細胞の用量効果は、マウスあたり2.5x106、1.5x106又は0.5x106細胞の注射により試験された。単一の濃度はMSCにおいて選択され、これは、不測の放射線照射の治療におけるヒト臨床設定に使用される濃度に対応する(Lataillade et al., Regen Med 2007; 2(5):785−94. Bey. et al., Wound Repair Regen. 2010; 18 (1):50−8)。
解析
前記動物を、4〜6週間(経験に基づく)に渡りモニタリングした。当該動物は、解析のために、実験の最後に屠殺した。経験に基づき、幾つかの動物において、途中停止(細胞治療後1週間)を実施した。
前記動物を、4〜6週間(経験に基づく)に渡りモニタリングした。当該動物は、解析のために、実験の最後に屠殺した。経験に基づき、幾つかの動物において、途中停止(細胞治療後1週間)を実施した。
「肉眼」でのフォローアップは、損傷箇所の撮影による、動物の通常の観察によって行われた。
動物の屠殺後、放射線照射した組織を回収した。一部を組織学的解析に用い、他の部分を、mRNA発現解析のための抽出に用いた。
結果及び結論
上記「肉眼」観察は、前記治療が急性病変又は確立した病変のいずれの場合も、歯肉線維芽細胞及びMSCにより治療された病変の改善を示す。毛髪の再成長は、歯肉線維芽細胞の存在下で観察される(図1)。MSCは、毛皮の再成長に対しそのような効果を誘導しない。
上記「肉眼」観察は、前記治療が急性病変又は確立した病変のいずれの場合も、歯肉線維芽細胞及びMSCにより治療された病変の改善を示す。毛髪の再成長は、歯肉線維芽細胞の存在下で観察される(図1)。MSCは、毛皮の再成長に対しそのような効果を誘導しない。
MMP−9及びIL−6mRNA発現は歯肉線維芽細胞とMSCにおいて差異は無く、これは、両方の細胞種が、皮膚リモデリングの刺激及び炎症プロセスの阻害に効果的であることを示す(図2)。
前記組織学的解析は、ヒト歯肉線維芽細胞が、放射線照射誘導性の皮膚の厚さの増大を阻害することにより、上皮の厚肥を制御することを示す(図3)。MSCは、上皮のこの分化を制御しない。
歯肉線維芽細胞の移植後にのみ見られるKi67(増殖活性のマーカー)の発現の刺激は、それらが、組織リモデリングに必要な細胞分裂の刺激に強く継続的に関与することを示す。MSCは、そのような強く継続的な刺激に関与しない(図4B)。
また、歯肉線維芽細胞は、継続的にEGFの発現を刺激し、非放射線照射皮膚の発現レベルを回復する。病変部におけるこの因子の刺激組織の再組織化に必要な細胞分裂の刺激に寄与する。MSCは、そのような強く継続的な刺激に関与しない(図4B)。
最後に、KGF発現に対する歯肉線維芽細胞の刺激作用は、この因子は、皮膚線維芽細胞の増殖に対して刺激効果を有しないものであるから、上皮、特にケラチノサイトに対する一定の作用を示す(Rubin and al, Proc Natl Acad Sci USA. 1989; 86(3):802−6) (図4B)。
結論としては、ヒト骨髄由来のMSCと異なり、ヒト歯肉線維芽細胞は、毛髪の再成長を強力に刺激する。この効果は、上皮に対するより広範な作用に関連している。歯肉線維芽細胞は、上皮細胞、特にケラチノサイトの増殖を促進する因子の発現を継続的に刺激する。
Claims (15)
- 脱毛症の治療又は予防に使用される、歯肉線維芽細胞由来物。
- 前記脱毛症が、遺伝性アンドロゲン性脱毛症、閉経後脱毛症、急性脱毛症、円形脱毛症及び先天性脱毛症から成る群から選択される、請求項1に記載の歯肉線維芽細胞由来物。
- i)歯肉組織から直接回収された歯肉線維芽細胞、ii)培養歯肉線維芽細胞、iii)歯肉線維芽細胞抽出物、及びiv)歯肉線維芽細胞馴化培地、から選択される、請求項1又は2のいずれか1項に記載の歯肉線維芽細胞由来物。
- 異種、同種又は自己の歯肉線維芽細胞に由来する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の歯肉線維芽細胞由来物。
- 生きた細胞を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の歯肉線維芽細胞由来物。
- フィナステライド、ミノキシジル又は微小移植から選択される公知の脱毛症治療手段と併用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の歯肉線維芽細胞由来物。
- 請求項1〜5のいずれか1項に規定の歯肉線維芽細胞由来物を含有し、脱毛症の治療又は予防に使用される、組成物。
- 1つ以上の抗抜け毛剤を更に含有する、請求項7に記載の組成物。
- 脱毛症の予防又は治療において、同時、個別、又は連続で使用される、請求項1〜5のいずれか1項に規定の歯肉線維芽細胞由来物と、1つ以上の抗抜け毛剤との組み合わせ。
- 前記抗抜け毛剤がフィナステライド又はミノキシジルである、請求項8に記載の組成物又は請求項9に記載の組み合わせ。
- 毛髪/体毛の抜け毛の制限、及び/又は毛髪/体毛の成長、及び/又は毛包密度の増大のための、歯肉線維芽細胞由来物の美容のための使用。
- 前記抜け毛、及び/又は毛髪の成長、及び/又は毛包密度が自然的なものである、請求項11に記載の使用。
- 前記歯肉線維芽細胞由来物が、i)歯肉組織から直接回収された歯肉線維芽細胞、ii)培養歯肉線維芽細胞、iii)歯肉線維芽細胞抽出物、及びiv)歯肉線維芽細胞馴化培地、から選択される、請求項11又は12のいずれか1項に記載の使用。
- 前記歯肉線維芽細胞が、異種、同種又は自己のものである、請求項11〜13のいずれか1項に記載の使用。
- 前記歯肉線維芽細胞由来物が生きた細胞を含有しない、請求項11〜14のいずれか1項に記載の使用。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200414 |
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| A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20201110 |